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雑誌名 教育実践総合センター研究紀要

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

新任教員の職能成長を促すためのICTを用いたサポ ートの実践的研究

著者 西仲 則博, 重松 敬一, 大室 敦志, 竹村 景生, 吉

岡 睦美

雑誌名 教育実践総合センター研究紀要

巻 20

ページ 233‑238

発行年 2011‑03‑31

その他のタイトル The Practical Study for support of the novice

teacher for professional progress with ICT

URL http://hdl.handle.net/10105/5897

(2)

西仲 則博

(奈良教育大学 附属中学校)

重松 敬一

(奈良教育大学 数学教育講座)

大室 敦志・竹村 景生・吉岡 睦美

(奈良教育大学附属中学校)

The Practical Study for support of the novice teacher for professional progress with ICT

Norihiro NISHINAKA

(Nara University of Education Junior High School)

Keiichi SHIGEMATSU

(Department of Mathematics Education Nara University of Education)

Atsushi OMURO, Kageki TAKEMURA, Mutsumi YOSHIOKA

(Nara University of Education Junior High School)

要旨:本研究は、教諭や講師として初めて教壇に立つ新任教員に対して、大学の教員や教育実習に携わっている附属

学校の教諭が、それぞれの専門的な立場から、教科指導のサポートを実施する体制を築き、その実践を行うことで、

新任教員の職能成長を図るとともに、そのシステムを検討することにある。特に、新任教員が行う普段の授業を通し ての実践的な指導能力の向上について研究を行った。

 新任教員はBlogを用いて教科指導上の悩みを打ち明け、サポーターが、新任教員の自律的な職能成長をとげること を念頭に置きながら、示唆を与えた。その結果、終期では、Blogに書かれた省察の内容が初期の段階より質的に変化 することを確認した。

キーワード:職能成長 Professional progress  ICT  新任教員 Novice teacher

1

.はじめに

 本研究の目的は、教員や講師として初めて教壇に立 つ新任教員に対して、大学の教員や教育実習に携わっ ている附属学校の教諭が、専門的な立場から、教科指 導のサポートを施す体制を築き、その実践を行うこと で、新任教員の職能成長を図るとともに、そのシステ ムを検討することにある。特に、新任教員が行う普段 の授業での実践的な指導能力の向上について研究を行 った。

 中央教育審議会教員の資質能力向上特別部会の報告 でも、次のように述べられている。

「(1)暴力行為、いじめ等の生徒指導上の課題への対 応、特別の支援を必要とする児童生徒への対応、家庭 や地域力の低下等、教員が対応すべき課題の急増、(2)

今後10年間に教員全体の 3 分の 1 の教員が退職し、経 験の浅い教員が大量に誕生することが予想されるこ

と、(3)新人教員について、実践的指導力やコミュニ ケーション力等が十分に身に付いていないとの指摘が あること、(4)社会状況の変化や国際化、科学技術の 進歩に対応し、専門職である教員にもより高度な専門 職としての資質が求められていること」

(1)

をあげ、教 員養成に、これまで以上に高度な実践的指導力やコミ ュニケーション力等の育成を求めている。しかし、学 校を取り巻く環境の急激な変化で、教員の対応すべき 課題は増大し、教員の疲弊を招いている。このような 傾向は、今後の教職員の年齢構成が大きく若年化して いく中で、従来学校が持っていた、教師集団の中で若 手を育成していくという機能が充分に発揮されなくな ることが懸念される。今後、大量の新任教員が採用さ れていく中で、教育の質を保持、向上していくために も、新任教員の職能成長、資質の向上が重要課題であ る。更に、新任教員が「教壇で継続的に学ぶこと」が、

喫緊の課題である。

(3)

 新任教員には子どもや生徒との関わり合いの中で、

大学で学んだ専門的な知識を、実践で活かす、実践的 な指導力が求められていると考える。そして、実践的 な指導力を身に付けるためには、子どもの実態を的確 に把握し、逐次適切な指導が求められる。また、この ような指導には、組織的な対応が必要なことと、時間 をおかずに即時に対応できることが必要であると考え る。このようなことに対応するために、Blogを利用し て、新任教員が授業の振り返り(省察)や教材研究で の悩みに対して、プロジェクトのメンバーが答えてい く形式を採った。、新任教員が自身の授業を振り返り、

指導能力を振り返り、省察していくことは、これから の職能成長を支える大きな力であるとも考えている。

 本研究は量的な研究ではなく、対象教員の職能成長 の過程の事例研究である。教師の職能成長のサポート に大学の教員、附属学校の教員があたり、Blogを用い たこのような実践的な研究は従来の教師の職能成長の 研究とは一線を画したものである。

 今回の報告では、対象教員の職能成長について、教 師の授業に対する省察に関する記述に着目して、その 質的変化について、プロジェクトで使われたサポート 用Blogの投稿(計37件)を、プロジェクト実施初期

( 4 月~ 8 月)、実施中期( 9 月~10月)、実施終期(11 月~12月)に分けて、特徴的な投稿を用いて、その変 容について考察していく。

.サポート用Blog(0066project)の概要  本研究では、まず、対象教員とサポートターとの情 報のやり取りをどのような形で行うかを検討した。参 加者の時間的、空間的な制約の解消のためにWeb上 での情報交換を行うことにして、HPの掲示板、Blog の 2 つをあげて、メンバーで検討を行った。検討に際 して、次の①~④の観点から比較を行った。

  ①利用の簡便性   ②画像の挿入の可否

  ③非公開の形で行えるかどうか   ④システム構築の簡便性

 ①の観点は、教師の負担感をできるだけ軽減するた めに、簡便であることが大事であると考えた。PCだ けでなく、携帯でも入力ができるように、入力デバイ スの選択が多いことも考慮に入れた。②の観点は、生 徒の活動の様子や板書をデジタルカメラで撮影したも の挿入の可否や挿入の操作性についての観点である。

③の観点は、生徒の活動の様子等が示されることもあ ることを想定して、参加者のみにしか閲覧できないよ うに制限を加えることの可否についてである。④の観 点は、システムを容易に構築できるかどうかである。

これらの観点から検討した結果GoogleのBlogger機能 を用いて、Blogを作成することにした。(図 1 参照) 

       

3

.調査の方法と結果

3

1

.調査の目的

・サポート用Blogに対象教員が投稿する行為の中  で、省察を行い、その質的変化があるか。

・サポーターのどのような形の示唆が影響をあたえ たのか。

・このようなシステムが有効であったか。

3

.調査の方法

 プロジェクトで使われたサポート用Blogの投稿

(計37件)を、プロジェクト実施初期( 4 月~ 8 月)、

実施中期( 9 月~10月)、実施終期(11月~12月)に 分けて、その投稿文章から、教師が授業に対しての省 察が行われているかどうかを探る。F・コルトハーン らが提唱するリアリスティックアプローチでは、

1 .行為

2 .行為の振り返り

3 .本質的な諸相への気づき 4 .行為の選択肢の拡大 5 .試行

の 5 つの局面からなるALACTモデルを作って、教師 教育者の助けを借りながら、省察を行い、実習生自身 が自律して省察できるようになることが必要であると 指摘する。

(2)

 このALACTモデルで、教育実習生が自分の授業を 具体的に省察することができるように、次ぎの 0 ~ 8 の 9 つの質問を用意されている。

図1

0 .文脈はどのようなものでしたか?

1 .あなたは何をしたかったのですか?

2 .あなたは何をしたのですか?

3 .あなたは何を考えていたのですか?

4 .あなたはどう感じたのですか?

5 .生徒たちは何をしたかったのですか?

6 .生徒たちは何をしたのですか?

7 .生徒たちは何を考えていたのですか?

8 .生徒たちはどう感じたのですか?

表 1  ALCAT モデルにおける第 2 局面で有効な具    体化のための質問

西仲 則博・重松 敬一・大室 敦志・竹村 景生・吉岡 睦美 新任教員の職能成長を促すためのICTを用いたサポートの実践的研究

(4)

 上記 9 つの質問は授業者が省察する観点としても 充分に流用できると考える。ただ、 1 ~ 4 と 5 ~ 8 は 人称が対象者か生徒の違いである。すなわち、対象者 自身について書くのと、生徒視点に立って書くのかの 違いである。そこで、 0 を内容(文脈)、 1 を目的、

2 を結果、 3 を思考、 4 を感性とラベルを貼ることに より、下記のような分析の視点を得ることができる。

 そして、投稿文を表 2 をもとにして分析していくこ とにより、投稿文を省察の観点から計量的に捉えるこ とが可能になり、初期、中期、終期における比較が可 能になると考えた。

 また、対象教員へのアンケートを行い、

  ①プロジェクト参加前の状況   ②プロジェクトで得たこと   ③プロジェクトの課題 の 3 点について記述式で行った。

3

3

.投稿分析の結果 

①プロジェクト初期の投稿

中学校 1 年数学の「正の数・負の数の減法」の学習 において、トランプを用いて負の数の減法についての 授業を行った後の投稿である。

 この投稿には、授業の流れと、本授業での反省点が 書かれている。「正の数、負の数の減法。トランプを 使った活動を行いました。」にあるような授業者視点 からの目的が記述されている。「「赤札を抜くと後の得 点が増える。負の数を引くことと同じになる。」とま とめていきたかったのですが、時間が足りなかったこ ともあって」の記述からは授業者視点での思考と結果 が書かれていると判断した。それに続く「どれだけ伝 わったかは微妙なところです」では、授業者視点での 感性が述べられていると分析することができる。これ らをまとめると、表 4 のようになる。

 これに対して、サポートターから下記のような コ メントが入った。

     

 その内容は、生徒たちへの省察の視点の移動を促す ものであった。

②プロジェクト中期の投稿

  2 学期の中旬の投稿では、 1 方程式を利用する学習 で、発展的な内容として食塩の濃度についての問題を 指導する段階でのものである。授業を行っての投稿で はなく、授業の構想段階の投稿である。

 早速、今日の授業の報告をします。

単元は、正の数、負の数の減法。トランプを使った活 動を行いました。黒札を正の数、赤札を負の数(ジョ ーカーは 0 )として、

(1) 2 枚引いて、その得点の和

(2) 5 枚引いて、その得点の和

(3) 5 枚の 和→ 1 枚抜く→ 4 枚の和 という 3 つの活動をしました。

(1)、(2)は、加法の復習。

(3)は、 1 枚抜く= 5 枚の和から得点をひくとして、

減法の学習を行いました。

「赤札を抜くと後の得点が増える。負の数をひくことは、

絶対値を加えることと同じになる。」と まとめていき たかったのですが、時間が足りなかったこともあって、

どれだけ伝わったかは微妙なところでした。

金曜日にあと 3 クラスあります。

指示を明確にしないと、収拾がつかなくなりそうだっ たので、その方法を考える ことも含めて、もう一度チ ャレンジしてみます。

内容(文脈)

授業者視点 生徒視点 目的

結果 思考

感性 内容(文脈) 「正の数・負の数の減法」

授業者視点 生徒視点

目的 ○ ×

結果 ○ ×

思考 ○ ×

感性 ○ ×

表 2 .投稿の分析の視点

表 4 .プロジェクト初期の投稿分析

 トランプでの操作と数式での操作がなかなか連 続しません。心理的にも、トランプは楽しいけど 数式での代数和は面白くない。このように、認知 的、情意的な不連続をどのように連続させるか−

工夫と結果を聞かせてください。

1 年生では、「方程式の利用」をやっていて、次回は、

食塩水の問題を扱う予定です。

そこで、まず、自分でポイントと思っていたことと、

それに加え、西仲先生に教えていただいたポイントを メモしておきます。

【はじめに考えていたポイント】

・濃度の求め方(濃度(%)=食塩の量/全体量 × 100)

・食塩、水の量の変化を表などして整理していくこと

・食塩の量に着目して方程式をたてる 9 月14日(火) 5 限目

・まず、理科での濃度の扱われ方の確認が必要  (既習内容によって扱い方が異なってくる)

・食塩水の濃度の問題は「割合」の問題

(5)

 この期間は、対象教員による自作のワークシートと GRAPESを用いた授業が行われた。

 「反比例のグラフの形に迫るっ」からは、生徒視点 の目的が示されていると判断できる。「生徒の感想」

では、「反比例のグラフはなめらかな曲線になるのが 非常に鮮やかに脳裏に焼き付き、すごくおもしろかっ た。」から、反比例のグラフの特徴を学んでいる授業 であることが分かり、生徒視点での結果と感性の記述 であると考える。

 「限りなく伸びていってもいつかは軸につくと思う

(1000以上くらいで)。」では生徒視点の思考が表現さ れていると判断した。

 授業者視点では、ワークシートから「反比例のグラ フの学習」であることが読み取れ、授業者視点の目的 が書かれていると判断した。「時間短縮のため、周り の人と分担してもよいこととしたため、それほど時間 はかからずに済んだ。」からは授業者視点の思考と結  この投稿では、「【はじめに考えたポイント】」から

始まる文から、授業者視点での目的が述べられている。

サポーターからのポイントのメモとして「濃度(濃 さ)の感覚的には「しょっぱさ」←人によって違うも の」では、生徒視点での感性を呼び起こすことが書か れており、生徒視点の感性の記述と捉える。「私(対 象教員)の考えだけでは、問題を表面的に扱う(ただ 解くだけ)形の授業となるでしょう。」は授業者視点 の思考と分類できる。「濃度とは何のために使う概念 なのかといった捉え方ができれば、問題をもとに話の 広がっていくような授業が可能でしょう。」は授業者 視点の思考と感性を読み取ることができる。これらを まとめると、表 5 のようにまとめることができる。

 また、この投稿においては、対象教員は自分の授業 構想を振り返り、生徒視点から課題を扱うことの重要 性に気づき、授業に活かそうとしていることが読み取 ることができる。

③プロジェクト終期の投稿

11月に行われた。反比例のグラフの学習についての 投稿である。

・濃度(濃さ)の感覚的には「しょっぱさ」←人によ  って違うもの

・比べる基準として揃うものがあれば、比較は可能  (同じ水の量であれば、食塩が多く入っている方が濃  い。

 同じ食塩の量であれば、水の量が少ない方が濃い。)

・水の量も食塩の量も違うときに比較をするため、数  学を使えば濃度という考え方ができる。

 私(対象教員)の考えだけでは、問題を表面的に扱 う(ただ解くだけ)形の授業となるでしょう。

 濃度とは何のために使う概念なのかといった捉え方 ができれば、問題をもとに話の広がっていくような授 業が可能でしょう。

くの?」と聞かれたことで気付き、この「   」の趣 旨を生徒に伝えたところ、

「反比例のグラフの形に迫るっっ」がいいということ で、進んでいきました。

(5)の所では、0.1刻みで調 べていきたいと生徒が言っ たのでその流れで行った。

ただ、時間短縮のため、周 りの人と分担してもよいこ ととしたため、それほど時 間はかからずに済んだ。

 また、xの値を大きくして いったとき、 0 に近づけた とき、負の方向に小さくし ていったときについてもゆっくり扱う時間があった。

 点の太さがあるので、座標軸に接しているように見 えても、その部分を拡大してあげると接していないこ とがわかり、生徒たちは納得していたようだった。

[生徒の感想]

・反比例のグラフは書くのが難しそう

・直線かなぁと思ったけど曲線だった

・反比例のグラフはなめらかな曲線になるのが非常に 鮮やかに脳裏に焼き付き、すごくおもしろかった。

・パソコンを使ってやってわかりやすかったです。

・比例のグラフの時の表の書き方は同じだったのに,グ ラフはかくしたのではなく,曲線だったのでおどろきで した。

・小さな点が集まって線になっているのは比例のとき と同じだ。

・ 2 つもグラフができておどろきでした。

・下がり続けているのに 0 にならないのが不思議だと 思った。

・限りなく伸びていってもいつかは軸につくと思う

(1000以上くらいで)。

内容(文脈) 「1次方程式の利用」食塩の濃度 授業者視点 生徒視点

目的 ○ ○

結果 × ×

思考 ○ ×

感性 ○ ○

表 5 .プロジェクト初期の投稿分析

 ワークシートに今回の授業の目標(生徒にとっての)

を書くためのスペースとして「       」を書い ていました。

ただ、 1 回目と 2 回目は、それを使わないまま授業を 行ってしまいました。(空欄のまま提出されていました)

今回の授業では、「先生、この「     」って何書

反比例のグラフ ]組[ ]番 氏名[



のグラフをかきましょう。

反比例のグラフをかくときのポイント

今日の授業の感想







    









2 2.5 3 

2.5 3

西仲 則博・重松 敬一・大室 敦志・竹村 景生・吉岡 睦美 新任教員の職能成長を促すためのICTを用いたサポートの実践的研究

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次の授業に活かしていた。

③プロジェクトの課題

 今後のプロジェクトへの課題として

「何よりも大きかったのは、「書く時間」だったと思 います。」

として、

 「授業やその他の仕事があっての時間がない。」

 「どのように書くかで悩み、時間がかかった。」

時間がない中での作業であった点と、省察をどのよう にまとめるかに時間が割かれたようである。

.考察と課題  調査の目的としてあげた

 ①サポート用Blogに対象教員が投稿する行為の中  で、省察を行い、その質的変化があるか。

②サポートの側のどのような形の示唆が影響をあた えたのか。

 ③システム有効性

の 3 点について考察と課題を整理する。プロジェクト を初期、中期、終期に分けてそれぞれの各期で特徴的 な投稿について、省察の観点から内容、目的、結果、

思考、感性の 5 つのラベルと授業者、生徒の二つの視 点から分析を行ってきた。これらをまとめると表7の ようにまとめることができる。

 表 7 からプロジェクトの初期においては、授業者視 点での記述しか行われておらず、中期、終期に向け て、生徒の視点での記述が増えてきたことが明確にな った。これは、サポーターからの指摘を受けて、生徒 に対して、視点を向けるようになったのではないかと 思われる。このことは、対象教員の省察に、質的変化 があったと捉えることができる。アンケート結果から も、授業者視点だけから生徒視点の不足を省察し、そ れを克服したことが示されている。このように、対象 教員の省察の質的変化があったことは、教師に一つの 職能成長があったと判断できる。今回の研究で、対象 果の記述である判断した。また、「・・・その部分を

拡大してあげると接していないことがわかり、生徒た ちは納得していたようだった。」の記述からは、対象 教員が生徒の学習状況を感じたことが記述されている ので、授業者視点の感性であると判断した。これらの ことをまとめると表 6 のようにできる。

 また、「0.1刻みで調べていきたいと生徒が言ったの でその流れで行った。」のように、生徒の発言を基に して、授業の流れをコントロールしていることが伺え る。生徒の活動を重視した授業を行ったことが読み取 れる。このような記述は、初期、中期の記述では、見 受けられなかったことである。

3

.アンケートの結果 

 先述した項目について結果をまとめる。   

①プロジェクト参加前の状況

 プロジェクトの参加前の状況は一般的な新任教員の 状況を知るために行った。対象教員は学校運営、学年 運営に関わる仕事や打ち合わせ、会議、部活動の指導 等で、「毎日、次の日の授業を考えていかなければな りません。教材研究にかける時間が少ないと、まだ、

それほど知識や経験のない私にとって、教材の深いと ころにある内容からアプローチしてあげれるような工 夫ある授業をするのは難しくなってきます。どうして も、教材のうわべだけを扱うような知識伝達型や問題 演習型の授業になってしまいます。」

と大学での学習した知識を活用した授業の構築ができ ていなかったと述懐している。

②プロジェクトで得たこと  対象教員は

 ・サポーターからのコメントや指摘

 ・Blogを書く中で、自分自身の授業について振り   返ることができた

2 点をあげている。

サポーターからの指摘では、

 「この教材は、こういう切り込み方もできるんだ」

 「こう考えたら、もっといい授業の進め方ができた のか」

と教材観や授業観を広げることができたようである。

自分自身の振り返りを繰り返す中で、「教材や授業に ついての反省」「生徒に対する視点の不足」等をあげ、

内容(文脈) 「反比例のグラフ」

授業者視点 生徒視点

目的 ○ ○

結果 ○ ○

思考 ○ ○

感性 ○ ○

表 6 .プロジェクト終期の投稿分析

表 7 .プロジェクトを通しての記述の変遷 初期 中期 終期 内容(文脈) 「 正 の 数・

負の数の減 法」

「 1 次方程 式の利用」

食塩の濃度

「反比例の グラフ」

授業者 の視点

目的 ○ ○ ○

結果 ○ × ○

思考 ○ ○ ○

感性 ○ ○ ○

生徒の 視点

目的 × ○ ○

結果 × × ○

思考 × × ○

感性 × ○ ○

(7)

教員の職能成長を確認することができた。

 対象教員はサポーターからの示唆により、教材観や 授業観、生徒観等を得ることができたようである。サ ポーターの難しさは、単に知識として教えるのではな く、自律的な職能成長を促すように、資料の提供や見 方や考え方の示唆が多く、対象教員が欲する即時的な 助言だけではなかったことである。このあたりのバラ ンスが、今後の検討課題である。

 授業や会議等の合間を縫っての作業は、落ち着いて 省察を行えなかったのであろう。システムの利用の観 点からも、より容易に授業の省察が行えるように、あ らかじめ形式を決めておくことも今後は検討が必要で ある。

5

.引用・参考文献

1 )文部科学省.中央教育審議会 教員の資質能力向 上 特別部会 教員の資質能力向上 特別部会(第

7 回)配付資料.2010

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/

chukyo11/shiryo/attach/1299758.htm

2 )F・コルトハーヘン.(武田信子監訳)『教師教育 学−理論と実践をつなぐ−リアリスティック・ア プローチ』.2010学文社 

西仲 則博・重松 敬一・大室 敦志・竹村 景生・吉岡 睦美

参照

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