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全国体力調査によって明らかになったこと

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全国体力調査によって

明らかになったこと

 この章では、全国体力・運動能力、運動習慣等調査(全国体 力調査)の 3 年間の実施による変化として、学校における新体 力テストの実施率が 100%近くにまで上昇していることや、学 校・教育委員会で体力向上の取組が様々な方法で推進されてい ることを紹介しています。  また、3 年間の調査から、運動をする子どもとしない子ども の二極化が見られることや、それによって体力レベルにも差が 生じていること、その背景にある運動習慣や生活習慣と体力と の関係について、詳細な分析が示されています。  さらに、全国体力調査の分析結果を踏まえ、学校での授業や それ以外での体力向上への効果的な取組や家庭・地域との連携 を行うに当たって、糸口となるポイントを解説します。 1 新体力テストの実施状況の変化 ……… 16 2 3 年間の体力合計点の変化と都道府県別の体力の比較 ……… 16 3 運動習慣と体力の二極化傾向 ……… 17 4 1 週間の総運動時間が 60 分未満の子どもの運動時間の分析 …… 19 5 1 週間の総運動時間の違いによる体力評価区分の比較 ……… 20 6 体育・保健体育の指導におけるポイント ……… 21 7 生活習慣と体力の関係 ……… 22 8 家の人と子どもとの運動やスポーツへの関わり合い ……… 23 9 学校質問紙調査の分析から分かったこと ……… 24 学校と教育委員会の現地調査から分かったこと ……… 26 教育委員会アンケートの分析から分かったこと ……… 27

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1 新体力テストの実施状況の変化

 全国体力・運動能力、運動習慣等調査(以下、全国体力調査)を実施することにより、「新 体力テスト」の学校における実施率に、大きな変化が見られた。  全国体力調査の実施初年度である平成20年度の実施学校数の割合は、小学校71.0%(特 別支援学校小学部11.3%)、中学校・中等教育学校70.1%(特別支援学校中学部14.6%)であっ た。次年度の平成21年度には、実施率が小学校87.0%(特別支援学校小学部13.8%)、中学校・ 中等教育学校84.3%(特別支援学校中学部17.1%)と増加している。平成22年度は、約20% の割合で抽出された学校で調査が実施され、平成23年度は東日本大震災の影響で実施を見 送ったが、別の文部科学省の調査結果から新体力テストの実施状況の変化を見ると、全国 体力調査実施前の平成18年度と実施3年目の平成22年度の実施率(全国の学校数に対する 実施学校数)は図2-1のようになっている。  これによれば、実施率が小学校では65.5%から95.5%に、中学校では76.4%から98.7%へと、 大幅に増加していることが分かる。また、都道府県別の実施率で見ると、小学校では平成 18年度には50%に満たない都道府県がいくつかあったが、平成22年度には多くの都道府県 が90%以上になり、中学校も多くの都道府県が100%に近い実施率となっている。  実施率が急速に高まった理由は、平成20年度から2年間、全ての小・中学校を対象に全国 体力調査が行われたことにより、学校と教育委員会の体力への関心が高まり、新体力テス トの重要性が認識されたことが大幅な実施率の増加へつながった要因として考えられる。

2 3年間の体力合計点の変化と都道府県別の体力の比較

 体力合計点の全国平均の数値を、小・中学校、男女別に示したのが図2-2である。この3 年間では、体力合計点は一定の水準を維持している。 48 50 52 54 56 58 60 平成22年度 平成21年度 平成20年度 体力合計点 54.2 54.2 54.4 (点) 48 50 52 54 56 58 60 体力合計点 54.9 54.6 54.9 (点) 平成22年度 平成21年度 平成20年度 ●男子 ●女子 中学校 50 60 70 80 90 100 平成22年度 平成18年度 (%) 65.5 95.5 95.5 50 60 70 80 90 100 平成22年度 平成18年度 (%) 76.4 98.7 98.7 図2-1 新体力テストの実施率の変化(平成18年度と平成22年度) 小学校 小学校

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 各テスト項目の都道府県別に最も高い平均値を示した都道府県(最大値)と最も低い平 均値を示した都道府県(最小値)を比較すると、どの項目においても、都道府県間でかな りの差があることが分かる(表2-1)。各項目の得点の合計による総合評価別の割合を各都道 府県別に比較すると、総合評価Aの割合においても、中学校女子の最大値が39.6%、最小 値が12.7%と大きな開きが見られ、小学校でも同様の傾向が見られた。

3 運動習慣と体力の二極化傾向

 これまでも、運動する子どもとしない子どもの体力水準が二極化しているのではないか と推測されていた。全国体力調査において、1週間の総運動時間を平日・土日別に算出した ことにより、運動時間の分布をより詳細に把握することができた。その結果、1週間の総運 動時間において二極化が起きていることがはっきりと示された。この分布を60分単位に区 分して、小・中学校別、男女別に示したのが図2-3である。  中学生においては、男女とも、運動やスポーツの実施時間が1週間に60分未満の生徒の割 合が最も多く、男子では9.3%、女子では全体の1/3に近い31.1%が1日に平均して10分足ら ずしか体を動かしていないという実態が示されている。そして1週間の総運動時間が300分 前後を底としたU字を描き、総運動時間が900分前後を頂点とした分布が見られることから、 運動時間の二極化を読み取ることができる。 中学校 30 35 40 45 50 55 平成 22 年度 平成 21 年度 平成 20 年度 体力合計点 41.4 41.3 41.5 (点) 30 35 40 45 50 55 平成 22 年度 平成 21 年度 平成 20 年度 体力合計点 48.3 47.9 48.0 (点) ●男子 ●女子 図2-2 平成20、21、22年度の体力合計点 表2-1 都道府県平均値の最大値と最小値の比較(平成22年度) 項目 単位 最大値 最小値 最大値と最小値の差 握力 ㎏ 32.53 28.42 4.11 上体起こし 回 29.44 25.11 4.33 長座体前屈 ㎝ 48.22 40.75 7.47 反復横とび 点 54.19 48.00 6.19 持久走(1500m) 秒 363.61 516.30 152.69 20mシャトルラン 回 95.12 75.69 19.43 50m走 秒 7.80 8.24 0.44 立ち幅とび ㎝ 204.00 187.67 16.33 ハンドボール投げ m 22.81 20.21 2.60 体力合計点 点 45.94 38.38 7.56 総合評価A % 14.0 2.2 11.8 総合評価E % 3.0 10.5 7.5 ●男子 項目 単位 最大値 最小値 最大値と最小値の差 握力 ㎏ 24.62 23.01 1.61 上体起こし 回 25.34 19.80 5.54 長座体前屈 ㎝ 48.25 42.18 6.07 反復横とび 点 47.63 41.78 5.85 持久走(1000m) 秒 273.36 368.00 94.64 20mシャトルラン 回 66.89 47.46 19.43 50m走 秒 8.61 9.18 0.57 立ち幅とび ㎝ 173.24 160.07 13.17 ハンドボール投げ m 14.21 12.38 1.83 体力合計点 点 52.99 43.44 9.55 総合評価A % 39.6 12.7 26.9 総合評価E % 0.6 6.1 5.5 ●女子 中学校 第

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小学校 小学校  この集団を420分(1日平均で60分)を境に2群に分けて、各群の体力合計点の分布を表し たのが図2-4である。中学生は、男女とも、正規分布した二つの山が見られ、平均値におい て差が見られることから、運動をしている子どもとしていない子どもの体力においても二極 化している現状が認められる。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 1週間の 総運動時間60分未満 10.5% 2,400 2,100 1,800 1,500 1,200 900 600 300 (分) 1 週間の総運動時間 0% 5% 10% 15% 20% 25% 1週間の 総運動時間60分未満 24.2% 2,400 2,100 1,800 1,500 1,200 900 600 300 (分) 1 週間の総運動時間 ●男子 ●女子 図2-3 1週間の総運動時間の分布(平成22年度) 中学校 0 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 2,400 2,100 1,800 1,500 1,200 900 600 300 (分) 1週間の 総運動時間60分未満 9.3% 1 週間の総運動時間 0 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 2,400 2,100 1,800 1,500 1,200 900 600 300 (分) 1週間の 総運動時間60分未満 31.1% 1 週間の総運動時間 ●男子 ●女子 0% 1% 2% 3% 4% 5% (点) 80 75 70 65 60 55 50 45 40 35 30 25 20 15 10 体力合計点 1週間の総運動時間 全体 420分以上 420分未満 0% 1% 2% 3% 4% 5% (点)80 75 70 65 60 55 50 45 40 35 30 25 20 15 10 体力合計点 1週間の総運動時間 全体 420分以上 420分未満 ●男子 ●女子 図2-4 1週間の総運動時間と体力合計点との関連(平成22年度) 0% 1% 2% 3% 4% 5% (点)80 75 70 65 60 55 50 45 40 35 30 25 20 15 10 体力合計点 1週間の総運動時間 全体 420分以上 420分未満 0% 1% 2% 3% 4% 5% 80 75 70 65 60 55 50 45 40 35 30 25 20 15 10 1週間の総運動時間 全体 420分以上 420分未満 体力合計点 (点) 中学校 ●男子 ●女子

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 小学生については、総運動時間60分未満の児童の割合は、図2-3に示すように、男子で 10.5%、女子で24.2%である。420分(1日平均で60分)を境に2群に分けると、図2-4に示す ように、体力合計点の分布は中学生と同様である。このことから小学生においても、体力 の二極化の傾向が認められる。  このことから、運動時間の少ない子どもたちに対する働きかけが、体力向上にとっての 課題であることが分かる。つまり、体育・保健体育の時間以外には週に60分未満(平均す れば1日10分以下)しか運動をしていない児童生徒の運動時間を増やすことが、全体の子ど もの体力を向上させる重要なポイントであると考えられる。

4 1週間の総運動時間が 60 分未満の子どもの運動時間の分析

 前項で明らかになったように、1週間の総運動時間が60分に満たない子どもはかなりの数 に上るが、この子どもたちの運動時間について、さらに詳細な分析を行った。  全国体力調査では、平日に平均して運動する日数、平日を平均しての1日の運動時間、土・ 日曜日別のひと月の平均運動実施回数とその平均時間についての回答から、児童生徒の1週 間の総運動時間(学校の体育・保健体育授業以外での運動時間)を算出している(156ペー ジ参照)。  1週間の総運動時間が0分から60分未満の児童生徒の群を、0分の群と15分ごとの群に分 けて、その人数の割合を小・中学校、男女別に円グラフで表したのが図2-5である。 図2-5 1週間の総運動時間が60分未満の子どもの運動時間の内訳(平成22年度) 23.6% 27.6% 15.2% 15.5% 18.2% 21.9% 26.5% 15.9% 16.4% 19.3% 1分以上15分未満 15分以上30分未満 30分以上45分未満 45分以上60分未満 0分 ●男子 ●女子 1分以上15分未満 15分以上30分未満 30分以上45分未満 45分以上60分未満 0分 ●男子 ●女子 49.4% 20.3% 8.3% 8.9% 13.1% 55.4% 18.7% 7.0% 6.9% 12.0% 中学校  この図から、1週間の総運動時間が60分未満の群の中で、体育・保健体育の授業以外に は全く運動やスポーツをしていない( 0分)子どもが、小学校で男女とも25%弱、中学校で男 女とも50%前後という高い比率で存在していることが分かる。0分の群に1分以上15分未満 しか運動していない群を加えれば、小学校では男女とも約半数、中学校の男子では約2/3、 女子では約3/4となり、これらの児童生徒は体育・保健体育の授業以外では、ほとんど運動 小学校 第

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をしていないことが示された。  学校の体育・保健体育の授業以外にはほとんど運動をしていない子どもたちに、少しで も運動やスポーツをする時間を増やせるよう、どのように働きかけていくことができるかが 重要な意味を持っている。その働きかけが、該当年代の全体の体力合計点を向上させるだ けではなく、子どもたちのより健やかな成長を促し、さらに将来成人した後に、運動やスポー ツを日常的に実施することになり、健康や体力の維持・増進につながることになると考えら れる。  この調査の別の分析から得られた結果では、こうしたほとんど運動をしていない子ども たちは、平日のみならず土・日曜日の運動時間も短いことが示されている。  学校の体育・保健体育の授業以外にはほとんど運動をしていない子どもの運動やスポー ツをする時間を増やすためには、運動をほとんどしない子どもだけを対象とするよりも、学 校の児童生徒全体を対象としたプログラムに一緒に参加し、他の子どもたちと運動する機 会をつくり、運動時間を増やすことが効果的であると考えられる。  また、学校で毎日、始業前・業間・放課後のどこかで、10分間の運動プログラムに全児 童生徒が参加するような機会を設ければ、全員が運動時間を週に50分増やすことができる。 このように、工夫されたプログラムを複数用意するなど、内容を変化させることにより年間 を通して継続することが可能となる。  さらに、土・日曜日に、仲間や家族と、あるいは一人でも楽しめるプログラムを提供する ことなどで、より運動時間を増やすことが可能となれば、週に60分以上運動やスポーツに 取り組むことができるようになると考えられる。  学校での体力向上のプログラムは、日頃運動をほとんどしていない、あるいは運動の不得意な 子どもたちへの働きかけを念頭に置きながら、企画・立案して実行することが重要である。

5 1週間の総運動時間の違いによる体力評価区分の比較

 学校の体力向上の成果として、5段階の総合評価(A∼E)におけるD段階とE段階が減少 してA段階とB段階が増加することが重要である。すなわち「(A率+B率)−(D率+E率)」 の数値によって、集団の体力水準を評価したり、体力向上の指標にすることができる(152 ページ参照)。  図2-6は、小学生の1週間の総運動時間を60分未満、60分∼ 420分未満、420分以上の3群 に分けて、A∼Eの5段階の割合をグラフに示し、あわせて「(AB−DE)率」の数値を示し たものである。  評価基準が異なるので男女を比較することはできないが、男子、女子のそれぞれについ ては、1週間の総運動時間で体力区分の割合は明らかに異なり、運動時間が長いほどA段階 とB段階が増加し、D段階とE段階が減少していることが示されている。「(AB−DE)率」 値も、 運動時間が長くなるとマイナスからプラスに転じて、運動時間によってその値に大きな違い が見られた。中学生の男女でも、数値は異なるが、全く同じ傾向を示している。  このことから、1週間の総運動時間を長くすれば、D率とE率が減ってA率とB率が増加し、集団 としての体力向上につながることになる。運動をほとんどしていない子どもや、体力がD段階やE 段階に分類される子どもへ働きかける取組が、体力向上の重要な課題ということが言えるであろう。

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6 体育・保健体育の指導におけるポイント

1)「コツがわかる」「うまくできる」「体育の授業が楽しい」と体力の関係  平成21年度の全国体力調査では、体育の授業で「動きのコツがわかった」「運動やスポー ツがうまくできるようになった」「体育の授業は楽しい」という質問を児童生徒にしている。 これらの質問への回答の相互関係と、体力合計点との関係を分析した中学生女子のデータ が図2-7、2-8、2-9である。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% わからなかった あまりわからなかった ややわかった わかった 68.7 29.7 1.3 0.2 22.0 68.1 9.3 0.5 3.9 47.3 44.2 4.6 2.7 14.7 34.3 48.2 ややできるようになった あまりできるようにならなかった できるようにならなかった できるようになった 図2-7 体育の授業で「コツがわかった」と「うまくできるようになった」との関連(平成21年度) 中学校 ●女子 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 420分以上 60分∼420分未満 60分未満 A : 1.3 B : 7.1 C : 27.3 E : 28.3 (ABーDE)率 D : 36.1 A : 18.3 B : 33.7 C : 33.4 E : 2.3 D : 12.3 A : 3.5 B : 16.1 C : 38.1 E : 11.9 ( ー56.0 ) ( 37.4 ) ( ー22.7 ) D : 30.4 ●男子 (ABーDE)率 ( ー23.0 ) ( 50.5 ) ( 7.4 ) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 420分以上 60分∼420分未満 60分未満 A : 3.7 B : 16.1 C : 37.4 D : 30.5 E : 12.3 A : 26.6 B : 34.6 C : 28.2 E : 1.5 D : 9.2 A : 9.0 B : 25.2 C : 39.1 D : 21.3 E:5.5 ●女子 図2-6  1週間の総運動時間別の体力区分(A段階∼E段階)の割合と(AB−DE)率(平成22年度) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 楽しい できるようにならなかった あまりできるようにならなかった ややできるようになった できるようになった 74.6 23.3 1.7 0.4 34.2 53.5 10.8 1.5 9.0 44.1 36.3 10.6 4.9 15.4 24.8 54.8 やや楽しい あまり楽しくない 楽しくない 楽しい 図2-8 体育の授業で「うまくできるようになった」と「体育の授業が楽しい」との関連(平成21年度) 中学校 ●女子 ●女子 全国平均 30 35 40 45 50 55 わからなかった あまりわからなかった ややわかった わかった 体力合計点 53.5 48.0 42.6 39.2 (点) 全国平均 30 35 40 45 50 55 楽しくない あまり楽しくない やや楽しい 楽しい 体力合計点 52.4 46.2 41.4 38.8 (点) ●女子 図2-9 「体育の授業が楽しい」「コツがわかった」と体力合計点との関連(平成21年度) ●体育の授業が楽しい ●体を動かすコツがわかった 中学校 小学校 第

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●男子 全国平均 40 45 50 55 60 8時間以上 6∼8時間未満 6時間未満 体力合計点 52.2 54.8 55.1 (点) 全国平均 40 45 50 55 60 8時間以上 6∼8時間未満 6時間未満 体力合計点 (点) 51.5 54.0 54.9 ●女子  これによれば、コツがわかったと答えた生徒はうまくできるようになったと多くが答えて おり(図2-7)、うまくできるようになれば体育の授業が楽しくなることが分かる(図2-8)。また、 コツがわかった、授業が楽しい、と答える生徒の体力合計点が高い(図2-9)という結果が 示されている。この関係は、小学生男女でも、中学生男子でも同様である。  この結果は一見当たり前のことのようではあるが、体育・保健体育の授業を進める上で は重要なことが明らかになっていると言ってよい。児童生徒が動きのコツをつかめれば、で きなかった運動ができるようになり、それを反復すればより上達し、体育・保健体育の授業、 運動やスポーツをすることが楽しくなる。そして、楽しくなれば運動やスポーツをする時間 や機会が増える、というサイクルを繰り返すことで、運動時間が増大し、結果として体力も 高められていくことになると考えられる。  このように、体力を高めるためには、それに特化したトレーニングだけを繰り返せばよい のではなく、体育・保健体育の授業の中で、様々な運動に挑戦させ、その動きのコツを習 得させることにより、できた達成感や充実感を味わわせることが重要である。そして、さら に反復したり、新しい課題に挑戦するというサイクルをスパイラル(らせん状)に繰り返し たりすることにより、体力の向上につながっていくのである。  体育・保健体育の指導に当たっては、このサイクルを念頭に置きながら、授業内容や指 導方法を構築していくことが大切である。

7 生活習慣と体力の関係

1)睡眠時間と体力の関係  睡眠時間が6時間未満、6∼8時間、8時間以上の3群で体力合計点を比較すると、小学生 では男女とも8時間以上の群の体力合計点が高く、睡眠時間が短くなるほど体力合計点が低 いという結果が示された(図2-10)。  中学生では、3群で大きな差はないが、中間の6∼8時間群が体力合計点の高いことが示さ れた。 小学校

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2)朝食の摂取状況と体力の関係  朝食を「毎日食べる」「時々食べない」「毎日食べない」の3群で体力合計点を比較すると、 その順に体力合計点が低くなっていることが示された(図2-11)。 図2-10 1日の睡眠時間と体力合計点との関連(平成22年度) (点) 全国平均 30 35 40 45 50 55 8 時間以上 6∼8 時間未満 6 時間未満 体力合計点 47.2 47.3 48.3 (点) 全国平均 30 35 40 45 50 55 8 時間以上 6∼8 時間未満 6 時間未満 体力合計点 41.3 41.8 40.7 ●男子 ●女子 中学校 ●男子 40 45 50 55 60 毎日食べない 時々食べない 毎日食べる (点) 体力合計点 55.1 53.1 50.6 全国平均 全国平均 40 45 50 55 60 毎日食べない 時々食べない 毎日食べる 体力合計点 54.6 52.3 50.7 (点) ●女子 図2-11 朝食の摂取状況と体力合計点との関連(平成22年度) (点) 全国平均 30 35 40 45 50 55 まったく食べない 時々欠かす 毎日食べる 体力合計点 48.4 43.4 46.0 (点) 全国平均 30 35 40 45 50 55 まったく食べない 時々欠かす 毎日食べる 体力合計点 41.8 38.6 40.0 ●男子 ●女子 中学校  これらの生活習慣に関わる結果は、テレビ等(TVゲームを含む)の視聴時間でも同様で、 視聴時間が長くなると、体力合計点が低くなっている。適切な睡眠、朝食の摂取、テレビ 等の視聴という生活習慣の確立が、体力の向上にもつながるという根拠となるものである。

8 家の人と子どもとの運動やスポーツへの関わり合い

 平成22年度の全国体力調査では、家庭を構成する人たちと子どもの間の運動やスポーツ についての関わり合いの程度を調査するために、家の人と一緒に運動やスポーツを「する」 小学校 第

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章  全国体力調査 に よ っ て 明ら か に な っ た こ と

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 これによれば、男女とも、家の人と運動やスポーツを「する」頻度が高いほど、体力合 計点が高く、1週間の総運動時間が長くなっていることが認められる。  また、同 様 に 家の人と一緒にスポーツを「観戦する(テレビを含めて)」、運動やスポーツ について「話をする」ことについても、頻度が高くなるほど体力合計点が高く、総運動時間 が長くなっていることが示されている。こうした関係は、小学生でも全く同様であった。  家の人と一緒に運動やスポーツを「する」ことは、それ自体が1週間の総運動時間を増や すことにはなるが、総運動時間の中に占める割合はその一部分である。また「見る」「話す」 ことは体力向上の直接的な要因ではないが、家の人と一緒に運動やスポーツを「する」「見 る」「話す」ことでの関わり合いの多い環境が、子どもの運動やスポーツをする時間の増大や、 体力向上に好影響を与えていると思われる。  このことについては、第3章Ⅳ(106ページ)でも解説している。

9 学校質問紙調査の分析から分かったこと

1) 学校の継続的な取組の効果  平成20年度の全国体力調査から、小学校の体力向上の継続的な取組の状況と体力合計点 との関係を見たのが図2-13である。 図2-12 「家の人と運動やスポーツをする」頻度と体力合計点、1週間の総運動時間との関連(平成22年度) 全国平均 30 35 40 45 50 55 まったくしない 年に数回 1 か月に 1 回程度 2 週間に 1 回程度 週に 1 回以上 体力合計点 51.1 50.4 49.6 48.5 46.2 (点) 全国平均 30 35 40 45 50 55 まったくしない 年に数回 1 か月に 1 回程度 2 週間に 1 回程度 週に 1 回以上 体力合計点 42.5 41.7 (点) 43.6 43.1 40.5 ●男子 ●女子 中学校 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 1,100 まったくしない 年に数回 1か月に 1回程度 2週間に 1回程度 週に1回以上 663 622 503 581 731 1週間の総運動時間 (分) 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 1,100 まったくしない 年に数回 1か月に 1回程度 2週間に 1回程度 週に1回以上 1008 934 907 779 866 1週間の総運動時間 (分) ●男子 ●女子 中学校 「見る(観る)」「話す」の3つの行動に関わる頻度を児童生徒に質問した。その回答から、 それぞれの頻度と子どもの体力合計点及び1週間の総運動時間との関係を分析した。図2-12 は、子どもと家の人が一緒に運動やスポーツを「する」頻度と体力合計点及び1週間の総運 動時間との関係を示したものである。

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 様々な質問項目の中で、体力合計点と強い関連を示したものをあげると、小学校では、継 続的な取組を実施して、かつ持久走大会やなわ跳び大会などを実施し、かつ外部人材(地 域のスポーツ指導者)の活用を実施している学校は、男女とも、取組が増えるほど体力合 計点が高くなる傾向が示された。  中学校では、継続的な取組の実施に加わる項目が小学校とは異なり、男子では、体育行 事での外部人材(地域のスポーツ指導者)の活用、スキー教室(大会)の取組が、女子では外 部人材(地域のスポーツ指導者)の活用、取組に参加している生徒数の割合が80%の項目の 関連が強く、小学校と同様に取組が増えるほど体力合計点が高くなることが示されている。 2) 前年度全国体力調査の結果を踏まえた学校の取組の効果  平成22年度に行った3年間の追跡調査の中で、前年度の全国体力調査の結果を踏まえて2年 間継続して何らかの体力向上の取組をした学校、1年間のみ取組をした学校、取組をしなかっ た学校の3群に分けて分析を行った。その結果、平成22年度の体力合計点で比較すると、小・ 中学校ともに、取り組んだ期間が長い学校ほど体力合計点が高いことが示された(図2-14)。 図2-14 前年度の結果を踏まえた継続的な学校の取組状況と体力合計点との関連(平成22年度) ●男子 30 35 40 45 50 55 取組なし 平成22年度取組 2年間取組 41.9 体力合計点 (点) 全国平均 40.5 41.0 ●女子 30 35 40 45 50 55 取組なし 平成22年度取組 2年間取組 体力合計点 (点) 全国平均 全国平均 47.3 46.7 48.4 48.4 中学校 図2-13 体力向上の継続的な取組と体力合計点との関係(平成20年度) *決定木分析の結果によるグラフ 50 52 54 56 58 60 継続的な取組+持久走大会 +なわ跳び大会 +外部人材に対する 児童数40人以下の学校 継続的な取組 +持久走大会 +なわ跳び大会を実施している学校 継続的な取組 +持久走大会を 実施している学校 継続的な取組を している学校 継続的な取組を していない学校 (点) 体力合計点 53.9 55.0 55.6 56.3 55.3 全国平均 ●男子 50 52 54 56 58 60 継続的な取組+持久走大会 +1年以上継続的な取組 +外部人材に対する 児童数40人以下の学校 継続的な取組 +持久走大会 +1年以上継続的な 取組をしている学校 継続的な取組 +持久走大会を 実施している学校 継続的な取組を している学校 継続的な取組を していない学校 (点) 体力合計点 56.3 56.7 58.1 54.7 57.1 全国平均 ●女子 小学校 グラフは決定木分析という手法を用いて、体力合計点などの上昇に効果がある条件やその組み合わせを 探ったものである。そのため、学校種別や性別において、効果のある条件が異なる場合がある。 第

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章  全国体力調査 に よ っ て 明ら か に な っ た こ と

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 また、群間による比較を中学生の運動部活動への参加率で見ても、図2-16のように、男女 とも、高水準群、上昇群のほうが参加率が高かった。運動部活動への参加率の高さが、運 動やスポーツの実施につながり、1週間の総運動時間の伸長に有効に働いていることが推察 される。

10 学校と教育委員会の現地調査から分かったこと

 平成22年度には、全国体力調査の検討委員会が教育委員会と小・中学校への現地調査を 実施した。調査は、全国体力調査を実施した3年間に著しく体力が向上した都道府県と、高 水準の成績を維持した都道府県の中から2県を対象とした。  視察をした学校では、児童生徒が活発に楽しそうに、授業時間中ずっと活動している様 子を見ることができた。また、他の小学校では、20分間の業間に全校児童がグラウンドに 図2-16 体力水準の高・低群別、上昇・下降群別の運動部活動参加率(全学年)(平成22年度) ●男子 中学校 40 50 60 70 80 90 100 下降 上昇 低水準 高水準 81.9 運動部活動参加率 (%) 74.4 87.9 87.9 88.388.3 40 50 60 70 80 90 100 下降 上昇 低水準 高水準 運動部活動参加率 (%) 49.3 72.0 72.0 68.2 68.2 64.3 ●女子 3)3 年間における体力水準の高・低群別、及び上昇・下降群別の比較  平成22年度の追跡調査では、さらに、全国体力調査を3年間実施した学校の中から、体力 合計点が平均して高かった学校(高水準群)と平均して低かった学校(低水準群)、及び3 年間体力が向上し続けている学校(上昇群)と下降し続けている学校(下降群)のそれぞ れ上位、下位から100校について、群間での比較を行った。  図2-15は、中学生についての1週間の総運動時間の結果である。1週間の総運動時間は、 高水準群が低水準群よりも男子で125分、女子で212分、上昇群が下降群より男子で66分、 女子では33分長くなっていた。  この傾向は、小学生においても同様に認められている(181ページ参照)。 図2-15 体力水準の高・低群別、上昇・下降群別の1週間の総運動時間(平成22年度) ●男子 0 200 400 600 800 1000 下降 上昇 低水準 高水準 827 893 893 1週間 の 総運動時間 (分) 890890 765 0 200 400 600 800 1000 下降 上昇 低水準 高水準 595 595 1週間 の 総運動時間 (分) 690 690 478 562 ●女子 中学校

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 都道府県・政令指定都市教育委員会と市区町村教育委員会では、施策の実施率に違いが 見られ、都道府県・政令指定都市教育委員会が全体に高い実施状況であった。  回答の中では、「外部指導者(地域のスポーツ指導者)の活用の推進」「運動部活動(ク ラブ活動等)の活性化のための支援」は、都道府県・政令指定都市教育委員会、市区町村 教育委員会ともに高い実施状況であった。逆に、「(総合型)地域スポーツクラブとの連携 の支援」「地域と連携した施策の実施」「家庭・保護者と連携した施策の実施」については、 出て、時期によって決められている運動(このときは長なわ跳び)に一生懸命参加していた。  教育委員会に対する聞き取り調査では、著しく体力が向上した県においては、教育委員 会が全国体力調査の結果を受けて、対策として体力向上のアクションプランを策定し、その ための具体的な運動を「体力アッププログラム」にまとめ、その冊子とDVDを学校などに 配布して取組の推進を図った結果、年々取組の成果が現れたことが分かった。  また、3年間高水準の成績を維持している県では、教育委員会が昭和38年から全学校で 「スポーツテスト」を実施するなど、継続的な取組を行い、行政・学校の体力向上に対する 関心の高さを感じることができた。さらに、指導者講習会などにおいて教師が研究を重ね、 情報の共有化を図り、きめ細かな指導が徹底しているとのことであった。

11 教育委員会アンケートの分析から分かったこと

 平成23年度は、教育委員会による子どもの体力向上の施策について検証するために、教 育委員会を対象としたアンケート調査を任意により実施した。その回答を都道府県・政令 指定都市と市区町村の教育委員会に分けて分析した。 1)教育委員会における体力向上施策の実施状況  平成20年度から始まった全国体力調査の結果を受けて、教育委員会として何らかの体力 向上に関する施策を実施したかについて質問したところ、図2-17のように都道府県・政令指 定都市教育委員会では98.5%と、ほとんどすべての教育委員会が何らかの施策を実施して いた。しかし市区町村教育委員会では、回答のあった教育委員会のうち72.8%の実施率で あり、30%近い教育委員会が施策を実施していないとの回答であった。 2)実施した施策の内容  体力向上に関する施策を実施していると回答した教育委員会に、施策の内容についての 回答を集計した結果が図2-18である。 図2-17 体力向上に関する施策を実施した教育委員会 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 市区町村 都道府県・ 政令指定都市 実施した : 98.5 実施した : 72.8 実施していない : 1.5 実施していない : 27.2 教育委員会 第

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章  全国体力調査 に よ っ て 明ら か に な っ た こ と

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 都道府県・政令指定都市教育委員会は、その全てが肯定的に回答しており、「大変そう思う」 と回答した割合も全体の1/3を超えている。一方、市区町村教育委員会では「大変そう思う」 は10%以下にとどまり、「そう思わない」の回答は17.9%であった。 図2-19 教育委員会における体力向上に関する意識の変化 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 市区町村 都道府県・ 政令指定都市 大変そう思う : 36.4 大変そう思う : 8.9 ややそう思う : 63.6 ややそう思う : 73.1 あまりそう思わない : 17.8 まったくそう思わない : 0.1 あまりそう思わない : 0.0  まったくそう思わない : 0.0 教育委員会 ともに低い取組状況であった。  子どもの体力向上のために、運動時間を増やすには、家庭や地域との連携が重要であり、 都道府県・政令指定都市教育委員会と市区町村教育委員会が一体となって、子どもの体力 向上についての取組を推進するための連携・協力体制の構築が必要であると考えられる。 3)教育委員会における体力向上に関する意識の変化  平成20年度と比較して、各教育委員会で子どもの体力向上に関する意識が向上したかど うかについての回答の結果を、都道府県・政令指定都市教育委員会と市区町村教育委員会 の別で示したのが図2-19である。 図2-18 実施した体力向上に関する施策の内容(複数回答可) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% その他 家庭・保護者と連携した子どもの体力向上に関する施策の実施 地域と連携した子どもの体力向上に関する施策の実施 (総合型)地域スポーツクラブとの連携の支援 各教育委員会における体力調査結果報告書の作成・配布 学校等において体力向上に関する取組を実施するための経済的支援 運動やスポーツを行うための施設等の整備の改善 外部指導者の活用の推進 運動部活動(クラブ活動等)の活性化のための支援 子どもの体力向上に関する施策についての教育委員会としての広報活動 教員のための体育実技指導者講習会の開催 教員のための体力向上に関する指導資料の作成・配布 子どもの体力向上に関する会議体の設置 子どもの体力向上に関する指針の策定 体力向上のための運動プログラムの作成・配布 市区町村 都道府県・政令指定都市 63.1 6.0 46.2 16.4 76.9 15.9 69.2 10.7 89.2 24.1 67.7 23.2 70.8 51.3 80.0 55.8 21.5 41.1 30.8 21.0 84.6 25.3 24.6 22.3 27.7 21.7 29.2 15.2 9.2 9.4 教育委員会

参照

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