志水先生の示範授業から学んだこと
○ 志水先生の授業を見せていただく前に、授業参観アンケートを準備し、冒頭にこう書いた。
志水先生の今回の授業も、ていねいで、子どもにしっかり考えさせ、確かめ、どの子も「できた」
「分かった」を保障する授業でした。上の①から⑤の視点にそって、学んだことをまとめます。
① 課題をしっかりつかませるための対応
問題を提示する時、問題文を読ませた後、子ども達と一緒に場面を丁寧に確かめた。
そして、「一つのテーブルに4人すわって、これが10こあると椅子は何個になる?」と尋ね、
子どもが一番勘違いしやすい考えを取り上げた。「この問題は、そうじゃないんだよね」と 子どもに問い、テーブルがつながっている場合を考えさせた。
⇒問題文を読んだからといって、その場面が本当にイメージできているかは分からない。
一緒に場面を確かめることによって、どんな場面で、何が問われているのかをはっきりさせ た。
これを積み重ねることによって、子どもたちは問題分から場面をイメージするというのはど う
いうことかを学んでいくことができる。私たちは最初の一歩を荒く扱いすぎて、問題文から 場
面をイメージさせるという訓練をしていなかったのではないかと思った。
② どの子にも考えさせる場作り
丁寧に課題をつかませた後、志水先生は「できそうか?」と聞く。今回は大勢の人が見ていた
志水廣先生 示範授業を見るポイント
○ 志水廣先生は、全国のいろいろな学校を回りながら「どの子もできる・わかる授業
作り」の示範授業を行っておられます。
志水先生の授業の特徴は、まず「ほめてのばす」が基本姿勢です。その上で、
① 課題をしっかりつかませるための対応
② どの子にも考えさせる場作り
③ 一人ひとりができているかの確認(○つけ法)
④ 子どもにしっかりと考えを言わせるための、意味づけ復唱と切り返し
⑤ 子どもの言葉を生かして考えをまとめる
と、いうところです。教師が中心で教師が考えた授業案どおりに進めることを第一
にはしていません。今日出会った子ども達の反応を見ながら、とても丁寧に、しつ
こく、授業を進めます。多くを学びとっていただきたい授業になると思います。
か
ら、児童に「目をつぶって」といってできそうか、ちょっと不安かを聞いて挙手させた。2名い た。
それを確認してから問題解決に取り組ませた。
また、問題を解くときに、「式」「図」「答え」の3つを出すことを確認した。子どもたちは 何を、どのようにすればよいかわかると、すぐに取り組み出す。この確認が重要であった。
⇒ここで、しっかり子どもに予想させる、考えさせる、自分の立場を持たせることが肝心であ る。
しかし、まだよく分からない子どももいるだろう。その数が多ければもう少しヒントを話し 合
うだろうし、少なければ、個別に指導する。また、「式」「図」「答え」を書けばよいこと などは
自明であると思うだろうが、確認は大事である。「どの子も」その時に本当にすることが分 かっ
ているかは必ず確かめたい。
③ 1人ひとりできているか、○つけで確認
「やってごらん、よーい、どん」と言ってから、1人ひとりを見て回る。今回も「○つけ 法」
のお手本を見ることができた。できた子どもには「いいじゃん。」「できてるよ。」「すご いなあ。」
「よしよし」「おもしろいなあ。」「レベル高いぞ」など、ほめことばが矢継ぎ早に出てく る。
詰まっている子どもには、「図はできてるよ。式が難しいのかあ。」とできているところ をほ
めて、それから子どものつまづきに共感する。そのあとに指導だ。指導といっても「これは こ
うなるよね。」と教師が1人で説明してそれを子どもに「うん」と言わせることではない。
子ど
もとやり取りしながら、子どもが考えて答えを出せるように導いた。
⇒考える場を持たせる場面では、1人ひとりの問題解決の様子を「見届け」「励まし」「ワン ポ
イントアドバイス」を行う。それが○つけ法である。全ての子どものノートを見まわりなが ら、
その子どもに適したアドバイスをする。ここで気をつけたいのは「アドバイス」であって、
「こ
うでしょう。」と教えるのではない。「これは、どっちかな?」「ここに10があるなら、
ここは?」
など、子どもに必ず考えさせ、選ばせているところである。あるいは、「図はあってるよ」
「×
2はいいよ」など、部分的にあっているところを言う。「できているところ」と「まだでき てい
ないこと」を明確にするのも的確なアドバイスになる。
④ 子どもの考えを受け止め・広げ・深めるための意味づけ復唱法
子どもの考えを発表させた時、志水先生の視線は、半分発表者、半分は全体に向けられてい る。
子どもの発表を理解しつつ、聞き手の子ども達の反応も確かめている。うなずく子ども、?と 思
っている子ども、自分のノートに目をやっている子どもなど、発言が子ども達に広がっている の
かを確かめている。そして、確実に「広げる」ために、子ども達にきちんと復唱させた。また、
「ほんとにそうなってるか?」「図で言うとどこ?」など確かめるための切り返しを行なった。
⇒ここでも「確認」である。発言する子どもの考えが他5志水先生はしつこく確認し、安易 に
「同じです」を言わせない。「図で言うと?」「式では?」など確認をおこたらない。「どの 子にも
分かる」というのは、いつも子どもが授業に参加しているか、考えているかを確認して行くこ と
抜きには考えられない。志水先生の「しつこい」授業は子ども達から見ると「自分のことを見 て
くれる、愛ある」授業である。
⑤ 子どもの言葉で考えをまとめる
子どもの発言の中で、重要な考えにつながる言葉は、ホワイトボードに書いていく。あるい は
矢印や図や動作化などでしめす。子どもの言葉を丁寧にとりあげ、復唱して広げ、他の子ども に
も説明させていくことで、子どもたちは自分の持っている語彙を駆使して理解を深めている。
教
師の語彙は、子どもの語彙力を超えているから、つい難しい言葉を使ってしまう。算数的な語 彙
力を増やす場面と、新しい考えを説明する場面での目的には、当然違いがある。前者は言わせ
て
覚えさせて使わせ、習得するという目的、後者は持っている語彙、知識を活用して説明すると い
う目的である。
⇒授業の一番最後に、一番後ろに座っていた子どもが、「ああ、そうかー」とつぶやいた。
小さい声だったので、志水先生には届かなかったかもしれない。その子どもは、自分の考 え
とは違う考えが、始めは理解できないようだった。しかし、式が図のどこを示しているか を
確かめた時、この言葉がでたので。1人ひとりにこの「そうか」がある授業だった。子ど も
たちは自分の考えに自信をもち、また、新しい考えに触れることで「式の読み方」を学ん だ。
今回は、授業の流れにそって5つの観点でまとめてみました。本校の先生方の感想等はまた まとめて送ります。ありがとうございました!