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算数科における統計的リテラシーの育成に関する研究

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(1)

平成

25年

度 学位 論文

算数科 にお ける統計 的 リテ ラシーの育 成 に関す る研究

兵 庫 教 育 大 学 大 学 院

教 育 内容 ・方法 開発 専攻

M12142K

学 校 教 育 研 究 科

認 識 形 成 系 教 育 コー ス

(2)

目 次

は じめに

'

1章

統計教 育 に対す る社会 的要請 と本研 究 の 目的.… … …… … … …… … ………・1-13 第

1節

統 計教 育 に対 す る社 会 的要請.… ……… ……… … … …… … ……… ………… …1

1.現

代社 会 にお け る統計教 育 の重要性.… … ………… … …… … ……… …,・ ……・・'1

2.企

業 の統 計 教 育 に対す る期待.… … ……… ……… … … …… … ……… …・・…… …・3

3,PISA調

査 か らの統 計教 育へ の提言.… …… ………… …… … … …… 。,,,,・ …… …4

4.平

20年

告 示 の小 学校 。中学校 学習指導要領 に よ る統 計教 育 の扱 い 。・……… …8

5.本

節 のま とめ,… … ……:・ ………… ………… …・:… … ……… … …… …・,… … …11 第

2節

本 研 究 の 目的. 13 第

2章

算 数科 にお ける統 計教 育 で育成 を 目指す べ き能力.… …… … …… … ………

1454

1節

木村 の統 計 リテ ラシー.… … … … …:・ …,,,.… …・14

1.統

計 リテ ラ シー.… … ……… ……… …,14

2.統

計 リテ ラシー の 内容.… ………:・ …… … … ……,・・,… … …・15

(1)統

計 リテ ラシー の

3つ

の要素.… … …… …… … ……… … …… …,,… … …・15

(2)統

計 リテ ラシー の内容.… … … ……… … …… … …… … … …… …・18 第

2節

Galの

統 計 的 リテ ラシー.… … ………… ………… …… … … …:・ … ……… …・24

1.統

計 的 リテ ラシー の定義.… ……… ……… ……… … ……… … ……… ……… …・24

2.統

計 的 リテ ラシー のモデル.… … ………… ………… …… … … ……… …………・24

3.知

識 的要 素.… … … … …… ……… ………… ……… … ……… … …… ∴.… …… …25

(1)リ

テ ラシー ス キル(Literacy Skills).… ………… ………… ……… ………… …25

(2)統

計 的知識 ベ ー ス(Statistical Knowledge Basc).… …・.… …… … ……… …・26

(3)数

学 的知識 ベ ー ス(MtthematicJ Knowledge Basc).… … ……… … ……… …29

(4)文

/世

界 知識 ベ ー ス(COntex7Wo■ d Knowledge Basё)… …… … ……… …31

(5)批

半J的ス キル(CritiCal skills)… ……… …………・32

4.気

質 的要 素.… … … ……… ……… ………… ……… ……… … … ……… ……… …・32 (1) llと半J的姿勢(CritiCal stancc).… ……・…………・…・………・……・……・32

(2)信

念 及 び態 度(Beliett and Attitudes).… ……… ……… … ……… … ……… …33

5.批

半J的ス キル.… ……… ……… ……… … …… …… …… … … …… ….33

3節

算数科 で育成 を 目指 す べ き「統 計 的 リテ ラシー」.… …… … ……… ………….44

1.統

計 的知識 理解 。技能.… …… ………… … ……… … ……… … …… … ……… ….44

2.統

計 的探 究能力.… …… ……… …… ……… … ……… …… … … …… … …………・45

(3)

3章

統 計 的 リテ ラシー 育成 のた めの教材 開発 とそ の実 践.… … ………… ………55T74

1節

教材 の開発 ……… ………… ……… …55 第

2節

授 業 の分析 ……… ………… ………61

1.授

業 の概 略.… … … … …… … … …… … … …… … ……… …61

2.ビ

デ オ映像 か ら分 か る班活動 の様子・……… … ……… ……∴t・・65

3,ア

ンケー ト結果 の紹介.… ……… ………… … …… …… …… … ……… …………・69 第

3節

考察・………… ……… …。,… … ……… …・71

1.児

童 の作成 した グラフの考察・……… ……… ………'71

2.班

活動 の考察.… …… ………… ……… … …… … ……… … ……… ……… …・73

3.ア

ンケー ト結果 か らの考察.… … ………… ……… … …・`… … …… … … ………・74 第

4章

統 計的 リテ ラシー育成 のための教材案.… ………… ……… … …… … ………75-98

1節

ア メ リカ にお け る統計 教育.… … ………… ……… ……… ……… … …………・75

1.ア

メ リカ の算 数 ・数 学教育カ リキ ュラム.… … … ……… … ……・,・・…… …・75 2.『

NCTMス

タンダー ド』の「データ解析 と確率」領域おける学年別 目標.… 77

3.算

数科における統計教育に対 して『

NCTMス

タンダー ド』から得 られる示唆 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87 第

2節

「統計 的 リテ ラシー」育成 のた めの教材 案.… … … …… ……… … ……… …・88 1,「 虹 統 計 的探 究能 力 」育成 のた めの教 材案 …… ……… … ……'''・ …… …・88

(1)

「シ ャボ ン玉液 をつ くろ う」(調べ る事柄 を明確 に し

,統

計 調 査 を企 画す る

).…

… … … …… ……… ……∴・… ………… … …… … …・・… … …… … …88 2.「 Ⅲ 統 計 的評 価 能力 」育成 のた めの教材 案.… … ……… … ………,・ ………・92

(1)

「お もちゃ の仕入 れ 」(自 分 の行 つた統計 調 査 で得 られ た結 論 を評 価 す る).… ………∴・………・92

(2)「

何 年 生 の足 のサイ ズか な」(他者 か らの統 計 資料 を評価す る),… … …95 第

5章

本研 究 の ま とめ.… … ……… ………… ………… … … ……… ……・

99102

1節

本研 究 の総括 と成果.… ,.… … ………… ………… …・・… … ……… … …… …・99

1.本

研 究 の総括.… … … … …… … …… … … … …… … …… … … …… … …99

2.本

研 究 の成果.… …… ………… ………… ……… … ……… … ……… ……… …101 第

2節

今後 の課 題.… ……… ……… ……… ……… … ……… … ……… …………102 1.「 Ⅱ 統 計的探 究能 力 」 と 「Ⅲ 統計 的評 価 能力 」 の関連 性 の検 証.… .102

2.系

統性 の構 築.… … ………∴… ………… ……… … ……… … …… … …………102 お わ りに 引用 。参 考 文献 付録 資料

(4)

は じめ に

最 近,「 ビ ッグデ ー タ」 とい う言 葉 を よ く耳 にす る よ うにな った。 ビジネ スの世 界 で は

,大

手 スー パ ー や コ ン ビニ エ ンス ス トア が,「い つ, ど こで

,誰

,何

を買 つた か」 とい うデ ー タを詳 細 に集 め

,そ

れ を分析 して

,売

れ 筋 の商 品 を店 頭 に並 べ てい る。 ス ポー ツの世 界 で は

,バ

レー ボール の監督 が

,タ

ブ レ ッ ト端 末 を片 手 に 日の前 で進 行 中 の試 合 をデ ー タ分 析 しなが ら作戦 を考 えてい るも 将棋 や 囲碁 の世 界 で は

,

コン ピュー タが

,過

去 の膨 大 なデ ■ 夕 を分析 して最 善 の一手 を導 き出 し

,一

流 の棋 士 と渡 り合 っ て い る。 ビジネ ス の場 にお い て も

,ス

ポー ツの場 にお い て も

,そ

して娯 楽 の場 にお い て も

,統

計 的 手 法 の持 つ 力 は, どん どん強 大 にな って きて い る とい え よ う。 私 た ちの身 の 回 りに も

,デ

=夕

活 用 の産 物 が あふ れ て い る。 新 聞 や テ レ ビ手 ュー ス を見れ ば

,グ

ラ フや 表 な どの統 計情報 を必ず と言 って よい ほ ど 日にす る し

,商

品 の 宣 伝 文句 に は,「ア ンケー トには

,9割

の人 が満足 した と答 えてい ます 」 とい った言 葉 が 並 ぶ。 統 計 情報 を用 い た表 現 は

,主

張 に説 得 力 を与 え る。 しか し

,統

計 的 手 法 は

,絶

対 的 な正解 を与 え るわ けで は ない。 デ ー タ分 析 に よ つて 戦 うコン ピュー タ は

,

とき に

,奇

抜 な一 手 を繰 り出す 棋 士 に破 れ 去 る。 デ ー タの悪 用 に よつて作 られ た 宣伝 文 句 に師 され るこ ともあ る。 どれ だ け大量 のデ ー タ を分析 して も

,想

定外 な要 因 か ら逃 れ る こ とはで き ない ので あ る。 私 た ちは

,統

計 的 手法 の力 を理 解 し

,活

用 しな が らも

,一

方 で

,統

計 的 手法 で 得 ら れ た結 論 に よっ て行 動 す る こ との リス ク も

,正

し く認識 しな けれ ば な らな い。 従 来 の算 数 。数 学 教 育 で は

,決

定論 的 な内容 が 主 に扱 われ,「正 解 は

1つ

に決 ま る」 とい う見方 で取 り組 む こ とが多 い よ うに思 う。 しか し

,実

際 の社 会 で は,「正解 は

1つ

に決 ま らな い」課 題 が ほ とん どで

,不

確 実 な要 因 を排 除 す る こ とは で き な い。 子 ど も た ちが将来

,社

会 で力 強 く生 きて い くた め には,「正解 は

1つ

に決 ま らな い 」課 題 に対 して も適切 に対 処 で き る能 力 が必 要 で あ る。 筆 者 自身

,

日々 の授 業 の 中で

,普

段 の算 数授 業 にお い て抵抗 な く課題 に取 り組 め る 児 童 が,「正 解 が 1つに決 ま らない 」課題 に遭 遇 した際 に

,急

に混 乱 して しま う姿 を多 く見 て きた。統 計 的 手 法 は,「正 解 が1つに決 ま らない」課 題 に力 を発揮 す るもの で あ る。 この よ うな児 童 に

,社

会 で力 強 く生 きて い け る力 を身 につ け させ るた めに

,統

計 情 報 を正 し く理 解 し

,統

計 を用 い て課 題 を解決 して い く力 を身 につ け させ る こ とが, これ か らの統計 教 育 に求 め られ るではな いだ ろ うか。

2013年

12月 伊 藤 健

(5)

1草

統 計 教 育 に 対 す る社 会 的 要 請 と本 研 究 の 目的

1節

統計教育に対する社会的要請

現 代 社 会 に お け る統 計 教 育 の 重 要 性 こ こ数年 の

IT革

命 に伴 い

,社

会 の急 激 なデ ジ タル化 が進 ん で きた。 そ の こ とに よ つて従 来 に比べ大 量 のデ ー タ収集 や デー タ処理 が可能 とな る と同 時 に

,大

量 のデ ー タ をい かす た めの統 計的 手法 の重 要性 も高 ま って きてい る。 また

,新

,テ

レビニ ュー ス

,イ

ン ターネ ッ トの記 事 な どで統計情 報 が浴 れ てい る社 会 にお い て

,統

計 教 育 は, 統 計 情 報 を作 り出 し発信 す る一部 の専 門家 に対 してだ けで な く

,誰

もが否 応 な くそ の 受 け手 とな らざる を得 な い とい うこ とか らす べ て の市 民 に対 して も重要 で あ る と考 え る。 現代社 会 にお い て統計 教 育 が必要 と され る背 景 につ い て

,渡

(2007)は

次 の よ うに述 べ て い る。

` ≪高度 情報 化 社 会 の進 化 と ともに

,私

た ちの身 の回 りには テ レ ビや 新 聞・雑 誌 : イ ン ター ネ ッ ト等 を通 して

,統

計 資料 や 調 査 デ ー タ か ら作 成 され た グ ラフや 表 に基 づ く情報 が あふれ てい る。特 に情報公 開へ の国 民 の要 望 も高 く

,政

府続 計 を始 め種 々 の情報 が公 開 され るよ うにな って きた現在

,身

の 回 りの情報 の取捨 選 択 を行 い なが ら

,私

た ち国民一 人一人 が正 しい判 断や価 値 選 択 を行 うた めの 適 切 な教 育 行 政 が期 待 され てい る。・ ・ 。 (中略)。 ・ 。また

,「

人 口問題 」 や 「環 境 問題 」 な ど

,社

会 経 済 。自然 現 象 の両面 に わた つ て不確 実 性 と リス ク が飛 躍 的 に増 大す る と予測 され る

21世

紀 の社 会 で は

,確

か なデ ー タに基 づ き 不確 実性 を科 学 的 に分析 す る こ とで

,持

続 可能型 社 会 の発 展 に寄 与 す る科 学者 や 技 術者

,デ

ー タ に基 づ く論理 的 な議論 で 国際社 会 や ビジネ ス の意 思決 定 を リ ー ドす る人材 が

,必

要 と され て い る。 ≫ (p.29) つ ま り

,統

計 情 報 の発 信 者

,受

信 者 双 方 の立場 か ら統 計 情報 に対 応 で き る能 力 を身 につ け させ る こ とが

,学

校 教 育 に求 め られ てい る と言 え るで あ ろ う。 ま た

,西

内(2013)で は

,統

計 情 報 の受 信 者 につ い て の重 要性 を述 べ る例 と して

,19

世 紀 の ロ ン ドンで流 行 した コ レラ に対 す る

,ジ

ョン・ ス ノ ウの例 が挙 げ られ てい る。

(6)

「疫学 の 父

Jジ

ョン ロス ノ ウの活 躍 「疫学 の父」 と呼 ばれ たジ ョン・ス ノ ウとい う外科 医 がや つた ことは ご くシン プル だ。 ・コ レラで亡 くな つた人 の家 を訪 れ ,話 を聞い た り付 近 の環 境 を よ く観 察す る。 ・ 同 じよ うな状 況 下 で コ レラにか か つた人 とか か つ て い な い 人 の違 い を比 ベ る。 ・仮説 が得 られ た ら

,大

規模 にデー タ を集 め,、 コ レラの発 症

/非

発 症 と関連 し て い る と考 え られ る 「違 い」 につ いて

,

どの程度確 か ら しい か検 証 す る。 彼 は調 査 した結 果 を詳 細 な レポー トと して冊 子 の形 に ま とめ あ げて い るが

,そ

の 中で最 も端 的 に コ レラの予 防方法 を示 してい るの は下 図 だ。

黎罐

羅ポ

1粛

死亡岩数

Kt会

At中

1用

40046 12`3 315

水t会社

Bt利

26107 98 37

出所 :ジ ョン・スノウ「コレラの伝染様式についてJ ・ ・ 。(中略)・ ・ ・ 残 念 な こ とに ス ノ ウの主 張 は「科 学 的 で は な い」あ るい は「確 実 な証 拠 が ない 」 と して学会や行 政 か らは退 け られ たが

,彼

の助 言 に従 つて コ レラに汚 染 され た水 の使 用 を止 めた町 で は ぱ つた りとコ レラの感 染 が止 ま つ た。 (西内

,2013,p.H-14)

ジ ョン・ ス ノ ウ とい う外科 医が

,コ

レラは汚染 され た水 に よつ て感 染 す る可能性 が あ る こ とをデ ー タ に基 づ い て予 測 した。 しか し

,当

時 の社 会 では

,統

計 的 な手法 に対 す る理 解 が足 りな か った た め

,ジ

ョン・ ス ノ ウの忠告 は受 け入 れ られ なか つた の,であ る。現代社 会 で は

,19世

紀 当時 よ リデ ー タの収集 や 分析 の技 術 は格 段 に進 歩 してお り, 統 計 系的 手 法 は

,強

力 な手 法 と して浸 透 して い る。 そ の よ うな現 代 社 会 に生 き る上 で

(7)

,統

計 的 手 法 を用 い た 主 張 を適 切 に理 解 し, 自 らの行 動 を選 択 す る こ とが

,統

計情 報 の受 信 者 と して求 め られ て い る と言 え るで あ ろ う。

2.企

業 の 統 計 教 育 に 対 す る 期 待 統 計 教 育 に対 す る社 会 的 な 関心 の 高 さを示 す もの と して

,企

業 が求 め る小 。中 。高 等 学校 で の算 数 ・ 数 学 の 内容 を明 らか にす るた め に行 われ た瀬 沼

(2004)の

調 査 が あ る。下 の[図 1.1]の グ ラ フは,「仕 事 をす る うえで一 般 に大切 な算 数 ・数 学 (の内容 は 何 か)」 とい う質 問 に対 す る回答 の結果 を示 して い る。 これ に よる と

,算

数 ・数 学 の 内容 の

27項

目の 中で,「デ ー タ に基 づ く予 測 」 と 「統 計 」につ い て「大 切 で あ る」「とくに大切 な部課・部署 が あ る」と答 えた企業 の割合 は, それ ぞれ 94%と

89%と

な つ てお り,統計 教 育 に関す る企 業 の期 待 の 高 さを表 して い る。 │■大切でな│ │ しヽ │ │ │ 1饉その機 │ 1口

:E大 切+待

1麟

│ [図

1.1](瀬

,2004,p.37)

企 業 にお い て 「デ ー タに基 づ く予測 」 が活 用 され て い る例 と して

,POSシ

ステ ム (Point of sale system)が あ る。

POSシ

ステ ムは

,商

品 を販 売 した時 点 で の情 報 を管理 し

,経

営 に生 かす 手 法 の こ とで あ り

,ス

ー パ ー マ ー ケ ッ トや コ ン ビニエ ンスス トアで よ く用 い られ る。 モ 0 他 儀 挙 の 公 式 を 薫 え る 行 列 ス ク ト ル 敵 列 三 角 凛 畿 犠 積 分 僣 彙 ・ 対 餞 饉 螢 疵 嗅 2 次 国 微 解 議 の こ つ 方 程 式 戯 静 と 空 閾 確 率 ヨ ン ピ ュ ー タ 忍 齢 カ 彙 と 毒 定 鋼 童 カ 僚 求 心 事 な の 強 学 的 鶴 理 集 中 カ 籠 議 1■ 薇 職 難 計 申 薔 カ 由 竜 的 考 え デ ー タ に わ づ く 予 測 壼 と 針 算

(8)

あ る商 品 を特 売 で値 下 げす る場 合 に客 が どの よ うな反 応 を示す の か を検 討 す るた め に

,POSデ

ー タ分析 を行 った例 を以 下 に示す。 この例 で は

,あ

る商 品 の売 り上 げ数 量 を販 売価 格 ご とに分 類 し

,グ

ラ フ に表 して分析 して い る。 これ に よ り

,138円 ,158

円 に価 格 設 定 した場 合 に

,商

品 の数 量 P11が大 き く増 えて い る とい うよ うに

,特

売 の効 果 を把 握 す る こ とが で き るの で あ る。 値下げでどのくもい発れるのか ・ 歳準機書鸞独tpl々 鶴鴫儀臨憔鐵機 t 神 lS 10 3 0 pO撼 15鶴 筆G蹴 挙鶴 篠 ゛ 輌 職 “ 一 一 錦 ● 一 彎 繁 繊

鱗0

一繭

轟 鉾 r 働 “ 摯 鑢 ・織 孵 ” 織 , 難 機職無謹蝦繊漱

戯鸞 鱗格機の売れ帯きを分緩することで、壽売時の風難壁磁認で隷 す。 ンターネ ッ トhttp://www.ksp‐sp.oom/service/why/images/solution_sample05jpgよ り弓│

3.PISA調

査 か らの 統 計 教 育 へ の 提 言 学校教育 において

,統

計的 内容 を どの よ うに扱 えば よいのだ ろ うか。

OECDに

よる 生徒 の学習至1達度調 査 (以下

PISA調

査 と呼ぶ

)の

PISA2006年

調査 評価 の枠組み』 (国立教育政策研 究所

,2007)で

,新

たな学習 内容 としての 「不確 実性」 について 次のよ うに述べ てい る。 ≪今 日

,多

くの人 々 は数 学 を一般 的 な意 味 で パ ター ンの科 学 で あ る と捉 えて い

1数

PI:1000人

あた りの買い上げ点数

(9)

る。 この た め

,こ

の枠 組 み では これ を反 映 した包 括 的 ア イ デ ア を選択 した。 す な わ ち

,空

間 と形 にお け るパ ター ン

,変

化 と関係 にお け るパ ター ン

,量

に お け るパ ター ンは

,数

学 に 関す るい か な る記 述 に お い て も中心 的 で本 質 的 な 概 念 を形 成 す る もの で あ り

,い

か な る学校段 階 のカ リキ ュ ラム にお いて も, そ の 中核 を成 して い る。 しか しなが ら

,数

学 にお い て リテ ラ シァ が あ る とい うこ とは

,さ

らに多 くの意 味 を持 ちてい る。数 学 的 お よび科 学的 な観 点 か ら, 不確 実性 を扱 うこ とは不 可欠 で あ る。 このた め

,確

率論 と統 計 の要 素 に よ り,

4つ

目の包 括 的 ア イ デ ア が誕 生す る こ と とな った。す な わ ち不確 実 性 で あ る。 ≫ (p,78) この よ うに

,従

来 の決 定論 的 な 問選 を扱 う数 学 内容 だ けで な く

,不

確 実 な事象 を扱 う確 率論 や 統 計 が

,数

学 的 リテ ラシー とい う観 点 か らも避 け る こ とので き ない 内容 で あ る こ とを指摘 して い る。 また

,同

書 で は

,以

下 の よ うにす べ て の市 民 に とつて統 計 が必 要 とな る場 面 を 具 体 的 に挙 げ

,統

計 情 報 を適 切 に解 釈 す る力 の重 要性 につ い て も触 れ て い る。 ≪ 科 学 や テ ク ノ ロジー は ほ とん ど確 実性 を扱 わ な い。実 際

,科

学 的 な知識 が絶 対 的 で あ る とい うこ とは め った に ない し

,時

と して重 大 な誤 りを犯 す場合 もあ る。 した が つて

,も

つ とも科 学的 な予測 で あ って も何 らか の不確 実性 を免 れ る こ とは で きない。不確 実性 は また 日常生活 を表 す。す なわ ち

,不

確 実 な選 挙結 果

,橋

梁 の崩 落

,株

式 市場 の暴落

,信

頼 で きな い天 気 予 報

,的

外 れ の人 口成 長 予 測

,一

致 しな い経 済 モ デ ル な どで あ る。 包 括 的 な アイデ ィア の

1つ

と して

,不

確 実性 は

2つ

の 関連 す るテ ーマ

,す

な わ ちデ ー タ と偶 然 が あ る こ とを示 唆 してい る。 これ らの現 象 はそれ ぞれ

,統

計 と確 率 とい う数 学 学習 にお け るテー マ で あ る。学校 カ リキ ュ ラム に 関す る比較 的最 近 の勧 告 は一 致 して

,統

計 と確 率 は従 来 に比 べ 相 当重 要 な地位 を与 え られ る べ き で あ る と提 案 して い る (Committee of lnquiry illto the Teaching of

Mathematics in Schools, 1982; LOGSE: 1990;

MSEB,1990; NCTM,1989;

NCTM,2000)。

この 領 域 にお い て重 要 な

,特

定 の 数 学 的 概 念 と活 動 とは , デ ー

タ収集

,デ

ー タ分析

,デ

ー タ表示

/視

覚化

,確

率及 び推論 である。 ≫ (p.88)

(10)

教育段階で不確 実性 に対す る理解 を深 めることは大変重要 である。従来 の算数・ 数学 科の学習 において主 と して扱 われて きた決定論的な内容 だ けでな く

,不

確 実性 に関連 す る数学 の内容 である統計 と確率 について も

,従

来以上 に重視 され るべ きである と考 える。

2003年

実施 の

PISA調

査 では

,不

確実性領域 に関す る問題 として

,次

の ものが取 り 上 げ られ た。 この 問題 は

,グ

ラ フで表 現 され たテ ス トの点数 のデ ー タ を も とに

,B班

の結 果 が

A

IJIよ りも必ず しも良 か つ た とはい えない とい う意 見 を主 張す る もので あ る。 全 てのデ ー タを使 用 して平均値 を求 め る と

,B班

の方 が 良い点数 とな るが

;80点

以 上 の人数 や

50点

未 満 の人数 とい ったデ ー タ を取 り上 げれ ば

,A班

の方 が優 れ た結果 を残 した と主 張 で き る。 この よ うに

,デ

ー タの どの部 分 に焦 点 を当て てデ ー タ を分析 す るか に よつ て

,同

じデ ー タか らも異 な る主 張 がで き るの で あ る。 テストの点織饉議する購 下のグラフは、二つの難Aと Bめ壌辞のテスト織染を示しています。 A経 の幅 魚は鋭腱、彗難の移 点‐は鱒あです。鶉 ‐薫以轟とつた壺縫織合格にな ります。 , 難料

o争

ス:―卜奇蕪盤 ● 5 4 3 2 1 0 喜 畿 0 人 撫 0 す 遇 手 ● ・ ●

番 量

麟 織 繊 零 會 8 基 0 筆 倉 菫A鶏

田B鱗 先生ltこのグラフを晟て、今購 テス トでは、

8妙

豪 うがA糠より驚かわ―たと言 いました。

□ 懲

鐵殺鰤

鸞鷲

i識

i轟

吻雛も

躙 雛

Fう

グラフを腱い、

A瑯

の発縫麟旗鷺できる数学的な離禽を一つ挙げてく│ださい ` (文部 科 学省

,2010,p.18)

(11)

また

,『

PISA2003年

調査 評価 の枠組み』 (国立教育政策研 究所

,2004)で

,次

の よ うな問題例 が紹介 され てい る。 強準鋤リテラ●/―n饉樹12:翻

30雌

績 下のグラフは、ゼ ツ トランド機の翻 誌 rニユーズ・マガジン]に掲載されたものです。 このグラフは、住民 100000人 当た りの犯罪件数 を示 してお り、 ,

1∵

I11.1_1

│ わりの方は 1年 間隔になっています。 t,,_″.∼_._‐・‐‐・●●…Ⅲ・…‐・・ ∼・‐―・―・“・″…″………Ⅲ………″Ⅲ…W……・ 涸椰●●mに目する闘1 1960年に報告された、100000人当たりのなじ罪件数は何件でしようか。 また、警鞭 盤メーカーは難じデータを使用して次のグラフを作成しました。 10万人歯たりの獅 数 鋼 編 類 欝 爛 盤 鋼麟 二″ 鮮 の勒 を 止めよ う ` J書織踏置 を露 ι:護ルよう″ 60“ 7075 解 年 │ │ ―」 1租椰の増加に目する閥

2

1 グラフの作成者は、どのようにして、またなぜこのグラフを考え出したのでしようか。

1

警察は犯g「取簿 りが成功 している様子 を示 したいと考えていたので、警報装置メーカーが l作ったこのグラフをあまり歓波 しませんでした, では,警察の目的に適 うような∼最近の鵜罪件数が減少していることを示すグラフを作って ください。 I (国立教育政策研 究所監訳

,2004,p.90)

この 問題 で は

,統

計 グ ラ フ を作 る際 に

,デ

ー タの どの部 分 を使 用 す るか に よつて グ ラフの印 象 が変 わ る こ とが取 り上 げ られ て い る。 同 じデ ー タ を も とに した と して も, グ ラ フヘ のデ ー タの表 示 の仕 方 に よ り

,異

な る印象 を与 え る こ とが 可能 に な る とい う こ とも

,統

計 情 報 を扱 う際 に は重 要 とな る事 柄 で あ る。

(12)

PISA調

査 で は, この よ うに,「不確 実性 」 を含 ん だ事 柄 に対 処 す る必 要 が あ る場 面 を取 り上 げた調 査 問題 を扱 って い る。そ して,『

PISA2003年

調 査 評 価 の枠 組 み』(国 立教 育政 策研 究所

,2004)で

,統

計 教 育 の必 要 性 にら ぃ て

,以

下 の よ うに述 べ て い る。 ≪ 変化 と不確 実性 を知 的 に処 理 す る能 力 は

,デ

ー タ と偶然 に 関す る指 導 目標 で あ 、る。 変化 は処 理 が難 しい概 念 で あ る。 つづ り方や か け算 か ら教 育 を受 け始 めた 子 どもた ちは

,世

界 は決 定論 に よ つて支配 され て い る と考 え る。 ま た

,少

な く とも数 で答 え る よ うな場 合

,彼

らは

,答

え は 1つで一 方 が 正 し く

,一

方 が 間違 つて い る と考 え る よ う学ぶ。 変化 は予想 で きない

,不

安 な もの で あ る。 統 計 とは

,不

確 定 な経 験 デ ー タか らの推論 とい う

,独

特 で重 要 な事 柄 を数 学 教 育 に導 入 す る もの で あ る。 この種 の統計 的 思 考 は

,あ

らゆ る知 的 な市 民に とつ て精神 的 な道 具 の一 部 で あ るべ きで あ る。 ≫ (p.87) 不確 実 な事象 を知 的 に処 理 す るた めに必 要 とな る統計 的 思考 は

,決

定論 的 な事 象 を 扱 う従 来 の数 学 内容 に な じん で きた子 ど もた ち に とつて難 しい もの か も しれ ない。 し か し

,知

的 な市 民 に とつ て,「不確 実性 」を含 む事 柄 を処 理 す る能 力 は

,必

要 不可 欠 な 能 力 で あ る と言 え よ う。 平成

20年

告 示 の 小 学 校・ 中学 校 学 習 指 導 要 領 で の 統 計 教 育 の 扱 い ヽ 『 小学校学習指導要領解説 算数編』 (文部科学省

,2008a)で

,以

下のように早 期か らの統計教育の必要性が訴 え られ

,新

たなカ リキュラムが試み られている。 ≪今 回 の改訂 で は

,言

,数 ,式 ,図 ,表 ,グ

ラフな どを用 い た思 考 力

,判

断 力, 表 現 力 等 を重 視 す るた め

,低

学年 か ら 「

D数

量 関係 」 の領 域 を設 け

,各

学 年 に お い て充実 を図 つて い る。・ ・ 。 (中略)・ ・ ・従 前 の 「

A数

と計 算」 の領域 に位 置づ け られ てい た 内容 の うち

,「

式 の表 現 と読 み」及 び 「資 料 の整理 と読 み 」 に関す る内容 を 「

D数

量 関係 」 の領域 に移す こ とに よ つて

,そ

の整理 と充 実 を行 って い る 》 (p.54)

(13)

≪ 目的 に応 じて資料 を集 めて分類整理 した り,それ を表や グラフな どを用いて分 か りやす く表現 した り

,特

徴 を調 べた り

,読

み取 つた りで きるよ うにす る こ と が ここでのね らいであ る。そ うした活動 を通 して

,的

確 な判断 を した り合 理 的 な予測 を した りしよ うとす る態度 を育て ることも大切 であ る。それ は

,多

くの 情報 があふれ る現代 の社会 の中にあつて

,特

に重要 な意 味 をもつ ものであ る》 (p.59) 表 や グ ラ フ な どの 統 計 情 報 を用 い て 自分 の考 え を わ か りや す く表 現 す る こ とや

,統

計 情 報 を適 切 に読 み 取 る こ とが 重 視 され て き て お り,今回 の カ リキ ュ ラ ム の 改訂 で は, 統 計 に 関 わ る内 容 を小 学 校 段 階 か ら系 統 立 て て 指 導 して い く こ とが 意 図 され て い る。 『 中学校 学 習 指 導 要領 解 説 数 学 編 』 (文部 科 学省

,2008b)で

,以

下 の よ うに 社会 にお い て要 求 され る統 計 的 能 力 との 関 わ りにお いて

,統

計教 育 の必 要 性 とそ こで 取 り扱 う内容 につ い て言 及 して い る。 ≪今 回 の改訂 で は,不確 定 な事 象 を取 り上 げ る新 た な領 域 と して「

D資

料 の活 用J を挙 げ る こ と と した こ とに伴 い

,

。・ 。 (中略)・ ・ 。「

D資

料 の活 用 」 の 領 域 は

,こ

れ ま で の 「

C数

量 関係 」 の領 域 に位 置 付 けて い た確 率 に関す る内 容 に

,資

料 の特 徴 や傾 向 を数 学 的 に考 察 し把 握 す る こ とや

,母

集 団 の特 徴 を 標 本調 査 に よ り推 測 す る こ とを加 え

,そ

れ らを利 用 して 日常 生 活 や 社 会 で起 こ る事 象 を取 り上 げて考 えた り判 断 した りす る活 動 を 中心 に構 成 す る こ とと した。 ≫

(p.37) ,

≪急 速 に発 展 しつ つ あ る情 報 化社 会 にお い て は

,確

定 的 な 答 え を導 くこ とが 困 難 な事 柄 につ い て も

,

目的 に応 じて資 料 を収集 して処 理 し

,そ

の傾 向 を読 み とつて判 断す る こ とが求 め られ る。 》

(p.59) /

こ うした 中学校 カ リキ ュ ラム の改訂 を受 けて

,平

24年

全 国学 力 。学 習 状況調 査 の 調査 問題 で は

,不

確 実性 を含 む事 柄 につ い ての判 断 力 を問 う問題 と して

,次

の問題 が 出題 され て い る。

(14)

1998年

生 まれの美咲さんは. この年に行われた長野 オリンピック

で 日本チームが金 メダルを とったスキージャンプ競技に興味をもちま

した。 この競技で は

,飛

んだ距離 の大 きさと姿勢の美 しさを競います。

美 咲 さん は

,こ

の ときの 日本チーム の

源 田羅彦選手 と継 永新彗選手の飛 んだ離

離 の記録について議べ ました。

ドの

2つ

ヒス トグラム

iま

, 1998年

シーズ

:ン

の長野

オリ ンピッタ まで のい くつかの国際 大会

,二

人が飛んだ輩離の識録 をまとめた も

のです。たとえば

,こ

の ヒス トグラムか ら

,

二 人 とも

105轟

以上

110m未

満の距離 を

3圏 飛んだことが分か ります。

簾 田 選 手 の記 録

船木選手の記録

源田雅彦選手 と 船木和纂選手の写真 (Ln3) 10 140 135 130 120 115 110 75 (■) 10

(15)

(2)美

咲さんは

,

もしこの二人が もう

1回

ずつ飛んだとしたら

,

どち

らの選手がより遠 くへ飛びそうかを

,二

人のヒス トグラムをもとに

考 え て み た い と思 い ま した。 二 人 の ヒス トグ ラ ム を比較 して

,そ

こか ら分 か る特 徴 を も とに, 次 の

1回

で よ り遠 くへ 飛 び そ うな選 手 を一 人選 ぶ とす る と

,あ

なた な ら どち らの 選 手 を選 び ます か。 下 の ア

,イ

の 中か ら どち らか 一方

の選手を選びなさい。また

,そ

の選手を選んだ理由を

,二

Qヒ

説 明 しな さい。 どち らの 選 手 を選 んで 説 明 して もか まい ませ ん。 ア 原 田 選 手 イ 船 木 選 手 ′ (国立教 育政策研 究所

,2012,中

数B・

5,6)

この問題 では

,原

田選 手 と船 木 選 手 の記 録 のデ ー タか ら

,次

の 1回 の記 録 を予 沢1す る こ とが求 め られ る。 この問題 は

,ど

ち らの選 手 を選 ん で も

,そ

の判 断 に対す る理 由 づ けが妥 当で あれ ば

,正

解 とな る。 しか し

,そ

の妥 当な理 由づ け に は

,平

均 や散 らば りな どの統 計的概 念 を適 切 に使 用す る こ とが求 め られ る。 この よ うに

,不

確 実性 を含 む事柄 に対 して

,統

計 的 な概 念 を使 用 して合理 的 な判 断 を下す こ とので き る能 力 が求 め られ てい るの で あ る。

5,本

節 の ま と め 現代社会 にお いては

,統

計情報 の発信者 としての能力 と

,統

計情報 を適切 に解釈す る とい う受信者 としての能力 の双方が

,市

民に要求 され るよ うになって きてい る。 ま た

,企

業 で働 く者 に対 して も統計情報 を扱 えるこ とは必須 の能力 として求 め られ るよ うにな りつつ ある。

PISA調

査 では

,不

確実性 を含 む事象 を処理す る能力の育成 につ いて

,従

来以上 に重 視 され るべ きであ る と提言 され てい る。 また

,

日本 の学習指導要領 にお いて も

,統

計 的な内容 の扱 い を重視 したカ リキュラムヘ と改訂 が行われ てい る。 11

(16)

このような統計教育に対す る社会的期待に応えるためにも

,算

数・数学教育におい て

,統

計教育 をいかに実施 してい くのかは

,喫

緊の研究課題 であると考 える。

(17)

2節

本 研 究 の 目的 第 1節で述べ た よ うに

,統

計教育への期待 は

,企

業 において も

,学

榛 教育の場 にぉ いて も高まって きてい るざしか し

,我

が国においては

,平

20年

告示の学習指導要領 で統計 に関す る内容 が充実 した ものの,そ の内容 は平成

10年

告示 の学習指導要領 で削 減 された内容 が

,再

び学習 され るよ うになった とい うだ けの もの も多い。 また

,中

学 校 では,「資料 の活用」領域 が新設 されたが

,小

学校 では中学校 の よ うに新 たな領域 が 設 け られ ることはな く

,早

期 か らの積み上 げ とい う点において

,不

安が あ る。 そ こで

,本

研究 では

,小

学校段階 において

,統

計 に関す る内容 を扱 うこ とによ り, 児童 ・生徒 の統計的 な能力 を向上 させ る ことをめ ざす こととした。 本研 究の 目的は

,次

2点

である。 ① 先行研 究 に基づいて

,統

計教育で育成 を 目指すべ き能力 を明 らかにす る。 ② ①で明 らかに した能力 を育成す るために,小学校算数 にお ける統計教材 を開発 し, その有効性 を実験授業 によ り検証す る。 まず

,①

の 目的のために

,統

計教育で育成 を 目指すべ き能力 について述 べた先行研 究 を概観 し

,そ

れ を も とに筆者 の考 える統計教育で育成すべ き能力 を整理 す る。 そ し て

,②

の 目的のた めに

,諸

外 国にお ける統計教育 に関す る学習 内容 を参考 に して

,算

数科 にお ける統計教材 を開発 し

,そ

れ を用 いた実験授業 を実施す る。 13

(18)

2章

算 数科 に お ける統計教 育 で育 成 を 目指す べ き能 力

統計情報 に対 して

,受

信者

,発

信者双方 の立場 か ら適切 に対処 で きる能力は

,す

べ ての市民に とって必要 とな る能力である と考 える。本章 では

,そ

の よ うな能力 として の統計的 リテ ラシー に着 日し

,木

村(2005)と Gal(2004)の 先行研 究 を基に して

,統

計的 リテ ラシー とは

,い

かな るものか について考察す る。 第

1節

木 村 の 統 計 リテ ラ シー

1.統

計 リテ ラ シー 木村(2005)は

,統

計教育 の必要性 について

,以

下の よ うに述べ ている。 ≪社会 の実態 を反映す る統計デー タ

,統

計情報 は

,市

民すべ てが賛否 は別 に して 共 有 す る基盤 の情 報 で

,そ

れ を知 り理 解 し認 識 す る こ とが世 界 の人 々の共 通 の 教 養 に な っ て い る。 そ して

,こ

れ らの情 報 を賢 く使 い こなせ る こ とが市 民 と し て必須 の素養 にな ってい る。 》 (p.2) 統 計 情報 は

,社

会 生 活 を送 る上 で基盤 とな る情 報 で あ り

,そ

れ ゆ えに統 計情報 を使 い こなせ る こ とは現 代社 会 にお い ては必須 の素養 で あ る。 この よ うな考 えか ら

,木

村 (2005)は

,統

計 リテ ラ シー を以 下 の よ うに定義 して い る。 ≪ した が って

,統

計 リテ ラ シー (統計 的 国 民 的素養

)は

統 計 に 関す る国民的 素養 を指 し

,そ

の基本 は学校 生活 や 学 習活動 ばか りで な く

,

日常 生活 にお いて も, 国民誰 もが知 って い て使 え る こ とが で きな けれ ば な らな い, ① 統 計 と統 計 方 法 につ い て の知 識 理解 と使 え る技 能 (基礎 基 本) ② 統 計 教 育 の 中核 を なす 「と らえ る一 あつ め る一 ま とめ る一 よみ とる一 い か す 」 の統 計 的探 究 プ ロセ スで課 題 解決 す る統 計 的探 究能 力 ③ そ して

,こ

の プ ロセ ス を通 して身 につ け る統 計 的探 究 マ イ ン ド (実証 的, 数 量 的

,客

観 的 に見 た り考 えた りす る感 性

,セ

ン ス と して の統計 的見方 ・考 え方) と定義 で きます。 》 (p.35) 14

(19)

木 村(2005)に よ る統 計 リテ ラシー は

,日

常生活 にお い て 必 要 とな る能 力 で あ り,「統 計 の知識 理 解 。技 能 」「統 計 的探 究能力 」「統計的探 究マイ ン ド」 の

3つ

の 要素か らな る もの で あ る。

2.統

計 リテ ラ シ ー の 内 容

(1)統

計 リテラシーの

3つ

の要素 統計 の知識理解 と技能 について

,木

村(2005)は

,次

の よ うに説 明 してい る。 ≪

1)知

識 理解 :統計 の意 味や性格

,統

計 の必要性 や利用す る場 な ど

,基

礎 的 な概念や知識 を理解す る。

2)技

能 :イ ンターネ シ トな どを使 った資料 の収集 や選 択

,調

べ るための調 査 (実験 。観沢

1)の

や り方やデー タの とり方

,デ

ー タの整理 の仕方

,結

果 を統計 の表 。グラフに表す方法 な どを

,正

しく適切 に処理す る技能 を習得 す る。 ≫ (p.35) 統計の知識理解 と技能 は

,従

来 の算数・数学教育 で もよ く扱 われ てきた

,代

表値 (平 均

,メ

デ ィア ン

,モ

ー ド

)や

分散

,相

関な どの統計 に関す る概念 と知識 の理解

,表

。 グラフに表す方法や平均 を計算す る技能 の ことであ る。 これ らに加 えて

,統

計 の必要 性や利用す る場 とい う

,統

計の社会的有用性 に関す る知識 も含 む もの と して捉 え られ てい る。 統計的探 究能力 は,「 とらえる一 あつめ る二 ま とめる一 よみ とる一 いかす」とい う統 計的探 究プ ロセス において探 究活動 を行 うことのできる能力であ る。「とらえる一 あつ める一 ま とめる一 よみ とる一 いかす」のそれぞれ の学習活動 につ いて

,木

村(2005)は 次 の よ うに説 明 してい る。 《① 最 初

,お

?

あれ !と 驚 き

,お

か しい と疑 間 に思 い

,ど

う しよ うか, ど う行 動 しよ うか戸惑 う。 そ ん な とき

,友

達 や 先 生 に聞 いた り

,自

分 で図

(20)

書館 や イ ン ター ネ ッ トで資 料 。情報 を収 集 した り して

,明

らか に しな けれ ば な らな い

,ま

た解 決 しな けれ ば な らない課 題 は何 か

,疑

問や 戸 惑 い の課 題 を絞 り込 み

,解

決 しな けれ ば な らな い課題 を絞 り込 み ます 。(と らえ る) ② そ して

,何

を調 べ た ら疑 間 の課題 が 明 らか に な るか

,解

決 す る こ とに な るが

,調

べ る こ とが ら (指標

,標

)を

決 め て

,

ど う調 べれ ば よいか を考 え

,事

実 。実 態 を明 らか にす る調 査 (実験観 察

)を

行 い

,資

料 。デ ー タ を 集 め ます。(あつ め る) ③ 集 め られ た資 料 ・ デ ー タを整 理 し

,デ

ー タ (集団

)の

特性

,安

定 した傾 向 ・規 則 性 を導 き出 しや す い よ うに

,分

か りや す い結 果 にま とめ

,グ

ラ フ や 表 に表 します 。(ま とめ る) ④ ま とめ られ た 結 果 か ら

,事

実 や 実 態 が何 か

,

ど うで あ るか

,変

化 は あ る か

,変

化 は どの よ うで あ るか

,予

想 通 りで あ つ た か違 っ て い た か の判 断 を します 。さ らには

,事

実 や 実 態 の背 後 に あ る本 当 の姿

,原

因 は何 か を考 え, 安 定 的 な傾 向・ 規 則 性 を追 及 します。 そ して

,い

ろい ろ な結 果 を総 合 的 な 視 点 で 見 直 し

,矛

盾 の な い よ うに論 理 的 に考 察 を深 め

,一

般 化 で き る結 論 を導 き出 し

,判

断 を下 し

,最

終 の結 論 を得 ます 。(よみ とる) ⑤ そ の結 論 は

,課

題 の疑 間 に答 え られ た か

,ま

だ調 べ な けれ ば な らな い か を評 価 し

,結

論 を得 た の で

,そ

の結論 に従 っ て ど う行 動 す るか

,自

分 な り の意 見 を もち

,意

思 の決 定

,行

動 の決 定 の判 断 を しま す 。 この た め に

,必

要 に応 じて

,課

題 を解 決 し

,よ

りよい効 果 が上 げ られ る よ うな 効 果 的 合 理 的 な 「計 画 の立 案 」 を行 うこ ともあ ります。(いかす

)≫

(p.25,26) 統 計 的探 究能 力 が備 わ って い る と

,不

確 実 な事 態 にお い て何 か の決 定 を迫 られ た り した際 に

,信

頼 で き るデ ー タ を収 集

,分

析 して

,意

志や 行 動 の決 定 を 自 らの力 で 主 体 的 に行 え る こ とが期 待 で き る。 統 計 的探 究 マ イ ン ドとは

,統

計 的探 究 活 動 の 中で身 につ け る こ とので き る統 計 的 な 見方

,考

え方

,感

,感

,セ

ンス の こ とで あ る。木村(2005)で は,「 と らえ る一 あつ め る一 ま とめ る一 よみ とる一 いかす」 とい う統 計 的探 究 プ ロセ ス の それ ぞれ に関連 す る統計 的探 究 マイ ン ドを

,以

下 の よ うに説 明 して い る。 《① 驚 き

,疑

間 を感 じ

,課

題 を絞 り込 み

,課

題 を設 定 す る (鋭い感性

,分

析 16

(21)

的)。 [と らえ る] ② 集 団 の現 象 を事 実.・ 実態 に基 づ い て捉 え (実証 的

),か

,そ

れ を数 量 的 (客観 的

)に ,調

べ る対象 をで きるだ け偏 りが ない よ うに正確 に調 べ る (正 確 性

)[数

,数

量 は世 界 の だれ に も同 じ値 を示 す とい う意 味 で の客観 的 で す 。「統 計 は世 界 の共 通 語 」]。 [あつ め る] ③ 得 られ たデ ー タ を正 確 に整 理

,集

計 を して

,散

らば り (変動 ・ 偶 然

)の

あ る現 象 の 中か ら安 定 的 な傾 向・規 則性 を算 出 し

,導

き 出 し

,予

測 し (数 理 的・ 論 理 的

,分

析 的

),結

果 を表や グ ラ フに ま とめ ます 。[ま とめ る] ④ 諸 結 果 を関連 づ け

,矛

盾 しな い一 般 化 した結 果 を導 き 出 し (数理 的 口論 理 的

),確

率 に基 づ い た 統 計 的 推 測 に基 づ いて 総 合 的 に評 価 判 断 (総合 的) し

,結

論 を得 ます 。[よみ とる] ⑤ 課 題 解 決 の た め の結 論 を導 き

,意

思 決 定・ 行 動 決 定 し

,効

果 を評価 で き るデ ー タ を整 えて計 画 立案 し

,行

動 計 画 を立 て ます (客観 的・合 理 的)。 [い か す]≫ (p.26) デ ー タ を集 め る際 に実態 を正確 に表す デ ー タ を集 め よ うとした り

,デ

ー タか ら導 き 出 され る結 果 か ら判 断 して ,.合 理 的 に行 動 しよ うとす る見 方 ・考 え方 が統 計 的探 究 マ イ ン ドで あ る。 不確 実 な事 態 に直 面 した際 に

,主

観 的・ 感 覚 的 に判 断 しよ うとせ ず, それ を統 計 的 に処理 した上 で

,実

証 的 ・客観 的 ・ 論 理 的 。合 理 的 とい っ た 見方 ・ 考 え 方 で対処 しよ うとす る こ とが

,賢

い市 民 と して必 要 な気 質 (マイ ン ド

)で

あ る とい え よ う。 17

(22)

(2)統

計 リテ ラ シー の 内容 木村(2005)は

,統

計 リテ ラ シー を指 導 す るた め の学 習活 動 の例 と して,「八 つ手 の小 葉[図 2.1]調べ 学 習」の授 業案 を示 してい る。 ここでは

,そ

の授 業 案 を基 に統 計的探 究 プ ロセ ス と統 計 的探 究 マ イ ン ドの 内容 を紹介す る。 [図 2.1] (イ ン ター ネ ッ トhttp:“

a.Wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%84%E3%83%87か

ら引用) と らえ る 統 計 的探 究 プ ロセ ス は,ま ず「と らえ る」とい う活 動 か ら始 ま る。「と らえ る」とは, 課題 を発 見 し設 定 す る こ と,そ して,さ らに問題 を絞 り込 み ,明 確 化 す る こ とで あ る。 人 つ 手 の葉 を眺 めた時

,人

つ 手 の小葉 は必ず しも

8小

葉 ば か りで は な く

,少

な い も の で は

3枚

4枚

の ものが あ り

,多

い もので は

,10枚

,H枚

の もの もあ る。多 い の は

8枚

で は な く

,7枚

9枚

の もの で あ る。そ の理 由につ い て

,人

に 聞 い た り植 物 図鑑 で 調 べ てみ て も

,そ

の こ とを説 明 した ものが見つ か らない。そ こで,「なぜ 人 つ 手 と言 う の

?人

つ手 は本 当 に

8小

葉 な の?」 とい う課 題 を設 定 し

,解

決 の た め に人 つ 手 の小 葉 の数 を調 査す る とい う課題 を設 定す る こ とが,「 と らえ る」 の学 習活 動 で あ る。 「と らえ る」 の活動 と関連す る統計的探 究マイ ン ドには,「鋭 い感 性 」 や 「分析 的 」 な見方 が挙 げ られ て い る。「分析 的 」な見方 とは

,問

い に対 す る よ りよい答 えを得 るた めに

,課

題 の絞 り込 み や 課 題 の設 定 を しよ うとす る こ とで あ る。 こ う したマ イ ン ドを 発揮 して,「なぜ 人 つ 手 と言 うの?」 とい う疑 間 に答 え るた め に,「人 つ 手 の小 葉 の数 を調 べ れ ば よい」 とい うよ うに

,統

計 的 な方 法 で解 決 で き る よ うな課 題 を設 定 で き る 18

(23)

こ とが

,こ

こで求 め られ る統計 的探 究能 力 で あ る。 あつ め る 「あつ め る」 の活動 は

,調

査 の企 画 と調 査 の実施 を行 うこ とで あ る。 人 つ手 の葉 の数 につ い て

,図

書 や 図鑑 か ら情報 が得 られ な い の で

,そ

の実態 を調 ベ る こ とにす る。 そ の際 に

,偏

りが起 き る こ とを防 ぐた め

,

自分 の 家 ばか りで はな く, 近所 の家 に あ る もの, 日当た りの 良 い ところ と 日陰 にあ る もの

,風

通 しの 良い と ころ に あ る もの と悪 い ところに あ る もの を

,偏

りの な い よ うに何 本 か ず つ選 ん で

,小

葉 の 数 を観 察 し

,記

録 し調 べ る。 記 録 す る とき には

,正

常 に成 長 して い る と思 われ る もの だ け を記録 す るた め に

,破

れ た葉 や 枯 れ か か つた葉

,小

葉 が

1枚

2枚

の成長 して い ない葉 な ど

,取

り除 く基 準 を決 めて記 録 す る。 この よ うに,正確 なデ ー タが得 られ る よ うな調 査 方法 を企 画 し

,実

施 す る こ とが「あ つ める」 の学習活 動 とな る。 「あづ め る」に関連 す る統 計的探 究マイ ン ドには,「実 証 的 」「数 量 的 (客観 的)」 「正 確性 」 な どの見 方 ・考 え方 が あ る。 人 つ 手 の小葉 め数 を調 査 す る際

,偏

りを防 ぐた め に

,異

な る条件 に あ る人 つ手 を調 査 で きる こ とや

,正

常 に成長 して い る葉 のみ を調 査 対象 と決 定 で き る こ とが, こ こで求 め られ る統計 的探 究能 力 で あ る。 ま とめ る 「ま とめ る」 の活 動 は

,デ

ー タの整理 や デー タの解 析 を行 うこ とで あ る。 人 つ手 の葉 の観 察結 果 を

,小

葉 の数 ご とに整 理 集 計 す る こ とに決 め

,再

,落

ちや 重 な りが な い よ うに正 確 に数 え直 す。 そ して小 葉 の数 ご とに度 数 分 布 表 や グ ラフ な ど に表 す[図 2.2]。 そ の結 果

,8枚

の小葉 を持 つ もの以外 に最 大

11枚

ま で の 人 つ手 が あ る 事 や

,平

均 が

6.8で

あ る こ とが分 か る。 この ょ うに

,集

め られ た デ ー タ に対 して

,分

類 の基 準 を しつか りと決 め て

,正

確 に 集 計 し整 理 す る こ と

,代

表 値 な どを求 め る とい つ た処理 や 計 算 をす る こ とが 「ま とめ る」 の学習 活動 とな る。 「ま とめ る」 の活 動 に よつて身 につ く統計 的探 究マ イ ン ドには,「数 理 的 。論 理 的」 「分析的」 な見方や考 え方 が挙 げ られ てい る。 人つ手 の小葉 の傾 向 を捉 えやす くす る た め に は

,収

集 した デ ー タ を表 や グ ラ フ に表 現 した り

,収

集 した デ ー タ か ら平均 値 や 最 頻値 を計 算 した りす る こ とが有 効 で あ る。 デ ー タを分 析 しよ う とい うマ イ ン ドの も とに

,散

らば りの あ る現象 か ら傾 向や 規則性 を導 き出せ る よ うな表 や グ ラフな どを作 19

(24)

成 で き る こ とな どが

,こ

こで求 め られ る統 計 的探 究能 力 で あ る。 八つ手の小葉の観察データの分布 -2つの分布 に分離 〔樺グラフ〕 「よみとる」「いかすJ第2の探求プロセス 度数 160 140 120 100 80 60 40 20 0

3456

160 140 120 100 80 60 40 20 1011(小葉)0 奇数業 :多い 偶数葉 :少ない

46810

3 5 7 911(小

策) [図 2.2](木村 , 2005, p.15) よみ とる 「よみ とる」 の活動 で は

,結

果 の考 察 を行 う。 デ ー タ を ま とめ た グ ラ フや 度 数 分布 表 か ら

,人

つ 手 の葉 は

,8枚

は少 な く

7枚

が最 も多 い こ と

,9枚

の もの も

7枚

とほ ぼ 同 じく らい の多 さで あ る こ とが 明 らか にな る。 さ らに

,分

布 の形 が 凸 凹 して い て 奇 数枚 が多 く偶数 枚 が少 な い こ と

,凸

凹 が あ つて も 両端 が少 な くな る こ とが よみ とれ る。 この よ うに

,集

団 の代 表 的 な傾 向や 変化 の傾 向 な ど

,集

団 の特 性

,傾

,規

則 性 や 予測 を と らえ る こ とが 「よみ とる」 の学習 活 動 とな る。 「よみ とる」 の活動 に よつて身 につ く統計的探 究マイ ン ドには,「数 理 的・ 論 理 的」 「総合 的」 な見方や 考 え方 が あ る。 人つ手 の小葉 の数 につ いて

,一

般 的 な傾 向 を導 き 出す た め に

,平

均 で は な く度 数 分 布 に よつ て判 断 す る こ とで

,人

つ 手 の葉 の小葉 は, 奇数 枚 が 多 く

,偶

数 枚 が少 な い と結 論 づ けて い る。 この よ うに

,調

査 で得 られ たデ ー タ に基 づ い て

,総

合 的 に判 断 で き る こ とな どが

,こ

こで 求 め られ る統 計 的探 究能力 で あ る。 20

(25)

いか す 「いかす

Jの

活 動 で は

,調

査 や 分析 の′結 果 につ い て評 価 し

,価

値 判 断 を行 う。 「よみ とる」 の段 階で

,人

つ 手 の葉 は

8枚

の もの が少 ない とい う傾 向が ある こ とが 分 か ってお り,「なぜ

7枚

が最 も多 く

,そ

れ 以外 の ものが あ るのか 」「なぜ 奇数枚 の も の の方 が偶数枚 の もの よ りも多 い のか」 とい つた疑 間 に答 え る必 要 に迫 られ る。 そ の 疑 間 に対 して

,6枚

以 下 が少 なぃ こ と

,7枚

9枚

の もの は色 が濃 く

6枚

以 下 の もの は 色が薄 く若 々 しい とい うこ とか ら

,6枚

以 下 の もの は子 ど もの葉 だ った の で は な い か とい った考 えが 出 て くる。 す る と

,成

長 中 の もの と成長 しき つた もの を ま とめて集 計 して しま った可能性 が あ る とい う反省 点 が浮 かび 上 が り

,再

集 計 や 再分 析 が必要 で あ る こ とが分 か る。 こ うして

,観

察 結果 を吟 味 し

,

さ らな る分析 と考 察 が必 要 で あ る と い う評価 を下 し,「人 つ 手 の葉 は どの よ うに成長 してい くの か」とい う新 た な問い を さ らに探 究 して い く必 要 が あ る とい う結論 に達す る。 この よ うに

,得

られ た情 報 や 結 果 に対 して評 価 を与 え

,価

値 判 断 をす るのが 「い か す 」 の学 習活 動 とな る。 「いかす」 の活動 に よつて身 につ く統計 的探 究マイ ン ドには,「 客観 的」「合理 的 」 な見方 や 考 え方 が あ る。 自分 の得 た結論 を振 り返 り

,説

得 力 が あ るか ど うか を考 え る こ とで客観 的 な見方 を伸 ばす こ とが で き る。 また

,得

た結 論 に沿 つた意 思決 定 を した り

,行

動 計 画 を立 てた りす る こ とは

,理

に適 った行 動 を とる とい う合 理 的 な考 え方 の 育 成 に通 じる。 人 つ 手 の葉 調 べ で は,「

8枚

の葉 が少 な く

,7枚

が 多 い。 偶 数枚 の葉 よ りも奇数 枚 の葉 の方 が多 い。」とい う事 実 か ら

,そ

の原 因 を明 らか にす るた めには 「人 つ 手 の葉 が どの よ うに成 長 す るのか」を調 べ る必 要 が あ る と探 究活 動 が進 展 して い く。 この よ うに

,得

られ た結 果 を客観 的 に捉 え

,そ

れ に対 して の合 理 的 な理 由・ 根拠 づ け を行 うこ とが

,こ

こで求 め られ る統計 的探 究能力 で あ る。 木 村(2005)は , この よ うな統 計 リテ ラシー とそれ に関連 す る学 習 活動 につ いて

,下

[表 2.1]の よ うにま とめて い る。 21

(26)

-1

疑間の感知,図書館・ インタ ーネットか ら関連情報の収集,疑間の 絞 り込み,課題・仮説の設定,見通 し を立てる ①

-2

グローパルな視点で感性豊か に,発見性・ 先取性のある課題発見と 追究 ①

-1

疑間感期│力,課題 発見 'じ 力,AFr力 ,瑞ず端ず しい感性 ①…

2

先見性,先取性,構 想力,豊かで鋭敏な感性と分 析力,判断カ ①

-1

おや 'と 驚き,おかしいと疑F・5に 思い,関連する情報を収集 し,問題 を紋 り 込み,課題 を明確fLし (仮説 を立てる), 課蠍解決の見通 しを立てる ①

-2

グローパルな観点に立って感性豊 かに,先見性,先取性のある課題 を発見・ 迫究 し,課題を決める ②

-1

現象と事実 。実憑,指標 キ標 機,数量化 ②

-2

集画(標本と母集団),統計 鋼査の企画(実験観察)

0-3

調査の実施 ②…

1

実証的,数量的。客 観的に無えるカ ②

-2

続計調査の企画力, 調査実施能力 ②一l 現象のある側面に着目し,事奥・ 実態 として集団的,数量1的に掟 える ②

-2

目的に合つた調査計画を立て,偏 りがないように集団の対熱を選び,正確に 効果的に憫べる(実験観察する)

o-1

分類ぅ集計職 ,落ちや重な り。結果嚢(1■表. 2発表、多元装i 相関表‐,図,度数分布衰) ③-2 /A3数・lle量,比。百分率,指 数.分布 と型.代表値 (平均, 中央値),標準偏差・ 分散,相関係数。 データ解析. ③

-3

絵グ,フ,棒グラフ,折れ線 グラフ,帯グラフ,円グラフ!ンーダ ーチャート,籍ひげグラフ,統計地図, 1元表, 2元表,相関衰,多元表 ③

-1

データ集計 。処理能 力,コ ンピュータ操作枝能 ③…

2

実態把握力,櫛連づ け能力,デ‐夕解析カ ⑤

-3

グラフ作成能力 ヽ統 計表作成能力,表現力・伝達 力 ③ …

1

集団の特性 を知る目的に合 つたデ ータの分類,分析基準を決め,落ちや重な りがないように,集計計画を立て,IEEに 効率よくデータを整理集計,結果表にまと める ③

-2

集団の基礎一高次 の特性・ 傾向 (結果)を的確 に提 えるためのデータの集 計計算と分析,解析 を行 う ③

-3

理解 。納得しやすい,かつ:説明 力 。説得力ある統計グラフ・統計繁を作る ○

-l

①傾向(規則性)読み。予測 読み「 ④

-2

②関係・関連づけ読み,③モ デル化・定式化読み,①高次舞,異次 元の知・情報への変換読み:⑤新しい 知の創造・情報の創造読み Φ

-3

続計的篠測(推定。検定) ①

-1

統計的傾向・ 予測を捉える統計的解釈力・ 者察カ 0…

2

現象のモデル化能力: 高次元の知・情報発見カ リ構 想力,新しい知の311造力 ④

-3

続計的推測に基づく 客爾 推測力と価値判断カ ④…1 散 らばり(変動,麟然)のある現 象の申か ら集団の安定的な特性,統計的傾 向`規ЛU性を提た,予測を行 う ④

-2

考察を加 え,モデル化・ 定式化を 進め,高次元のまたは新しい知 。新しい情 報を発掘 `発 見する 〔蹴 計データの5段 階読みJ〕 ④

-3

客観的推311(確1率)に裏づけら れ,その意味 。価lutを考え,合理的判断に 基づいて結論を得る ⑤…1 論理的な総合的な結論を得る (次の課題 '仮説) ⑤…

2

結果に基づき結論を決め1意 志決定・行動決定する ⑤…

3

自分の意見を固める ⑤

-4

固有の文化,価麟 の異なる 社会の多様な見解意見の申で,議網 諭を通し合意形成を図る ⑤

-1

結論を導く論理飢 船 的導出力,考察力 ⑤

-2

客観的な意志決定カ ⑥

-3

自己主張力・自己表 現力 ⑤

-4

合意形成力

,

-5

統計のよさ感得 ⑤

-1

結果を多面的 “ 検討し論理に矛騰 がないように結論(また1ま次の課題,仮 説)を導き,課題解決に生かす ⑤

-2

課題解決のための客観的合理的な 計画立築,意志決定 。行JII決定をする

0-3

結論から自信のある意見421t明 考 え,ま とめる

O-4

多様な見解・意見の討論討議を通 し合意形成を図る ⑤

-5

続計的方法のよさを発見し,感得 する [表 2.1] (冽ヽ本寸, 2005, p.36) 22

(27)

木村(2005)は

, 1表

2.1]の①

-1に

示 されてい る「疑問感 知能力」について

,次

の よ うに述べてい る。 ≪科学 の探 究

,主

体的 な よい学習 は

,問

題 に対 し 「よい問い」 をす ることか ら ,出 発 します。 よい研 究の成果 は

,鋭

い視 点

,鋭

い切 り込 み方

,鋭

い着想力 に基 づ く 「よい問い」 を出発 点 に もち

,知

的 に ワクワク魅せ られ なが ら

,の

め り込 み

,胸

のす く明快 な解 決方略 をひね り出 して取 り組 んで得 られ る成 果です。 》 (p.29) 鋭 い視 点 や 着 想 力 に よ つて 「よい問 い 」 を見つ け られ る こ とが 「疑問感 知能力 」 で あ る。科 学的 な探 究 をす る うえで,「 よい 問い」を出発 点 にす る こ とは

,研

究 の成 果 を 価値 の あ る もの にす るた め に も

,意

欲 的 に研 究 に取 り組 む た め に も

,重

要 な こ とで あ る。

_

また

,本

村(2005)は

,[表

2.1]の⑤

-4に

示 され て い る 「合 意 形 成 力 」 に つ いて

,次

の よ うに述 べ て い る。 ≪加 えて

,多

文化 ・分化化す る多価値社会 で相互 の立場 を尊敬 し合 い

,共

生共 存す るために

,共

通す る実証的客観 的 な “確 かな統計デー タ

"に

基 づいて議論 討論 し合意形成す る力 ・技能 を身 につ けることが必要 です。 ≫ (p.35) 「合 意形 成 力 」 とは

,グ

ロー バ ル 化 の進 む社 会 で

,説

得 力 の あ る “確 か な統計 デ ー タ

"に

基 づ いて

,

自 らの意 見 を主 張 した り議 論 を行 った り して

,他

者 との合 意形 成 を 図 る能 力 で あ る。

、 この よ うに

,木

村 の考 え る統 計 リテ ラ シー は

,「

よい 問 い」 を見 つ け る 「疑 問感 知 能 力 」 と “確 か な統 計 デ ー タ

"に

基 づ い て議 論 討 論 し

,他

者 の理 解 を得 るた めの 「合 意 形成 力 」 を含 む もの で あ る。 「疑問感知能力」 と「合意形成力」は

,従

来の算数・数学教育では

,あ

ま り扱 われ ていない内容である。 しか し

,価

値観の多様化が進んでいる現在社会において

,

これ らの能力は

,大

変重要な能力であると筆者 は考 える。 う Z

(28)

2節

Galの

統 計 的 リテ ラ シー

1.統

計 的 リテ ラ シー の 定 義

Gal(2004)は

,統

計的 リテ ラシー について

,次

の よ うに述べてい る。 ≪上 で述べ た 「リテ ラシー」

,そ

して 「統計的 リテ ラシー」 の広範 な仕様 に関 して

,こ

の論文 は

,統

計 的 リテ ラシーについての ある考 えを発展 させ る。 そ れ は

,(生

徒 が実際 に学習 してい る統計 に対立す るもの として

)大

,特

に 工業化 した社会 の大人 に期待 され てい るものを含 む こ とになる。 ここでは次 の よ うに提案 しよ う。す なわち

,こ

ヽの文脈 におぃて

,統

計的 リテ ラシー とい う用語 は

,二

つ の相互 に関連 し合 う構成要素 を指示す る。それ は

,主

として,

(a)様

々な文脈 において人々が出会 う統計的情報

,デ

ー タに基づ いた議 論, 確 率統計的 な現象 を解釈 し

,批

判 的に評価す る能力 であ り

,必

要 な場合 は,

(b)そ

の情報 の意味 についての 自分 た ちの理解

,こ

の情報 の解釈 につ ぃて の 自分 た ちの意 見

,与

え られ た結論の受諾 可能性 に関す る 自分 た ちの関心 と いった

,統

計的情報 に対す る自分たちの対応 につ いて議論 し

,

コ ミュニケー シ ョンす る能力 で ある。 ≫ (p.49,下線イ タ リック)

Gal(2004)は

,上

の引用 中

(a)の

例 として

,「

犯罪 率

,人

口増加

,病

気の流行, 工業生産

,教

育的 な業績

,ま

たは就職率 の動向」 とい う個人や社会 の傾 向 と現象 を理 解す るこ と

,(b)の

例 として

,「

労働 者 が 自分 の組織 の状態 に関す るデー タを理解 した上で主張 を述 べ ることで

,彼

らの従業員の権利拡大 を助 ける ことにな る」 とい う 統計情報 に基づいた主張ので きることを挙 げてい る。

Gal(2004)は ,ほ

とん どの大人 は統計情報 の受信者 であ る と考 え

,統

計 的 リテ ラシーは

,主

に統計情報 の受信者 とし て老、要 とな る能力 としてい る。

2.統

計 的 リテ ラ シー の モ デ ル

Gal(2004)は

,統

計 的 リテ ラシーのモデル を

,[図

2.3]の よ うに示 してい る。 なお,

Gal(2004)は ,こ

のモデルの要素 は排他的 なものでな く

,互

い に重 なっていて

,共

(29)

的 に作用 す る もの と して い る。 例 えば

,統

計 情報 の理解 や 解 釈 に は

,

リテ ラシー ス キ ル

,統

計 的 知識

,数

学 的 知 識

,文

脈 的知識 が必要 で あ る。 ま た

,統

計 情 報 の批判 的 な 評 価 に は

,批

判 的 な質 問

,信

念 及 び態度

,批

判 的 姿勢 が 必 要 で あ る。 知識 的要素 気 質 的 要 素 リテ ラ シ ー ス キル(L■ eracy skills) 統 計 的 知 識 (Statisdcal knowledge) 数 学 的 知 識 (MathemaicJ knowledge)

信 念及 び態 度(Bcliefs and Attitudes)

llヒ半1的姿勢 (critical stance)

文脈的知識 (Context knowledge) 批 判 的質 問(Crhical QueStiOns)

統 計 的 リテ ラ シー(StttiS●cal Literacy)

[図

2.3]Galに

よ る統 計 的 リテ ラ シー の モ デ ル

(Gal,2004,p.51)

以 下 で, これ らの要 素 につ い て詳 細 に述 べ る。

3.矢

口言哉自勺要 素

(1)リ

テ ラ シー スキル (Literacy sk‖ ls)

GJ(2004)は

,統

計 的 リテ ラ シー にお け る リテ ラ シー ス キル に つ い て

,次

の よ うに 述 べ て い る。 ≪また

,読

者 は

,適

当 な文脈 の 中 に統計 的 パ ー ツ を置 くた め に

,周

囲 のテ キス ト (すな わ ち

,そ

の 中 に統 計 的 な部 分 が埋 め られ

,提

示 され た グ ラフや 図表 を説 明 して い る

)を

理解 しな けれ ばな らない。 ≫ (p.52) [図 2.4]のグ ラ フで縦軸 の値 の意 味 を理解 す るに は

,「

入 所者

1千

人 当た りの死 亡者 数 」 とい う説 明 を読 み とる必要 が あ る。 ま た

,「

H年

3月 は津 波 に よる死 亡者 数 32 人 は除 く」 とい う説 明 も

,正

確 に統計 情 報 を受 け取 るた め に必 要 で あ る。 統計 情 報 を

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