港湾における底質ダイオキシン類無害化処理技術について
国土交通省 北陸地方整備局 新潟港湾空港技術調査事務所 正会員 ○高野 誠紀 坂井 秀雄 川井 雅博 佐々木利幸
1.概要
港湾及び海域における底質土砂のダイオキシン類は、焼却灰又は工場排水等に起因するものが様々な流入 経路を経て最終的に港湾域に堆積したもので、比較的高濃度のダイオキシン類が検出されている。
ダイオキシン類の無害化技術は国内・国外の企業等が技術開発を進めているが、汚染底質に適用した事例 はほとんど無く、わずかに室内試験レベルでの基本的な効果確認事例が数例見られるのが現状である。この ことから海水域及び淡水域の汚染底質を対象に、一定規模での実証実験を行うことでその技術レベルを検証 するとともに、底質のダイオキシン類無害化を本格的に実施するにあたって事業者が適用する技術を選定す るための基礎資料としてまとめることとした。
2.技術の選定
、 。
対象とする技術は 民間企業が開発した底質ダイオキシン類の無害化処理技術を公募により選定している 応募49技術を評価項目( 信頼性 「安全性 「経済性 「現地条件への適用性 「実績 )により25技術「 」 」 」 」 」 を一定レベルにあると評価し、実験は21技術について実施した (残り4技術についてはスケジュールな。 どの理由により実験から除外)
3.技術の検証
底質のダイオキシン類含有量の環境基準値は150pg-TEQ/gである。ただし、最終処分方法によっては1,000 pg-TEQ/gと3,000pg-TEQ/gでの評価も有効であることから、この3つの指標で評価を行った。実証実験を行 った21技術の達成数は下表のとおり。
(数字は技術数)
試料名 150pg-TEQ/g 1,000pg-TEQ/g 3,000pg-TEQ/g 富岩運河上流側(淡水) 17/21 18/21 20/21 富岩運河下流側(海水) 16/20 19/20 19/20
この他、処理過程において発生する排ガス・排水・ばいじん等についても採取し、ダイオキシン類の分析 を行い、安全性を検証している。
実験成果はデータブックとしてとりまとめており、以下にその内容を示す。
3.1 底質ダイオキシン類の分解無害化処理
底質ダイオキシン類対策の基本的考え方、最終処分方法の選定フロー、環境基準値及び底質の特徴などを 整理した。
3.2 分解無害化処理技術の分類と概要
公募・選定した25技術について、無害化の原理や特徴から「焼却(焼成)法 「溶融法 「低温還元熱」 」 分解法 「酸化雰囲気低温加熱法 「化学分解法 「溶媒抽出法 「バイオレメディエーション」の7つに分」 」 」 」 類し、それぞれの概要・特性を記載している。
3.3 分解無害化処理技術の選定方法
「信頼性 「安全性 「技術的な優位性 「現地条件への適合性 「経済性」を要件として、分解無害化処」 」 」 」 キーワード ダイオキシン,底質,無害化,実験,データブック
〒951-8011 新潟市入船町4-3778 新潟港湾空港技術調査事務所 TEL025-222-6115 FAX025-227-1205 連絡先
土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)
-229- 7-115
理技術の選定手順をフローにして記述した。
3.4 分解無害化処理技術の検証
実証実験を行った21技術の実験結果などについて、以下の項目・観点等でとりまとめを行った。
①各技術について、処理システムフローを示し、処理の流れがわかるように、また、処理底質・排水・排 ガスなどの排出物の測定箇所を示した。
②実証実験による処理結果
処理底質のダイオキシン類濃度、処理過程における排出ガス・排水・ばいじんに含まれるダイオキシン 類濃度、処理量などを記述した。
③実験条件・方法など
処理工程の加熱温度、滞留時間・運転時間などの実験条件、排水・排ガス・ばいじんの発生量、燃料消 費量などを記述した。
④前処理方法
処理プラントへ投入する前段階で汚染土を乾燥・解砕など前処理をする場合はその方法と、その時に発 生する乾燥排ガス・凝縮水量などを記述した。
⑤処理底質の性状
処理後の底質を有効利用する観点から、含水比などの物理的性状を記述した。
⑥加熱処理方式及び溶媒抽出法において、異性体分布の変化に着目して、ダイオキシン類の分解無害化の メカニズムについて記述した。
3.5 実用化に向けて
実証実験を実施したことによって各技術における課題が判明しており、その改善案について記述した。
また、今回の実証実験は処理能力を概ね
20kg/hr
と規定して行ったが、実用化では処理能力が大きくなる ことが想定されることから、スケールアップに向けての課題についても記述している。各技術の所要コスト(設備費、運転費、産業廃棄物処理費、経費)については条件を一定にして試算した が、システム規模・運転条件など、必ずしも同一とはなっていないことから、工費試算結果については『A
:10万円/トン以下 『B:10万円/トン超』の二つのランクで記載した。この結果、Aは17技術、』 Bは3技術となっている (残り1技術については試算できていない)。
4.おわりに
平成15~16年度における実証実験等の結果をデータブックとしてとりまとめ、平成17年3月31日に当 事務所のホームページ上で公表した (http://www.pa.hrr.mlit.go.jp/gicho/)。
本調査は富山県富岩運河の底質を試料として実験データを整理したものだが、現地底質の特徴としては① ダイオキシン類濃度が高い②シルト分が多い③海水の影響がある④重金属濃度が高い、等があり、開発途上 ともいえる「底質ダイオキシン類無害化技術」の中で貴重なデータを得ることができたと言える。同時に、
改めて「底質ダイオキシン類無害化技術」の困難性が明らかとなった。
実験の実施ならびに本成果をとりまとめるにあたっては「底質ダイオキシン類無害化処理技術調査委員会
(委員長:清水誠東京大学名誉教授)の先生方から多大な御支援・御助言を戴いたことに対し深く感謝し、
また、実験データの提供にあたり、対象とした21技術の応募者から多大な御協力を戴いたことに対し、感 謝する次第である。
今回とりまとめたデータブックが活用されることで底質ダイオキシン類対策を行う事業者の一助となれば 幸いである。
土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)
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