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5-134 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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北海道の高速道路における簡易 IRI 測定機を活用した路面管理手法検討

東日本高速道路(株)北海道支社 正会員 齋藤辰哉 東日本高速道路(株)北海道支社 川島正人 (株)ネクスコ・エンジニアリング北海道 ○正会員 秋田学

1.はじめに

現在、高速道路における路面管理項目は、わだち掘れ、

ひび割れ率、平坦性、段差、すべり摩擦係数を基本とし ており、近年では、人間の感じる“乗り心地”により近 い指標である、「IRI (International Roughness Index:国 際ラフネス指数) による平坦性評価」が重用されている。

IRI とは、路面の平坦性を評価する世界共通指標として、

世界銀行より提案されたものである。(図-1)

高速道路におけるIRI測定は、首都圏を拠点とした路 面性状測定車による、3年に1回の定期的な測定となっ ており、道路管理者である我々が測定したいタイミング に行うことが出来なかった。そこで、いつでも簡易に、

高い精度で IRI を測定する方法として、平成 19 年度よ り簡易IRI測定機を導入した。

本文は、簡易IRI測定機を活用した路面管理手法の検 討内容について報告するものである。

2.簡易 IRI 測定機の概要 2.1 測定機の構成

本測定機は測定機本体、データ収集機、解析プログラ ム用のパソコンから構成され、測定機本体は管理用車両 の後輪ホイール部に取り付ける。(写真-1) 次に、測定 機本体を取り付けた状態で測定区間を走行し、路面の縦 断プロファイル(凹凸形状)を測定した後、測定した縦断 プロファイルデータを基に解析プログラム(クォーター カーシミュレーション)を実行してIRIを算出する。

測定は 80km/h までの任意の速度で行うことが可能で

あり、既往の平坦性評価方法(3m プロフィルメーター 測定等)実施時に必要であった、交通規制は一切不要で ある。また、算出したIRIは、25㎝、100m、200mの中 から任意の間隔で、帳票及びグラフ形式で出力される。

なお、測定に用いる管理用車両は、測定時の安全性等 を考慮してオーバーフェンダーを取り付けており、新た に車検を取得している。

2.2 測定原理

本測定機の測定原理は、3 個の車輪の位置関係から構 成される連結角θ(χ)を 20 ㎜移動毎に連続測定するこ とで、各車輪と路面との接点 P1~P3 の高さyを連結角 θ(χ)から逆変換して算出する間接測定法である。(図- 2) 本測定機の特徴は、中央部の車輪に管理用車両の後 輪タイヤを兼用している点であり、車両の高性能サスペ ンションが前後の測定機車輪と路面とを定常接触させる ことにより、高い測定精度が確保される構造となってい る。

3.路面性状測定車(現行法)との比較測定

本格的な導入に先立ち、現行の測定方法である、路面 性状測定車によるIRIとの整合性を確認するため、同一 時期・区間における比較測定を実施した。比較測定の区 間は、道央自動車道 奈井江砂川 IC~滝川 IC 間、和寒

IC~士別剣淵 IC 間の上下線(合計 54km)であり、測定

車線は走行車線とした。

両測定方法による IRIをみると、その値は概ね一致し ており、特に、局部的に値が大きい箇所の整合がとれて いることから、良好な関係が確認できる。(図-3) また、

R=0.8273 と高い相関関係がみられることから、各々の

測定方法によるIRIを同等に扱うことが可能であり、両 測定方法を併用した路面管理の実施にも問題のないこと が確認できた。(図-4)

IRI(m/km or ㎜/m) body

suspension damper

tire axle

profile 2 軸 4 輪の車輌の 1 輪だけを取り出した仮 想車輌モデルをクォーターカーと呼ぶ クォー ター カー を一 定 の速度 で路 面(プ ロ ファイ ル)上 を走 行さ せたと きの 上下 方向 の変位の累積値と走行距離の比(m/km 又は

㎜/m)をその路面の IRI と定義する

図-1 クォーターカーモデル

θ(χ)

χ y(χ)

L2 L1

y(χk-L2) y(χk) y(χk+L1)

θ(χk)=y(χk+L1)-y(χk) y(χk)-y(χk-L2)

L1 L2 20㎜毎に測定

χk: k[㎝]

θ(0),θ(1),・・・,θ(N) y(-L2),・・・,y(N+L1) 逆変換

一次変換

測定値 推定値

P2 P1 P3

図-2 簡易IRI測定機の測定原理

写真-1 簡易IRI測定機

キーワード 舗装、IRI、路面評価、維持・修繕

連絡先 東日本高速道路(株) 北海道支社 技術部 技術企画課 TEL 011-896-5367

5-134 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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4.平成 19 年度の測定結果

上記を踏まえ、平成19年10月より簡易IRI測定機を 本格導入し、高速道路本線での測定を開始した。現在ま でに、北海道支社管内における全路線の測定を完了して おり、結果の一部を以下に示す。

図-5 は、平成 19 年 10 月に開通した、道東自動車道 トマムIC~十勝清水 IC間の結果である。同区間は開通 して間もない区間であるため、全般的に値が小さく、良 好な平坦性となっている。なお、図中の a、b で示す箇 所は橋梁ジョイント部であり、路面との段差の影響によ り、局部的に値が突出していることが分かる。

図-6は、道央自動車道 千歳IC~苫小牧西 IC間の結 果である。同区間の結果をみると、図中のcで示す、平 成 19 年度に切削オーバーレイ工による舗装補修を行っ た箇所で値が小さく、良好な平坦性となっている。逆に、

図中のd、eで示す箇所は、前回補修より7~8年経過し ていることもあって、補修目標値 3.5m/km に近い値と なっており、近々に補修の要否を判断する必要がある。

このように、測定結果からは、視覚的にも容易に現況 の路面状況を把握することができ、補修計画の立案など 様々な活用方法が期待できる。

5.今後の活用方法

本測定機の導入により、従来の路面性状測定車による 3年に1回の測定(測定を実施しない年は予測値で対応) から、測定したいタイミングにいつでも最新の IRIを把 握することが可能となる。この最大の利点を踏まえ、本 測定機を用いた路面管理手法として検討している、今後 の具体的な活用方法を以下に示す。

① より精度の高い補修計画の立案が可能となり、補修 箇所の選定根拠、アカウンタビリティの向上に寄与

② 橋梁ジョイント部等の段差箇所や、冬期間の凍上現 象による変状箇所(写真-2)の抽出及び定量評価

③ 舗装工事の出来型評価の一環としてIRI測定を実施

①は、従来の予測値をまじえた立案から、実測値によ る精度の高い立案が可能となる。②は、冬期間という限 定された時期に発生する凍上現象による変状を、タイム リーに把握することが可能となり、対策工法の選定等に も貢献できる。③は、従来の 8m又は 3mプロフィルメ ーター測定による評価に加え、より乗り心地に近い平坦 性評価により、舗装工事の出来型を評価することが可能 となる。

6.おわりに

北海道の高速道路における舗装路面は、積雪寒冷地特 有の冬期気象条件や雪氷作業状況などにより、全国的に も特異で厳しい環境下にある。しかし、今回の簡易 IRI 測定機を活用した路面管理手法の導入等、北海道支社独 自の路面管理への取り組みにより、安全で快適な路面環 境を長きに渡り提供していくことが可能になると考える。

最後に、簡易IRI測定機の導入にあたり御協力を頂い た、北海道工業大学 工学部 社会基盤工学科 亀山修一 教授、サーフテクノ・ラボ 福原敏彦氏に深く感謝の意 を表す次第である。

-参考文献-

・福原敏彦、亀山修一、佐藤壽芳:IRI を用いた廉価 な道路維持管理手法の為の測定器開発、第 27 回日本 道路会議、№20068、2007.

・月本国春、秋田学:北海道の高速道路における簡易 IRI 測定機を用いた路面管理手法検討、平成 19 年度 年次技術研究発表会、(社)土木学会北海道支部

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

E 103.0 E 104.2

E 105.4 E 106.6

E 107.8 E 109.0

E 110.2 E 111.4

E 112.6 E 113.8

E 115.0 E 116.2

E 117.4 E 118.6

E 119.8 E 121.0

E 122.2 E 123.4 KP

IRI(m/km)

トマムIC~十勝清水IC(上)

補修目標値

トマムIC 十勝清水IC

a b

図-5 測定結果トマムIC~十勝清水IC間(上り)

y = 0.9157x - 0.0223 R = 0.8273

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

簡易IRI測定機 IRI(m/km)

路面性状測定車 IRI(m/km)

図-4 簡易IRI測定機と路面性状測定車の関係 図-3 比較測定結果

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

N 170.0 N 168.8

N 167.6 N 166

.4 N 165.2

N 164.0 N 162.8

N 161.6 N 160.4

N 159.2 N 158

.0 N 156.8

N 7 9.1

N 7 7.9

N 76.7 N 7

5.5 N 7

4.3 N 7

3.1 N 7

1.9 N 7

0.7 N 6

9.5 N 6

8.3

KP

IRI(m/km)

路面性状測定車 簡易IRI測定機

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

35.3 36.5

37.7 38.9

40.1 41.3

42.5 43.7

44.9 46.1

47.3 48.5

49.7 50.9

52.1 53.3

54.5 55.7

56.9 58.1

59.3 60.5

61.7 62.9

KP

IRI(m/km)

千歳IC~苫小牧西IC(下)

千歳IC 苫小牧西IC

補修目標値

c

d e

図-6 測定結果千歳IC~苫小牧西IC間(下り)

写真-2 凍上現象による変状(不陸)発生状況

5-134 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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