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2003 年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集

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Academic year: 2022

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ステンレス鋼曲がり管内壁面の高速流動研磨 金沢大工 ○黒部 利次, 金沢大院 守吉 信乃

1. 緒 言

 最近,内径1mm以下の細管(キャピラリー)の内壁面を高速流動法を 適用して研磨することが可能となった.本研磨法は,ストレート管(内径 1mm 以上)の研磨にも適用可能ではないかと考えられ,芯棒(金属マ ンドレル)を管内に挿入して加工が行われた.しかし,棒タイプの マンドレルを管内に挿入する方法では,曲がり管内壁面を研磨する ことはできない.

 本研究では,ゴム紐をマンドレルとすることにより曲がり管内壁 面の研磨を行った.

2. 実験方法

 図図図図図 11111 に,研磨装置の概略図を示す.実験に際し,エアーコンプレッ サーを駆動し,圧縮された空気をフィルターレギュレーターを介し て直圧式増圧器に注送する.注送された空気は直圧式増圧器で増圧 され,フランジ内に満たされた溶媒に流体圧を負荷する.流体圧を 受けた溶媒は,ブロックを通ってカートリッジBからカートリッジ Aへと流れ込む. カートリッジAには試料保持具に接続されている 管が底部深くまで挿入されている.増圧器側より加圧されて送られ た溶媒は,カートリッジA内部に予め沈澱させておいた砥粒といっ しょに中央のステンレス管を通って吸い上げられ,試料保持具内に 流れ込む.管とマンドレルの隙間を流動するスラリーは高速流とな り,砥粒は壁面に衝突したり引っ掻き作用を行いながら流れていく.

ここで,スラリーが管の左端(右端)から右端(左端)に流動する 工程を研磨の素過程(1 パス)と定義する.

 図図図図図 22222 に,試料保持具の詳細図を示す.保持具は,配管用の継ぎ手 を利用して作製した.溶媒(水等)に砥粒を懸濁させた液(スラリー)

を管内で高速流動させるため,図 3 に示すように管内に心棒(マン ドレル)を挿入した.マンドレルの大きさは,外形 d は 2.0mm,3.5mm である.それは,管の内径 D の値 4.4mm よりも僅かに小さい.このた め,マンドレルと管内壁との間に極めて小さな間隙(クリアランス)

ができる.スラリーは,この隙間を通ることによって高速で流れる ことになる.マンドレルはゴム製であり,止め具をマンドレルの左 右両端に取り付けることで,マンドレルを保持・固定する.

 実験条件を表表表表 1表1111 に示す.図図図図図 33333 に,評価方法を示す.管内壁面の評 価は,管の中心部位を切り出し,走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて

図 1 研磨装置の概略図

図 2 試料保持具(ゴムマンドレル用)

表 1 実験条件

Al2O3

粒径 濃度

0.3μm 15vol%

外径

0~160回 8.82MPa 水道水 外径 φ6.0mm

φ2.0,3.0mm(180°)

ゴム

φ2.0,3.5mm(90°)

試料

砥粒

マンドレル

パス回数 注送圧力 溶媒

SUS316TP S-C 内径 φ4.4mm

190mm 長さ

図 3 評価方法 観察・撮影した.また,触針式粗さ計を用いて管内壁面の表面粗さ を測定して行った.

3. 実験結果及び考察

 図図図図図 44444 に,一例としてゴム紐製マンドレル(φ 3.5)を用いて高速流 動研磨実験を行ったときの結果を示す.図 4 は,パス回数と表面粗 さの関係を表わす.図 4 には,軸方向の表面粗さと円周方向の表面 粗さの値を併記している.図 5 から,曲がり管内側及び外側内壁面 の表面粗さは,パス回数が増えるにつれて次第に低減する様子がわ かる.しかし,パス回数が 80 を過ぎると逆に表面粗さは増加する.

軸方向の表面粗さの値は,円周方向の値よりも幾分小さい.

 図図図図図 55555 に,管内壁面の SEM 観察像を示す.内壁面は結晶粒の集合組 織から成っていることがわかる.パス回数が多くなる(N=80)と,表 面が滑らかになる様子がわかる.しかし,過度にパス回数を増す

(N=160)と表面は次第にうねり,結晶粒と結晶粒の粒界の幅も大き くなる.これが,N=160で表面粗さが悪くなった原因ではないかと考 えられる.内側と外側の内壁面は,SEM 像でもかなりの差異があるこ とがわかる.

4. 結 言

 ゴム紐をマンドレルとして、ステンレス鋼曲がり管内壁面の研磨 を行った.その結果,次の結論が得られた.

(1) 90°曲がり管の場合,80 パスまで表面粗さは減少するが,それ 以降は増加する.

(2) 180°曲がり管の場合,粗さの低減様態は初期の減少を経て増 加に転じ,さらに再び低減するという現象が見られた.

0 1 2 3 4 5

0 40 80 120 160

軸方向 円周方向

表面 Ra μ

パス回数

0 1 2 3 4 5

0 40 80 120 160

軸方向 円周方向

表面粗さ Rμm

パス回数 (a) 90°曲がり管(内側) (b) 90°曲がり管(外側)

(a) N=0(内側) (b) N=80(内側) (c) N=160(内側) 図 4 パス回数と表面粗さ

20 μ m 20 μ m

20 μ m

図 5 90°曲がり管内壁面の SEM 写真

(a) N=0(外側) (b) N=80(外側) (c) N=160(外側) 20 μ m 20 μ m

20 μ m エアコンプレッサー

試料保持具

水道水 直圧式増圧器

電磁バルブ

フィルター レギュレータ

B2 砥粒 A2

B1

カートリッジ A1

B E B I C O N

内側 外側 ワイヤカット

ワイヤカット

SEM観察

Stylus Stylus 洗浄

ナット フェルール

ステンレス鋼管 ユニオン・ティー ゴム芯

ゴムマンドレル止め具

2003 年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集

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H34

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