博士学位論文内容の要旨
氏 名 針生
ハ リ ウ正嗣
マ サ ツ グ所 属 人間健康科学研究科 人間健康科学専攻 学 位 の 種 類 博士(放射線学)
学 位 記 番 号 健博 第
149号 学位授与の日付 平成
30年
3月
25日 課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当
学 位 論 文 題 名 ポータル画像の画質改善のための減算・再投影処理の実用性に関す
る研究論 文 審 査 委 員 主査 教 授 齋藤 秀敏 委員 准教授 明上山 温
委員 教 授 阿部 慎司
(茨城県立医療大学
)【論文の内容の要旨】
画像誘導放射線治療(image guided radiation therapy; IGRT)は,治療計画時に取得される 基準画像と照射時に取得される照合画像を照合し,患者位置の変位を修正する照射技術で ある。その一つに,リニアックの
Megavoltage(MV)X線と
Electronic portal imaging device(EPID)により取得されるポータル画像を照合画像として用いる方法がある。
IGRTでは画 像上の骨構造,臓器輪郭および金マーカ等を用いるため照合画像の良好な画質が求められ る。しかし,ポータル画像の画質は,人体から
EPIDへ入射するコンプトン散乱光子により 低画質となる。
よって本研究では,ポータル画像の画質改善のため,Monte Carlo(MC)シミュレーショ ンを介した減算・再投影処理という新たな画像処理アルゴリズムを提案し,その有用性を 評価した。また,
graphics processing units(GPU)による超並列計算により,MCシミュレー ションおよび提案したアルゴリズムを高速化させ,その実用性について調査した。
提案したアルゴリズムは減算,再投影の二段階処理とした。まず患者データを用いた光
子輸送
MCシミュレーションにより
EPID入射光子を詳細にサンプルし,散乱光子による
EPIDシグナルを除去する減算処理を行った。その後,散乱光子を一次光子として
EPIDへ
入射させ,再投影光子によるシグナルを強調/抑制させる
weight factor wを調整することに
より,
EPIDシグナルを強調する再投影処理を行った。この処理では,
EPIDへ入射した光子
のシンチレータ層における吸収線量を計算に用いるプロセスがある。しかし,
MCシミュレ
ーションによる
EPID内の電子の追跡は長時間を要する。よって
EPIDに入射した1光子に
よるシンチレータ層の線量広がり関数を取得し,開発コードに実装することで減算・再投
影処理を効率化した。その後,胸部ファントムのポータル画像に対して本処理を適用し,
博士学位論文内容の要旨
その有用性を評価した。その結果,ヒストリー数
1.5×1010,
w =1.0のパラメータ設定により,
減算処理のみでコントラストが改善し,さらに再投影処理により
SNRを保持しつつ画像コ ントラストの強調が達成されることを明らかにした。しかし,この画像処理には少なくと も
6時間を要した。
MC