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[滋賀医科大学看護学ジャーナル第14巻第1号] 巻頭言

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Academic year: 2021

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[滋賀医科大学看護学ジャーナル第14巻第1号] 巻頭

著者

堀池 喜八郎

雑誌名

滋賀医科大学看護学ジャーナル

14

1

ページ

1-1

発行年

2016-03-31

URL

http://hdl.handle.net/10422/11591

(2)

巻頭言 - 1 -

巻頭言

副学長に就任して思ったこと

滋賀医科大学副学長(教育研究等担当理事) 堀池 喜八郎 私が教育・研究等担当理事としてつとめたこの2年ほどの間に、人の 心情的なことについて特に感じたことを述べます。 ◯たとえば世界平和について議論しているとします。個々の人が正義を主張します。たしか に正しいけれど、じゃあ、いま具体的に私たちはどうするのか、それは実行できるのか、実 現可能なのか。議論はとかく正しいことにいって、適切なことにいきません。このことを竹 内洋氏(関西大学教授・京都大学名誉教授)は「我々の職業病」であるといい、「世の中、 正しいことと適切なことは違う・・・、現実にどう対応していくかというのは適切なことな わけです。」といっています(近畿地区大学教育研究会 基調講演。一部改変)。いつも正し いことが適切なわけではありません。また実務においてはロマンチシズムとリアリズムの区 別も大切であることを実感しました。 ◯風が吹けば桶屋が儲かるという成句があります。大風→土ほこり→盲人→三味線→ネコ→ ネズミ→桶という可能性のほとんどない因果関係を順々につなぎ、とんでもない結論を主張 します。一つの過程の確率を1%とすれば、2段階の過程では1万分の1になり、80%とし ても3段階では可能性は50%に低下します(0.8×0.8×0.8=0.512)。主張している人は各 段階の確率を1と仮定していることを自覚していません。可能性だけでなく、蓋然性をふま えて定量的に議論することの大切さも痛感しました。 ◯たとえば「この頃の学生は××である」と意見を述べている。対象の「学生」は何を指し ているのでしょうか。学生全般を装いながら実際は個別的あるいは特殊例である場合がよく あります。医学生・看護学生、男性・女性、教養課程・専門課程、できる学生・できない学 生、まじめな学生・そうでない学生、・・・など、その背景や状況を詳細に確認しないと適 切な結論になかなか至らないことがあります。 看護や医学は直接的に人を対象とする分野であり、学問的に正しいことと現場で適切なこ とが一致しないことがあります。しかも十人十色です。こういう点をしっかりと認識し、蓋 然性を念頭においてことに当たることは重要です。 ともあれ、発言も含め人の行動の背景には感情・欲望があることも踏まえて、日々生じる 事案や課題に対して、(正しく)適切に、またぶれずに対処していくことは大切であると強 く思いました(当面の問題解決)。同時にバックキャスティングによるビジョンの設定もし っかりとしなければならないと痛感しました。 平成27 年 12 月

参照

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