九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
船体上部構造の防振設計のための全船振動応答解析 に関する研究
高橋, 弘行
https://doi.org/10.15017/1441215
出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:Fulltext available.
(様式 3)
氏 名 高 橋 弘 行
論文題名 船体上部構造の防振設計のための全船振動応答解析に関する研究
区 分 甲
論 文 内 容 の 要 旨
一般商船の乗組員の快適性のために上部構造の振動応答レベルを低減させるためには,設計の初 期段階で全船モデルによる振動応答解析により居住区画の振動応答を精度よく評価し適切な対策を 適用することが重要である。そのため,全船モデルによる振動応答解析の解析精度の更なる向上が 求められている。
上部構造の防振設計のための全船振動応答解析の研究は古くから行われているが,計算機の制約 による不十分な計算モデ、ノレの自由度,大きな仮定に基づく起振力の負荷手法,不十分な減表モデル の構築等に問題があり解析精度は十分とは言えない。そこで,本論文では,全船振動応答解析に関 する現状の状況を踏まえ,解析精度に寄与する各要素について検証を行い,解析精度向上のための 課題を明確とし,また,あわせて全船振動応答解析の応用技術を示した。
本論文では以下の
8
章から構成されている。第
1
章では本論文の背景と目的,および本論文の構成と概要を示した。第
2
章では本研究の解析による評価対象としている上部構造の機能的要件をまとめ上部構造の防 振設計における制約条件を明確とし,上部構造が高層化し防振設計に対して条件が厳しくなった変 遷,上部構造の設計での防振設計の位置づけを整理した。そして近年の高層化した上部構造に対し て防振設計に全船振動応答解析が必要である状況を示した。第3章では,従来の全船振動解析のモデルのレビューを行い現モデル化要領となっている要因が 要求される解析精度により決まっていないことを示した。主機起振力が負荷するため振動特性を再 現することが重要な主機のモデ、ノレ化についてレビューを行い主機をモデ、ル化する際に注意すべき点,
主機軸系のモデ、ノレ化が必要で、あることを示した。また,全船モデルのメッシュサイズが解析精度に 与える影響について,等価剛性を適用した感度解析により検証を行いメッシュサイズを細かくする ことにより解析精度が向上する可能性があることを示した。
第 4章では,従来,モデルの密度調整,質点マスの付加等の簡易手法によりモデル化されていた タンク内流体のモデ、ノレ化要領について検討を行った。タンク内流体の自由表面影響により有効振動 質量はタンク内流体の全質量とはならないことを示し,
Senda,Housner
等の簡易式,2
次元BEM
解析,3
次元FEM
解析によりタンク内流体の自由表面による振動質量への影響のレビューを行い,タンクが水平運動,上下運動,回転運動をする際のタンク内流体の有効振動質量に与える影響を定 量的に評価した。また,
VLCC
の全船振動応答解析により船体節振動に対してタンクの回転運動によりタンク内流体のモデル化手法が解析精度に影響を与えることを示した。
第
5
章では主機起振力,プロペラ起振力のモデノレ化手法について検証を行った。主機起振力発生 のメカニズムを整理し,アンバランスモーメント,ガイドモーメント,軸系縦振動起振力の主機起 振力について従来と比較して仮定が少なく,より実機の起振力負荷状況に近い起振力のモデ、ノレ化手法の開発を行い起振力の精度についての検証を行った。プロペラサーフェスフォースについて実船 の計測結果,
Holden
の簡易式により定性的な傾向を整理しモデル化するうえでの注意点を示した。また,プロペラベアリングフォースの発生メカニズムを整理しモデル化要領を示した。本研究にて 開発した主機起振力モデ、ノレ化手法により可能となった主機起振力とプロペラ起振力の統合解析につ いて試解析の結果を示し,主機起振力とプロペラ起振力を打ち消す技術であるフェイジングへの応 用の道筋をたてた。
第
6
章では従来の減表に関する研究の状況をレビューし従来の減衰モデルの課題を整理した。近 年開発が進んでいる実験モーダノレ解析技術について理論を整理し,VLCC
を対象として実船の計測 結果により同定した減衰についてレビューを行い減衰をモデル化する際の課題を明確とした。また,実船の計測結果により同定された減衰により開発した減表モデルが全船振動応答解析の精度に与え る影響について検証を行った。
第
7
章では全船振動応答解析技術の応用として開発した局部振動解析モデ、ノレの応答を推定するた めの振動応答ズーミング解析手法の理論を示した。VLCC
の実船の振動計測結果により狭脆タンク の振動応答の評価を行い手法の妥当性を検証した。また,本技術を上部構造の振動応答推定に活用 する今後の方向性を示した。第