• 検索結果がありません。

先天性孤立性一側肺動脈欠損について三重大学医学部胸部外科

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "先天性孤立性一側肺動脈欠損について三重大学医学部胸部外科"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

平成17年 3 月 1 日 65

Editorial Comment

PEDIATRIC CARDIOLOGY and CARDIAC SURGERY VOL. 21 NO. 2 (139)

先天性孤立性一側肺動脈欠損について

三重大学医学部胸部外科 新保 秀人

 先天性一側肺動脈欠損はまれな疾患で多くは心内奇形を合併し,特にファロー四徴症や心室中隔欠損などの合併 が多いとされる.しかし,ごくまれには心内奇形を伴わず,孤立性に発症することがあり,孤立性一側肺動脈欠損 と呼ばれる.

 益原論文はこのまれな疾患に対し,乳児期に外科治療を行い良好な結果を報告するものである.益原論文にも記 載はされているが,ここでは孤立性も含めて一側肺動脈欠損についてまとめてみたい.

 本疾患はまれであるにもかかわらず疾患の存在はかなり古くから知られており,1868年にFraentzel1)が25歳女性の 心不全にて死亡した例を報告している.報告では右肺動脈が上行大動脈から起始していたとある.ここで注意すべ きことは診断名を混同しないことである.現在は一側肺動脈欠損症と一側肺動脈大動脈起始症は同一範疇の発生異 常として考えられており,そのことに留意すべきである.欧米の論文をみても一側肺動脈欠損症としてまとめて論 じられている文献が多いが,一方で一側肺動脈大動脈起始症は乳児早期に症状が出現し早期の外科治療は必要にな ることもあり,これだけを論じている成書2,3)もある.要は繰り返しになるが,一側肺動脈大動脈起始症は一側肺動 脈欠損症と同一範疇の疾患であり,その一つの形態であるとされることに注意すべきである.

 Cucciら4)によれば一側肺動脈欠損症の発生学的説明としては肺動脈弓である第 6 鰓弓動脈の発生異常ととらえら れている.肺血管は大動脈幹から分割される肺動脈幹,第 6 鰓弓動脈から形成される左右肺動脈,肺原基から発生 する肺内血管の 3 つから構成される.このうち大動脈幹の分割が進む過程で左右肺動脈の肺動脈幹への開口もしく は連続性が形成されるため,大動脈幹の分割の異常は肺動脈の形成異常すなわち一側肺動脈欠損となるとされる.

この分割の異常と一側肺動脈欠損との関係は川田ら5)の論文に詳細な考察がなされている.1972年の論文であるがぜ ひ一読しておくべき優れた論文である.

 本疾患の発生学的説明より,大動脈幹の分割から第 6 鰓弓動脈の発生における異常であると考えられ,心内奇形 を合併しやすく,心内奇形を合併しない孤立性一側肺動脈欠損症はまれであることは理解しやすい.孤立性一側肺 動脈欠損症については益原論文にみられるようにShakibiら6),Ten Harkelら7)が詳細に分析している.一側肺動脈欠損 といっても肺門部より末梢ではCTやMRIなどにより肺動脈が証明されることも多く,また剖検例による検討でも多 くは肺門部に血管を認めるとされる.手術を計画するのであれば心臓カテーテル検査は重要な検査となり,pulmonary venous wedge angiographyは有用と考えられる.症状はその血管にかかる血圧,血流量によって幅がある.Ten Harkel らによれば,肺高血圧が認められたのは44%であったという7).外科治療は喀血などの症状を取るための肺葉切除 と,肺動脈の血行再建とがある.彼らの報告では手術症例数が少ないが,早期に診断され,肺門部に肺動脈が認め られれば手術により血行再建がなされ,肺高血圧の発症が防ぐことができると考えられることから早期の診断が重 要である.

 【参 考 文 献】

1)Fraentzel O: Ein fall von abnormer communication der aorta mit der arteria pulmonalis. Virchow’s Arch Path Anat 1868; 43: 420–426 2)Kouchoukos NT, Blackstone EH, Doty DB, et al: Cardiac Surgery. Philadelphia, Churchill Livingstone, 2003, pp 1231–1239

3)安井久喬,角 秀秋,益田宗孝:先天性心疾患手術書.東京,メジカルビュー,2003,pp144–145

4)Cucci CE, Doyle EF, Lewis EW Jr: Absence of a primary division of the pulmonary trunk. An ontogenetic theory. Circulation 1964;

29: 124–131

5)川田志明,竹内成之,今村洋二,ほか:一側肺動脈欠損症および肺動脈大動脈起始症の外科治療.胸部外科 1972;25:685–

699

6)Shakibi JG, Rastan H, Nazarian I, et al: Isolated unilateral absence of the pulmonary artery. Review of the world literature and guidelines for surgical repair. Jpn Heart J 1978; 19: 439–451

7)Ten Harkel AD, Blom NA, Ottenkamp J: Isolated unilateral absence of a pulmonary artery: A case report and review of the literature.

Chest 2002; 122: 1471–1477

参照

関連したドキュメント

どにより異なる値をとると思われる.ところで,かっ

この説明から,数学的活動の二つの特徴が留意される.一つは,数学の世界と現実の

投与から間質性肺炎の発症までの期間は、一般的には、免疫反応の関与が

 局所々見:右膝隅部外側に栂揃頭大の腫脹があ

信心辮口無窄症一〇例・心筋磁性一〇例・血管疾患︵狡心症ノ有無二關セズ︶四例︒動脈瘤︵胸部動脈︶一例︒腎臓疾患

 仙骨の右側,ほぼ岬角の高さの所で右内外腸骨静脈

10例中2例(症例7,8)に内胸動脈のstringsignを 認めた.症例7は47歳男性,LMTの75%狭窄に対し

これらの定義でも分かるように, Impairment に関しては解剖学的または生理学的な異常 としてほぼ続一されているが, disability と