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住戸の表に設置される鉢植えが多すぎる場合のシグナル

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Academic year: 2022

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(1)

住戸の表に設置される鉢植えが多すぎる場合のシグナル

-住民の地域コミュニティとの関係を測る指標となり得るか-

佛教大学 正会員 ○水上 象吾

データとの関係を分析する。データ全体から得られる傾向 を示し、さらに本研究では一定以上の植木鉢数に着目し考 察する。統計的分析としては、相関分析、カイ二乗検定に より分析した。有意水準の表示は**P<.01, *P<.05 とする。

1.研究の背景と目的

都市化の進行により地域コミュニティには変化が生じて いる。内閣府による「社会意識に関する世論調査」1)にお いて、『現在の地域での付き合いの程度』の変遷をみると、

「よく付き合っている」註 1)との回答は、1975 年の調査では 52.8%だったのに対し1986 年には49.0%、1997 年は42.3%、

2004 年は 22.3%、2014 年は 17.6%と低下している。

3.分析結果

(1)地域活動と鉢植えの関係

126 の路地を調査した結果、住戸の表に置かれた植木鉢

数は合計 13464 鉢であった。調査した路地長さの合計は

4099mであるため、路地1mあたりの植木鉢数は平均3.3 個となった。住民の町会・自治会への参加頻度とその住民 の住戸が接する路地 1mあたりの植木鉢数との関係を調べ たところ、有意な相関関係が認められた(R=-.152**)。植 木鉢数が多い路地の住民ほど、町会・自治会への参加頻度 が多い傾向が認められる。

居住地域の路地は生活に密着した空間であり、住民によ る共有領域が形成されやすい2)。路地は植木鉢の表出や住人 の所有物のあふれ出しが多く3)4)、路地での鉢植えの緑への 水やりや手入れを行う機会の増加は、近所づきあいの頻度 を増やす可能性があり、緑や花を通じた会話は地域コミュ ニティを深める可能性がある。

しかし、路地における鉢植えの緑の設置状況を観察して いると、住戸を取り囲み外部からの視線を遮断するような 設置をしている事例や、あふれ出した植木鉢が異常に多い と見受けられる場合もある。

ただし、この分析では、路地毎の植木鉢数として平均化 した値を用いており、個々の住民の設置した植木鉢数と住 民意識との関係ではない。本研究では、アンケート調査に て、自宅の家の前に置いた鉢植え数を4択による回答を個 別に得ている(図1参照)。実態調査による路地1m毎の植 木鉢数とそこに居住する住民の設置鉢植え数4択の回答の データはR=.281**にて相関関係が認められる。

以上の問題意識のもと、本研究では、路地に表出された 鉢植えの多さに着目し、住民の地域コミュニティとのかか わりの指標となる可能性について検討する。

2.研究の方法

(1)アンケート調査・鉢植えの実態調査

置いていな 17.8%

一~三鉢 20.3%

四~九鉢 35.7%

十鉢以上 26.1%

京都市中心市街地の中京区、上京区、北区を調査地域と し126の路地2に接する住戸1000軒を対象にアンケート 調査を行った。路地環境や緑についての意識に加え、地域 活動の実態について尋ねた(表1参照)。

鉢植えの実態調査については、住戸の表に置かれた植木 鉢数を、アンケート調査と同様の場である126の路地にて 目視によりカウントした。路地の長さにて除算し1m あた りの植木鉢数を算出した。

n=241

図 1 自宅前の鉢植え数

住民の設置鉢植え数と地域の町会・自治会への参加頻度 との関係について、図2に示す。鉢植えを「置いていない」

との回答者よりも「4~9鉢」との回答者の方が参加頻度が 多い傾向が認められる。しかし、「10 鉢以上」との回答者 は「4~9鉢」との回答者よりも参加頻度が少ない。

表 1 アンケート調査の概要

調査対象 京都市中心市街地

126路地に接する住戸

調査票配布数 1000票

配布回収の方法 ポスティングによる配布・

郵送による回収 配布期間 配布:2012年1月7日~10日

締切:1月23日(ただし2月6日まで回収)

回収数(回収率) 278票(27.8%)

同様に、鉢植え数と近所づきあいとしての立ち話の頻度 との関係について、図3に示す。鉢植えを「置いていない」

との回答者よりも「4~9鉢」との回答者の方が頻度が多い 傾向が認められる。しかし、「10鉢以上」との回答者は「4

~9鉢」との回答者よりも頻度が少ない。

(2)分析方法

路地における植木鉢数とアンケート調査による住民意識

以上、全体の傾向としては植木鉢数が多い路地の住人ほ キーワード:路地、鉢植え、表出、地域コミュニティ

連絡先:〒603-8301 京都市北区紫野北花ノ坊町96 佛教大学

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑11‑

Ⅳ‑006

(2)

11.9

18.4

24.7

19.4 38.1

49.0

51.8

50.0 23.8

14.3

16.5

14.5 26.2

18.4

7.1

16.1 置いてない

1~3鉢

4~9鉢

10鉢以上

鉢植

0% 20% 40% 60% 80% 100%

いつも参加 ときどき参加 あまり参加してない ほとんど参加していない

0 5 10 15 20 25 30

1個 1以

2個 2以

3個 3以

4個未

4以 5個未

5以 上6個未

6以 7個

7以 上8個未

8以 9個

9以 10

10以 11個

11以 12

12以 13個

13個

植木鉢数/m

路地

図 2 鉢植え数別にみた町会・自治会活動への参加頻度

図 4 鉢植え数別の路地数

9.8

18.4

29.4

23.8

58.5

46.9

55.3

54.0

22.0

22.4

14.1

15.9 9.8

12.2

1.2

6.3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

置いてない

1~3鉢

4~9鉢

10鉢以上

近所

よくする たまにする あまりしない しない

や会話のきっかけを増やすと考えられ、地域コミュニティ とのかかわりが増加する傾向が示される。

しかし、一定以上の鉢植え設置は、外部との壁を形成す る役割やテリトリーとしての表出の意味を示すことも考え られる。所持する鉢植え数が多い人は、地域活動や近所づ きあいが減少する傾向も示唆されることから、地域との関 係が閉鎖的であるシグナルとして捉えられる可能性がある。

ただし、設置場所や整理がなされているのか、放置状態で 野積みになっているのか等、鉢植えの状態にもよると考え られ、緑の手入れ状態を把握することも必要と考えられる。

本研究ではアンケートにより住人の緑の手入れ頻度を主観 的に把握したが、これも全体のデータをみると鉢植えが多 い人ほど手入れ頻度も高い傾向がみられ、異常な設置数を 部分的に探り出すことはできなかった。今後、個別の事例 として調査していく必要がある。

図 3 鉢植え数の分類別にみた立ち話の頻度 ど、地域活動や近所づきあいの頻度が多い傾向が認められ るが、鉢植えの設置数が10鉢以上の住民層は頻度が多少下 がる傾向がみられる。

それでは、どの程度の植木鉢数が適当と考えられるのだ ろうか。つぎに、路地における植木鉢数の妥当性について

検討し、地域コミュニティの指標となり得るか検討する。 1)1975年から1997年調査は回答の選択肢文は「親しく付き 合っている」となっている。

(2)植木鉢の地域コミュニティ指標としての水準

2)路地とは4m以下の幅員を示す場合やコミュニティの分要素 として10mを閾値としてみる場合など定義はさまざまある が、本調査では、幹線道路を除き、居住環境における1m 下の通りから10m意未満の通りまでを対象としている。

本調査では、路地毎の植木鉢数をカウントしたが、住戸 個別の植木鉢数と住民意識とのデータは整合させていない。

アンケートによる4択の鉢植え数は把握したものの、10鉢 以上は一括りとしており具体的な数値は明らかではない。

仮に1軒で9個の鉢植えを設置していると考え、また、1 軒の路地への接道部分の長さを、京町家の場合3間と仮定 すると5.4mとなり、路地1mあたりの植木鉢数は1.7個と なる。路地の実態調査では、平均 3.3個となったが、この 値は一部の多くの鉢植えを所持している住戸のデータが平 均値を高めたと考えられる。

付記:本研究は大学コンソーシアム京都「平成23年度 未来の京 都創造研究事業」の助成により行われたものである。

参考文献

1) 内閣府「世論調査報告書『社会意識に関する世論調査』

2) 湯浅義晴・篠崎健一・青木義次(1987)「路地空間におけるあ ふれ出しの発生要因」日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.51-52.

実態調査で得た路地1mあたりの植木鉢数を1個単位で 分類し路地数を調べたところ、104の路地(82.5%)では5 個未満となったことから、この水準が一般的な設置状況と 捉えられる(図4参照)。なお、1mあたり5個とは、1軒 あたりでは27個程度と推定できる。

3) 青木義次・湯浅義晴(1993)「開放的路地空間での領域化とし てのあふれ出し:路地空間へのあふれ出し調査からみた計画 概念の仮説と検証その 1」日本建築学会計画系論文報告 集,No.449, pp.47-55.

4水上象吾(2013)「路地における鉢植えの緑の設置状況と居住 者意識」環境情報科学 学術研究論文集, No.27, pp.209-214 4.考察

5) 京都文教大学人権委員会・京都文教短期大学人権委員会

(2012)「ごみ屋敷の住人たち-専門職が地域活動で出会う 人々-」京都文教大学心理社会的支援研究 2, pp.111-136 本研究は路地に表出された植木鉢数に着目し、地域コミ

ュニティへのかかわりの指標となる可能性について検討し た。住戸の表に設置された鉢植えの存在は、表に出る機会

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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参照

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