• 検索結果がありません。

第42 回 三重歯科・口腔外科学会抄録

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "第42 回 三重歯科・口腔外科学会抄録"

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

第42 回 三重歯科・口腔外科学会抄録

雑誌名 三重医学

巻 58

号 1

ページ 17‑28

発行年 2015‑03‑25

その他のタイトル The 42nd Mie Meeting of Dentistry and Oral Surgery, Abstracts

URL http://hdl.handle.net/10076/14610

(2)

42 回 三重歯科・口腔外科学会抄録

The 42nd Mie Meeting of Dentistry and Oral Surgery, Abstracts

日 時:平成261213日 場 所:三重県口腔保健センター

1 .下顎骨肉腫 HOSM-1 細胞と口腔悪性黒色 腫 PMP 細胞における phosphodiesterase 2 の遺伝子変異の比較 第 2

   三重大学医学部口腔・顎顔面外科学1    榊原温泉病院歯科口腔外科2

    ○森田 寛1, 2,清水香澄1,関田素子1,      村田 琢1,新井直也1

【目的】Phosphodiesterase(PDE)は,細胞内情 報伝達物質であるcAMPやcGMPの分解酵素とし て生体の様々な現象に関わっており,そのアイソ ザイムの1つにPDE2がある.われわれはこれま での研究で,PDE2を発現する細胞株である口腔 悪性黒色腫PMP細胞と下顎骨肉腫HOSM-1細胞 を調べ,PDE2の浸潤能に対する役割,遺伝子型,

免疫染色で見たPDE2タンパクの細胞内局在に違 いがみられることを示してきた.今回は,両細胞

のPDE2活性の分布についてさらに比較検討を

行った.

【材料および方法】細胞は,ともに当科で樹立した ヒト口腔悪性黒色腫由来の細胞株PMP細胞とヒ ト下顎骨肉腫由来の細胞株HOSM-1細胞を用い た.両細胞から分画遠心法で分離した膜画分と細 胞質画分のPDE2活性を測定した.

【結果及び考察】PMP細胞,HOSM-1細胞ともに,

ほとんどのPDE2活性を細胞質画分に認めた.今 回の結果がPDE2の浸潤能に対する役割の違いに 関与するかは,今後さらに詳細な検討を要する.

2 .歯上皮と歯間葉の再結合による歯の形成

  三重大学医学部口腔・顎顔面外科学1

  三重大学大学院医学系研究科生命医科学専攻    基礎医学系講座幹細胞発生学分野2

    ○若林宏紀1, 2,磯野加奈2,山崎英俊2

【目的】マウスの歯の発生は,歯上皮と歯間葉の相 互作用により進行し,胎生11日目(E11)の歯堤 の形成より始まる.蕾状期とされるE13には歯蕾 となり,下層には間葉が凝集する.今後,運命決 定されていないE13において,歯上皮にとって不 可欠な歯間葉の最小単位を単離するため,今回は まず,E13およびE14のマウス下顎臼歯歯胚を摘 出し,培養を行ったので報告した.

【材料と方法】実験マウスとしてC57BL/6Jの雌2 匹を用い,それぞれE13,E14の胎仔の下顎より 外科的に臼歯歯胚を摘出し,ペニシリン・ストレ プトマイシン添加α-MEMに10%ウシ胎仔血清,

アスコルビン酸-2-リン酸エステル,β-グリセロ リン酸を加えた培地を用いて器官培養用ディッ シュにて14日間培養した.その後凍結切片を作製 し,H-E染色を行った.

【結果】E13では摘出した10歯胚のうち5歯胚,E14 では9歯胚すべてで歯が形成された.

【結論】マウス下顎臼歯歯胚は培養によって正常に 分化することが示された.歯が形成されない,ま たは分化が不完全な標本は,摘出時のトリミング による損傷や培養条件が不適切であったことが原 因として考えられた.

(3)

3 .本校における就職活動状況

    ユマニテク医療福祉大学校歯科衛生学科       ○渡瀬恵子,笹間滋代,森 美鈴,

       後藤澄代,水谷雅子,北川順子

【緒言】社会環境の変化に伴い歯科衛生士(DH)

の活躍の場も広がる中,慢性的なDHの供給不足 が問題となっている.今回,三重県下の求人状況 などの現状と学生の意識を調査した.

【対象・方法】平成22年度から25年度の支部別求 人データ分析と本学3年生30名に対し,就職に対 する意識のアンケート調査を行った.

【結果】求人倍率は高いものの地域差が大きく就職 活動の難しい地域もある.学生は自宅から近距離 の施設を希望しており,卒業直後は幅広く経験を 積む為に一般歯科診療所を選ぶ傾向が高い.また,

給与・福利厚生・加入保険の条件と見学時のス タッフの印象がその後の就職に大きく関与してい る.

【結論】三重県の歯科衛生士の需給バランスは地域 差が大きいが,遠方での就職を望んでいない者が 多い.従って,就職活動を円滑に行っていく為の有 効な手段を模索していく必要があると考える.

4 .高校生を対象に実施した歯科保健教室 について

   伊勢保健衛生専門学校歯科衛生学科      ○前田香代子,圓尾玲子,島田裕子,

      松本由美,中西康裕  

 今回われわれは,口腔保健管理の授業の一環と して,高校生を対象とした歯科保健教室を実施し た.その際に行ったアンケート調査にて,以下の 結果を得たので報告した.

【対象および方法】対象は,高校2年生234名.歯 科保健についての研修およびブラッシング指導を 受けた後,歯肉の状態,歯磨き行動などについて 調査を実施した.

【結果】歯肉の状態については,歯肉腫脹が21%,

ブラッシング時の歯肉出血が55%であった.国民 健康調査報告では歯肉腫脹8.4%,歯肉出血18.2%

であり,これらより高い数値を示した.デンタル フロスの使用状況は15.1%であり,国民健康栄養 調査9.6%と比較して高かった.

【まとめ】校医による歯科検診結果による歯肉炎

(経過観察の者含む)は,21.3%に認められたが,

今回の自己チェックの数値は29%と高かった.こ のことは,口腔内を観察することで軽度の歯肉炎 に気づいた結果と推察でき,自分の口腔内に関心 を持つきっかけとなったと思われる.

5 .歯科衛生士を目指す学生の意識調査

 三重県立公衆衛生学院 歯科衛生学科

   ○中世古文香,岡村哲子,エィガン直美,

    岡 景子,下村真理,前田尚子

【目的】平成27年4月1日より改正歯科衛生士法が 施行され,歯科衛生士の需要は益々高まってくる.

その一方,18歳人口は減少傾向であり,歯科衛生 士養成所において,現役学生の確保は深刻な問題 となりつつある.今回,体験入学時に実施してい る過去4年間のアンケート調査の結果から,歯科 衛生士への進路決定要因と受験状況との関係性を 考察し,今後の学生募集について検討した.

【対象・方法】対象者は,平成23年から26年の体 験入学参加者より社会人を除外した258人とした.

調査方法は,無記名選択および自由記載方式とし,

得られた結果を集計した.

【結果・考察】歯科衛生士に興味を持った理由は,

歯科受診による者が多く,目指そうと思った時期 は,高校2年生が最も多い結果であった.しかし,

26%の者が幼少期から意識しており,職業認知度 を向上させる為には,職業体験学習等,中学生へ のアプローチも必要だと考えられた.本校を知っ たきっかけは,88人が高等学校の勧めと回答し,

知った時期は,8割以上が高校時代であった.こ の結果より,職員や在学生による高校へのPR活 動が,本校周知に成果を挙げたと示唆された.体験 入学への参加は,74%が本人の意思による参加で あったが,HPがきっかけとなった者も見られた.受 験校決定の要因は,経済面が最も多く,次いで学 校等の雰囲気と回答した.学習環境を重視する背 景から,ゆとり世代の学生であると推測された.

(4)

6 .松阪地区歯科医師会 口腔ケアステー ションの取り組み

 口腔ケアステーション1  三重県歯科衛生士会松阪支部2  一般社団法人松阪地区歯科医師会3

   ○岡本満美子1, 2,近田紀子1, 2,吉田昌夫1, 3,     長井雅彦1, 3

【緒言】松阪地区では,松阪地区歯科医師会と歯科 衛生士会松阪支部が緊密な連携のもと訪問歯科診 療や訪問口腔ケアが熱心に行われている.口腔ケ アステーション設立から12年が経過しその活動は 順調に進み地域包括ケアシステムの基盤が出来つ つある.今回,口腔ケアステーションの活動実績 を振り返り,さらなる発展を目指すため課題を検 討したので報告した.

 口腔ケアステーションは実施主体である松阪地 区歯科医師会が運営管理している.歯科医師と口 腔ケアステーション登録歯科衛生士が短期雇用契 約を結ぶことで,歯科衛生士が歯科医師の指示を 受け訪問口腔衛生指導を実施する.設立からその 活動は年々増加し,平成25年度は患者数がのべ人 数で2,616名となった.また口腔ケアサマリを活用 することで,急性期,回復期,維持期と歯科衛生 士による口腔ケアを途切れることなく行うことが できている.

【まとめ】今後ますます高齢化が進むなかで,口腔 ケアステーションの役割は大きくなると予想する.

多職種との連携を強化し,歯科衛生士の人員拡大 と知識の研鑽に今後も努力が必要と考える.

7 .耳下腺から頚部に及ぶ膿瘍に対する陰圧 閉鎖療法の使用経験

   済生会松阪総合病院 歯科口腔外科1    大阪大学大学院

    歯学研究科口腔外科学第一教室2      ○辻 忠孝1, 2,佐藤耕一1

【緒言】頚部膿瘍は,深部の縦隔へ炎症が波及する 可能性があり,敗血症等の重篤な合併症を惹起す ることがある.

【症例】88歳女性,左顎下部の腫脹を自覚し,近 隣の内科を受診した.抗菌薬点滴の加療をうける も,症状の改善に乏しく当科来院.左耳介下部か ら頚部にかけて浮腫状の発赤をともなう腫脹を認 め,CTにて耳下腺膿瘍由来の炎症が頚部広範囲へ と波及した所見を認めた.頚部膿瘍診断下にて,

全身麻酔下で顎下部及び鎖骨上部に切開線を設定 し,ドレナージを施行した.術後2週間で明らか な壊死組織は除去できたが,広範囲に及ぶ上皮欠 損を認めたため,陰圧閉鎖(VAC)療法を開始し た.開始後より肉芽増生が確認され,終了時の上 皮欠損は縮小したため,外来通院が可能となり,

VAC終了後2か月で完全な上皮形成が確認された.

【結論】88歳の超高齢者の頚部の上皮欠損に植皮 等の外科処置の介入なしに,VAC療法にて治癒に 至った1例を経験したので報告した.

8 .当科における薬剤関連顎骨壊死に関する 臨床的検討

    三重大学医学部口腔・顎顔面外科学       ○松谷博人,朽名智彦,井上 仁,

       加藤英治,乾眞登可

【緒言】近年,骨代謝調整薬(BMA)の副作用によ る薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)の報告が増加して い る. 今 回 わ れ わ れ は, 当 科 で 加 療 を 行 っ た

MRONJ症例の概要を報告した.

【対象および方法】2011年1月から2014年10月ま で当科にて加療を行ったMRONJ患者53名を対 象とし,13項目について調査した.

【結果】男女比は1:1.4,平均年齢は70.3歳であっ た.来院経路は院外紹介が73.5%であった.BMA 投与対象疾患は悪性腫瘍骨転移62%,骨粗鬆症 19%であり,悪性腫瘍骨転移では前立腺癌が45.5%

と最も多かった.投与経路は経口剤21例,注射剤 41例,重複症例1例であり,罹患部位は下顎が 77%,発症StageはStage2が66%と最も多かった.

投与期間は経口剤平均4年8か月,注射剤平均1年 10か月であった.危険因子を有する患者は53例中 49例であり,発症契機は抜歯が56.6%と最も多 かった,治療は2012年のBP関連顎骨壊死に対す るポジションペーパーに従い行ったところ,転帰

(5)

は 症 状 消 失18.9%, 症 状 改 善49.1%, 症 状 不 変 32.0%であった.

【まとめ】今回われわれは, 当科で加療を行った MRONJ患者53例の概要を報告した.

9. Stevens-Johnson 症候群が疑われた 1

    三重病院 歯科口腔外科

      ○松村佳彦,後藤優子,北村朋子

【症例】95歳,男性

【主訴】口腔内からの出血

【現病歴】慢性閉塞性肺疾患のため当院呼吸器内科 へ入院.その後,誤嚥性肺炎を生じ,セフェビム 塩酸塩注射薬を投与したところ,口腔内からの出 血を生じ,当科受診となった.

【現症】舌背に水疱形成,両側口角から下唇皮膚お よび下唇粘膜に易出血性のびらんを認めた.さらに 眼粘膜の充血,四肢にびらんと水疱の形成を認めた が,体幹部には認めなかった.当院入院時には肝機 能,Hb値は正常であったが,抗菌薬投与後の血液 検 査 結 果 は,AST;347IU/L, ALT;185IU/L, GPT;126IU/L, CRP;12.99mg/dL お よ びHb;

5.5g/dlで,経過と臨床所見から SJSが疑われた.

【既往歴】前立腺癌, 逆流性食道炎

【 臨 床 診 断 】 ア レ ル ギ ー 性 皮 膚 粘 膜 炎, Ste- vens-Johnson症候群(SJS)の疑い.

【処置及び経過】口唇と口腔内はステロイド口腔用 貼付剤,皮膚にはステロイド軟膏を塗布し,眼は ステロイドおよび抗菌薬含有点眼液を投与した.

経過良好であったが,入院97日目に呼吸不全にて 死亡した.

【まとめ】発熱はなく, SJSの診断基準は満たして おらず,薬剤アレルギー性皮膚粘膜炎と考えるの が妥当と思われた.

10 .開口障害を主訴とした破傷風の 1

   三重中央医療センター 歯科・口腔外科      ○柳瀬成章,鋤崎文子,下田澄代,

      森本優美子

 破傷風はClostridum tetaniが産生する外毒素 により起こる中毒性の疾患で,筋強直,全身痙攣 などを生じる.我々は開口障害を主訴に口腔外科 を受診し診断に至った症例を経験したので,概要 を報告した.患者:67歳,男性.主訴:開口障害,

構音障害,食事摂取困難.既往歴:高血圧症,胃 潰瘍,変形性膝関節症.現病歴:初診2日前に開 口障害,構音障害を生じ,摂食困難となった.ま た,両肩から腰部に疼痛を生じ,近医で投薬され たが改善なく,当院内科へ紹介,顎関節症を疑わ れて当科初診となった.現症:意識清明.体温 37.4℃, 血 圧168/ 102 mmHg, 脈 拍126/min,

SpO2 98%.顔貌は対称,頚部の筋緊張,項部硬 直があり,咬筋の緊張,開口障害がみられた.外 傷について聴取したところ,初診14日前に畑仕事 で右後下腿に受傷したことが判明,破傷風第2期 と診断された.直ちに救急科のある施設へ搬送,

集中治療室管理となった.第3病日に後弓反張,

痙攣を生じ第3期に進展したが,第24病日に呼吸 器を離脱,第31病日にリハビリ目的に他施設へ転 院した.近年,破傷風の発生数は増加傾向にある.

顎関節疾患の疑いで歯科を受診する可能性があり,

日常診療で意識すべき疾患と考えられた.

11 .内視鏡を用いた摂食機能評価の取り組 み

 三重大学医学部口腔・顎顔面外科学1  公立紀南病院 歯科口腔外科2  公立紀南病院 栄養室3

 公立紀南病院 リハビリテーション科4    ◯渡邉由裕1, 2,糸川美智子2,南 奏子2,     沢田浩一3,中村和貴4

 近年,嚥下障害患者が急増している.そこで,

2012年12月より嚥下機能の評価を充実させるため に嚥下内視鏡検査(VE)を開始したので,概要に ついて報告した.

【対象および方法】2012年12月から6か月間にVE を実施した症例をA 群とし,対象として,VE開 始1年前の同時期に嚥下評価依頼があった症例を B群とした.検討項目は診療録をもとにして性別・

年齢・疾患別・在院日数について検討した.

(6)

【結果】患者数はA群25名(男性14名,女性11名.

平均年齢86.2±7.4歳).B群32名(男性16名,女 性16名.平均年齢82.0±9.3歳)であった.全身 疾患はA群・B群それぞれ肺炎42%・30%,脳血 管系疾患19%・27%,脳神経系疾患14%・16%,

循環器系疾患9%・13%で両群に大きな差はなかっ た.平均在院日数はA群32.8±13.3日,B群40.0

±16.3日で有意差を認めた(P<0.05).

【考察】A 群,B群共に平均年齢は高く全身疾患で

は,肺炎が最も多かった.VEにより嚥下機能評 価を行うことにより経口摂取の可否,栄養方法の 選択などが可能であるため在院日数の短縮につな がると考えられた.

12320ADCT を用いた脳梗塞後の片麻 痺患者における構音器官運動の左右差の 観察

     済生会松阪総合病院 歯科口腔外科        ○佐藤耕一,辻 忠孝

【緒言】320列ADCTを用いて片麻痺患者が発音中 の撮影を行い,複数の構音器官を多方向から観察 した.

【対象・方法】被験者は65歳の男性,5年前に脳梗 塞を発症した左片麻痺患者である.被験者が発音 中の口唇,舌,下顎,軟口蓋,声帯等の構音器官 運動の左右差を0.05秒間隔の時系列の画像で観察 した.上下唇は正面像にて観察した.舌,軟口蓋 は正中より約1cm程度の健側(右側)寄り,患側

(左側)寄りの矢状断面を並列して観察した.声帯 は水平断面にて観察した.被験音は/pataNga/と したが,これは,破裂点の異なる3つの破裂音,鼻 咽腔開放・閉鎖音,有声・無声音,また下顎と舌 運動の大きな母音/a/を組み合わせることで,構音 器官運動を視覚的に容易に捉えることを目的とした.

【結果】これまでに正面での上下唇運動,内視鏡に よる軟口蓋運動の左右差の観察は可能であったが,

320列ADCTを用いて,全ての構音器官を同時の時 系列画像で観察することが可能であった.多面的な 画像により,複数の構音器官の相互の動きを検討 することで.脳血管障害患者,口蓋裂患者等での 構音障害の臨床応用に期待できるものと思われた.

13. マグネットとロケーターアタッチメント を併用したインプラントオーバーデン チャーを作製した 1

    三重大学医学部口腔・顎顔面外科学       ○岩中義幸,堀 晃二,矢野聖敏,

       奥村健哉

【緒言】近年,インプラント治療は,一般的な歯科 治療として認知されている.今回われわれは,マ グネットとロケーターアタッチメントを併用した インプラントオーバーデンチャー(IOD)を作製 する機会を得たので報告した.

【症例】61歳男性,咬合不全を主訴に来科,イン プラント補綴を希望し当科初診となった.初診時,

上顎は7〜4|3〜7欠損で,下顎は左下7のみ残存 していた.必要最低限の本数で,骨移植は併用せ ず埋入して欲しいとの強い希望があり,2①|①

②Brは保存困難なため抜歯し,左上1抜歯即時埋 入を含む上下顎それぞれ3本ずつの埋入予定とし た.左上1を抜歯した際,骨欠損が大きく,予定 より傾斜させた状態での埋入を余儀なくされたた め,マグネットとロケーターアタッチメントを併 用した補綴を選択した.上下顎とも維持,把持に 問題はなく経過良好である.

【考察】ロケーターアタッチメントは,埋入方向の ズレが大きい症例では使用できないため,一般的 には顎骨造成後の埋入が必要となるが,マグネッ トアタッチメントを併用することで,治療期間の 短縮や侵襲の低下に寄与できた.

【結語】今回われわれは,マグネットとロケーター アタッチメントを併用したIODを作製する機会を 得たので報告した.

14 .臼歯部咬合崩壊を伴った慢性歯周炎患 者に包括的治療を行った 1 症例

    医療法人尚志会 林歯科医院

      ○林 尚史,西浦美貴,菊地正高

【緒言】臼歯部咬合崩壊,前歯部フレーアウトを 伴った慢性歯周炎患者に対して,歯周治療,臼歯 欠損部にインプラントによる咬合再構築,上顎前

(7)

歯部の小矯正などの包括的治療を行った症例を報 告した.

【症例】52歳男性.主訴:上顎前歯部の著しい動 揺と審美障害.

【診査・検査所見】大臼歯部咬合支持なし.口腔清 掃 状 態 は 不 良.PCRは77.3%,BOP(+)72.7%,

PPDは4-6mmが38.6%,7㎜ 以 上5.3%, 平 均

4.08mmであった.上顎前歯部はフレーアウト,残

存歯には著しい咬耗が認められた.また,非喫煙 者で全身的特記事項なし.

【診断】全顎中等度〜一部重度慢性歯周炎

【治療経過】歯周基本治療終了後,17,16,25,26,

27,46,47部にインプラント埋入.45にエムドゲ インによる歯周再生治療,上顎前歯部の小矯正 を行った後補綴処置を行った.

【考察・まとめ】歯周治療後インプラントによる咬 合再構成,矯正治療と包括的な補綴処置により審 美障害も改善することができた.炎症の除去と咬 合のコントロールにより,初診より9年経過した 現在,歯周組織は安定し,当初保存が危ぶまれた 12,24,45もアタッチメントゲインが認められて いる.今後もSPTを継続し経過観察していくこと が重要と考える.

15 .上顎に発生した desmoplastic fibroma1

    三重大学医学部口腔・顎顔面外科学       ○留奥 曜,清水香澄,堀 晃二,

       野村城二  

【緒言】desmoplastic fibromaは紡錘形細胞と豊富 な膠原線維から構成される良性腫瘍で,口腔内に 発生することはまれである.今回,われわれは上 顎に発生した本疾患の1例を経験したので報告し た.

【症例】11歳女児

【主訴】左上3部歯肉腫脹

【既往歴】8歳時アトピー性皮膚炎

【現病歴】左上3部歯肉腫脹に母親が気付き,近総 合病院口腔外科を受診.約9か月間経過観察を 行ったが増大傾向を示したため,当科を紹介され 初診となった.

【現症】口腔内所見:左上3頬側歯肉から歯肉頬移 行部に骨様硬の膨隆を認めた.左上3は,やや口 蓋側に偏位していた.

【画像所見】CT上,左上3部に直径約12㎜大の腫 瘤を認めた.

【臨床診断】上顎骨良性腫瘍

【処置および経過】全身麻酔下に摘出術を施行した.

腫瘍と周囲組織の癒着はなく,剥離は比較的容易 であった.摘出後,周囲骨を削除し,閉鎖創とし た.摘出物は12×14㎜大で類円形,内部は白色で 充実性であった.術後5か月経過した現在再発な く,外来にて経過観察中である.

【病理組織学的所見】紡錘型細胞と帯状の膠原線維 がみられdesmoplastic fibromaと診断した.

【まとめ】われわれは上顎に発生したdesmoplastic fibromaのまれな1例を経験したので文献的考察 を加え報告した.

16 .舌に発生した Solitary Fibrous Tumor1

    市立四日市病院歯科口腔外科

      ○阿部成治,石井 興,山本知由,

       上田 整,藤堂陽子,小牧完二

 Solitary Fibrous Tumor(孤立性線維腫,以下 SFT)は,限局性の間葉系組織由来の腫瘍であり 胸膜に好発する.胸膜以外では実質臓器や軟組織 など様々な発生報告があるが,口腔領域での報告 はまれである.今回,われわれは舌に発生した SFTを経験したのでその概要を報告した.症例は 72歳女性.右側舌縁の腫瘤を主訴に近医耳鼻咽喉 科受診し生検を施行され,SFTの診断で当科加療 依頼あり1か月後に当科初診.初診時右側舌側縁

に直径13㎜の類球形腫瘤を認めた.同月舌腫瘍切

除術施行し,再度病理組織学的検査を行った.摘

出物のHE染色所見では,異型性のない紡錘形細

胞の不規則,不均一な増殖像(patternless pat- tern),厚い膠原線維の介在を認め,免疫組織学的 所見では,CD34,CD99が陽性であった.以上よ り,SFTとの診断を得た.現在術後1年が経過して いるが,経過は良好である.

(8)

17 .口蓋に生じた筋上皮腫の 1

    三重大学医学部口腔・顎顔面外科学       ○福岡 豊,奥村健哉,若林宏紀,

       加藤英治  

【緒言】筋上皮腫は唾液腺の筋上皮細胞由来の腫瘍 で,発生部位は耳下腺が最も多く,小唾液腺に発 生することは比較的まれである.今回われわれは 口蓋に発生した混合型筋上皮腫の1例を経験した ので,その概要を報告した.

【症例】66歳・女性,主訴:口蓋腫瘤.現病歴:初 診10日前に定期健診のため,かかりつけ歯科医院 を受診.右側口蓋の腫瘤を指摘され,当科へ紹介 された.現症:右側硬口蓋から軟口蓋にかけて直 径15mm大の境界明瞭,弾性硬,無痛性でやや赤 みをおびた表面滑沢な腫瘤を認めた. MRI所見:

右 側 口 蓋 部 にT1強 調 像 で 筋 肉 と 同 等 の 信 号,

STIR法で高信号の腫瘤を認めた,

【処置・経過】口蓋良性腫瘍と臨床診断し,腫瘍切 除術を行った.腫瘤は充実性,割面内部は黄白色 であった.病理組織所見:H-E染色像では小唾液 腺に隣接した腫瘤がみられ,腫瘍内部には形質細 胞様細胞や紡錘形細胞が充実性に増殖していた.

免疫染色ではビメンチン,S-100タンパク, MIB-1,

α-SMA,サイトケラチンAE1/AE3,p63染色で 全て陽性を示した.確定診断:混合型筋上皮腫.

術後経過は良好で現在術後1年が経つが再発なく,

外来にて経過観察を行っている.

18 .舌下腺に発生した多形腺腫の 1

    市立伊勢総合病院 歯科口腔外科       ○堀部宏茂,木下靖朗,谷口真一

【緒言】多形腺腫は唾液腺腫瘍の中では,最も発生 頻度の高い良性腫瘍であるが,舌下腺に発生する ことはまれとされている.今回,われわれは舌下 腺に発生した多形腺腫の1例を経験したので報告 した.

【症例の概要】患者は60歳男性.右側口底部の腫 瘤を自覚していたが,約6か月間放置.その後,同 部の腫瘤を指摘され約2週間後に当科に来科した.

右側口底部に直径約2㎝の無痛性で弾性硬の可動 性を有する境界ほぼ明瞭な腫瘤を認めた.所属リ ンパ節の腫脹および圧痛は認めなかった.MRIに て右側口底舌下腺相当部にT1強調画像で低信号,

T2強調画像で軽度低〜高信号を示す19×12㎜の 一部内部不均一で比較的境界明瞭な腫瘤を認めた.

2014年5月中旬に生検を行い多形腺腫と病理組織 診断を得たため,6月中旬に全身麻酔下に右側舌 下腺腫瘍摘出術を施行した.舌下腺の前方部に存 在する腫瘍を舌下腺と共に一塊として摘出した.病 理組織学的には,管腔形成を示す部位や,粘液腫 様や硝子化を伴う間質が存在する部位,上皮細胞 の胞巣状,索状の増殖を示す部位など多彩な様相 を呈し,多形腺腫との診断であった.現在術後6 か月経過しているが再発を認めない.

19 .口腔外科手術の気管チューブの固定法 について

  三重大学医学部口腔・顎顔面外科学1   三重大学医学部臨床麻酔科学2

    ○佐竹真実1, 2,朽名智彦1,川端美湖2,      宮部雅幸2

 全身麻酔下での口腔外科手術において,術野確 保のため経鼻気管挿管が行われる.助手が患者頭 部上に立つ場合,通常の麻酔回路及び固定法では 手術の妨げとなる.今回麻酔回路の選定と,気管 チューブの固定法について考案したので報告した.

通常の麻酔回路と固定法の問題点として,患者の 頭側に助手が立つことができず,麻酔器を患者の 足側に置く場合,回路が1.5mと短い.また患者頭 部を動かすと,接続が外れる可能性がある.これ らを改善するために,コンパクトで長い麻酔回路 を選択し,患者頭部の回旋に伴い,気管チューブ の相対的位置が変わらないよう,麻酔回路を頭部 に固定した.固定には50〜70㎝のストッキネット,

10×10㎝・6×10㎝のレストン,60㎝・50㎝の固 定用テープを用いた.2つ折りにしたストッキネッ トを装着し,ネット内側にレストンを装着する.人 工鼻を頭部正中に装着したレストン上にあて,テー プにて固定し,麻酔回路を側頭部に装着したレス トン上にあて,テープにて固定した.今回の固定

(9)

法にすることで清潔野が広がり,頭部の回旋が容 易になったが,麻酔回路が外れると復帰が困難な ため,頭部回旋時には,術者の配慮が必要である.

20 .進行・再発口腔癌に対する Cetuximab の使用経験

     済生会松阪総合病院 歯科口腔外科        ○佐藤耕一,辻 忠孝

【緒言】当科にてCetuximab (Cmab)を用いた進行,

再発口腔癌の7例につき報告する.

【症例】症例1:78歳女性,上顎歯肉癌(T1N0M0).

上顎部分切除,放射線化学療法後の再発にCmab 単独投与を行った.症例2:69歳男性,左口底癌

(T2N2cM0).Cmab併用放射線療法を行った.症 例3:86歳男性,舌癌(T2N0M0).放射線療法,

舌部分切除後の再発にCmab単独投与を行った.

症例4:69歳女性,左頬粘膜癌(T3N1M0).Cmab 併用放射線療法を行った.症例5:89歳男性,舌 癌(T3N1M0).Cmab単独投与を行った.症例6:

76歳女性,舌癌(T4N1M0).放射線化学療法,舌 部分切除,頚部郭清術後の再発,頚部リンパ節転 移にCmab併用化学療法を行った.症例7:65歳 男性,舌癌(T1N0M0).舌部分切除後の頚部リン パ節転移に頚部郭清,Cmab併用放射線療法を 行った.

【結果】姑息的治療を行った症例1,3,5では間質 性肺炎,声帯浮腫にてCmabの投与を中止した症 例があったが,根治的治療を行った症例では治療 を中止する程の有害事象は認めなかった.

21 .ジオトリフ

錠内服導入時の口腔衛生 管理

   松阪市民病院 歯科口腔外科

     ○宮崎くみ子,中西香織,松山博道,

      吉岡 元,中橋一裕

 平成26年5月より抗悪性腫瘍剤アファチニブマ レイン酸塩(ジオトリフ)導入に当たり,呼吸 器内科,看護部と連携し,口腔衛生管理を行った

ため,その取り組みについて報告する.ジオトリ フは全Gradeにおける口内炎の発現率が72.1%

と高く,初回投与時からの入院パスを運用し,介 入を実施してきた.対象は平成26年5月より当院 呼吸器内科でジオトリフ錠による化学療法を開 始した患者12名で,ジオトリフの主な有害事象 として,口内炎があるため,初回投与前に必ず歯 科受診を行うこととした.口腔内診査については,

看護部と統一し,Grade評価を行い,当院で作成 した専用のリーフレットを用いて指導を行った.

結果口腔内有害事象はGrade2までにとどまった.

初回導入時より口腔衛生管理を行うことで,患者 の不安を取り除き,精神面のfollow upにつなげる ことができる.有害事象に早期に対応することが でき,重篤化を防ぐことができる.以上より周術 期口腔管理を行うことで化学療法の補助療法を担 うことができると考える.

22 .中毒性表皮壊死症( TEN )による口腔 粘膜障害に対し口腔ケア介入を行った 1

   三重大学医学部口腔・顎顔面外科学      ○山本秀美,渡辺恵美子,中村千穂,

      橋本麻衣子,永田 心

 今回我々は中毒性表皮壊死症(TEN)による口 腔粘膜障害に対し口腔ケア介入を行った1例を経 験したので報告した.

【症例】30歳女性

【主訴】口腔粘膜びらん

【既往歴】花粉症,食物アレルギー(タケノコ)

【現病歴】双極性障害にてラミクタール内服開始.

約2週間後感冒様症状出現しPL顆粒,セレスタ ミンを内服.内服数時間後より口唇浮腫,発熱,

呼吸困難感出現したため近病院受診.ステロイド パルス療法を開始し,γ -グロブリン投与を行った が,症状悪化のため約1週間後当院ICU救急搬送.

口腔粘膜に水疱,びらん,紅斑認めており口腔ケ ア目的に当科初診となった.

【処置および経過】当院ICU救急搬送後2日目に当 科初診.ステロイド療法継続下にて口腔ケアを連 日施行した.口腔ケア方法は口腔内外の乾燥が著 明であり蒸留水で疼痛があったため,保湿に生理

(10)

食塩水を使用した.保湿後,タフトブラシにて軟 組織に接触しないよう歯面のみ清掃を行った.口 腔ケア開始日より生理食塩水のシリンジ滴下によ る飲水が可能となった.約1週間後には半流動食 の経口摂取が,約4週間後には常食が摂取でき自 己でのブラッシングも可能となった.その後約9週 間後にステロイド治療終了,約12週間後に退院と なった.

【考察】生理食塩水やタフトブラシを用いたことで 疼痛を最小限に抑え,口腔ケアを実施することが できた.重度の粘膜炎は全身感染症(敗血症)を おこすと言われているが,口腔内細菌由来の感染 症を予防できた.

23 .市立四日市病院歯科口腔外科における 顎顔面骨骨折の臨床統計的検討

     市立四日市病院 歯科口腔外科

       ○上田 整,山本知由,阿部成治,

        藤堂陽子,石井 興,小牧完二

【緒言】市立四日市病院歯科口腔外科は,4人の常 勤と2人の研修医により,約4700人/年の初診患 者を診察し,約330例(手術室)/年の手術症例を 施行している.顎顔面外傷の症例に着目して臨床 統計的検討を行ったので報告した.

【対象】2008年4月から2014年3月までの過去6年 間に当科を受診した顎顔面骨折症例337例に対し,

性別,年齢,受診数推移,来院経路,受傷原因,受 傷部位,治療法について検討し,手術施行症例181 例に対し,症例数推移,受傷時から手術までの日 数,術後入院日数,骨接合システムの違いについ て検討を行った.

【結果】顎顔面骨骨折での受診患者は増加傾向を示 し,それに伴い手術適応症例も増加傾向であった.

当院は急性期病院であることから,「早期の社会復 帰」を理念に診療しており,85%の症例は2週間 以内に手術施行し,大半は術後1週間以内の退院 が図れ,理念通りの統計結果となった.

24 .当科におけるポリグリコール酸シート とフィブリン糊スプレーを用いた被覆法 の臨床統計的検討

    三重大学医学部口腔・顎顔面外科学       ○井上 仁,清水香澄,佐竹真実,

       乾眞登可

【緒言】術後創部に対し,ポリグリコール酸(PGA)

シートとフィブリン糊を併用した症例について統 計学的に検討し報告した.

【対象】三重大学医学部附属病院歯科口腔外科にて 手術を行い,PGAシートおよびフィブリン糊を併 用した前癌病変・悪性腫瘍患者15例.

【方法】性別・年齢,部位,切除面積・深度,非経 口摂取日数,PGAシート付着日数,合併症の有無 等について診療録より調査・検討を行った.

【結果】平均年齢71.9歳.部位は舌7例,頬粘膜3 例,口腔底2例,歯肉1例.切除面積は,500㎜2以 下2例,501〜1000㎜2が2例,1001㎜2〜1500㎜2が5 例,1501㎜2以上が4例,切除深度は,5㎜以下2例,

6〜10㎜が1例,11〜15㎜が7例,16〜20㎜が3例で あった.非経口摂取日数は,平均4.5日,PGAシー ト付着日数は,平均9.1日であった.合併症は術後 出血を2例認めた.切除面積とPGAシート付着日 数に相関がみられたが,術後非経口摂取日数と PGAシート付着日数には相関はなかった.

【まとめ】術後創部に対し,PGAシートとフィブ リン糊を併用した症例について,統計学的に検討 し報告した.

25 .口腔ケアセンター開設

   済生会松阪総合病院 口腔ケアセンター     歯科口腔外科

     ○田中千賀,稲垣奈央子,玉置治奈,

      日浦美和,前川礼子,清水珠緒,

      向出圭子,鈴木康昭,辻 忠孝,

      佐藤耕一

 当口腔ケアセンターは,平成26年4月1日付で 日本口腔ケア学会より認定を受けた.認定条件は,

歯科医師と歯科衛生士が日本口腔ケア学会の認定

(11)

資格を有すること,専門的口腔ケアの質が保たれ ていること,他の診療科や他の職種との連携がと れていること,カンファレンス,勉強会,研修会 が日常的に行われており,学会発表,論文発表が 行われていること,院内の医療者に対して口腔ケ アの実施,啓発が行われていること,口腔ケアに 使用する医療機器や学術図書等が常備されている こと等である.当科は平成19年9月に入院患者を 対象とした口腔ケア活動を開始した.平成19年度 の口腔ケア患者数はわずか50人であったが,平成 25年度には約20倍の1,017人に達した.病院長を はじめとして,看護師,病院事務等の支援と理解 に支えられ,当科の歯科衛生士による口腔ケア活 動は「すっかりと根付いた」といえる.これから は,血栓梗塞性疾患,糖尿病,抗癌剤治療,慢性 腎臓病,妊産婦,誤嚥性肺炎等の外来患者の口腔 ケアにも積極的に取り組んでいきたいと考えてい る.

26 .当院での化学放射線療法実施患者に対 する口腔ケアの臨床統計的検討

   三重大学医学部口腔・顎顔面外科学      ○中村千穂,永田 心,橋本麻衣子,

      野村城二

 当院口腔ケアセンター受診患者の口腔粘膜炎の 程度について臨床統計的検討を行ったので報告し た.

【対象】2013年6月からの1年間に,化学放射線療 法が行われた患者のうち,治療開始前に口腔ケア センターを受診した消化管外科17人,呼吸器内 科・外科14人,乳腺外科11人,耳鼻咽喉・頭頸部 外科28人を対象とした.

【方法】診療録をもとに口腔粘膜炎の程度を評価し,

さらに粘膜炎に影響を与える因子について多変量 解析を行った.

【結果】粘膜炎は消化管外科でグレード(G)0が 15人,G1が2人,呼吸器内科・外科でG0が7人,

G1が4人,G2が3人であった.乳腺外科でG0が 8人,G1が2人,G3が1人,耳鼻咽喉・頭頸部外 科でG0が2人,G1が8人,G2が13人,G3が5人 であった.いずれの科においても,粘膜炎が原因

で抗癌剤の減量や変更を行った例はなかった.多 変量解析の結果,歯周病の状態や抗癌剤の種類等 で有意差がみられ,歯周病が重度であるほど粘膜 炎は悪化し,抗癌剤ではPTX,5FUで粘膜炎が重 症化する傾向が示唆された.

【考察】患者の状態や治療方針によって,口腔ケア の方法について検討していく必要があると思われ た.

27 .術後 10 年以上経過後に再発を認めたエ ナメル上皮腫の 1

    松阪市民病院 歯科口腔外科

      ○吉岡 元,松山博道,中橋一裕

【緒言】エナメル上皮腫は顎骨内に発生し,膨脹性 に緩慢な増殖を示す歯原性腫瘍である.組織学的 には良性腫瘍に分類されているが,再発すること もまれではない.エナメル上皮腫の再発の報告は 散見されるが,初回手術から再発までの期間が10 年以上に及ぶ例は比較的まれである.今回われわ れは,17年経過後の再発症例を経験したため報告 する.

【症例】患者は30歳代,女性.右側下顎小臼歯部 の頬側骨膨隆精査を主訴に当科を紹介受診した.

【処置および経過】下顎腫瘍疑いの臨床診断のもと,

入院全身麻酔下に摘出術施行.病理組織学的診断 は線維増生性エナメル上皮腫であった.2年後,再 発のため摘出術を施行.病理組織学的診断は前回 と同様であった.その15年後,パノラマX線写真 とCTにて再発を疑う所見を認め,入院全身麻酔 下で摘出術を施行した.病理組織学的診断はエナ メル上皮腫(solid/multicystic型)であった.

【考察】エナメル上皮腫は組織学的には良性腫瘍に 分類されているが,再発傾向が高い.再発までの 期間は80%が5年以内といわれているが,自験例 のように10年以上の例も存在するため,長期的な 経過観察が必要である.

(12)

28 .鼻咽腔閉鎖機能不全と顎変形の認めら れた先天性咽頭腫瘍患者の 1

 ―生後5か月から22歳までの長期観察例―

   東京医科歯科大学大学院

      健康支援口腔保健衛生学分野1    同顎顔面外科学分野2

     ◯吉増秀實1,佐藤 豊2,黒原一人2

 頭頸部領域の先天性腫瘍の術後には顎顔面の成 長発育や口腔機能に影響を与えることが予想され る.今回われわれは,右先天性咽頭腫瘍の術後患 者について,生後5か月から22歳まで治療および 経過観察を行ったので報告した.

 患者は生後5か月女児,主訴:先天性咽頭腫瘍 術後の顎変形および言語障害.現病歴:先天性咽 頭腫瘍を伴い出生し,生後すぐにM大学病院にて 腫瘍切除を受けた.その後,父親の転勤のため同病 院から当院を紹介され受診した.家族歴・既往歴に 特記事項なし.現症としては開鼻声,顎変形,咬 合異常が認められ,軟口蓋は左右非対称,右咽頭 部に残存腫瘍と考えられる隆起が認められた.処置 および経過:鼻咽腔閉鎖不全に対しスピーチエイ ドを作製して,言語治療を行った.咬合異常に対 しては矯正治療を行った.咽頭の残存腫瘍は経過 観察としたが,成長後も大きさはほとんど変化な かった.16歳時に言語聴覚士と相談してスピーチエ イドを撤去した.顔面の左右非対称および咬合異 常に対しては,術前矯正治療後20歳時に下顎枝矢 状分割術を施行し,咬合および顔貌の改善が得ら れた.術後の後戻りはみられず22歳時に治療を終 了した.

29 .口腔がん治療を支える口腔ケア

   済生会松阪総合病院 口腔ケアセンタ−

    歯科口腔外科

     ○日浦美和,稲垣奈央子,田中千賀,

      玉置治奈,前川礼子,清水珠緖,

      向出圭子,鈴木康昭,辻 忠孝,

      佐藤耕一.

【緒言】当科にて放射線療法を行い重症の口腔粘膜

炎を呈した2例における口腔ケアにつき報告した.

【症例】症例1:72歳男性,右側軟口蓋癌(T2N0M0).

化学療法(CDDP+5FU)併用放射線療法を行った.

症例2:69歳女性,左頬粘膜癌(T3N1M0).Cmab 併用放射線療法を行った.

【経過】口腔ケアは治療開始と同時に開始し,入院 期間中は継続して行ったが,症例1ではGrade3,

症 例2で はGrade4の 口 腔 粘 膜 炎 を 認 め た.

Grade3以上の口腔粘膜炎では使用する道具や薬

剤を変更し,患者へ細心の配慮を行った.症例1 では口腔粘膜炎の悪化とともに全く経口摂取がで きなくなり,経静脈栄養となった.経静脈栄養期 間中はALB値の低下を認めた.症例2では,口腔 粘膜炎の悪化は認めたが,経口摂取を継続できて いたために,ALB値は良好な値を維持した.

【結果】経口摂取が良好な栄養状態の維持に極めて 重要であった.放射線療法では口腔粘膜炎は避け られないが,口腔粘膜炎を重症化させない,経口 摂取の中断期間を短くする,経口摂取の再開を早 めるために,経口摂取支援を目的とした口腔ケア の大切さが示された.

30 .当科におけるクリーンルーム入室患者 の口腔ケア

       伊勢赤十字病院 歯科口腔外科          ○中村真之介,平野吉雄

 当科ではクリーンルーム入室患者の口腔ケア依 頼が増加してきており,今回その動態を調査した ので報告した.

 平成24年1月から34か月間の入室患者数は109 人,延日数は5403日,性別は男性65人,女性44 人であった.年齢は16〜87歳で平均59.6歳,70歳 代が最も多く50〜70歳代で約70%を占めた.一人 あたりの入室日数は最短2日,最長192日で,90日 以内は91人であった.疾患は悪性リンパ腫が34 人,急性骨髄性白血病が33人で,この2疾患で約 6割を占めた.当科への紹介率は67.9%で,全て血 液・感染症内科からの依頼であった.新規入室患 者の1か月平均は3.2人,当科への紹介割合は増加 傾向にあった.紹介理由は入室前後の口腔ケア依 頼が41人と最も多く,移植前の感染源チェックと

(13)

口腔ケアが21人と続いた.処置内容は歯周病初期 治療が45例と最も多く,口腔衛生指導のみしか行 えなかった患者は15人であった.造血幹細胞移植 患者は33人で,骨髄移植が9人,臍帯血移植が11 人,末梢血自家移植が12人であった.

 今後も他科との連携を深め,クリーンルーム入 室患者の口腔ケアに努めていきたいと考える.

参照

関連したドキュメント

はある程度個人差はあっても、その対象l笑いの発生源にはそれ

肝臓に発生する炎症性偽腫瘍の全てが IgG4 関連疾患 なのだろうか.肝臓には IgG4 関連疾患以外の炎症性偽 腫瘍も発生する.われわれは,肝の炎症性偽腫瘍は

ここから、われわれは、かなり重要な教訓を得ることができる。いろいろと細かな議論を

しかしながら生細胞内ではDNAがたえず慢然と合成

これは基礎論的研究に端を発しつつ、計算機科学寄りの論理学の中で発展してきたもので ある。広義の構成主義者は、哲学思想や基礎論的な立場に縛られず、それどころかいわゆ

自発的な文の生成の場合には、何らかの方法で numeration formation が 行われて、Lexicon の中の語彙から numeration

彼らの九十パーセントが日本で生まれ育った二世三世であるということである︒このように長期間にわたって外国に

第三に﹁文学的ファシズム﹂についてである︒これはディー