金沢大学 十全 医学 会雑 誌 第8 5 巻 第4 号 4 2 3 ‑ 魂3 (1 97 6)
人 ⑳ 強 制 直 立姿 勢の レオ ロ ジ∴
金沢大学医学 部整形外科学教 室( 主 任 : 高 瀬 武 中敷 授)
大 学 院 生 高 田 宗 世 (昭和5 1年3 月3 日受付〉
すべて科学の跳 躍的 発展には, 常に新しい研究 方法
の創造が あっ た こと は. 科学史の教え る と ころで あ る. Bio □1 e CIl a nic s に於ても同様の こと が言え る.
姿 勢や, 運動t 動作に関 す る 研究は , そ の当 初で ほ、 坑内の働きの捉え方と して, 物 質 代謝の面 よ り把 握さ れてき た.
歩 行に関す る科 学的な研 究の創 始 者は, Ot しO F is・ c主1 e !・ ( 1 89 5, 1 90 4 ) で , 数学者である彼は, 歩 行に 含ま れ る力を計 算し, 特に下肢の自由 な振り出し軌こ
お ける研究を し た. 1 9 3 8年, Helleb r a ndt は. 平衡
の問 題に関 して, 直立 放と は. "静止面上の動 揺" と
定義Lて いる.
一方. 1 8 70年代は. He r m a n n ( 1 B 7 1, 1 8 7 7 ) らに より. 生体の電 気 発生及 び, 電気生理 学 一 般に関す る 基礎が作り あ げ ら れ・ 筋の変形に関 して,電 気現 象(変 形電流)に変 換さ れ 研究さ れ た. そ の後, 第二次世界大 戦後, Ec cle s & S he r ring to n ( 1 9 3 0 ) らに より確 立し た筋 電図 が, De n ny・Br o w n らによ り臨 床 的に 応用 さ れ. よ り詳 細に生 体の運動を 捉 え るようになっ た ∴現 在 K in e siolog y (身体運 動 学 ) 及 び. Sta si・
0Iog y ( 身体 平衡学) で は. 主に, 別 号. 平衡機 能の 垂心移動に関 す る論 文が散見 さ れ る も. その解析は, 生体の動 作の pat te r n の多棟性と Pr O C e S S の板 紙 性のた め, 如何にして そ の特性 を 描 く か という段 階に 止まって いる感が あ る.
以上のごと く. 生 体の運動を構 成す る 個々 の運動単 位を中心に. 研究が行な わ れてき た が. 生 体で は, 平 衡と 運動は互い に大 変 密 接な 関 係にあ る た め. 力学が
バランス のと れて いる物 体を扱う静力学 と, 運動を し て いる物体を扱う動 力学 とに分けて研究さ れて いるの と同様に. 別個に論 ず ることは実際的で はないよ うに
思わ れ る.
そ こ で, 生体の運動 機 構の特性を 知る そ の 一 つ は.
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19 4 8年. W ie n e r らによっ て提唱 さ れ た Cyhe n et i, C S の d つであ る Se r v o r n e cha nis m s に よ る運動の
分析, 合 成の研究であ る. 1 9 5 2年, Pringe王 & \∇ト Is o n によ る c o ckr o ch の Ieg m u s cle の研究が 生 物に応用 さ れ た最 初であ る. 本 邦で は. 飯 田 や森貞 が手の動きに関 して , こ の手法を 用い て興味あ る 研究 を して いる.
鹿 野 (1 9 7 6年) は. 物 質の滝 勤と■変 形を扱う手斗 苧 R he oIog y に注 目し, 今日は ゞ体系ができ あ がっ て いる貼弾 性理論の概 念と , R e ule a u x ( 1 87 5 ) が紹 介し た運 動 学 的 連 鎖 (Ⅰくin e m at ic chain s) の概 念 応 用して, 人の直 立姿 勢に関 L,て. R he olog ic al な 分析を試みて いる. 即 ち. 生体 を 軋 関配 筋よ り成
る ha rd w a r e と. それ を 統御す る神経 系を s oft
W a r e と す る c o mple x と み な し. そ の全 体の粘
性より 個々 の緩 和 時間ス ペク トルを導き出す方 法であ る.
実験 日的と意 義
鹿 野が行なっ た直 立姿 勢の実験では. 下 肢及 び枢 幹 は, Jo s eph ( 1 9 57 ) の言 う sta nd ing at e a s e や.
Br a u n e & Fis che r ( 1 8 8 9) に よる bequ e me Ha・
1tu ng を と り, 利善事を追従 運動さ せて行なっ た レ オロ ジー 的な手 法によ り, 生体の内 部に生ず る力を 測 定し. 生 体の運動も ま た線型粘弾 性を示すこと が判明 し た. そしてその際 種々 の設 定条 件で実験 したもの の. 未だ r ule o ut し な け れ ば な ら ない面 が あ る.
そこ で著 者は, 第1 に脚問の大 小に よって確実に下 半 身では形 状 因 子に変 化が 現 わ れる の で. 脚 間を系 統 的に変化さ せ ることによ り直立姿勢にお け る垂心移 動
の Pa r a m ete r であ る 貯蔵弾性率 G′. 動 的粘 性 率
り′, 損 失 率 ta nβ が 如何に変化 す る か を 検討し た. 次に正常 人の中に線 型では あるが全く位 相遅 れ を示
A Rhe olog ic al Study as to Strained E rect Postu re by Takata M u n e yo, De p artm e nt Of Ort hop a ed ic Su rgery, Fa c ult y of M ed icin e. Universit y of Ka n a z a w a,
Ka n a z a wa. Japan.
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さ ない人が 一 部に いること が 認 め ら れ た為, 質量負 荷
によ り. 粘 弾 性 関 数が どのよ うに変 化す るのか を調べ る事を第2 の目 的と し た.
更に著 老の実 験 装 置では,
一 次元的 現 象のみ測 定 可 能であ り, 2 次元的な変 化につ い て は考 慮して い な い. 従っ て強 制 的に交叉次元へ体 軸を移 動さ せ る事t
即ち前 傾 後 傾し た場 合に枯 弾 性関数がいか な る変 化を 示す か を解 明し, 次に非 対 称 姿 勢を とった場 合, 即ち 右 傾あ るいは左 傾を強 制 的に行な わ せ し め た場合にも どのよ う な変 化が枯 弾 性 関 数に現 わ れ る か を検 討し,
更に現 在まで行な わ れて来た筋電図 的手 法によ る直 立 姿勢によ る結 果を 比較検 討す ること を目 的と して t 著 者は以 上の四点につい て鹿 野と同 様の手法を踏 襲し・
以下に述べる実 験を行なっ た.
研 究 方 法
実 験 原理 は鹿 野の手 法に習い . 変位 強制 定 常 振 動 法 を剛、 た. こ の詳 細につ い て は 鹿野が述べ て い るの で, その要点のみ を 記 す.
生 体 各 部の応 答は質 量の中心に集 約さ れ, こ の力学 系にお け る 運動 方 程 式よ り, 貯蔵弾 性 率 G ′, 動 的 粘 性 率 り
′
, 損 失 率ta nβ は次の如く表わ さ れ る・
G′ = C A2 十2 B2 + 3 A B c o s8′ A2 + B2 + 2 A B c o s6′
uゲ ≡ G" = C
ta nβ=
A B sin 8r
… … …
(1)
A2 十B 2 + 2 A B c o S∂′ A B sin ∂′
A2 + 2 B2 + 3 A B c o s 6/
… (2)
… … …
(3)
但し A = l・鴇
B ニ ro α2M h C = M (g 十餌2h)
l は支 持 台の支 点・ 作 用点問距 離. F8 は支 持 台へ
の九 r。 は支 持 台の振 幅∴ 山 は 正弦運動 板の角 速 度, M は体 重, h は重心の高さ, g は重 力の加 速 度 9 ・8
m/S e C2 ∂′は位 相 角を表わ す がt これ ら を測 定す るこ
とによ り, G′, 叩
′
, G ". ta nO を計 算し た・
実 際には, 上 記の式の各々 に形 状因子 h/S (S : 生 体の断面 積) を掛け な け れ ば な ら ないが・ 現 時 点では S が定ま ら ない の で, N/S ・C m2 ( N : n e WtO n) と してお く.
又緩 和 弾 性 率 G (t) は
G/(w)l l′。 = t ‑ G(t) = 黛( す‡才 一占手)ln T
よ り近 似 的に求め・ G′(u)Ll′。 = t = G (t) と な る・
緩 和スペクトル ロ(1n T) は
り甲′(以) ≡G〝(伽) = ′ HⅧ m )
・・̲00
色J T
1 十以2
T2 d(lnT)
か ら零 次 近似よ りt G〝(山)空Hl ¢ T =Ⅰ と な り. そ れ
ぞ れの実 験 結 果を緩 和 弾性 率と緩 和スペ ク トルと して
作 図し た.
実 験 装 置と 記録 方 法
実 験 装 置は. 駆 動 部, 連 結 部, 垂心位 置 検 出部の三 部よ り成る. 図 (1) は. 実 際の実験 装置の全 貌であ る.
駆 動 部は正 確に角速度が 一 定に保たれ る よ うに.
サ ー ボモ ー タ. (0 3 P T 4 6‑2, Lu m e x In c.) を使用 し, 出力は3 0 0 W であ る が. 更に6 0 : 1 の変 速器 とベ
ル ト で結 合し, 回転数を お と し, トル ク の増 大を 図っ た. ro を調 整す る た め, 低速回 転アー ム の長さ を可 変と し, これによ り r8 は 0 〜 6c m の 任 意の位 置に
固 定さ れ る. 低 速 回 転ア ー ム は ま た, r 位 相の‑ 9 00 の位 置に セッ トさ れ たマ イ クロ スイッ チを開閉 する よ うに工作し, これによ り, 演算 部の トリ ガー電圧 を供 給す る よ うにし た. 連 結 部の連 結 棒は・ 正弦運動板の
r が はゞ満 足な 正弦 波にな る よ うに, 1.2 0m と し た・ こ の正 弦運動 板の動き は, 低 速 回 転ア ー ム に取り付け た別の ア ー ム と連 動す るポ テン ショメ ー ター H P‑7 の出力によって行ない , そ の定 電圧 入力は・ 刺激装置
M S EM2 (三栄 測 器) の直 流 出力 を 応 用 し. 更に C e・ nte ring のた めの差動 電 圧をア イ ソ レ ー ク ー M S E‑2
‑JA によっ て調整し記 録し た・
重心位 置検 出 部は, 前に述 べ た正 弦運動 坂 上に Reyn ol ds の原理に基づ く 一 次元的 重心位 置 測定装 置を 工作し, ス トレ ンゲー ジ H G 3 0 に より出 力 F
を検 出し た. こ の出 力F は, 動 歪 増 幅器 ( D S 6 / P x, 新 興) によ り増 幅し・ こ の出力をモ ニ タ ー 臥 演 算 部のY軸 入力と し た・
記録 及び演 算は. 出 力F の振 幅及 び位 相 角∂′ の 測 定を行な う た め, 出 力 F の 一 部は, シグナル 7
0
ロ
セッ サー (7 S O 6‑A, 三栄) と・ 一 部はモ ニター ・ 撮 影 用と して筋 電 計 (U B 2 0 4・ 三 栄) のY軸入力 嫡 子に 入れ た. いず れ も D C input と し・ 動 歪 増 幅 器より
のキャ l) ヤ M 5 K Hzを除く た め, 1 K Hzのフ ィルタ
人 ・ 強制 直立姿勢のレオロ ジー
図1 実験 装 置と質 量負 荷に よ る実験の様子
図2 B lo ck diagr a m
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