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Resonance Phenomena of a String Driven by a Permanent 磁石と交流電流による弦の共振現象II

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Academic year: 2021

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(1)

Bulletin of Faculty of Education,Nagasaki Unlversity:Curriculum an(i Teaching1990,No.15,1−9 1

磁石と交流電流による弦の共振現象II

磁石の位置による弦の振幅の大きさへの影響 福山  豊*・阿比留慎一**

(平成2年2月28日受理)

Resonance Phenomena of a String Driven by a Permanent       Magnet and an Alternating Current II

Yutaka FUKUYAMA,Shin−ichi ABIRU

(Rece三ved,February28,1990〉

1.はじめに

 著者らはすでに両端を固定した弦の強制振動に関する一般的な関係式を求め1)(以後こ れを論文1と呼ぶ),これらの振動の特徴を視覚化するために,コンピューターによるシ

ミュレーションをおこなった2・3)。この論文では,論文1でとりあつかった両端を固定した 弦の共振の特徴をさらによく理解するために,次ぎの2つの問いに関する考察を試みたも のである。第1は,共振を生じさせるとき弦に加える振動の振幅Aを同じにしてもその振 動源の位置によって励起された振動の振幅の大きさが異なるのはどうしてか。第2は,

色々な振動数の共振のモードのうち,振動源の位置がモードの節の位置と同じてあるとそ のモードが励起されないのはどういう理由によるのか。これらの問いを波の基本的な性質 によって理解するために弦の振動を多重波を用いて表示した。さらに,これらの振動の様 子を理解しやすくするために,コンピューターによるシミュレーションをおこなった。

2.両端を固定した弦の振動

 まず論文1の多重波の方法の簡単な復習から始める。両端を固定端とした長さ/の弦の 一端をκ座標の原点0とし,他端を!とする。また,U型磁石は原点から4の距離離れた 点に置かれているものとする。このとき弦の両端に交流電流を流したとき座標xの位置で の弦の振動の様子を調べることにする。U型磁石の位置4に生じる振動は,時刻を渉,振 幅をA,角振動数を(oとすると。4sin碗と表される。この振動は両端に向かって速さ∂

で伝わる波を生じる。

 このとき弦に生じる波動の基本的性質は,改めて箇条書きにすると次の3つにまとめる ことができる。

*長崎大学教育学部物理学教室,**長崎市立淵中学校

(2)

2

長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第15号

(1)弦の波は正弦波として伝播する。(しかし,振幅は指数関数的に減衰する,A6一αS=α;

  減衰係数,s;伝播距離)

(2)両端(固定端)での反射は位相がπ変化する。

(3)弦の変位はすべての反射波の重ね合わせで表現できる。

 以上のことがらから,弦の波に関する変位の理論式を導くために,次のように冗が4よ り小さい(左側)場合と,πがゴより大きい(右側)場合とに分けて別々に考察する。

A。0<劣≦ゴの場合

 時刻渉における弦のxの位置の変位yA(x,渉〉は,U型磁石の位置ゴで生じて右側へ伝播 する波yA〆π,!)と左側へ伝播する波ジL(x,のとの重ね合わせ

   』yA(x,y)=yAR(x,オ)十yAL(%,!)       (1)

で記述できる。

 右側へ伝播する波と左側へ伝播する波は,それぞれ,

   ぬ(冗,渉)一z4θ一α(2 一κ一d)sin〔ω{卜(2!一x一ゴ)/∂}+π〕

       +ノ46一α(2 +κ一d)sin〔ω{渉一(2/+π一ゴ)/∂}+2π〕

       +z4〆(4 d)sin〔ω{渉一(4!一x−4)/∂}+3π〕       (2)

       +。4ε一α(4 +κ一4)sin〔ω{オー(4/+π一4)/の+4π〕

       十。・…      9

   残(π,!)㍉4〆(d一κ)sin〔ω{!一(4−X)/∂}〕

       +。4θ一α(d+κ)sin〔ω{卜(ゴ+X)/∂}+π〕

       +z4〆(24+d『x)sin〔の{渉一(2/+ゴー冗)/∂}+2π/       (3)

       +。4〆(24+4+x)sin〔ω{ガー(2!+4+x)/∂}+3π〕

       十・…   。 で表される。

B.4≦冗≦4の場合

 冗の位置がU型磁石の位置4より右側にある場合も同様に考察できる。時刻渉のとき冗 の位置での弦の変位yB(%,!〉は,4の位置から右側へ伝播する波ず〆冗,渉)と左側へ伝播す る波yβL(劣,渉)の重ね合わせ

   yB(冗,渉)一yβR(π,渉)+yβL(x,渉)      (4)

で記述できる。

 右側へ伝播する波と左側へ伝播する波は,それぞれ,

   』yβ1〜(X,渉);!46一α(x−d)sin〔ω{!一(π一4)/Zノ}1

       +∠4〆(2 一x−4)sin〔の{!一(2/一x−4)/∂}+π〕

       十/1ε一α(2 +x一ゴ)sin〔の{渉一(2/十κ一4)/∂}十2π〕      (5)

       +z4〆(4 一x−4)sin〔の{渉一(4!一劣一ゴ)/∂}+3π〕

       十・・。。・    ,

   yβL(冗,渉)一。4θ一礁+d)sin〔ω{渉一(劣+ゴ)/∂}+π〕

       十ノ4ε一α(24−x+ゴ)sin〔ω{渉一(2/一%十4)/zノ}十2π〕

       +。4〆(2 +x+d)sin@{渉一(2/+劣+ゴ)/∂}+3π〕       (6)

       +。4〆(4 一κ+d)sin〔の{渉一(4/一π+4)/∂}+4π〕

       十。・・。・

(3)

福山・阿比留:磁石と交流電流による弦の共振現象II

3

で表される。

3.共振時振幅に関する磁石の位置依存性

 共振時における弦の振幅は,磁石で4の位置をAの振幅で振動させても,%をn番目の モードとし,ん.をηπ//で表すと,。4sin彦.ゴに比例することが導かれる2・3)。交流電流と磁 石によってどの位置にも一様に振幅且で振動させているにもかかわらず,この磁石の位置 4によって弦が異なった大きさの振幅で振動するのはなぜだろうか。この疑問に対して1 つの解決を与えるために,今回は(2),(3),(5)と(6)式をそれぞれ計算してみる。どの式も右 へ伝播する波と左へ伝播する波との多くの波の重ね合わせとなるので,どれも定常波を表

していると考えられる。これらを数式で表すと,劣がゴより小さい場合には       cosh2α冗一cos2左究

  yA区x,渉)=一z46一雄一4)

      cosh2α/一cos2ん/

      ×sin{ω!一々(2/一ゴ)一φ+φ(x)},      (7)

』yAL(x,オ)=且εα(4−d)

cosh2 z/一cos2ん/

×sin{碗一耀一φ+φ(冗)},

cosh2α冗一cos2んκ

︵8︶

(0<π≦ゴ),

となる。

 また,冗が4より大きいときには

yBR(x,渉)一Aεαd C・sh2α/一冗一c・s2h!一%

cosh2α/一cos2乃!

×sin{ωオーん(/一〇〜)一φ十φ(/一劣)},

︵9︶

yβL(x,!)一一A6一αd C・sh2α/一劣一c・s2鯉一x   cosh2ζz!一cos2h!

×sin{ωオー々(/+ 1)一φ+φ(/一冗)},

︵10︶

(4<π≦/),

と表すことができる。

ただし,位相を表すφとφ(κ)は,それぞれ,

       ε一2磁sin2泥/

       tanφニ1_2−2α4c。s2ん/・

q1︶

       c・sφ(X)一鎌・

       (12)

       sinφ(X)一愚

で決定される。(12)式のXには冗と!一κを代入するものとする。

 (7)式と(9)式は,磁石の位置で生じ右へ伝播していく波が両端で反射されて多重波となり,

その結果としての定常波を表している。同様に,(8)式と⑩式は,左へ伝播していく波によ

る定常波を表している。これらの定常波の振幅は,減衰係数αが通常十分小さいために,磁

(4)

4  :w i; ‑ =F   ' F :  f t "   15 = 

[ (* N= I   

(a) 

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(5)

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(C) 

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l I (c) d = 12cm, 

8  ‑‑  

(d) d = 15cm 

(6)

6

長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第15号

石の位置4がどのような値であれ,どちらの場合もほとんど同じ大きさとなる。磁石の位置 4の違いは振動の位相の違いとして現れると考えられる。

4.磁石の位置を変化されたときの弦の振動のシミュレーション

 磁石の位置4を変化されたときの振動の様子を調べるためには,右へ伝播する波と左へ 伝播する波のそれぞれの位相を計算しなければならないが,位相が弦の長さ/と磁石の位 相ゴのほかに弦の座標劣にも依存しており,簡単な形には表せない。しかし,共振の場合 は,(7)〜⑩式の分母が最小になるときであり,第1近似では第nモードはh./一欄(%=1,

2,… )で表される。その結果,(7)式と(8)式との位相差と(9)式と(1①式の位相差とはどちら も同じであり,左へ伝播した波による定常波の位相に比べて右へ伝播した波による定常波 の位相はπ一2屠だけ遅れることとなり,4の値によって決定されることがわかる。

 そこでこれらの数式の理解を深めるために,弦が共振する振動の様子をコンピュー ター・シミュレーションによって視覚的に表現することにした。図1の(a)〜(d)には,弦の 長さを30cmとし,磁石の位置4が,それぞれ,6cm,9cm,12cmと15cmのときの第1モード

(λ=2/,た=πμ)によって表される共振を振動の周期の1/8ごとに系列(1〜8)で表し た。ただし,減衰係数αを0.005cm−1として,各図の右と左の系列は,振動源の磁石の位置 から右側へ伝播する波と左側へ伝播する波とを区別して表している。図1(a)〜(d)の左の系 列に対する右の系列の位相の遅れは,それぞれ,3π/5,2π/5,π/5とoとなっていること が図からも見て取れる。

 弦の振動は,図1における右と左の二つの定常波の重ね合わせによって成り立っている

D=6 N冒 1

(a)

D gN

(b)

3

7

3 7\

4 4 8

D= 12N二 1

(c)

D=15N=     (d)

2 6 2 6

3 3

4

4 8

図2 図1の右と左の定常波の合成振動,(a)4=6cm,(b)4二9cm,(c)4=12cm,(d)4=15cm

(7)

福山・阿比留:磁石と交流電流による弦の共振現象II

7

と考えることができる。図2の(a)〜(d)に,両 者の合成波の様子を示した。磁石の位置ゴの        1 値の違いによって,弦の振動の振幅の大きさ が異なることがわかる。すなわち,位相差が 大きければ2つの定常波の合成波は小さな振        2門 幅を生じ,位相差が小さくなればこの合成波

は2倍の振幅になることがわかる。これらの   _.一一一一一『 一一『一〜一_、...

      ドかワ       ぎユ

ことがらから,弦を同じ大きさAで強制振動  マ      _        3、こ…一___   _,_一

させても,磁石の位置によって振幅の大きさ       一一一一一

が異なるということは,磁石の位置から右へ   /づニコー一  諏x

       

伝播する波による定常波と左へ伝播する波に  .妬.      .

よる定常波が,両者の振幅はほぼ同じ大きさ4、、_〜_,,_アク

であるが,両者の位相が磁石の位置に依存す    ,,一一一     、一一.._

      r一 一      一、

      ロくごンザ      じト

るずれを起こすので,その重ね合わせによっ 藻、

て現される弦の振動獣小の振幅を生じるた『、x_ __ノ

めと解釈することができる。

       図3 弦の基準振動の定常波.1〜5の4の値  これから求まる弦の実際の振動の様子を図

       は上から3cm,6cm,9cm,12cmと15cm 3(1〜5)に描かせた。上から磁石の位置

4の値は,それぞれ3cm,6cm,9cm,12cmと15cmとした。

 次に,高次のモードの場合を考えよう。ここでも1次のモードと同じ議論を展開するこ とができるが,ここではモードの節の位置に相当するところに,磁石の位置をおいた場合 にモードが励起されない(振動が大きくならない)のはなぜかを考察する。弦の振動でも 弦の一方を滑車に吊るし,他方を音叉などで振動させると,弦の長さが弦を伝わる波の半 波長の整数倍のときは大きな振動を生じる。この共振のときは振動源である音叉の位置は ちょうど節の位置になっている。このときは振動源の位置がモードの節であるのに励起す るのに,両端が固定端の弦の途中のモードの節の位置を振動源としたときはどうして励起 されないのだろうか。このことを1次のモードの場合と同様に議論を行うことができる。

図4には2次のモード(λ=/,h−2π//〉のときの定常波の腹の位置4=7.5cmと節の位 置4=15cmの場合の右と左への伝播する波の定常波を表した。ゴ=7.5cmの場合は両者の位 相が一致し大きな振動を形成するが,ゴ=15cmの場合は両者の位相がちょうどπだけ異 なっているため,両方の定常波を合成すると大きな振動となりえないことがわかる(図 5)。この場合も,磁石の位置4を変化させたときの弦の振動の様子を図6(1〜5)に描 かせてみた。上からゴ=5cm,7.5cm,10cm,12.5cmと15cmとした。

5.おわりに

 弦の1端を固定端とし,他端を電磁音叉で振動させたときの共振時の振幅の大きさは,

振動源による影響を考えると,電磁音叉による振動の振幅の大きさで決定する。他方,両

端を固定端とした弦の共振時の振幅の大きさは,振動源として磁石と交流電流を流した弦

による振動の大きさだけではなく,磁石の位置にも依存する。電磁音叉による共振は振動

源の電磁音叉が常に振動モードの節となっているが,両端を固定した弦では振動源の位置

(8)

  l  *   t  

15  

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D= 7.S N= 2 

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(9)

福山・阿比留:磁石と交流電流による弦の共振現象II

9

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(a)

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(b)

1

4 一一7 5

図5 図4の右と左の定常波の合成振動

  (a)ol=7.5cm, (b)4=15cm

図6 第2モードの弦の定常波.1〜5   の4の値は上から5cm,7.5cm,10   cm, 12.5cmと!5cm

が振動のモード節にあたるような振動モードは励起することができない。これらの違いを 理解するために多重波の手法により考察をおこなった。前者の共振の場合は,1端からの

1方への波動の伝播のみを考察すればいいのに対して,後者の場合は振動源としての磁石 の位置から両方への波動の伝播を考察しなければならい。そのため後者の弦に生じる共振 の定常波の振幅は,右への伝播によって生じる定常波と左への伝播によって生じる定常波 とが,振幅はほぼ同じで位相の異なる振動としてどのように重なるかによって決定する。

 ところで,最後に次のことを指摘しておく。図2と図5とから見て取れるように,振動 源としての磁石がどのような位置にあったとしても,その定常波の振幅が0となる時刻と 最大になる時刻はどの場合も同じになる。すなわち,定常波の振動は減衰係数αが十分小さ いときは磁石の位置ゴにほとんど無関係であることは共振時の興味のあることがらであ り,バイオリンの振動を共振の重ね合わせとして考察できる可能性を示唆しているように

思、われる。

参考文献

1)福山 豊:長崎大教育自然研報 40(1989)13.

2)福山 豊・森田まゆみ:長崎大教育科教育研報 13(1989〉35.

3)福山 豊・森田まゆみ:物理教育 37−3(1989)200.

参照

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