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新規ユビキチン結合夕ンパク質シンテニンの 生化学的解析

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Academic year: 2021

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     博 士(医学)梁 学位論 文題名

新規ユビキチン結合夕ンパク質シンテニンの 生化学的解析

学位論文内容の要旨

【背景と 目的】 ユビキ チン化 は真核 細胞においてタンパク質にユビキチン(Ub: ubiquitin)が付 加する翻訳後修飾であり、タンパク質の寿命の決定や細胞内輸送など多様な生命活動に重要な役割 を果 た し て いる , ユ ビ キチ ン は 、 活性 化 酵 素 皿1)、 結 合 酵 素(E2)およ びりガ ーゼ(E3)か ら 構成されるユビキチンシステムによって標的タンパク質に共有結合される.一方、ユビキチンに結合 するタンパク質(ユビキチン結合タンパク質)がこれまで同定されている.ユビキチン結合タンパク 質はユビキチン化されたタンパク質上のユビキチンに非共有結合で相互作用し、ユビキチン化タン パク質の機能、安定性、または局在の決定などに重要な役割を果たしている.その中、モノユビキ チン化されることにより、ユビキチン化タンパク質がエンドサイトーシスされる報告があるが、モ ノユビキチンタンパク質のメカニズムに関しては不明な点が多い.本研究ではプロテアソームヘの ターゲットシグナル以外のユビキチンの役割、特にモノユビキチン化の機清ヒヒを明らかにするため、

モノユビキチン結合タンパク質の同定を試みた.

【材料 と方法 】酵母株L40を使用して酵母two hybrid法スクリーニングを行った.酵母two hybrid 法 のbaitは ユ ビ キ チン 変 異 体Ub (K48RJG76A)であ り 、 ラ イブ ラ リ ーは マウスT細胞リ ン/瀧 cDNAラ イ ブ ラ リ ー で あ る . 哺 乳 類 細 胞 内 結 合 を 検 討 す る た め 、HEK293T細 胞 株 に FLAG‑synteninとHA.Ubを導 入し、 免疫沈 降し、 ウエス タンブ ロット解析を行った.タンパク質 の安定 陸を検 討する ため、HEK293T細胞 にFLAG.synteninを導入 し、cyclohexInideで処理後、

各 時 間 に お け る タ ン パ ク 質 抽 出 液 を 調 整 し ウ エ ス タ ン 解 析 を 行 っ た .

【 結 果 】Ub (K48R/G76A)に 結 合 す るタ ン パ ク 質を8x10s個の マ ウ スT細 胞リ ン / く 腫cDNAラ イ ブラリ ーからスクリーニングした結果、9個の陽性クローンが得られた,このうちニっはマウス のシンテニンと同一であった.哺乳類細胞内でシンテニンとユビキチンの結合を検計尹るために、

HEK293T細 胞 にFLAG.synte血1とHA・Ubを 導 入 し 、 抗FLAG抗 体 で 免 疫 沈 降 し 、 抗HA抗 体 でウエスタン解析を行った.この結果、シンテニンがユビキチンと共有結合およて腓共有結合で哺 乳 類細胞 内では結 合して いるこ とが示 唆された.これらの結合はユビキチンの48番目のりシン依 存 性かど うかを検 討した 結果、 ユビキ チンの48番目のりシン以外の部位でも行われていることが 示 唆され た.シンテニンとユビキチンの非共有結合はユビキチンのC末端のグリシン依存性かどう

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か を 検 討 す る た め ユ ビ キ チン 変 異 体Ub( △GG)(75と76番 目のGlyを 欠 損さ せ た も の) 作 製 した.免疫沈降実験により検討した結果、シンテニンのユビキチンとの非共有結合はユビキチンの C末端部 分のグ リシン 依存性 であっ た,シ ンテニン のユビ キチン 結合部 位を同定するため、PDZ 欠損シンテニンとN末欠損シンテニンの変異体を作製した.免疫沈降実験により検討した結果、シ ンテニ ンがユ ビキチ ンと非 共有結 合で相互 作用す るドメインはシンテニンのN末部分であること が示唆 された ,次に 、ポリ ユビキ チン鎖を 特異的 に認識する抗体FK2を利用して、哺乳類細胞内 でシンテニンとユビキチンとの結合を解析した結果、細胞内でシンテニンは内在性もしくは外来陸 いずれのユビキチンによってもポリユビキチン化を受けていることが示唆された.シンテニンの安 定陸を調べた結果、cycloheximide処理24時間後でもシンテニンは安定して存荏していることがわ か っ た . シ ン テ ニ ン の ポ リ ユ ビ キ チ ン 化 は 分 解 シ グ ナ ル で は な い こ と が 示 唆 さ れ た .

【考察】ユビキチン結合タンパク質はユビキチンと非共有結合で相互作用することによってユビキ チン化タンパク質の機能や寿命を決定し、さまざまな細胞プロセスに関与している.シンテニンは 細胞内でモノユビキチン化タンパク質として機能することが示唆された,しかし、これまでに、ユ ビ キチ ン 結 合 タン パク 質のユ ビキチン 結合ド メイン がいず れのUBDも ユビキ チンの44番目の イ ソロイシンを中心とする疎7k'It/くッチのロシート面に結合するものであった.これに対して、シン テニン が結合 するユビキチンのC末端は新規の結合部位である.一般にタンパク質のユビキチン化 修飾も ユビキ チンのC末端を 介する ことか ら、シ ンテニン は、ユ ビキチ ンのC末 端以外 で相互作 用して いる他 のユビ キチン 結合タ ンパク質にユビキチンを介して結合している可能陸が考えられ る.シ ンテニ ンは構 造上の 特徴は ニつのPDZドメイ ンで膜 タンパ ク質のC末部分と 細胞質側で相 互作用しエンドサイ卜ーシスなどの細胞膜輸送、細胞骨格と膜の編成、癌転移、シナプス伝達、そ して軸索伸長などさまざまな細胞活動に関与することが報告されている.シンテニンはモノユビキ チンと結合することによってこれらの現象を調節している可能陸が考えられた.リサイクリングと りソゾ ームへ の輸送 は膜タ ンパク 質による時空間的なシグナル伝達を制御する重要な過程と考え られる .ユビ キチン とPDZタン パク質 はりソ ゾーム とりサ イクリングヘの輸送に関与している.

膜タン パク質 のユビキチン化はりソゾームへのシグナルであり、PDZタンパク質と膜タンパク質の 相互作用は膜タンパク質をりサイクリングするシグナルであると考えられている. PDZタンパク質 としてのシンテニンも膜タンパク質シンテニンのりサイクリング制御することがわかっている.本 研究により、シンテニンはユビキチンとの相互作用を介して、これらニつの細胞内輸送を直接調整 する可能性が示唆された.シンテニンがユビキチンと相互作用して、膜タンパク質亠シンテニンー ユビキチン―ユビキチン結合タンパク質のネットワークを形成して、膜タンパク質の細胞内輸送を 制御するかもしれない.このようにシンテニンは膜タンパク質とユビキチン化タンパク質を連結さ せるという新しい役割を行っているかもしれない,シンテニンは乳癌、胃癌およびメラノーマの癌 組織中に高発現し、これらの癌細胞の転移能を高めることが報告されている,シンテニンはメラノ ーマで 、FAKの自 己リン 酸化を 高めて 癌転移 を調節 するこ とが知 られてい るが、FAKとシンテニ ンは直 接な相 互作用 はない .シン テニン はユビキ チンと の相互 作用を介してFAKの自己リン酸化 を調節している可能性があるかもしれない.また、シンテニンは異なる種類の癌細胞においては異 なるシグナル経路に関与している可能性がある.本研究においてシンテニンのポリユビキチン化は

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分解シグナル ではないことが示唆された.シンテニンのポリユビキチン化の具体的な生物学的意義 を解析するこ とは、今後の重要な課題であ る.

【結論】シンテニン は、ユビキチンと非共有結合および共有結合で結合していることが判明した.

この シン テ ニン とユ ビキ チ ンの 相互作用は シンテニンのN末部分とユビ キチンのC末端のグリシ ンに依存している, シンテニンが有するさまざまな機能がユビキチンとの相互作用により調整され ている可能陸が示唆 された,

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

新規ユビキチン結合夕ンパク質シンテニンの 生化学的解析

  ユビキチン化は、真核細胞においてタンパク質にユビキチン(Ub: ubiquitin)を付加す る翻訳後修飾であり、タンパク質の寿命の決定や細胞内輸送などの多様な生命活動に重要 な役割を果たしている.ユビキチンは、活性化酵素(El)、結合酵素(E2)およぴりガーゼ (E3)か ら構成さ れるユ ビキチンシステムによって標的タンパク質に共有結合される.近 年、多くのユビキチンに結合するタンパク質(ユビキチン結合タンパク質)が同定されて いる,ユビキチン結合タンパク質はユビキチン化されたタンパク質上のユビキチンに非共 有結合で相互作用し、ユビキチン化タンパク質の機能、安定性、または局在の決定などに 重要な役割を果たしている.例えば、モノユビキチン化されることにより、ユビキチン化 タンパク質がエンドサイトーシスされる報告があるが、モノユビキチン結合タンパク質の 関与には不明な点が多い,本研究ではプロテアソームへのターゲットシグナル以外のユビ キチンの役割、特にモノユビキチン化の機能を明らかにするため、モノユビキチン結合タ ンパク質の同定を試みた,

  ユ ビキチン 変異体Ub (K48R/G76A)をベイトとし、酵母two hybridスクリーニングを行 った,スクリーニングの結果、9個の陽性クローンが得られ、このうちニっはマウスのシ ンテニンと同一であった.哺乳類細胞内でシンテニンとユビキチンの結合を検討するため に、HEK293T細胞にFLAGタグ―シンテニンとHAタグーユビキチンの発現ベクターを導入し、

抗FLAG抗体で免 疫沈降 し、抗HA抗体でウエスタン解析を行ったところ、シンテニンがユ ビキチンと共有結合および非共有結合で哺乳類細胞内では結合していることが示唆された,

シンテニンとユビキチンの非共有結合はユビキチンのC末端のグリシン依存性かどうかを 検 討するた めユビ キチン変 異体Ub (AGG) (75と76番目のGlyを欠損させたもの)を検討 した結果、シンテニンとユビキチンの非共有結合には、ユビキチンのC末端部分のグリシ

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次 典

鎮 正

山 原

畠 笠

授 授

教 教

査 査

主 副

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ンが重要であることが判明した,シンテニンのユビキチン結合部位を同定するため、シン テニンの変異体を作製したところ、ユビキチンと非共有結合で相互作用する領域は、シン テニ ンのN末部分で あるこ とが示唆 された,また、シンテニンの安定性を調べた結果、

cycloheximide処理24時間後でもシンテニンは安定して存在していることがわかり、シン テ ニ ン の ポ リ ユ ビ キ チ ン 化 は 分 解 シ グ ナ ル で は な い こ と が 示 唆 さ れ た ,   口頭発表において、渡辺雅彦教授より,酵母ツーハイブリッドスクリーニングで同定さ れた他のクローンについて、シンテニンに注目した理由、シンテニンの組織発現特異性、

非共有結合によるユビキチンとの結合についての質問があった.これらの質問に対し、他 にUCHーL3が同定されたが、シンテニンが膜タンパク質の動態制御に関連することからシン テニンに注目したこと、さらにPDZタンパク質が豊富な神経組織等にも存在していること、

そしてユビキチンとの非共有結合に関する分子論的解説を述べた。ついで,笠原正典教授 より,これまでに報告されているユビキチン結合タンパク質、およびユビキチンのC末端 がシンテニンとの結合に関与することの新規性についての質問があった,これらの質問に 対し、これまでに報告されているユビキチン結合ドメイン(モチーフ)を説明し、今回の 結合様式はこれまでにない分子間結合に依ることを述べた。さらに,畠山鎮次教授より、

シンテニンのユビキチン結合領域におけるドメインの検索、およびエンドサイトーシスに シンテニンのユビキチン化もしくはユビキチン化認識が重要であることを証明する実験に 関する質問があった,これらの質問に対し、ユビキチンと非共有結合する領域には既知の ドメイン構造はないこと、さらにシンデカンなどの膜タンパク質の動態を細胞生物学的に 解析することの重要性を述べた。

  この論文は、北海道医学雑誌で高く評価され、今後、エンドサイトーシスを含む細胞内 膜輸送の分野において、膜タンパク質のユビキチン化の重要性を認識させることが期待さ れる。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院過程における研鑽や取得単位なども 併せ 申請者が 博士( 医学)の 学位を受 けるの に十分な 資格を 有するものと判定した。

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