香 川 大 学 法 学 部 学 生 の 家 族 ・ 婚 姻 等 に 関 す る 意 識 に つ い て
松 本 夕
︑ ミI はじめに
II 調査対象および方法
III 「婚姻」の意識調査の項目とアンケートの集計
w
集計結果からみた法学部学生の意識 V まとめにかえて六八
‑ 1 ‑ 6‑1‑168 (香法'86)
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
I は じ め に
「婚姻」に関する意識調査のアンケートが家族法ゼミの学生の手によっ て
' 8 5
年1 2
月に行われた。この「婚姻」に関する意識調査のアンケートは
6 0
年度のゼミが始まって,家族問題や家族・氏・名についての法制度を学び始めた時期に,一番身近 な問題である家族について学生自身の意識,認識の程度をゼミ学生が正確 に把握したいとしたことに起因して,アンケートの企画が持ちあがり実施 されたものである。
この種のアンケートには,広汎な角度から検討され,実施されたものが すでに見られるが,対象を限ったものは稀しいものといえよう。質問項目・
内容,形態についてはすべてゼミ学生の討議を経たうえ,学生自身の手で 作られた。三年生であるゼミ学生の法常識・認識,社会科学などの知識の 力量から,また,ゼミ学生の同期生・同窓生の意識に対する関心というこ とから,質問項目を限定させることになっている。さらに,ゼミ学生の大 多数が女子学生ということもあって,男女平等に関する回答者の問題意 識・認識のレベル探求にかなりの関心が向けられていたことから,質問に
ついての枠組にもかなり意図的なものがみられ,範囲が限られている。
ところで,男女共学で,その女子学生の割合が他大学の法学部に比較し て高い割合を占める当学部で(1), 学生自らの手による調査が行われたこと は,わが法学部学生の意識を知ると同時に,特異性を見出すことになるか
も知れない。また,このアンケートは地方における現代の大学生の意識と 認識を知る一つの手掛りを提供することにもなろう。
六七
I I 調査対象および方法
アンケートの目的から対象は法学部三回生,二回生とされた。すなわち,
四回生についてはアンケートの配布・回収についての画ー的処理が不可能 であることから除外され,一回生,二回生については法律科目をほとんど 履修していないのでいづれでも良く,アンケートの配布・回収の容易な方
を選択することとし,二回生が対象とされた。
三回生については
1 9 8 5
年1 2
月9
日(月)ゼミ開講日のゼミ開始直前に配 布をすませ,ゼミ開始直後回収に当った。二回生については,1 9 8 5
年1 2
月 11日(プロゼミ選考日)の選考説明会直前に配布をすませ,退室時に回収 をした。したがって,ゼミ履修中の三回生全員,プロゼミ履修希望者の二 回生全員が対象となった。なお,アンケートは無記名,択一方式で行なわれた。
I I I 「婚姻」の意識調査の質問項目とアンケートの集計
(2)[ 1
] 回 答 者 男 女[ 2
]自宅生か否か 自 宅 生 非 自 宅 生表 1 回答者数(男女・自宅非自宅・ニ土回二回別)
男 女
ー::.回生 二回生 三回牛、 二回生 計
自 宅 生 28 36 18 19 101 非自宅生 52 75 27 16 170
80 111 45 35
計 271
191 80
[ 3 ]
結婚観・事実婚・離婚観についてあなたの考えにもっとも近いものに 一つまるをつけてください。[ 3 ] ‑ 1
結婚観ア 女の幸福は結婚である。
六六
‑ 3 ‑ 6 ‑ 1‑166 (香法'86)
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
イ 精神的にも経済的にも安定するから結婚したほうがよい。
ウ 人間である以上当然のことだから結婚したほうがよい。
工 子孫を残すために結婚すべきである。
オ 結婚は女性の自由を束縛するから結婚しないほうがよい。
力 精神的にも経済的にも一人立ちできれば結婚しなくてよい。
キ 老後のため。
ク わからない。
表2 結婚観
回 生 ~. 回
男(80) 女(45) 男(111)
計 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自
ア 7 5 2
,
5イ 42 11 19 4 8 49 13 26
ウ
,
3 5 1 12 2 8工 4 2 1 1 6 3 3
オ 2 1 1 4 3 1
力 40 4 14 8 14 35
,
14キ 4 1 3 3 1
ク 13 7 5 1 24 4 17 無回答 3 1 1 1 3 1 1
その他 1 1 1
[ 3 ] ‑ 2
事実婚(たとえば同棲など)ア 必ず法律婚でなければならない。
;
イ 信頼し合っていれば事実婚でもかまわない。ウ 法律婚,事実婚にこだわる必要はない。
工 時代を先取りしていてかっこいい。
才 わからない。
生
女(35) 計 自宅 非自
3 1 16 6 4 91 1 1 21 10 6 4 8 75 1 1 7 2 1 37
1 6
イ・キ 2
表3 事実婚観
回 生 回 生
男(80) 女(45) 男(111) 女(35) 計
計 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自
ア 13 4 5 2 2 36 8 14 7 7 49 イ 33 4 12 5 12 41 11 23 6 1 74
ウ 62 14 29 8 11 55 14 31 5 5 117
工 1 1 1 1 2
オ 14 6 4 2 2 13 2 7 1 3 27
無 回 答 2 1 1 2
[ 3 ] ‑ 3
離婚観ア 相手に満足できなければ離婚すべきである。
イ 子供がある場合は離婚すべきではない。
ウ 一度結婚したら離婚すべきではない。
工 絶 対 反 対 。 才 わからない。
表4 離婚観
‑ ]柏 生 回 生
男(80) 女(45) 男(111) 女(35) 計
計 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自
ア 55 5 23 8 19 36 11 15 3 7 91 イ 36 12 15 4 5 45 10 26 4 5 81
ウ 7 7 25
,
12 2 2 32工 2 1 1 4 1 3 6
オ 22 8 6 5 3 36 5 19 10 2 58
その他 3 2 1 3
六四
‑ 5 ‑ 6 ‑1‑164 (香法'86)
‑‑1...
/¥
~
一
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
[ 4
] 婚 姻 適 齢 に つ い て あ な た の 考 え に も っ と も 近 い も の に 一 つ ま る を つけてください。[ 4 ] ‑ 1
あなたは何歳くらいで結婚したいと思いますか。ア 25歳まで。
イ 28歳まで。
ウ 30歳まで。
工
3 5
歳まで。オ いつでもしたい時にする。
表5 結婚希望年齢について 三 回 生
男(80) 女(45) 計
自宅 非自 自宅 非自 ア 15 2 3 4 6 イ 34 8 12 7 7 ウ 29 10 15 1 3
工 5 5
オ 40 8 16 6 10
無回答 2 1 1
二 回 生 男 (111) 計
自宅 非自 自宅 22 2
,
841 10 18 6 42 11 27 2
11 6 5 30 7 16 3
女(35) 計 非自
3 37 7 75 2 71 16 4 70 2
[ 4 ] ‑ 2
社 会 的 に 適 齢 期 の 議 論 が あ り ま す 。 あ な た は 適 齢 期 に つ い て ど う 思 いますか。ア あたりまえのことである。
イ 社会的,経済的に妥当である。
ゥ 全く意味のないことである。
工 わからない。
オ その他( )
表6 適齢期について
回 生 回 生
男(80) 女(45) 男(111) 女(35) 計
計 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自
ア 6 3 3 5 1 2 1 1 11 イ 42 15 18 2 7 56 19 30 4 3 98
ウ 50 6 16 10 18 60 11 30 10
,
110工 16 4 8 3 1 19 4 10 3 2 35 オ 11 7 3 1 6 1 3 1 1 17
[ 5]
夫婦の氏と名前について あなたの考えにもっとも近いものに一つ まるをつけてください。[ 5 ] ‑ 1
民法7 5 0
条によれば夫婦は同一の氏を称することになっていますが,これについてあなたはどう思いますか。
A)賛成である。
ア 現在のままで不便があるとは思えないから。
イ 子供の氏を決めるのに困るから。
ウ 夫婦は一体であるから。
工 その他( )
B)反対である。
ア 氏は個人を表象するものであるから。
イ 改氏によっていやな思いをするから。
ウ 自由に生きたいから。
工 その他( )
‑ 7 ‑ 6‑1‑162 (香法'86)
/I ¥. ‑
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
表7 夫 婦 の 氏 に つ い て
回 生 回 生
男(80) 女(45) 男(111) 女(35) 計
計 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自
ア 63 14 29 8 12 89 25 40 13 11 152 イ 14 3 5 4 2 10 2 2 3 3 24 A
ウ 24 8 10 1 5 27 4 20 2 1 51
工 3 1 1 1 3 3 6
1 ア・イ 1
ア 7 1 1 2 3 5 1 3 1 12
イ 1 1 1
B
ウ 6 1 1 1 3 6 3 3 12
工 4 2 1 1 2 2 6
無 3 1 2 3 2 1 6
表 8 パ ー ト ナ ー の 呼 称 に つ い て
回 生 回 生
男(80) 女(45) 男(111) 女(35) 計
計 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自
ア 6 2 4 14 2 4 5 3 20 イ 80 14 33 12 21 98 26 53 11 8 178 ウ 18 5 7 2 4 17 2
,
2 4 35工 11 5 4 2 14 3
,
1 1 25 オ 8 2 3 2 1 3 3 111 ィ・ウ 1
六
無 回 1 1 1
[ 5 ] ‑ 2
あなたは自分のパートナーを何と呼びたいですか。ア 「お父さん」「お母さん」など。
イ 名前で呼ぶ。
ウ 「あなた」「お前」など二人称。
工 特 に 呼 ば な い 。 オ そ の 他 (
[ 5 ] ‑ 3
イ以外を選んだ人はその理由を書いてください。(
[ 5 ] ‑ 4
あなたのご両親はお互いどのように呼びあっていますか。A) 父
ヽ~
、
t/
ァ
「お母さん」など。イ 名前で呼ぶ。
ウ 「お前」など二人称。
工 特に呼ばない。
オ その他(
B)母
ア 「お父さん」など。
イ 名前で呼ぶ。
ウ 「あなた」など二人称。
工 特 に 呼 ば な い 。 オ そ の 他 (
[ 6
]家族の機能について,あなたの考えにもっとも近いものに一つまるを つけてください。[ 6 ] ‑ 1
家族の機能にはいろいろな面が考えられます。ってはどれが一番重要だと思わろますか。
この中であなたにと
ア 休息・憩いの場。
イ 子供を産み育てる場。
ウ 経済生活の土台の場。
工 夫婦の愛情の場。
オ 家庭の機能など存在しない。
六〇
‑ 9 6‑1‑160 (香法'86)
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
表9 両親の場合について
回 生 回 生
男(80) 女(45) 男(111) 女(35) 計
計 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自
一
I 50 10 20 6 14 57 15 27 7 8 107 イ 20 3 10 2 5 28 6 18 4 48 A ウ 13 5 7 1 20 5 10 2 3 33工 32 7 11 7 7 32 8 15 6 3 64 オ 6 2 3 1
,
2 5 2 153 イ・ウ ア・イ・ウ ア・オ 3
無 1 1 1
ア 89 18 38 12 21 111 31 50 16 14 200
イ 8 5 2 1 1 1
,
B ウ 10 2 3 2 3 16 1 11 3 1 26
工 14 6 6 1 1 12 3
,
26オ 1 1 4 1 2 1 5
1 イ・ウ 2 ウ・オ 3
ア・ウ
無 2 2 2
表10 家族の機能について
回 生 回 生
男(80) 女(45) 男(111) 女(35) 計
計 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自
ア 68 13 28 12 15 85 17 40 16 12 153 イ 14 6 6 2 12 2 8 1 1 26
ウ 20 3
,
2 6 23 7 14 1 1 43五 九
工 16 3 5 2 6 19 7 10 1 1 35
オ 3 3 4 1 2 1 7
無 回 答 2 2 3 2 1 5
その他 1 1 ィ・エ 2
[ 6 ] ‑ 2
今まで夫婦,親子という形態のみが家族の機能を果してきました。しかし,今日このような形態に変化がみられ,内縁・同棲などが多 くなっています。このような他の形態でも家族の機能を果すことが できると思いますか。
ア 今の家族形態でしか果しえない。
イ 他の形態(例えば同棲,内縁など)ででも果しうる。
ウ わからない。
表11 家族の機能変化について
‑ 回 生 回 生
男(80) 女(45) 男(111) 女(35) 計 且
十 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自
ア 21 5 11 3 2 41 11 18 7 5 62 イ 79 18 30 12 19 73 16 40
,
8 152ウ 23 4 11 3 5 30 8 16 3 3 53
無回答 2 1 1 2 1 1 4
[ 7]
法律婚以外の形態の中で生まれる子は非嫡出子と呼ばれます。あなた は非嫡出子についてどう思いますか。一つまるをつけてください。ア 差別するのはよくない。
イ やむを得ない。
ウ 地位を改善すべきだ。
工 わからない。
[ 8
]夫婦の役割分担について,あなたの考えにもっとも近いものに一つま るをつけてください。[ 8 ] ‑ 1
役割分担についてア 夫は外でで働き,妻は家庭を守る。
イ 妻は外で働き,夫は家庭を守る。
五八
‑ 11 ‑ 6 ‑ 1 ‑158 (香法'86)
五 七
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
ウ 夫婦が外で働き,主に妻が家庭を守る。
工 夫婦が外で働き,主に夫が家庭を守る。
オ 夫婦が外で働き,双方ともに家庭を守る。
力 わからない。
表12 非嫡出子観
三 回 生 二 回
男(80) 女(45) 男(111)
計 計
自宅 非自 自宅 j卜自 自宅 非自 ア 45 8 14 10 13 69 17 33 イ 25 4 15 1 5 30 8 14 ウ 40 10 18 5 7 36 8 20
工 11 4 5 2 11 3 8
無回答 3 1 2
その他 1 1
表13 夫婦の役割分担観
回 生
‑ ‑ ‑
回"" ‑ 男(80) 女(45) 男(111)
計 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自 ア 37
,
24 1 3 55 17 34イ 2 2 2 2
ウ 11 6 4 1 22 5 12
工 1
オ 68 12 18 16 22 52 13 18
力 5 1 2 2 12 1
,
紐 1
その他 2 2 1
生
女(35) 自宅 非自
11 8 6 2 2 6
牛 こ
女(35) 自宅 非自
3 1
2 3 1 10 11
1 1 1 ア・オ
計
114 55 76 22 3 1
計
92 4 33
1 120
17 1 3
[ 8 ] ‑ 2
役割分担の基準は何だと思いますか。ア 性 別 イ 能 力
ウ 社 会 的 ・ 経 済 的 構 造 工 慣 習
オ その他(
表14 役割分担基準について
~. 回 生 回 生
男(80) 女(45) 男(111) 女(35) 計
叶 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自
‑J , 15 2 12 1 23 10 10 3 38 イ 59 11 19 13 16 79 13 37 15 14 138 ウ 27
,
12 3 4 30,
19 1 1 58工 8 2 4 2 7 2 5 15
オ 10 1 3 2 4 7 2 4 1 17
2 ィ・ウ ウ・エ 2
無 回 答 3 2 1 3
[ 8 ] ‑ 3
女 性 が 職 業 を も つ こ と に つ い てア 職 業 を 持 ち 結 婚 や 出 産 に か か わ り な く 仕 事 を 続 け る ほ う が よ し
、
゜
イ 職 業 を 持 ち 結 婚 や 出 産 な ど で 一 時 期 家 庭 に 入 り 育 児 が 終 る と 再 び職業をもつほうがよい。
ウ 職業を持ち結婚を契機として家庭に入るほうがよい。
工 職業を持たないほうがよい。
才 わからない。
五六
‑ 13 ‑ 6‑1‑156 (香法'86)
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
表15 女性の就業について
回 生 回 生
男(80) 女(45) 男(111) 女(35) 計
計 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自
ア 29 5 6 8 10 34
,
14 5 6 63 イ 54 13 16 10 15 56 11 24 11 10 110 ウ 24 5 18 1 35 10 24 1 59工 6 1 5 6 3 3 12
オ 10 3 6 1 14 2 10 2 24
無回答 1 1 1 1 2
その他 1 1 1
[ 8 ] ‑ 4
男 女 の 地 位 に つ い て ど う 思 い ま す か 。ア 平 等 に な っ て い る 。 イ 平 等 に な っ て い な い 。
ウ わからない。
表16 男女の地位について
回 生 ・ー 回 生
男(80) 女(45) 男(lll) 女(35) 計
計 計
自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自 自宅 非自
ア 16 5 8 1 2 29
,
18 2 45 イ 93 16 37 16 24 103 24 51 15 13 , 196 ウ 15 6 7 1 1 13 2 6 2 3 28無回答 1 1 1 1 2
五 五
[ 8 ] ‑ 5
「平等になってし)なし)」と答えた人に男女が平等になっていないと号える分野はどこですか。当てはまる もの全てにまるをしてくださし)。
ア 家庭リ)中で。
イ 職場の中て。
ウ 社会通念や風潮で。
工 法律や制度の卜で。
表17 不平等分野について
~-·-- ‑ ‑ ‑ ‑ ・ ‑ ‑ ' ̲ , , , 人 , T
・ :
[ 1 1 ) ' j : ̲ ' ・ . [11['j:
I . . , ‑,̲. 一‑・‑ ‑ ‑ ‑ ・ . ・‑・‑・・...
リ}(53) 女(4()) I/} (Tiし 女(28) ,J
10 6 10 9 15 26 9 13 2 2 66
~ ~ 一
I :i7 11 I 17 11 18 :i7 let I 25 i 10 8 114
, 85 15
□ I
31 15 21 85 ,‑19 s3 12 11n o
29 ): 9 9 21 8 I I 11 2 50
-~ ロ ニ し L ー ロ ー ー ! ニ J
I V 集計結果からみた法学部学生の意識 1 .
回収率こ回生については,
1 5 1
名に配布をし,回答者は1 2 5
名であった。二回生 については,1 6 7
名に配布することができ,回答者は1 4 6
名であった。した がって,回収率はそれぞれ82.6%, 87.4%
である。2 .
学生の状況([1]+[2]
より)表
1
をグラフ化したのが図1
である。回答者の男女比は女子学生が約3 0
%を占めている。自宅生・非自宅生の割合別については,
36.6%
を自宅生 が占めている。 こ回生の女子のみが非自宅生より自宅生が多数を占め,過五四
‑ 15 ‑ 6~1 ‑‑154 (香法'86)
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
図l 回答者(男女・回生・自宅別)
(内側の円)
■
男に]女
(外側の円)
■
男三回自宅巨]男三回非自
■
男二回非宅臨 男 二 回 自 宅 疇 女 三 回 自 宅 四 女 二 回 非 自 亡]女二回非宅
I l l
女二回自宅半数を超える。自宅生,非自宅生の分類をとくに調査項目にあげたのは,
家族・家に関する問題を考えるようになるきっかけとして,家・家庭を離 れたことが陰に陽に影響しているのではと考えたからである。 この一つの 仮説が妥当するとすれば, 自宅生・非自宅生の別が意識の上に相違をもた
らすであろう。
なかろうか。
1 / 3
が自宅生,さすればこのような考察をしてみることは有用なことでは
1 / 3
が女子学生という香大法学部の学生たちは以下の質問 にたいしていかなる回答をよせたか,逐次みてゆくことにする。 なお,回生の分布状況が一つの特徴をもたらすか, どうかを判断することは難し
し)
゜
一五
三
3 .
学生の意識【
1
】結婚観・事実婚観・離婚観について[ 3 ] ‑ 1
である。
結婚観について問う質問である。図 2は表2をグラフ化したもの どのグループも「イ」 と 「力」の両極的分布をポす。男子学生と
図2 結 婚 観
o o o o
泌
7 0
辺
50 40
泊
a l o
8 へ﹂3 3 4 uッ
e
7 8● 口 璽 箆 唇 口 璽 一
. ^
E
ァ イ ウ エ オ カ キ ク
Z5
. . . ︑ , t
︑1
1) 1・. .ニ 3=二回牛.男自 6ニ・..回生
9=
¥̲/ ッ / ]
3 )
:̲[,1)生男t'!'む, 2ニー :̲/11)生男非白"{'.:, 't, 4 ‑=・. [11)生刃非1'1宅, 5
口:
I口.)生女自宅,女非1'1宅, 7二 ・.[11)牛女白宅, R・̲c―:回生女非自宅,
令'j:lj:̲, 1() 一男f勺•学生, 11= 女 f学生を表わす。
図}ミ左側1hi&屈クラフ ft各グルーノ紺い構成比を/いし,右 側舟クラフは全体的状況を1]ヽす(%)。
集,
l
表叩)屯複[uJ答及び無lい]答方につし)ては NoAnswer としてグフフ化しだ。女子学生とをみると, 女子では「力」 を第一に選択するものが多く (例外 として二回自宅生は「イ」である), とりわけ三.回生では
50%
近い。男子学 生では結婚にたいして積極的傾向がうかがえるが, 女子学生の場合, 二回 自宅生を例外として, 消極的様子がみられ, 「キ」を選択しているものがみ られることもおもしろい。 このことは, 一般の若い未婚の女性が積極的に 婚姻を志向していない傾向とおなじである(図3
参照)。 さらに, この三回一 五
自宅生は女子グループの中にあって「ア」 を選択していない。
二回生の自宅生男子が「ア」
また,
を選択していないことは注目されよう。
ー ・
自宅 生の方が家庭内の女性の発言をきく機会に恵まれるであろうことは容易に
‑‑17~~ 6 ‑ 1 ‑152 (香法'86)
五
香 川 大 学 法 学 部 学 生 の 家 族 ・ 婚 姻 等 に 関 す る 意 識 に つ い て ( 松 本 )
想像できよう。その意味からすれば,自宅生,非自宅生の生活環境の差が 意識の上に出ていると言えよう。
さらに,女子学生の中で非自宅生の過半数が「力」を選択するが,自宅 生は
1 / 3
弱のものである。このことも自宅生に比して非自宅生が自立化傾向 を志向しているものと言えようか。なお,おもしろいのは「オ」を選択し た学生は6
名いたが,女子は1
名で他は男子である。「エ」を選択したもの は女子が1
名で,9
名は男子である。学生は女の幸せは微かに結婚にあるかもしれないと思いながら,人間生 活の安定的発展のため結婚することを考えるが,時として,自立した生活 が可能であれば,一人でいるほうがいいのではとも思い,子孫,老後のた めに,やはり結婚はしたほうがいいと肯定するのであろうか。
学生の意識を過去の調査と比較すると(表
1 8 ,
図3
参照),「ア」の選択 率が男女とも大きく異なる。とりわけ女性の場合の違いは注目すべきもの があるといえよう。「ア」の選択率の低さ( 3 0 .4%
に対し7 .5%),
「力」の 選択率の高さ( 2 4.1%
に対し42.6%)
は目をみはるものがある。表18 女 性 の 結 婚 観
(ア) (イ) (ウ) (力) (オ) なんとし)つ 精 神 的 に も 人 間 で あ 1)
、
1'/九 結 婚 "fl'は 女 性該彗 ても女結 の 幸 経 済 的 に も る 以 上,11できHifU) [打を束 オ)から 調 査 時 点 性
者数 福 は 婚 に 安 定 す る か 然のこと あ え て 糾 縛 す る か なし\
あ る の だ か ら結婚した だ か ら 結 婚しなく ら, → 生 結 ら結婚した ほうがよし) 婚 し た ば てもよし i婚しなし)ほ
ほうがよし、 うが上し¥ うがよ¥'
}
、 '¥, "o し)() " () " 0 00 昭和 女 16,645 39.7 20.7 19.9 13.l 0.4 6.2
47年10月男 2,413 36.2 22.2 25.3 7.4 0.2 I 8.6 女 4,590 32.4 20.8 17.6 22.8 0.3 5.9 54年 5月
男 3,649 32.7 22.6 22.3 13.3 0.2 9.0 女 4,431, 30.4 21.8 17.6 24.1 0.5 5.6 59年 5月
男 3,600 32.9 20.7 22. 1 14. 7 0.4 9.3
(注) (7), (イ),(ウ),(力),(オ)は学生の調査表2の質問項目を現わす。
(「婦人の現状と施策(第四回報告書)」 p.143より)
図 3 女性の結婚についての考え
わからない 男性全体卜.:~"'"\;·,:-'\',<.'0~ 、ヽ、、~-·.. • • • . I 仰 ク 叫
l
3 2 . 7 2 2 . 3 2 2 . 6 1 3 . 3 0 . 2 9 . 0 20 29
歳!ゞへ\\\い、; ‑ < , , ¥ ; t ・ : ̲ ・ .・ .
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勿 ん 勿 グ; 1 t 1
2 4 . 1 1 3 . 2 2 5 . 3 2 6 . 3 0 . 2 1 0 . 9 1
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なんといっても女の幸 人問である以上当然の 枯神的にも註済的にも一人立ちできればあえ結婚は女注の自由を束 猛;註謁;こあるのだか ことだから拮婚したは 安定するから結婚したて結婚しないはうがよ約するから一生結婚し
ら結婚したほうがよいうがよい ほうがよい い ないほうがよい
女性全体卜\\\\\\\し、~''"~'"i ↓ ~
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3 2 . 4 I i . 6 2 0 . 8 2 2 . 8 0 . 3 5 . 9
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‑ヤルグ1 / a
グルグルグル佐I I 2 4 . 2 1 3 . 6 2 5 . 7 3 2 . 6 0 . 4 3 . 6
旧高専大
• 新 大 卒 ト~\\'-',,\\\\\\f··. ・:: : : ・ • t
t ?
グんグ//みグ9ノ:Y////1~I 1 9 . 7 1 7 . 1 2 5 . 0 3 1 . 0 0 . 2 7 . 1
未婚者卜,```寸•:•.··
・ ・ : I
仰汐忽勿1////lrグ~/////il1 6 . 3 1 0 . 9 2 9 . 3 3 7 . 4 0 . 2 5 . 8
(備考) 1. 総理府広報室「婦人に関する世論調査」 (54年5月)}こよる。
2. 10歳階扱値は経済企画庁で作成した。
(
「ll{i和S8年IE]民生活白書」 p.108より)
[ 3 ] ‑ 2
事実婚観について問う質問である。図4
は表3
をグラフ化したも の で あ る 。 結 婚 を 肯 定 的 に と ら え る 学 生 達 が 現 実 の 婚 姻 に つ い て , い か な る 形 態 を 志 向 す る の で あ ろ う か 。 男 女 の 結 び つ き に つ い て の パ タ ー ン が 今 日 ほ ど 多 様 化 し て い る 時 代 は な い が , そ の 中 に あ っ て , 結 婚 の 形 態 に つ い て ど の よ う に 考 え て い る の で あ ろ う か 。 法 律 婚 で な け れ ば な ら な い と す る「ア」を選択する学生は
20%
近 い 。 と り わ け , 二 回 生 女 子 に つ い て は40%
の も の が 選 択 し て い る 。 こ れ に 対 し , 三 回 生 女 子 で は10%
に 満 た な い 。 同 じ よ う な 傾 向 が 男 子 に も み ら れ る 。 す な わ ち , 二 回 生1 9 .8%,
三 回 生11.2%
である。
学生の多数意見は「ウ」であり(例外二回生女子),「イ」の選択者を加 え る と 実 に 三 回 生 男 子
73.8%,
三 回 生 女 子80%,
二 回 生 男 子7 1 .2%,
二 回 生 女 子48.6%
となる。五〇
‑ 19 ‑ 6‑1‑150 (香法'86)
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
図4 事実婚観
100 r
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x,:~-;-/~· ,::;零,; / ~ 勿灼w :疇 ; ̲ , , , ク , 三 恢 `
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N.A.60 50 喝 30 20 10
"
1 2^ ; : ,
4 5 6 T 8,
10 1 t注 図 2に同じ。
ここで注意を引くのは,非自宅生の三回生女子と二回生女子における差 異である。三回生では
85%
を超えるものが法律婚にこだわらないであろうとするが,二回生では法律婚を選択するものが「イ」,「ウ」を選択するも のより多く,それぞれ
43.8%,37.5%
である。両者の格差が著しいことは,どこから派生したのであろうか。一年間の学習および生活経験の集積の差 と言えるのであろうか。
ところで,一般的には男性は女性より「届」にこだわりを持たない傾向 にあり,年齢が高くなるにつれ形式を必要とすると考える方の割合が増大 している(図
5
参照)。図5
の示すように,男子については2 2 , 2 3
オを契機 に届出主義へ変わる傾向を裏づけている。三回生と二回生とのあいだに若干の差がある。自宅生と非自宅生間には
開
とくに言及するほどの違いがあると言えない。したがって,学生は法律婚でなければと知りつつ,当事者間で信頼納得 すれば形にこだわることなく認めようとする傾向にあることが,年次の進 行とともに強まっていると言えようか。
図5
(
ヤ:I・年 ~'1 別)
結婚届は必要か
(%、)
so so
. ー
︶ ︑
. '
ー
・
ー
︵
︵
︑ . '
︵
︵
4 3 2 1
\ ︳ 2 ︵ ︶
ヽ ヽ ヽ )1
︵訊
一一
︶加
ヽ
`
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`
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̀r J
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‑‑‑‑久・11
6 2 0
I 2 5 :m
I
3 5 40 I
17',
ー -~4
Li l:iヽヽ ,,,
沼
55 fiO I I 45
I
ー.
・ !
5 70
\
(Id!.)
(「現代リ)家j}対象」 p.58より)
[ 3 ] ‑ 3
離婚観を問う質問である。 今日の社会では離婚率は増加の途をた どり, 年間1 7 . 9
万件以上のケースが現われ, 社会問題としても注目され,検討されている。 学生達は離婚についてどう考えているのであろうか。 図 6は表 4をグラフ化したものである。
図6 離婚観
o o o o
潤p6050喝
3020100
・ ロ 璽 置
四 ︐
ア イ ウ エ オ
N
一四 八 2 3 4 5 6 7 8
︐
10 11︑E︑1
図2に1口]し。
~-- 21 ‑ 6‑1‑148 (香法'86)
四 七
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
学生の
1 / 3
は「ア」を選択している。が,30%
のものはf
供のいるケース での離婚を否定し,しかも14%
のものは認めない。 三回生女子は60%
のも のが「ア」を選び,とりわけ,非自宅生では70%
が 離 婚 を 肯 定 す る 。 月r l J
生男子では,非自宅生は自宅生の二倍以上の割合で「ア」を選択する。こ の傾向は,二回生女子にもみられる。口:回生男子は
45%,
女子では20%
のものが離婚にたいして否定的である。しかも,二回生はこ回生より離婚に ついては消極的であるといえる。すなわち,
56.8%
の学生は「イ」,「ウ」,「エ」を選択している。
女子学生の回答者のなかで「オ」無をのぞいてみると,離婚是認と否定 は二対ーとなる。男子学生では,逆に一対二となる。
離婚については,是認する方向にあるが,他の要素を考慮して消極的に なるのが男子学生であれば,女子学生は他の障害を含めて積極的に越えよ
うとする傾向にあるのであろうか。
ところで,近時の離婚観と比べてみよう。じょじょに離婚肯定派が増加 してきているとはいえ,男性の否定派は増加しており肯定派は女性のそれ より少ないので,この傾向は一般の状況と同様な状態にあるといえる(表 19, 図 7参照)。
表19 離婚観ー「結婚しても相手に満足できないときは,いつでも離婚すればよい」
共鳴でき ある程度 あまり賛 まった<
J )
からな 調脊時内、 性 該 ーり者数 る 理解できる 成でぎなし\ 反対である し\I、 () " 0 0 " () " く) 0 () 昭和 女 16,645 2.8 18.6
I
43.7 27.3 7.5 47年10月 男 2,413 3.7 17.3 44.6 26.6 7.8 女 4,590 2.7 20.9 47.2 22.9 6.3 54年 5月
男 3,649 2.8 18.9 I 48.7 24.2 5.5 女 4,431 4.1 29.0
I
47.9 14. 7 4.3 59年 5月
男 3,600 3.2 23.6 50.0 19.2 4.1
(「婦人U)現状と庇策(第四[r1]報告国)」 p.143より)
図7 離婚の是非(性•生層別)
• •'84 男性竃 ● 'ii男 性
‑‑‑‑'84女 性 ‑‑‑‑‑‑・77女 性
たとえどんなことがあっても.離婚すべきではない (%)
71 80 I
l'>H t,7 1)6
60
40
0 0
2 26
16 20 25 30 35 40 45 50 I I I I I I I
北
I
'
︐
︒
6(Oi:J) 70 60
40
正当な理由があれば.離婚したほうがよい
忍
o c
?J
26 25 16 20 25 30 35 40・45 50
I I I I I I I I
60 (~
四六
(「現代の家朕像」 p.68より)
-~23~ 6 ‑ 1 ‑146 (香法'86)
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
【
2
】適齢期について[ 4 ] ‑ 1
結婚希望年齢について問う質問である。わが国の平均婚姻年齢 は,男2 8 . 0
歳,女2 5 . 4
歳である(3)。高学歴社会を向えた今日において,学生 が卒業を迎える時の年齢はすでに2 2 , . . . ̲ ̲ ̲ , 2 3
オを超えていることが多い。この 婚姻年齢を学生はどのように意識しているのであろうか。とりわけ,公然 と適齢期論がささやかれるような地域社会にあっては,暗黙のうちに心理 的圧迫をもたらすし,かなりのモーメントになりうるであろうから。図
8
は表5
をグラフ化したものである。適齢期を意識していると思われ るのは,二回年女子の自宅生で,40%
を超えるものが「ア」2 5
オまでを選 択しており,次いで,三回生男子の自宅生の35.7%
が2 8
オまでを選択している。二回生では,男子
60%,
女子70%
以上が3 0
オまでを選択している。三回生では,自宅生の
70%
以上は3 0
オまでを選択するが,非自宅生ではそ の選択率は60%
を超えず,「オ」を選択する学生が30%
を超える。ちなみに,「オ」の選択率の状況は,三回生女子非自宅牛:
35.6%,
三回生 男子非自宅生30%,
三回生女子自宅生33.3%,
さ 回 生 男f
自宅生29%, ‑ ‑
図8 希望の結婚年齢について
100 溢り 80 70
aり 50 喝 30
四 滋
五 10
゜
2 3 .c1 5 6 7 8,
10 11注 図2に同じ。
A
ア イ ウ エ オ
N
●口●臨璽四
回生男子非自宅生
2 0 .7%, 15.8%
である。二回生女子非自宅生,男子自宅生,女子自宅生
学生の
1 / 4
は婚姻適齢にそったところで考えるが,60%
のものは3 0
オをめ どとし,30%
のものは時期にこだわりをもたずに結婚を考えているといえ る。[ 4 ] ‑ 2
適齢期について考える質問である。図9
は表6
をグラフ化したも のである。学生は適齢期について何等かの存在理由を考えようとしている といえる。適齢期について男子学生と女子学生とのあいだには際立った違 いをみせる。男子学生では,第一に「イ」を選択するものが40%
を超え,「ア」 を含め肯定的態度をとるのにたいし,女子学生では, 「ウ」を選択し て否定的態度を
50%
以上のものがとる。男子学生の「ウ」の選択は1 / 3
の学 生に過ぎない。両者の違いは,適齢期論が一般的に女性の方に有形無形の 心理的強制を加えていることの反映であろうか。らないとした学生の多さも注目に価する。
また, この質問ではわか
その他として記述したものを拾ってみると, 三回生では,女子学生が
2
図9 適齢期について
o o g
渇
70 60 50
喝 追 滋
1 0
8 C
J 3 8
ア イ ウ エ オ
● 口
璽 臨
一
一四 四
注 図2に同し。
‑ 25 ‑ 6 ‑ 1 ‑144 (香法'86)
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
名出産との関係を,男子学生の
5
名が同様に高齢出産の危険性を指摘し,女にだけ適齢期があり男には関係ないとするもの,適齢期とは男女が互い に必要とし結婚してふたりで生きていけると思うこととするもの, 二回生 では,男女とも
1
名のものが出産養育との関係をあげ, また,必要がないとか,個人差があるとか, などがみられた。
高齢出産, 子の養育などの事柄を男子学生がかなり真剣に考えているよ うだ。現実に出産育児を担当するのは女子であることからすれば,女性の 産みの性にたいしていかなる意識をもつか興味深いものがある。
【
3
】夫婦の氏と互いの呼称について[ 5 ] ‑ 1
夫婦の氏の同一性について問う質問である。わが国では,夫婦同 この夫婦同氏について別氏を称える動きが婦人を 氏の原則を採る。最近,中心に盛んになっている。男女とも社会的活動を恒常的に行うとき,結婚 を契機に氏が変るということはその人に多大な影響をもたらすであろうこ とは容易に推測できよう。 その意味で, わが民法が夫婦同氏を定めている ことにたいし反対の動きが現われたとしても一概に否定することはできな い。しかし,一方で女性の氏変更志願率の高いことも周知の事実である叫 ここでは,結婚前の学生が婚姻することと氏とについてどう考えているか を探る。
図
1 0
は表7
をグラフ化したものであり,図1 1
は表7
の賛成と答えたもの をグラフ化したものである。学生は圧倒的に夫婦同氏に賛成である。実に88.6%
の高率を示している。 そして, その理由として「ア」, 「ウ」をあげ一四 三
る。現在のままで不便があると思えないからが過半数以上占めるのは,現 実に社会活動を開始していない時期であるのでやもうえないであろう。多
くのものが夫婦の一体性から同氏を志向している。
同氏に反対するものはわずかに
11%
余りであるが, 三回生女子の反対は 他のグループに比較しておよそ二倍である。逆に, 二回生の女子の反対者 は1
名で,女子であっても二回生, 三回生では,氏についての考えがかなり違うことを示している。 二回生の反対が少ないことは, わが国における 氏変更願望の潜在性を証明するものといえようか。
なお, 二回生の反対理由中「ウ」 の選択者が
5
名いたことは注目されよ う。改氏によて誰がいやな思いをすると考えているのか聞く機会を持ちた図10 夫婦の氏について
つ つ・・ ー・:;̲,.
2. 包
0. 4を
4. ‑I,. 0. 此 4,立
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, ,
... ~ · ●
P﹁
C'
工 錮 ア イ ウ エ 無
i江
5
江5 f u i
和 知 和 即
9 商︱︱臨琶四
□︱ ︱
︱ ︱
︱ [ ]
● コ
図11 夫婦同氏について
o o g
潤
70 60 50 喝 刃
20100
9
・
ヽ'////,. . . .
一 ● 口 璽 墜 一 Q
ァイウェ
N
一 四
2 3 A 5 6 7 〇 ツ
︐
10 11注 図2に[,i]じ。
‑ 27 ‑ 6 ‑ 1 ‑142 (香法'86)
香川大学法学部学生の家族・婚姻等に関する意識について(松本)
いものである。
したがって,学生はおおむね夫婦は同じ氏を名乗り,一体感をもつもの と意識していると言えようか。ただ,女子学生の一部のものがこのことに ついて疑問視していると言える。朝日新聞
( 1 9 8 5
年1
月3
日朝刊)の国民 意識調査によれば,夫婦の氏について〈問6
〉夫の名字を名のるのがよい60%,
夫と妻のどちらの名字でもよい34%,
夫も妻も結婚前の名字を名の れる方がよい5%
を示している。男性と四十代以上の女性では「夫の名字」の方が圧倒的に多いが,二,三十代の若い女性では,「夫の名字」「夫と妻 のどちらの名字でも」が
40%
台で並んでいるという。これと対比してみるとき学生の意識はかなり保守的といえようか。
[ 5 ] ‑ 2
名は個人の呼称であるが,夫婦間において夫婦がお互いをどのよ うに呼び合っているかをとうして,夫婦の関係をみることができよう。っ まり,夫婦が対等な当事者としての関係を互いに意識していれば,そのよ うに相手を呼ぶし,そうでなければ異なる呼びかたをするであろう。この質問の意図は,夫婦間における男女の地位・カ関係• 平等意識とい
図12 パートナーの呼称について 100
潤
80 70 60 50
鳴
四 20 10
゜
1 2 3 4 5 6 7 8,
注 図2に同じ。
゜~
ア イ ウ エ オ
N
● 口
● 墜 琶
10 11
ったものが潜在的に,あるいは意識的にどのような状況にあるか,考えら れているかを探ろうとするものである。男女共学の中で平等教育を受けて いる学生達が各自のパートナーをどのように認識し,呼称するか,当事者 間の関係をどのように形成しようとしているのかをみる。また学生の潜在 願望はどうであろうか。図
1 2
は表8
をグラフ化したものである。過半数の ものは第一に「イ」を選択する。とりわけ,三回生女子は70%
が個人名を 呼称したいとしており,「ア」を選択するものは一人もいない。個の確立が 比較的できており,それを意識しようとしているといえようか。これにた いし,二回生女子は「ア」を選択するものが22.9%
あり,「イ」を選択するものは
54.3%
である。ここでも二回生と三回生とのあいだに意識の差を見 ることになった。一般的には,学生はお互いを名前で呼ぶつもりであるといえるが,家庭 内における役割から呼称が決ってくると考えているものもいる。
なお,
[ 5 ] ‑ 3
として,「イ」を選択しなかった理由の明記を求めたところ,「なんとなく」,「家庭内がギクシャクするから」,「てれくさいから」,「親が 呼ばないから」,「目を見ればわかる」,「はずかしいから」,「そういう気分
だから」,「『あ』• 『うん』の呼吸の関係だから」,「家庭がまとまるから」,
「子の教育上好ましいから」,「自分のものだから」,等などと答えている。
[ 5 ] ‑ 4
学生達は個人名を呼称として使用しようとするであろうことは 前の結果から判る。また,彼らの回答から彼等が今まで育ってきた家庭を とおして,呼称についてのひとつの手本が示され,学習がなされたことが 読みとれよう。さらに,彼らの回答は1
つの事実を反映しているともいえ よう。ところで,学生の親の世代ではどうであろうか。ここでは親たちの 夫婦の関係がどうゆう状態にあるのか合せみてみることにしたものである。図
1 3
は表9
をグラフ化したものである。[父が母を呼ぶ場合] 学生の約
40%
の父親は母を呼ぶのに「お母さん」といい,
17.7%
は母の名前を呼ぶが,1 / 4
の父親はとくに呼ばない。[母が父を呼ぶ場合]
73.8%
の学生の母は「お父さん」といい,名前で 四〇29 ‑ 6 ‑ 1 ‑140 (香法'86)