社会認識教育としての人権教育の創造-人権総合学習との峻別を意図した中学校歴史的分野授業開発-
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(2) 型による社会認識過程であることを明らかに. l11研究の概要 1「人権総合学習」の理論と限界. することができた。. 4社会認識教育としての人権教育に焦点化. 長尾彰夫は,「総合的な学習の時間」の特質. した社会科授業設計. や可能性を最もよく現すことのできるものと して,r総合的な学習の時間」における人権教. 問題意識深化型の社会認識過程を組み込ん. 育をr人権総合学習」とよんでいる。「人権総. だ中学校歴史的分野授業を,近年の部落史研. 合学習」は,その名称から想像されるような. 究の成果をもとに開発,提示した。授業設計. 狭義としてのr人権問題」だけを扱っている. にあたっては,題材とする「渋染一撰」の歴. わけではない。そのため,価値注入による態. 史的意義を踏まえ,「知識」の構造,「問い」. 度形成に主眼が置かれ,あらゆる人権問題. の構造を明示した。また,「より深い問い」. を同列視して扱うことによって歴史認識を. をもたせるための手段として,説明的スケッ. 歪めてしまう結果となり,何を基準に評価. チのなかに含まれている法則を初期条件と分 離して統計的説明としての法則に変換させる. し得るのかが不明瞭となる。このことから,. 社会認識の形成を本質的な目標とする社会科. 際に組み込んでいる。. の視点からみれば理論に限界があることを 指摘することができる。. lV 研究の成果と課題. 2 社会認識教育としての人権教育. 授業設計にあたっては,題材r渋染一撰」. 社会科固有の授業理論とr総合的な学習の. の歴史的意義を踏まえ,「知識」の構造,r問. 時間」との教育内容構造を整理し峻別するこ. い」の構造を明示し,本研究の目的である「人. 権総合学習」と峻別した社会認識教育として. とで,社会認識教育としての人権教育では,. の人権教育を構築することができた。. 達成目標との関連で内容知を主として捉え,. 今後の課題は,開発した授業モデルを教育. 社会事象を因果的に捉えさせることが重要で あることを指摘する。. 現場で実践し,具体的な課題を抽出して修. 3社会科における人権教育の先行授業実践. 正にあたることである。また,開発した授. の分析. 業モデルを近代以降の歴史にどのように発. これまでの研究成果を踏まえて,社会科の. 展,応用させていくかということがあげられ. 先行授業実践を分析・検討するための視点に. る。なぜならば部落差別が今日も解決され. ついて明らかにし,社会認識形成の類型を示. ずにあることを学びとるためには,近代以降 の学習が極めて重要となるからである。. すことによって,授業分析フレームワークを 提示する。その結果,社会科における人権教 育の問題点を詳細に抽出され,社会認識教育. 主任指導教員 岩田一彦. として最も有効な人権教育が,問題意識深化. 指導教員 米田 豊. 一359一.
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