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ドローンによる空中ディスプレイの可能性に関する研究

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Academic year: 2021

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ドローンによる空中ディスプレイの可能性に関する研究 Study on possibility of aerial display by drone

1W163120-9

向井 裕輝

MUKAI Hiroki

指導教員 坂井 滋和 教授

Prof. SAKAI Sigekazu

概要:本研究はドローンにディスプレイを搭載した際の利用条件や方法について示した。ドローンにディ スプレイに搭載することは技術的に可能であることはわかっているが、その実用化にはまだ至っていない。

実用化された際の一つの例として、スポーツ観戦中での利用を挙げ、その方法について研究を行った。具 体的には新国立競技場にて、観戦の補助として、また会場の案内や広告表示としての活用を考え、ドロー ンディスプレイが飛行する際に最適な位置についてのシミュレーションを行うことで、その一つの案を提 示することができた。

キーワード:ドローン、回転型ディスプレイ、バーサライタ、視認距離

Keywords: Drone, Rotary display, Versa-writer, Viewing distance, Range of visibility

1.はじめに

現在は誰にでも簡単な操作で、ドローンを空中に 浮かせることが可能である。さらにドローンの開 発が進み、様々な利用方法が考案されているが、ま だまだ実用化されたものは少ない。しかし今後も ドローンの開発が進んでいくことでより普段の生活 や様々な場面で活躍することが増えていくと考えら れる。

しかしドローンにディスプレイをつけて活用する というような事例は見つからなかった。ドローンにデ ィスプレイをつけるためには、バーサライタと呼ばれ る回転型ディスプレイをつけることで、重さの軽量化 とプロペラの作る揚力を邪魔せずに実現できること がわかった。実際にディスプレイをつけたドローンは

NTT

ドコモによって浮遊球体ドローンディスプレ イとして開発されている。[1]しかし、まだ開発が された段階でありその実用化に至っているわけで はない。今後はより多くのドローンが開発され、ド ローンディスプレイも増えていくと想定される。

本研究では事前にそのディスプレイの利用方法に ついての案を示すとともに、その最適な使い方を 計算によって求めることで、いずれこの問題につ いて考える必要が出てきたとき、その考えのため の詳細な順序や方法を示した。

2.ドローンディスプレイシステムの設計 現在、ドローンには農業用ドローンや、一人乗り 用のドローンなどペイロードが

100

㎏、200 ㎏を 超えるような巨大ドローンが開発されている。今 回はドローンのペイロードを

100

㎏と仮定し、デ ィスプレイの大きさを計算した。

搭載する回転型ディスプレイの大きさを仮定す るために、iOneSky社の

3D Holographic Display

のディスプレイのサイズに対する全体の重量の比 率を利用して、翼板のサイズを決定した。

搭載するディスプレイは図

3.1

のような半球状

のディスプレイを想定した。今回のドローンに搭 載するディスプレイには図

1

のように矢印の方向 に一行、半円部分にどれほどの文字数を表示する のかを決定することとした。その決定した文字数 を表示する場合の一文字の大きさについて計算し、

調査した文字の大きさに対する視認距離の関係か ら、視認距離を計算した。

1.想定するドローンディスプレイの構造と文字表示

スタジアムについては図面[2]がある新国立競技 場の一階席に設置すると仮定して計算を行った。

新国立競技場の傾斜

20°の一階観客席に対して、

ディスプレイを見上げる角度や、視野角、最大視 認距離を考慮して、1台のドローンでなるべく広 い範囲の観客席に対して視認できるようにその配 置を計算した。またドローンを配置する場合、2 つの方法が考えられ、それぞれについても分けて 配置を考えた。一つ目は観客席からでも少なくと も一つのディスプレイが視えるようにする場合で あり、どのような距離でドローンを配置するか、

何個のドローンが必要かを計算した。二つ目はド ローンを移動させることによって、少ない数のド ローンで広い範囲の観客に視えるようにする場合 であり、観客が移動するディスプレイを視ること ができる最適な時間を設定し、そこからドローン の移動する位置とその速さを計算で求めた。

(2)

3.シミュレーションとその結果

はじめに

iOneSky

社の

3D Holographic Display

のプラスティックカバーを抜いた重量を計算し た。その重量は

280gであり、100

㎏のペイロー ドのドローンには

357

個を搭載できる。3D Holo-

graphic Display

の翼板は

296.3

㎜であるためこの 長さから

100

㎏のペイロードのドローンには

2.1

mの翼板、直径

1.3mの半球状のディスプレイが

搭載できることが計算で求められた。

次にそのディスプレイにおける最大視認距離を 求めた。ディスプレイには図1のように文字を表 示するが、その文字数はテレビの字幕数や電車内 の電光掲示板を参考に半円部分に

20

文字と決定 し、文字の一辺の大きさを

0.11mとした。この文

字を視認できる距離については、40㎜の文字高が 視える距離が

15mという資料[3]を用いて、さら

にディスプレイが球状であることも考慮して計算 を行い、最大視認距離は

21mと求められた。

次にこのディスプレイを新国立競技場の一階席 に設置する場合について計算した。はじめにどの 観客席からでも少なくとも一つはディスプレイを 視ることができる場合について、その最適な配置 を示した。この時

2

列のドローンを並べる必要が あり、計算の結果、直線の観客席の部分について

1

列目のドローンディスプレイの下端は観客席の 端から高さ

11.2m、グラウンド側に水平距離

6.2m、1

列目の

2

台のドローンの中央に設置した

2

列目のドローンは、1列目のドローンから高さ

3.8m、水平距離 10m

の位置となった。また同列

2

台のドローンの間は

24m

となった。円弧の 観客席の部分について円弧の中心から 10°ごと交 互に

1

列目と

2

列目のドローンを配置し、1列目 のドローンと観客席の関係は直線の観客席の部分 と同じだが、2列目は観客席の端から水平距離が

5.8m、観客席から高さ 11.2m

の位置となった。

このように設置することで新国立競技場の一階席 すべてをディスプレイの視認可能範囲内に入れる ことが可能であり、その配置を図

2

に示した。ま

46

個のドローディスプレイが必要であること も確認できた。

2.

ディスプレイの視認可能範囲の配置

次にドローンを移動させることによって、少な い数でディスプレイを広い範囲の観客に視えるよ うにする場合について、2台のドローンを観客席 の横列と垂直に水平距離

10m離して配置すれば、

ドローンが最低でも横に最低

24m

動く間はどこの 席にいてもディスプレイを視認できることが分か った。人が文字を読むスピードが一秒間に

4

文字 とされているため[4]、一周で

40

文字表示し、全 て読む場合には

10

秒必要であり、ドローンが毎

2.4m

の速さで動き、10秒で一回転すれば十分 な時間で文字を読むことができることがわかっ た。また

2

列目のドローンがスタジアムを一周す る時間は

228

秒かかることも確認できた。

以上の結果から

Unity

を用いて

3DCG

で半球状 のディスプレイを制作し、シミュレーションを行 った。このとき観客席にカメラを設置し、実際に どのようにディスプレイが視えるのかを確認し、

観戦の邪魔にならないことを確認できた。

4. まとめ

今回の研究によってドローンの配置については 簡単な計算で求められることがわかった。観客席 の大きさやディスプレイの大きさが変わっても本 研究で用いた計算方法でディスプレイの視認距離 や配置を求めることができる。しかしながら、実 現する上では安全面やドローン自身の発生させる 音や風、法律面でも問題が残る部分がある。解決 するためにはドローンの進歩だけでなく、ドロー ンを利用する前提で環境を整備する必要もあると 考えられる。ただし、こうした問題のある中でも ドローンは今後もさらに開発が進んでいく。本研 究で仮定したディスプレイより大型で視認距離が 長いものや先ほどの問題点を解消したドローンが さらに開発されることで、今後様々な場所でドロ ーンが有効活用されることに期待したい。

参考文献

[1]山田和宏

他, “浮遊球体ドローンディスプレイ”,

https://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/corporate/t echnology/rd/technical_journal/bn/vol25_4/vol25_4 _006jp.pdf

(アクセス日:2020/1/27)

[2]新国立競技場整備事業大成建設・梓設計・隈研吾建

築都市設計事務所共同企業体,“新国立競技場整備事業 に関する技術提案書-基本図面”

https://www.jpnsport.go.jp/newstadium/Portals/0/gi jyutsuteiansho/1601_a_4_zumenn.pdf

( ア ク セ ス 日:2020/1/18)

[3]佐藤優,

「屋外広告の知識」株式会社ぎょうせい,

2006

年, p.81

[4]

動画アカデミー, “テロップの長さはどれぐらい が最適?長さとタイミングのポイント”

https://video-academy.jp/blog/know/knowledge/588

(アクセス日:2020/1/20)

参照

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