早稲田大学審査学位論文 博士(スポーツ科学)
球技系競技における効果的なハーフタイム・
リウォームアッププロトコルの検討
The practical and effective protocol of half-time re-warm up in intermittent team sports
2019年1月
早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科 柳岡 拓磨
YANAOKA, Takuma
研究指導教員: 広瀬 統一 教授
目次
第1 章 序論 ... 1
第 1節 序 ... 1
第 2節 研究 小史... 4
第 3節 本論 文の目的 および構成 ... 14
第 2 章 異なる RW の運動時間が間 欠性スプ リントパフォ ーマンス に与える影 響... 18
第 1節 緒言 ... 18
第 2節 方法 ... 19
第 3節 結果 ... 25
第 4節 考察 ... 34
第 5節 結論 ... 38
第 3 章 異なる RW の運動強度が間 欠性スプ リン トパフォ ーマンス に与える影 響... 39
第 1節 緒言 ... 39
第 2節 方法 ... 40
第 3節 結果 ... 45
第 4節 考察 ... 54
第 5節 結論 ... 58
第4 章 エネルギー 消 費 量を統一し た異なる 構成 の RWが 間欠性 スプリントパ フォーマンス に与える 影響 ... 59
第 1節 緒言 ... 59
第 2節 方法 ... 60
第 3節 結果 ... 66
第 4節 考察 ... 78
第 5節 結論 ... 83
第5 章 総合考察 ... 85
第 1節 RWプロトコ ルと高強度運 動パフォ ーマンス向上 効果 ... 85
第 2節 RWの高強度 運動パフォー マンス向 上効果の個人 差 ... 87
第 3節 RWプロトコ ルと生理学的 指標 ... 89
第 4節 今後 の展望 ... 93
第6 章 結論 ... 95
参考文献 ... 97
本博 士論 文 は以 下の 研 究成 果を 基 に 執 筆さ れ た。
【 第 2章 】
・原 著論 文
Yanaoka, T, Kashiwabara, K, Masuda, Y, Yamagami, J, Kurata, K, Takagi, S, Miyashita, M, and Hirose, N. The effect of half-time re-warm up duration on intermittent sprint performance. J Sports Sci Med. 17: 269-278, 2018.
・学 会発 表
柳岡拓磨、柏 原杏子 、 増田雄太、倉 田ク ラン 、高木俊、宮 下政司、 広瀬統一.
異なる時間 の Half-time re-warm up が間欠 性スプリント パフォー マンスに与え る影響. 第 72 回日本 体力医学会大 会.愛媛 、2017年 9 月18 日. 口頭発表.
Yanaoka T, Masuda Y, Yamagami J, Kashiwabara K, Kurata K, Kidokoro T, Miyashita M, Hirose N. The effect of different durations of half-time re-warm up on the subsequence sprint performance. 22nd European College of Sport Science Annual Congress in MetropolisRuhr, Germany, 6 July 2017. Min-oral communications.
・受 賞
2016-2017 年度日本体 力医学会国際 学術交流 奨励賞 .2017年9 月 17 日
【 第 3章 】
・原 著論 文
Yanaoka, T, Hamada, Y, Kashiwabara, K, Kurata, K, Yamamoto, R, Miyashita, M, and Hirose, N. Very-short-duration, low-intensity half-time re-warm up increases
subsequent intermittent sprint performance. J Strength Cond Res. 32: 3258-3266, 2018.
・学 会発 表
柳岡拓磨、濱 田有香、 柏原杏子、倉 田クラン 、山本遼、宮 下政司、 広瀬統一.
異なる強度の ハーフタ イム・リウォ ームアッ プが間欠性ス プリント パフォーマ ンスに与える 影響 .第 31 回日本トレ ーニ ング科学会大 会.愛知 、2018年 10 月 27 日.ポスター発 表 .
Yanaoka T, Hamada Y, Kashiwabara K, Kurata K, Yamamoto R, Miyashita M, Hirose N. A short-duration, low-intensity half-time re-warm up increases intermittent sprint performance over the 10-min following half-time. 23rd European College of Sport Science Annual Congress, Dublin, Ireland, July 2018. Mi n-oral communications.
・受 賞
第3 回日本体 力医学会 国際学術交流 奨励賞.2018年 9月 8 日
第 31 回日本ト レーニ ング科学会 トレ ーニ ング科学研究 賞奨励賞 .2018 年 10 月28 日
【 第 4章 】
・学 会発 表
柳岡拓磨、濱 田有香、 藤平杏子、山 本遼 、岩 田理沙、宮下 政司、広 瀬統一 .エ ネルギー消費 量を統一 した異なる構 成のハー フタイム・リ ウォーム アップがス プリントパフ ォーマン スに与える影 響. 日本 フットボール 学会 16th Congress.
千葉、2018年 12 月 23 日.口頭発表 .
1 第 1 章
序論
第 1節 序
球技系競技 における 運動形態 は広 く研究さ れており、特 にサッカ ーの試合中 の運 動 形 態に 関 す る報 告 が 多 い(3,8,26,29,35,36,40,41,63)。こ れ ら の報 告 に よる と、サッ カー選手 の 1 試合の平均移 動距離 は 9 - 12 kmであり 、その運動強度 は 低・中・高 強度と様 々 である(8,35)。選手の 競技レベル別 に運動形 態を観察した 研究では、FIFA ラ ン キングで 10 位以内の ナショナルチ ームに選 抜されている トップレベル の選手は デンマー ク1 部リーグ に所属してい る 中程度 の レベルの 選手と比較し、 時速 15 km以上 の高強度 運 動 および時 速 30 km以 上のスプリン トの平均移動 距離が有 意に 長く、時 速 15 km未満の低強度 運動の平 均移動距離 に は 有 意 な 差 が 認 め ら れ な い こ と が 明 ら か と な っ て い る(35)。 ま た 、 ト ッ プ レ ベルの選手は 中程度の レベルの選手 と比較し 、1 試合の平 均移動距 離が有意に 長いが、その 差は高強 度運動 および スプリン トの平均移動 距離の差 とほぼ同様 であることが 明らかと なっている(35)。さら に、2014年から 2016年までのドイ ツ・ブンデス リーガ の 試合を対象に 選手の運 動形態と試合 の勝敗と の関連を検 討した研究で、勝利し た試合におい てフォワ ード およびサ イドアタ ッカーの 21 km/h 以 上 の 高 強 度 運 動 お よ び ス プ リ ン ト 量 が 高 値 を 示 し て い た こ と が 報 告 さ れている(9)。これらの ことから、高 強度運動 量およびスプ リント パ フォーマン スは球技系競 技におい て 重要である ことが推 察され 、多く の先行研 究でも 試合 中の高強度運 動 量およ び スプリント パフォー マンス に関す る 検討が な されてい る(8,29,35,40,63)。
高強度運動 に着目す ると、 サッカ ーの試合 中に 高強度運 動量が低 下するピリ オドは 3つ存 在するこ とが報告され ており、1) 高強度運動によ る 走行距離が最
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も長かっ た 5 分間の後 の 5分間、2) 試合終 了前の 15分間、3) 後半開始 直後の 15 分間である(36)。 先行研究による と、これ らの高強度運 動量の低 下はそれぞ れにメカニズ ムが異な る(36)。1) 高強度運動 による走行距 離が最も 長かった 5 分間の後 の 5 分間は 、 活動筋内の乳 酸・カリ ウムイオン の 蓄積、ク レアチンリ ン酸(PCr)の減少な ど 、2 ) 試合終了前 の 15 分間の高 強度運 動量の低下は 、 筋グリコーゲ ン 量の減 少 および脱水 が主な原 因である(36)。1)、2)に関しては一 般的に疲労と 定義づけ られる要素が 原因で高 強度運動が低 下するも のの、3) 後 半開始直後 の15 分間 の 高強度運動 量の 低下 の主な原因は 、ハ ーフ タイム中 に安 静を保ち続け ることに よる 後半に向 けた身体 的準備不足 、 特に深部 体温、筋温 の低下である 可能性が 指摘されてい る(15,36,51,54)。一般的に 15 分 間のハーフ タイムでは個 人間・チ ームでのミー ティング 、前半におけ る負傷へ の対応、衣 服・用具の交 換、飲水 などを含む栄 養学的サ ポートなどを 実施し、 選手は安静 を 保 ち な が ら 過 ご し て い る(62)。 こ の よ う に 安 静 状 態 を 保 つ こ と が 影 響 し 、 実 際の試合の後 半開始 直 後 15分間の高強 度運 動量は、前半の同 じ時 間帯と比較し 有意に 低下 してい るこ とが報 告さ れてい る(8,63)。Weston らはイ ングラ ンド・
プレミアリー グの試合 を対象に、前・後半開 始 直後の15 分間 の選 手、審判員 の 高強度運動量 を比較し 、選手で は 8.5%、審判 員では 10%程度、後半 に高強度運 動 量 が 低 下 す る こ と を 報 告 し て い る(63)。 暑 熱 環 境 下 に お い て も 、 後 半 開 始 直 後の 5分間の ピークス プリントスピ ードは、 前半開始後 の 5分間中 のピークス プ リ ン ト ス ピ ー ド と 比 較 し 、 有 意 に 低 い こ と が 明 ら か と な っ て い る ( 前 半 : 27.9±1.3 km/h、後半 :23.6±1.3 km/h)(38)。従って 、後半 開始 直 後の高強 度運 動量およびス プリント パフォーマン ス の低下 を抑制するた め には、 ハーフタイ ム中の過ごし 方(ハー フタイム戦術 )を検討 すること が重 要である と考えられ る。
近年、後半 開始 直 後 の高強度運動 量および スプリントパ フォーマ ンスの低下
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抑制を目的と して、ハ ーフタイム中 に低・中 強度の ウォー ミングア ップ を改め て 実 施 す る こ と ( ハ ー フ タ イ ム ・ リ ウ ォ ー ム ア ッ プ :RW) の 効 果 を 検 証 す る 研 究 が 散 見 さ れ て い る(11,15,30,31,37,49,50,54,69,71)。 す べ て の 先 行 研 究 で 15 分間の安静を 保った場 合と比較し、 運 動を伴 った RWを実施す るこ とによって 後半開始直後 の運動パ フォーマンス の低下を 抑制 できるこ とが報告 されている (11,15,30,31,37,49,50,54,69,71)。しかし 、先 行研究で検討 されて い る RWプロト コルの多く は7 分間・中強度の運動 であるが(11,15,30,31,37,49,50,54,69,71)、こ のプロトコル はその運 動時間の長さ から実際 の試合では 実 施が困難 であること が指摘されて いる(51,62)。上述した通り 、一 般的に 15 分間の ハー フタイムで選 手は個人間・ チームで のミーティン グ、前半 における負傷 への対応 、衣服・用 具 の 交 換 、 飲 水 な ど を 含 む 栄 養 学 的 サ ポ ー ト な ど を 行 う 必 要 が あ る(62)。 Towlson らはイ ング ラ ンド ・ プレ ミア リー グ 、フッ トボ ール リー グ ・チャ ンピ オンシップに 所属して いるチームの フィジカ ルコーチ 44 名にアン ケート調査 を実施し、実際 の試合 で RWのために確 保で きる時間が 約 3 分程度 であること を 報 告 し て い る(62)。 ま た 、 ラ グ ビ ー な ど 試 合 中 に 衝 突 が 多 い ス ポ ー ツ は ハ ー フタイム中に 治療に充 てる時間が さ らに必要 とな る。
試合前に実施 されるウ ォーミングア ップ は、 その時間・ 強 度・回復 時間 (ウ ォーミングア ップ終了 から競技開始 までの時 間) の 3 要 素で規定さ れ 、これら の組み合わせ によって 、ウォーミン グアップ が引き起こす 運動パフ ォーマンス の促進作用が 決定され る(33)。RW に関する 先行研究では 、時間 は 7分間、強度 は最大心拍数 (HRmax)の 70%程度、回復 時間は 1 分(控室か らフィールド へ の移動時間を 想定)で 規定されてい るものが 多い(11,15,30,31,37,49,50,54,69,71)。 回復時間に関 しては、 ミーティング などの他 の業務を分断 しないよ う後半開始 直前が好まし いと考え られるが、RW の時間 および強度に 関して検 討した先行 研究は報告さ れていな い。従って、現 場応用 の観点か ら 3分以内 の RWであっ
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ても後半開始 直後の運 動パフォーマ ンスの維 持に寄与する か、また 短時間の枠 組みの中で効 果的な RWの強度および RWの時間と強度 の組み合 わせを検討す る必要がある 。 また、 効果的な RWプロ トコ ルを検討する ためには 運動パフォ ーマンスに影 響を与え るメカニズム を明らか にすることも 重要であ る。 ウォー ミングアップ による運 動パフォーマ ンス向上 のメカ ニズム は、体温 ・ 代謝・筋 活動の上昇お よび亢進 が挙げられる(4,5,33)。従って 、時 間や強度 などの RWプ ロトコルを検 討すると 同時に RWが運動パフ ォーマンス に 与える メ カニズ ムを 体温・代謝・ 筋活動 の 3 点から検 討する必 要がある と考 えられる 。
第 2節 研究 小 史
第 1 項 ウォ ー ミン グ アッ プと ハ ーフ タイ ム ・リ ウォ ー ムア ップ
練習および 試合の 前 に実施するウ ォーミン グアップは広 く用いら れており、
その後の運動 に対する 多数の生理学 的反応を 引き起こすこ とで 、そ の後の 運動 パフォーマン スを 向上 させる(54)。ウォーミ ングアップに よる生理 学的反応は 、 体温に関連し た効果、 代謝に関連し た効果、 筋活動に関連 した効果 の 3 つに分 類される(33)。
ウォーミン グアップ の第一の目的 は、 体温 の向上である 。 ウォー ミングップ による体温の 上昇は 主 に 4 つの生 理学的反 応 を引き起こす 。すなわ ち 、1) PCr 消費率の増加 、水素イ オンの蓄積、 嫌気性解 糖 および筋グ リコーゲ ン分解の増 加 に 起 因 す る ア デ ノ シ ン 三 リ ン 酸 (ATP) の 代 謝 の 加 速 、2) 筋 線 維 伝 導 速 度
(MFCV)の加速、3) 筋、関節に おける 粘性 抵抗 の低減、4) ボーア効果によ る 酸素運搬能の 向上であ る(4,5,33)。特に、筋のパワー出力と 筋温の間 には強い関 係があり、そ の後の 筋 収縮の タイプ 、速度に 依存するもの の、筋温 の 1°Cの上 昇は筋のパワ ー出力 を 2~5%向上させる(46)。
ウォーミン グアップ は、活動筋 への血流 量 の増加 、運 動前の酸 素 摂取量(VO2)
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の増加による 運動開始 後の無酸素性 代謝の減 少 などの代謝 の亢進も 引き起こす (4,5,33)。活動筋への 血 流量の増加は 、活 動筋 への酸素供給 量の増加 に繋がる(22)。
筋内の酸素利 用性 の増 加 は、スプリ ントなど の高強度運動 後に低下 した PCr の 再合成を加速 させるこ とにより、間 欠性高強 度運動パフォ ーマンス の維持に 貢 献する(13,16)。また、運動前の VO2の増加 による運動開 始後の無 酸素性代謝の 減少は、運動 終盤の 嫌 気性代謝を温 存し、 持 久性運動パフ ォーマン スを向上さ せる可能性が ある(4,5,33)。
運動中の筋 活動は 過 去の収縮刺激 (コンデ ィショニング 収縮)に 応じ て変化 し 、 最 大 下 あ る い は 最 大 強 度 の 筋 活 動 後 に 筋 パ フ ォ ー マ ン ス が 向 上 す る(61)。 この現象を活 動後増強 (PAP)と呼び 、ウォ ーミングアッ プ の 1 つの手法とし て用 いら れて いる(61)。PAP の正確 なメ カ ニズ ムは 明ら かと なっ てい ない もの の、2 つの主要因( ミ オシン調節軽 鎖のリン 酸化 および動 員順序の より高い運 動単位の動員 増加 ) と1 つの潜 在的な因子 ( 筋の羽状角 の変化 ) がメカニズム として考え られて い る(28)。実際に、Zois らはアマチュ アサッカ ー 選手を対象 に試合前のウ ォーミン グアップとし ての PAPが 20 m ス プリン ト パフォ ーマン スに与える影 響を検討 しており、 通 常のサッ カーの試合前 に用いる ウォーミン グアップおよ び Small sided-game と比較 し 、PAPを用いたウォ ー ミングアップ を実施した場 合に 最も スプリントパ フォーマ ンス が高値を 示したこ とを報告し ている(72)。
このように ウォーミ ングアップに よる体温 、代謝、筋活 動に関連 した効果に よって、その 後の運動 パフォーマン スが向上 するが、これ らの効果 はウォーミ ン グ ア ッ プ 後 に 安 静 を 保 つ こ と で 速 や か に 消 滅 す る こ と も 報 告 さ れ て い る(5)。
ウォーミング アップに よって上昇し た筋温 お よび VO2はそれぞれ 15~20 分、5 分程度で有意 に減少 す る(5)。PAPは、コンディショニング 収縮の内 容によるも のの、10 分程度でそ の効果が消滅 すること が報告されて いる(24)。球技系競技
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におけるハー フタイム の時間は競技 によりさ まざまである が、10~20 分程度で ある。従って 、ハーフ タイム中に安 静を保ち 続けることに よって、 運動パフォ ーマンス向上 に寄与す る体温、代謝 、筋活動 に関連した効 果が低減 する可能性 がある。例えば、サッ カー審判員の 前半終了 時の大腿四頭 筋の筋温 は約 38.8°C であるが、ハ ーフタ イ ム に安静を保 つことで 後半開始時に は約 37.5°C に低下 す ることが報告 されてい る(25)。
ウォーミン グアップ によって運動 パフォー マンスを 最大 化するた めには、そ の時間・強度・回 復時 間で規定され るプロト コルを適切に 設定し、体温、代謝、
筋 活 動 を 亢 進 、 疲 労 を 誘 発 さ せ な い こ と が 重 要 で あ る(33)。 ウ ォ ー ミ ン グ ア ッ プの目的は安 静状態か ら運動を負荷 すること で体温、代謝 、筋活動 を亢進させ ることである が、RW の目的は前半 中に亢進 した体温、代 謝、筋活 動の抑制を 予防、または 再亢進さ せること であ る。従っ て、多くの先 行研究で 明らかにさ れてきたウォ ーミング アップのプロ トコル を RWに応用させた場 合に同様の結 果が得られる かは不明 であり、RW の時間、 強度 などのプ ロトコル の変化が運 動パフォーマ ンス およ び 体温、代謝 、筋活動 に 与える影響 を検討す る必要があ る。
第 2項 ハー フ タイ ム・リ ウォ ーム ア ップ が 運動 パフ ォ ーマ ンス に 与え る 影 響
2-1. ハーフタイム ・ リウォームア ップの運 動パフォーマ ンス向上 効果
RW が後半開始直後 の 運動パフォー マンス お よび生理学的 指標に与 える影響 は7 つの研究 で検討さ れている(11,30,31,37,49,69,71)(表 1-1)。2 つ の研究では 90 分 間 の サ ッ カ ー の 試 合(11,37)、5 つ の 研 究 で は 競 技 特 異 的 な 間 欠 性 運 動 (30,31,49,69,71)を 用 い て 、RW の 効 果 を 検 討 し て い る 。 こ れ ら の 研 究 で 用 い ら れている RW は、70%HRmax程度の 強度のラ ンニング(11,37,49,69)、サイクリン
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グ(31)、 ア ジ リ テ ィ ー エ ク サ サ イ ズ(30,31)や ス ク ワ ッ ト の 姿 勢 を 維 持 し た 状 態 での振動刺激(30)、5 Repetition maximum(RM)のレッグ プレス(71)、2 対 2 の Small sided-game(71)など様々である が、その 運動時間 は 5~10 分間 である。
これらのすべ ての研究 において、運動 を伴っ た RWはハーフタ イム 中に安静 を保ち続ける ことによ る後半開始 直 後の生理 学的指標(心 拍数、深 部体温、筋 温)および運 動パフォ ーマンス(ジ ャンプ、 スプリント、 移動距離 )の低下を 抑制すること が報 告さ れている(11,30,31,37,49,69,71)。例えば、Mohr らは初め てRWの有用性を 明ら かにしており、 デンマ ーク 4 部リー グの選手 を対象に実 際の試合のハ ーフタイ ム中に 7 分間(15分 間中の 7-14 分)・中強 度(目標心拍 数:135 拍/分)の RW を実施すること で 後半開始前 の 30 m ス プリントパフ ォ ー マ ン ス の 低 下 を 抑 制 し た こ と を 報 告 し て い る(37)。 さ ら に 、 プ ロ サ ッ カ ー 選 手を対象に実 際のサッ カーの試合を 用いて RW の効果を検討した Edholm ら の 研究では 、ハーフ タイ ムにおい て 15 分間の 安静を保ち続 けるコン トロール試行 では、後半開 始前のス プリント およ びジャン プパフォーマ ンスは前 半終了時と 比較して、そ れぞれ 2%、6.7%の低下を 示し た一方、7 分間・70% HRmaxの強度 のランニング を実施 す る RW試行はこの低下 を抑制するこ とを明ら かにして い る(11)。また、RWはスプリント やカ ウンター ムーブメント ジャンプ などの瞬発 的運動能力の みならず 、Bangsbo Field Test や Yo-Yo Intermittent Recovery Test など持久性運 動パフォ ーマンステス トの成績 も 安静を保っ た場合と 比較し、 向 上させ るこ とが 報告 さ れてい る(31,69)。Yanaoka らはサ ッカ ー審 判 員を対 象に サッカー審判 員の 前半 の 活動を模し た Loughborough Intermittent Shuttle Test後 のRWが間欠性全 身持 久力を評価す る Yo-Yo Intermittent Recovery Test Level 1 の成績に与え る影響を 検討している(69)。15 分間のハーフ タイム中 に安静を保 ったコントロ ール試行 では、Yo-Yo Intermittent Recovery Test Level 1の走行距離 が2,904±421 m であっ たものの、2 分 20秒 の 70% HRmaxの強 度の ランニングを
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計3 回実施す る RWを 実施した RW試行 で は 3,095±326 mで あり 、有意な高値 を示したこと を報告し ている(69)。さらに、RWは運動能力のみ な らず、技術パ フォーマン スの低下 も 抑制する可 能性を示 し ており、Small sided-game を用い たRWは安静を保 った 場合と比較し 、Loughborough soccer passing test で評価し た技術パフォ ーマンス も向上させる こと が明 らかとなって いる(71)。
一方で、RW は試合終 了前の運動パ フォーマ ンスには影響 を与えな いことが 2 つの研究で報 告され ている(30,37)。Mohr らは、試合終 了後の 30 m スプリ ン トパフォーマ ンスはハ ーフタイム に 安静を 保 った コントロ ール試行 、RW 試行 共に試合開始 前より低 値を示すもの の、試行 間の 有意な差 は認めら れないこと を明らかにし ている(37)。Lovell らも同様に 、コントロ ール試行 、RW 試行共に 試合終了後の 10 m ス プリントパフ ォーマン ス、カウンタ ームーブ メントジャ ンプパフォー マンスで 両試行間に有 意な差が 認められない ことを明 らかにして いる(30)。これらの こ とから RWは、RW自 体もしく は RWによる 後半開始 直後 の運動パフォ ーマンス 向上によって 追加的な 疲労は引き起 こさず、 試合 終了前 の運動パフォ ーマンス を低下させる 可能性は 低いことが推 察される 。
2-2. ハ ー フ タ イ ム ・ リ ウ ォ ー ム ア ッ プ の 運 動 パ フ ォ ー マ ン ス 向 上 効 果 の 個 人差
運動パフォー マンスを 向上させるた めの方略 は、選手の競 技レベル によって 効果が異なる 可能性が ある(15)。これま での RW に関する先行研 究 における対 象者を表 1-1 に示した 。RW に関する先行 研 究が 7 つで はあるも のの、エリー ト、プロフェ ッショナ ル、セミプロ フェッシ ョナル、アマ チュア、 審判員とそ の競技レベル や役割に 関わらず 、全て の研究 で運動を伴っ た RWは 同様に運動 パフォーマン スを向上 させる結果が 得られて いる(11,30,31,37,49,69,71)。従って、
競技レベル間 の RWの運動パフォー マンス向 上効果を同じ 研究内で 比較した先
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行研究はない ものの、RW は競技レベルに関 わらず後半開 始 直後の 運動パフォ ーマンスを向 上させる ことが推察さ れる。
一方で、VO2maxやスプ リントパフォ ーマンス などの 被験者 のフィッ トネスレ ベルで RW の効果の 個 人差を検討し た報告は ない。7 つの RW に関 する先行 研 究で、被 験者 の VO2maxを示 している 報告は 2つに限られる(30,31)。2つの研 究 とも被験者の 平均 の VO2maxは、 約 60 ml/kg/minである(30,31)。従って、RWの 運動パフォー マンス向 上効果の個人 差の有無 をより詳細に 検討する ためには、
被験者のフィ ットネス レベル が RWの運動パ フォーマンス 向上効果 に影響を与 えるか検討す る必要が あると考えら れる。
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BFTbangsbo fieldtest,CMJcounter-movement jump,LSPTloughboroughsoccerpassing test, RMrepetition maximum, RSA
repeated-sprint ability, RSSArepeated shuttle sprint ability, SSG small sided-game, Yo-Yo IR1 Yo-Yo Intermittent Recovery Test level 1 表1-1 ハーフタイム・リウォームアップと運動パフォーマンス1
時間(分) 強度 回復時間(分) 様式項目効果
Edholm et al15分RW110 mスプリントRW2>RW1
(2015)RW2770% HRmax1JoggingCMJRW2>RW1
Lovell et al15分RW1
(2007)RW2770% HRmax1CyclingBFTRW2=RW3>RW1
RW3770% HRmax1Agility sprint
Lovell et al15分RW110 mスプリントRW2>RW1
(2013)RW2570% HRmax1Agility exerciseCMJRW2>RW1
RW35 スクワット姿勢の維持 1振動刺激
Mohr et al15分RW130 mスプリントRW2>RW1
(2004)RW2770% HRmax1Jogging
Russell et al15分RW1RSSARW3>RW2>RW1
(2018)RW27135拍/分0JoggingCMJRW3>RW2>RW1
7135拍/分0Jogging
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Yanaoka et al15分RW1Yo-Yo IR1RW2>RW1
(2018)RW2770% HRmax0Jogging
Zois et al15分RW1RSARW2>RW1
(2013)RW2105RMAdequateLeg pressCMJRW2=RW3>RW1
RW38AdequateSSGLPSTRW3>RW1 男子アマチュアサッカー選手8名 安静座位 男子セミプロサッカー選手16名 安静座位 男子プロラグビー選手20名 安静座位
男子サッカー審判員10名 安静座位 RW3(併用)Passive heating 安静座位男子プロサッカー選手22名
男子エリートサッカー選手7名 安静座位
男子セミプロサッカー選手22名 安静座位 著者(発表年) 被験者 ハーフタイム(分) 結果RW strategy
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第 3項 ハー フ タイ ム ・リ ウォ ー ムア ップ が 生理 学的 指 標に 与え る 影響
ハーフタイム ・リウォ ームアップが 生理学的 指標に与える 影響とし て、筋温 (30,37)、深部体温(31,49)、心拍数(11,30,31,37,69)、VO2(30)、血中代謝関連項目 (69)の5 つの指標 が評 価されている 。
筋 温 は 筋 の パ ワ ー 出 力 と 強 く 関 係 し て お り(46)、 サ ッ カ ー の 試 合 の ハ ー フ タ イム中の筋温 とスプリ ントパフォー マンスの 変動にも正の 相関関係 が認められ ることが報告 されてい る(37)。Mohr らは実際 の試合を用い た研究で 、ハーフ タ イム前後での スプリン トパフォーマ ンスの低 下はハーフタ イム中の 筋温の低下 と正の相関関 係(r=0.6)があることを 報告 し、ハーフタ イム中の 筋温の低下を 抑制すること がスプリ ントパフォー マンスの 低下を抑制す るうえで 重要である 可 能 性 を 示 し て い る(37)。 こ の 研 究 で は ハ ー フ タ イ ム を 安 静 に 保 っ た 場 合 、 筋 温は約 2.0°C低下す る 一方、RWを実施 する ことでこの低 下を 約 0.5°Cに抑えた ことを報告し ている(37)。また Lovell らも 同 様に、ハー フタイム を安静に保っ た場合の筋温 の約 1.5°Cの低下を 、RW を実 施することに より 約 0.5°Cの低下に 抑えたことを 報告して いる(30)。
RW は深部体温の低 下 も抑制するこ とが明ら かとなってい る。Lovell らは 2 回の Bangsbo Field Test 間の15 分のハー フ タイム におけ る安静座 位、7 分間の サイクリング および ア ジリティーエ クササイ ズが深部体温 に与える 影響を検討 しており、安 静座位、 サイクリング およびア ジリティーエ クササイ ズではハー フタイム間に それぞれ 約 1.0°C、約 0.5°C、約 0.8°C低下するこ と 報告し、安静 座位と比較し 、サイク リング運動で は有意に 低下を抑制し 、アジリ ティーエク ササイズでは 低下を抑 制する傾向が あること を報 告した(31)。また Russellらは 2回の Repeated shuttle sprint 間の 15 分のハ ーフタイムに おける安 静座位、7 分 間・心拍数 約135拍/分程度の RW お よび 8 分間の Blizzard Survival Jacket(低 体温症患者の 深部体温 管理のために 用いられ る保温ウェア ) の着用 と 7 分間・
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心拍数135拍/分程度 のRWの併用が深部体 温に与える影 響を検討 している(49)。
RW は 安 静 座 位 に よ る 深 部 体 温 の 低 下 を 有 意 に 抑 制 し た も の の 、 そ の 効 果 は Blizzard Survival Jacketの着用と RWの併用 よりも有意に 低かった(49)。2 回目 の Repeated shuttle sprint パフォー マンス も 深部体温の変 化と同様 に、Blizzard Survival Jacketの着用 と RWの併用、RW、安静座位の順 に 高値を 示した。従っ て、深部体温 を維持す ることが運動 パフォー マンス向上に 重要であ る可能性が 推察される(49)。
Edhlomら は 7 分間・70%HRmaxの強度の ラン ニングを実施 する RWが後半開 始 直 後 の 心 拍 数 に 与 え る 影 響 を 報 告 し て い る(11)。 後 半 開 始 前 の 心 拍 数 は RW
試行で 117±10 拍/分、15 分間の安静を保つ コントロール 試行で 109±12拍/分で
あり、RW 試行は有 意 に 7.3%の高値を示し ていたことを 明らかに した(11)。ま た、後半の平 均 心拍数 までの到達時 間は RW試行で 71±34秒、コン トロール試 行 で 129±44 秒 で あ り 、RW 試 行 が 有 意 に 早 か っ た こ と を 報 告 し て い る(11)。 Edholmらは1) 負荷が一定でない運 動中の心 拍数と VO2、2) 反復ス プリント能 力の維持と酸 素摂取動 態の加速に は 正の相関 関係があるこ とから(7,10)、RWに よって酸素摂 取動態が 加速し、間欠 性スプリ ントパフォー マンスを 維持できる 可能性がある ことを示 している(11)。一方で 、RW 開始から後半開 始 直後 15 分 間の VO2を測定した Lovellらの研究では、RW 中のVO2は安静を 保つコントロ ール試行と比 較し、RW 試行は有意な高 値 を示 したが、 サッカー を模した間欠 性運動中の平 均のVO2は試行間で有 意な差は 認められなか ったこと を報告して いる(30)。同様の 結果 は心拍数にも 認められ た(30)。従って、RWが循環 および エネルギー代 謝に与え る影響は後半 開始後 の 数分間で消滅 すること が推察され る。実際に Edholm ら が報告した 後 半の平均 心拍数までの 到達時間 のコントロ ール、RW 試行間の際 は 60 秒程度である 。 また、試合終 了前 およ び 後の筋温 、 心拍数、糖・ 脂質代謝 関連血中項目 および脱 水による体重 減少率は コントロー
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ル、RW試行で試行間 の差は認めら れて いな い(11,30,37,69)。従って RWが生理 学的指標に与 える影響 は後半開始後 数分間の み残存し、試 合 終了前 の生理学的 指標には影響 を与えな いことが推 察 される。 即ち、RW は生理学的 指標から 評 価した追加的 な疲労は 引き起こさな いことが 考えられる。
第 4 項 ハー フ タイ ム ・リ ウォ ー ムア ップ の 現状 と課 題
Russell ら が 報 告 し た サ ッ カ ー の 試 合 に お け る ハ ー フ タ イ ム 戦 略 の 概 要 を 図 1-1 に示し た(51)。ス ポーツやチー ム戦略に よって異なる 可能性は あるものの 、 サッカー選手 は控室へ の移動に 約 2 分間を必 要とするので 、ハーフ タイム戦略 として使用で き る時間 は約 13 分間であ る(62)。13 分間のハーフ タ イム戦略では 、 戦術ミーティ ング、医 療 および栄養 学的サポ ートに多く の 時間を消 費し、それ ぞれ 5~8 分、3~5 分であることが 報告され ている(62)。また、そ れ以外にはビ デオ映像を使 用した フ ィードバック 、着衣・ 用具などの交 換、選手 の私的な準 備などを実施 している(62)。そして、後 半開 始直前に 3 分以内の RW を行って いる(62)。しか し、Towlson らによると 、RWを選手に実施さ せ ているイング ラ ンド・プレミ アリ ーグ 、チ ャン ピオンシ ップ のフィジカル コーチ は 58%にとど まっており、その 理由 として 63%のフィジ カ ルコーチ が RWのため の時間の不 足 を 挙 げ て い る(62)。 こ れ ま で に 報 告 さ れ て い る 後 半 開 始 直 後 の 運 動 パ フ ォ ー マンスの低下 を抑制す る RW プロトコ ルの 所要時間は 5~10 分間 である一方、
スポーツ現場 で RWの ために確保で きる時間 は 3 分以内で あり、研 究と応用に 差異が存在す る。また 、主な RWを実施して いな い要因 が RWのた めの時間の 不足であるこ とを考え ると、より短 時間のプ ロトコルを検 討する必 要がある。
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図1-1 一般的 なハーフ タイム戦術の 概要(Russell ら 2015より改変 ) RW re-warm up
第 3節 本論 文 の目 的 およ び構 成
先行研究で明 らかにさ れているよう に 7 分間 ・中強度の RWは、い くつかの 生理学的反応 を引き起 こすことによ って、後 半開始 直後の 運動パフ ォーマンス の維持に貢献 する。し かし、これま での先行 研究によ る RWプロト コルは現場 応用の観点か ら大きな 問題があり、 特に短時 間で体温、代 謝、筋活 動 のいずれ かまたはすべ てに対し 生理学的変化 を引き起 こし、後半開 始 直後の 運動パフォ ーマンスに寄 与す る RWプロトコルを検 討 する必要があ る。
従って、本論 文では球 技系競技にお ける後半 開始 直後の高 強度運動 パフォー マンスの維持 もしくは 向上に効果的 な短時間 の RWプロトコルおよ び RWが高 強度運動パフ ォーマン スに影響を与 えるメカ ニズムを明ら かにする ことを目的 とし、以下 の3 点の検 討を行った。
① 異なる RW の運動時 間が間欠性ス プリント パフォーマン スに与え る影響
(第 2章)
② 異なる RW の運動強 度が間欠性ス プリント パフォーマン スに与え る 影響
(第 3章)
③ エネルギー消 費量を統 一した異なる 構成の RW が間欠性スプリン トパフ
15 ォーマンスに 与える影 響 (第 4 章)
本論文は、 第 2章、 第 3章、 第 4 章の 3 つ の実験、 総合 考察 ( 第 5章)およ び結論( 第 6 章)で構 成されている 。第 2 章 、第 3 章およ び第 4 章 の実験内容 の概略は下記 の通りで ある。
第 2章:異な る RWの 運動 時間 が 間欠 性ス プ リン トパ フ ォー マン ス に与 える 影 響
3 分間および 7 分間 の 70% HRmaxの強度 でサイクリン グ運動を 実施する RW が自転車運動 で評価す る間欠性スプ リントパ フォーマンス に与える 影響を検討 した。40 分間の間 欠性 自転車運動の 後、異 な る 3 条件( ①15 分間の 安静座位を 保つコントロ ール試行 、②7 分間・70% HRmaxの強度のサイ クリング 運動を 行う 7 min RW試行、③3分 間・70% HRmaxの強度 のサイクリン グ運動を 行う3 min RW 試行)の15 分間の ハ ーフタイムを 実施し、その後の間欠 性スプリ ントパフォー マンスを評価 した 。ま た全身( 呼気ガス 分析 )、末 梢( 近赤外線 分 光法による筋 酸素動態)の エネルギ ー 代謝を測定 した。
第 3章:異な る RWの 運動 強度 が 間欠 性ス プ リン トパ フ ォー マン ス に与 える 影 響
30% VO2maxおよび60% VO2maxの強度で3分間の自転車 運動を実 施するRWが 自転車運動で 評価する 間欠性スプリ ントパフ ォーマンスに 与える影 響を検討し た。第 2 章と同様の 40 分間の間欠性自 転車 運動の後、異 なる 3 条 件(①15 分 間の安静座位 を保つコ ントロール試 行、②3 分間・60% VO2maxの 強度 でサイク リング運動を 行う 60% RW試行、③3 分 間・30% VO2maxの強度 で サイクリング 運動を行う 30% RW 試行)の 15 分間の ハ ーフタイムを 実施し、 その後の間欠 性スプリント パフォー マンスを評価 した。ま た第 2 章の エネルギー 代謝に付け
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加えて、外側 広筋の筋 活性 および筋 温を測定 した。
第 4章:エネ ル ギー 消 費量 を統 一 した 異な る 構成 の RWが 間 欠性 スプ リン ト パ フォ ーマ ン スに 与え る 影響
同一エネルギ ー消費量 であると概算 される 3 分×30% VO2max お よび 1 分×
90% VO2maxの 強度で自 転車運動を実 施する RWが自転車運 動で評価 する間欠性
スプリントパ フォーマ ンスに与える 影響を検 討した。第 2 章と 同様 の 40 分間の 間欠性自転車 運動の後 、異な る 3 条件(①15 分間の安静座 位を保つ コントロー ル試行、②3 分間・30% VO2maxの 強度でサ イ クリング運動 を 行 う 3×30% RW 試 行、③1 分間・90% VO2maxの強度 でサイク リング運動を 行う 1×90% RW 試行)
の15 分間のハー フタ イムを実施し 、そ の後 の間欠性スプ リントパ フォーマンス を評価した。 また 第 2 章のエネルギ ー 代謝、 筋活性 および 筋温に付 け加えて、
深部体温を測 定した。
本研究では、 第 2章か ら第 4 章まで のすべて の実験で運動 負荷とし て自転車 運動を用いた 。この理 由は、RW が高強度運 動パフォーマ ンスに影 響を与える メカニズムを より正確 に検討するた めである 。 本研究の特 徴の一つ は、先行研 究で検討され て いな いRWが代謝および筋 活動に与える 影響を検 討したことで ある。特に筋 酸素動態 および筋活性 は高強度 運動パフォー マンスに 大きな影響 を与える要因 であるた め、RW がこの 2 つの項目に与える 影響を示 すことは非 常に意義が高 いと考え る。 走運動お よび自転 車運動ともに 、そのフ ォーム が筋 活動量に影響 を 与える ことが報告さ れている 。例えば走運 動では接 地の仕方や 上体の前 傾の有 無によ って(20,70)、自転車運 動では サ ドルの 高さ、 ハンドル の 位置・形状、ペ ダルの 形状に よって(21)、筋 活動量が変化 する。従 って、RWが 高強度運動パ フォーマ ンスに影響を 与えるメ カニズムを検 討するに は 、被験者
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内・間ともに 運動の フ ォームを統一 すること が望ましい。 しかし、 走運動の際 に フ ォ ー ム を 統 一 す る こ と は 難 し い 。 本 研 究 で 用 い た 自 転 車 エ ル ゴ メ ー タ ー
(Monark 894E、Monark、Varberg、Sweden)はサドル の高 さ、ハ ン ド ル の 位 置 ・ 形状、ペダル の形状を 固定すること が可能で あり、 筋活動 を測定す る際に フォ ームの統一の 点で 利点 がある。また 、筋活動 量は筋酸素動 態に影響 を与えるこ と が 明 ら か に さ れ て お り(34)、 筋 酸 素 動 態 の 正 確 な 測 定 に も 繋 が る と 考 え ら れ る。これらの 理由より 、本研究では 自転車運 動を用いた。 自転車運 動の使用に 伴い、す べての実 験で 用いた 1 回目 の 40 分 の間欠性自転 車運動は サッカー選手 の 試 合 の 運 動 負 荷(35)を 参 考 に 被 験 者 全 員 が 完 遂 可 能 な プ ロ ト コ ル を 予 備 試 験 から決定した 。
18 第 2 章
異な る RWの 運 動時 間が 間欠 性 スプ リン ト パフ ォー マ ンス に与 え る影 響
第 1節 緒言
RW が後半開始直後 の運動パフォ ーマンス を 維持もしく は 向上さ せることは 、 多くの先行研 究によっ て 報告されて いる(11,15,30,31,37,49,50,54,69,71)。しかし、
これらの研究 で用いら れている RW プロト コルは 5~10 分間であ り、実際のス ポーツ現場で はハーフ タイム中の時 間的制約 があることか ら、これ らの RWプ ロトコル の実施 は難し いことが 指摘さ れてい る(51,62)。先行 研究に よると、 実 施の試合でハ ーフタイ ム中に RWのために 確 保できる時間 は 3 分以 内であるこ と が 明 ら か と な っ て お り(62)、 後 半 開 始 直 後 の 運 動 パ フ ォ ー マ ン ス の 維 持 に 効 果があると報 告されて きた RW プロトコ ル の運動時間を 短縮し、3 分間で RW を実施した場 合でも後 半開始 直後の 運動パフ ォーマンスを 維持もし くは 向上さ せるか明らか にする必 要がある。
また、これま での RWに関する先行研 究 の問題点の一 つに運動 パフォーマン スの評価方法 が挙げら れる。スプリ ントパフ ォーマンスを 評価した 先行研究の 多くは、後半 開始前 お よび試合終了 後にスプ リントパフォ ーマンス を評価して いる(11,37)。唯一、後 半中のスプリ ントパフ ォーマンスを 評価して いる Lovell らの研究でも 、15 分間に 3 回の測定 である(29)。球技系競技 の選 手は一般的に
50~100 秒の休息を挟 み、スプリン トを反復 しているため(8)、RW が後半の スプ
リントパフォ ーマンス に与える影響 を 検討す る際は休息を 挟み なが ら スプリン トを繰り返す 間欠性ス プリントパフ ォーマン スを経時的に 評価して いく必要が あると考えら れる。
活動筋内の 酸素利用 性は 、間欠性 スプリン トパフォーマ ンスの維 持 および向 上に重要な要 素の一つ である。酸 素利用性 の 向上は、ス プリント 中 の ATPの再
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合成などに寄 与する好 気性代謝の貢 献度の上 昇 およびスプ リント後 の PCrの再 合成を加速さ せること により、間欠 性スプリ ントパフォー マンスの 維持 および 向 上 に 寄 与 す る こ と が 報 告 さ れ て い る(14)。 ウ ォ ー ミ ン グ ア ッ プ は 、 運 動 開 始 前の VO2のベースラ インを高め、運 動開始 直後の VO2を向上さ せることが報 告 されている(4)。さらに ウォーミング アップは 、血管拡張 お よび筋へ の血流量の 増加によって 、活動筋 への酸素供給 量を上昇 させることが 明らかと なっている (4)。RW が活動筋内の 酸素動態 に与 える影響 を検討した研 究は 報告 されていな いものの、Edholmら によると RW 後の 数分 間は安静を保 った場合 と比較し、心 拍 数 が 高 い た め 、VO2 も 高 値 を 示 し て い る 可 能 性 が 示 さ れ て い る(11)。 こ れ に 伴い、RW後の数 分間 は活動筋の酸 素利用性 が高まってい る可能性 も考えられ 、 この上昇が間 欠性スプ リントパフォ ーマ ンス の維持もしく は向上 に 貢献してい る可能性が考 えられる 。
従って本研 究は、異 なる RWの運動時 間、特に 3 分間 の RWがそ の後の間欠 性スプリント パフォー マンスに与え る影響 お よび そのメカ ニズム の 検討 として 、 VO2および筋酸素 動態 に着目し、RWがそれ らに与える影 響も検討 した。
第 2節 方法 第 1 項 被験 者
本研究は、1 回あた り 1 時間以 上の運動 を 週 2 回以上 行ってい る 健康な若年 成 人 男 性 13 名 を 対 象 と し た 。 被 験 者 の 身 体 特 性 は 、 年 齢 22.4±2.1 歳 、 身 長 1.72±0.05 m、体 重 67.0±10.1 kg、VO2max 48.1±4.1 ml/kg/min(平均±標準偏差)で あった。被験 者には、 試験開始前に 研究参加 に関する説明 を十分に 実施し、書 面にて研究参 加に対す る同意を得た 。本研究 は、 早稲田大 学「人を 対象とする 研究に関する 倫理審査 委員会」の承 認を得て 、実施した(認 証番号 2016-168)。
20 第 2 項 研究 デ ザイ ン
本研究は、 ハーフタ イムの内容の み異な る 3試行の 無作為化交 差試験法を用 いた。本試 験では、15 分間のハーフ タイムを 挟む、40 分間の間 欠性 サイクリン グ運動を 2 回 実施した 。ハーフタ イムの内 容 は、1) 15分間の安静 座位(コ ン ト ロール試行 )、2) 7 分間・70% HRmaxの強度 の サイクリング を 行 う RW(7 min RW 試行)、3) 3分間・70% HRmaxの強度 のサイク リングを 行 う RW(3 min RW 試行)
のいずれかと した 。運 動パフォーマ ンステス トとして の 2回目の間 欠性運動は 、 Cycling Intermittent-Sprint Protocol(CISP)を用いた。CISP は、間 欠性チームス ポーツ選手の 間欠性ス プリントパフ ォーマン スを評価する 運動パフ ォーマンス テストであり 、高い 再 現性が先行研 究で認め ら れている(級内相 関 係数[ICC] = 0.9)(17)。
また、生活 習慣が結 果に与える影 響を考慮 し、被験者は 以下のこ とを指示さ れた。
1. 実験期間中、 生活習慣 、運動、食事 を通常の 生活から変更 しないこ と。
2. 本試験前日の 食事、間 食及び摂取飲 料を試行 間で統一する ため、被 験者は 1 回目の本試験 の前日に 摂取したもの を記録し 、その後の試 行で 本試 験の前日 に同じものを 摂取する こと。
3. 本試験前 24 時間 以内 にカフェイン 、アルコ ールを摂取し ないこと 。 4. 本試験 2 時間 前から水 以外の飲食を 控えるこ と。
さらに、本 試験の測 定項目に対す る日内変 動の影響を避 けるため 、3 試行は すべて同じ時 間に開始 した。本試験 開始 の 3 日以上前に、 被験者は 本試験の練 習試技を実施 した。3 試行の本試験は 3 日 以上の間隔を 空けて実 施した。 本試 験中の気温お よび湿度 は、それぞ れ 20.7±0.3°C、50.3±2.5%であっ た。
21 第 3 項 実験 ス ケジ ュ ール
被験者は 、最初 に VO2maxおよ び HRmaxを 測定するため に自転車 エルゴメータ ー(Monark 894E、Monark、Varberg、Sweden)を用いた漸増 負荷 試験を実施し た。漸増負荷試 験は 2 つのステージ に分かれ ており、1ステー ジ目 は 95 W から
25 Wずつ増加させ る 3 分×4回の最大下運 動負荷試験で あった。2ステージ目
は 1 分ずつ 25 W 増加させ、被験者 を 疲労困 憊まで運動さ せる 最大 運動負荷試
験であった。 目標回転 数は 80 回/分とした。 漸増負荷試験 中、呼気 ガス分析機
(Quark CPET, COSMED, Rome, Italy)を用い て VO2を測定し た。また、心拍 計
(Polar RCX3, Polar Electro, Kempele, Finland)を用い、心 拍数 を 5秒ごとに測 定した。
本試験のプ ロトコル を図 2-1 に 示した。 本 試験はすべて 自転車エ ルゴメータ ー(Monark 894E、Monark、Varberg、Sweden)を用いた。被 験者 は 5 分間の安 静を保った後 、ウォー ミングアップ を実施し た。ウォーミ ングアッ プは、95 W の負荷で 5 分間の サイ クリングの後 に 30 秒の休息を挟み 、最後 に 120 W の負 荷で 30 秒間のサイ ク リングを 行う ものとし た 。その後、5 分間 の 休息を保ち 、 1回目の 40 分間の 間 欠性自転車運 動を実施 した。1 回目の 間欠性 自転車運動は 2分×20 ステージの 運 動とし、2分 間の内訳 は 15 秒の安静座 位、25秒の無負荷 のサイクリン グ、10 秒の高強度運 動(130% VO2max)、70 秒の 中 強度運動(60%
VO2max)とし た。サイ クリングの目 標回転数 は 80 回/分とした。1 回目の間欠性 自転車運動が 終了した 後、被験者は 15 分 間 のハーフタイ ムを実施 した。ハーフ タイムでは、1) 15分 間の安静座位 を保つコ ントロール試 行、2) 7 分間の安静座 位の後に 7 分 間の RWを 70% HRmaxの強度で 行う 7 min RW試行、3) 11分間の 安静座位の後 に 3分間 の RWを70% HRmaxの強度で行 う 3 min RW試行のいず れかとした 。RWは2 回目の間欠性 自転車運 動の開始 の 1 分前に終 了した。RW の 強 度 は 、RW に 関 す る 多 く の 先 行 研 究 と 同 様 に 70% HRmax と し た
22
(11,30,31,37,69)。ハー フタイム終了 後、被験 者は 2 回目 の 40 分間 の間欠性自転 車運動を実施 した。2 回目の間欠性 自転車運 動は、CISP を用 いた 。CISP は 2 分×20 ステージの運 動であり、2 分間の 内 訳は 10 秒の安静 座位 、体重の 7.5%
の重りを負荷 した 5秒 のスプリント 、105秒の 50% VO2maxのア ク ティブリカバ リーとした。5 秒 のス プリントは静 止状態で 右足のクラン クが 90 度となる位置 から開始した 。105 秒のアクティブ リカバリ ー時の目標回 転数は 80 回/分とし た。1 回目の間欠性自 転車運動の強 度を 3 試行で同一に するため に 1 回目、2 回目の間欠性 自転車運 動で異なる運 動を用い た 。
図2-1 実験プ ロトコル
CISP The Cycling Intermittent-Sprint Protocol、Control 15 min of seated rest trial、7 min RW 7 min of the cycling at 70% of HRmax trial、3 min RW 3 min of the cycling at 70% of HRmax trial
第 4 項 測定 項 目
4-1. スプリントパ フ ォーマンス
CISP中の 5 秒間 のス プリントの仕 事量を 、Anaerobic Test Software(Monark ATS First intermittent
exercise Half-time Second intermittent exercise (CISP)
130%
of VO2max
15 s 25 s 70 s
2 min×20 rep
Unloaded cycling
10 s
60%
of VO2max
Rest Sprint
10 s 105 s
2 min×20 rep 5 s
50%
of VO2max Rest
PR PR
Cycling
① Control
② 7 min RW
③ 3 min RW
* Cycling intensity: 70% of HRmax min40
The half-time for 15 min 0
min
40 min
55
min 95
min
min55
min47 51
min Passive recovery (PR)
Cycling
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Software, Monark, Varberg, Sweden)を用いて 測定した。仕 事量はス プリントに おける平均パ ワー 出力 を秒数(5 秒)で 乗じ ることによっ て算出し 、55-65 分、
65-75 分、75-85 分、85-95 分間の平 均仕事量 を 求めた。
4-2. 呼気代謝
本 試 験 に お け る 安 静 時 か ら 65 分 ま で の 間 、 呼 気 ガ ス 分 析 機 (Quark CPET, COSMED, Rome, Italy)を用い て VO2、二酸 化炭素排出量(VCO2)、呼吸交換 比
(RER)を測定した。安静時(pre)、0-40 分、54-55 分間ではそ れぞ れの平均値、
55-65 分間では 10 秒ご との平均値を 算 出した 。 また、RW中のVO2の平均値も 算出した。
4-3. 筋酸素動態
770 nmと830 nmの2種類の波長を使用 し た 空間分解近 赤外線分 光 法(NIRSRS: Hb14, ASTEM, Kanagawa, Japan)を用いて 、 右脚外側広 筋 の筋腹 部の 筋酸素動 態を 5 Hzで測定し た 。測定部位 は、膝蓋 骨 と大転子間 の 30%の長 さの部位とし
(59)、3試行間で同じ部 位から測定す るために 測定部位をサ ージカル マーカーで
記した。NIRSRSの プロ ーブは 1 つ の送光部 と 2 つの受 光部で形 成されており 、 送光部と受光 部の距離 はそれぞ れ 20 mm、30 mmであ った。NIRSRSは、非侵襲 的に酸化(oxy-Hb)、脱酸化(deoxy-Hb)、総ヘモグロビ ン濃度(total-Hb)の安 静時から の変化 量(Δ)および 筋酸素 飽和度 (SmO2)を継 続して 測定 する こと ができる。本 研究にお ける安静は、ウォーミ ングアップ前 の安静と し 、pre、0-40 分、54-55 分間ではそ れぞれの平 均 値、55-65 分間では 10 秒ごと の平均値を算 出した。また、55-65 分間の CISP に おける 105秒のアクテ ィブリ カバリー 中の Δoxy-Hbの平 均値も算 出 した。
NIRSRSを用いる 場合、測定部位の皮 下脂肪厚 は測定結果に 大きな影 響を与え
24
る こ と が 明 ら か に な っ て い る(42)。 近 年 の 総 説 で は 皮 下 脂 肪 厚 を 測 定 す る こ と によって、得ら れた測 定結果を補正 できるこ とが報告され ている(43)。従って、
本研究では本 試験実施 前に 超音波装 置(LogiQ3, GE Healthcare, Tokyo, Japan) を 用 い て 、 測 定 部 位 の 皮 下 脂 肪 厚 を 測 定 し 、 脂 肪 補 正 ソ フ ト ウ ェ ア (Hb14, ASTEM, Kanagawa, Japan)を使用し 、測定結 果を補正した 。皮下脂 肪厚の被験 者内変動係数 は 5.5±4.9 %であった 。
4-4. 心拍数および 主 観的運動強度
心拍数は、 心拍計(Polar RCX3, Polar Electro, Kempele, Finland)を用いて 、 本試験を通し て 5 秒間 隔で測 定した 。pre、0-40 分 、54-55 分、55-65 分、65-75 分、75-85 分、85-95 分間で平均心 拍数を算 出した。
主観的運動 強度(RPE)は、ボルグス ケ ールを用い て pre、40 分、55 分、65 分、75 分、85 分、95 分で測定した(6)。
第 5 項 統計 解 析
す べて の 値 は 平 均値 ±標 準 偏差 で 示 し た 。 統 計 解析 は 統 計 分 析ソ フ ト (IBM SPSS Statistics Version 23.0, IBM Japan, Tokyo, Japan)を用いた。平 均仕事量、
VO2、VCO2、RER、Δoxy-Hb、Δdeoxy-Hb、Δtotal-Hb、SmO2、HR、RPEは、対 応のある二元 配置の分 散分析を用い 分析した 。 試行の主効 果または 試行と時間 の交互 作用 が認め られ た場合 、Bonferroni 法を用い 、そ の後の 検定 を行っ た。
55-65分間のCISPにお ける 105秒のアクティ ブリカバリー 中の Δoxy-Hbの平均 値は、対応の ある一元 配置の分散分 析を用い 分析した。試 行の主効 果が認めら
れた場合 Bonferroni 法を用い、その 後の検定 を行った。平 均仕事量 とその他の
測定項目の相 関には、 ピアソンの積 率相関係 数を用いた。 統計学的 有意水準は
危険率 5%未満とした 。
25 第 3節 結果
第 1 項 間欠 性 スプ リ ント パフ ォ ーマ ンス
CISP にお けるスプ リ ント中の平均 仕 事量を 図 2-2a に示し た。コ ントロール 試行、7 min RW 試行、3 min RW 試行の 55-65 分間 における 平均 仕事量は、そ れぞれ 3638±906 J、3808±949 J、3827±960 J であった。7 min RW試行、3 min RW 試行はコント ロール試 行と比較し、 有意な高 値を示した(p < 0.05)。7 min RW 試行、3 min RW 試行間には有意な 差は認め られなかった 。65-75 分、75-85 分、
85-95 分間の平均 仕事 量には、試行 間の差は 認められなか った。
55-65 分間にお ける平 均仕 事量と 55-65分間 の CISPにおける 105秒のアクテ ィブリカバリ ー 中 の Δoxy-Hb の 間には正 の 相関関係が認 められた(r = 0.52, p <
0.05, n = 39)(図 2-2b)。
図2-2 各測定 ポイント における平均 仕事量(a)および 55-65分に お ける平均仕 事量と CISP に おける 105 秒のアクテ ィ ブ リ カ バ リ ー 中 の Δoxy-Hb の 相 関 (b)
n=13、 平 均 値±標 準 偏 差 、 対 応 の あ る 二 元 配 置 の 分 散 分 析 (a)、 ピ ア ソ ン の 積 率相関係数(b)
Control 15 min of seated rest trial、7 min RW 7 min of the cycling at 70% of HRmax
trial、3 min RW 3 min of the cycling at 70% of HRmax trial
0 3200 3600 4000 4400 4800
55-65 min 65-75 min 75-85 min 85-95 min
平均仕事量(J)
Control 7 min RW 3 min RW
**
≈
(a)
1500 3000 4500 6000
-10.0 0.0 10.0
平均仕事量(J)
Δoxy-Hb (μmol/L) Control 7 min RW 3 min RW r = 0.52
p < 0.05 (b)
26
平均仕事量:試 行の主 効果 p > 0.05、時間の 主効果 p < 0.05、交互 作用 p < 0.05
* vs コント ロール試 行 p < 0.05
第 2項 呼気 代 謝
pre、0-40分、54-55 分 間におけ る VO2、VCO2、RERを表 2-1 に 示 した。pre、
0-40 分における VO2、VCO2、RER は試行 間に有意な差 は認めら れなかった。
54-55 分間におけ る 7 min RW試行、3 min RW試行の VO2はコントロール試行 と比較し、有 意な高値 を示し(p < 0.05)、7 min RW試行は 3 min RW 試行と比 較し、有意な高値 を示 した(p < 0.05)。54-55 分間におけ る 7 min RW 試行、3 min RW 試行 の VCO2はコ ントロール試 行と比較 し、有意な高 値を示し (p < 0.05)、
7 min RW試行は 3 min RW 試行と比 較し、 高値を示す傾 向が認め られた(p = 0.08)。54-55分間にお ける7 min RW試行のRERはコント ロール試 行と比較し、
有意な高値を 示した(p < 0.05)。
27
表2-1 各測定 ポイント における呼気 代謝、心 拍数および主 観的運動 強度 n=13、平均値±標準 偏 差、対応のあ る 二元配 置 の分散分析
Control 15 min of seated rest trial、7 min RW 7 min of the cycling at 70% of HRmax
trial、3 min RW 3 min of the cycling at 70% of HRmax trial、VO2 oxygen uptake、VCO2
carbon dioxide production、RER respiratory exchange ratio、HR heart rate、RPE rating of perceived exertion
* vs コ ントロー ル試行 p < 0.05
(*) vsコントロ ー ル試 行 0.1 > p > 0.05
† vs 7 min RW試行 p < 0.05
Control 7 min RW 3 min RW p value Pre 5.5 ± 0.9 5.6 ± 0.8 5.4 ± 0.6 Trial < 0.05 0-40 min 28.4 ± 3.2 28.1 ± 3.5 28.8 ± 3.5 Time < 0.05 54-55 min 7.1 ± 1.0 18.8 ± 3.1* 18.0 ± 2.7*† Interaction < 0.05
Pre 4.9 ± 0.8 5.0 ± 0.7 4.8 ± 0.5 Trial < 0.05 0-40 min 27.2 ± 3.1 26.9 ± 3.5 27.5 ± 3.6 Time < 0.05 54-55 min 6.6 ± 1.5 18.6 ± 3.5* 17.6 ± 3.2*(†) Interaction < 0.05
Pre 0.88 ± 0.03 0.88 ± 0.04 0.88 ± 0.05 Trial > 0.05 0-40 min 0.95 ± 0.03 0.95 ± 0.02 0.95 ± 0.03 Time < 0.05 54-55 min 0.90 ± 0.07 0.97 ± 0.05* 0.96 ± 0.07 Interaction < 0.05
Pre 36 ± 5 36 ± 4 36 ± 4
0-40 min 71 ± 5 70 ± 6 71 ± 4
54-55 min 48 ± 5 66 ± 8* 63 ± 6* Trial < 0.05 55-65 min 70 ± 4 74 ± 6(*) 74 ± 4* Time < 0.05 65-75 min 76 ± 5 78 ± 6 79 ± 4 Interaction < 0.05 75-85 min 78 ± 5 80 ± 6 81 ± 4
85-95 min 80 ± 5 81 ± 6 82 ± 5 Pre 6.3 ± 0.6 6.4 ± 0.7 6.2 ± 0.4 40 min 12.6 ± 2 12.6 ± 1.9 11.9 ± 1.8
55 min 8.2 ± 1.7 11.8 ± 1.7* 10.8 ± 1.5*† Trial < 0.05 65 min 12.2 ± 1.5 13.2 ± 1.2* 12.8 ± 1.3 Time < 0.05 75 min 13.2 ± 1.8 14.2 ± 1.6 14.1 ± 1.6 Interaction < 0.05 85 min 14.2 ± 1.9 15.1 ± 1.8 14.8 ± 1.5
95 min 14.9 ± 2.2 15.8 ± 2.2 15.5 ± 2.2 VCO2 (ml/kg/min)
RER (A.U.)
RPE (A.U.) VO2 (ml/kg/min)
HR (%HRmax)
28
(†) vs 7 min RW 試行 0.1 > p > 0.05