住宅のパッシブデザインによる空調負荷の削減可能量に関する研究 [ PDF
4
0
0
全文
(2) さを変えながら検討する。結果を図 2 に示す。厚さが. はアルゴンガス封入を表す。Low-E ガラスを使用する. 同じならば充填断熱よりも外張断熱が冷房、暖房とも. と暖房負荷が大幅に下がるが、冷房負荷の積算値は遮. 小さな負荷となる。どちらの工法でも断熱材を厚くす. 熱仕様でも削減となっていない。これは断熱性能の向. るほど冷房負荷は増加するが、暖房負荷がより削減さ. 年 積算負荷[kWh] 積算負荷. れる。さらに充填断熱の外に外張断熱を付加すること. 0. でより大きな負荷削減が可能である。現実には 205mm の外張断熱はかなりの厚さだが、より高性能な断熱材、 高度な技術を用いれば同性能の住宅が実現可能と考え られる。 3.2 天井・屋根 図 3 に天井断熱と屋根断熱の比較を示す。標準住宅 は天井を断熱材 115mm で断熱しており、これを厚くす. 1000. 2000. 4000. 標準住宅. 646. 1660. 2580. 充填 55mm. 646. 1669. 2544. 外張 55mm. 646. 1669. 充填105mm. 646. 1781. 外張105mm. 646. 1773. 2045. 充填155mm. 646. 1837. 1884. 外張155mm. 646. 1826. 1853. 充填205mm. 646. 1870. 1770. 外張205mm. 646. 1859. 1743. 付加断熱. 646. 1907. 冷房(潜熱). 5000. 6000. 2472 2086. 1557. ると冷房、暖房とも負荷削減となる。天井が無断熱で ある屋根断熱においては小屋裏の換気量を 0.5 回/h と. 3000. 冷房(顕熱). 109(以下すべて同じ) 暖房(潜熱) 暖房(顕熱). 図 2 外壁の断熱による空調負荷の違い. している。屋根断熱では天井断熱よりも冷房負荷の削. 年 積算負荷[kWh] 積算負荷. 減効果が大きいが、暖房負荷が大きく、年積算負荷は 0. 断熱材を 265mm としても標準住宅を超えてしまう。従. (標準住宅) 天井115mm 天井165mm 天井215mm 天井265mm 屋根115mm 屋根165mm 屋根215mm 屋根265mm. って天井断熱が有利と言える。 3.3 床・基礎 標準住宅は布基礎で接地する床断熱仕様で、床断熱 ではこの断熱材を厚くする検討を行った。一方基礎断 熱では、接地面をべた基礎に変更した。基礎断熱では. 1000 646 646 646 646 646 646 646 646. 3000. 1660 1655 1651 1649 1651 1633 1622 1615. 冷房(潜熱). 床下の防湿上べた基礎である必要があるためである。. 2000. 4000. 5000. 6000. 2580 2495 2447 2415 2841 2782 2747 2723. 冷房(顕熱). 暖房(潜熱). 暖房(顕熱). 図 3 天井・屋根の断熱による空調負荷の違い. また、基礎断熱では内断熱と外断熱の両方を調べた。. 年 積算負荷[kWh] 積算負荷. 結果を図 4 に示す。床の断熱材を厚くすると、冷房 負荷は増加するが暖房負荷の減少によって年積算では. (標準住宅) 床 70mm 床120mm 床170mm 床220mm 基礎 内 70mm 基礎 外 70mm 基礎 内120mm 基礎 外120mm 基礎 内170mm 基礎 外170mm 基礎 内220mm 基礎 外220mm 基礎 付加断熱. 削減となる。基礎断熱でもこの傾向は同じであるが、 厚さによる負荷の変化の割合は小さい。断熱材 70mm では基礎断熱が床断熱より明らかに小さな負荷である が、220mm での暖房負荷はほぼ同じとなっている。 なお基礎の内断熱と外断熱の差は小さいが、冷房、 暖房とも外断熱がわずかに小さな負荷となる。内と外 の両方に 220mm の断熱材を配する付加断熱も効果は 大きくない。床断熱に比べ基礎断熱は冷房負荷が大き. 0. 1000 646 646 646 646 646 646 646 646 646 646 646 646 646. 冷房(潜熱). く下がる。. 2000. 3000. 1660 1697 1717 1719 1554 1552 1557 1555 1559 1557 1560 1558 1561. 4000. 5000. 6000. 2580 2487 2440 2396 2459 2457 2424 2422 2408 2406 2399 2397 2381. 冷房(顕熱). 暖房(潜熱). 暖房(顕熱). 図 4 床・基礎の断熱による空調負荷の違い. 3.4 階間・内壁. 年 積算負荷[kWh] 積算負荷. 標準住宅では断熱されていない階間や内壁でも断熱 0. 化を検討した(図 5) 。どちらも断熱材を厚くすること 標準住宅 階間 50mm 階間100mm 階間150mm 階間200mm 内壁 50mm 内壁100mm 内壁150mm 内壁200mm. で冷房負荷増加、暖房負荷減少となる。内壁断熱は階 間断熱と比べより負荷が削減できる。階間の断熱化で は、主寝室の無空調時における居間の空調の影響が減 るため、主寝室で夏冬両方の負荷が増加していた。 3.5 窓ガラス 標準住宅の窓は普通複層ガラスである。これを図 6. 1000 646 646 646 646 646 646 646 646 646. 冷房(潜熱). に示す 4 種の Low-E ガラスに変更した。ここで(Ar)と. 2000. 1660 1715 1728 1731 1735 1702 1709 1711 1713 冷房(顕熱). 3000. 4000. 5000. 6000. 2580 2441 2416 2401 2395 2420 2374 2351 2337 暖房(潜熱). 暖房(顕熱). 図 5 階間・内壁の断熱による空調負荷の違い 44-2.
(3) 上によって日射がなく外気温が低い時間帯の負荷が増. 礎では、床断熱を基礎断熱に変更してから床断熱の追. 加するためであり、遮熱 Low-E と遮熱 Low-E(Ar)にお. 加を検討したが、冷房負荷の増加で年積算負荷が増加. ける日中の冷房負荷は複層より小さかった。年積算負. したため、床は無断熱としている。また、基礎断熱の. 荷は遮熱 Low-E と断熱 Low-E、遮熱 Low-E(Ar) と断熱. 次に階間を断熱化したところ年積算負荷は増加したが、. Low-E(Ar)がそれぞれ近い値となるが、どちらも遮熱仕 年 積算負荷[kWh] 積算負荷. 様がやや小さかった。 (標準住宅) 複層 遮熱Low-E 遮熱Low-E(Ar) 断熱Low-E 断熱Low-E(Ar). 3.6 日射遮蔽 軒および庇は、出を 150mm ずつ 1650mm まで変化さ せ年積算負荷が最小となるものを求めた。軒の出の計 算結果を図 7 に示す。切妻屋根の平側(南・北)の軒. 0. 1000 646 646 646 646 646. 3000. 1660 1667 1724 1799 1884. 冷房(潜熱). は出を長くするほど冷房負荷減少・暖房負荷増加とな. 2000. 4000. 5000. 6000. 2580 2201 2020 2100 1902. 冷房(顕熱). 暖房(潜熱). 暖房(顕熱). 図 6 窓ガラスの変更による空調負荷の違い. り、年積算では 600mm で最小負荷となった。一方妻側 (東・西)では、軒を伸ばすと冷房負荷、暖房負荷と. 年 積算負荷[kWh] 積算負荷. もごくわずかずつ減少し続けた。影が落ちる小屋裏に. 0 軒なし 平側 300mm 平側 600mm 平側 900mm 平側1200mm 平側1500mm 妻側 600mm 妻側1650mm. は窓がなく、太陽高度も低いため、夜間の放射冷却の 減少によって暖房負荷削減となったと考えられる。 庇の出は、南と北の 1 階、西と東の 1 階と 2 階をそ れぞれ検討した(図 8) 。基本的には庇によって冷房負 荷減少・暖房負荷増加となるが、北 1 階のみ暖房負荷 もわずかに減少する。 年積算負荷は、 南 1 階では 900mm. 1000 646 646 646 646 646 646 646 646. 2000. 3000. 4000. 1660 1613 1565 1536 1520 1508 1660 1660. 冷房(潜熱). 5000. 6000. 2580 2588 2615 2659 2702 2737 2580 2580. 冷房(顕熱). 暖房(潜熱). 暖房(顕熱). 図 7 軒の出による空調負荷の違い. が最小となり、他では庇を出すほど減少した。 次にルーバーを用いた場合を検討した。南 1 階以外. 年 積算負荷[kWh] 積算負荷. の各方位・各階について水平ルーバー、垂直ルーバー. 0. をそれぞれ単独でつけた場合と軒または庇と併用した. 庇なし 南1階 300mm 南1階 600mm 南1階 900mm 南1階1200mm 南1階1500mm 北1階 900mm 北1階1650mm 西1階 900mm 西1階1650mm 西2階 900mm 西2階1650mm 東1階 900mm 東1階1650mm 東2階 900mm 東2階1650mm. 場合を計算し、各面で負荷が最小となる日射遮蔽の組 み 合わせを 検討した 。軒の 出は 600mm、 庇の出 は 1650mm としている。結果、表 3 に示す組み合わせが 庇のみやルーバーのみより小さな負荷となった。表 3 の日射遮蔽を北、西、東および全体に採用した場合の 負荷を図 9 に示す。すべての日射遮蔽を採用した場合 の負荷削減量は外壁、窓の仕様変更に次いで大きい。 暖房負荷は増加するが、他の仕様変更は冷房負荷が増 加するものが多いため、住宅のパッシブデザインにお. 1000 646 646 646 646 646 646 646 646 646 646 646 646 646 646 646 646. 3000. 1660 1582 1490 1424 1376 1342 1655 1652 1612 1578 1649 1642 1652 1647 1644 1635. 冷房(潜熱). いて日射遮蔽は非常に重要であると言える。. 2000. 4000. 5000. 6000. 2580 2595 2627 2677 2730 2787 2579 2579 2591 2602 2581 2583 2581 2582 2582 2585. 冷房(顕熱). 暖房(潜熱). 暖房(顕熱). 図 8 庇の出による空調負荷の違い. なお図には示していないが、この日射遮蔽を追加し た状態での Low-E ガラスの比較も行った。結果、断熱. 表 3 各面の日射遮蔽 南1階 南2階 北1階 北2階 西1階 西2階 東1階 東2階 妻側 軒・庇[mm] 900 600 1650 600 1650 1650 1650 1650 600 ルーバー なし なし 垂直 垂直 垂直 水平 水平 水平 なし. Low-E(Ar)の年積算負荷が遮熱 Low-E(Ar)を下回って最 小となった。日射遮蔽によってガラスによる遮熱の優 位性が下がったためである。. 年 積算負荷[kWh] 積算負荷. 4 住宅のパッシブデザイン. 0. 住宅モデルに 3 章の各比較で負荷が最小となった仕 様を採用し、低負荷の高性能住宅を作成した。標準住 宅からの仕様変更を表 4 に、 負荷の変化を図 10 に示す。 外壁と基礎は付加断熱である。天井断熱と屋根断熱. 遮蔽なし 北 遮蔽 西 遮蔽 東 遮蔽 各面遮蔽. 1000 646 646 646 646 646. 冷房(潜熱). は併用によって冷房、暖房とも減少した。一方床と基. 2000. 1660 1565 1512 1611 1069 冷房(顕熱). 3000. 4000. 5000. 6000. 2580 2619 2629 2594 2821 暖房(潜熱). 暖房(顕熱). 図 9 各面の日射遮蔽による空調負荷の違い 44-3.
(4) 内壁を断熱化した後に再び階間を断熱化すると負荷削. 減となる断熱でも単純に組み合わせればよいわけでは. 減となった。窓ガラスは遮熱 Low-E(Ar)である。. ない。パッシブデザインは日射遮蔽も含め住宅全体で. 冷房負荷は断熱強化と窓の変更で増加するが、表 3. 断熱と遮熱を考慮する必要があることがわかる。さら. の日射遮蔽を追加することで標準住宅の場合を下回る。. にこうしてできた高性能住宅においても生活の工夫で. 3.6 節では日射遮蔽によって Low-E ガラスの優劣が逆. 負荷をさらに小さくでき、住まい手の意識を高めるこ. 転したと述べたが、この場合は遮熱 Low-E(Ar)の負荷が. との重要性が確認された。. 最小となることは変わらなかった。これは住宅全体の 断熱性がかなり向上したために、遮熱の重要性が高ま ったためである。そこで、さらなる遮熱として外壁と 屋根の仕上げを白色にしたと想定して日射吸収率の数 値を下げたところ、年積算負荷はわずかだが減少した。 ここまでの高性能化による全熱負荷の削減率は冷房 約 14%、暖房約 73%であり、パッシブデザインによる 負荷削減は冷房より暖房が容易であることがわかる。 年積算では約 46%の削減である。 5 住まい手による負荷削減. 【参考文献】 1) 宇田川光弘:標準問題の提案 伝熱解析の現状と課題,日本 建築学会環境工学委員会第 15 回熱シンポジウム,1985 年 2) 社団法人建築設備技術者協会動的熱負荷計算・空調システム 計算プログラム「HASP」ダウンロードページ: http://www.jabmee.or.jp/hasp/ 3) 赤坂裕, 他 11 名: 拡張アメダス気象データ, 日本建築学会, 2005 年 8 月 4) 空気調和・衛生工学会:シンポジウム「住宅における生活ス ケジュールとエネルギー消費」テキストと付属プログラム 「SCHEDULE Ver.2.0」,2000 年 5) 西澤繁毅,澤地孝男,羽原宏美,細井昭憲,赤嶺嘉彦,鴇田 田喜裕: 「実測による開口通風量のモデル化に関する検討」 ,日 本建築学会大会学術講演梗概集(関東),2011 年 8 月. 4 章で年積算負荷が最小となった高性能住宅を基準. 表 4 高性能化のための仕様変更. に、住まい手の工夫によるさらなる負荷削減を考える。 ここで検討したのは夏期の空調前換気と夜間外気導入、 および夏期と冬期のブラインド操作である(表 5)5)。. (a)各部位の断熱材厚[mm] 外壁 天井 標準住宅 55 115 高性能化 205+205 265. 屋根 0 265. 床 70 0. 基礎 内壁 0 0 220+220 200. 階間 0 200. (b)窓と日射対策. 結果を図 11 に示す。空調前換気は、室内にこもった. 窓ガラス 日射遮蔽 日射吸収率 標準住宅 複層 なし 外壁40%、屋根96% 高性能化 遮熱Low-E(Ar) 表3の仕様 外壁20%、屋根20%. 熱を逃がし室温を外気温と同程度まで下げてから空調 を開始することが目的であるが、外気温に関係なく換 気を行う設定のため、負荷が増加する場合もあった。. 年 積算負荷[kWh] 積算負荷 0. それでも年積算では削減となっており、現実では室温 標準住宅 外壁 天井 屋根 基礎 内壁 階間 窓 日射遮蔽 日射吸収率. と外気温を考慮することでより確実な負荷削減が可能 だと考えられる。ただし、外気を多く入れることで潜 熱負荷は増加している。 夜間外気導入は、深夜から早朝の低温の外気を取り 込むことで就寝中に室内を冷やしておくという考えで ある。顕熱の削減量が大きく、夜間に空調する 3 室で の換気量は不変のため潜熱負荷の増加は小さい。. 1000 646 646 646 646 646 646 646 646 646 646. 冷房(潜熱). 2000. 1660 1907 1906 1888 1810 1866 1943 2085 1377 1342. 3000. 4000. 5000. 6000. 2580 1557 1371 1325 1076 927 826 447 585 605. 冷房(顕熱). 暖房(潜熱). 暖房(顕熱). 図 10 パッシブデザインによる空調負荷の変化. ブラインド操作は、夏期は夜間の断熱性を下げて熱 を逃がし、冬期は無人室にも日射熱を取り入れること. 表 5 住まい手による負荷削減対策 居間:7時と12時の空調開始前に20回 主寝室:23時の空調開始前に20回 子供室1:19時の空調開始前に20回 夜間外気導入 深夜に無空調となる7室で1時-7時に20回/h 夏期:全室で1時-7時にブラインドを開ける ブラインド操作 冬期:全室で7時-18時にブラインドを開ける. を目指した。冷房負荷の削減効果は小さいが、暖房負. 空調前換気. 荷の削減効果は大きい。以上の全対策を講じた場合の 全熱負荷は、高性能住宅で何も対策をしない状態から 冷房約 28%、暖房約 18%の削減である。標準住宅から は冷房約 38%、暖房約 78%で年積算約 59%の削減とな. 年 積算負荷[kWh] 積算負荷. る。冷房負荷削減における住まい手の役割は大きい。. 0. 6 まとめ. 高性能住宅 空調前換気 夜間外気導入 ブラインド操作 全対策. 本研究では、住宅において断熱と日射対策による高 性能化を検討し、さらに住まい手に可能な空調負荷削 減の効果を明らかにした。断熱の強化は冷房負荷を増. 1000 646 725 667 646 743. 冷房(潜熱). 加させる場合が多く、個々の検討では年積算負荷が削. 2000. 3000. 4000. 5000. 1342 605 1128 605 761 605 1333 479 697 479 冷房(顕熱). 暖房(潜熱). 暖房(顕熱). 図 11 各対策による空調負荷の変化 44-4. 6000.
(5)
関連したドキュメント
この 文書 はコンピューターによって 英語 から 自動的 に 翻訳 されているため、 言語 が 不明瞭 になる 可能性 があります。.. このドキュメントは、 元 のドキュメントに 比 べて
突然そのようなところに現れたことに驚いたので す。しかも、密教儀礼であればマンダラ制作儀礼
前章 / 節からの流れで、計算可能な関数のもつ性質を抽象的に捉えることから始めよう。話を 単純にするために、以下では次のような型のプログラム を考える。 は部分関数 (
燃焼室全周が完全に水冷壁と なっています。そのため、従 来の後煙室がなくなりボイラ
Google マップ上で誰もがその情報を閲覧することが可能となる。Google マイマップは、Google マップの情報を基に作成されるため、Google
るものの、およそ 1:1 の関係が得られた。冬季には TEOM の値はやや小さくなる傾 向にあった。これは SHARP
そのため、夏季は客室の室内温度に比べて高く 設定することで、空調エネルギーの
テナント所有で、かつ建物全体の総冷熱源容量の5%に満