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志水先生と出会ってから

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Academic year: 2021

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志水先生と出会ってから

 みなさん、こんにちは。私は緑丘小学校で2年生の担任をさせていただいておりま す、村上と申します。今日は、私が志水先生の言われている指導法を実践していく中で、

どういう壁にぶつかり、悩み、そしてどうやって考えながら取り組んできたかをお話さ せていただきたいと思います。

 私が志水先生と初めて出会ったのは、平成17年度阪神地区算数研究大会で芦屋市の小 学校でした。ですが、申し訳ないことに志水先生の授業を見に行った訳ではありませ ん。当時私は、市内算数担当者会の幹事長をしていました。幹事長になったのは、算数の 指導が上手だったからでも、算数の授業に興味があったからでもありません。自分の勤 めている学校の校長先生が算数担当者会の会長であり、転勤してきた私が算数担当者にな っていたからでした。阪神大会の授業を見に行ったのも、授業を見に行ったのではな く、校長先生から駐車場と会場掲示を写真に撮ってくるようにと頼まれたからでした。

とういのは、次の年に伊丹が阪神地区発表の年だったからです。つまり、単なる会場視 察だった訳です。しかし、その日は私にとって忘れられない原点の日になりました。

 会場に着くと、男の先生が3年生の子どもたちを前に授業をされていました。デジカ メを片手に授業を見ていると、その先生は子どもたちと対話をしながら授業をされてい ました。そして、どんどん子どもたちの中に入り込み、○をされていました。○をしな がら声もかけていました。すごく新鮮でした。子どもと一体になっている、そんな表現 がぴったりの授業でした。私は担任の先生だと思っていたので、すごい先生だなと思っ ていました。授業が終わって講演会の会場に着いて、またびっくりしました。さっき授 業をされていた先生が講演者でした。言い方は悪いのですが、当時の私は理論ばかりを 話される講師の先生方にうんざりしていました。授業もされ、講演もされる。この先生 は何かがちがうぞ、そう思って聞いていると、志水先生の講演の中で「○付け法」とい って、子どもたちに○をすることを教わりました。その時私は1年生の担任だったので すが、さっそく次の日に○をしてまわってみました。すると、「うわ~先生。○してく れるん。ありがとう。」と言ってくれました。驚きでした。その時は2月だったので、

残り1ヶ月間は練習問題で○をつけていきました。私は、算数の授業が楽しくなってい ました。翌年、3年生の担任でした。算数の授業の始まりに音声計算を取り入れました。

そして、練習問題の適用題から、自力解決の○つけに挑戦しました。最初の内は○つけに 喜んでくれていた子どもたちでしたが、授業がざわつくようになりました。理由は2つ でした。1つはスピードが遅いことでした。志水先生の本を読み直すと、5秒・15秒 の法則があることがわかりました。それからはスピードを意識して、どこに○をつける のかを教材研究して授業に臨むようになりました。でも、まだざわつきました。2つ目 の理由、それは次への指示でした。○をつけた後、子どもたちに次の課題を言っていな かったのです。ですから、○をつけられた子どもは待ち時間がたいくつなものになっ

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て、友だちとしゃべったり、手遊びをしてうるさくなっていたのです。そして、その時 のクラスは42人だったのでなおさらでした。そこでまずはスピードと次の指示を意識 しながら、毎時間の算数の授業で○つけをしていきました。そうして、1学期が終わり ました。

 4月に子どもたちに出会った時に「算数が好き・少し好き・あまり好きではない・好 きではない」のアンケートをとっていました。その時、約6割の子が「算数があまり好 きではない」でした。「好きではない」は6人でした。でも、1学期の終わりの算数ア ンケートでは、「好きではない」がなんと0人、「算数が好き」が3人から28人に増 えました。理由を書く欄には、「すぐに○をしてくれるから」とか「できた時に一緒に 喜んでくれるから」など○つけのことが書かれていました。○付け法を使うようになっ てから、できていない子に肯定的な見方をするようになったことや、絶対に全員をでき るようにしたい、○をつけてあげたいと思うようになったからだと思います。そして、

そのための教材研究が具体的になりました。答えの載っている赤本を使って授業をしな くなったことは言うまでもありません。算数に対しての授業が変わると、だんだん他の 教科でも「○つけ」を行うようになり、自分の授業すべてが変わったように思います。

 話は変わりますが、私は野口英世が大好きです。赤ちゃんの頃、手をやけどし、ずっ といじめられ、手をうらんで生きていた人が、自分の努力と信念で人生を切り開いてい く姿が、とてもかっこよくうつったからです。その野口英世がある医者の集まりの会合 で、新薬を開発した先生が「これで100人中50人は救えます」と言われたことに対し て「私は100人いたら100人救いたい」と言ったそうです。志水先生に出会う前の私 は、クラスの子どもが40人いたら40人すべてをわかるようにしたいという気持ちは 薄かったですし、とりあえず授業をし、わからなかった子どもたちには休み時間や給食 の空き時間、放課後に補おうと思っていました。でも、子どもたちは、できるだけその 時間内でわかるようになりたいと思っていると思います。それは、前任校の摂陽小学校 で2年間、児童支援という立場でできない子にかかわってきましたので、はっきりとい うことができます。

 また、野口英世の話に戻りますが、昔は人生を切り開いてきた生き方にあこがれてい ました。でも今はちがいます。野口英世は手や経済的なハンデを、時々に出会う人の温 かな励ましの声によって、がんばろうという気持ちになったのではと考えるようになり ました。○付け法は、クラスの子どもたちすべてに○をして声をかけます。温かな励ま しの声によって子どもたちは学習意欲も出てくるでしょうし、クラスの雰囲気は絶対に 良くなると思います。それは、私自身の学級経営で体験しています。

 以上私のつたない体験でしたが、どうか今回学んだことを、よろしければ2学期から 実践していただきたいのです。○つけをしながら、子どもたちの中へ入ってほしいで す。そして、その体験を持って、また来年集い合えたら素敵だなと思っています。意味 付け復唱法についてはこれから学んでいきますので、省略させていただきますが、子ど

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もたちの発言を教師の言葉に言い換えず、そのままひろって広げていくもので、これも どの教科でも使える素晴らしい手法です。私もみなさんと一緒にしっかり学んでいきた いと思いますし、実践していく中で、困ったことやわからないことができたときは遠慮 なく連絡してほしいです。私もまだまだ教えられるほどではありませんが、志水先生に 手紙やメール等でお聞きしながら伝えていこうと思っています。

 最後に、今回は私が教師2年目の時に5年生で担任した佐藤さんが参加してくれていま す。この時の私の算数の授業の中で、忘れられない苦しい思い出があります。それは、

わからないで机にうつぶせになっている子に対してした声かけです。「わからなくて も、写すぐらいはできるやろ。写しなさい。」と言ってしまったのです。その子は泣き ながら写していました。もしも、タイムマシンがあるなら、あのときに帰って「まず式 を書いてみようか」「よし書けたね。じゃあ、これとこれを足してみようか」などの声 をかけたいと、いつも思うのです。

 2学期からまた子どもたちと向き合う日々が始まりますが、どこまでも子どもたちに 寄り添い、算数が「わかる・できる」喜びを共に味わっていきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

兵庫県伊丹市 村上大介

参照

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