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公益事業の経済的規制緩和

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1 39

公益事業の経済的規制緩和

藤 田 正

目 次

〔 1〕 は じめ に

〔2 〕 公益事業 の基本的標識 (1) サ ー ビス ( 財) の必需性 (2) 自然 的独 占性

〔3 〕 公益事業規制 の理論 的根拠

〔4 〕 公益事業 の経済的規制 内容 日 ) サ ー ビス ( 財) の供給義務規制 (2) 不 当 な差 別的取扱 いの禁止規制 (3) サ ー ビス ( 財 )の質 ・量規制

(4) 事業 の休止 及び廃止並 び に法 人の解散規制 (5) 公益事業 の参入規制 と独 占禁止法の適用除外

① 公益事業 の参入規制

② 独 占禁止法の適用除外 (6) 料金規制

〔5 〕 公益事業 の経済的規制緩和 の背景

〔6 〕 経済 的規制緩和 下の公益事業 の効率性 と公共性 の関係

〔7〕 公益事業 の経済的規制緩和 と日本的独立規制委員会

〔8 〕 公益事業 の経済 的規制緩和 の検証 と累積 的制度化

〔9 〕 むす び にか えて

〔1〕 は じめに

通貨危機 とオ イル ・シ ョックによる経済成長鈍化等‑ の対応策 として, 日本 経済 は 「 小 さな政府」 と 「 民 間活力」の実現 を 目指 し,「 民営化」 と 「自由化」

の大合唱である

す なわち,市場 の失敗 の際 にそれ を補完 し経済効率性 にロスを生 じさせ ない

(2)

1 4 0

ために規制 を必要 とす る とい うことや, シビル ・ミニマムを保証す るために規 制 を必要 とす る とい う社会民主主義 的な経済政策 に代わって, 自由競争の促進 による効率的な資源配分 こそが公共性 を実現す る とい う新保守主義的な経済政 策が主張 され,その具体策の一番手 として,規制 を緩 め民 間活力 を発揮 させ る

ことである とい うことが推進 されて きた 。

この ような規制緩和推進のなかで,最 も注 目された もの として,細 川元首相 の私的諮問機 関であった経済改革研究会 ( 座長,平岩外 四,前経 団連会長) に よって1 99 3 年 1 2 月 1 6日に最終報告 として公表 された 「 経済改革 について」があ る

同報告書 は下記の ような基本的考 え方 を示 し,規制緩和 に関す る今 日的な

f

1 定式化 とみな されるに至 っている

i)経済的規制 は,「 原則 自由 ・例外規制」

i i )社会的規制 は,「 必要最小 限な規制内容」 とし,「 不 断 に見直 し,透明, 簡素 な もの」 とす る。

i i i )当面の規制緩和 の重点は,土地 ・住宅分野,流通等非効率産業分野,農 業分野,輸入関連分野,情報 ・通信分野等 とす る

か くして,利用者 公衆の利益 を保護す る とい う目的のため に伝統的 に自然的 独 占産業 として政府等の公共団体 によって経済的規制 を受 けて きた公益事業 に

も, この ような規制緩和推進が波及 して きている

こう した規制緩和潮流 を背景 としなが ら,本稿 の第 1の課題 は,公益事業 は 公共性 と効率性 を両立 させ る ものでなければな らない とい う基本的立場 に立脚 した上で,公益事業 の経済的規制緩和 ( 経済的規制 を含めた) は,理論 的にど の ようなシステムによって構築 されるべ きであるか を考察す ることである

しか しなが ら, この第 1 の課題 を考察す る第 1 の前提 として,公益事業地位

の基本的標識 として容認 されている 「 サー ビス ( 財)の必需性」 と 「自然的独

占性」 について考察す る

第 2 の前提 として,第 1の前提 である公益事業の基

(3)

1 41

本的標識 を踏 まえて,公益事業規制の理論 的根拠 について考察す る

第 3 の前 提 として,第 2 の前提 である公益事業規制の理論 的根拠 を踏 まえて,公益事業 の経 済 的規 制 内容 につ い て考察す る 第 4 の前提 と して, どの ような背景 に よって,第 3 の前提 で考察 した公益事業 の経済的規制が緩和 されるようになっ て きたのか について考察す る

第 2 の課題 は,第 1 の課題で取 り扱 った公益事業の経済的規制緩和 ( 経済的 規制 を含めた)が,現在 のわが国の社会経済環境 の下で,具体的に どの ような 機関 によって構築 されるべ きであるか について考察す ることである

第 3の課題 は,第 2の課題 で究明 された機 関 によって構築 された公益事業 の 経済的規制緩和 ( 経済的規制 を含めた)が現実の経済活動の中で公益事業の公 共性 と効率性 を両立 させ ているか どうかについて, どの ように検証 したな らば 適正であるのか を考察 し, さらに,その検証が民主的な手続 きを経 なが ら理性 的に公正 に判 断 されて累積 的な発展過程 を示 して制度化の方向 に導かれてい く ため には, どの ような機 関が担 当す ることが適正 であるか を考察す ることであ る

〔2 〕 公益事業の基本的標識

ある特定の産業が公益事業地位 を有す る と認識 されるのは,「 サー ビス ( 財) の必需性」 と 「自然 的独 占性」 の 2 つの基本的標識が具備 されている場合であ ることは, これ まで内外 の研究者の一致 している点である

しか し,その内包 は必ず しも明確 な ものではない。それゆえに上記 の 2 つの標識 について詳細 に 考察す る

( l) サ ー ビス ( 財) の必需性

公益事業学会規約第 6 条 に公益事業の用語 としての意味 を次の ように示 して

い る

「 公益事業 とは, われわれの生活 に 日常不可 欠の用役 を提供す る一連 の

事業 の ことであって,それ には電気,ガス,水道,鉄道,軌道,自動車道,バ ス,

(4)

1 42

定期 船,定期航空,郵便,電信電話,放送等 の諸事業が包括 される。 」 この用 語の意味か ら理解 される ように,公益事業 の供給す る用役 ( 財) は,われわれ の 日常生活 に不可 欠な用役 であ る とい うこ とであ る 。 す なわち, この ことは サー ビス ( 財)の必需性 を意味 しているが,決 っ して一義 的に規定 され うる性 質の ものではな く,多義性 を有す る ものである

そ して,その多義性 は公益事 業サー ビスの特殊性 に由来 している

それゆえに,その特殊性 について考察す る

公益事業サー ビス ( 財)の第 1の特殊性 は,サー ビスの非貯蔵性 である

一 般的 に農工業 によって生産 される生産物 は,ある程度の期 間,貯蔵可能である が,公益事業サ ー ビス ( 財)の貯蔵性 は皆無 ない しは甚 だ僅少である 。

例 えば,電気通信事業サー ビスの場合,需要が何時発生す るか判 らない し, また,通信相手が同時 に参加す ることによってサー ビスの効用が実現す る もの であるがゆえに,貯蔵性 は皆無 である。旅客運輸事業の場合,利用者 を不定時 ・ 長時間待 たせ ることが殆 ど不可能であるが ゆえに,貯蔵不可能 な事業である

貨物運送事業 の場合,多少の貯め置 き運送が可能であるが,その場合 にはサー ビス供給の劣悪 を意味す る

公益事業 の中で最 も貯蔵性がある といわれている 水道事業で さえ,貯水池等 の規模 を無制限 に拡大す ることが不可能であるので, 貯蔵性 に限度がある

なぜ な らば,貯水池等の用地確保が地理 的,物理的 に限 度があるだけでな く,設備投資が極 めて巨額 とな り,施設利用率が悪 くな り, それだけ需要者 に経済的負担 を強いることになるか らである

第 2 の特殊性 は,サー ビスの非移転性 である

公益事業サー ビス ( 財) を生

産す るため には,土地 に固着 した具体的な設備 を必要 とす る

そ して,生産 さ

れたサー ビス ( 財) を生産者か ら消費者‑供給す るにさい しては,土地 に固着

した何 らかの特定の通路 を設けて直接配送す る特殊 な運輸業的性 質を有 してい

それゆえに,公益事業 は特定の通路 な しではサー ビス供給が不可能 な産業

(5)

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である

すなわ ち,鉄道事業の場合,旅客や貨物 の輸送サー ビスは線路 の連続 してい る所 に限定 されているように, また,電気事業 ・ガス事業 ・水道事業の場合, 電気 ・ガス ・水道水の供給 は電線 ・ガス管 ・水道管の連続 している所 に限定 さ れているように,公益事業サー ビス ( 財) は特定の通路の存す る所 しか供給 さ れえない ものである

それゆえに,公益事業 はサー ビスの非移転性 とい う特殊 性 を有す る産業である

また,それぞれの公益事業 の特定の通路 は直ちに特定 の営業地域 を固定化す るがゆえにサー ビスの非移転性 だけでな く,後述する地域 自然独 占性 と大 きな 関連性 を有す るようになる

第 3の特殊性 は,需要の随時性 と即時性 とい うことである

この 2つの特殊 性 は,公益事業サー ビス ( 財)供給 に対 して需要者が随時 にかつ即 時 に需要 に 応 じることを求めている とい うことである

例 えば,鉄道事業,航空事業,電気通信事業 のサ ービス を利用 しようとす る 需要者 は,何時で も速やか に利用で きることを求めてや まない し, また,電気 事業, ガス事業,水道事業が供給する有形 的物資 を利用 しようとする場合 も同 様であることか ら,需要 の随時性 と即 時性 は,公益事業サー ビスの必需性 に付 随す る特殊性 である

当然の ことなが ら,サー ビスの質が一定であることを前提 とした場合,需要 の随時性 と即 時性 が充 た されていればいるほ ど, 当該公益事業 は信頼 に足 る サー ビス供給 に応 えているのである

それゆえに,需要の随時性 と即時性 を恒 常的 に実現 させ るため には,最大消費時の消費量 に応 じたサー ビス供給施設が 準備 されていなければな らない。そ して, この施設が準備 されていればいるほ

ど公益事業 の公共性が充 た されていることに繋が るのである

しか しなが ら, ピー ク時の需要 に見合 う施設能力 を有す る とい うことは,巨

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額 な資 本投下 と資本の固定化 と, オフ ・ピー ク時 における遊休施設 を強いるこ ととな り,施設利用率 を低下 させ,消費者 に高料金 を負担 させ ることに繋が っ てい くことで もある

これ まで,公益事業地位の基本的標識である 「 サー ビス ( 財)の必需性」 の 特殊性 として,サー ビスの非貯蔵性 ・非移転性,需要の随時性 ・即時性 とい う 属性がある とい うことを考察 して きた。 この ような特殊性 は,われわれの 日常 生活 に不可欠な物資 を供給 していることに関 しては公益事業 と同様であ る食料 小売業 な どの事業 には存在 しない。それゆえに,公益事業地位の基本的標識 と しての 「 サー ビス ( 財)の必需性」 は,一義的 に定義 されえず,上記の ような 特殊性 を有 している とい うことである

換言す るな らば, これ らの特殊性 は,公益事業地位 ( ステ イ‑ タス)の基本 的標識 と しての 「 サ ー ビスの必需性」 に継続企業性 をよ り一層涼み込 ませ て,

「 サー ビスの必需性」 とい う基本的標識 に重厚 さを加 えている

それゆえに, これ らの特殊性 は,公益事業独 自の公共性 の淵源 となっている

( 2) 自然的独 占性

公益事業 の 「自然的独 占性」 の理論 的源泉 は, ジ ョン ・ステユアー ト・ミル

の 1 8 4 8 年 の 『 経済学 原理」 】にみ られ る

ミルは, 『 経済学 原理

の中で, ガス

や水道等 の分野 における各会社 の統合 による利益 について次の ように述べてい

る。「た とえば,現在 ロ ン ドンにはガス会社 ,水道会社 がそれぞれい くつ も存

在す るのであるが, もしも, ロ ン ドンがただ一個の ガス会社 または水道会社 か

ら供給 を受 ける ようになったな らば,そ こか らどれほ ど大 きな労働の節約が生

ず るか, これはい うまで もな く明 らかなことである

た とえ二会社 しか存在 し

ない と して も,それはやは りすべ ての設備の重複 を意味す る

が しか し一会社

だけである とす る と,その設備 を少 し拡張 しさえすれば,全部の作業 を立派 に

や ってゆけるであろ う。

(7)

1 45

お よそ真 に公共的な重要性 を有す る事業 であって, しか も大規模 に営 んでは じ めて利益 をあげ うるが ゆえに競争の 自由がほ とん ど許 されない もの においては, 社会 に対 してただ この一つのサ ー ビスをなすために数組 の高価 な設備が並 び存 す る とい うことは,公共の資源の配分 として まことに不経済 なことである

こ の ような事業 は, ただち にそれ を公営事業 とす る方が はるか にいい ものであ

.王3

。 」

「 規模の経済性」 と 「 公共資源の浪費排 除」達成のため に競争原理が十分 に 機能 しない分野がある とい う ミルの この 自然的独 占性の主張 は,わが国 におい て現実の こととして表面化 した。具体例 として次 の ような事例 を指摘 す ること がで きる

. 土 3 千代田ガス と東京 ガスの抗争

明治 1 8 年 に東京府 ガス局の払下 げを受 けて創立 された東京 ガスの経営 は順調 であ った。そ して, 日露戟争後の産業興隆期 を向か え, ガス事業会社 は全国各 都市 に相次 いで設立 され,千代 田ガス会社 もその中の一つ として明治43年 に設 立 された。そ して同一供給 区域 に二つの ガス会社が営業することとな り,激 し い顧客争奪競争 となった。 また,同一道路 に両会社 のガス管が埋設 されたため, 交通事業 は悪 くな り都市経営上弊害が多 くなって きた上 に,商店街 にも支障 を

きたす ようになって きた

か くして, この ような競争激化 によって,いずれ両社が共倒れ になるか,一 社が生 き残 った場合,高料金が課せ られる ようになる とい うことが需要者 に確 信 されるようにな り, この競争激化 による利用者公衆の利益 は一時的な もの に 止 ま り,余弊 を償 うに足 りない との認識が広 まって きた。そ こで,東京府の斡 旋 によ り両社 の合併が明治44 年末 に行 なわれ,東京 ガスは千代 田ガスの財産お

よび全従業員のいっさい を引 き受 けることとなった。

干i

東京地 区での三電競争

(8)

1 4 6

明治末期 か ら大正初期 にかけて,大規模水力発電 の飛躍 的な発達 と電気事業 保護助長政策の 目的の一つ としての電気普及促進 を背景 として,全国に電気事 業者の開業が相次 いだ。東京や東京周辺 に も東京鉄道 ( 明治40 年),利根発電 ( 明 治 4 3 年), 日本電燈 ( 明治 4 4 年),鬼努川水力発電 ( 大正元年),桂川電力 ( 大 正 2年),江戸川電気 ( 大正 2年),猪苗代水力発電 ( 大正 3年)な どが開業 され, 供給 区域 の重複許可 によって,老舗 の東京電燈 ( 明治 1 6 年) と新興 の各社 との 間において激 しい競争 となって きた。

そ こで,東京電燈 では,利根発電,猪苗代水力発電 と電力需給契約 を締結, 大正 6 年 には江戸川電気 を買収 し競争 に対処 した。東京鉄道 は明治 4 4 年 に東京 市 に買収 され,経営 は東京市電 とな り,東京市電 は鬼努川水力発電 と大 口供給 契約 を結 び,主 と して山の手方面で東京電燈 との激 しい競争 を した。 また, 冒 本電燈 は,桂 川電力か ら受電す る契約 を結 び,主 として下谷,浅草方面で東京 電燈 と激 しい競争 を した。

こう して,東京電燈,東京市電, 日本電燈の三社 間で東京市 における需要者 争奪競争が行 なわれるようにな り,年 々,激化 の一途 をた どった。た とえば, 一軒の家 に三社 の引込配電線が張 られていることもあ り,新規需要者 か らは料 金 を当初 において徴収 しない場合 もあ り, さらに各社が相次いで料金値下げ競 争 を したため に料金 は不 当 に低下 して採算 を割 るまで に至 った。 その反面,読 争 区域外 ではサ ー ビスは悪化 し,需要者の不満 は次第 に増 していった。

この ような激 しい競争 を憂慮 した東京電燈 は,大正 2 ( 1 91 3 ) 午, 日本電燈

との合併 を企てたが失敗 に終 った。 さらに同年末,東京市長阪谷芳郎 は渋沢栄

一,森村市左衛 門等 の斡旋 で東京電燈, 日本電燈 を東京市電 に買収す る案 を企

てたが不調 に終 り,引責辞任 した。次の市長奥 田義 人は電気供給整理案 を立案

して斡旋 した結果,大正 6 年 7 月1 2 日に三電気事業者 ( 東京電燈, 日本電燈,

東京市電)間に協定が成立 し,1 0数年 にわたる電燈需要者争奪競争 もようや く

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幕 を閉 じることとなった。 これが,いわゆる 「 三電協定」 と称 されるもので, その概要 は三電各社 間の競争 を避けるため,新規需要 に応ずる地域 を画定する ことによって供給秩序の維持 を図る とともに,料金その他の供給条件 を衡平均 等 に して利用者公衆の利益 を増進 しようとする ものであった。

以上の ような事例か らも理解 されるように,サー ビス ( 財) を市場 に供給す るにさい して,複数以上の企業が多元的に市場 に供給す るよ りも単数の企業が 一元的に市場 に供給 した方が供給 コス トが低 くなる とい う規模の経済が作用す る産業 に, 自然的独 占性が適合するのである

そ して, この ような産業 に共通 することは,われわれの 日常生活 に必需 なサー ビス ( 財) を供給 している産業 である とい うことと,そのサー ビス ( 財)の供給のために大規模 なネッ トワー ク施設 を必要 とす る産業であるとい うことである

そ して,その ネッ トワーク 施設 にさい して巨額な資本投下が余儀 な くされ,投下資本の固定化の割合が大 きく,かつ支払利息等の固定費用の割合が大 きい産業であるとい うことである

したが って, こうした産業 を自由競争 にまかせてお くと,必要以上の設備の 重複 とい う経済資源の浪費 を招 き, どの企業 も十分 な規模の経済 を達成するこ

とがで きな くなるだけでな く,消費者 を獲得す るために料金値下げ競争 を招 き, 企業の存続 を不可能 に して しまうような破滅的競争の様相 をもた らす ようにな る

す なわち, この ような破滅的競争 は一時的にサー ビスを向上 させ,又は料 金や運賃等の値下げを して,利用者公衆 にとって利益が もた らされるが, コス トを割 ったサー ビス供給 は継続す るこ とが 出来ず,遂 にはサー ビス供給 の中 断 ・放棄又 はサー ビス供給 内容の劣悪化 をもた らす ようになる

それゆえに,われわれの 日常生活 に不可欠な用役 ( 財) を供給 し,かつ,そ

のための大規模 なネ ッ トワーク施設 に巨額の資本投下が余儀 な くされる産業で

ある電気事業, ガス事業,鉄道事業,水道事業 などの公益事業は, この ような

破滅的競争の経験 をとうして競争 によるよ りも独 占によって経営 された方が供

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給側 に とって も需要者側 にとって も利益 となる とい うことが,当然の こととし て容認 されるようになったのである

いわゆる, この ことが公益事業の 自然 的 独 占性 と称 され,サー ビス( , g) の必需性以外の もう一つの公益事業の基本的標識

として容認 され,公益事業独 自の公益性の淵源 となっているのである

〔3〕 公益事業規制の理論的根拠

ここでは, これ まで考察 して きた公益事業 の基本 的標識 であ る 「 サー ビス ( 財)の必需性」 と 「自然的独 占性」 をとお して,公益事業規制の理論的根拠 について考察す る

公益事業のサー ビスは,われわれの 日常生活 に不可欠なサー ビスであるので,

や 「 サー ビス供給の差別的取扱いの禁止お よび差別価格 の禁止」が要請 されて いる。それゆえにこれ らの要請が公益事業 によって遵守 され,利用者 ( 需要者) 公衆の利益が保護 されるように規制 とい う公の手が不可欠 となって きたのであ る

また,公益事業サービスは必需性が高 く,代替性 に乏 しいので,消費者の需 要の料金弾力性が一般的に小 さい。 したが って, 自然的独 占性 とい う基本的標 識 を有する公益事業 は,料金引上げによって容易 に超過利潤 を追求することが

1 i 5

可能である。それゆえに,利用者公衆 を公益事業の上記の ような独 占の横暴 ・ 弊害 ( 暴利 ・サービスダウン ・不当差別取扱 ・需要不即応等)か ら保護す るた めに規制 とい う公の手が不可欠 となって きたのである

すなわち,公益事業の 目的である利用者公衆の利益保護 を達成す るためには,

規制 という公の手が公益事業 に導入 され,実践 されなければならな くなって き

た とい うことである

規制 とい う公の手の導 入 と実践 を理論的に整理すれば,

公益事業規制 は,マ クロ的 には資本主義社会 において 自律 的調節作用 を遂行す

べ き自由競争市場が無機能化す る分野で競争 に代替す る とい う機能 を果す もの

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と して, ミクロ的 には,公益事業 を とりま く利害関係者の利害調整 とい う機能 を果す もの として制度化 されて きたのである

それゆえに,公益事業規制 は, 社会経済情況 と相関関係 にある人間の主体的な 目的意思の達成 を意図す る制度 として成立 した ものである

したが って,公益事業規制 は,単 なる自然的諸要 素の均衡 ではな く,公益事業 の 目的あるいは課題 と結合 し,社会経済情況の変 化 に応 じて不 断の再吟味お よび再組成 を必要 とす る人為 的 システムか ら形成 さ

:

L れて きた ものである

〔 4 〕 公益事業の経済的規制内容

公益事業規制の理論 的根拠が理解 されたことを踏 まえて,公益事業の経済 的 規制内容 について考察す る

公益事業規制 は,利用者公衆の利益 を保護す るため に,当該公益事業への参 入 ・退 出,料金,サー ビス ( 財)の量 と質,設備投資,財務会計等 に関 して規 制す る経済的規制 と,消費者や労働者の安全 ・健康確保,環境保全,公害の防 止,災害の防止等 に関 して規制す る社会的規制 とに一般 的に分け られる

ただ, 実際問題 として,経済的規制 と社会的規制 とに明瞭 に区分で きない規制 もある

た とえば,サー ビス ( 財) の量 と質に関す る規制の場合 ように,社会的規制の 要素 もあるか らである

か くして,厳密 な意味で公益事業規制 は,経済的規制 と社会的規制 を明瞭 に 区分で きないが,本論文では主 として公益事業 の経済的規制緩和 について論究 するがゆえに, ここでは,その前提 としての公益事業の経済的規制内容 につい て考案す る

( 1) サ ー ビスの供給義務規制

この規制 は,公益事業が地域社会の利 用者公衆か らサー ビス ( 財)の供給 を

求め られた場合,それ を拒否す ることが出来 ない とい う義務が課せ られている

経済的規制である

それでは, なぜ 公益事業 に対 してサー ビス供給義務が課せ

(12)

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られているか といえば,利用者公衆の不断必需性が高いの に加 えて供給独 占の 性格が極めて強い地域 自然 的独 占の公益事業 か ら利 用者 公衆がサ ー ビス供給 を 拒否 されたな らば,同質のサー ビス ( 財) を供給 されることが極めて困難 とな り, 日常生活が不安定 となるか らである

したが って, この ようなことが生 じ ない ように,公益事業 に対 してサ ー ビス供給責任が課せ られているのである

また,サー ビス供給義務規制 には,サ ー ビス即応 の義務 も包摂 されている

なぜ な ら,公益事業 の利用者 公衆の需要 は随時性 と即時性 とい う特殊性 を有 し, サ ー ビスは非貯蔵性 と非移転性 とい う特殊性 を有 してお り,更 にこれ らに地域 自然的独 占が拍車 をか けているか らである

それでは,諸個別事業法 にどの ようにサ ー ビス供給義務が規定 されているか 考察す る

電気事業法第 1 8 条第 1 項 は,「 一般電気事 業者 は,正 当な理 由な しに供給地 域 の需要者 に供給 を拒 んで はな らない。 」 と規定 している

ガス事業法第 1 6 条 第 1 項,熱供給事業法第 1 3 条第 1 項,水道法第 1 5 条第 1 項,電気通信事業法第 3 4 条 も同趣 旨である

道路運送法第 1 3 条 は,一般旅客 自動車運送事業者 の運送引受義務 を規定 して いる し,鉄道営業法第 6 条 は貸物 についての運送引受義務 を規定 している

以上の規制条項 か らも推察 されるように,サー ビス供給義務が必ず しも地域 自然 的独 占供給 の公益事業 にだけ課せ られているのではな く,需要者構造の多 様化 お よび急速 な技術進歩 に ともなって競争が余儀 されている公益事莱 ( 電気 通信事業,一般旅客 自動車運送事業) に も課せ られている

したが って, この ような競争導入 によってサー ビス供給義務規制の存在が小 さ くなっている公益事業 に,サー ビス供給義務がい まだに規定 されている とこ ろに,公益事業 の経済的規制緩和が推進 されるようになって きたのである

( 2) 不当な差別的取扱 いの禁止規制

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1 51

この規制 もまた,利用者公衆の利益 を保護す るための規制である

す なわち, 公益事業 は利 用者公衆 の不断必需性が高 いの に加 えて供給独 占の性格が極めて 強い事業 であることか ら,利用者公衆の需要 にさい して事業者 は公平 にサー ビ ス供給 しなければな らない とい う義務が課せ られているのである

す なわち, この義務規制 は,サ ー ビスの内容 と料金の双方 について公平 な取扱 い を しなけ ればな らない ことを意味 している経済的規制である

この場合,公平 とは必ず しも均一又は同一の意味ではない。た とえば,鉄道 やバ スを利用 して通学 している学生 と通勤 しているサ ラ リーマ ンは社会的経済 的に同一の条件 であ りえないので,同一の割引率の定期券ではない。 したが っ て,上記の この ことか らも理解 されるように, この場合の公平 とは,同一種類 の同一条件 の利用者公衆 に対 して同一サー ビスや同一料金で供給す る とい う意 味である

それでは,諸個別事業法 にどの ように不当な差別的取扱 いの禁止が規定 され ているか を考察す る

電気事業法第 1 9 条 第 2 項 第 4 号 は,「 特定の者 に対 して不 当な差別的取扱 い をす る ものでない こと。 」 と規定 している

電気通信事業法第 7 条 ・第31 条第 2 項第 5 号, ガス事業法 第1 7 条第 2 項第 4 号,熱供給事業法第1 4 条第 4 項第 4 号,水道法第 4 条第 4 項 第 4 号,鉄道事業法第1 6 条第 2 項 第 2 号,道路運送法 第 9 条第 2 項 第 2 号,貨物 自動車運送事業法 第 25 条第 2 項,貨物運送取扱事業 法第1 3 条,航空法第1 05 条第 2 項第 3 号 も同趣 旨である

C

郵便法第 6 条 には,「 何人 も郵便 の利用 について差別 されることはない。 」 と 規定 されている

利用者公衆 の需要 にさい して事業者 は公平 にサー ビス供給 しなければな らな

い とい う上記 の 「 不当な差別的取扱 いの禁止」規定 は,公益事業の公共性 と軌

を一 にす る ものである と同時 に公益事業 の効率性,企業性 に も抵触す る もので

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ない。それゆえに,同規定 は,社会経済環境 の変化 に左右 されることな く遵守 されてい くべ き規制である

( 3) サー ビス ( 財)の質 ・量規制

この規制 は,公益事業がサー ビス供給す るにさい して,安全 ・良質でかつ充 分 に供給することを義務づ けている規制である

す なわち, この規制 を必要 と す る理 由は,公益事業 の場合,一般 的に地域 自然的独 占であるので競争が な く, た とえ競争がある として も極 めて不完全であるので,利用者公衆が充分 にサー

ビス供給 を受 け られるように保障 されることを意味 しているか らである

また, 激 しい競争の中で品質の改良 につ とめ市場拡大 に努力 している一般私企業 と異

な り,公益事業 はサー ビスの質の改良 を誘 因す る契機が極 めて乏 しいので,安 全で良質なサー ビス ( 財)が供給 されるように規制 されているのである

具体 的 には,安全で良質なサ ー ビスの充分な供給が確保 され,利 用者 公衆の 利益が保護 されるように,公益事業 のサー ビス内容や設備 についての基準や検 査制度が規定 されている規制である

一般 的 に公益事業では,サー ビスの質 を 落せ ば コス トが安 くな り,サー ビスの質 を上 げれば コス ト増 となる

したが っ て,公益事業サー ビスは料金の カウンター ・バ ランスを成 していることか ら, この規制は,社会的規制 と経済的規制の双方の要素 を有 している規制である

それでは,諸個別事業法 に どの ようにサー ビス ( 財)の質 ・量が規定 されて いるか を考察す る

電気事業法第 2 6 条第 1 項 は,「 一般電気事業者 は,その供給 す る電気 の電圧

及び周波数の値 を通商産業省令で定める値 に維持す るように努めなければな ら

ない。 」 と規定 し,同 3 0 条 は, 「 通商産業大 臣は, 一般電気事業者 の供給する電

気の電圧又 は周波数の値が第 2 6 条第 1 項 の通商産業省令で定める値 に維持 され

ていないため に,電気の使用者 の利益 を阻害 している と認 める ときは, 一般電

気事業者 に対 し,その値 を維持す るため電気工作物 の修理又は改造,電気工作

(15)

1 5 3

物 の運用 の方法 の改善 その他の必要 な措置 をすべ きことを命ず るこ とがで き る。 」 と規定 している

ガス事業法第 2 ユ条 は,「 一般 ガス事業者 は,通商産業省令 で定める ところ に よ り,その供給す るガスの熱量,圧力及 び燃焼性 を測定 し,その結果 を記録 し ておか なければな らない。 」 と規定 している

水道法第20 条第 1 項 は, 「 水道事業者 は,厚生 省令の定め る ところによ り, 定期 及び臨時の水質検査 を行 なわなければな らない。 」 と規定 している

上記 の規定か らも推察 されるように,公益事業のサー ビスの質 ・量規定 は, 公益事業の種類 によって異 なる ものであ り,その基準 は客観的 に統一で きる性 質の ものでない。それゆえに,公益事業サ ー ビス ( 財)の質 ・量 に関 して、諸 個別事業法 は完全 な もの とはいえず,当該公益事業の技術基準省令等の規定 に よって補完 されて,安全で良質なサービスの充分 な供給が確保 され,利用者公 衆の利益が保護 されているのである

( 4) 事業 の休止及 び廃止並 びに法人の解散規制

公益事業サー ビスは,供給地域 の利用者公衆の 日常生活 に不可 欠な必需用役 ( 財) であ り,貯蔵性の欠 くものであ り, た とえ貯蔵性 を有す る として も極め て僅少であるので,公益企業が経営活動 を休止 した り廃止 した り叉は解散 した りす る と利用者公衆 は多大 な損失 をこうむることとな り,公共性が 阻害 される こととなる

したが って,公益事業サー ビスの休止 ・廃止又 は解散 については 規制の対象 となるのである

それでは,諸個別事業法 にどの ように事業の休止及び廃止並 びに法人の解散 が規定 されているかを考察す る

ガス事業法第 1 3 条 第 1 項 は,「ガス事業者 は,通商 産業大 臣の許可 を受 けな

ければ,一般 ガス事業 の全部又は一部 を休止 し,又 は廃止 してはならない。 」

と規 定 している

同条 第 2 項 は,「 一般 ガス事業者 たる法 人の解散 の決議文 は

(16)

1 5 4

総社員の同意は,通商産業大 臣の認可 を受けなければ,その効力 を生 じない。 」 と規定 している

そ して, 同条第 3 項 は,「 通商産業大 臣は,一般 ガス事業の 休止若 しくは廃止又 は法人の解散 によ り公共の利益が阻害 されるおそれがない と認めるときでなければ,第 1 項の許可又は前項 ( 第 2 項)の認可 を してはな らない

。」

と規定 している

電気事業法第1 4 条,電気通信事業法第1 8 条,熱供 給事業法第1 1条 も同趣 旨である

水道法第 11 条 は,「 水道事業者 は,給水 を開始 した後 においては,厚生大 臣 の許可 を受けなければ,その事業の全部叉は一部 を休止 し,叉は廃止 してはな らない。 」 と規定 してお り,法 人の解散 についての規定 はないが,業務継続供 給の義務 を規定 し,利用者公衆の利益 を保護 している

鉄道事業法第2 8 条,軌 道法第26条 ( 鉄道法第28条の準用),道路運送法第38条,海上運送法第1 5 条, 港湾運送事業法第2 0 条,航空法第11 7 条 も同趣 旨である

( 5) 公益事業の参入規制 と独 占禁止法の適用除外

われわれの 日常生活 に不可欠な用役 ( 財) を供給 し,かつ,そのために大規 模 なネ ッ トワークを有す る産業 である電気事業,ガス事業,鉄道事業,水道事 業 な どの公益事業 は,競争 によるよ りも独 占によって経営 された方が供給者側 と需要者側の双方 にとって利益 となるとい うことが,当然のこととして容認 さ れるようになったことについては,すでに 〔2 〕の ( 2 )の 自然的独 占性で考察 し た。

それでは,わが国の場合,具体的にどの ような規制によって公益事業サー ビ ス ( 財)の供給独 占が保障 され,不安定 な競争派生 を防止 しているかについて 言 及す るな らば,「公益事業 の参入規制」 と 「 独 占禁止法の適用除外」 を指摘 することがで きる

① 公益事業の参入規制

規模の経済性 を確保 して生産性 を高めて利局者公衆 に廉価 な料金でサービス

(17)

1 55

供給す ることが,利用者公衆の利益 を保護す ることと軌 を一 にす るとい う観点 か ら,特定の一公益企業又 は少数の公益企業 だけに参入を認めて,それ以外の 公益企業の参入を制限す るとい うことが,公益事業の参入規制である

公益事業の参入規制方法 として,許可,認可,特許,免許,届出,登録 など の行政手続 きがある

り 王 T まず,「 許可」 とは,一定の行為が法令 によって一般的 に禁止 されている場 合 において,国民がその解除 を申請 した場合 に公益上の支障の有無 を審査 した

1.

上で許可 を与 えて,その 自由を回復 させ る制度である

「 認可」 とは,契約 な どの一定の法律 的行為 について認可がなければ効力が 生 じない とす る一般的規定 を設けてお き,国民が認可 を申請 した場合に公益上 の支障の有無 を審査 した上で認可 を与 え,その法律 的行為 をさせ る制度である

「 特許」の意味は,法律上の権利,能力 を賦与す ることによって権利 ・義務 の法律 関係 を発生 させ る行為であるが,公益事業の規制 に関する特許 としては, 軌道法第 3 条 ( 軌道 ヲ敷設 シテ運輸事業 ヲ経営セ ン トスル者ハ主務大巨の特許

ヲ受 クベ シ) だけである

「 免許」の意味は,酒類販売業の免許 ( 酒税法第 9 条第 1 項)の ように学術上,

「 許可」 と同意義 に用い られる場合 と,軌道事業の特許 ( 軌道法第 3 条) と同

′土 丁

意義 に用い られる場合がある

以上の 「 許可

「 認可

「 特許

「 免許」の定義 は学術上 の概念であって,実 定法上では許可 と認可 と特許 と免許が混用 され,必ず しも統一 されていな い。

「 届出」 ・ 「 登録」 とは,事前 に届出や登録の義務 を定めてお き,届出や登録 がなされた場合,その内容 について行政機関が公益上の支障が生ず るおそれが

(

王 T

ある と認めた ときに必要 な命令 を行 う権限 を有す る制度である

許可,認可,特許,免許,届出,登録 な どの規制 に共通す ることは,事前 に

行政機関の抑制措置が作用 している とい うことである

当然の ことなが ら, こ

(18)

1 5 6

の ような抑制措置作 用は,国民経済の健全 な発展,利用者 公衆の利益保護 な ど 広 く公共の利益の維持 ・発展 に資す る ものでなければな らない ことはい うまで

もない ことである

それでは,諸個別事業法 に どの ように して,許認可等の用語 をともなった参 入規制が規定 されているか を考察す る

電気事業法 第 3 条 は,「 電気事業 を営 もうとす る者 は,通商産業大 臣の許可 を受 けなければな らない。 」 と規定 して,当該電気事業 会社 の参入 について所 管大臣の許可行為 を義務づ けている

また,許可の申請の手続 きを法定 し ( 同 法第 4 条 ( 許可 申請)),かつ,許可 の基準 を法定 ( 同法第 5 条 ( 許可基準) )

して,電気事業サー ビス供給の過度競争防止の観点か ら需給調整 されるように, 所管行政機関は参入規制 している

電気通信事業法 〔 第 9 条 ( 第一種電気通信 事業 の許可 と許 可申請),同法第1 0条 ( 許可基準) 〕,ガス事業法 〔 第 3条 ( 許可), 第 4条 ( 許可 申請),第 5条 ( 許可基準) 〕,貨物 自動車運送事業法 〔 第 3条 ( 許 可),第 4条 ( 許可 申請),第 6条 ( 許可基準) 〕,貨物運送取扱事業法 〔 第 3条 ( 許 可),第 4条 ( 許可 申請),第 6条 ( 許可基準) 〕,内航海運業法 〔 第 3条 ( 許可), 第 4条 ( 許可 申請),第 6条 ( 許可基準 ) 〕 も同趣 旨である

水 道法第 6 条第 1項 は,「 水道事業 を経営 しようとす る者 は,厚生大 臣の認

可 を受 けなければな らない

。」

と規定 し, 同条第 2 項 は,「 水道事業 は,原則 と

して市町村が経営す る もの とし,市町村以外の者 は,給水 しようとす る区域 を

その区域 に含 む市町村 の同意 を得 た場合 に限 り,水道事業 を経営す ることがで

きる もの とす る。 」 と規定 している

そ して,同法第 7条 は,「 認可の申請」 を

規定 し,同法第 8条 は,「 認可の基準」を規定 している。上記の第 6条,第 7条,

第 8 条 は,地方公営 を原則 として,需給調整 と安全性が遵守 され,利用者公衆

の利益が保護 されることを意味 している規定であ り,それゆえ,参入規制 を間

接 的 に規定 している。。

(19)

1 57

軌道法 第 3 条 は, 「 軌 道 ヲ敷設 シテ運輸 ヲ経営 セ ン トスル者ハ主務大 臣 ノ特 許 ヲ受 クベ シ」 と規定 し,路面電車等 の軌道事業の競争 を規制 している

一般 的 に公益事業 は,公道,公共用地,公共水面 ・河川等 の公共財産 を使用 しなけ れば,サー ビス供給す る ことが不可能 な産業である

それゆえに,公共財産 を 管理す る国や地方公共団体 は,経営活動 をなす個別の公益企業 に対 して利用者 公衆の利益 を保護す ることを義務づ ける と同時 に公共財産 を使用 ・占用す る権 利 ・能力 を賦与す ることを制度化 したのである

ところで,現在,軌道法 にのみ特許 とい う形で参入規制が残 っていることは, 軌道事業経営 に公道等の 占用が不可欠であるがゆえに,その占用の権利 ・能力 の賦 与 には利用者公衆の利益 を保護す ることが重 く義務づ け られていることを 意味 している

しか し,現実的 には許可 と同意義である と理解 して よかろ う

鉄道事業法 第 3 条第 1 項 は,「 鉄道事業 を経営 しようとす る者 は,運輸大 臣 の免許 を受 けなければな らない。 」 と規定 し,参 入規制 を している

さらに免 許の申請の手続 きを規定 ( 同法第 4 条) し,かつ,免許の基準 を規定 ( 同法第 5 条) して,当該鉄道事業 の輸送供給力が輸送需要 に対 して不均衡 とな らない ように規制 している

この参入規制 は利用者公衆の利益保護 を目的 として,需 給調整 によって競争 を制限 している ものである

道路運送法 〔 第 4 条 ( 一般旅 客 自動車運送事業の免許),同法第 5 条 ( 免許 申請),同法 第 6 条 ( 免許基準) 〕, 航空法 〔 第1 00 条 ( 定期航空運送事業の免許 と免許 申請),同法 1 01 条 ( 許可基準) 〕, 海上運送法 〔 第 3 条 ( 一般旅客定期航路事業 の免許 と免許 申請),同法第 4 条 ( 免 許基準) 〕,港湾運送事業法 〔 第 4 条 ( 免許),同法第 5 条 ( 免許 申請),同法第 6 条 ( 免許基準) 〕,電波法 〔 第 4 条 ( 無線 局の免許), 同法第 6 条第 2 項 ( 放 送 をす る無線局の免許 申請),同法第 7 条 ( 免許 申請審査) 〕 も同趣 旨である

有線 テ レビジ ョン放送法 第 1 2 条 は,「 有線 テ レビジ ョン放送事業者 になろ う

とす る者 は, 当該有線 テ レビジ ョン放送の業務 区域 ,再送信業務の有無,その

(20)

1 5 8

他 郵政 省令 で定 め る事 項 を郵政大 臣 に届 け出 なけれ ば な らな

い 。

有線 テ レビ ジ ョン放 送事業者 が届 け出た事項 を変更 しようとす る ときも, 同様 とす る。」

と規定 し,有線 テ レビジ ョン‑ の参入 を届 出制 としてい る

す なわ ち, 公益事業‑ の参入の届 出制 とは,一定 の書式 に別 して所管行政機 関‑届 け出す るこ とに よって,その届 け出内容が資格要件や書式 に適 合 してい れば,参 入が可能 となる制度であ る

しか し,所管行政機 関がその届 出内容 に ついて公益上 の支障が あ る と認めた場合 ,参入が不可能 となる

したが って,上記 か らも推 察 され る ように公益事業‑ の参入の届 出制 は,参 入の事前抑制 を 目的 としてい るので弱 い参 入規 制であ る

電気通信事業法第 2 2 条 ( 一般 第二種電気通信事業 の届出) も同趣 旨であ る

電気 通信事業法 第 2 4 条 第 1 項 は, 「 特 別第二種電気通信事業 を営 もう とす る 者 は,郵 政大 臣の登 録 を受 けなければな らない。」 と規定 し,特 別第二種電気 通信事業‑ の参 入 を登録制 としてい る

一般 に登録 とは,一定 の法律事実又 は法律 関係 を所 管行政機 関 に備 える特定 の帳簿 に記載す る行為 を指すが, この場合 の登録 は,参入‑ の登録が参 入資格 要件 に合致 していることを所管行政機 関 に よって認め られた ことを意味 してい る

したが って,営業許可 に近 い意味 を有 している といえる

② 独 占禁止法 の適用除外

私的独 占の禁止 及 び公正取 引の確 保 に関す る法律 ( 昭和 2 2 年 4月 1 4日,法律

5 4 ,以下独 占禁止法 とい う)第 2 1 条 は, 「この法律 の規 定 は,鉄道事業,電気

事業 ,瓦斯事業 その他その性 質上 当然 に独 占 となる事業 を営 む者 の行 う生産,

販売又 は供給 に関す る行為であ ってその事業 に固有の もの については, これ を

適用 しない。」 と規定 してい る

す なわ ち, この条文 は, 当該事業 のあ る企業

が生 産 ・販売又 は供給 に関す る行為 ( 経営活動) をなす過程 で,独 占 として経

営活動 をなす こ とが一般消 費者 の利益 や公共 の利益や国民経済の民主的発展 に

(21)

1 5 9

とって,最 も自然的であ り,有効 的である場合 には,独 占禁止法の適用 を除外 すべ きである とい う内容であ り,独 占禁止法の 目的 を真 に達成す るため には, 同法が適用 しえない事業分野の経営体 もあ ることを意味 している

そ して,同 法が適用 しえない分野 として,公益事業 とい う用語 を直接 に示 していないが, 鉄道事業,電気事業,瓦斯事業 を例示 し, さらにその性 質上当然 に独 占 となる 事業 とい う表現で 自然的独 占事業 としての公益事業 を間接 的に示 している

また,公益事業 に関す る独 占禁止法の適用除外 については,独 占禁止法第21 条 だけで な く,「同法第22 条」 と 「 私 的独 占の禁止 及び公正取 引の確保 に関す る法律 の適用除外 に関す る法律 ( 昭和22 年 11 月 2 0 日,法律 1 38 ,以下適用除外法)

も関連 している

独 占禁止法第22 条第 1 項 は,「この法律 の規定 は,特定 の事業 につ いて特 別 の法律がある場合 において,事業者又 は事業者 団体が,その法律 文はその法律 に基 く命令 に よって行 う正 当な行 為 には, これ を適用 しない。」 と規定 してい る

しか し, この条項の 「 特定の事業 について特 別の法律」 とい うことが不明 確であ るので,同条第 2 項で 「 前項 の特 別の法律 は,別 に法律 を以 って これ を 指定す る。 」 と規定 してい る

す なわ ち, この 2 項 に基づ いて適 用除外法が制 定 されたのである 。

したが って,別の法律 としての適用除外法第 1条 に,特定の事業 について特 別の法律 として、下記 の法律 が規定 されている とともに, これ らの法律 に基づ

く正 当な行為 に対 して独 占禁止法が適用除外 となることも規定 されている

1 .陸上交通事業調整法 ( 昭和 1 3 年,法律 第71 号)第 2 条第 1 項 6 号 及 7 号 J =8

並びにこれ らの規定 に係 る同条第 2 項 2.食糧管理法 ( 昭和 1 7 年,法律第40 号)

3.損害保険料率算 出団体 に関す る法律 ( 昭和23 年,法律 第 1 93 号)

4.漁船損害等補償法 ( 昭和27 年,法律 第28 号)第 4 章第 1 節

(22)

1 60

5. 旧ポツダム宣言の受諾 に伴 い発す る命令 に関す る件 ( 昭和20 年勅令第 5 4 2 号) に基づ く命令 であ って,現 に法律 として効力 を有す る もの しか し,今村成和教授 は 「 独 占禁止法第22 条」 と 「 適用除外法第 1条」 に示 されている独 占禁止法の適用除外 としての事業 の範囲は,公益事業の範 囲 とい うよ りも公的規制の範囲 とい う側面か ら示 されている ものであ り,公益事業 に 関 しての独 占禁止法の適用除外 を明確 に示 している ものではない と主張す る

す なわ ち,今村 教授 は, これ らの事業 の範 囲 を, 「ア メ リカでい う re gul at ed

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l ndus t r i es が これ に当 り,公益事業 よ り広 い観念である

。 」

と主張 している

さらに,今村教授 は,これ らの事業 を,「自由競争原理が妥当せず,したが って, 許可制 によ り事業者 の独 占的地域 を保障す る反面 において,公衆の利益保護 の

,王

P ため に,料金その他 について高度の公的統制が加 え られる事業である

。 」

と主 張 している

た しか に上記 の適用除外法第 1 条の 2 ・3 ・4 ・5の法律 に示 されている事 業 は,高度 ( 政治的要 因を含 む)の公的規制が加 え られている事業であ り,公 益事業の範 囲である とは認め られな

い 。

しか し,同法第 1 条の 1の法律 に示 さ

ノ 土 1 「 )

れている事業 は,陸上交通事業であ り,「 サ ー ビスの必需性」と 「自然的独 占性」

とい う公益事業 の基本的標識が具備 されているので,公益事業の範時である と いえる

それゆえに, 「 独 占禁止法第 2 2 条」 と 「 適 用除外法 第 1 条 の 1 」 は,利用者 公衆 の利益 を保護す るため に,陸上交通事業 ( 鉄道事業,軌道事業,一般乗合 旅客 自動車運送事業)の 自由競争 を規制 し,参入 を規制 している法律 である

したが って,独 占禁止法第21 条 に規定 されている鉄道事業,電気事業, ガス

事業 の外 に,独 占禁止法第22 条 と適用除外法 第 1条 の 1に基づいて公益事業 の

基本的標識 の視点か ら吟味 された軌道事業 と一般乗合旅客 自動車運送事業 も,

利用者 公衆の利益 を保護す る視点か ら独 占禁止法が適用除外 される事業 であ り,

(23)

1 61

自由競争が規制 され,参入規制 されている事業である

( 6) 料金規制

公益事業の料金規制 は,公益事業の経済的規制の中心課題である

なぜ な ら, 全ての公益事業 において,個別の公益企業 と利用者公衆 との直接接点であるか

らである

す なわち,個別の公益企業 にとっては,経営財務上,継続企業 とし ての基本 にかかわる重要問題であ り,利用者公衆 にとっては,公正妥当な料金 で生活 に必需 な用役や財が随時 に即時 に供給 されるか どうか とい う問題 を有す るか らである

公益事業料金規制 は,一般的に政府の認可制 とされている

認可制の外に届 出制 と国会承認がある

それでは,諸個別事業法 にどの ように して認可等の周語 をともなった料金規 制が規定 されているか を考察す る

電気事業法第1 9 条 は,電気料金 について主務大臣の認可制 を定めた上で,下 記の ような認可基準 を定めている

i)料金が能率的な経営の下 における適正 な原価 に適正 な利潤 を加 えた もので あること

i i)料金が供給の種類 によ り定率又は定額 をもって明確 に定め られていること

i i i )特定の者 に対 して不当な差別的取扱 いをす る ものでないこと

ガス事業法第1 7 条,熱供給事業法第1 4 条 も同趣 旨である

か くして, この認

可制か らは,電気事業者, ガス事業者,熱供給事業者が法外 な料金の負担 を利

用者公衆 に課す ことのない ように所管行政機関にチェ ック機能 を与 えて利用者

公衆の利益 を保護 しようとい うことが理解 される

しか し,その一方で,上記

の認可基準の i)の 「 適正 な原価 と適正 な利潤 を加 えた もの」か ら理解 される

ように,電気事業, ガス事業,熱供給事業 には,総括原価主義 による料金設定

(24)

1 62

が容認 されてお り,経営 の安定が間接 的なが ら確保 されている

水道法第 7条 は,厚生大 臣へ の水道事業経営の認可 申請 にさい して,その認 可事項の一つ として料金認可 を規定 している

す なわち,水道事業者が新規参 入の場合,公営 であろうと民営 であろ うと,厚生大 臣による水道料金の認可制 が定め られている。 しか し,水道料金の変更 にさい しては,公営が届出制であ るの に対 し,民営 は引 き続 き認可制 とされている。 ( 水道法第1 4 条第 2項)

この認可制の理由は,水道事業経営 の当初 には,利用者公衆の意見が反映 さ れづ らいので,所 管行政機 関 にチ ェ ック機能 と しての認可制 を与 える ことに よって,利用者公衆の利益 を保護 しようとしているためである

ただ し,公営 の料金変更の場合 に届 出制 となったのは,地方政治の議会 における審議 ・議決

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によってチ ェ ックされ,民意の反映が確保 されるか らである と思 われる

水道料金の認可基準 と して,水道法第1 4 条第 4項 は, 「i) 料金が能率 的 な 経営 の下 における適正 な原価 に照 ら し公正妥当な ものであること, i i ) 料金が 定率叉は定額 を もって明確 に定め られていること,i i i )特定の者 に対 して不 当 な差別的取扱 い をす る ものでない こと

,

」を規定 している。上記 の i i)と i i i ) は, 電気事業法や ガス事業法 な どに も規定 されているが, i) については,電気事 業法や ガス事業法 は 「 適正 な原価 に適正 な利潤 を加 えた もの」 として規定 して いるの に対 し,水道法 は 「 適正 な原価 に照 らし公正妥当な もの」 と規定 してい る。 したが って, この表現 の相違か ら推察 されるように,電気事業やガス事業 の料金設定 は総括原価主義 であるの に対 し,水道事業 は実費主義 による料金設 定 を示 している といえる

電気通信事業法第 31 条第 1 項 は,「第一種電気通信事業者 は,電気通信役務

に関す る料金その他の提供条件 については,契約約款 を定め,郵政大 臣の認可

を受 けなければな らない。 これ を変更 しようとす る ときも, 同様 とす る。 」 と

規定 し,第一種電気通信事業料金認可基準 については,電気事業, ガス事業 な

(25)

1 6 3

どと同様 な こ とが,同条第 2 項第 1 号 ・第 2 号 ・第 3 号 に規定 されてお り,そ こには総括 原価 主義が貫 かれている

第二種電気通信事業 の一般 第二種電気通信事業 は,主 と して多 くの特定企業 グループが第一種電気通信事業 の設備装 置 を借 りて,多種多様 な電気通信サ ー ビス を利用 ・応用す る事業 であ るので,一般 公衆 の需要 に供す る事業である と はい えない。 また, 同事業 は,特定企業 グループの新規参入が容易 となるよう に届 出制 ( 同法第 22 条) であ り,競 争場裡 にあ る

したが って,電気通信事業 法 は,一般第二種電気 通信事業料金 について何 らの規制 を課 してお らず 自由で ある

第二種電気 通信事業 の特 別第二種電気通信事業 は,第一種電気通信事業 の設 備装 置 を借 りて,その装置 に同事業 の設備装置 を連結 して経営活動 を行 う点で は,一般第二種電気通信事業 と同様 であ る

しか し,同事業 の経営活動 の範 囲 は全 国的,国際 的であ り,不特定 多数の利用者 の通信 の用 に供す る事業 である ( 同法第 21 条 第 3 項)ことか ら,設備投資産業 の性格 を有 してい る。それゆ えに, 同事業へ の参入 にさい しては,登録制 ( 同法第 2 4 条第 1項)が採用 されている

したが って,特 別第二種電気 通信事業料金 については,契約約款 を定 め,利用 者公衆 の利益 を保護 す る意 味で,郵政大 臣へ の届 出制 を義務 づ けてい る。 ( 同 法 31 条 第 5 項)

昭和 6 3 年 5 月 6 日の放送法改正 によって,有料放送 についての規定 ( 放送法 第 5 2 条 の 4 )が追加 された。

放 送法 第 5 2 条 の 4 の第 1 項 は, 「 有料放 送 を行 う一般放送事業者 は,当該 有

料放送 の役務 の料金その他 の提供条件 について契約約款 を定 め,郵政大 臣の認

可 を受 けなければな らない。 当該契約約款 を変更 しようとす る ときも,同様 と

す る。 」 と規定 して,有料放送 に関す る条件 について契約約 款認可 を定 めてい

.。

また,料金認可条件 と して, 同条 第 2 項 は, 「 役 務 の料金が業務 の能率 的

(26)

1 6 4

な運営 の下 における原価 に照 らし妥当な ものであること」や 「 特定の者 に対 し て不当 な差別的取扱い をす る ものでない こと」 を規完 して,水道事業 と同様 に 実費主義 による料金設定 を示 している

日本放送協会 ( NHK) の受信料 は,放送法第 3 2 条の 「 受信契約及 び受信料」

と第 3 7 条の 「 収支予算 ・事業計画及び資金計画」 とによって規定 されている。

放 送法第 3 2 条第 1 項 は, NHK と NHK の放 送受信設備者 との間 に受信契約義務 を課 している。そ して,その受信契約 は,郵政大 臣の認可 をえた 「 放送受信規約」

によって行 なわれる

この規約 には 「 受信料支払 い義務」条項があ り,受信契 約者 は民事 契約上 の支払 義務 を負 ってい る。 同法第 3 7 条 は, NHK の受信料が

NHK の収支予算 を国会が承 認す る ことに よって定 め られ る ことを規定 してい る

か くして,放送法 は NHK と NHK の放 送受信設備者 との 間 に受信契約 を義務 づ けているが,支払義務 を法定化 していな い。 したが って,支払義務 を履行 し

庄 1 2 ない受信者 に も罰則 はな い。

鉄道事業法第 1 6 条 は,鉄道運送事業者 ( 第一種 ・第二種鉄道事業者) の旅客 又は貨物の運賃及び料金 についての認可制 と認可基準 を規定 している。

同条第 1 項 は,旅客又 は貨物 の運賃及び料金 について主務大 臣 ( 運輸大 臣) による認可制 を完めている

この認可制の意味す るところは,鉄道運送事業者 が法外 な運賃や料金の負担 を利 用者 公衆 に課す ことな く利用者公衆の利益が保 護 される ように,所管行政機関 にチ ェ ック機能 を与 えている とい うことである

同条第 2 項 は,認可基準 を下記の ように規定 している

i)能率的な経営 の下 における適正 な原価 を償 い,かつ,適正 な利潤 を含む も のであること ( 同項第 1 号)。

i i)特定の旅客又は荷主 に対 し不当な差別的取扱 いをす る ものでない こと ( 同

項第 2 号)。

(27)

1 6 5

i i i ) 旅客又は貨物の運賃 及び料金 を負担す る能力 にかんがみ,旅客又は荷主が 当該事業 を利用す ることを困難 にす るおそれが ない ものであること ( 同項 第 3 号)。

i v) 他の鉄道運送事業者 との間に不 当な競争 を引 き起 こす こととなるおそれが ない ものであること ( 同項第 4 号)。

同項 第 1 号 は,電気事業や ガス事業 と同様 に鉄道事業 に総括原価主義 による 料金設定 を容認 し,鉄道事業が安定経営 を確保 で きるように規定 している内容 であ る

同項第 2 号 は,利用者公衆が差別取扱 い されることな く公平 にサー ビス供給 されることを保障 し,利用者 公衆の利益が保護 されることを示 している内容で ある。

同項 第 3 号 は,利用者 公衆 に法外 な運賃や料金が課せ られない ように,利用 者公衆 の利益が保護 されることを示 している内容である

同項第 4 号 は,同一地域 内での破滅的競争 を回避 して,利用者公衆の用 に供 す ることと,利用者公衆の利益が保護 されることを意味 している内容である。

同条 第 3 項 は, 「 鉄道運送事業者 は,第 1 項の運輸省令で定 める料金 を定め ようとす る ときは,その 旨を運輸大臣に届 け出なければな らない。 これを変更 しようとす る ときも同様であ る。 」 と規定 している

したが って, 同項 は,刺 用者公衆 に法外 な運賃や料金が課せ られない ように利用者公衆の利益が保護 さ れることを間接 的 に示 している内容 である

同条第 4 項 は,鉄道運送事業者が,健全経営 とゴーイ ング ・コンサー ンの可

能な範 囲内で,一定の条件 を定めて運賃や料金の割引 をす ることがで き,その

場合あ らか じめその旨を運輸大 臣へ届 け出なければな らない とい うことを明示

している

す なわち,同項の運賃や料金の割引の届出制 は,鉄道事業が交通運

輸分野 において独 占的地位 を有 していない現在,多 くの交通運輸機関 との競争

(28)

1 6 6

下 にお ける適切 な経営手腕発揮 の一つであ り,規制積和 の兆候 を示 している

航 空法 第 1 05 条 は,定期航 空運 送事業者 の旅客 及 び貨物 の運賃及 び料 金 につ いての認可制 と認可基準 を規定 している

同条 第 1項 は,旅客又 は貨物 の運賃及び料金 について運輸大 臣 による認可制 を定 めてい る

この認可制 の意味す る ところは,鉄道事業 の場 合 と同様 に定期 航空運送事業者が法外 な運賃 や料金の負担 を利用者 公衆 に課す る こ とな く利用 者公衆の利益 が保護 され る ように,所管行政機 関にチ ェ ック機能 を与 えてい る

とい うこ とであ る

同条第 2 項 は,認可基準 を下記 の ように規定 している

日 能率 的 な経営 の 下にお ける当該事業 の適正 な経 費 に適正 な利潤 を含 めた も のの範 圃 をこえる こととな らない こ と ( 同項 第 1号)。

i i) 当該事業 の提 供す るサ ー ビスの性 質が考慮 されている ものであ る こ と ( 同 項 第 2 号)

i i i ) 特定 の旅客 叉は荷 主 に対 して,不 当 な差 別的取扱 い をす る ものでない こ と ( 同項 第 3 号)。

i v) 旅客 又 は荷 主が 当該事業 を利用す る こ とを著 しく困難 にす るおそれが ない ものであ る こと ( 同項 第 4 号)。

Ⅴ)他 の航空運送事業者 との間 に不 当 な競争 を引 き起 こす こ ととなるおそれが ない ものであ るこ と ( 同項 第 5 号)。

上記 の認可基準 は, ほぼ前述 の鉄道事業の場 合 と同様 であるが, 同項 第 2 号 は,鉄道事業 の場 合 にはない定期航空運送事業 に固有の認可基準 で,航空機 の 速度や座席の スペ ース等 のサ ー ビスの質 を考慮 した料金であるべ きであ る とい

うこ とを意味 した認可基準 であ る

航空運送事業 の場 合, コ ンテス タブル市場 ( c ont e s t a bl emar ke t ) が作 用 し

てい る といわれてい る

す なわち, コ ンテス タブル市場 とは,企業が産業か ら

参照

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