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日本内科学会雑誌第105巻第9号

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Academic year: 2021

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はじめに:TGF-βの多彩な作用

 Transforming growth factor(TGF)-βは1980年 代初めに正常の線維芽細胞(NRK-49F)に作用 して形質転換を起こす因子として見つけられ た.軟寒天の中では正常の線維芽細胞は足場が

ないために増殖できないが,TGF-β

はEGF(epi-dermal growth factor)の共存下で,足場なしで 正常線維芽細胞の増殖を促進するという特徴的 な作用をもつ因子として発見された.その後, 1980 年代半ばになって,TGF-βは上皮細胞をは じめ,多くの細胞の増殖を抑制することが明ら かになり,その後はTGF-βは増殖抑制因子の代表 に位置づけられるようになった.特に,TGF-βの 増殖抑制作用からの逸脱は細胞のがん化につな がると考えられ,多くの研究がなされた.その 結果,TGF-βのType II受容体(TGFBR2遺伝子) の 異 常 が 遺 伝 性 非 ポ リ ポ ー シ ス 大 腸 が ん (hereditary non-polyposis colorectal cancer: HNPCC) で み ら れ る こ と や, シ グ ナ ル 分 子 Smad4の遺伝子異常が膵臓がんの約半数にみら れることが明らかになり,TGF-βはがん抑制因子 として広く知られるようになった.一方で,「で は,TGF-βはなぜ軟寒天培地で線維芽細胞の増殖 を促進する作用を発揮するのか」ということが 長い間の疑問となっていた.また,1990年代初 めにTGF-βは組織の線維化を促進する因子とし て知られるようになる.さらに,1990年代の半 ばにTGF-βが上皮細胞を間葉系細胞に移行させ るという特徴的な作用(上皮間葉転換(epitheli-al-mesenchymal transition:EMT))を有し,上 皮細胞の運動・浸潤能を亢進させることが明ら かとなり,TGF-βはがんの進展においてがん抑制 作用と浸潤・転移促進作用をもつことという二 面的な作用(bidirectional function)が広く知ら れるようになり,現在に至っている(図 1)1)  TGF-βはその作用が多彩であることだけでな く,種々の疾患の病因と密接に関わっているこ とが特徴である.さらに,TGF-βと類似した構造 を 持 ち, 類 似 し た 経 路 で シ グ ナ ル を 伝 え る 東京大学大学院医学系研究科

113th Scientific Meeting of the Japanese Society of Internal Medicine:Special Lecture:TGF-β family and internal medicine. Kohei Miyazono:Graduate School of Medicine, The University of Tokyo, Japan.

本講演は,平成28年4月15日(金)東京都・東京国際フォーラムにて行われた.

TGF-βファミリーからみた内科学

宮園 浩平 Key words TGF-β,骨形成因子,上皮間葉転換,がん,線維症,Marfan症候群

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TGF-βフ ァ ミ リ ー の 因 子 で あ る 骨 形 成 因 子 (bone morphogenetic protein:BMP)やアクチ ビン(activin)などが1980年代後半から次々に 発見されたが,これらの因子も種々の疾患と関 連することが明らかになり,このことが基礎研 究者のみならず,多くの臨床医の興味を引くこ ととなった理由と思われる.

1.TGF-βによるシグナル伝達

 TGF-βには構造の類似した蛋白質が 3 種類存 在し,TGF-β1~3 と呼ばれる.3 種類のTGF-βは いずれも 2 種類のセリンスレオニンキナーゼ型 受容体(Type IとType II)に結合する(図 2)2)

Type II受容体はType I受容体を活性化し,その 結果,Smadと呼ばれる一群のシグナル分子が活

性化される.TGF-βの作用によってType I受容体

がSmad2 とSmad3 を活性化すると,Smad4と結 合し,形成されたSmad複合体は核内へ移行す る.核内でSmad複合体は種々の転写因子と結合 してDNAに結合し,種々の標的遺伝子の転写を

調節する.TGF-βによる増殖抑制にはp15やp21

な ど の サ イ ク リ ン 依 存 性 キ ナ ー ゼ 阻 害 因 子

(cyclin-dependent kinase inhibitor:CDKI)の発 現上昇やc-Mycの発現抑制が重要な役割を果た す.一方で,EMTにはSnailやSlugなどの転写因 子の発現上昇が重要である3).Smadによるシグ ナルはこれを抑制するSmad(inhibitory Smad) であるSmad7 によって抑制される.TGF-β刺激 はSmad7 の発現を促進することから,Smad7 を 介して“Smad-induced Smad inhibition”という

負のフィードバック機構が存在する2).このこ とは多くの内分泌ホルモンのもつフィードバッ ク調節機構と類似したメカニズムが細胞内シグ ナルレベルでも存在することを示している.さ らに,TGF-βはPI3(phosphoinositide 3)キナー ゼやMAP(mitogen-activated protein)キナーゼ などSmadを介さないシグナル経路(non-Smad 経路)を活性化する.また,種々の増殖因子や がん遺伝子RasによるシグナルがSmadシグナル 経路を修飾することで細胞特異的な作用が発揮 される(図 2).  TGF-βファミリーの因子は,哺乳類では 33 種 類存在する.これらは,(1)Type I受容体の下 流で主としてSmad2やSmad3を活性化する因子 (TGF-βやアクチビン,ミオスタチンなど),(2) Smad1 やSmad5 を活性化する因子(BMP-2,-4, -7,-9,ミューラー管抑制因子など),(3)いず れのSmadも活性化せずに他の因子に抑制的に 働く因子,という大きく 3 つに分類することが できる.

2.TGF-βによるEMTの誘導とがん

 EMTは上皮細胞が種々の刺激によって間葉系 細胞へと分化していく過程であり,(1)初期発 生や発生段階での形態形成のプロセスや,(2) 組織の再生・線維化,(3)がんの進行に密接に 関 わ っ て い る.EMTが 起 こ る とE-cadherinや Claudin-1 などの上皮細胞マーカーの発現が低 下し,N-cadherinやα-smooth muscle actin(α-SMA) の発現が上昇する.EMTを起こした細胞は運動 図1 がんにおけるTGF-βの作用の二面性 TGF-βは早期のがんでは増殖抑制作用やアポトーシ ス誘導により腫瘍抑制因子として働く.進行したが んではTGF-βはEMTを誘導することなどにより腫瘍 促進因子として働く. 腫瘍促進作用 増殖抑制 p21 ↑ p15 ↑ c-Myc↓ Cdc25↓ EMT誘導 Snail ↑ Slug ↑ ZEB1 (δEF1) ↑ ZEB2 (SIP1) ↑ Twist1 ↑ 進行がん TGF-β 初期のがん 腫瘍抑制作用

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性・浸潤性が亢進し,がんにおいては抗がん薬 に対する抵抗性が亢進する3).興味深いことは, Smad7 含有アデノウイルスやTGF-β阻害低分子 化合物などを用いてTGF-βシグナルを抑制する と,乳がんなどの種々の動物モデルでがんの転 移を抑制できることである4).TGF-βシグナルの 抑制は乳がんの骨転移を抑制することも種々の 動物モデルで明らかとなっていることから,進 行したがんではTGF-βシグナル阻害薬が有効で あると考えられ,多くの研究がなされている.  では,TGF-βはどのような状況で細胞増殖を 抑制し,どのような状況でEMTを誘導するので あろうか.多くの正常上皮細胞はTGF-βによっ て増殖抑制を受けるが,がん化した細胞はしば し ばTGF-βに よ る 増 殖 抑 制 作 用 を 受 け な く な る.一方で,TGF-βで刺激した細胞は必ずしも全 てがEMTを起こすわけではなく,細胞によって 反応の程度が異なる.ヒト膵臓がんではKRASの 異常によるK-Rasの活性化が 90%の症例でみら れ,膵臓がん細胞株PANC-1でも同様の変異がみ られる.筆者らがPANC-1 を用いた検討では, TGF-βによる転写因子Snailの発現とEMTの誘導 はK-Rasの発現と密接に関わっており,活性型 K-Rasの非存在下ではSnailの発現上昇やE-cad-herinの発現低下がみられないことが明らかと な っ た5). 次 世 代 シ ー ク エ ン サ ー を 用 い た FAIRE-sequencingな ど の 検 討 で は,Smad2 や Smad3 のDNA結合が活性型K-Rasの作用によっ て大きく変動することが明らかとなっているこ とから,悪性化に伴う種々のがん遺伝子やがん 抑制遺伝子の異常によって引き起こされるクロ マチン構造の変化がEMT誘導に密接に関わると 考えられる. 図2 TGF-βのシグナル伝達機構

TGF-βはType I(TβRI)とType II(TβRII)の2種類の受容体に結合してシグナル を伝達する.受容体の下流ではSmadによるシグナル経路が中心的な役割を果たす. さらにSmadを介さないシグナル経路や,他の増殖因子やがん遺伝子・がん抑制遺 伝子のシグナルがSmadシグナルを修飾して細胞の機能を調節する. Smad4 P P TβRI TβRII TGF-β Smad2/3 核 転写共役因子 DNA結合因子 PI3K non-Smad pathway Ras MAPK? ? signal cross-talk P P 標的遺伝子 Akt mTOR p70S6K 4E-BP1 TAK1 MKK 3/6/4 JNK p38

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3.TGF-βの作用と肺腺がん

 TGF-βとがんの研究は乳がん,大腸がん,膵臓 がん,脳腫瘍をはじめ,多くのがんで行われて いる.ここでは,TGF-βと肺がん,特に肺腺がん との関連について述べたい.肺腺がんにおける 遺伝子異常については最近多くの研究がなさ

れ,がん遺伝子KRAS,EGFR,ALKの活性化が肺

腺がんでみられ,EGFRとALKの異常がある症例

についてはそれぞれに対するチロシンキナーゼ 阻害薬が臨床的に有効であることが明らかと なっている.TTF-1(thyroid transcription factor) はNKX2-1とも呼ばれ,肺,気管,甲状腺などに 比較的特異的に発現する転写因子であり,肺で はII型肺胞上皮細胞やクララ細胞で発現してお り,SP-Aなどのサーファクタント蛋白の分泌を 促進する.TTF-1 陽性の肺腺がん症例は,陰性 の症例に比較して予後がよく,TTF-1 は予後を 診断するよいマーカーとして知られている. TTF-1 を発現している肺腺がん細胞株はE-cad-herinを発現して増殖が遅く,一方でTTF-1 陰性 肺腺がん細胞株はE-cadherinを発現せず,EMT様 の表現型を示し,増殖速度が速いことが観察さ れている.筆者らの検討では,TTF-1はTGF-βの 作用に拮抗し,TGF-βによるSnailやSlugの発現を 抑制し,EMTの逆の現象であるMET(mesenchy-mal-epithelial transition)を引き起こすことで, 肺腺がんの進行を抑えていると考えられた6)  TTF-1 は肺腺がんでは多くの場合がん抑制因 子として働くが,時にTTF-1/NKX2-1の増幅がみ られ,TTF-1 ががん遺伝子として作用すること が報告されている.これはTTF-1 がEMT誘導抑 制などのがん進展を抑える働きだけでなく, ROR1やLMO3などの細胞の生存に関わる遺伝 子の発現を促進することによると考えられてい る.ChIP-sequencingな ど の 次 世 代 シ ー ク エ ン サ ー を 用 い た 解 析 で は,TTF-1 はSmad2/3 と Smad4 の複合体形成を阻害し,Smad3 とTTF-1 が直接結合して独自の転写調節を行っているこ とが明らかとなった7).次世代シークエンサー の登場により,筆者らはTTF-1とTGF-βの新たな 標的遺伝子を肺腺がん細胞で同定しており,こ れらががんの進展に重要な役割を有することも 明らかとなっている.こうした組織特異的な転 写因子とTGF-β-Smadの関係は他のがんでもみ られ,今後の研究の進展が待たれる.

4.TGF-βによる線維化の誘導

 TGF-βのもう 1 つの大きな特徴は,TGF-βが細 胞外マトリクスの産生を促進して組織の線維化 を引き起こすことである.1990年に,実験的な 急性腎炎モデルではTGF-βの産生が亢進してお り,TGF-β中和抗体でTGF-βの作用を抑制すると 腎炎の進行が抑えられることが報告された.こ の報告以来,糖尿病腎症や肺線維症,強皮症, 肝硬変など多くの線維性疾患でTGF-βの発現の 亢進により,コラーゲンやフィブロネクチンな どのマトリクス蛋白質の発現誘導や,マトリク ス分解蛋白質の発現制御などによって線維化が 進行することが報告された.例えば,ブレオマ イシン誘導性肺線維症モデルでは,アデノウイ ルス含有Smad7 を経気道的に投与してTGF-βの 作用を抑制すると線維化が抑制されること, Smad3欠損マウスでは一側尿管結紮(unilateral ureteral obstruction:UUO)による腎障害の進行 がみられないことが報告された.  こうした知見をもとに,TGF-βに対する中和 抗体やTGF-βのType I受容体キナーゼを抑制す る低分子化合物が作成され,TGF-βシグナルを 標的とした疾患の治療ががんや線維性疾患を中 心に試みられてきた8).しかしながら,進行し た線維症ではTGF-βシグナル阻害剤の効果は十 分ではなく,また,心血管系への副作用など予 期せぬ作用も報告されている.線維症に対する TGF-β阻害薬の効果はこれまで多くの期待が寄 せられてきたが,残念ながら今日まで臨床応用 には至っていない.

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5.潜在型TGF-βの構造と活性化

 TGF-βは活性をもたない潜在型(latent form) として産生され,活性化を受けて初めてその作 用を発揮する.TGF-β1は390個のアミノ酸から なる前駆体としてつくられ,C末端側の 112 個 のアミノ酸からなる部分が 2 量体をつくり,こ の部分が活性をもつTGF-βとなる.N末端側の部 分(latency-associated peptide:LAP)も 2 量体 をつくり,C末端側から切断された後も非共有 結合で結合し,TGF-βを潜在型とする.TGF-βが 刀にあたるとすると,LAPは刀のさやにあたる 働きをもつわけである.多くの細胞では,潜在 型TGF-βはTGF-βとLAPに 加 え て,LTBP(latent TGF-β binding protein)がLAPにS-S結合で結合し た複合体として産生される.LTBPは,EGF様の 構造と 8 個のシステイン残基を含む特徴的な構 造(8-Cys domain)が繰り返し出てくる特徴的 な構造をもつ(図3).LTBPには類似した構造を もつ蛋白質が 4 種類存在し,LTBP-1~4 と呼ば れ,このうちLTBP-1,3,4 がLAPと結合する. 潜在型TGF-βは強酸,強アルカリ,熱処理,プラ スミンなどの酵素処理によって活性化される が,生体内でどのような分子機構で活性化され るか,長い間明らかではなかった.2000年代に なって,LAPがインテグリンに,LTBPが細胞外 マトリクスに結合し,なんらかの機械的な力が 働くことで潜在型TGF-β複合体が細胞外マトリ クス側とインテグリン側に引っ張られると全体 の構造にゆがみが生じ,その結果,潜在型TGF-β が活性化されることが明らかになった9)  一方で,Marfan症候群の原因遺伝子FBN1が つくる蛋白質Fibrillin-1 がLTBPと同様にEGF様 構造と 8-Cysドメインの繰り返しからなること が報告された.さらにFibrillin-1はLTBPと結合す ることで,潜在型TGF-βの細胞外マトリクスで の局在を決定すると同時に,その活性化を制御 する働きをもつことが明らかになり,大動脈瘤 や大動脈解離などMarfan症候群の主な臨床所 見のいくつかはTGF-βシグナルの過剰で説明す る こ と が 可 能 と な っ た10).Fibrillin-1 遺 伝 子 (Fbn1)を欠損したマウスでは血管中膜におい てTGF-βの作用が亢進してSmad2 のリン酸化が 強く観察され,TGF-β中和抗体の投与で中膜肥 厚が抑制されることが報告された.血圧降下薬 losartanのMarfan症候群モデルマウスへの投与 ではTGF-β中和抗体と同様の効果がみられ,大 動脈瘤や大動脈解離などに対する臨床応用が期 図3 潜在型TGF -βの構造 潜在型TGF-βは,TGF-βとLAP,LTBPからなる.LTBPは細胞外マトリクスやフィ ブリリンと結合する.細胞外マトリクスとインテグリンとの結合により潜在型 TGF-βは活性化される. タンパク分解 ドメインEGF-like LAP TGF-β ドメイン8-Cys フィブリリン 細胞外マトリクス LTBP

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待 さ れ て い る10).LosartanはTGF-β受 容 体 や Smadに直接作用するとは考えられておらず,そ の作用の分子メカニズムは明らかとなっていな い が,TGF-βシ グ ナ ル の 下 流 に お け るMAPキ ナーゼの抑制などの作用が重要であると報告さ れている.  潜 在 型TGF-βの 構 造 が 明 ら か と な っ た の は 1980年代後半であるが,活性化のメカニズムや Marfan症候群との関連が詳細に明らかとなっ たのは2000年代に入ってからである.TGF-βが 組織の線維化と密接に関係していることは古く から知られていたが,Marfan症候群との関連は 予期せぬものであった.今後,潜在型TGF-βの活 性化とFibrillinの関係がさらに明らかになり,新 たな治療戦略が推進されることが期待される.

おわりに

 TGF-βは強力な増殖抑制因子であり,血球細胞 やリンパ球に対しても増殖や機能を抑制する働 きを有する.一方で,TGF-βは制御性T細胞への 分化を促進する作用があり,TGF-β作用の抑制は 免疫能の活性化を誘導する可能性があり,がん や免疫疾患への臨床応用が期待されている.  TGF-βファミリーの因子であるBMPは,元来 は骨や軟骨の形成を促進する因子として見つ かった.その後,BMPは無脊椎動物にも存在し, 初期発生や組織の形態形成に重要な役割を果た すことが明らかとなった因子である.BMPの Type II受容体BMPRIIの機能喪失は原発性肺高 血圧症と,Type I受容体ALK-1の機能喪失は遺伝 性出血性毛細血管拡張症と,さらにALK-3(別 名BMPRIA)の機能喪失は若年性ポリポーシス との関連が報告されている.一方で,BMPの Type I受容体ALK-2 の機能亢進は進行性骨化性 線維異形成症(fibrodysplasia ossificans progres-siva:FOP)や小児びまん性内在性橋グリオーマ (diffuse intrinsic pontine glioma:DIPG)に関わ るなど,BMPシグナルの異常は骨・軟骨疾患, 血管病変,がんなど多彩な疾患との関連が知ら れている.最近になってBMPシグナルを抑制す る低分子化合物の開発も進められており,BMP シグナルの過剰によってもたらされる疾患の治 療 も 可 能 に な る か も し れ な い.TGF-βフ ァ ミ リーの因子に関する研究はこれまでも多くの研 究者の興味を引きつけてきたが,その阻害薬の 開発により,今後さらに大きく発展することが 期待される. 著者のCOI(conflicts of interest)開示:宮園浩平;株式 利益(イムノフューチャー),特許使用料(Ludwig Can-cer Research),寄附金(大塚製薬,日本新薬)

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文 献

1) Morikawa M, et al : TGF-β and the TGF-β family : context-dependent roles in cell and tissue physiology. Cold Spring Harb Perspect Biol, 2016(in press).

2) Heldin CH, et al : TGF-β signalling from cell membrane to nucleus through SMAD proteins. Nature 390 : 465― 471, 1997.

3) Miyazono K, et al : Tumor-promoting functions of transforming growth factor-β in progression of cancer. Ups J Med Sci 117 : 143―152, 2012.

4) Azuma H, et al : Effect of Smad7 expression on metastasis of mouse mammary carcinoma JygMC(A)cells. J Natl Cancer Inst 97 : 1734―1746, 2005.

5) Horiguchi K, et al : Role of Ras signaling in the induction of Snail by transforming growth factor-β. J Biol Chem 284 : 245―253, 2009.

6) Saito RA, et al : Thyroid transcription factor-1 inhibits transforming growth factor-β-mediated epithelial-to-mes-enchymal transition in lung adenocarcinoma cells. Cancer Res 69 : 2783―2791, 2009.

7) Isogaya K, et al : A Smad3 and TTF-1/NKX2-1 complex regulates Smad4-independent gene expression. Cell Res 24 : 994―1008, 2014.

8) Akhurst RJ, Hata A : Targeting the TGFβ signalling pathway in disease. Nat Rev Drug Discov 11 : 790―811, 2012.

9) Todorovic V, Rifkin DB : LTBPs, more than just an escort service. J Cell Biochem 113 : 410―418, 2012.

10) Habashi JP, et al : Angiotensin II type 2 receptor signaling attenuates aortic aneurysm in mice through ERK antagonism. Science 332 : 361―365, 2011.

参照

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38) Comi G, et al : European/Canadian multicenter, double-blind, randomized, placebo-controlled study of the effects of glatiramer acetate on magnetic resonance imaging-measured

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   ︵大阪讐學會雑誌第十五巻第七號︶