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将棋情報力学:人間vs.コンピューター

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 75 回全国大会. 6C-2. 将棋情報力学:人間 vs.コンピューター 中川武夫† 北陸先端大†. 飯田弘之‡ 若林宏明※ 北陸先端大‡ 北陸先端大※. はじめに 将棋の人間とコンピューターとの戦いは、チ ェスの世界チャンピオン(Garry Kasparov)が前 世 期 の 末 (1997.15.11) に コ ン ピ ュ ー タ ー (Deep Blue)に敗れ去って以来、とみに過熱の度合いを. 米長の精神状態のわずかな異変によるものであ ったことが本人の述懐により明らかになってい る。これに対し、ボンクラーズには人間のよう な感情が無いため一見、平常心を保ちつつ戦い を進めることができたものと推測される。. かいしゃ. 増しつつあることは、広く人口に膾炙 している。 しかしながら、著者らの知る限り、これまでの 本主題に関する研究は勝敗の結果の議論に集中 し、戦いの時間推移を詳細に検討することによ って両者の戦いの実像に迫ることはできなかっ た。その主たる理由は)、将棋の試合結果の確 かさの 時間履歴を的確に追跡可能なゲームモデ ルがなかったことによる。 つい最近、こうしたモデルが著者ら(Iida et al2012)により構築された。 本研究の主な目的は、著者らが提案したゲー ム情報力学モデルを用いて将棋プロ棋士とコン ピューターとの試合経過を解析し、人間とコン ピューターとの間にどのような相互干渉が起こ るのかを明らかにすることである。 ケース・スタディー ここでは、人間 vs. コンピューター戦の代表 例として米長邦雄棋聖とボンクラーズとの対戦 を議論の対象とする。Fig.1, 2,そして 3 はそれ ぞれ米長による各指し手評価値を用いたアドバ ンテージと勝率の時間依存、ボンクラーズによ る各指し手評価値を用いたアドバンテージと勝 率の時間依存、そして両者による各指し手評価 値を用いた試合結果の確かさを示した。 Fig.1 と 2 を比べると両者の顕著な違いは、米 長はη⋍ 0.7 までは、自分が有利に戦いを進めて いたと考えていたのに対しボンクラ―ズもまた 自分の方が有利であると考えていたことである。 Fig.3 から明らかなことは、両者の戦いの局面 がη⋍ 0.7 の時点で大きく動き、これ以降はボン クラーズの一方的な攻勢で戦いが推移した ことである。η⋍ 0.7 における戦局の変化は、. Information Dynamics in Shogi: Human vs. Computer †Takeo NAKAGAWA, JAIST ‡Hiroyuki IIDA, JAIST ※Hiroaki WAKABAYASHI, JAIST. 2-15. モデリング 簡潔であるが、パワーフルな次のような情報 力学モデルが著者ら(Iida et al2012)により 提案された。 ξ=ηm、 ここで、ξは試合結果の確かさ、ηは無次元の ゲーム長、そしてmは正の実数パラメータであ る。Fig.3 中、米長の曲線は上のモデルで m=4の場合に対応し、ボンクラーズの曲線は m=10の場合に対応することがわかった。こ のことより、勝ったボンクラーズの方が、 負けた米長より、この戦いをより均衡したもの と感じていたことになり、興味深い。 結論 本研究を通じて得られた新たな知見を要約す ると次のようになる。 人間とコンピューターのお互いの打ち合いの接 戦になると後者が有利となる。 コンピューターは現時点では、投了の時期を判 断することができない。 人間がコンピューターに勝つためには、幻惑、 空かす、フェイントなど人間と対局する場合と は異なる戦略・戦術を駆使することが求められ る。 人間 vs. コンピューター戦を公正・公平かつ 、 エンターテイメントに満ちたものとするために 現状とは異なる適正なルールの制定が必要不可 欠である。なぜならば、現状のルールでは、人 間に対する制約が、コンピューターに対するそ れらと比較して格段に厳しくなっているために 米長以外の 6 名のプロ棋士 vs.コンピューター (激指、習甦、ボンクラ―ズ)戦の勝者は全てコ ンピューター側となっている。 人間 vs. コンピューター戦をエンターメントと 観れば現ルールには問題がある。. Copyright 2013 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 75 回全国大会. fluid. Fig.1 Normalized advantage α against normalized game length η. Winning rate p1 (or p2) against normalized game length η (Yonenaga’s evaluation). Fig.2 Normalized advantage α against normalized game length η. Winning rate p1(or p2) against normalized game length η(Bonkras’ evaluation). Fig.3 Certainty of game outcome ξ against normalized game length η. 参考文献 Iida, H. Nakagawa, T., Spoerer, K.(2012) Game information dynamic modes based on fluid mechanics. Entertainment Computing, 3 89-99.. 2-16. Copyright 2013 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

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