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(1)

Report

TTC

一 般社団法人 情報通信技術委員会

2012・JANUARY Vol.26/No.4

The Telecommunication Technology Committee

No.

4

一般社団法人

情報通信技術委員会

THE TELECOMMUNICATION TECNOLOGY COMMITTEE

〒105-0011 東京都港区芝公園1丁目1-12 芝公園電気ビル

TEL.03-3432-1551(代表)

FAX.03-3432-1553

最寄駅

都営三田線御成門駅A2出口(徒歩3分)

都営浅草線大門駅、都営大江戸線大門駅A6出口(徒歩10分)

JR浜松町駅北口(徒歩15分)

TTC案内図

T T C R e p o r t 2 0 1 2 ・ J A N U A R Y V o l ・ 2 6 / N o ・ 4

The T

elecommunication T

echnology Committee

(2)

[TTC Report ]121 2012・JANUARY Vol.26/No.4 平成24年1月20日発行  無断転載厳禁

CONTENTS

Report

TTC

2012・JANUARY Vol.26/No.4

The Telecommunication Technology Committee

新年のご挨拶

1

TTCに寄せて

TTC会長表彰を受賞して

3

TTC大使から新年のご挨拶

5

TTC会長表彰を受賞して

8

ご挨拶

企画戦略委員会委員就任にあたって

12

企画戦略委員会委員就任にあたって

13

特集

専門委員会の活動紹介(第3回)

14

TTC主催会合報告

第83回標準化会議

22

■メディア符号化専門委員会標準制定状況

23

「電気自動車開発技術展2011」および「クリーン発電&スマートグリッドフェア2011」について

25

第148回、第149回理事会 入会会員の紹介

27

会合報告

第16回GSC会合

28

第22回CJK UNIoT-WG会合報告

37

ASTAP-19会合・第2回WTSA2012準備会合

39

APT研修 (TRAINING COURSE IN JAPAN) 開催

45

Malaysian Technical Standards Forum BHD(MTSFB)とのMoU締結と第1回セミナ開催

49

アジア・太平洋電気通信共同体(APT)第12回総会

52

ETSIの第2回M2M ワークショップ概観

55

3GPP2 成都SC/OP 会合参加報告

62

3GPP パリPCG#27/OP#26会合

66

ITU-T SG11会合報告

69

ITU-T SG13会合(ジュネーブ)報告

73

TTCひろば

OBシリーズ 第16回

78

1.TTCドキュメント販売の種類

TTCでは、以下4種類のドキュメントを販売しております。 ・TTC標準  ・TTC仕様書  ・TTC技術レポート  ・TTC独自の標準(JJ−)等の英文訳版

2.販売形態

TTCのドキュメントの販売形態には、電子ファイル(PDF)版および製本版の2種類があります。

電子ファイル(PDF)版

TTCの会員としてご登録いただいていない方に対して、「ドキュメント単位」 と「年間契約」 の2種類の購入形態があります。

(1) ドキュメント単位のご購入

  お申込をいただきますと、お申込いただいたドキュメントのPDFファイルをダウンロードするための   ID&パスワードを提供いたします。   ID&パスワードの有効期間は一週間 です。その有効期間内にダウンロードいただけます。

(2) 年間契約によるご購入

  年間契約をお申込いただきますと、TTCホームページ内ドキュメントデータベースからドキュメントをダウンロードするための   ID&パスワードを提供いたします。価格は59,000円(税込み)。ID&パスワードの有効期間は発行後1年間です。 (ご注意) 1. 2004年度より、TTCの会員様にはTTCホームページ内ドキュメントデータベースから無料ダウンロードできるID&パスワードを 配布しております。ID&パスワードにつきましては、各社のTTC窓口担当様にご確認ください。 2. TTCホームページ内ドキュメントデータベースのダウンロード表示のあるドキュメントのみがダウンロード可能です。

製本版

TTCの会員様およびTTC会員以外の方に対して、個々のドキュメントごとに販売しています。 製本版は、今後とも有償での販売となります。 ドキュメントの価格は、TTCホームページ内ドキュメントデータベースをご覧ください。 (ご注意) フリーダウンロード可能なドキュメントの製本版販売は行っておりません。

3.ご購入方法

ホームページより承っております。詳細はTTCホームページ トップページ→出版物のご案内をご覧ください。 URL:http://www.ttc.or.jp/

4.お問い合わせ

一般社団法人 情報通信技術委員会(TTC) 販売担当

TEL: 03-3432-1551(代表)/FAX: 03-3432-1553/E-mail: [email protected]

TTC会員以外の方に対するTTCドキュメント無償ダウンロード試行のお知らせ

TTCドキュメント販売のご案内

TTC標準のより一層の普及拡大を目的とし、TTC会員以外の方にもTTCドキュメントの電子ファイル(PDF)を無償で

ダウンロードいただけるよう計画しており,無償ダウンロードの試行を以下の期間で行っております。

無償ダウンロード試行期間: 2011年10月3日(月)午後1時から2012年3月23日(金)午後1時まで

無償ダウンロードの方法については、TTCホームページ(http://www.ttc.or.jp/)をご覧ください。

試行期間後の無償ダウンロード実施継続の有無については、試行期間終了時にTTCホームページにてお知らせする予定です。

The T

elecommunication T

echnology Committee

 (株)国際電気通信基礎技術研究所  代表取締役社長 平田康夫 表紙絵: 「国立国会図書館関西館」 600万冊にのぼる膨大な図書館資料の収納能力を 有し、高度情報化社会に対応した図書館サービス 提供の拠点。隣接する弊社ATRの構内からスケッチ する。

(3)

平成24年(西暦2012年)の新年を迎えるにあたりま してご挨拶を申し上げます。 昨年3月11日の東日本大震災により被災された皆さ まには心よりお見舞い申し上げます。復旧から復興に 向け、TTCでは、日々の節電や多方面の義捐・支援 活動だけではなく、電気通信インフラの災害対策や高 信頼化に向けた標準化での議論を通じて、一日も早い 日本復興に貢献できるように心がけていきたいと、新 年の想いを新たにしております。 本年は「辰年」。あたかも龍が天に向かい上昇して 行くかのごとく、大震災などの不遇な時があろうとも、 また立ち上がり、上へ上へと上昇しようと努力をすれ ば、必ず報われる年となってくれるよう祈っています。 この年頭にあたり、昨年を振り返り、TTCとして の新たな課題目標を確認したいと思います。 世界規模の金融不安、円高の影響で、日本の政治、 経済状況はまだまだ厳しい状況が続き、グローバルな ビジネスでの競争はますます激しくなっています。中 国やインドの将来の大きな市場の可能性を背景にした 国際社会での発言権の高まり、国連を通じた開発途上 国からの標準化格差是正に向けた先進国への支援要望 の高まり、気候変動やスマートグリッド・スマートコ ミュニティ時代におけるユーザ視点と環境を意識した 通信(ICT)の新しい役割への期待の拡大、大手ベン ダによる通信キャリアのグローバル市場の寡占化の進 展など、世界は明らかに新しい枠組みに向かって動き つつあります。 この新しい動きを捕らえるため、TTCでは昨年4 月に、業際イノベーション本部(I3C)を設置し、スマー トグリッドとスマートカーに関するアドバイザリーグ ループと連携し、業界横断による新事業創造に寄与で きる新しい標準化課題に取り組んできました。今年 は、その普及推進をM2M(Machine to Machine)や

IoT(Internet of Things)、 さ ら にITS(Intelligent Transport System)の課題についての具体化を図っ ていく年になると考えております。 TTCは、 平 成20年12月 に 施 行 さ れ た 新 公 益 法 人 制度に基づき、一般社団法人への移行認可申請を行 い、昨年4月1日に「一般社団法人情報通信技術委 員会」(英文名は従来通り:The Telecommunication Technology Committee)となりました。引き続き、 情報通信ネットワークに係る標準を制定することによ り、情報通信分野における標準化に貢献するととも に、その普及を図ることを目的に事業展開を行います。 TTCは四半世紀の歴史を持つ組織ですが、世の中が 常に進化を続ける中、グローバルビジネス戦略上、標 準化の重要性はこれまで以上に高まってくると考えて います。 グローバル展開の機会を拡大するために、TTCは 昨年、ITUとCJK(中国、日本、韓国)との標準化連 携の枠組みを確立しました。また、インド、マレーシア、 タイとの標準化協調関係の確立やインドネシア、フィ リピン、マレーシアへの標準化普及推進活動の展開を 積極的に図り、アジア主要国と連携した展開の基盤が 出来つつあると認識しています。 TTCの本来の標準化作業に関しては、昨年2月の 総務省の情報通信審議会及び5月の電気通信システ ム委員会の決定により、ITU-Tへの標準化アップス トリーム活動について、TTCの専門委員会を活用す る方針が出され、TTCは、ITU-TのSG3(料金制度)、 SG9(CATV)、TSAG(作業方法)を除く全てのSG の寄書や対処方針の検討を行うことになりました。こ れに伴い、3つの専門委員会と2つのアドバイザリー グループを新設し、その結果、TTC会員の増加にも 効果がありました。今後は、専門委員会での活動を中 心に、ITU-Tでの標準化結果を踏まえ、他のデジュー

新年のご挨拶

一般社団法人情報通信技術委員会 専務理事 

前田 洋一

(4)

TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 ルやデファクトの標準化組織との一層の連携強化を図 り、タイムリーな国内標準策定への反映を図ることが 重要となると考えます。 近年の厳しい経済状況の中、TTCでは平成18年度 以降、事業運営基盤の強化・安定化策について検討を 行い、大胆な経費削減を行うなど改善の取組みを進め てきましたが、今後は、より積極的な標準化活動に必 要な資源を確保できるよう、会員数、専門委員会登録 者数の増加を目指し、TTC事業の拡大及び財務の健 全化に向け、これまで以上に会員の皆様と事務局が一 体となって取組んで行きたいと思います。 TTC活動の「見える化」を促進するために、セミ ナの開催などによる情報発信の活性化を図ると共に、 TTCのホームページ(http://www.ttc.or.jp/)の充実 化を図ります。昨年から開始した「マエダブログ」も 継続し、ライブな標準化動向を元にした情報発信を 図っていきたいと考えております。 日本はやはり、ナンバーワンを目指す技術開発力を 糧に、国際標準化活動を通じ仲間を作り、世の中の情 報を的確にとらえ、浮き沈みの激しい時代の中で、「龍 の如く」上昇気流に乗って行く機会を見出さなけれ ばなりません。「日本の復興を支える昇龍」のために、 一つ一つの仕事を磨き、積み上げて行くことを今年の TTCの活動方針にしていきたいと思います。 標準化の推進と普及活動を通じて我が国の競争力の 向上に貢献できるよう、微力ではございますが最善を 尽くす所存でございます。何卒ご支援ご鞭撻を賜りま すよう、本年もどうぞよろしくお願いいたします。 シベリア上空で「龍を発見」 シベリア上空の飛行機から日の出を拝む 1,2,3

(5)

◉TTCに寄せて はじめに 2011年6月に「情報通信技術賞 TTC会長表彰」を受 賞することができ、大変光栄に思います。今回この栄 誉ある賞をいただけましたのは、標準化を推進して来 た諸先輩方のご支援、ご指導をはじめとしてともに標 準化活動を協力して行って来た皆様のご尽力の賜物で あると感じております。ここに深く感謝申し上げます。 標準化に関わる時間が長くなるにつれて、自分の力 不足を多いに感じている所ではありますが、表彰いた だけました事をきっかけにこれまでの経験をすこし紙 面をお借りして述べさせて頂ければと思います。 1.EtherOver OTN 最初に標準化活動に参加する事になったのは、NICT が事務局となって立ち上がった「けいはんな情報通信 オープンラボ協議会」の中の「相互接続性検証ワー キンググループ」に私も参加して活動を開始したころ になります。このワーキンググループの中の1プロ ジェクトで、10GbpsのEthernetをOTN(G.709 Optical Transport Network)で伝送する規格の相互接続性を 中心に参加組織の方々で議論が行われてきました。当 時10Gbpsのイーサネットは広く使われ始めており、長 距離伝送の需要が増加する状況にあったと言えます。 10Gbpsのイーサネットの規格にはLan用の物理規格 (LAN-PHY)とSDHやOTNといった伝送規格に収容 できるようにビットレートを落としたWan用の物理規 格(WAN-PHY)が規定されていましたが、 1)LAN-PHYからWAN-PHYへ変換する所でビット レートが落ちる。(スループット低下やパケット ロスに繋がる。) 2)LAN-PHYは広く出回り低価格化が進んでいまし たがWAN-PHYは高価でした。 などの利用上の不便が生じるためLAN-PHYをそのま ま長距離伝送することがユーザの要求として少なから ず存在していました。イーサフレームの有効パケット のみを取り出して伝送する方式もありましたが、装置 間の信号透過性を考慮するとLAN-PHYをそのまま透 過的に伝送する方式が望まれていました。 この問題に対処するため、キャリアやベンダはOTN のクロックをあげてペイロードにLAN-PHYが入るよ うにしたOverClock方式の検討と開発をおこなってお り、「相互接続性検証ワーキンググループ」ではその 相互接続性の検証実験を中心に活動していました。一 方で、キャリアサービスとして展開することにおいて もベンダーが伝送機器を開発するためにも、相互接続 性の裏付けという意味で、標準化文書の存在は大きな 意味を持ちます。本ワーキンググループでは参加機 関の合意形成を行った上で寄書提案を開始しました。 ITU-Tへの提案開始当初は各機関からの単独寄書で 行ってきましたが、なかなか議論項目として採択され ない状況が続きました。NICTもこれに加わり、後押 しをする形での参加を開始し、さらに各機関ともに共 著する形や、日本寄書として提案することにより、審 議対象課題とすることができました。最終的にはG.709 (OTN)のサプリメントとして(G.supp43)他の非標 準フォーマットも併記する形での文書化に漕ぎ着けま した。この間、本ワーキンググループでは標準化活動 における賛同者を増やすため、国外ベンダやキャリア との相互接続試験も実施したことも効果的だったと 思っています。 サプリメントの文書化が終わった後も活動を継続 し、40G,100GのOTN階層の議論が行われたときには、 OverClockの概念は割と浸透していました。40Gの OverClockはサプリメントへ追記され、10Gのクライ アント信号収容フォーマットだった、ODU2eは上位 階層への収容信号としてG.709勧告本体に記載される

TTCに寄せて

TTC会長表彰を受賞して

NICT 

大槻 英樹

(6)

◉TTCに寄せて TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 などの大きな影響がありました。 現在はベンダ製品への実装が完了しており、市場に 出回って利用が開始されていると想像しております。 2.NGNにおけるID/Loc分離 SG15へ参加していた経緯もあり、NGNの標準化が 開始するころに総務省のNGN-WGに参加する事にな りました。NGN-WGとTTCのSWG1104(NGNアップ ストリーム活動)で合同の審議を行っていたと記憶し ています。NGNの標準化が進んでしばらくはNICTか らの寄与はあまりなかったのですが、IDとLocaterの 分離に関する勧告草案への寄与をエディタから依頼さ れたのがきっかけとなります。 当時、私の所属グループでは新世代ネットワークの ためのアーキテクチャ設計プロジェクトとしてAKARI プロジェクトを実施しており、その中にID/Loc分離 のアーキテクチャを検討している研究員がおりまし た。この研究員を中心にNGNにおいてNICTも寄与し ていく事となりました。 TTCでの審議や寄書の構成や内容について、同じ グループであったことも幸いしてかなり密に行う事が できました。Y.2015をはじめとして、ID/Loc分離関 連の勧告にはNICTも大きく寄与出来ている所だと感 じています。 3.新世代ネットワークの研究活動から標準化へ SG13が2009年からの会期に移る少し前に開催されま したKaleidoscope学術会議の基調講演で青山友紀先生 (慶応大学)が新世代ネットワークに関する提言を行 いました。Kaleidoscope学術会議はITU-Tが企画した IEEEと共催の国際会議で、若手研究者との交流や大 学での最先端の技術課題を標準化に取り込もうとする 試みです。この基調講演がひとつのきっかけとなり 「Future Network」に関するFocus Groupが設立され ました。このFocus Group on Future Network(FG-FN)は研究開発に近い所から標準化項目を探るという これまでのFocus Groupとは若干異なるチャレンジン グな試みだったと思います。 AKARIプロジェクトの活動も海外で知られるよう になっており、何度かFGの中で紹介させて頂く機会 がありました。一方で、標準化項目という意味ではま だ次期尚早という感触も持っており、細かい仕様を 含んだ文書作成は望ましくない状況と思われました。 FGの中でも同様の議論を経て、主に新世代ネットワー ク関連の研究活動のサーベイや、ビジョン、フレーム ワーク、用語整理など共通理解のための文書作成に注 力する事になりました。これには日本からの参加者 の意思疎通が強かった事や、新世代ネットワーク推進 フォーラムの配下に設置された標準化推進部会での対 処方針による議論が有効であったと感じています。 通常のFGは1年間の活動となりますが、新しい試 みの中で紆余曲折した感があります。文書作成はなか なか進まずに1年を迎えたため、一部の文書に注力す る事にして半年間の延長を行いましたが、この半年間 は中身の詰まった議論が行われました。 FG-FNは1年半の活動を経て勧告草案のベースとな る4文書を作成しました。通称ビジョン文書はNICT の新世代ネットワーク戦略から多くの部分を寄与する ことができ、2011年の5月のSG会合でY.3001となり ました。私自身の寄与としては網仮想化文書において エディタをやらせて頂き、AKARIプロジェクトや国 内の網仮想化の意志を盛り込んでいけたと思っていま す。この文書ではネットワークの仮想化とは何かを共 通理解するためのフレームワーク文書として作成され ています。ネットワークを仮想化することの概念と、 仮想化されたネットワークの概念や、現状のネット ワークでの問題意識、仮想ネットワークの技術で目指 すデザインゴールを記述しています。省エネルギー文 書、識別子文書についても日本からの寄与によって大 部分の文書が構成されています。 おわりに NICTという組織においてはITU-Tにおける標準化 への参加の意義は常に考えさせられる所であります。 通信サービスや装置の接続性のためにではなく、皆さ んが広く利益・利便を受けられるような標準化を目指 すのが一つのあり方ではないかと感じています。今回、 少し大げさな言葉になってしまいますが、国内の合意 形成に加わる形で社会に使われる仕様としてお手伝い 出来たことや、ITU-Tでの新しい試みの中で多少なり とも寄与できたことは望外の喜びです。ITU-Tにおい てNICTの標準化活動はまだまだ経験の浅い所である と感じています。今後も標準化活動の諸先輩方のご指 導や皆さんのご協力を得ながら効果的に関わっていけ る事を望みつつ、TTCの国内標準化や国際標準化が 日本の活性化に繋がることを願います。

(7)

新年明けましておめでとうございます。皆様におか れましては、ますますご清栄のことと心より新年のお 慶びを申し上げます。

私は、昨年4月よりNEC Europeに異動し、現在 Londonに あ るNEC Europeの オ フ ィ ス に て、 標 準 化活動を中心に業務を行っています。私が所属する NECグループにおけるITCの標準化活動は、NEC(標 準化推進部、中央研究所、各事業本部)とNEC欧州 研究所(Heidelberg)が連携し、グローバルな取り組 みを行っています。毎年10月には、NEC標準化サミッ トとしてNEC玉川事業場に世界中より標準化活動に 関わるメンバが集合し、市場、標準化、製品の研究開発、 個別案件に対する対応方針等の議論を行い、毎年数百 名のメンバが活発な議論を行っています。私は、入社 以来関わってきた固定網、移動網のソフトウェア開発、 ソリューション検討をベースに、1988年よりITU-T(当 時CCITT)のSG11、SG13に参加し、2008年10月に開 催されたWTSA2008では2009年〜2012年会期のITU-T SG11副議長に任命されました。現在はLondonを拠点 としてNEC欧州研究所とより深く連携した標準化活 動を行っています。昨年5月には、「事業活動を広く 海外に紹介するとともに、海外の標準化機関・団体の 会合への参加及びその人脈を通じて標準化に関する情 報を入手し、当委員会の事業活動に資すること」を目 的として、NTT長津様と共に初代TTC大使(=TTC Ambassador)に任命頂きました。また6月にはTTC より「NGN関連技術の標準化及びインタオペラビリ ティの推進にかかわる功績」に対し、栄えあるTTC 会長賞を受賞いたしました。これらの任命頂いた業務、 表彰は、標準化活動を推進するにあたりご協力、ご支 援頂いた皆様、特にTTCの各種専門委員、アドバイ ザリグループ、企画戦略委員会のメンバのご尽力のお かげであり、全員の力で成し遂げた成果に対して頂い た評価だと思います。皆様には、改めて御礼申し上げ るとともに、引き続きご支援をよろしくお願い申しあ げます。 私がITU-Tの標準化活動に参加した1988年当時は ISDNの標準化が佳境を迎えており、SG11ではDSS1、 SSno.7 ISUPの標準化が活発に審議されていました。 1988年4月にはNTTより「INSネット64」「INSネッ ト1500」の商標で世界に先駆けてISDN商用サービス が開始され、これら商用サービスの研究開発をベー スとしたITU-T標準化へのアップストリーム活動と、 ITU-T勧告をベースとしたTTCへのダウンストリー ム活動を行いました。当時のISDN開発と標準化活動 で寝食を共にしたメンバとは、現在でも暖かい交流 が続いています。その後、B-ISDN、NGNへの技術の 進展、モバイル網の発展に伴い、標準化活動でも多 くのフォーラム活動が活発に行われ、多くのデファ クトスタンダードが開発されました。IETFでSIPが 開発され、NGNの標準化では欧州の標準化機構であ るETSIで先進的な取り組みが行われ、モバイルでは 3GPP、3GPP2が中心的な取り組みを行っているのは、 皆様ご承知の通りだと思います。ITU-Tでは、これら の地域標準化団体、フォーラム、パートナーシッププ ロジェクトと連携し、相互に成果を参照しながらグ ローバルスタンダードの策定を行っていますが、分野 によっては「どの標準を参照したら良いか分からな い」「標準が多くありインタオペラビリティが保障さ れていない」との声が、開発途上国の方を中心に聞か れるのも事実です。私が担当するSG11では、開発途 上国でのNGN普及促進、IPベースのネットワークへ のスムーズなマイグレーションを目的として、HATS の成果をベースとしてインタオペラブルなグローバル

TTC Report 2012. January Vol.26/No.4

◉TTCに寄せて

TTCに寄せて

TTC大使から新年のご挨拶

(8)

◉TTCに寄せて TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 スタンダードの策定を目指しています。この活動はグ ローバル標準化機関としてのITU-T SG11が果たすべ きmandateの一つであり、IPベースの固定・移動ネッ トワークへのマイグレーションで先進的な開発を行っ ている日本の果たすべき役割の一つと考えています。 一 方 欧 州 の 地 域 標 準 化 団 体 で あ るETSIで は、 M2M、Smart Grid等の新しいソリューションの開発、 検討に積極的に取り組んでおり、その成果は幅広くテ レコム製品に採用され、グローバルマーケットで普及 しています。NECグループの標準化活動でもNEC欧 州研究所を中心にETSI TC(Technical committee) の検討に積極的に参加し、Chair parson等複数のリー ダポジションを得ています。今後は、NECグループと してETSIの方針、運営等より高度な戦略に関わるべ く、Board選挙に向けて昨年4月以降欧州を中心にロ ビー活動を行ってきました。この結果、11月のETSI 総会(GA General Assembly)にて行われたBoardメ ンバの改選にて、私も2012年〜2014年のBoardメンバ の1名に任命されました。Boardメンバへの立候補に 当たっては、NEC社内はもとより国内外より多数の ご支援を頂いています。紙面をお借りして深く御礼申 し上げます。 こ こ で 簡 単 にETSI Boardの 役 割 と 活 動 に つ い て、 ご 紹 介 さ せ て 頂 き ま す。ETSI(European Telecommunications Standards Institute) は、 CEN(European Committee for Standardization)、 CENELC(European Committee for Electrotechnical Standardization)と並ぶEU委員会配下の3つの標準化 機 構 の 一 つ で、Manufacturer、Network、Operator、 Administration、Consultancy、Research Body、 User等が会員となっています。現在Full Members、 Associate Members、Observersを含めて700以上のメ ンバが参加し、年間3000件以上(2010年、2011年)の TS(Technical Specification)、TR(Technical Report)、 ES(ETSI Standard)等の技術仕様を発行する等、 活発な標準化活動を行っています。ETSIが策定する 技術仕様は、メンバとして参加するグローバルベン ダによりグローバルマーケットで普及が図られてま す。私が参加するBoard会議はETSIの諮問機関とし て、ETSIの戦略、運営、規則、予算等についての議 論を行っており、TTCの企画戦略委員会に相当しま す。BoardメンバのF2F会議は年5回開催され、ETSI TCリーダが参加するOCG会議と合わせて、3日間議 論が行われます。今回任命された28名の構成は、国別 に はBelgium 2、France 4、Finland 1、Germany 4、 Italy 1、Portugal 1、Slovenia 1、Spain 1、Sweden 2、Switzerland 2、United Kingdom 9、所属別には Administrations 3、Consultancies 2、Manufacturers 14、Network Operators 7、Research Body 1、User 1となっています。各Boardメンバは5つのグループ に分かれて特定の検討課題が割り当てられ、グループ 毎に開催される電話会議で議論した結果がリーダより Board会議に報告され、議論が進められます。ETSI 総会(GA General Assembly)は、ETSIの最高の意 思決定機関として年2回開催され、Board会議で審議 された結果が報告、承認されます。昨年11月28〜29 日にカンヌで開催された第58回総会には、ETSIメン バ34 ヶ国(欧州域外5ヶ国を含む)より159名が参 加しました。総会での議論は、各国別に意見の集約 が行われ、私が所属するUK代表団では総会前にUK Preparation meetingを開催し、各課題に対してUK として対処方針の審議を行っています。このように ETSIは地域標準化団体でありながら、多くの国が参 加する国際標準化機関としての審議の進め方が採用さ れています。 最後に昨年4月より赴任しているLondonについて ご紹介します。Londonの人口は約750万人で、東京都 のほぼ半分の規模になります。私のオフィスがある_ ActonはLondonの中心から西へ地下鉄セントラルラ インで約20分の位置にあります。東京の場合、東京駅 から西へ電車で20分移動すると新宿、横浜といった大 都市があるのに対し、Actonはずいぶん田舎な印象で Londonに来て改めて首都東京の巨大さに驚かされま す。一方、Londonの中心には、金融の中心街である シティ、バッキンガム宮殿のあるウェストミンスター 等があり、連日多数のビジネスマン、観光客でにぎわっ ています。また、オックスフォードストリート、リー ジェントストリート、ナイツブリッジ等には多くのデ パート、ブランドショップが立ち並び、こちらは多数 の買い物客が集まります。さながら「観光好きには街 中がディズニーランド」「買い物好きには街中が宝箱」 といった感じで、街の様子からは欧州の不況を感じら れません。昨年4月29日のロイヤルウェディングには 事前にパレードコースを調査して出かけましたが、多 数の群集に阻まれてパレードには全く近づくことがで

(9)

◉TTCに寄せて TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 きず、結局自宅でBBCを見るのが一番でした。今年 は7月から8月にオリンピックが予定されており、楽 しみである一方、空港のイミグレーション、地下鉄、 道路等の都市機能がマヒするのではないかとも心配し ています。今後はITU-T、ETSIを中心に欧州の標準 化会議に出席する予定で、Londonで暮らす日数も限 られますが、私の先輩曰く「男子の買い物はLondon、 女子の買い物はParisに限る」だそうで、London駐在 中に少しでも男子度(Gentlemanship?)を磨ければ と思っています。欧州出張でLondonに滞在する、ま たはLondonでトランジットする等の機会があれば、 ぜひご連絡頂ければと思います。2012年も皆様とお会 いしてICTの未来について議論できることを楽しみに しております。最後になりましたが、2012年が皆様に とって実り多き年となること、昨年の震災からの力強 く復興の年となることを祈念して、新年のご挨拶とさ せて頂きます。

(10)

1.はじめに このたびは情報通信技術賞TTC会長表彰をいただ き、大変光栄に思います。このような栄誉ある賞をい ただけるのも同じ分野で技術の進展のために邁進して こられた諸先輩含めた多くの方々のおかげであり、こ の場にてあらためて感謝したいと思います。 「VoIP(SIP)の信号制御に関する標準化の推進に かかわる功績」ということで表彰をいただいたわけで すが、電話通信網という分野において回線交換技術か らIP技術へと大きく主流の技術が変わる場に居合わせ ることができたことは技術者として幸運でありました。 本稿では、私が関わってきたこの約10年間のVoIP 技術およびSIP技術の標準化と導入の歴史をこの機会 に振り返ってみたいと思います。

2.VoIP(Voice over IP)

私の標準化活動への関わりは、2000年にTTCのVoIP 関連技術のアドホック調査委員会に招集されたことが 始まりでした。それまでVoIP技術は、国際電話回線 の一部で中継接続コストの削減などのために既に実用 化されていましたが、どちらかというとニッチな技術 に留まっていました。特にユーザと直接つながる加入 者回線の分野においては、電話回線を通したモデムで インターネット接続をしているときにVoIPの音声通 信を行っても国内ではあまりコストの節約にならない 上に音質も悪かったため、国際通信など単価が高い通 信を行なう場合を除いて需要は非常に少ないものでし た。また端末についてもパソコンとソフトや入出力 のデバイスが必要となるなど、一部のアーリーアダプ ターの間で使われている技術という認識でした。しか しながら、2000年代初めには、常時接続のブロードバ ンド回線がその後広がることが明確になっており、コ ストやサービス面から企業や個人でのVoIPの導入が 真剣に検討されていました。その間にも制度面におい ても、050で始まるVoIP用の電話番号空間が総務省で 規定されるとともに、0AB-J番号と一般に呼ばれる通 常の固定の電話番号を利用するにあたっての基準も明 確にされ、いよいよVoIP技術が普及に向けて諸々の 整備が進んでいる状況にありました。 それまでの音声通信では、通信事業者が管理し て割り当てをする電話番号によって相手を特定し、 64kbpsの回線を通話の開始時点でエンド-トゥ -エンド で接続し、そのまま通話終了まで確保して会話を行っ ています。VoIPではIPネットワーク上で相手(つま りはIPアドレスとポート番号)を特定し、音声をIPパ ケット上に載せて転送するという方式が取られます。 これによって、安価なIPのネットワークを活用できる ことによるコスト削減と、IP上のマルチメディアや ウェブ系の付加サービスと音声サービスの連携による サービス性向上が期待されます。一方では、信頼性の 問題や音質の問題、相互接続性の問題が取り組むべき 課題として挙げられていました。 このような背景の下、TTCの標準化活動では、通 信事業者のネットワークにVoIP技術を導入するにあ たって、相互接続や信頼性、品質を技術的にどのよう に担保するかを明確にすることをその責務として認識 して取り組みました。

3.SIP(Session Initiation Protocol)

今では、VoIP制御のプロトコルといえばSIP、とし て認知されていますが、VoIP関連の標準化がTTCで 始まった2000年当初は、電気通信に関する国際標準機 関のITU-Tで策定されたH.323シリーズの標準化がSIP に対して先行しており、VoIPの制御システムとして の実装化も進んでいました。私も最初のVoIP関連の 仕事ではH.323を使ったシステムを担当していました。

TTC Report 2012. January Vol.26/No.4

◉TTCに寄せて

TTCに寄せて

TTC会長表彰を受賞して

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またデファクト規格としてもMGCP (Media Gateway Control Protocol)も存在し、一定の規模の実装が進 められていました。

H.323の 制 御 信 号 は、 主 にISDNのUNI (User to Network Interface)で利用されているDSS1 (Digital Subscriber Signaling System No.1)の仕組みを流用 していました。またMGCPは、中央の交換機から端 末を制御するアナログ電話のモデルを流用したもの になっていました。一方SIPは、HTTPのメッセージ フォーマットを流用するなど、よりインターネットと の親和性が高いものになっています。これらを比較 検討した結果、日本では広くSIPを採用していくべき だという思いを強くし、その標準化に取り組んできま した。「インターネットが負ける方に賭けるな (Don’t bet against the internet)」とはGoogleのエリック・ シュミット会長の言葉ですが、規模の経済の面からも 開発リソースの面からも、これまで培った通信事業者 の電話網が持つ高い信頼というものを破綻させずにイ ンターネットの成長の波に乗っかっていけるように上 手くこの技術を展開していきたいと考えていました。 この思いは標準化活動の中でも参加されていたメン バーに広く共有されていたと感じています。 4.TTCにおけるSIP国内標準化 VoIP以前のいわゆる回線交換方式では、ネットワー ク内およびネットワーク間の信号制御プロトコルと してNo.7信号方式のISUP (Integrated Service Digital Network User Part)が広く採用されています。ISUP はITU-Tで規定された国際標準ですが、それぞれの国 で運用するにあたっては、各国の実情に合わせたバリ エーションが認められています。日本で使われている ISUP規格も、TTCによってJT-Q764などの国内標準 が策定され、国際標準との差分が規定されています。 また国内の事業者間の相互接続の運用ルールに関し てもJJ-90.10などの国内標準がTTCで規定されていま す。したがって、SIPはインターネットベースのグロー バル標準ですが、国内独自で運用されている既存電話 網と接続をするためには国内向けの特別な考慮を行う 必要がありました。一部の課題は日本特有のもので、 TTCが解決する必要があるものでした。SIPが来るべ きVoIPの時代のプロトコルとしての位置付けを確実 にするにつれて、将来の相互接続性や汎用性を担保す るためにも、早い段階で国内標準を策定して公開する ことが重要な関心事となっていました。

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◉TTCに寄せて TTCでは、まずアドホック形式の調査委員会でVoIP への取組みを始めましたが、その後SIPをどのように 通信事業者のネットワークに導入していくかという技 術課題を解決するために正式な標準化活動を行うこと を決定し、当時の第一部門第三委員会にSIPサブワー キンググループを速やかに設立し、私が初代リーダに 就任することになりました。同グループは、TTC内 の組織改正を経て信号制御専門委員会SIPサブワーキ ンググループに引き継がれています。 その当時、IETFにおいて、後にRFC 3398 (Integrated Services Digital Network (ISDN) User Part (ISUP) to Session Initiation Protocol (SIP) Mapping) と な る文書のドラフトが出て検討されていました。TTC での標準化作業はこの文書を参考にして、国際標準と 国内標準との差分を確認することから始めました。そ の成果は、2005年から2006年あたりにかけてJJ-90.21 「事業者SIP網に関するフレームワーク技術仕様」を フレームワーク文書とし、端末とネットワーク間のイ ンタフェースであるJJ-90.24「事業者SIP網に接続する SIP端末基本接続インタフェース技術仕様」やネット ワーク間のインタフェースであるJJ-90.25「管理され た事業者SIP網間における相互接続インタフェース技 術仕様」などのSIPを国内事業者網に適用するための 一連の技術標準として結実しました。これらの文書で は、実際に相互接続するための規約の他に、それまで の議論で得られた知見を付属資料という形でまとめた 有用な標準になっています。 さらにITU-T SG11にその成果を持ち込み、ITU-T Q.3401やQ.3402に反映されました。TTCでは更にそ の成果と形式をフィードバックする形で、最終的に集 大成としてTTC標準JT-Q3401「NGN NNIシグナリン グプロファイルプロトコルセット1」およびJT-Q3402 「NGN UNIシグナリングプロファイルプロトコルセッ ト1」として完成させることができました。 今では、NTT東西の「ひかり電話」、KDDIの「au ひかり電話」、「ケーブルプラス電話」、「KDDI光ダイ レクト」など多くの加入者を有するサービスでSIPが 使われています。さらにはVoIPサービスとしては認 知されていないKDDIの「メタルプラス電話」や、「マ イライン」をはじめとした既存中継電話でもネット ワーク内ではVoIP技術が全面的に使われています。 その中ではTTCでの標準化の成果が使われており、 その広がりを耳にするにつけ、自分が関わった標準化 活動が役に立っていると実感しています。

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今後も、回線交換網を完全にVoIPベースのネット ワークにマイグレーションしていくにあたっては更に 多くの技術標準の策定を進める必要があると考えてい ます。その中では、TTCの果たす役割も重要になっ てくるものと推察しています。

5.IETF(Internet Engineering Task Force)

SIPはインターネットのプロトコルを規定するIETF で検討されています。先に述べたようにTTC信号 制御専門委員会のSIP SWGのリーダとなったことを きっかけにしてIETFにも積極的に参加することにな りました。それまで何度かITU-Tの会合に参加してい ましたが、まずはラフな服装をはじめその雰囲気の違 いに驚きました。 また会合における議論よりも、メーリングリストの 議論を優先するという姿勢も合理的であると感じまし た。最近ではIETFも仕様化が遅いという批判があり、 個別の業界標準を作る方向に動いていますが、当時は まずはドラフトベースでも前に進めようという気概に あふれていました。 初めて参加したアデレードでの第47回IETF会合で は、先に取上げたRFC 3398の著者でもあるGonzalo Camarillo氏と初めて会ってSIPとISUPの相互接続に ついて議論をし、その後一緒に昼飯を食べに行ったこ とを覚えています。Camarillo氏には、その後も色々 な場面で相談をすることになりました。今もその当 時もオンラインで標準化の情報を得ることはできま すが、実際に標準化会議の場に出ていくことの意義 はこういうところにあるのだと思います。彼は現在 IETFでSIPをメインとしたリアルタイム通信の標準 活動を束ねるRAIエリア(Real-time Applications and Infrastructure Area)のエリアディレクターとして活 躍しています。

その後2011年には、私も著者としてドラフトを作成 した“Session Initiation Protocol (SIP) Usage of the Offer/Answer Model”がRFC 6337として承認されま した。SIPの基礎となるオファー・アンサーモデルの 技術的な実装の明確化を目的としたこの技術文書を RFC化するにあたっては、かなり長い間メーリングリ ストを中心として議論が行われ、その内容が反映され ています。おそらくはドラフトの段階からSIPを実装 するときに多くの方に参考にされていると思います。 国内でのSIP技術の導入だけではなく、国際標準化機 関のIETFにおいても標準化に貢献できたことをうれ

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◉TTCに寄せて

しく思っています。

6.IMS(IP Multimedia Subsystem)

SIPの標準化に関わってしばらくすると、移動体通 信の世界でも将来のIP化に備えてAll-IP化の検討が始 まりました。当初は音声も含めたマルチメディア通 信のための制御プロトコルを、H.323とするのかSIP とするのかという議論がありましたが、ほどなくSIP の採用が決定され、移動体の標準化団体である3GPP (Third Generation Partnership Project)においてそ

の標準化が進められました。実際の技術要件に落とし ていく過程では、オープンなインターネット上での利 用が暗黙の前提になっていたSIPでは不足する機能が 多数あることが分かり、多くの拡張機能が加えられま した。拡張機能の策定はIETFで行われましたが、こ の辺りがSIPの標準化作業が最も盛り上がった時期に あたるのではないでしょうか。このSIPを使った移動 体網のAll-IP化における音声を含めたマルチメディア セッションのための機構は、IMSと呼ばれています。 IMSは最終的には移動体網だけではなく、固定網も 含めたNGN (Next Generation Network)の呼制御プロ トコルとしても採用されています。日本でも、2010年 には固定-移動網IP相互接続アドホックが設立されて、 固定網と移動体網間をIMSベースとしてVoIP接続し た場合の課題事項の整理と解決が検討されています。 7.おわりに 2010年秋に「PSTNのマイグレーションについて」 として発表されたNTTの電話網に関する中期計画の 中で、2020年から2025年にかけて全国の既存電話網を IPベースに移行していく予定であることが明らかにさ れました。移動体網でも、端末までVoIP技術を使う VoLTE (Voice over LTE)の導入が現実的な解とし て検討されており、いよいよ回線交換技術の終焉とIP 技術への全面的な切替えへの道筋が見えてきました。 品質も信頼性もいくつか問題を起こしながらも多くの 技術者の努力によって乗り越え、インターネットの持 つコスト効率性や指数関数的性能向上の恩恵を受けて 順調に発展してきたといえるでしょう。その大きな動 きの中で標準化活動という形で貢献できたことは素直 にうれしく思います。 このように自分自身が深く関わってきたSIPについ て、日本でもその理解を広めていこうという想いがあ り、2005年にはSIPの技術解説書である『実践SIP詳

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◉TTCに寄せて 解テキスト』をリックテレコム社から刊行するに至り ました。この本は、それまでの標準化活動を通して得 た知識をベースとして、とにかく体系的に分かりやす く日本語で技術解説をしようという意図で執筆したも のです。幸いなことに多くの方から高く評価してもら い、重版までさせてもらいました。またIMS技術につ いても海外で分かりやすいと評判があった、“The 3G IP Multimedia Subsystem (IMS)”を翻訳して『IMS 標準テキスト』として出版しました。これもまた今 後の重要な技術となるIMSが非常に大部の標準で初心 者に理解しづらいものであったことから、何とか日本 語での解説書を作れないかという想いから出版につな がったものです。なお同書の原著者は、RFC3398の著 者のCamarillo氏で、標準化活動でのつながりが元に なってこの翻訳書の出版が実現しました。Camarillo 氏には『実践SIP詳解テキスト』の前書きも書いても らいました。 ひとくちに“SIP”や“IMS”といっても、中心と なるドキュメントは存在していますが、その単一のド キュメントに全てが書かれているのではなく、多くの 関連する文書群によって成り立っています。また中心 となるIETFの標準化文書であるRFCの形式はテキス トベースで、図も表もテキストで表現できる範囲のも のに限られているため決して理解しやすいものではあ りません。また3GPPなどの標準化団体の文書も、ま ずはベースとなるルールから覚えていかなければどの 文書を読めば理解できるのかも初心者には分からない 複雑な構造になっています。こういったベースとなる 技術文書を読んで理解しないと、最新の議論を追いか けるのも難しくなりますが、英語を母国語としない日 本人にとってはたいてい多くの時間と労力がかかりま す。その辺りの障壁の高さが新しく技術を勉強しよう とする際の最初の理解の躓きになっていることが多い と感じていました。例えば『実践SIP詳解テキスト』 では、SIPの体系をまとめることでまずは全体を理解 した上で、読者が確認のためにプロトコル規定文書の 原文にあたることができるようになってもらうことを 目標としました。SIPやIMSは通信技術分野において 重要な技術のひとつとなっていますので、日本におけ るSIP技術やIMS技術の理解の進展の一助になってい れば非常にうれしく思います。 書籍を執筆する側の個人としても出版によって人脈 が広がったことや端的に言うと箔が付いたことなどに よって、その見返りはあったと思っています。また自

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分の場合には書籍の出版という形を取りましたが、今 後日本で新しい技術を広めていくときには、インター ネット上で日本語の解説を公開するなどといった活動 が有効になってくるのではないかと思います。有望な 先端技術において国内での標準化に関わるときには、 どのように日本において裾野を広げることができるの かというのを考えることも大切ではないかと思いま す。積極的に情報を発信することで、多くの技術者と インタラクションを起こすことができるのではないで しょうか。標準化活動も含めて、自らの知識や労力を 提供することによって、その成果は結果として自分自 身に返ってくる、というのが標準化や執筆活動の経験 を通した感想です。もちろん今回の受賞もその結果の ひとつです。最後にあらためて感謝の意を表したいと 思います。

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TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 ◉ご挨拶

ご 挨 拶

富士通株式会社 

高橋 英一郎

企画戦略委員二期目となります、富士通の高橋です。 今期は、情報転送・信号制御・網管理・NGN&FNの 各専門委員会を瀬社家委員とともに担当しております。 また、TTCの重点検討課題(HIS)の一つでもある スマートグリッドに対応するアドバイザリグループ (AG)を担当しております。 それぞれ、国の社会基盤を担う重要なネットワーク 技術カテゴリであり、前任期にはいろいろと勉強もさ せていただきました。 今期も、新たな技術進化や社会情勢の変化を見据え ながら、標準化のあり方や先行着手すべき分野につい て、委員会の名前のとおり企画戦略を検討していきた いと考えております。 現在、我々を取り巻く社会的課題は以下の3点が代 表的キーワードだと思います。 ⑴ 地球環境問題に立ち向かう、エネルギーの最適利 用を中心としたスマート社会の基盤創成 ⑵ 3.11震災やその後の台風被害からの教訓によ る、止まらない・繋がり続けるネットワークの構 造強化 ⑶ サイバー攻撃に対する耐性と、安心安全な情報利 活用環境に向けた技術革新 スマートグリッド・スマートコミュニティ・ス マート○○といった言葉が日常に定着しつつある中、 3.11震災による創エネ・蓄エネ・省エネ議論の急激 な高まりもあり、社会基盤革新への取り組みにスピー ド感が増した状況と思います。 ネットワークの役割は、通話は勿論、情報利活用の 全てを支える基盤であり、緊急時の行政機能等を停滞 させないためにも、改めて、止まらない・繋がり続け ることが使命と感じております。 サイバー攻撃は、防衛産業から国省庁まで脅かす事 態となっており、昨今の標的型サイバー攻撃への対策 強化が喫緊の課題となっています。 どの課題も、解決に向けてネットワークにおける オーバレイ構造の全てのレイヤにおいて技術革新を継 続させることが必要であり、その早急な普及に向けて 標準化活動は重要な役割を果たすものと考えます。 特にスマート社会の基盤創成においては、更に間口 を広げて、エネルギーレイヤ・ネットワークレイヤ・ サービスレイヤの全体をモデル化し、各レイヤおよび レイヤ間の構造定義を明確にした上で、標準化議論を 推進することが重要となります。ネットワーク系の標 準化技術を扱ってきたエンジニアも、更なる知見の拡 大が求められる時代がきた印象でおります。 こうしたグローバルにも共通するICTの先進的課題 を、日本が主導的に解決していくことが標準化戦略に おいても重要なテーマであり、企画戦略委員として微 力ながら貢献できればと考えております。 よろしくお願いいたします。

企画戦略委員会委員就任にあたって

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TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 ◉ご挨拶

ご 挨 拶

KDDI株式会社 

田中 寛

昨年度まで2年間企画戦略委員をやらせていただき ましたが、引き続き2期目を勤めさせていただいてお ります。 今期担当している分野ですが、まず昨年度から引き 続き、移動体システム関係の専門委員会である移動通 信網マネジメント、3GPP、3GPP2各専門委員会を 担当しています。これまでは3GPP、3GPP2と移動 体システムが2種類に分かれていましたが、各社3.9 世代システムとしてLTEを採用することとなり、機器 メーカーが経営資源を集中し易くなる一方、中国を筆 頭に新興国の存在が大きくなるなど、この分野の標準 化を取り巻く環境が大きく変わってきています。グ ローバルな競争と協調をバランスさせた戦略的な標 準化活動が求められており、そういう状況を踏まえ ARIBと連携した活動を展開しています。 また、新しい分野の取組としてスマートカー・ア ドバイザリーグループも担当させていただくことに なりました。ITSの分野はこれまでも路車間通信や 車車間通信など様々な取組が行われてきていますが、 最近は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド 車(PHEV)など自動車自体がパラダイムシフトを迎 え、自動車に通信モジュールが実装されることが前提 の世界になってきています。さらに移動通信システム がLTEになるとこれまで以上に低遅延の通信環境が得 られるようになり、実際、3GPPなどでも自動車を 含むマシン-マシン間通信が移動体システムに求める ニーズについての検討も行われていますし、ITSサー ビスに関する検討が世界の様々な標準化団体において 進められています。このような状況において日本のこ れまでのITSの取組をうまく活かせるような戦略的な 標準化活動が求められており、そのための活動が精力 的に行われているところです。 もうひとつの私の企画戦略委員としての活動にHIS (重点課題)があり、QoS/QoEを担当しております。 QoSやQoEが対象となるサービスはVoIPやIPTVで すが、IPTVの規格が2008年末に制定されて以降も、 新世代ネットワークなど新しいサービスの検討を進め るにあたり専門委員会間の連携が必要なことから、継 続的に標準化動向を調査しています。 ますますグローバル化が進み、日本企業のビジネス のやり方も大きくチェンジすることが求められている 状況で、相互接続を推進する位置づけからビジネスを 支える戦略的なものに標準化の位置づけがシフトして います。野本委員長、森田副委員長ならびに専門委員 会や事務局の方々などTTC関係者のみなさまのご支 援を得ながら、微力ではありますが日本の通信分野の 標準化活動に貢献できるよう努力致す所存です。

企画戦略委員会委員就任にあたって

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TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 ◉特集 通信サービス品質評価 SWG リーダ

林  孝典

(日本電信電話株式会社) 通信ネットワーク運用管 理SWG リーダ

大毛 忠文

(エヌ・ティ・ティ・コ ムウェア株式会社)  副委員長 

平子 正典

(富士通テレコムネット ワークス株式会社)  委員長 

高呂 賢治

(沖電気工業株式会社) TTCでは、現在16専門委員会が標準化活動を行っています。専門委員会委員長・副委員長より、これまでの活動 や今後の活動予定などについてご寄稿いただきました。

網管理専門委員会

1.はじめに 国内のキャリアにおいては、NGN実用化段階に入 りつつあり、NGNの網管理の相互接続のニーズやア プリケーションの拡大も今後活性化するものと考えら れます。 このような状況において、網管理専門委員会に係 る事項として、ITU-Tでの電気通信網管理の課題とし てSG2が、IP電話/IPテレビ電話/IPTV等の各種通信 サービスの品質評価に関する課題としてSG12が活 動しています。 本専門委員会は、これらの事項に対応するため に、本委員会(WG1500)と2つのサブワーキン グ(SWG1501:通信ネットワーク運用管理SWG、 SWG1502:通信サービス品質評価SWG)で構成 され、SWG1501では通信キャリアのネットワーク 管理について、ネットワーク管理モデル、管理機能、 管理サービス、システム間インターフェース等を範 囲とする活動を行っており、具体的にはITU-TやTM Forum(Telecom Management Forum) の 動 向 調査やダウンストリーム活動を行っています。また SWG1502ではIP電話サービスを含むマルチメディ ア通信サービスのサービスレベルの品質評価法に関し て、ITU-Tの動向調査やダウンストリーム/アップス トリーム活動を行っており、具体的な課題は、マルチ メディア通信サービスに対する、①品質指標の評価条 件規定、②品質指標の評価方法・解釈、③サービス運 用中の品質評価方法、④相互接続環境における品質評 価・表示方法、⑤端末の特性測定法・設計目標値規定 等をおこなっており、両SWGとも多岐な領域の活動 を行っています。 2.これまでの活動状況 これまでの活動について以下に示しますが、両 SWGの活動はかなり異なっているため、以下⑴、⑵ に分けて概要を説明します。 ⑴ SWG1501におけるTTCの標準化動向 本SWGの最近のTTC標準化の活動としては、TM Forumが開発してITU-Tで勧告化された通信キャリ アのビジネスプロセスモデルのeTOM(Enhanced Telecom Operarions Map®)を2009年度にTTC 標準化作業を進め、JT-M3050.0(eTOM[拡張テ

◎ 特 集 ◎

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TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 ◉特集 レコム運用マップ])、JT-M3050.1(eTOMビジネ スプロセスフレームワーク)を2010年5月に制定し ました。 JT-M3050.0は、通信産業に携わるサービスプロ バイダやサプライヤおよびパートナが使用する為に定 義されたネットワーク管理を実行する為のビジネスプ ロセス、業務プロセスおよびフレームワークを表して います。(図1参照) T-M3050.1では、ITU-T勧告のM.3050.xシリー ズに基づき、eTOMの主要部分について規定してお り、①サービスプロバイダによって使用されるビジネ スプロセス、②それらのプロセス間のつながりとイン タフェースの識別、③複数プロセスによる通信事業会 社の顧客、サービス、リソース、サプライヤ/パート ナの関係が重要です。(図2参照) 最新の情報通信技術(ICT)は、会社間の情報共有、 会社と顧客間の情報のやりとり等、情報のアクセスに 変化をもたらしています。この技術を用いたeビジネ スの登場がサービスプロバイダに大きな影響がありま す。eTOMの体系的なビジネスプロセスフレームワー クが、eビジネスへスムーズに移行できる事を示して います。 ⑵ SWG1502におけるTTCの標準化動向 IP電話サービスの通話品質評価法は、現在までに TTC標準JJ-201.01「IP電話の通話品質評価法」を 制定し、国内規定に関する議論は一段落しています。 この中で、2011年1月にITU-T SG12において音声 品質客観評価法を規定する勧告P.862(PESQ)が 見直され、後継として新勧告P.863(POLQA)が制 定されました。TTC標準JJ-201.01では、IP電話サー ビスの品質指標であるITU-T勧告G.107(E-model) の出力値「R値」を補完するパラメータとしてPESQ 値を利用しています。このため、同TTC標準において、 POLQAの性能検証を経てPESQに関する記述を置換 し、標準改訂を進める予定です。 また、IPテレビ電話等の映像通信サービスの本格普 及を見据え、2009年度より、映像通信サービスの 要求品質規定や映像メディアに対する主観/客観品質 評価技術の国際標準化動向の調査を開始しています。 この中で、IPテレビ電話サービスの総合品質評価に 有益なITU-T勧告G.1070の活用方法を技術調査報告 書としてまとめました。同勧告を利用するためには勧 告記載の評価アルゴリズムを評価対象サービスに対し てチューニングしなければならないため、多大な労力 と費用をかけて主観品質評価実験を行う必要がありま した。この課題を解決するため、映像品質客観評価法 の一つであるITU-T勧告J.247技術を用いることが有 効であることから、ITU-T勧告G.1070とITU-T勧告 J.247を組み合わせた「IPテレビ電話の総合品質評 図1 網管理規定範囲と既存標準とeTOMの関係

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TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 ◉特集 図2 eTOM ビジネスプロセスフレームワーク(例) 価法」を検討し、今年度その内容を技術調査報告書に まとめたところです。 3.今後の活動予定 以下⑴、⑵に分けて今後の活動予定を説明します。 ⑴ SWG1501における今後の活動 今後は、2007年以降のITU-T SG2勧告に関し、 2010年度にTTC標準化の可否の調査結果に基づき、 現在M.3170シリーズの勧告(NMSとEMSのイン タフェースに関する規定)のTTC標準化作業を進め て行きます。 ま た、TU-T SG2やTM Forumの 動 向 を 調 査 し、 NGN管 理、eTOM改 版 な ど のITU-T勧 告 に 基 づ く TTC標準制定、ITU-Tに対するアップストリーム活動 も積極的に進め、更なるネットワーク管理の効率的な 構築、運用に寄与して行きます。 ⑵ SWG1502における今後の活動 今 後 は、ITU-T勧 告P.863(POLQA) の 性 能 評 価検証を進め、その検証結果を受けて、TTC標準JJ-201.01の改訂を進めていきます。また、IP電話サー ビス以外のマルチメディア通信サービスに対しては、 品質評価法に関する国際標準化動向調査を継続し、当 該サービスの市場規模・普及率や社会的重要性等を勘 案した上で、サービスの品質実態把握やサービス品質 グレード規定の必要性を検討して行きます。 以上、最後になりますが、今後さらに活動を活性化 させて参りますので、多くの皆様に本専門委員会の WG・各SWGの委員としてご参加いただけますよう お願い申し上げます。

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TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 ◉特集 2013年以降の温暖化対策を話し合う第17回国連 気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)が2011 年12月11日に閉幕、京都議定書延長と将来の新枠組 みの双方で具体的な内容を2012年以降に持ち越し た。京都議定書参加の先進国のGHG排出量の合計が 30%を切り、中国、米国が削減義務を負わない現状 では、全ての主要排出国が参加する法的枠組みの構築 を求めて、日本が単なる「延長」に参加しないことは、 理解できる。 現実はというと、地球温暖化の原因とされるGHG 排出量は年々増加しており、世界各国で大洪水などの 被害が広がっていることが懸念される。GHG削減の ための取り組み、技術開発は待った無しの状態である。 I C T ( I n f o r m a t i o n & C o m m u n i c a t i o n s Technology)は、ICTセクター以外に広く使われて おり、エネルギー効率の向上、業務の効率化などで GHG削減に大きく貢献している。 ICTと気候変動専門委員会の設立背景 2007年12月にITU-Tから「ICTと気候変動」に 関 す る 技 術 動 向 レ ポ ー ト が 発 行 さ れ た。http:// www.itu.int/dms_pub/itu-t/oth/23/01/ T23010000030002PDFE.pdf 2008年2月には、「ICTと気候変動に関するタス クフォース」が、TTC内に設立された。2008年4月 京都シンポジウムにて、FG設立宣言が議長報告され、 2008年9月にITU-Tにて「ICTと気候変動FG」が設 立された。2009年3月広島シンポジウムでFGの総 括、2009年4月のTSAGで正式に、SG5にWP3「ICT と気候変動」を設立、SG5も「環境と気候変動」に 改名された。そのSG5/WP3にアップストリーム及 び日本国内へダウンストリームしていく事を目的に、 2009年4月にタスクフォースを改組、「ICTと気候変 動専門委員会」が設立され、2011年12月現在16 回の委員会を開催している。 活動内容 本委員会は、SG5(図1)定期開催、ラポータ会 合などITU-Tの活動に連動して随時開催し、特に、 Q17(Data collection for energy efficiency for ICTs over the lifecycle)、Q18(Methodology of environmental impact assessment of ICT)、 Q19(Power Feeding System)に随時、寄書を提 出、アップストリーム活動を推進している。日本では、 2004年から「ICTと環境影響評価手法」についてICT 業界が集まり、手法の共通化を推進してきた経緯があ り、特にICTの利活用によるプラスの要因とマイナス の要因を定量化する方法論を開発してきた(図2)。 現在、SG5/WP3で勧告化されたLシリーズと審議 中の勧告案を表1に記す。L.1400は、Q18で今後 審議される内容の概要を勧告化したものでWP3の第 1期(2009~2012年)の活動を総括するものと 言える。ICTと環境に関するWP3は、各国政府の関 心が高く、イタリア、アルゼンチン、韓国などから招 聘を受け、WP3会合を開催してきた。 今後の活動 2012年3月で第1期の3年間を終えようとしてい るが、3年で勧告化を計画していた主要な案件で手つ かずのもの、2011年9月ソウル会合で正式に立ち上 がったQ22,23については、第1期では到底議論し尽 くせない。2012~2015年の第2期で継続審議され ると考えられるが、気候変動に対応するICTの役割は 重要性を増しているため、各国からの重要寄書提出に 副委員長 

杉山 泰之

(日本電信電話株式会社) 委員長 

端谷 隆文

(富士通株式会社)

ICTと気候変動専門委員会

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TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 ◉特集 注意していく必要がある。 欧州委員会は、代表的な標準化団体で策定された、 もしくは予定されている気候変動に関する標準規格を 図3のようにマッピングし、域内における規制に利用 しようとしており、これらの動向にも注視する必要が ある。 さらに、環境を考える場合、CO2やエネルギーだ けではなく、生物多様性、資源枯渇、レアメタル、水 問題など多くの考慮すべき課題が存在し、次の課題と して取り上げるべきとの声も漏れ聞こえてくる。この 第1期間に勧告化され、日本にとって重要な勧告文の ダウンストリームはもちろん、これらの多くの課題が WP3で取り上げられれば、本委員会が引き続き対応 していくのが順当であろう。委員会メンバーのさらな る協力をよろしくお願い致します。 表1 承認された勧告とAAP中の勧告案 承認された勧告 L.1000 (Q 21)

Universal power adapter and charger solution for mobile terminals and other hand held ICT devices

L.1300 (Q17)

Green data centers development best practices L.1400

(Q 18)

Overview and general principles of methodologies for assessing the environmental impact of information and communication technologies

The Alternative Approval Process 中の勧告案 L.1410

(Q 18)

Methodology for environmental impact assessment of information and communication technologies goods, networks and services

L.1420 (Q 18)

Methodology for energy consumption and greenhouse gas emissions impact assessment of Information and Communication Technologies in organizations

L.1100 (Q 21)

A method to provide recycling information of rare metals in ICT products

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TTC Report 2012. January Vol.26/No.4

◉特集

図2 ICTと環境負荷の関係

図3 Methodologies Mapping across ICT Standardization Organizations The international Chairmen’s meeting(2011.1.20)より引用

参照

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