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実環境下における酸化チタン光触媒の防汚効果に関する検討

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Academic year: 2022

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(1)

実環境下における酸化チタン光触媒の防汚効果に関する検討

九州大学大学院 正会員 ○山本 大介 九州大学大学院 フェロー 松下 博通 九州大学大学院 正会員 濵田 秀則 九州大学大学院 正会員 佐川 康貴 九州大学大学院 学生会員 末松 慎司

1.目的

近年,構造物には安全性・耐久性・経済性に加え,景観に対する配慮や周辺環境との調和が要求されるようにな り,構造物の美観の維持が要求されるようになった。その手法の1つとして,酸化チタン光触媒技術に着目した。

酸化チタンは紫外光により酸化還元反応を起こし有機物を分解する。この働きで有機物の汚れ分解,脱臭・抗菌作 用といった機能を発揮する。また別の効果として超親水性を有し,雨水などで汚れを洗い流す作用を持つ。しかし 実環境下の適応事例は少なく既往の研究データも乏しい。そこで,本研究では実環境下において光触媒を塗布した 既存構造物の防汚効果について検討した。

2.実験概要

構造物に酸化チタン光触媒を適用する場合,

従来工法では,酸化チタンを接着する有機バ インダーも分解し酸化チタンが剥がれ落ち,

基板の有機系塗料も分解する問題があった。

この問題を解決するため,本研究では一ノ瀬 の提案する手法1)を用いた。

本手法は,下塗り剤に光触媒活性のないペ ルオキソチタン酸水溶液(C液)を使用し,上 塗り剤にペルオキソチタン酸溶液とペルオキ ソ改質アナターゼゾルの混合液であるA液を

使用する。C液は基盤との接着性が高く,A液は高い光触媒活性を持つ。光触媒活性のない下塗り剤の塗布効果に より有機基盤へ損傷を与えない。本研究では,A液の他に,アナターゼ型酸チタンの配合比率の高いB液,A液に 防菌剤を加え防カビ,防藻性能を持たせたK液を使用した。用いた工法と使用材料を表-1に示す。

これらの工法による光触媒防汚効果を検討するため,実構造物への試験施工を行った。施工を行った現場環境や 用いた工法を表-2に示す。また,色差計により対象物の色をLab表色系で表し,防汚効果を評価した。Lab

3 軸座標系は全ての色を色空間で表現できる。L軸,a軸,b軸はそれぞれ値が大きくなるにつれ,黒から白,

緑から赤,青から黄へ変遷することを示す。本稿ではガラス・コンクリートの汚れを黒色とみなしL値で評価し,

高速料金所の汚れについては,白塗料はL値,赤塗料はa値,青塗料はb値を用いて評価した。

3.実験結果

(1)港湾構造物ガラス面を基盤とした防汚効果の検討

施工時に塗布・無塗布面ともに洗浄後,塗布面にCG工法で施工した。約8 ヶ月後の経過状況を図-1に示す。光触媒塗装面は無塗布面に比べ,くすみが 少なく,反射像が鮮明に確認できた。L値の判定でも光触媒塗布面の方が小 さく,汚れの付着が少ないことが確認された。

(2)河川護岸を基盤とした,施工前洗浄の有無による防汚効果の違い ここでは水洗のみ・水洗+光触媒・光触媒のみ・無施工の4パターンで,K

表-1 光触媒塗布工法

表-2 光触媒施工個所

図-1 ガラス面 8 ヶ月 経過状況 キーワード 酸化チタン,光触媒,防汚性能,色差

連絡先 〒819-0395 福岡市西区元岡744 九州大学大学院 工学研究院 建設デザイン部門 TEL:092-802-3387

光触媒 塗布工法

下塗り溶液C ペルオキソチタン酸を主成分とする溶液 上塗り溶液A アナターゼ型酸化チタンを主成分とする溶液 下塗り溶液C 上と同様

上塗り溶液B アナターゼ型酸化チタンの配合割合をAに比べ多くしたもの 下塗り溶液C 上と同様

上塗り溶液G A液をベースに透明性をさらに上げたもの 下塗りなし

上塗り溶液K A液に防菌剤を加え防カビ・防藻性能を付加したもの CA工法

CB工法 CG工法 K工法

使用材料

基盤 暴露環境 汚染要因 塗布工法

(1)港湾構造物 ガラス 雨あり・光十分 飛来塩分や塵の付着 CG (2)河川護岸 コンクリート 雨あり・光十分 苔やカビの付着 K (3)高速料金所 有機系塗料 雨なし・光十分 多量の排ガス CA・CB

光触媒 塗布面 無塗布面

L:2.9

L:12.4

6-137 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-273-

(2)

工法を用い施工した。約8ヶ月後 の経過状況を図-3に,L値の経 時変化を図-4に示す。

L値経時変化では光触媒の効 果も確認できるが,水洗による効 果が大きい。しかし,図-3 では 光触媒を塗布した方が明らかに白 く,無塗布はそれに比べ黒ずんで いる。これは,色差計による測定 は局所的な色の判定であることに 対し,目視は全面的な色の判定であるこ とに起因すると考えられる。また,防汚 効果を高めるには施工前に十分に洗浄す ることが重要であるとわかる。

(3)有機塗料を基盤とした,厳しい汚 染環境下での防汚効果の検討 5mm厚の鉄板に有機系塗料(シリコン アルキド樹脂系塗料)を塗装し,その上

にCA・CB工法で光触媒を塗布したもの

と,有機系塗料の塗装のみのものを暴露 した。高速道路料金所は特に排気ガスに よる汚染が厳しい。写真は暴露後約 4ヶ 月の経過写真である。

図-5 より白色塗料では光触媒塗布の

方がL値が高いこと,図-6より赤色塗料では光触媒塗布の方 がa値が高いこと,また図-7より青色塗料では光触媒塗布の 方がb値が低いことが確認され,いずれにおいても防汚効果が 見られた。なお,CAとCBの防汚効果の差は,今回は確認でき なかった。なお,料金所は屋根があり,雨で濡れることはなく,

超親水効果による洗浄効果は期待できない環境であった。よっ て,この防汚効果は光触媒の分解作用のみのものと考えられる。

4.まとめ

本研究では既存の構造物に対し,酸化チタン光触媒作用の効果を検討し,以下の結論を得た。

1) ガラス基板・コンクリート基盤・有機系塗料基盤において光触媒効果が確認できた。

2) 光触媒施工に関しては,既存の構造物では施工前の洗浄が重要であること,また構造物の新設時に光触媒を施 工するのが望ましいことがわかった。

3) 排気ガスによる汚れが著しい高速道路料金所では,雨水による超親水性効果がないにも拘わらず,防汚効果を 確認することができた。

【参考文献】 1) 一之瀬弘道:ペルオキソチタン系コーティング剤,図解 光触媒のすべて,工業調査会,pp.82-83,2003

謝辞:本研究は,国土交通省 平成 19 年度 建設技術研究開発費補助金 『酸化チタン光触媒を用いた社会基盤構造物の景観保持に関する研 究』の一環として行ったものである。

図-3 河川護岸 8 ヶ月 経過状況 図-4 河川護岸 L値 経時変化

図-5 高速道路料金所 白色有機系塗料 4 ヶ月経過状況

図-6 高速道路料金所 赤色有機系塗料 4 ヶ月経過状況

図-7 高速道路料金所 青色有機系塗料 4 ヶ月経過状況

無塗布 洗浄あり

K工法 洗浄あり

K工法 洗浄なし

無塗布 洗浄なし

20  40  60  80  100 

0 2 4 6 8

L

暴露期間(月)

K工法 洗浄あり K工法 洗浄なし 無塗布 洗浄あり 無塗布 洗浄なし

0 20 40 60 80 100

0 1 2 3 4

L

曝露期間(月) 白CA 白CB 塗料のみ

CA

無塗布

CB

無塗布

0 20 40 60 80 100

0 1 2 3 4

a

曝露期間(月) 赤CA 赤+CB 塗料のみ

CA

無塗布

CB

無塗布

-100 -80 -60 -40 -20 0

0 1 2 3 4

b

曝露期間(月) 光触媒+塗料 塗料のみ

CB

無塗布

6-137 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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参照

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