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第27回講演会

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Academic year: 2021

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北海道医療大学学術リポジトリ

第27回講演会

著者 北海道医療大学歯学会

雑誌名 北海道医療大学歯学雑誌

巻 28

号 1

発行年 2009‑06‑30

URL http://id.nii.ac.jp/1145/00006246/

(2)

【要旨】

最近の メタボ という流行語により,体にとって脂 質は悪役だという認識が世に過度に流布しているが,一 方で,脂質摂取不良により種々の疾病が惹起されること も専門的には周知である.しかし,その細胞・分子レベ ルでの作用機構についての研究は,蛋白質が標的の疾患 の研究に較べれば大きく遅れていたことも確かである.

また,細胞についての私達の認識は電顕による生体膜の 二重線像の発見により飛躍的に進展したのだが,その二 重線は膜構成の脂質による像であることが,膜蛋白質の 研究の隆盛さに隠れてしまって忘れがちなことも事実で あり,元来,電顕形態学者として研究の道に入った私に は若干の慙愧さを感じるものであった.脂質とその構成 要素の脂肪酸それら自体を研究対象にするには研究技法 的に蛋白質に較べて不利な点が多々あるが,それらの生 成制御分子(蛋白質)を研究標的にすることによってそ の不利さを避けて,脂質の生体における重要性の細胞・

分子レベルでの研究を私はこれまで暫し遂行してきた.

その研究結果の一旦を,研究対象分子の中から,セカン ドメッセンジャーとして有名なジアシルグリセロール

(DAG)を代謝するDAGキナーゼ,および,脂肪酸の細 胞内取り込み後の細胞内移動等に関与することが充分予 想される脂肪酸結合蛋白(FABP)の2者に絞り,披露 してご批判を仰ぎたい.

DAGキナーゼに関しては,当時( 90)先行していた 札幌医大加納先生が世界で最初に分子同定したα型アイ ソザイムが,脳でシグナル伝達に主役と一般に考えられ るニューロンではなくてオリゴデンドロサイトに発現局 在することを形態学者として免疫組織化学的に見出した のがこの研究のスタートであった.その後,4種のアイソ

ザイムの分子同定をし,それらが脳内部位的にも細胞内 でも各々特異局在を示すことを見出し,各々の分子の機 能追及への重要な糸口を世に提示することが出来た.現 在は,各分子の遺伝子欠損マウスの表現型解析などを世 界のいくつかの研究室と競争進行中である.

FABPについては,最初に同定された組織部位の名を 冠して腸型,肝臓型,心臓型のアイソフォームが当時

( 90)既に知られており,私は,各々の最初の組織だけ に限局するのではなく比較的広く発現局在することを,

免疫・遺伝子組織化学的に報告していた.しかし,既知 のアイソフォームのどれも脳に強くは局在しなかったの で,脳型アイソフォームの存在を信じてその同定に挑戦 し,塩基配列決定とその国内学会報告をしたが,完成・

欧文誌発表で欧米に後塵を拝した.次いで脳型と表皮型 の遺伝子欠損マウスを作製して表現型解析に進んだ.そ の結果,表皮型については,正常での角化細胞局在とそ の欠損マウスで表皮水分バリアー制御の乱れの惹起,お よび,正常での脾樹状細胞特異発現とその欠損で同細胞 からのIL2分泌亢進を見出した.脳型では,正常胎児期 脳の胚芽細胞層での強力発現と生後脳アストロサイト

(脳全体で弱陽性で扁桃体で中程度陽性)での局在,そ の欠損マウスでの顕著な不安亢進およびプレパルス抑制 の減弱と驚愕反応潜時の短縮(統合失調症の生物学的マ ーカー)を見出し,更にヒト統合失調症脳でのこの分子 の発現異常も検出し,この欠損マウスが統合失調症の動 物モデルになる可能性が高いことが判明した.

本研究により,脂質ないし脂肪酸が我々の体の恒常性 維持に非常に重要であることの分子生物学的支持の一助 が得られたと考える.

[学会記録]

北海道医療大学歯学会第2 7回 講演会

「脂質・脂肪酸の身体機能制御での重要さについての細胞生物学的研究」

東北文化学園大学(東北大学名誉教授)

近藤 尚武 教授

(55)

/【K:】Server/歯学雑誌/第28巻1号   4C150 1C133/本文/055     学会記録  2009.07.24 08.42.09  Page 55 

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