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機能性建材による住空間設計シミュレーションに関する研究

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Academic year: 2021

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名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository

機能性建材による住空間設計シミュレーションに関 する研究

著者 服部 和彦

学位名 博士(工学)

学位授与番号 13903甲第575号 学位授与年月日 2006‑12‑20

URL http://id.nii.ac.jp/1476/00002830/

(2)

機能性建材による

住空間設計シミュレーションに関する研究

2006年

服部 和彦

(3)

目 次

ページ

第1章 緒言 1

1.1 研究の背景 1

1.2 機能性建材の研究動向 2

1.3 本研究の目的 3

1.4 本論文の構成 4

参考文献 5

第2章 アロフェン系調湿建材の調湿空間設計 8

2.1 概説 8

2.2 アロフェン系調湿建材作成方法 8

2.3 アロフェン系調湿建材の材料物性 8

2.4 数値シミュレーションについて 9

2.4.1 計算方法 9

2.4.2 シミュレーションと実験との比較 10

2.5. 調湿設計シミュレーション 11

2.5.1 シミュレーション条件 11

2.5.2 シミュレーション結果(調湿設計) 11

2.6 まとめ 13

参考文献 13

第3章 無機廃棄物水熱固化体の調湿性能 22

3.1 概説 22

3.2 無機廃棄物水熱固化体の作成方法および材料物性 22

(4)

3.3 数値シミュレーションについて 23

3.4 調湿性能について 23

3.4.1 実験方法 23

3.4.2 調湿性能およびシミュレーションとの比較 23

3.5 まとめ 24

参考文献 25

第4章 土を用いた環境材料による室内熱環境設計 36

4.1 概説 36

4.2 土を用いた環境材料 36

4.2.1 環境材料作製方法 36

4.2.2 環境材料の材料物性 36

4.3. 実住宅での評価 37

4.3.1 住宅の概要 37

4.3.2 評価結果 37

4.4. 住空間の熱設計 38

4.4.1 シミュレーション条件 38

4.4.2 シミュレーション結果 39

4.5 まとめ 40

参考文献 40

第5章 低温固化体のヒートアイランド現象抑制効果 50

5.1 概説 50

5.2 実験方法 50

(5)

5.3 実験結果と考察 51

5.3.1 強度特性 51

5.3.2 ヒートアイランド現象抑制特性 51

5.4 ヒートアイランド現象抑制の数値シミュレーション 52

5.5 まとめ 53

参考文献 53

第6章 結言 60

6.1 本研究のまとめ 60

6.2 今後の研究課題 61

謝辞 63

(6)

第1章 緒言 1.1 研究の背景

近年の日本の住宅は快適性と省エネルギーの両立をめざし,高気密,高断熱化が進んで いる.特に省エネルギーは地球温暖化防止の観点からも重要な課題であり,住宅分野では 省エネルギー対策として,「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計及び施工の 指針(住宅の省エネルギー基準)」が定められ,高断熱,高気密化が進められている.19 80年の旧省エネルギー基準の制定に始まり,1982年の新省エネルギー基準,199 9年の次世代省エネルギー基準の制定というように,基準の改正強化が行われ,住宅金融 公庫融資での優遇措置により,普及が推進されてきた.1980年基準と1999年基準 の住宅の断熱性能は,寒冷値区分Ⅳ地域の東京でも期間暖房負荷が約60%となり,省エ ネルギーに関わる断熱性能は着実に向上している事が分かる.

しかしながら,我が国はアジアモンスーン地域に位置し,夏は蒸し暑く,冬は寒く乾燥 する気候条件である.さらに,住宅の内装材としてビニールクロスなど吸放湿性能が乏し い材料が多用されるため,住宅の高気密,高断熱化により,高湿度あるいは過乾燥といっ た湿度環境に陥りやすく,結露の発生やアレルギー疾患の原因といわれるカビ,ダニの発 生などの問題がクローズアップされてきている.これらの問題の対策はエアコンなど機械 設備が主流となっているが,これらはエネルギーが必要であり,必ずしも最良の方法とは 言えない.事実,産業部門では企業の省エネルギーの努力によって,エネルギー消費の伸 びが抑えられているのに対して,住宅など民生部門でのエネルギー消費量は,エアコンや テレビなど電気機器の普及に見られるように,生活の快適性を追求するライフスタイル傾 向が強まったために,一貫して上昇している(Fig.1−1,1−2)1)

一方,2005年2月には京都議定書が国際協定として発効し,法的な拘束力をもつこ とになった.日本は2010年までに温室効果ガス排出量を1990年比で6%,これま での増加分を入れると実質上は14%の削減が義務づけられた.これにより,環境税の導

(7)

上に環境を考えた革新的な材料やプロセス技術の創生が必要不可欠である.

このような背景を踏まえ,天然原料の使用を抑え,省エネルギーで作成でき,かつエネ ルギーを使用せずに住環境の熱,湿度関連の問題を解決できる方法として,住環境調整機 能を持つ「機能性建材」の開発が行われてきている.また,これら機能性建材を住環境に 使用した場合の機能の効果確認をする事は必要なものの,実空間を利用した模擬試験は長 時間に及び,また実験設備も大がかりなものが必要で,多数の実験をすることは難しく,

住環境も住まい方により様々に変化する.このように様々な条件下での機能性建材の性能 を予測するためには数値シミュレーションの利用が必要不可欠であり,その手法の開発も 同時に行われてきている.

1.2 機能性建材の研究動向

湿度を調節する特性(調湿特性)を持つ建築材料として,従来から土壁や木材が知られ ている.これらの材料を室内に施工した場合,室内湿度が高いときには材料が吸湿して室 内湿度を低下させ,逆に低いときには材料が放湿して湿度を上昇させ,室内の湿度を調節 する.特に高温多湿な日本では,書物・文書や祭礼用の山車など貴重な品物を湿気の害か ら守るために,土壁を用いた倉が用いられてきた.宮野らは,日本の倉を広範囲に調査し,

優れた調湿特性を持つことを明らかにしている2)

また,則元らは,杉,檜など種々の木材の調湿特性をラボスケールの密閉箱を用いた方 法で測定し,得られた特性値を用いることにより,住宅内の湿度変化を定性的に推定でき ることを明らかにした3).しかし,土壁は技量をもつ職人を確保することが難しく,施工 に時間がかかることもあり,使用は限定される.また,木材は優れた建築材料として広範 に利用されているものの,耐火性や寸法安定性に劣るという欠点を持つ.これらのことを 踏まえ,土壁や木材と同等以上の調湿特性を持ち,施工の手間や耐火性などの欠点を解決 した建材を目標に,調湿建材の研究開発は進められてきた.

また,寒河江らは,吸着剤として利用されるゼオライトをモルタルに混入した調湿建材 を開発し,モデルハウスなどの試験で,その調湿効果を明らかにしている4).同様に木村,

(8)

田中もゼオライト,セメント,繊維を配合し,発泡成形した後,オートクレーブ養生して 作製されたゼオライト系調湿建材の吸放湿特性を測定するとともに,建築空間レベルの試 験を行い,結露防止効果があることを示している5)

また,温度を制御する特性(蓄熱特性)を持つ住宅内の蓄熱材料の代表として水やコン クリートがあるものの,水を蓄熱材料として居住空間にもちこむのは難しく,一方コンク リートは躯体として利用され,その表面は化粧材で覆われてしまうために,その蓄熱性能 が有効に使えないという問題がある.さらに,近年では住宅内だけでなく,住宅外におい ても熱環境問題としてヒートアイランド現象が問題になってきている.

これらの機能性建材の機能予測をするための数値シミュレーション方法として,調湿建 材を建築空間に適用した場合は松本らによって構築された熱水分同時移動方程式を用いて 実施されてきている6).谷本らは,ケイ酸カルシウム系調湿建材を実験室箱内に静置した さいの湿度変動を線形モデルの熱水分同時移動方程式を使いシミュレーションし,計算結 果と実験結果が良い対応を示すことを報告している7).また,荒井らはゼオライト系調湿 建材を施工した試験室の温室度変動を簡易的な非線形モデルの熱水分同時移動法的式を採 用することにより,計算値と実測値の再現精度が向上することを報告している8)

しかし,これまでの研究では,木材やケイ酸カルシウム系材料,ゼオライトをモルタル などで硬化させた材料についての検討が多く,製造エネルギー削減や天然原料使用量削減 など,地球環境に配慮した材料設計,応用について十分に検討されていない.また,これ らの機能性建材の実空間での効果検証も行われているが,住まい方に応じた効果の予測手 法など課題が残されている.

1.3 本研究の目的

2005年の京都議定書の発効やユーザーの環境・快適志向の高まりを受け,住宅にお いても環境配慮設計が求められてきている.この様な状況を踏まえ,本研究では住環境に

(9)

研究開発を行う.さらに,それら機能性建材を住環境に普及させるために必要となる設計 技術を確立するため,機能性建築材料を住空間に使用した際の効果を予測する数値シミュ レーションによる住空間設計を実施する.

1.4 本論文の構成

以下に本論文の構成を示す.

第2章では,アロフェン系セラミック材料を対象に,ラボ試験により材料がもつ調湿性 能を明らかにし,その調湿性能が熱水分同時移動方程式に非線形物性値を与える事で精度 良くシミュレーションできることを示す.また,数値シミュレーションにより様々な住環 境下でアロフェン系セラミック材料を使用したときの湿度変動を予測し,住空間の調湿性 能設計に数値シミュレーションが有用な事を明らかにする.

第3章では,無機廃棄物水熱固化体の調湿性能を明らかにする.下水汚泥焼却灰や建設 汚泥を原料に Ca(OH)2を加えオートクレーブ処理する事で建築材料として十分な強度を 持つ固化体が得られ,調湿性能を測定,数値シミュレーションとの比較を行い,水熱固化 体においても非線形物性値を与えた熱水分同時移動方程式により精度良くシミュレーショ ンできることを示す.

第4章では,土を用いた環境材料の湿度制御,熱制御性能について明らかにする.粉石 工場から発生する廃土にCa(OH)2を加え,水熱反応で得られる固化体を建材として居住空 間に施工した場合の湿度・熱環境への影響を明らかにし,数値シミュレーションによる熱 環境設計を報告する.

第 5 章では,たたき技術を使った路面材のヒートアイランド抑制性能を明らかにする.

住空間という閉じた空間だけでなく,路面という開放された空間においても材料表面の温 度上昇を抑制することができる事を示し,その性能予測が材料中の水分移動と表面水分蒸 発を考慮した数値シミュレーションによって可能な事を明らかにする.

第6章では,本研究の結果をまとめ総括する.

(10)

参考文献

(1)資源エネルギー庁長官官房総合政策課編, 総合エネルギー統計 ,通商産業研究社,

p.456(2004)

(2)宮野秋彦, 倉を測る ,名古屋工業大学最終講義,p.15(1988)

(3)則元京,大釜敏正,山田正,木材学会誌,36,5,p.341(1990)

(4)寒河江昭夫,和美広喜,鹿島建設技術研究所年報,35,p.225(1987)

(5)木村啓一,田中宏一,石膏と石灰,246,p.374(1993)

(6)中村泰人,松尾陽,松本衛,土屋喬雄,橘秀樹,宮田紀元, 新建築学体系 10 環 境物理 ,彰国社,p.127(1984)

(7)谷本潤,木村健一,日本建築学会計画系論文報告集,421,p.11(1991)

(8)荒井良延,寒河江昭夫,権藤尚,日本建築学会大会学術講演梗概集,p.319(1996)

(11)

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800

73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01

年度

産業 民生 運輸

エネルギー消費量(1016J)

Fig.1−1 部門別のエネルギー消費の推移

(12)

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 年度

産業 民生 運輸

Fig.1−2 部門別のエネルギー消費の伸び率(1973年比)

(13)

第2章 アロフェン系調湿材料の調湿空間設計 2.1概説

近年の日本の住宅は快適性と省エネルギーの両立をめざし,高気密,高断熱化が進んで いる.しかしながら,日本の気候は夏は非常に蒸し暑く,冬は寒く乾燥する気候条件であ る.さらに,住宅の内装材としてビニールクロスなど吸放湿性能が乏しい材料が多用され るため,住宅の高気密,高断熱化により,高湿度あるいは過乾燥といった湿度環境に陥り やすく1)2),結露の発生やアレルギー疾患の原因といわれるカビ,ダニの発生などの問題 がクローズアップされてきている.これら湿度環境問題の解決のため,我々はエネルギー を使用せずに湿度調整ができる建材の開発を行ってきている.アロフェンという多くの微 細な孔を持つ火山灰起源の粘土鉱物を用いており,木材以上の吸放湿性能を持っている.

ガラスデシケータ試験により調湿性能を評価し,局所平衡非線形熱水分同時移動方程式に よる数値シミュレーション結果と比較した.また,実際の住空間を想定し,様々な住まい 方や季節による湿度変動を数値シミュレーションにより予測し,調湿建材を使った住空間 の調湿性能設計の可能性を明らかにした.

2.2アロフェン系調湿建材作製方法

主要原料として使用したアロフェンは,火山灰や軽石の風化によって生じた火山灰土壌 にしばしば含まれ,Si−O−Al結合が不規則に配列している非晶質粘土鉱物であり,

微少中空体の単位粒子が多数集合したものであり,ナノメートルサイズの微細な細孔を多 く持っている 3).アロフェンを多く含む「鹿沼土」(栃木県鹿沼市周辺で産出する)と陶磁 器原料として一般に使用される蛙目粘土などを調合,混合粉砕,スプレー造粒した後,乾 式プレス成形(30cm×30cm×厚さ0.5cm)し,900℃程度の低温で焼成す ることによってアロフェン系調湿建材を得ることができる.焼成はローラーハースキルン を用い,焼成時間は1時間とした.

2.3アロフェン系調湿建材の材料物性

(14)

上記の方法で作製した調湿建材の湿気容量を Fig.2-1に示す.湿気容量は平衡吸湿量を 相対湿度で微分した値であり,材料の調湿性能を示す重要な物性値である.高湿度領域で 急激に湿気容量が大きくなり,開発した建材が大きな調湿性能を持っている事が分かる.

平衡吸湿量は,サンプルを60℃で乾燥後,所定の相対湿度にされた25度の恒温恒湿 槽中に入れ,重量が平衡に達した値から求めた.重量増加が0.1wt%/day以下になっ たところで平衡に達したという判断をした.なおこの平衡吸湿量の測定は,吸湿過程で行 った.シミュレーションに使用した値をTable2-1に示す.この他,表面伝達係数は建築設 計で一般に良く用いられる値を用い,表面熱伝達係数は9.44Jm-secKを,表面 湿気伝達係数は4.44kgm-sec-(kgkg’--として計算を行った.

2.4数値シミュレーションについて 2.4.1計算方法

材料の調湿性能は材料内の湿気拡散により発現する.結露が生じない領域(ハイグロス コピック)では材料中の水分移動は湿気拡散が支配的であり,その振る舞いは熱水分同時 移動方程式で表すことができる 4).局所平衡熱水分同時移動方程式は熱拡散式(1)と水 分拡散式(2)から構成される.式(1),(2)から材料中の熱と湿気の移動量を求め,

材料と住空間との間の熱と湿気(人や器具からの湿気発生や外気との換気による湿気変動 も含む)の収支式を計算し,住空間の湿度変動を求める.住空間の調湿シミュレーション における湿気の収支のイメージ図をFig.2-2に示す.

(1),(2)式を材料厚さ方向1次元有限差分法で離散化した.計算手法はプログラ ムの容易性を考慮し,陽解法を採用した.材料厚み方向を0.5mmに分割し,計算時間 刻み0.1秒で計算を行った.初期条件として,材料の温度,湿気量を均一(初期室内温 湿度)とした.また,境界条件として材料表面側を熱伝達,湿気伝達境界とし,材料裏面 側を断熱,断湿とした.

(15)

C r H t

w t

H

a' 'a + = ' 2x2 (2)

C: 材料比熱

: 材料熱伝導率

: 水の潜熱

Ca': 空気の湿気容量

a': 材料空隙率 ': 材料湿気伝導率 w: 材料湿気容量

: 温度

H: 絶対湿度

t: 時間

開発した建材は大きな湿気容量を持っており,その大きさは Fig.2-1 から相対湿度に対 して非線形で変化する事が分かる.そこで(1),(2)式中のδw/δtを変数分離し(3)

式,湿気に関係する物性値を(4),(5)式で与えた.

"w/"t = dw/dH・dH/dt + dw/d%・d%/dt (3)

&= dw/dH = dw/d(RH)×1/Hs (4)

*= dw/d%= dw/d(RH)×H×d(1/Hs)/d% (5)

w: 材料湿気容量

RH: 相対湿度

Hs: 飽和絶対湿度

H: 絶対湿度

%: 温度

2.4.2シミュレーションと実験との比較

実験装置をFig.2-3に示す.Fig.2-3に示す様に調湿建材を恒温恒湿槽に静置し,所定の

(16)

温湿度で平衡状態にする.密封したガラス容器(容積約0.011 m3)内に平衡状態に なった調湿建材(面積0.0056 m2:気積比0.5 m-1)を静置し,そのガラス容器 を恒温恒湿槽に入れ,所定の温度変動を与えた場合のガラス容器内の温湿度状況を測定し た.温度変動 は1℃/hourの降温,1℃/hourの昇温を設定した.ガラス容器内に センサーを入れ,温湿度を測定間隔10分でデータストッカーに取り込んだ.

実験とシミュレーションの湿度変動を比較した結果をFig.2-4に示す.Fig.2-4から実験と シミュレーションは良い対応を示し,シミュレーション方法が妥当である事がわかる.

2.5アロフェン系調湿建材を使った様々な住空間の調湿設計 2.5.1 シミュレーション条件

調湿設計を行うにあたり,モデルとなる住空間を想定した.設定した条件を Table2-2 に示す.空間広さ32m3は8畳に相当する.自然換気回数は高気密住宅の標準的な値を設 定した.調湿建材の施工面積については,施工面積と調湿性能の関係を調べるため3水準 を設定した.32m3の空間に対し,建材施工面積9m2は空間を構成する内壁の1面全面 施工に相当する.

住空間は寝室を想定した.寝室は空調設備を使う事が少なく,冬季の早朝の窓面結露な ど湿度問題が顕著に表れる空間であり,調湿建材の効果が期待できる.寝室の生活パター ンを基に,外気,室内温度,加湿条件を設定した,設定条件をTable2-3に示す.22:0 0〜翌6:00まで人が在室するとして加湿(60 g/hour,人体から発生)を設定し,

日中は在室していないという設定で加湿しない.室内温度に関しては,空調設備を使用し ないという条件で,各季節の最高温度,最低温度を設定し,正弦関数をもとにしたモデル で変動させた.また,外気湿度は,冬は1月の平均温湿度,夏は7月の平均温湿度を参考 に設定した.

(17)

建材を施工した場合とも,6:00から14:00までの温度上昇により相対湿度が低下 し,14:00以降の温度低下により相対湿度が上昇,特に22:00以降は人からの水 蒸気発生により,急激に相対湿度が上昇する傾向を示している事が分かる.ブランクでは 温度が高い昼間に,相対湿度40%以下の過乾燥状態を示すが,調湿建材を施工した場合 では相対湿度が40%を超えており,過乾燥を抑制する効果が期待できる事が分かる.ま た,就寝時(22:00〜翌6:00)において,調湿建材を施工した場合には,相対湿 度の急激な上昇を抑えており,窓面結露の軽減効果も期待できる事が分かる.さらに,温 度変化や湿度発生により,ブランクでは急激に相対湿度が変動するのに対して,調湿建材 を施工した場合には相対湿度の変動を抑制しており,調湿性能を発揮していることがわか る.

夏期(梅雨期)のシミュレーション結果を Fig.2-6 に示す.冬期に比べ温度変動が少な いため,湿度変動幅が小さいものの,調湿建材を施工する事で湿度変動を抑える事ができ る事が分かる.特に就寝時(22:00〜翌6:00)において,ブランクでは相対湿度 90%以上に示すのに対して,調湿建材を施工した場合には,相対湿度の上昇が5〜15%

程度抑えられていることが分かる.就寝時の湿度環境を改善することから,夏のジメジメ 感が軽減され,寝苦しさを緩和する効果が期待できる.

Table2-4に室内相対湿度の変動状況として,各季節モデルでのシミュレーションで求め

た最高相対湿度,最低相対湿度ならびに湿度変動幅を示す.冬・夏モデルとも,調湿建材 を施工した場合の最高相対湿度はブランクと比較して10〜20%低下しており,高湿度 抑制効果が働いていることが分かる.また,最低相対湿度を見ると,過乾燥が問題となる 冬期においては,ブランクと比較して調湿建材を施工する事で10〜20%最低相対湿度 が上昇しており,過乾燥緩和効果が期待できる事が分かる.

施工面積と調湿性能の関係は,施工面積の増加に伴い,調湿効果が大きくなっている事 が分かる.調湿建材を9㎡施工した場合に大きな調湿効果が得られているが,18㎡施工 と27㎡施工では湿度変動幅にそれほど大きな差がなく,施工面積と調湿効果の関係が比 例しない事が分かり,適切な調湿効果を得るために過剰に調湿建材を施工する必要がない

(18)

事が分かる.

調湿建材を施工する事により,年間を通じて,極端な高湿度や低湿度環境になりにくく し,湿度環境をより良い状態に改善する効果が期待できる事が分かった.

2.6まとめ

火山灰起源の多孔質な粘土鉱物であるアロフェンを用いた調湿建材を住空間に施工した 場合の湿度調整能力を非線形物性値の局所平衡熱水分同時移動方程式にもとづいた数値シ ミュレーションにより予測し,評価した.その結果,調湿建材を使用することによって,

相対湿度の変動を抑制し,夏のジメジメ感や冬期の結露,過乾燥を抑制する効果が期待で きることが分かった.また,施工面積と調湿性能は比例関係になく,過度に調湿建材を施 工しなくても適切な調湿性能を得られることも分かった.

参考文献

(1)山田雅士, 高気密・高断熱と結露 ,建築雑誌,114,1438,p.33(1999)

(2)長谷川兼一, 高気密・高断熱と乾燥感 ,建築雑誌,114,1438,p.22 (1999)

(3)逸見彰男,粘土科学,31,2,p.75(1991)

(4)中村泰人,松尾陽,松本衛,土屋喬雄,橘秀樹,宮田紀元, 新建築学体系 10 環 境物理 ,彰国社,p.127(1984)

(19)

0 50 100 150 200

50% 60% 70% 80%

相対湿度 (%)

湿気容量(kgm-3 RH-1 )

※kgm-3RH-1:材料の平衡吸湿量増加に必要な単位体積,単 位相対湿度あたりの湿気重量を示す

Fig.2−1 アロフェン系調湿建材の湿気容量

(20)

Table2−1 数値シミュレーションに用いた材料特性

密度

kgm

-3

空隙率 熱伝導率 Wm

-1

K

-1

熱容量 kJm

-3

K

-1

湿気伝導率 kgm

-1

sec

-1

(kgkg'

-1

)

-1

1740 0.35 0.095 570 1.65×10

-6

表中の kgkg -1は乾燥空気中に含まれる湿気重量を示す.

Table2−2 数値シミュレーション条件(空間設定)

空間広さ (㎥) 32

調湿建材施工面積 (㎡) 9,18,27 換気回数 (hour-1) 0.5

Table2−3 数値シミュレーション条件(外気,室内条件)

季節 外気,室内条件

・初期室内温度 (AM6:00):8℃,RH70%

・外気湿度:0.0039kgkg'-1※ (6℃,RH66%相当)

・室内温度変動:8℃〜18℃

(梅雨)

・初期室内温度 (AM6:00):25℃,RH70%

・外気湿度:0.0178kgkg'-1※ (25℃,RH80%相当)

・室内温度変動:25℃〜30℃

※kgkg'-1:乾燥空気中に含まれる湿気重量を示す

(21)

住空間

室内湿気発生 外

調湿 湿気移動 建材

人・器具 湿気移動

窓・換気

住空間の湿気収支

Fig.2−2 住空間の湿気収支のイメージ

(22)

Fig.2−3 調湿特性実験方法

ガラス容器

試料 温湿度センサ

恒温恒湿槽

データストッカー ガラス容器

試料 温湿度センサ

恒温恒湿槽

データストッカー

(23)

0 10 20 30 40 50 60 70 80

0.0 12.0 24.0 36.0 48.0

時間(hour)

ガ ラ ス 容 器 内 相 対 湿 度 (% )

0 10 20 30 40 50 60 70 80

温 度 (℃ )

試験結果

シミュレーション結果

Fig.2−4 数値シミュレーションとラボスケール実験との比較

(アロフェン系調湿建材の湿度変動)

(24)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

6:00 18:00 6:00 18:00 6:00

時刻 (hour)

相 対 湿 度 (% )

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

温 度 ( ℃ )

ブランク 9㎡施工

18㎡施工 27㎡施工

Fig.2−5 冬期を想定した数値シミュレーション結果

(25)

Fig.2−6 夏期を想定した数値シミュレーション結果

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

6:00 18:00 6:00 18:00 6:00

時刻 (hour)

相 対 湿 度 (% )

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

温 度 ( ℃ )

ブランク 9㎡施工

18㎡施工 27㎡施工

(26)

Table2−4 数値シミュレーション結果(湿度変動幅)

施工面積

(㎡)

温度変動幅

(℃)

相対湿度変動 幅

最低相対湿度

(%)

最高相対湿度

(%)

ブランク 5.0 30.5 62.1 92.7

9 5.0 21.5 64.4 85.9

18 5.0 15.8 65.9 81.7

27 5.0 12.5 66.8 79.3

ブランク 10.0 58.3 35.3 93.6

9 10.0 36.6 43.6 80.2

18 10.0 26.0 49.0 75.0

27 10.0 20.2 52.8 73.0

(27)

第3章 無機廃棄物水熱固化体の調湿性能 3.1概説

前章で開発したアロフェン系調湿建材の調湿性能を明らかにし,その調湿性能を局所平 衡非線形数値シミュレーションにより精度よく予測できる事を示した.アロフェン系調室 建材は天然原料を用い,焼成というプロセスを経て製造される.しかしながら近年,産業 活動の発展にともなう生産量の増加,および使い捨て消費スタイルの普及により,天然原 料の枯渇と廃棄物処理量の増加が進んでおり,原料枯渇と廃棄物利用は地球環境保存の観 点からも重要な問題であり,循環型社会の構築の必要性が訴えられている.循環型社会構 築のためには,資源とエネルギーを循環することにより,自然環境への負荷を低減させな くてはならない.この課題の解決のために,低エネルギーでかつ無機廃棄物を利用した建 築材料の開発も必要とされている.

無機廃棄物利用の手段として,水熱固化法に着目している.水熱固化法とはSiO2,Al2O3

成分を含む無機系材料を100℃〜200℃の水熱環境下で超微粒結晶を生成させ,材料 成形体を緻密化せずに固める方法である.水熱固化法は焼成や融解に比べ,より少ないエ ネルギーで利用できる特徴を持っており1),CaO−SiO2−Al23−H2O系の水熱反 応,固化現象の研究が石田や前浪ら2)によって多くなされている.しかしながら無機廃棄 物を原料に使った水熱固化体の研究例は少ない.本章では,無機廃棄物水熱固化体の調湿 性能を調べ,その調湿性能予測に数値シミュレーションが適用できるかを調べた.

3.2無機廃棄物水熱固化体の作成方法および材料物性

下水汚泥消却灰,建設汚泥を原料として利用し,ボールミルで微粉化した.それぞれの 廃棄物の化学組成をTable3-1に,平均粒子径をTable3-2に示す.それぞれの廃棄物にC Ca(OH)2を所定の比率で加え,調合・成形後,180℃の飽和水蒸気圧雰囲気下でオー トクレーブ処理する事により固化体を得ることができた.

上記の方法で作成した無機廃棄物水熱固化体の曲げ強度はオートクレーブ処理により 3.2MPaから16.2MPaに増加し,建築材料として十分な強度を持っている事が分

(28)

かった.その他の物性値を Table3-3 に示す.次に,無機廃棄物水熱固化体の湿気容量を

Fig.3-1に示す.湿気容量は平衡吸湿量を相対湿度で微分した値であり,材料の調湿性能を

示す重要な物性値である.

平衡吸湿量は,サンプルを60℃で乾燥後,所定の相対湿度にされた25℃の恒温恒湿槽 中に入れ,重量が平衡に達した値から求めた.重量増加が0.1wt%/day以下にな ったところで平衡に達したという判断をした.なおこの平衡吸湿量の測定は,吸湿過程で 行った.

3.3数値シミュレーションについて

前章2.4.1で述べた手法と同様の局所平衡非線形熱水分同時移動方程式を用い,解 法は前進差分法を採用した.温度変動を与えた時の湿度変動を計算する.

3.4調湿性能について 3.4.1実験方法

実験により調湿性能を調べた,実験装置を Fig.3‑2 に示す.無機廃棄物水熱固化体を 恒温恒湿槽に静置し,所定の温湿度で平衡状態にする.密封した金属容器(容積約0.0 108 m3)内に平衡状態になった無機廃棄物水熱固化体(厚み0.005m, 面積0.0 1 m2:気積比0.92 m-1)を静置し,その金属容器を恒温恒湿槽に入れ,所定の温度 変動を与えた場合のガラス容器内の温湿度状況を測定した.温度変動 は1℃/hourの 降温,昇温を設定した.金属容器内にセンサーを入れ,温湿度を測定間隔5分で温度湿度 記録計に取り込んだ.

3.4.2調湿性能及びシミュレーションとの比較

Fig.3-3に“廃棄物[下水汚泥焼却灰]:Ca(OH)2= 80:20,オートクレーブ処理

(29)

昇するのに対し,開発した無機廃棄物水熱固化体がある容器内の相対湿度は62%程度ま でしか上昇しておらず,湿度上昇に対し大きな調湿性能を持っていることが分かる.

次に実験とシミュレーションの湿度変動を比較した結果を示す.Fig.3-4にサンプルAの 比較結果を,Fig.3-5に“廃棄物[下水汚泥焼却灰]:Ca(OH)2= 80:20,オートクレ ーブ処理40時間(以下サンプルBと表記)”の比較結果を,Fig.3-6に“廃棄物[建設汚泥]:

Ca(OH)2= 74:26,オートクレーブ処理40時間(以下サンプルCと表記)”の比 較結果を,Fig.3-7 に“廃棄物[建設汚泥]:Ca(OH)2=90:10,オートクレーブ処理 6時間(以下サンプルDと表記)”の比較結果を示す.Fig.3-5,6,7 からいずれのサンプル も湿度変動幅を10%程度以内に抑えており,良好な調湿性能を持っている事が分かる.

Table3-4に相対湿度の変動状況として,各サンプルの湿度変動幅の試験結果とシミュレ

ーション結果のまとめを示す.調湿性能の実験とシミュレーションの比較をみると,いず れのサンプルも概ね良い対応が取れている事が分かり,特にサンプルA,C,Dは実験と シミュレーションの対応が非常に良いことが分かる.サンプルBは実験とシミュレーショ ンの対応が若干悪いが,この原因として,サンプルBの湿気容量が相対湿度80%で25 0kg/m3RHと他のサンプルに比べて大きく,高湿度側の湿気容量の非線形性が強いた めだと考えられる.サンプルBは他材料に比べ,湿気容量が大きい分,調湿性能が大きく 表れている事も分かる.

無機廃棄物水熱固化体は良好な調湿性能を持ち,その調湿性能予測に熱水分同時移動方 程式が精度良く適用できる事が分かった.

3.5まとめ

無機廃棄物(下水汚泥消却灰,建設汚泥)を原料に用い,水熱固化による無機廃棄物 水熱固化体を評価した.無機廃棄物水熱固化体を得る事ができ,建築材料として十分な曲 げ強度を持っている事が分かった.また,良好な湿度調整性能も持っており,その湿調性 能は非線形物性値の局所平衡熱水分同時移動方程式にもとづいた数値シミュレーションに より精度良く予測できる事が分かった.

(30)

本章の研究では,無機廃棄物水熱固化体のラボ試験の調湿性能検証に留まっており,フ ィールド試験においての効果検証が必要であるが,第2章の研究から数値シミュレーショ ンにより,空間設計まで可能である事が分かっており,無機廃棄物水熱固化体を建築材料 として実空間に使用できる可能性は高いと考える.

参考文献

(1)進博人,久留島豊一,セラミックス,32,981 (1998)

(2)H.Maenami,O.Watanabe,H.Ishida,T.Mitsuda,J. Am. Ceram. Soc.,83,1739

(2000)

(31)

Table3−1 原料に使用した無機廃棄物の化学組成 (mass%)

SiO

2

Al

2

O

3

Fe

2

O

3

CaO K

2

O Na

2

O SO

3

P

2

O

5 下水汚泥焼却灰

32 15 10 8.6 2.8 1.7 1.2 21

建設汚泥

68 16 3.7 2.4 3.9 2.8 1.6 ‑

Table3−2原料に使用した無機廃棄物の平均粒径

ボールミル前 ボールミル後

下水汚泥焼却灰 20 not ball milling

建設汚泥 59 14.8

平均粒径(μm)

(32)

Table3−3 無機廃棄物水熱固化体の材料物性

密度

kgm-3 空隙率 熱伝導率 Wm-1K-1

熱容量 kJkg-1K-1

湿気伝導率 kgm-1sec-1(kgkg'-1)-1 サンプルA 2820 0.54 0.878 1.58 0.90×10-6

サンプルB 2770 0.51 1.56 1.32 0.84×10-6

サンプルC 2610 0.42 8.36 1.01 0.57×10-6

サンプルD 2620 0.41 1.12 0.93 1.05×10-6

サンプルA:下水汚泥焼却灰:Ca(OH)=80:20 オートクレーブ処理 6時間 サンプルB:下水汚泥焼却灰:Ca(OH)=80:20 オートクレーブ処理40時間 サンプルC:建設汚泥:Ca(OH)=74:26 オートクレーブ処理40時間 サンプルD:建設汚泥:Ca(OH)=90:10 オートクレーブ処理 6時間

(33)

0 50 100 150 200 250

40% 50% 60% 70% 80%

相対湿度 (%)

湿気容量(kgm-3 RH-1 )

サンプルA サンプルB

サンプルC サンプルD

サンプルA:下水汚泥焼却灰:Ca(OH)=80:20 オートクレーブ処理 6時間 サンプルB:下水汚泥焼却灰:Ca(OH)=80:20 オートクレーブ処理40時間 サンプルC:建設汚泥:Ca(OH)=74:26 オートクレーブ処理40時間 サンプルD:建設汚泥:Ca(OH)=90:10 オートクレーブ処理 6時間

Fig.3−1 無機機廃棄物水熱固化体の湿気容量

(34)

Fig.3−2 無機廃棄物水熱固化体の調湿特性測定実験方法

chamber

metal box

sensor

data recorder specimen

data recorder

computer chamber

metal box

sensor

data recorder specimen

data recorder

computer

(35)

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 24 48 72

時間 (hour)

相 対 湿 度 (% )

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

温 度 (℃ )

計算値 (材料なし)

試験結果 温度

Fig.3−3 無機廃棄物水熱固化体の調湿特性実験結果

廃棄物[下水汚泥焼却灰]:Ca(OH)2= 80:20,オートクレーブ処理6時間

(36)

40 50 60 70

0 24 48 72

時間 (hour)

相 対 湿 度 (% )

シミュレーション結果 試験結果

Fig.3−4 サンプルAの数値シミュレーションと実験の比較

廃棄物[下水汚泥焼却灰]:Ca(OH)2= 80:20,オートクレーブ処理6時間

(37)

40 50 60 70

0 24 48 72

時間 (hour)

相 対 湿 度 (% )

シミュレーション結果 試験結果

Fig.3−5 サンプルBの数値シミュレーションと実験の比較

廃棄物[下水汚泥焼却灰]:Ca(OH)2= 80:20,オートクレーブ処理40時間

(38)

40 50 60 70

0 24 48 72

時間 (hour)

相 対 湿 度 (% )

シミュレーション結果 試験結果

Fig.3−6 サンプルCの数値シミュレーションと実験の比較

廃棄物[建設汚泥]:Ca(OH)2= 74:26,オートクレーブ処理40時間

(39)

40 50 60 70

0 24 48 72

時間 (hour)

相 対 湿 度 ( % )

シミュレーション結果 試験結果

Fig.3−7 サンプルDの数値シミュレーションと実験の比較

廃棄物[建設汚泥]:Ca(OH)2= 90:10,オートクレーブ処理6時間

(40)

Table3−4 数値シミュレーション結果 (湿度変動幅)

試験結果 シミュレーション結果

サンプルA 9 12.3

サンプルB 6 12.9

サンプルC 9 8.3

サンプルD 10 11.5

湿度変動幅 (%)

サンプルA:下水汚泥焼却灰:Ca(OH)=80:20 オートクレーブ処理 6時間 サンプルB:下水汚泥焼却灰:Ca(OH)=80:20 オートクレーブ処理40時間 サンプルC:建設汚泥:Ca(OH)=74:26 オートクレーブ処理40時間 サンプルD:建設汚泥:Ca(OH)=90:10 オートクレーブ処理 6時間

(41)

弟4章 土 を用 い た環 境 材 料 によ る室 内 熱 環 境 設 計 4.1概説

前 章 の 2 章 ,3 章 で は 機 能 性 建 材 の 調 湿 特 性 に 着 目 し て 検 討 を 行 っ て き た . 室 内 環 境 の 制 御 に は 湿 度 の 他 , 温 度 の 制 御 も 非 常 に 重 要 で あ り , 2005年 2月に発効した京都議定書では,日本は2010年までに温室効果ガス排出量を1990 年比で6%,これまでの増加分を入れると実質上は14%の削減が義務づけられている.こ のような背景をもとに第3章ではより製造エネルギーが低く,エネルギーを使わないで室 内の湿度調整ができる機能性建材の開発について述べた.第4章では低エネルギーで製造 でき,かつエネルギーを利用せずに住空空間の温湿度調整ができる材料について調べた.

土がもつ蓄熱性や細孔構造に由来する調湿性能を活かし,低環境負荷と高機能化を実現し た土を用いた環境材料を建築材料として,実際の住宅の内装材に用いた場合の住環境制御 効果の結果と,蓄熱効果を数値シミュレーションによって評価した.

4.2土を用いた環境材料 4.2.1環境材料作製方法

環境負荷を可能な限り小さくするため,天然原料の土を用いる方法を検討した.土は古 くから土壁や土蔵などに使われてきたが,施工には塗りと乾燥を繰り返して厚みを確保す る必要があるため,施工期間やコストの面で現代建築には適さない.そこで,土がもつ蓄 熱性能と調湿性能を向上させながら水熱反応によって固化する方法を開発した1),2).水熱 反応を利用する事で製造エネルギーはタイルの約1/6の2.7GJm-3に抑えることが できる3)

粉石工場から発生する廃土(SiO2=81.1mass%, Al23=8.5mass%)

80mass%と消石灰20mass%を混合し,1軸加圧成形(0.2×0.2×0.

02 m)後,150〜180℃でオートクレーブ処理する事により固化体を得た.

4.2.2環境材料の材料物性

(42)

上記の方法で作製した環境建材の物性値をTable4-1に示す.熱容量,比熱ともコンクリ ートと同等な値を示し,コンクリート並の蓄熱性能をもっていることがわかる.また,曲 げ強度8MPaと実用上十分な強度をもつことがわかる.

Fig.4-1に示す吸放湿特性は,材料の湿度調整機能を示す指標である.吸放湿特性は24

時間サイクルの吸放湿実験により評価しており,サンプルを25℃,相対湿度50%の恒 温恒湿槽中で平衡にさせた後,このサンプルを25℃,相対湿度90%の恒温恒湿槽に入 れて,吸湿量を24時間に渡って測定,続いて25℃,相対湿度50%の恒温恒湿槽に入 れて放湿量を測定した.サンプルの裏面ならびに側面をアルミテープで覆い,サンプル表 面だけ吸放湿するようにした.Fig4-1よりサンプルは壁紙と比べ吸放湿量が大きく,優れ た吸放湿特性をもっており,その調湿性能は木材とほぼ同等であることがわかる.

4.3実住宅での評価 4.3.1 住宅の概要

作成した環境材料を実際の住宅に施工し,住環境制御能力の評価を行った.評価に使用 した住宅は愛知県半田市にあるRC造の高気密高断熱型の集合住宅であり,家族2名(大 人2人)が生活をしている.評価対象としたのはこの家のリビングルームとして使用され ている部屋である.環境材料を施工する前は壁全面にビニールクロスが施工されており,

床はカーペット,天井はビニールクロス張り,窓サッシはペアガラスのアルミサッシであ る.

環境材料を床全面に施工し(約35m2,気積比0.4m-1,気積比=施工面積/室内容 積),施工後は床カーペットを使用しない状態で生活し,室内の温湿度を測定した.

4.3.2評価結果

部屋内の温度と湿度のデータを温湿度センサ(タバイエスペック社製RS−10)によ

(43)

であった変動幅が,環境建材施工によって相対湿度40%〜50%の範囲で安定した.ま た,温度も同様であり,施工前の10℃〜25℃変動幅が,施工後は15℃〜20℃の範 囲で安定しており,温度変動を10℃程抑制する効果があった.つまり,開発した土を用 いた環境材料によって室内の温湿度変動を小さくできる事がわかる.

また環境建材施工前後のエネルギー消費量を図Fig.4-3に示す.Fig4-3より,電気使用 量がCO2換算で20%以上低減できたことがわかる.電気,ガス,水道を加えた生活にと もなう全エネルギー使用量を考えても,CO2換算で年平均17%低減できることになる.

これは,室内温度が安定することで,生活で利用するエアコンや加湿器などの必要性が少 なくなり,運転時間が減少したためと考えられる.

4.4住空間の熱設計 4.4.1シミュレーション条件

エネルギー消費の低減は,室内の温度が安定したことが大きな要因であると考えられる.

住空間の熱環境をより快適,かつ個人レベルでも京都議定書を達成する省エネルギーな住 環境を実現するためには,居住空間の熱環境の設計が重要であり,住居や住まい方に合わ せた設計と検証が必要である.しかしながら実住宅を利用した試験は長時間に及び,また 設備も大がかりなものが必要で,多数の実験を実施することは難しく,さらに住み方によ って住環境も様々に変化する.このような条件下での蓄熱建材の性能を予測するためには,

数値シミュレーションの利用が有用である.ここでは,土を使った環境材料の蓄熱効果を 数値シミュレーションによって評価する.

蓄熱シミュレーションは実住宅で評価した空間を想定したが,その条件をTable4-2に示 す.環境材料の施工面積については,施工面積と蓄熱性能の関係を調べるため,実施工面 積35㎡を含めて3水準を設定した.床面積35㎡(空間広さ87.5㎥)の部屋空間に 対し,材料施工面積22m2は空間を構成する内壁の1面全面施工に相当し,建材施工面積 35m2床全面施工に相当する.建材施工面積57m2は床全面施工に加え,内壁一面全 面施工に相当する.また,比較のためカーペット(熱容量3465J/Kと設定)使用時

(44)

の計算も行った.

外気温度変動は冬1月の平均最低気温,最高気温を元に無次元化日変動率4)に従って設 定した.室内の熱収支については壁4面と天井を断熱とし,外気からの熱はサッシを通し てのみ,また空間との熱のやり取りは窓と床の環境材料を通してのみ行われるものと仮定 した.住空間の温度シミュレーションにおける熱収支のイメージをFig.4-4に示す.

室内の発熱条件をFig.4-5に示す.120Wを目処に時間帯によって発熱量を変更させ たが,120Wの発熱量は事務作業や軽い歩行に相当する5)

材料と空間の熱収支は(1)で示すことができる.材料と住空間との間の熱との収支式を逐 次計算し,住空間の温度変動を求めた.

Tint+1=(WK×WS×(Toutt−Tint)+HS+FK×FS×(TmattTint)×dt/(Q×V) +Tint (1)

Tint t秒時後の室内温度

Tmatt t秒時の材料温度

Toutt t秒時の外気温度

WK 窓サッシの熱貫流率 WS 窓サッシの面積 Q 空気の熱容量

V 室内容積

HS 室内発熱量 FK 床面熱伝達係数 FS 床面積(材料面積)

dt 計算の時間ステップ

4.4.2シミュレーション結果

(45)

気温度変動に追従した温度の変化をしているのに対し,環境建材を施工した場合の温度変 動は外気温度変動に比べて小さく,さらに最高温度に到達する時間に遅れが生じる事が分 かる.

次に施工面積の変化させた場合のシミュレーション結果を Fig.4-7 に示す.施工面積が 多いほど室内の温度変動幅は小さくなっており,施工面積の増加に伴い,蓄熱効果果が大 きくなる事がわかる.

Table-4-3 にシミュレーションで求めた最高室内温度,最低室内温度ならびに温度変動

幅を示す.カーペットに比べて環境建材を施工することで 4〜7℃程小さくなり,温度変 動緩和効果が期待できることがわかる.また実住宅試験結果(環境建材35m2施工)とシ ミュレーションとの間には約4℃の温度のずれが存在するが,これは生活時の熱消費の見 積り方に原因があると考えられる.しかし,環境材料を使用することによって最高温度は 下がり,最低温度は上がるという傾向の対応はとれており,環境材料を使用した空間の熱 環境をシミュレーションにより予測することが可能であることを明らかにした.

4.5まとめ

土の特性を活かし,低環境負荷で作成できる環境建材を使用した居住空間の制御効果を 調べた.とくに熱環境制御機能に着目し,数値シミュレーションにより蓄熱効果を予測,

評価した.その結果,開発した環境建材を使用することによって,相対湿度および室内温 度の変動が抑制され,エネルギー消費をおさえた生活空間を作り出すことができる事を明 らかにした.

参考文献

(1)H.maenami,O.Watanabe,H.Ishida,J. Am. Ceram. Soc.,75,,1858 (1992))

(2)石田秀輝,前浪洋輝,進博人,機能材料, 21,42 (2001)

(3)進博人,久留島豊一,セラミックス,32,981 (1998))

(4)石野久弥,郡公子,籾山隆, 空気調和・衛生工学会講演論文集 ,p.417(1985)

(46)

(5)空調設備基準委員会第二小委員会,空気調和・衛生工学,46,3 (1972)

(47)

Table4−1 土を使った環境材料の材料物性

密度

kgm

-3

熱伝導率 Wm

-1

K

-1

熱容量 kJkg

-1

K

-1

曲げ強さ MPa

1930 1.4 0.92 8

Table4−2 数値シミュレーション条件

空間広さ (㎥) 87.5

材料施工面積 (㎡) 22, 35, 57 ガラスサッシ熱貫流率 (Wm-2K-1) 3

サッシ面積 (㎡) 3.4

材料表面熱伝達係数 (Wm-2K-1) 8.9

材料厚み (m) 0.02

Table4−3 数値シミュレーション結果結果(室内温度変動)

カーペット使用

35㎡ 22㎡ 35㎡ 57㎡

最高温度 (℃) 19.4 18.0 17.3 16.6

最低温度 (℃) 5.3 7.3 8.2 9.3

温度変動幅 (℃) 14.1 10.7 9.1 7.3 土を使った環境材料施工

(48)

0 0.05 0.1 0.15

0 12 24 36 48

時間 (hour)

吸放湿量kgm-2

吸湿 (相対湿度 90%) 放湿 (相対湿度 50%RH)

:土を使った環境材料

:木材 (杉)

:壁紙

Fig.4−1 土を使った環境材料の吸放湿特性

(49)

0 20 40 60 80 100

5 10 15 20 25 30

室温 (℃) 室 内 湿 度 (% )

◆:土を使った環境材料施工

□:カーペット使用

Fig.4−2 実住宅での温湿度変動測定結果(冬,土を使った環境材料施工)

(50)

32.7

24.6 11.2 11.3

2.2 1.9

0 20 40 60

施工後 施工前

CO

2

排出量 (kg-C/月)

電気 ガス 水道

45.9

38.0

-17%

Fig.4−3 土を使った環境建材施工前後のエネルギー使用量(CO2換算)の比較

(51)

Fig.4−4 数値シミュレーションにおける材料と住空間の熱収支イメージ

Outdoor

Heat transfer Window

Heat transfer Material

Indoor Heat generation

by living

(52)

0 20 40 60 80 100 120

6:00 12:00 18:00 23:00 6:00

時刻 (hour)

発熱量(W)

Fig.4−5 数値シミュレーションにおける室内の発熱条件

(53)

-5 0 5 10 15 20

6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 時刻 (hour)

温度(℃)

室内温度 (土を使った環境材料施工)

室内温度 (カーペット使用)

外気温度

Fig.4−6 数値シミュレーション結果(環境材料とカーペットの蓄熱効果比較)

(54)

5 10 15 20

6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 時刻 (hour)

温度(℃)

22㎡施工 35㎡施工 57㎡施工

Fig.4−7 数値シミュレーション結果(施工面積の違いによる影響)

(55)

第5章 低温固化体のヒートアイランド抑制効果 5.1概説

前章までで,室内の温湿度環境を制御する機能性建材の特性,空間設計シミュレーショ ンの検討をおこなった.本章では,制御の範囲を室内から屋外の熱環境へ広げ,検討する.

ヒートアイランド現象は近年特に問題になっており,社会的関心も高い.ヒートアイラン ド現象の抑制のため,打ち水大作戦1)というイベントもNPO主催で2004年から実施され ており,マスメディアにも広くとりあげられている.

本章では第3章で検討した無機廃棄物水熱固化体とタタキを利用した無機廃棄物常温固 化体のヒートアイランド抑制効果を検証する.タタキとは土を常温で固化する技術の事を 言い,日本では土間などに古来から利用されている.タタキは主に消石灰が空気中の二酸 化炭素と反応する炭酸化反応によって固化するが,強度発現に要する時間は長く,また,

施工にも長期間を必要とする.その問題に対し,反応促進剤の添加によって短期間でも実 用強度をえる方法が検討されている2),3).しかしながら機能性建材としてのタタキの検討 は少ない.本章では無機廃棄物水熱固化体とタタキが屋外に利用される事を想定し,屋外 での機能性建材としてヒートアイランド現象の抑制効果について調べた.

5.2実験方法

5.2.1無機廃棄物水熱固化体の作成方法

下水汚泥消却灰,コンクリート廃材および建設汚泥を原料として利用した.建築汚泥は ボールミルで微粉化,スプレードライヤーで造粒した.コンクリート廃材はボールミルで 微粒化し原料とした.ぞれぞれの廃棄物の化学組成をTable5-1に示す.それぞれの廃棄物 にCa(OH)2をCa(OH)2/廃棄物を15/85の比率で加え,一軸プレス成形後,18 0℃の飽和水蒸気圧雰囲気下でオートクレーブ処理する事により固化体を得ることができ た.

5.2.2タタキの作成方法

(56)

東京都多摩市近郊での発生土を原料として利用した.使用した土の化学組成をTbale5-2 に示す.土にCa(OH)2を17mass%と水を12mass%,さらにNaClを1m ass%加え,一軸加圧の後常温で1日から9日間養生する事で固化体を得ることができ た.

5.3実験結果と考察 5.3.1 強度特性

無機廃棄物水熱固化体のオートクレーブ処理後の曲げ強さは3.2MPaから9.4M Paへ増加し,密度は1200kg/m3から1800kg/m3に増加し,強度も舗装用 タイルとして十分な値を持っていることが分かった.

一方タタキにより得られた固化体は,9日間の養生後で3.5MPaの圧縮強さを持つこ とが分かり,密度は1200kg/mであることが分かった.

5.3.2.ヒートアイランド抑制特性

ヒートアイランド抑制特性を調べるため,フィールドテストの施工表面の温度測定を行 った.無機廃棄物水熱固化体の表面温度の測定は,愛知県産業技術研究所(刈谷市)に舗 装材として施工した表面で行った.比較のため近辺のアスファルト舗装表面の温度も同時 に測定した.アルファルト舗装はヒートアイランド現象の原因と言われており,比較とし て適切であると判断した.測定結果を Fig.5-1 に示す.また,フィールドテストの様子を 図2に示す.測定は舗装面に温度センサーを設置し,表面温度データを温湿度記録計に取 り込んだ.表面温度の測定結果をFig.5-2 に示す.開発した舗装材とアスファルトとの表 面温度にはほとんど差がみられず,ヒートアイランド現象を抑制する効果が殆ど無いこと が分かった.

タタキによる固化体の表面温度測定は愛知県知多市に施工した施工表面で行った.比較

(57)

比べ最高で15℃ほど温度が低く抑えることができ,ヒートアイランド現象を抑制する効 果がある事がわかった.

5.4ヒートアイランド現象抑制の数値シミュレーション

ヒートアイランド現象の抑制効果は材料表面からの水分蒸発の際に潜熱が奪われるた め,表面温度が上昇しにくくなると考えられる.そこで,表面の水分蒸発速度から蒸発し た水分の潜熱分を材料表面の熱容量として考える.具体的には,T秒後の表面層の含水率 を MTとし,T+dt 秒後の表面層の含水率をMT+dtとすると,蒸発速度は (MT+dt

MT)/dt と表すことができる.蒸発に必要な単位時間あたりの熱量は,水の潜熱をP,表面

層体積をV,材料密度をρとすると,P×V×ρ×(MT+dt - MT)/dt と表す事がき,こ の値を表面層の熱容量として与えた.

材料中の熱と温度はそれぞれ拡散方程式で表す事ができ,(1)式,(2)式で表す事が できる.(1)式は熱移動を,(2)式は水分移動を表している.これを1次元の前進差分 法により計算し,材料中の含水量と温度の時間変化を求めた.

S dT/dt = C d2T/d2x (1)

dM/dt=Dd2M/d2x

(2)

S 材料比熱

C 材料熱伝導率

T: 温度

D 材料中の水分拡散係数 M 材料の含水率

t: 時間

数値シミュレーション結果と実験結果との比較を Fig.5-5 に示す.太陽日射量の設定は アスファルト表面(水分蒸発無しと仮定)の温度を実験値に合せるように設定した.タタ

(58)

キ表面の水分蒸発速度を0.005 mass%/secと設定することで,数値シミュレ ーションと実験結果とで材料表面の最高温度の値が良い対応を示す事が分かった.表面温 度が上昇する挙動は良好に再現できているが,表面温度が下がる挙動では数値シミュレー ションと実験とで差異がある.表面温度が下がる挙動において,実験では速やかに温度が 下がるのに対し,数値シミュレーションでは緩やかに温度が下がっており4時間ほど遅れ が生じている.この原因としては,水分蒸発分の潜熱すべて熱容量として与えているため,

蓄熱効果を大きく見積もりすぎたと考えられる.しかしながら,本手法でも材料表面の最 高温度は対応がとれており,機能性建材のヒートアイランド現象の抑制効果を数値シミュ レーションにより予測できることが分かった.

5.5まとめ

土を原料にしたよりタタキによる固化体の屋外環境制御機能として,ヒートアイランド 現象の抑制効果を調べた.フィールド試験において,材料表面の温度を測定し,アスファ ルト舗装面に比べ15℃ほど温度上昇を抑制でき,タタキによる固化体はヒートアイラン ド現象の抑制効果を持っている事が分かった.また,表面水分蒸発の潜熱を材料熱容量と して与える手法を採用する数値シミュレーションにより,材料表面温度を予測する事がで き,ヒートアイランド現象の抑制効果を数値シミュレーションで評価する事が可能な事が 分かった.

参考文献

(1)http://www.uchimizu.jp/

(2)H. Maenami, N. Saito and H. Ishida,Ceram. Transactions,107,49(1999)

(3)N. Saito,H. Maenami,H. Shin,H. Kuno and E.H. Ishida,Trans. Mat. Res. Soc.

Japan,25,653 (2000)

(59)

Table5−1 無機廃棄物の化学組成 (mass%)

SiO2 Al2O3 Fe2O3 CaO K2O Na2O SO3 P2O5 下水汚泥焼却灰 32 15 10 8.6 2.8 1.7 1.2 21 コンクリート廃材 68 11 3 11 2.9 1.9 0.4

建設汚泥 68 16 3.7 2.4 3.9 2.8 1.6

Table5−2 土の化学組成 (mass%)

SiO2 Al2O3 Fe2O3 CaO MgO K2O Na2O TiO2 L.O.I* 75.5 11.4 4.7 0.6 1.1 1.8 1.8 0.4 2.7

*Loss on ignition

参照

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