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北海道教育大学旭川校学生のジェンダー観と男女平等に関する被授業体験の意味(その1)

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Academic year: 2021

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(1)Title. 北海道教育大学旭川校学生のジェンダー観と男女平等に関する被授業体 験の意味(その1). Author(s). 内島, 貞雄; 小林, 純子. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 55(1): 107-120. Issue Date. 2004-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/335. Rights. 本文ファイルはNIIから提供されたものである。. Hokkaido University of Education.

(2) 平成16年9月. 北海道教育大学紀要(教育科学編)第55巻 第1号. JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.55,No・1. September,2004. 北海道教育大学旭川枚学生のジェンダー観と男女平等に関する 被授業体験の意味(その1) 内島 貞雄・小林 純子 北海道教育大学旭川校幼児教育学教室. はじめに. 今日の日本における男女平等の現状やこれまでの調査・研究の結果から,特に学校・家庭に率いて固定的 なジェンダー観が再生産されていると言えよう.こうした状況から学校教育の場におけるジェンダーの問題. に目を向け,この先子どもの教育に携わることになる教育大学の学生たちの意識を明らかにすることに意味 があると考えた.本研究では,学校教育の場におけるジェンダー問題を中心として,現在教師を日野してい る大学生がいろいろな場面における男女平等の実態をどの程度認識しているのか,各人のジェンダー意識は. どのように形成されてきたのか,また,これまでに男女平等に関する授業を受けた経験がジェンダー意識の 形成にどの程度影響するのか等の実態を明らかにすることを目的に以下の調査を実施した.. Ⅰ 研究の方法 1.調査内容. アンケート調査の内容は,田中健慈が旭川市内の高校生を対象に2000年に行った調査項目をもとに,高校 生と大学生の違いを考慮し,旭川市が市民を対象に行った調査項目も取り入れ,政治の場や職場での男女平 等についての認識などの項目も設けた.また,男女平等に関する授業を受けた経験や,現在学校現場で実際 に行われている取り組みについての設問も取り入れた.具体的な経験や意見を開けるよう自由に記述できる 欄を多く設けた.質問項目は28間である.記入は無記名で行った.. 質問事項の大きな柱は,男女平等についての認識,家庭・学校における実態やそれらについてのとらえ方, 「女らしさ,男らしさ」についての考え方,結婚や就労についてのビジョン,そして学校教育におけるジェ ンダーについての考え方である.. 2.調査の対象と実施. 調査の対象は,北海道教育大学旭川校の学校数育教員養成課程と養護教諭養成課程の学生とした.アンケー ト調査用紙の配布,回収ともに各専攻のゼミを通じて行った.前もってゼミの代表者に調査用紙を渡してお き,毎週金曜日に行われているゼミ活動の時間を利用して配布・回答してもらった.依頼は10月初旬に行い, 回答期間を2週間として,10月中旬に各ゼミの都合にあわせて実施,回収してもらった.ただし,音楽と美 術を専攻している学生には調査用紙の配布ができなかった. 調査対象者の学年と専攻について表1,2に示した.. 107.

(3) 内島 貞雄・小林 純子. 表1学 年. 人(%). 1 年. 2 年. 3 年. 4 年. 女子学生. 70(30.2). 66(28.4). 57(24.6). 39(16.8). 232(100.0). 男子学生. 32(31.7). 36(35.6). 14(13.9). 20(18.8). 102(100.0). 10畠(30.5). 71(21.3). 59(17.7). 334(100.0). 102(30.5). 合計. 表2 専. 合 計. 攻. 幼児 教育. 技術. 女子(人) 23 17 23 %) 男子(人) 4. (%). 9.9. 9. 7.3 5. −3.・9. 13 4.9. 合計(人) 27 22 36. 9.9 0. 12.7 9. 24 3.9. 21. 8. 1b.3. 3.4. 10. 9. 0.0. 8.8. 33 19 31. 10.8. 12. 5. 9.1 6. 2.2. 24. 9.8. 5.9. 教諭. 3. 4.7. 2. 7. 23.6. 67 232. 9. 5.2. 1.3. 6.9. 35 14 10 17 70 334. 回答者の男女比は圧倒的に女子の方が多く,女子の方が日頃から「男女平等」という問題について関心を 持っているのセはないかと推察される.全体として対象学生総数約600人の半数以上の協力を得ることがで きた.. 3.分析の視点 今回の調査によって得られた資料を,次のような視点で分析する.. ① 教員を目指している学生が日頃からどの程度ジェンダーについて考えているのか,また,学校,家庭, 政治の場,職場などの男女平等の実態についてどのように認識しているのかを見ていく.. ② 大学生が成長過程においてどのようにジェンダーに関する意識を形成してきたのかを,学校,家庭,社 会におけるこれまでの経験から見ていき,考察する.. ③ 大学生のジェンダーに関する意識が高校生と比べてどのように変化しているのかを見るため,基本的な 認識や「女らしさ,男らしさ」の意識の項目について,田中健慈の調査結果との比較をする. ④ 男女平等に関する授業を受けた経験が,ジェンダーへの関心や,各分野における男女平等の認識と関連 しているかどうかを見ていく.. ⑤ すべての項目について,男女でどの程度の意識の差があるのかを見ていく. ⑥ 自由記述欄の内容をいくつかに分類して考察する.. Ⅰ 結果と考察. 1.男女平等についての認識 ① 「ジェンダー」という言葉への関心. まず始めに,「ジェンダー」という言葉について簡単に説明した上で,学生がどの程度知っていたか聞い. てみた.結界は表3の通りである.「ジェンダー」という言葉について「聞いたことがあり意味も知っていた」 と答えた学生は,女子76.2%,男子64.7%であった.また,「聞いたことはあるが意味までは知らなかった」. 108. 28.9. 10. 3. 8. ・2.0. 3.9. 7.8. 2.9. 100.0.

(4) 北海道教育大学旭川枚学生のジェンダー観と男女平等に関する被授業体験の意味(その1). は,女子17.7%,男子25.5%であり,「意味も知っていた」と回答した学生と合わせると女子93.9%,男子90.2% となる.学生たちは「ジェンダー」という言葉を耳にする機会は多いが,正確に理解していない場合もある と思われる. 表3「ジェンダー」という言葉を知っているか 意味も知っていた. 女子学生. 意味を間遠って. 認識していた. 177(76.2) 66(64..7). 男子学生 合計. 意味までは 知らなかった. 243(72.8). 人(%. 知ら考かった. 41(17.7). 2(0.9ト. 12(5‘.2). 26(25.5). 3(2.9). 7(6.9). 67(20.0). 5(1.5). 19(5.け. ② 男女平等に向けての政府の施策への関心. 次に,1997年に国会で制定された「男女共同参画社会基本法」について学生たちがどの程度知っているの か聞いてみた.結果は表4の逼りである.「聞いたことがあり内容も知っていた」は,女子30.6%,男子22.5% であり,「ジェンダー」という言葉への認識と比較すると低くなっている.「知らなかった」と回答した学生. も女子30.6%,男子学生にいたっては44.2%と4割を超えており,「ジェンダー」の認識と比べると,政策 に対する認識はまだまだ低いことがうかがわれる. 表4「男女共同参画社会基本法」について知っているか 内容も知っていた. 内容までは. 内容を間違って 認識しでい. 知らなかった. 人(%). 知らなかった た. 女子学生. 71(30.6). 83(35.8). 7(3.0). 71(30.6). 男子学生. 23(22.5). 31(30.4). 3(2.9). 45(44.2). 94(28.4). 114(34.0). 10(3.0). 116(34.6). 合計. また,田中が高校生に対して行った調査結果では男女差はほぼ見られないが,「知っていて内容もだいた いわかる」と答えた生徒は全体で4.5%であり,「知っているが内容はわからない」と答えた生徒の15.2%と 合わせても高校生では19.7%しかおらず,大学生の65.4%という結果と比較すると差が顕著にあらわれてい る.. (卦 男女平等への関心. 次に,学生たちが「男女平等」についてどの程度考えたことがあるのかを聞いてみた.結果は表5の通り である.女子学生の方が男女平等について考える機会が多いのではないかと予想していたが,男女平等につ いて考えたことが「ある」と答えた学生は,女子57.8%,男子59.8%であり,男女差はほぼ見られなかった. 全体として,関心はそう高いとは言えない. 表5 男女平等について考えたことがあるか 人(%). あ る. な い. 女子学生. 134(57.8). 98(42.2). 男子学生. 61(59.8). 41(40.2). 195(58.2). 140(41.8). 合計. 109.

(5) 内島 貞雄・小林 純子. さらに,「ある」と答えた学生については,考えるきっかけとなったものは何かを聞いた.結果は表6の 通りである.男女ともに多かったのは「授業の中で」「テレビを見ていて」「新開や本で」の項目で,特に「授. 業の中で」が最も多く,女子は58.3%で6割近くおり,男子も44.3%,全体で見ても53.3%と,学枚の授業 が考えるきっかけになっていることがわかる.きっかけの内容についての自由記述の欄には,男女平等につ いて調べ討論をした,社会科などで制度について勉強したときに考えた,男女の賃金の差について学んだ, という記述が見られ,男女平等に意識的な授業が行われていることがうかがわれる.. 同様に,「テレビを見ていて」「新聞や本で」と答えた学生の回答には,女性の就職難や労働条件の違い, 産休や育児休暇について取りあげられているのを見た,という記述が多かった.「家族との関わりの中で」「友 達との関わりの中で」と答えた学生は男女とも10%前後と少なかったが,家族や友達との会話の中で家事の 分担や労働条件の差などの問題が出てきて,そのときに自分で考えたり話し合ったりしている. 「その他」は,女子16.7%,男子13.1%であるが,その内容については,大学入試の小論文対策で考えた,. 講演会を聴きに行って,自分でなんとなく考えた,という回答が見られ,女子学生では,バイト先で男女の 扱いの差を感じた,将来のことや進路について考えたとき,という回答が目立った.性別による扱いの差に. 不満を感じたり,将来の就職に対して不安に思ったりするのは女子に多いことがうかがえる.一方で,男子 学生の回答の中には,映画館などでレディースデーがある,(男女平等の問題に対して)男は考えなさすぎ だが女は敏感になりすぎである,という記述が見られ,女性が守られる社会に不満を感じている人もいるこ とがわかった.. 表6 「男女平等」について考えたきっかけ(複数回答) 授業の中で. テレビを. 見ていて. 家族との 問わりの中で. 友達との. 新聞や本で. その他. 問わりの中で. 女子学生 77(58.3). 41(31.1). 13(9.8). 11(8.3). 40(30.3). 22(16.7). 男子学生 27(44.3). 24(39.3). 5(8.2). lO(16.4). 23(37.7). 8(13.1). 65(33.7). 18(9.3). 21(10.9). 63(32.6). 30(15.5). 合計. 104(53.9). 田中の調査結果では,高校生は,男女平等について考えたことが「ある」と答えた生徒が女子36.3%,男 子14.2%と,男女の間で大きな差が見られた.間4の「考えるきっかけとなったもの」については,高枚生. では「授業の中で」が女子54.5%,男子45.0%,「テレビを見ていて」が女子52.8%,男子45.0%と,こゐ 2項目に回答した生徒の割合が高い.「新聞や本で」と回答した生徒は女子17.1%,男子15.0%とそれほど 多くなく,大学生になると新聞や本で取りあげられている内容について関心をもつ度合いが高くなることが うかがえる.. ④ 男女平等についての認識 大学生は現在の学校や家庭,社会はどのくらい平等だと考えているのだろうか.「学校」「家庭」「政治の場」 「社会通念・習慣・しきたり」「法律や制度」「職場」の6つの分野について質問をした. まず,「学校」における男女平等の認識についての結果は表7−1の通りである.「平等」と答えた学生は, 女子78.8%,男子78.0%と最も多くなっている.男女ともに8割近くの学生が学校を平等な場であると考え ていることがわかる.全体としては,女性皐りも男性が優遇されていると考える学生が多い. 学校において「どちらかが優遇されている」と回答した学生には,具体的にどのようなところが平等でな いと思うのか記述してもらった.女子学生では,男性教師の数が多い,出席簿は男子が先,委員長は男子で ある,教師は女生徒に甘い,などがあげられている.それに対し,男子学生では,男性教師が多い,出席簿. 110.

(6) 北海道教育大学旭川枚学生のジェンダー観と男女平等に関する被授業体験の意味(その1). は男子が先,男の立場が弱い,つらい仕事や活動などは男子がやらされる,先生は女子にやさしい,などの 記述が見られた.. 表7−1「学校」は平等だと思うか 男性の方が優 どちらかとい 平. 等 どちらかとい 女性の方が優 わからない. 過されている えば男性が優. えば女性が優. 過されている. 女子学生 6(2,6) 男子学生 2(2.0) 8(2.4). 合計. 27(11.7). 9(9.0) 36(10.8). 人(%). 過されている 182(78二8). 4(1.7). 0・(. 78(78.0). 7(7.0). 0(0・). 260(78.4). 11(3.3). 0(0.0). 12(5.皇) 4(4.0) 16(5.1). 次に「家庭」における男女平等の認識について見ていく.結果は表7−2の通りである.「平等」と答え た学生が最も多く,女子38.1%,男子44.7%であるが,「学校」が平等であると答えた学生の割合に比べる と大きく減少している.「男性の方が優遇されている」と「どちらかといえば男性の方が優遇されている」 を合わせた回答は,女子が4臥5%で約半数,男子が41.5%であり,「学校」に比べると大きく増加している. 家庭において「どちらかが優遇されている」と回答した学生の記述を見てみると,女子学生では,父親の 発言力が強い,亭主関白である,家事をやるのは女性ばかり,「男だから」「女だから」と言われる,家事を するのは母親なので母親の権力が強い,などがあげられていた.一方男子学生では,父親の権力が強い,収 入源が父親だから,「男は仕事,女は家庭」というイメージがある,共働きでも女性が家事をする,女性に 子育てを任せる傾向がある,男にはいろいろ手伝いをさせる,亭主関白である,家事をするのは女性,など の記述が見られた.. 表7−2「家庭」は平等だと思うか. 等 どちらかとい 女性の方が優 わからない. 男性の方が優 どちらかとい 平. 過されてし、る えば男性が優. えば女性が優. 過されている. 女子学生 20(8.7) 男子学生 合計. 人(%). 過されている. 92(39.8). 88(38.1). 12(5.2). 1(0.4). 18(7.8). 6(5.9). 36(35.6). 45(44.7). 7(6.9). q(0.0). 7(6.9). 26(8.1). 128(38.4). 133(40.0). 19(5.7). 1(0.3). 25(7.5). 「政治の場」における男女平等の認識についての結果は,表7−3の通りである.最も多かったのは「男 性の方が優遇されている」で,女子51.6%,男子46.5%であり,「どちらかといえば男性の方が優遇されて いる」と答えた学生と合わせると,女子90.1%,男子80.2%となり,男女ともに非常に高い結果となってい る.男子学生に比べて,女子学生の方がより不平等だと感じていることも読みとれる. 政治の場において「どちらかが優遇されている」と回答した学生の記述では,女子学生では,男性議員が. 圧倒的に多い,h男性議員の発言力が強い,首相が男性ばかりである,女性批判ととれる発言が多い,女性の 政治家が大きく取りあげられるのは女性政治家がめずらしい証拠,女性が前に出てくるとたたかれる,政治 家は女性でも強い,などがあった.男子学生では,首相が男性ばかりである,男性議員が多い,女性が出に くい雰囲気がある,という記述が見られた.. 111.

(7) 内島 貞雄・小林 純子. 表7−3 「政治の場」は平等だと思うか 等 どちらかとい 女性の方が優 わからない. 男性の方が優 どちらかとい 平. 過されている えば男性が優. えば女性が優. 廻されている. 過されている. 女子学生 119(51.6). 89(38.5). 12(5.2). 1(0.4). 0(0.0). 10(4.3). 男子学生 47(46.5). 34(33.7). 14(13.9). 0(0.0). 0(0.0). 6(5.9). 123(37.2). 26(7.8). 1(0.3). 0(0・?). 16(4.8). 合計. 166(49.9). 次に,「社会通念・習慣・しきたり」における男女平等の認識を見ていく.結果は表7−4の通りである. 最も多かったのは「どちらかといえば男性の方が優遇されている」で,女子47.0%,男子43.1%で男女とも. 4割を超えており,「男性の方が優遇されている」と答えた学生と合わせると,女子79.8%,男子71.5%と なり,「政治の場」と同様に「男性が優遇されている」と感じている学生が多いことがわかる. 社会通念・習慣・しきたりにおいて「どちらかが優遇されている」と回答した学生の記述を見ると,女子 学生では,男尊女卑の意識が残っている,何となく,昔からのしきたりには男性優位のものが多い,祭りや. 葬儀などを中心になって進めるのは男性だから,女性は土俵に上がれない,何をするにも男性が先という気 がする,男性の浮気より女性の浮気の方が話題になる,女性誌に子育てや料理の特集が多い,女性は結婚し たら仕事を辞めるべきだと言われる,などがあった.男子学生では,女性は土俵に上がれない,男尊女卑が 見てとれる,女性は家庭に入るという意識がある,嫁入り修行がある,女性がタバコを吸うとよく思われな い,レディースデーなどのサービスがあるのは男性優位の証である,昔から男性優位の習慣がある,といっ たことがあげられていた.. 表7−4 「社会通念・習慣・しきたり」は平等だと思うか. 等 どちらかとい 女性の方が優 わからない. 男性の方が優 どちらかとい 平 過されている えば男性が優. えば女性が優. 過されている. 過されている. 女子学生 76(32.8). 109(47.0). 26(11.2). 1(0.4). 0(0.0). 20(8.6). 男子学生 2p(28.4). 44(箪.1). 21(20.6). 2(2.0). 0(0.0). 6(5.9). 153(46.0). 47(14.0). 3(0.9). 0(0.0). 26(7.8). 合計. 105(31.3). 「法律や制度」における男女平等の認識についての結果は,表7−5の通りである.最も多かったのは「平. 等」で,女子52.0%,男子51.5%と男女とも半数を超えている.しかし,「男性の方が優遇されている」「ど ちらかといえば男性が優遇されている」を合わせると,女子79.8%,男子71.5%である. 法律や制度において「どちらかが優遇されている」と回答した学生の記述は,女子学生では,女性を守る. 法律が多い,再婚までの期間に差がある,天皇が男性,結婚したら姓が変わる,離婚時の財産分与に差があ る,ニュースを見ていると女性は泣き寝入りするしかないと感じた,「男女共同参画社会基本法」ができる こと自体が差があるということだと思う,平等のための法律ができてきているがまだまだ不十分である,な どの回答が見られた.それに対して男子学生では,法律に使われている言葉が男性中心のものが多い(例: 少年⇔女子少年),結婚すると姓が変わる,女性を守るものが多い,法で平等をうたっているということは 今は平等でないということだと思う,結婚できる年齢に男女で差がある,問題が出てきてから法律を改正す ることが多く打つ手が遅い,制度は平等でも現実は違う,改善されてきているがまだ不十分,女性側の意見 ばかり取り入れたものが多い,といった記述が見られた.. 112.

(8) 北海道教育大学旭川校学生のジェンダー観と男女平等に関する被授業体験の意味(その1). 表7−5「法律や制度」は平等だと思うか 等 どちらかとい 女性の方が優 わからない. 男性の方が優 どちらかとい 平. えば女性が優. 過されている えば男性が優. 過されている. 合計. 過されている. 62(26J8). 120(52.0ト. 6(2.6). 1(0.4). 5(5.0). 26(25.7). 52(51.5). 8(・9). 2(2.0). 8(7.9). 24(7.2). 88(26.4). 172(51.7). 14(4.2). 鋸0.9). 31し9.6). 女子学生 19(8.2) 男子学生. 人(%). 23(10.0). 最後に,「職場」における男女平等の認識について見ていく.結果は表7−6に示した.ここでも「どち らかといえば男性の方が優遇されている」と答えた学生が最も多く,女子52.1%,男子46.1%であり,次い で多い「男性の方が優遇されている」と答えた学生と合わせると,女子84.0%,男子69.6%となる.男女の 間で多少の意識の差がうかがえ,女子学生の方が不平等だと感じていることがわかる.. 職場において「どちらかが優遇されている」と回答した学生の記述は,女子学生では,女性はお茶くみや 雑用というイメージがある,改善されてきてはいるがまだ男性優位だと思う,女性は採用されにくい,男女 で賃金に差がある,女性が出世すると話題になる,生理休暇がある,管理職は男性ばかりである,セクハラ がある,出産後の職場復帰が困難である,などがあげられていた.一方男子学生では,賃金に差がある,出 世する?は男性である,セクハラがある,育児休暇などがまだ十分でない,女性が働きにくい職場がある, 女性は「女だから」という目で見られる,働いている人数が男性の方が多い,お茶くみ・コピーは女性とい うイメージがある,同じ能力なのに男性が優遇される,セクハラなど女性の訴えがすぐ取りあげられる,男 女平等だと言って過度に女性を守りすぎている,などの記述があった. 表7−6「職場」は男女平等だと思うか. 人(%). 等 どちらかとい 女性の方が優 わからない. 男性の方が優 どちらかとい 平. えば女性が優. 過されている えば男性が優. 過されている. 過されている. 女子学生 74(31.9). 121(52.1). 18(7.8). 3(1.3). 0(.0). 16(6.9). 男子学生 24(23.5). 47(46.1). 17(16.7). 3(2.9). 1(1.0). 10(9.8). 169(50.4). 35(10.4). 6(1.8). 1(0.3). 26(7.8). 合計. 98(29.3). 2.家庭教育の実態と性別役割分業意識 ここでは,学生が成長過程において,どのような家庭教育のなかでどのような性別役割分業意識を身につ けてきたのかについて考察していく.. ① 家嘩で注意されること まず,学生たちが家庭で家の人によく注意されたことを全てあげてもらった.結果は表8の通りである・. 113.

(9) 内島貞雄・小林純子. 表8 家の人によく注意されること(複数回答) 言菓使い. 勉強に. 生活態度. ついて. 家事を. 友達との. 人(%). 異性との. 帰宅時間. そ他. すること 付き合い方 付き合い方. 女性学生 173(77.9). 48(21.6). 76(34.2). 20(9.0). 42(18.9). 92(41.4). 5(2.3). 男子学生 52(57.8). 36(40.0). 21(23.3). 16(17.8). 11(12.2). 25(27.8). 7(7.8). 84(26.9). 97(31.1). 36(11.5). 53(17.0). 117(37.5). 12(3.8). 合計. 225(72.、1). 「言葉づかい・生活態度」について注意されたと回答した学生は全体で72.1%であり,男女とも高い割合 になっているが,女子77.9%,男子57.8%であり,女子の方が多く注意されてきたことがわかる.「勉強に ついて」は,女子21.6%,男子40.0%と男子が高く,逆に「家事をすること」は,女子学生が34.2%,男子 学生が23.3%と,女子の方が家事をすることを求められている. 「友達との付き合い方」と「異性との付き合い方」も対照的で,「友達との付き合い方」を注意された学 生は女子9.0%と低い結果であるのに対して男子17.8%,「異性との付き合い方」では女子18.9%に対して男 子は12.2%と若干低めである.それほど大きな差ではないものの,「友達との付き合い方」について多く注 意されるのは男子,「異性との付き合い方」について多く注意されるのは女子である.「帰宅時間」について 注意されたのは,女子41.4%,男子27.8%であり,女子の方がより厳しく注意されていることがうかがえる. 「その他」の回答の内容を見てみると,女子学生では,社会的ルール,部屋の整頓,食事の仕方,人に迷 惑をかけないようにしなさい,などがあげられていた.男子学生では,部屋の整頓,服装・頭髪,疎濯もの, 部活について,といった回答があった.. ② 異性の兄弟柿妹が家庭で注意されること. さらに,異性の兄弟姉妹がいる学生に対して,異性の兄弟姉妹が家庭で家の人によく注意されることにつ いて聞いてみた.結果は表9の通りである.異性の兄弟姉妹がいる学生のみに回答してもらっているため,. 表9の%の母数は,女子学生は113,男子学生は52,全体では165人である. 表9 異性の兄弟姉妹が家の人によく注意されること(複数回答) 言葉使い. 勉強に. 生活態度. ついて. 家事を. 友達との. 異性との. 帰宅時間. そ他. すること 付き合い方 付き合い方. 女性学生 63(55.8). 40(35.4). 22(19.5). 11(9.7). lo(8.8). 26(23.0). 6(5.3). 男子学生 24(46.2). 17(32.7). 15(28.8). 8(15.4). 6(11.5). 17(32.7). 3(5.8). 57(34,5). 37(22.4). 19(11.5). 16(9.7). 43(26.1). 9(5.5). 合計. 87(52.7). ここでも,「言葉づかい・生活態度」と答えた学生が最も多い.前の質問の表8と比較してみると,男子 学生が57.8%,女子学生から見た男のきょうだいが55.8%と差は見られず,男子学生が自分で感じている度 合いと,女子学生の目から見て男性が注意されていると感じる度合いがほぼ同じである.これに対し女子学 生は77.9%,男子学生から見た女のきょうだいは46.2%と30%以上の大きな開きがある.表8と表9の男子. 学生の欄に注目すると,自分が注意されると答えた男子学生は57.8%,女のきょうだいの方が注意されると 答えた男子学生は46.2%であり,男子学生は女のきょうだいよりも自分の方が「言葉づかい・生活態度」に ついてよく注意されると感じていることがわかる.これらのことから,女子学生が自分でよく注意されると 感じる度合いと,男子学生から見た女性が注意されていると感じる度合いに大きな食い違いがあると言える.. 「勉強について」の表8と表9の女子学生の欄を見てみると,自分が21.6%,男のきょうだいが35.4%で,. 114.

(10) 北海道教育大学旭川夜学生のジェンダー観と男女平等に関する被授業体験の意味(その1). 女子学生は自分よりも男のきょうだいの方が「勉強について」注意されると感、じていることがわかる・男子 学生を見てみると,自分が40.0%,女のきょうだいが32.7%で,自分の方がよく注意されると感じているこ とがわかる.また,男子学生から見た女のきょうだいについては32.7%となっており,女子学生が自分で感 じる21.6%より10%ほど高いことや,女子学生から見た男のきょうだいの35.4%より男子学生が自分で感じ る方が40.0%と高いことから,女子学生よりも男子学生の方が「勉強について」注意されることに敏感であ ると考えられる.. 「家事をすること」では,女子学生は自分が34.2%であるのに対し男のきょうだいが19・5%であり,自分 の方がよく注意されると感じている.男子学生峠自分が23.3%,女のきょうだいは28.8%となっており,そ の差が小さい.. 「友達との付き合い方」については自分も異性の兄弟姉妹も注意される頻度は変わらないと感じている学. 生が多い.ただ,自分がよく注意されると答えた学生は女子9.0%,男子17.8%,異性の兄弟姉妹がよく注 意されていると答えた学生は女子9.7%,男子15.4%と,′回答に男女の間で開きが見られる. 「異性との付き合い方」については,男子学生は自分が12.2%,女のきょうだいが11.5%と差が見られな いのに対し,女子学生は自分が18.9%,男のきょうだいが8.8%と10%程度の開きが見られる・女子学生は, 「異性との付き合い方」について,男のきょうだいよりも自分の方がよく注意されると感じている・ 「帰宅時間」では,女子学生は自分が41.4%であるのに対して男のきょうだいは23・0%であり,20%近い はっきりとした差があらわれており,男のきょう・だいよりも自分の方がよく注意されると感じている・男子 学生は自分が27.8%,女のきょうだいが32.7%と差が小さい.また,男子学生から見た女のきょうだいが注 意される度合いより,女子学生が自分がよく注意されると感じる度合いの方が10%ほど高く,男子学生が自 分がよく注意されると感じる度合いも,女子学生から見た男のきょうだいが注意される度合いより高めなこ とから,男女とも自分が「帰宅時間」について注意されることに敏感なようである・ ③ 家庭で「男だから,女だから」と言われた経験. 次に,家庭で「男の子だから,女の子だから00しなさい」と言われたことがあるかを聞いた結果は表10 の通りである.「よくある」と答えた学生は,女子学生が8.7%,男子学生が6.9%と,男女とも少数であるが, 「ときどきある」を合わせると,女子47.8%,男子18・8%となり,男女の間に大きな開きがある・女子学生 は,ほぼ半数が「女だから00しなさい」と言われた経験があることから,家庭では男子よりも女子のほう が,より強く性を意識して育てられていることがわかる.. また,「たくさんある」「ときどきある」と答えた学生には,具体的にどんなことを言われたのかについて. も書いてもらったところ,女子学生では,家事をしなさい,おとなしくしなさい,部屋をきれいにしなさい, あぐらをかくな,足を広げるな,夜に出歩いてはいけない,身だしなみに気をつけなさい,派手な服装をす るな,男性を家に上げてはいけない,けがをするな,男の子とサッカーしてはいけません,ピアノを習いな さい,などがあげられていた.男子学生では,男なんだから細かいことは気にするな,泣いてはいけない, 男らしくしなさい,力仕事をしなさい,といった記述が見られた.. このように,女子は家庭で家事ができること,言葉づかいや態度等を「女らしく」することが求められて いる.また,男子も力仕事を要求されたり,泣いてはいけないと言われるなど,家庭で「男らしく」するこ とが求められている.. 115.

(11) 内島 貞雄・小林 純子. 表10 家庭で「男だから、女だから」と言われたこと たくさんある. ときどきあ争. 女子学生. 2(8.7). 90(39.1). 120(52.2). 男子学生. 7(6.9). 12(11.9). 82(81.2). 27(8.1). 102(30.7). 202(61.2). 合計. あまりない. ④ 本人と両親の性別役割分業に対する考え方. 大学生は,「男は仕事,女は家庭」という性別役割分業についてどう考えているのだろうか.また,両親 の性別役割分業に対する考え方が本人の考え方に影響しているのかどうかを見るため,両親の考え方につい ても問いてみた.. まず,大学生の考え方について見ていく.結果は表11−1の通りである.最も多かった回答は男女ともに 「改めるべきだ」であるが,女子69.3%に対して男子46.0%と,男女による意識の差がうかがえる.「積極. 的に賛成」と「やや賛成」の項目はともに男子学生の方が多く,合わせると女子21.6%,男子41.0%となり, 男子学生はいまだ性別役割分業を肯定的にとらえている人が多いと言える. 表11−1性別役割分業に対する考え方(本人) 積極的に賛成 女子学生 男子学生 合計. 6(2.6). やや賛成. 人(%). 改めるべきだ. その他. 44(19JO). 160(69.3). 21(9.1). 11(11.0). 30(30.0). 46(46.d). 13(13.0). 18(亭.−4). 74(22.3). 206(62.1). 34(10.2). 続いて,両親の考え方について見ていく.父親の考え方についての結果は表11−2の通りである.最も多 かったのが「やや賛成」という回答であり,女子35.9%,男子39.8%となっている.−「改めるべきだ」とい. う回答も女子30.8%,男子30.1%と,ともに3割を超えているが,「積極的に賛成」と「やや賛成」を合わ せると女子53.3%,男子57.9%になり,父親は性別役割分業を肯定的にとらえていることがわかる.この回 答においては,学生の男女差による違いは見られない. 母親の考え方についての結果は1ト3の通りセある.ここで最も多かったのは「改めるべきだ」という回. 答であるが,父親の結果とは違い,女子54.1%,男子44.2%と,学生の性別によって10%程度の開きがある. 「積極的に賛成」と「やや賛成」を合わせた回答でも,女子が32.2%であるのに対し男子学生は那.5%であ り,差が見られることから,同性である女子学生と母親は普段の会話の中で性別役割分業の是非について話. し合う機会が多く,それがこのような結果になってあらわれたのではないかと予想される. 表11−2 性別役割分業に対する考え方(父親) 積極的に賛成. やや賛成. 改めるべきだ. その他. 女子学生. 由(17.4). 70(35.9). 60(30.8). 31(15.9). 男子学生. 15(18.1). 33(39.8). 25(30.1). 10(12.0). 合計. 49(1ウ.6). 103(37.1). 85(30.6). 41(14.7). 116.

(12) 北海道教育大学旭川校学生のジェンダー観と男女平等に関する被授業体験の意味(その1). 表‖−3 性別役割分業に対する考え方(母親) 積極的に賛成 女手学生. 改めるべきだ. その他. 10(4.9). 56(27.3). 111(54.1). 9(10.5). 31(36.0). 38(44.2). 8(9.3). 19(6.5). 87(29.9). 149(51.2). 36(1’2.4). 男子学生 合計. やや賛成. 人(%). 28(13.7). さらに,父親と母親の考え方が違う場合,その家庭ではどちらの考え方が優先されているのかについても 聞いた.結果は表12の通りである.「父親」の考えが優先されているという回答が最も多く,女子は50.8%, 男子では73.4%と非常に高くなっている.男女の間で大きな開きがあるのは,前の間で母親と女子学生が普 段の会話の中で性別役割分業の是非について話し合う機会が多いのではないかと予想したのと同様に,男子 学生もまた同性である父親と「家長は男である」といったことについて話す機会が多いからではないかと考. えられる.「わからない」の割合が,女子36.9%,男子13.3%と男女で大きく差が出ていることからも,同 様のことが予想される.. また,どちらかの考えが優先されていると答えた学生には,なぜその考えが優先されているのかについて も書いてもらった.女子学生の回答では,収入源が父親だから,共働きだから,父が頑固だから,母が我慢 している,家のことは母が決めているから,などがあげられていた.一方男子学生では,父親が家長だから (父がいつも自分で言っている),父がえらい,収入源が父だから,共働きだから,といった記述が見られた. 表12 どちらの考えが優先されているか 父 親. 母 親. 人(%). わからない. 女子学生. 33(50.8). 8(12.3). 24(36.9). 男子学生. 11(73.4). 2(13.3). 2(13.3). 44(55.0). 10(12.5). 合計. 26(32.5). 3.「女らしさ,男らしさ」の意識と自分の性への考え方 次に,大学生が「女らしさ,男らしさ」と.いうことに対してどのような意識を持っているのか,また,固 定的な考えにどの程度影響されているのかを見ていく.さらに,自分の性をどのように認識しているのかに ついても見ていきたい.. ① 「女らしさ,男らしさ」の考え 現代の日本では「女らしさ」「男らしさ」というものに対しての固定的な考え方がいまだなくなってはい. ないが,こうした考えを改めていこうとする動きも出始めている.このようなことに対して,大学生はどの ように考えているのだろうか.. 結果は表13の通りである.「『女らしさ,男らしさ』にはこだわらずに,個人としてみるべきだ」という回 答が最も多く,女子60.2%,男子52.5%とどちらも半数を超えているが,男女で少し差が見られる.「『女ら しさ,男らしさ』という考え方は必要であり,大事にするべきだ」は,女子26.1%,男子36.4%であり,や はり男女の間で10%程度の開きがある.また,「その他」も女子では13.7%,男子は11..1%いる.その内容は, 時と場合による,個人の好きなようにするべきである,どちらの考え方も必要である,「男のくせに」「女の くせに」とさえ言わなければどちらでもよい,「女らしさ,男らしさ」も時には必要なので全てを否定する 必要はない,などである.このように,「その他」の回答には,二者択一ではない考え方が目立った.. 117.

(13) 内島 貞雄・小林 純子. 表13 「女らしさ、男らしさ」の考え方について. 必要であり,. こだわらずに. そ ゐ他. 大事にするべき 個人として見るべき 女子学生. 59(26.1). 136(60.2). 31(13.7). 男子学生. 36(36.4). 52(52.5). 11(11.1). 計. 95(29.1). 189(58.0). 42(12.9). ここで,田中の調査との比較を行ってみる.高校生でも「個人でみるべきだ」という回答が多く,女子が 67・8%,男子が55.2%となっている.大学生も「個人でみるべきだ」という回答が最も多いものの,高校生. に比べると多少減少している.「大事にするべきだ」と答えた生徒は,女子が21.9%,男子が35.7%であり, 大学生の女子で少し増えている.. ② 「女らしさ,男らしさ」の意識の形成 では,学生たちは他の人に対して「女らしい,男らしい」「女のくせに,男のくせに」と思ったり言った りすることがどの程度あるのだろうか.結果は表14の通りである. 表14 「女、男らしい」「女、男のくせに」と思ったり言ったりするか 人(%). よくある. 女子学生. 17(7.4). 男子学生. 6(6.1). 合計. 23(7.0). ときどきある. 102(44.3) 29(29.6). 131(39.8). あまりない. 111(48.3) 63(64.3). 175(53.2). 「ときどきある」と「よくある」を合わせると女子51.7%,男子35.7%となり,女子の方が高い.しかし, 表13に示した前の問では「『女らしさ,男らしさ』にはこだわらずに,個人でみるべきだ」と答えているの は女子60.2%,男子52.5%で,女子学生の方が「こだわらない」という結果であり,この間の結果との間に 矛盾が生じている.このことから,女子学生は「『女らしさ,男らしさ』にはこだわらない」という考えを. もちながらも,日常の生活や行動においては無意識のうちに「女らしさ,男らしさ」を気にしてしまうとい う矛盾を抱えている人が比較的多いと言えよう. 田中の調査を見ると,高校生では「よくある」「ときどきある」と答えた生徒は女子が58.9%,男子が23.1%. であり,高校生は大学生よりも男女の問で大きな差が出ている.大学生は高校生に比べ,女子は若干低くなっ ているが,男子では意識が強くなっている.. また,「よくある」「ときどきある」と答えた学生に対して,具体的にどのようなときに「女らしい,男ら しい」「女のくせに,男のくせに」と思ったり言ったりするのかについても書いてもらった.女子学生の記 述を見ると,気配りができると女性らしいと思う,「女らしい,男らしい」仕草をみたとき,料理が得意な. 女性は女らしい,責任感のある人をみると男女間わず「男らしい」と思う,男性がうじうじ,くよくよして いるとき,男性が優柔不断なとき,男性がちょっとしたことで泣くとき,定職に就かない男性に対して思う, 女性が乱暴な言葉づかいをしているとき,足を広げて座っている女性を見たとき,などがあげられていた. それに対して男子学生では,美しい女性を見たとき,家事をしていると女らしい,いつも笑顔でいる女の子 に対して,話し合いなどを中心になって進められると男らしい,女性が足を広げているとき,女性の言葉づ かいが乱暴なとき,女性がポケットティッシュをもっていないとき,男なのにうじうじしているのを見たと. 118.

(14) 北海道教育大学旭川校学生のジェンダー観と男女平等に関する被授業体験の意味(その1). き,男のくせに泣くなと/思う,男性が少しのけがで大げさに痛がるとき,という記述が見られた・. 次に,学生たちが「女らしさ,男らしさ」を意識して無理したり,我慢したりすることがどの程度あるか 質問した.結果は表15に示す. 表15 「女らしさ、男らしさ」を意識して無理したり、我慢したりすること 人(%). よくある. ときどきある. あまりない. 女子学生. 7(3.0). 50(21.7). 173(75.3). 男子学生. 4(4.0). 14(14.1). 81(81.9). 11(3.3). 64(19.4). 255(77.3). 合計. この質問では,「あまりない」が女子75.3%,男子81.9%と,圧倒的に多い.しかし,「よくある」と「と きどきある」を合わせると,女子24.7%,男子18.1%になり,わずかではあるが男女で差が見られた. 田中の調査結果との比較をすると,大学生と高校生とで大きな違いはない.具体的な内容の記述を見てみ ると,女子学生では,スカートをはいたときは足を広げないようにする,言葉づかいに気をつけている,目. 上の人や親戚の前で女らしく振る舞う,ダイエットをする,苦手なのに料理をする,好きな異性の前で女ら しくする,がつがつ食べない,男性が苦手なことをしてあげるとき,などがあげられていた.男子学生では,. 重いものをもつ,負けたくないので頑張る,つらいことでも我慢する,痛くても耐える,苦しくても走る, という記述が見られた. (以下次号). 参考文献 ・伊藤公雄 『ジェンダーで学ぶ社会学』. 世界思想社1998年. ・木村涼子 『学校文化とジェンダー』 勤草書房1999年 ・笹谷春美他 『「女」と「男」』 北海道教育大学公開講座委員会編1997年 ・鶴田敦子. ・船橋邦子 『ここが知りたい!そこが聞きたい!男女共同参画社会基本法』 ウイメンズブックストア桧香堂1999年 ・朴木佳緒瑠 『「ジェンダー文化と学習」理論と方法』 明治図書1996年 ・マイラ&デイヴイッド・サドカー 『「女の子」は学校でつくられる』 時事通信社1996年. ・総理府 「男女共同参画社会に関する世論調査」1995年 ・総理府 「男女平等に関する世論調査」1992年 ・東京女性財団 「ジェンダー. ・フリーな教育のために一女性問題研修プログラム開発報告書」1995年. ・旭川市 「男女共同参画に関する市民意識調査報告書」 2001年 ・日本弁護士連合会 「女・男らしくって窮屈じゃない?一弁護士の視点から見たジェンダー・フリー教育サブテキスト」 2000年. ・内島貞雄・河瀬好生 「児童生徒のジェンダー意識の実態と学校・家庭のかかわり(そのⅠ)−旭川市における小学4・6. 年生と中学2年生へのアンケート調査を通して−」『北海道教育大学紀要(教育科学編)』第50巻第1号1999年8月 ・内島貞雄・河瀬好生 「同上(そのⅡ)」 同第50巻第2号 軍000年2月 ・田中健慈 北海道教育大学旭川校幼児教育学科学士論文「高校生のジェンダー意識の諸層とその背景一旭川市における高. 校2年生へのアンケート調査を通して−」 2001年 ・岸澤初美 「学校教育過程におけるジェンダー形成の構造一大学生の回想記述をもとに−」 日本子ども社会学会編『子ど. も社会研究』2号1996年 ・西鉢容子「『女子』だけでいいのか?一学校の中の『男子』を視野に入れたジュンダ「研究の必要性−」 お茶の水女子. 119.

(15) 内島 貞雄・小林 純子 大学心理・教育研究会編『人間発達研究』22号1999年 ・加藤千恵「ジェンダー. ・バイアスの意識化とその変容一高等教育における試みと今後の課題−」『東京女学館短期大学. 紀要』24号 2001年. (内島 貞雄 本学旭川校教授). (小林 純子 学校法人御西学園 百華幼稚園,本学旭川校2004年3月卒業). 120.

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