統計力学講義ノート
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(2) 因みに、長さ L の領域に閉じ込められた1次元の自由粒子は、ポテンシャル0で、 p 2mE → 定運動量(速度)で往復するだけ。(図 4-2 参照) 前期古典論. -. 軌道の量子化. 量子力学では、既に論じた様に、調和振動子のエネルギーは量子化される。. . 1 2. n 0, 1, 2, . n n . (2.93). これを、古典力学的な軌道の量子化と考えると、(4.3) の楕円(図 4-1)の面積は. A p0 q0 . 2E. p. . n=2. なので、零点エネルギーを無視すると、軌道の囲む面積が. An n2 . n 0, 1, 2, . n=3. n=1. (4.4). x. 0 の様にとびとびの値しか取れないとする。 (図 4-3) 図 4-3 これは、Bohr-Sommerfeld quantum condition(前期量子論) また、有限領域 L に閉じ込められた自由粒子では、軌道の囲む面積は. A 2 pL 。. 面積が量子化されるとすれば. 2 pn L n2 . pn . ∴. L. (4.5). n. これは、量子力学から得られる (2.8) と一致。 即ち、量子論的に許される軌道は、1つの自由度につき位相空間に面積 2 h に1個の割合で 一様に分布。 注: 「軌道の囲む面積」というのが分かり難ければ、単に、 「 (1次元につき)軌道で囲まれる x-p 空 間の面積が量子化され、 2 h の整数倍」 と考えて構わない。 Heisenberg の不確定性関係 波動関数 図 4-5. r . 1次元粒子が. 平面波の場合、(2.1). →. x0. (詳しくは量子力学で。. ここでは結果だけ認識). 粒子を r に見出す確率 r を中心に、 x. x ae ikx. 存在位置は全く不確定、 一方、. に見出される確率. で、. p k. 2. x a 2 const 2. なので、運動量は確定値. 一方、図 4-5 の例の場合、波動関数を Fourier 級数展開し、.
(3) x p e ipx . (4.6). p. p x e ipx dx 但し、ここに周期的境界条件. ついてとる。. (4.7). x x L . が成立しているとして、 p の和は p . すると、運動量の測定値が p となる確率は p. 2. , つまり、波動関数. e ipx が含まれている重みに比例。. 動量 p の波動関数. 波動関数が Gauss 関数 14. 2 a x e ax 2 . である場合を考える。. (4.8). (4.8) における位置の不確かさは. x . 1. の程度。. a. (4.6), (4.7) より. 1a p L . 14 L 2. e. ax2 2. e ipx dx . L 2. 1 4 p 2 e L a . (4.9). 14. 2 a. 2. p a. (4.9) において運動量の不確かさは. の程度. xp . よって、両者を併せると、. 一般の波動関数ではこれより常に大きくなり、. xp . (4.10). Heisenberg の不確定性関係. =======Ref Fourier 変換========== . e. ax2 2. e ipx dx . . 1 2. e p. 2. 2 a 2. ==========Ref 終============== 古典力学の近似が許される条件. x0 x ,. p0 p. (4.11). であれば不確定さは無視し得る。 であれば. x0 p0 . 2 n に L. x . に運.
(4) p0 2mE ,. となり、(4.3). E . x0 . 2E m 2. より. (4.12). 即ち、対象になっている系のエネルギーが、そのエネルギー間隔 より十分大きければ古典的に扱 う事が可能。 理想気体の場合、古典論で扱えるのは、分子位置の不確定さが無視できる時で、 1.運動量の不確かさが、運動量自体より十分小さく、かつ 2.分子間隔より不確定さが十分小さい(分子間隔が十分大きい) 時である。 この条件を考える。 1.運動量 (2.31). E. 3 Nk B T 2. p2 3 ~ k BT 2m 2 よって、. or. より. p 2 ~ 3mk BT. p p ~ mk BT. ∴. p~. mk BT. であれば良い。. 2.位置. x a これらを合わせると、. p p ~ mk BT. x a. (4.13). よって、. px a mk BT. ∴. k B T . 2 ma 2. (4.14). =================[補足] 解析力学概要======================== Lagrangian. L T V. T : 運動エネルギー. V : potential. p : 運動量. q : 位置ベクトル. d L L 0 dt q q Hamiltonian. H p q L q . H p. 1次元自由落下の場合. p . H q.
(5) T. 1 p2 mv 2 2 2m. V mgx. L. 1 mv 2 mgx 2. 1 1 H mv 2 mv 2 mgx mv 2 mgx 2 2 d L L mx mg 0 dt v x. d L L 0 dt q q q . p mv. p H p2 mgx v p p 2m m. p . H H q x. p2 mgx mg mx 2m . 詳しくは、 「解析力学」 高橋康著 講談社. 等を参照. ======================補足 終=======================. 4-2. 古典統計力学近似. カノニカル分布の分配関数. Z e En. k BT. (4.15). n. これを全ての量子状態を求める事無く古典力学に基づき計算する。 (この先、計算は複雑になるが、求めているのはこれ!) 分配関数の古典近似. p. エネルギー量子化の間隔 が 分小さいとする。. k BT に比べて十. 2h. n+1 n. k BT . n-1. q. 1次元の運動を考え、前期量子論(量子状態は位相 空間に面積 2 h に1個の割合で存在)に基づき、 分配関数 (4.15) を位相空間の積分に置き換え計算す 図 4-6. る。 図 4-6 に従い、面積 2 の領域に区分 量子状態 n に対応した軌道. H ( p, q) En. (4.16). によって定まる軌道を含む領域を、領域 n と呼ぶ。 領域(右図の赤い領域)の幅は、エネルギー のオーダー(十分小さい ∴この中で E n は一定)。.
(6) e H ( p,q ) kBT e En. よって、領域 n 中では、. k BT. dpdq 2. また、領域 n での積分は. n. よって、. e En. k BT. . 1 e H ( p ,q ) k BT dpdq 2 n. 従って、 (4.15) は. Z. 1 e H ( p ,q ) k BT dpdq n 2 n. 領域 n で積分し、 n について和を取るのだから、結局全領域での積分. Z 自由度. 1 e H ( p ,q ) k BT dpdq 2 . (4.17). f の系に拡張し、 Z. 1. e 2 f . H ( p , q ) k BT. f. dp dq i. i. (4.18). i 1. 分配関数に関する古典統計力学の近似 注: ややまどろっこしいが、基本的な考え方は、q-p 空間において、 ①エネルギー En を取る量子状態 n に対応した状態(とその近傍)で積分を行う。 ②全ての量子状態 n に①と同様にして面積を求め、それらを足し合わせる。 ③q-p 空間には、 2 h 毎に状態があるので、これで割ってやる。 ④多次元・多粒子系の場合①~③の操作を繰り返す。 振動子系の古典近似. N 個の振動子系のハミルトニアンは、(振動子間の相互作用は無視) 2 N p 1 2 H i m 2 xi 2 i 1 2m . (4.19). 分配関数は、. Z. 1 2 N. 1 exp k BT . pi 2 1 N 2 2 N m x i dp j dxi z 2 i 1 2m j 1 N. 1 p2 1 1 2 2 z exp m x dpdx 2 k B T 2m 2 . z は1振動子の分配関数 (3 章で量子調和振動子としては既出). (4.20). (4.21).
(7) 1 e 2 k BT z exp n 2 1 e k BT n 0 k BT . . ここに、公式. . . . exp ax 2 dx . . a. (A.2). (3.42). を利用して、. m 2 2 1 p2 z exp dp exp x dx 2 2mk B T 2k B T . 1 2mk BT 1 2 2k B2T 2 m . 12. (4.22). k T B . よって、. k T Z B . N. (4.23). k T F k BT log Z Nk BT log B . (4.24). k T F S Nk B log B 1 T V . (4.25). E Nk BT 2 or. log Z Nk BT T. (4.26). E F TS. 理想気体. N 個の分子からなる理想気体の Hamiltonian は、分子を容器に閉じ込めておくポテンシャルを. U r として p i 2 H U ri i 1 2m N. ここに、. 0 U r . r : inner r : outer . (4.27). (4.28). (外のポテンシャル高いため、外へは出られない!) 分配関数は、分子が識別出来ないと考えて、.
(8) 1 1 Z N ! 2 3 N 1 1 N ! 2 3 N. 1 exp k BT . e. p 2 mk BT 2. pi 2 N U r i dp ix dp iy dp iz dxi dy i dz i 2 m i 1 i 1 N. dp x dp y dp z. e N. U r k BT. dxdydz. . (4.29). N. ここに. e. p 2 2 mk BT. dp x dp y dp z 2mk BT . 1 e U r k BT 0. 32. r : inner r : outer . ∴. ((A.2) より). e. U r k BT. V dxdydz 0. r : inner r : outer . よって、. Z. 1 1 2mk BT 3 N 2 V N 3N N ! 2 . (4.30). これを用いて自由エネルギーを求めると (p.109 問 4-2). F k B T log Z k B T log. 1 1 2mk BT 3 N 2 V N 3N N ! 2 . 1 1 3N 2 N k B T log log log 2 mk T log V B N! 2 3 N 3N k B T N log N N 3 N log 2 log 2mk B T N log V 2 3 Nk B T log N 1 3 log 2 log 2mk B T log V 2 3 mk T V Nk B T log B 2 log 1 N 2 2 これは、弱い結合をした振動子の部分系で近似して求めた、(3.48) の結果と一致。 また内部エネルギーは. E k BT 2. d d 1 1 2mk BT 3 N 2 V N log Z k B T 2 log 3N dT dT N ! 2 . d 1 1 3N 2 log log 2mk B T log V N log 3N dT N! 2 d 3N d 3N 2 log2mk B log T k BT 2 log 2mk B T k BT 2 dT 2 dT 3N d 3N k BT 2 log T k BT 2 dT 2 k BT 2. これはミクロカノニカルで理想気体のエントロピー考察から内部エネルギーを求めた (2.31)と一致。.
(9) 4-3. 古典統計力学の応用. 4-2の例は、それ程古典近似のメリットはない。 そこで、次に量子状態を求めるのが困難な例 を扱う。(古典的に扱う必要性) (anharmonic oscillator). 非調和振動子. ポテンシャルを. A 0,. vx Ax 2 Bx 4. B 0. (4.31). の様な形を取るとする。 この時の分配関数を求める。 これは解析的には不可能。 古典統計力学であれば、位相空間の積分として求める事が可能。. H . p2 v x 2m. (4.32). 1粒子の分配関数は. z. 1 p2 2mk BT 1 2 1 exp v x dpdx 2 k BT 2m 2 . v x dx BT . . exp k. . (4.33). この (4.33) のポテンシャル部分の積分 v x Ax 2 Bx 4 exp dx exp k BT k BT dx . I. (4.34). は解析的には計算できないが、数値的には難しくない。 以下に考察。 (4.34) の積分に主に効くのは、vx k BT. となる x の領域。 そして、ポテンシャル. v x は. x が2次の項、4次の項、各々が主となる場合を考えると、. Ax 2 v x 4 Bx ここに、. A) vx0 . x0 . x x x x . A B. 2 A2 k B T B. 0. (4.35). 0. とおくと. (4.36). この時積分は、緑線の下で、 vx Ax. 2. の場合を考える。 これは図 4-7’ の左図。 と近似して可能。. . ∴. I. Ax 2 k B T exp k BT dx A. (4.37).
(10) v(x). v(x). kB T v0=v(x0). v0=v(x0) Ax2. kBT -x0. Bx4. x. x. x0. 0. -x0. x0. 0. 図 4-7’ 非調和ポテンシャルと場合分け. B) vx0 . 2 A2 k B T B. (4.38). k T この時積分の大半は、 x0 x B B この時積分は、赤線の下で、 vx Bx. の場合を考える。 これは図 4-7’ の右図。. 14. 4. ( x x0. と近似が可能。. . ∴. の範囲の積分は十分小さいと考える). Bx 4 k BT I exp dx B k BT . 14. (4.39). . 但し. e t dt 4. 注: X cx とおくと、 dX cdx. . . . . Bx 4 1 4 4 exp k BT dx exp cx dx c exp X dX c. ここに、. 2 A2 k BT B. となるような温度を. T0 . 2 A2 kB B. 以上の結果より、1振動子の分配関数 z 、自由エネルギー. 1 m 1 2 k BT 2 A z 14 2 m 34 4 2 B k B T . . . と定義すると、. 、エネルギー 、比熱 c 、は. T T0 (4.40). T T0 . 1 m 1 2 k B T log k BT 2 A k B T log z m 2 1 4 34 k T log k T B B 2 4 B . T T0 (4.41). T T0 .
(11) T T0 . k B T k BT log z 3 T 4 k B T 2. (4.42). T T0 . T T0 . k B c 3 T k B 4. (4.43). T T0 . (図 4-8 参照) の時、 vx Ax 2. T T0. H . であるので、元々のハミルトニアン (4.32) は. これは調和振動子近似であり、この時固有周波数 は. 古典近似が成立つためには、 k BT. 2A T kB kB m . . p2 Ax 2 2m. 2A m. が必要であるので、. 12. が必要。 これより低温では、古典近似は成立たない。 相互作用のある1次元気体 古典近似の分配関数が厳密に計算できる例 理想気体では考慮しなかった分子間力を考える。 (p.113, 図 4-9 直径 d の剛体球の1次元気体) 1次元に N 個の粒子が長さ L の直線上を運動。 粒子間の距離を X xi 1 xi とすると 子間の斥力は. v X vxi 1 xi 0 ∴. X d X d. (4.44). X d X d. 0 e v X k BT 1. N. このポテンシャルは粒子が剛体球である事を表している。 系全体では. U vxi 1 xi i 1. 分配関数の計算:. (4.29), (4.30) に習い. mk T Z B2 2 . N 2. . (4.45). . . x1 x 2 x. (積分領域の指定により、重複した数えを排除してあるので、 N ! ここで、(4.44)’ の結果から、積分が 0 でない値をもつのは、 、. N. eU k B T dxi. (4.46). i 1. で割る必要なし). 分.
(12) L N 1d. L Nd. . dx dx 1. -d/2 0. dx dx 1. 0. x1 d. L Nd. L N 1d. dx. 1. 0. . 1. . dx. N 1. L N 1d. L Nd N. . x N 1 d. dx dx 1. L2d. x1 d. L4d 2. dx. . N 2. xN 3 d. 1 L Nd x1 N N!. L-d. L-d/2. L-d. L-d/2. . L Nd. 0. L2d 2. N 1. L N 1d. L Nd. . N 1. xN 2 d. dx dx 1. x1 d. 0. 1 2 3! L 4d x N 3 . . dx L 2d x . . x1 d. 0. 1 2 dx 2 L 2d x N 1 2 xN 2 d x1 d. dx dx 0. L-(N-1)d. Ld. xN 2 d. L N 1d. L Nd. (4.47). N. 直径 d の剛体球の1次元気体. dx. . dx. x N 1 d. L-Nd. L2d 2. N 1. x2. L N 1d. L Nd. Ld. xN 2 d. x1 x1+d 図 4-9. . dx. . x1. -d/2 0. . 2. x1 d. 0. . L2d. L Nd. . L 3 d 2. . dx. xN 3 d. N 2. 1 2 2 L 3d x N 2 . dx N 1! L Nd x 1. 1. 1. 0. N 1. . 1 L Nd N N! (4.48). よって、分配関数は、. mk T Z B2 2 . N 2. mk T B2 2 . N 2. 1 L Nd N N!. (4.49). d 0 であれば、(分子が大きさを持たない、質点という極限). 1 mk B T Z N! 2 2 . N 2. LN. 1次元の理想気体の分配関数. L が L Nd で置き換えられている事は、実効的な体積の減少に相当。 この時自由エネルギーは 1 mk T F k B T log Z k B T log B 2 N ! 2 . N 2. L Nd N. 1 mk T L Nd Nk B T log B 2 log 1 N 2 2 さて、授業では略したが、. F V T. (3.82) p . (4.50). の関係から、.
(13) Nk BT F p L T L Nd で、 L. Nd. 4-4. (4.51). で圧力無限大。 (分子間の斥力の限界). エネルギー等分配の法則 k BT 2. 理想気体のエネルギー: 1自由度当り. これは並進運動に限らない。. 回転分子系 (p.116 図 4-10 参照) 2原子分子 A-B を考える。 質量. m1 , m2 の質点からなり、. 重心からの原子までの距離を、 a1 , a 2 A, B の座標. 、分子の向きは極座標表示で、 , を用い、. x1 , y1 , z1 、 x2 , y2 , z 2 . は、. x1 , y1 , z1 a1 sin cos , a1 sin sin , a1 cos x2 , y2 , z 2 a2 sin cos , a2 sin sin , a2 cos . 分子の回転運動は. , . で記述でき、原子 A の速度は. dx x r x x dt r t t t. 但し. x1 a1 cos cos a1 sin sin y1 a1 cos sin a1 sin cos z a sin 1. r 0 t. dx x x a cos cos a sin sin 、 dt t t. ∴. (4.52). 1. よって、原子 A の運動エネルギーは. etc..
(14) . . 2 1 1 a1 cos cos a1 sin sin 2 2 2 K1 m1 x1 y1 z1 m1 2 2 a cos sin a sin cos 2 a sin 1 1 1 1 1 m1a12 cos 2 2 sin 2 2 sin 2 2 m1a12 2 sin 2 2 2 2. . . . . . . . 2 . . . 同様に原子 B も. K2 . . 1 m2 a 22 2 sin 2 2 2. . よって、分子回転の運動エネルギーは. . 1 1 K K1 K 2 m1 a12 m2 a 22 2 sin 2 2 2 2 1 I 2 sin 2 2 2. . (4.53). . ここに、I は分子の慣性モーメント. I m1a12 m2 a22 解析力学によると、座標. , . に共役な運動量. K I , . p . p . p. . , p は、. K I sin 2 . (4.54). これらを用い、運動量により運動エネルギーを記述すると、. H. 1 2 1 2 p 2 p 2I sin . 1回転分子系の分配関数は. (4.55). 1 z 2 f. (4.18). 2 . f. dp dq i. で、自由度. i. . 1 2 2. 1. exp 2 Ik. 1. 2. . 0. 0. d d 2 2. 2Ik B T. 2 . 2. 2Ik B T 2Ik B T sin 2 . 2 cos 0 . 2Ik B T. 2. . d sin d 2 2 0 0. 2 Ik B T 2. よって、1分子の自由エネルギー、エントロピー、内部エネルギーは. 2 Ik BT 2. (4.57). 2 Ik BT 2 Ik BT d d 1 k BT log k B log 2 2 dT dT . (4.58). k BT log z k BT log s. f 2 より. i 1. 1 2 p2 dp dp dd p 2 sin BT 0 0 2 p2 p2 1 d d exp dp exp dp 2 2 2 0 0 2 Ik BT 2 Ik BT sin . z. . e. H ( p ,q ) k BT. (4.56).
(15) T 2. 2 Ik BT d 2 d k B log k BT T dT T dT 2 . この時も、内部エネルギーは1自由度当り、. (4.59). 1 k BT 。 2. エネルギー等分配則 一般の運動でも運動エネルギーは運動量の2次関数。 自由度 f. K i pi2. i. i 1. f に対し、. 0. (4.60). ポテンシャルエネルギーを U とすると、分配関数は. Z. 1 2 f. . 1 2 f. . 1. 1 f exp K U dpi dqi k BT i 1 f i 2 U f exp p dp exp dqi k BT i i k BT i 1 i 1 . k T f. f. 2 f. k T B 2 4 . B. i 1. f 2. U f dqi exp i k B T i 1 1. U f dqi exp k BT i i 1. すると、運動エネルギーの寄与分は、. k T ZK B 2 4 . f 2. f. i 1. 1. i. を考え、. FK k B T log Z K . E K T 2. 1 k T fk B T log B 2 2 4. f 1 k T B i i 1. (4.61). f d F 1 1 k BT 2 d 1 T fk log k fk BT B B 2 dT T dT 2 i 2 4 i 1. よって、エネルギーは自由度の種類とは無関係に、1自由度当り. (4.62). 1 k B T ずつ分配される。 2. これを、エネルギー等分配則(equipartition law of energy)という。 注: エネルギー等分配則は 1)運動エネルギーに対し一般的に成立、 2)ポテンシャルエネルギーに対しては、調和振動子の場合に限り成立、.
(16) 3)古典統計力学に基づいており、量子力学の効果が現れると成立しない。. 4-5. 不完全気体. 粒子の運動: 運動エネルギー (kinetic energy) + ポテンシャルエネルギー (potential energy) 粒子が密な極限 → 固体・結晶. 粒子は平衡点のまわりで振動. ここでは、希薄だが、分子間に相互作用のある場合を考える。 不完全気体 (cf. 理想気体) N. H i 1. p i2 vRij K U 2m i j. R. ij. ri r j. . (4.63). 不完全気体の分配関数 分配関数は、. Z. 1 N 3 3 exp K U d p i d ri 3N k T 2 N! B i 1 1. . 1 K U k BT . 複雑に見えるが、粒子が区別出来ない場合に、 exp . (4.64). を位相積分し、次元毎に. 2 で除す、という事。 理想気体の時同様、積分を運動量と位置座標( → kinetic と potential)に分けて行う。. mk T Z B2 2 . 3N 2. . U N 3 1 exp d ri N! k B T i 1. (4.65). (4.66). この積分は、気体を入れた容器内で行う。 無論、. U vRij である。 i j. この計算は数値的には行えるが、このままでは解析的には行えない。 → 気体が希薄として、微小なパラメーターで展開 密度による展開. f R e v R kBT 1 とおく。 図 4-11 のグラフを参考に. (4.67).
(17) R0. の時. vR 、 よって、 e v R kBT 0. R. の時. vR 0 、 よって、 e v R kBT 1. よって、図 4-12 の様なグラフが得られる。 また、. 1 f ij e よって. f Rij f ij. とおくと (4.67) より. k BT. v Rij. vRij vRij i , j vRij exp exp 1 f ij k BT k BT i, j i , j i, j 1 f ij f ij f kl . 1 exp k BT. i , j . 第3項は. i, j . i , j k ,l . と. k, l . が同じ粒子対は含まない。. (4.66) に代入すると、. . N 3 1 1 f f f ij ij kl d ri N ! i , j i , j k ,l i 1. (4.66)’. これを、(4.68) の項毎に積分. 第1項 d 3ri N. (4.69). V N. 自明. i 1. 第2項 f ij d 3ri N. i , j . (4.66)’’. i 1. ところで、 考えている系の中で、 どの粒子対を選んでも、. j. これらが空間的(実空間)に動き回るので、全ての空間 で積分すると、 f ij. N C2 . で、項数は. Rij. の積分は、全ての i, j に関し同じ値. N N 1 N 2 2 2. i. すると. 第2項 f ij d 3ri N. i , j . . i 1. . N2 2. f. 12. d 3 r1 d 3r2 d 3 r3 d 3rN. 2. N N 2 N 1 V N 2 f R12 d 3 r1 d 3r2 V f R d 3 R 2 2. ここに、. R r2 r1 であり、 r1 の積分が V. となる事を利用。. (4.68).
(18) ここで、. B. 1 f R d 3 R 2. とおくと、図 4-12 に描かれた. (4.70). f R の関数形を見れば分かるが、 f R が0でない値を取るの. は、粒子の間に相互作用(分子間力)が及ぶ範囲のみで、概ね 1 を取る。 よって、 B. は分子. 間力の及ぶ範囲の体積のオーダーである。 また、分子数密度. n. N V. (4.71). を導入して、. N 2 N 1 第2項 f ij d ri V f R d 3 R nV V N 1 2B 2 2 i , j i 1 2. N. 3. (4.72). n 2V N 1 B NV N nB. 気体が希薄: 分子間力が働く機会が小さい これを満たすのは、 (分子間の距離). ∴. その効果が小さい. >> (分子間力の及ぶ距離). ここに. V 分子間の平均距離: N. 13. 分子間力の及ぶ距離:. B. 13. よって、. V N. 13. B. 13. ∴. V 1 B N n. これより、. n B 1 次に、(4.68) の第3項. (4.73). f. i , j k ,l . ij. f kl. を考える。. 既に記した様に、第3項は. i, j . と. k, l . が同じ粒子対は含まないが、これは. (a) 2組の分子対. i, j 、 k, l . が全て異なる場合 と、. (b) 1 個の分子が共通 (例えば、 i k ) の場合がある。. N がマクロな数であれば、これら各々について、項数は 18.
(19) (a). 1 1 N N 1N 2N 3 N 4 C C N 2 N 2 2 2 2 8 22. (b). N C1 N 1 C 2 . N N 1N 2 N 3 2 2. . そして、元々の (4.66). U N 3 1 exp d ri N! k B T i 1. に立ち返って、これらの項に関する. 積分を考える。 (a). N4 8. N. 3 f12 f 34 d ri. . i 1. ここに (4.69) の様に. . N4 8. f. d 3r5 d 3rN. f d 3r1 d 3r2 d 3r3 d 3r4 d 3r5 d 3 rN. 12 34. の積分は、単に体積に寄与するので、. N 4 N 4 V f12 f 34 d 3 r1 d 3 r2 d 3 r3 d 3 r4 8. ここに、1, 2 に関する積分と 3, 4 に関する積分は独立なので、. . (b). N3 2. . N 4 N 4 N 4 N 4 3 3 3 3 3 3 V f d r d r f d r d r V 12 1 2 34 3 4 f12d r1d r2 8 8 N 4 N 4 N 4 N 2 2 2 2VB V B 1 N 2V N nB 2 V 8 2 2 N. 3 f12 f13 d ri i 1. ここに (4.69) の様に. . . N3 2. f. d 3r4 d 3rN. . 2. (4.74)’. f d 3r1 d 3r2 d 3r3 d 3r4 d 3r5 d 3rN. 12 13. の積分は、単に体積に寄与するので、. N 3 N 3 V f12 f13d 3r1 d 3 r2 d 3r3 2. ここに、. R r2 r1 、 R r3 r1 とおくと、. N 3 N 3 N 3 N 2 3 3 3 V f R f R d r1 d Rd R V f R f R d 3 Rd 3 R 2 2 3 N 2 2 V N 2 2 B 2 N 3V N 2 B 2 2 NV N nB 2 よって、(a) と (b) を比較すると、(a) の方が N のオーダー分大きいので、(a) のみ考え、(b) をネ グる事とする。 同様に、第4項以下も第 p 1 項は、 f ij. に関して、 p 次の項が現れ、その項の和は上と同様の. 19.
(20) 議論で、(a) の分子対. i, j 、 k, l . が全て異なる場合を考えると、項数は、. 1 1 N N 1N 2N 3 N 2 p 1 1 N 2 p N C 2 N 2 C 2 N 2 p 2 C 2 p! p! p 2p 2p で、この積分は、上の議論に従い、. 1 N 2p p! 2 p. f. 1 N 2p p! 2 p. N. f f ( 2 p 1) 2 p d ri 3. 12 34. i 1. f. f f ( 2 p 1) 2 p d 3r1 d 3r2 d 3r3 d 3r4 d 3r5 d 3rN. 12 34. で. . 1 N 2 p N 4 V f 12 d 3 r1 d 3 r2 f 34 d 3 r3 d 3 r4 f 2 p 1 2 p d 3 r2 p 1 d 3 r2 p p p! 2 1 N 2 p N 2 p V p! 2 p. f. 3. 12. 3. d r1 d r2. . p. 1 N 2 p N 2 p 2VB p V p p! 2. N 2p Np B p V p!. p NnB VN. 1 p N pV N nB p!. p!. よって、これらの項を足し合わせると. VN N!. . NnB p. p. p!. . VN exp NnB N!. (4.75). (4.65), (4.66) より、分配関数は. mk T Z B2 2 . 3N 2. VN exp NnB N!. (4.76). よって、Helmholtz の自由エネルギーは 3N 2. VN mk T F k B T log Z k B T log B 2 exp NnB N! 2 2 2 3N N log V N log N N k B T NnB log 2 mk B T 2 3 2 N log 1 Nk B T nB log 2 mk B T V 但し、理想気体の自由エネルギーは. V mk T 3 2 F E TS Nk B T log B 2 1 N 2 . (3.48). で与えられており、これを F0 とおくと、 20.
(21) N 2 k BT F F0 B V F0 Nk B TnB この第2項はパラメーター n B. (4.77). による展開の 1 次の項に相当。. ビリアル展開 上で、 B は(4.70) で定義したが、. B. 1 f R d 3 R 2. (4.70). これを具体的に求めてみる。 図 4-11(p.120)より、 vR 0. となる距離を d とおくと、十分に高温では. Rd. の時、. vR k BT. Rd. の時、. vR k BT. (4.78). よって、近似的に、. f R e. v R . k BT. 1 1 v R k B T. R d R d . (4.79). (図 4-12 参照). これで (4.70) を計算すると、 d 1 1 v R 2 4R 2 dR B 14R dR 20 2 d k BT . (4.80)’. . 2 1 1 d 3 vR 4R 2 dR 3 k BT 2 d ここに、 「分子間力が働く距離」 、というのは、その分子の直径程度である。 よって、 v 0. を分子の. 体積とおくと、. b. 2 3 d 4v0 3. (4.81a). (4.80) の積分の項はそのまま計算は出来ないが、分子間力の及ぶ領域の外側での力であり、 . a. 1 vR 4R 2 dR 2 d. と定義すれば、 vR 0. (4.81b). なので、弱い引力の効果であり、 a 0. である。. よって、. B b. a k BT. (4.80) 21.
(22) すると、(3.82) と (4.77) より、. Nk BT N Nk BT B F p 1 B 1 V V V v V T 但し、 v . V N. (4.82). で、分子 1 個当たりの占める体積. ところで、一般にビリアル展開と呼ばれるのは、. pV B C 1 2 Nk BT v v. (4.83). という展開であり、上で求めた希薄気体はこの第 2 項までを求めたものの近似式である。 不完全気体の自由膨張 希薄な気体のエネルギーは、 (4.77), (4.80), (3.34) により、. F F0 . B b. より、. N 2 k BT B V. (4.77). a k BT. (4.80). E T 2. d F dT T . F F0 . N 2 k BT N 2 k BT B F0 V V. (3.34). N 2 k BT a N 2a b F0 b k BT V V . N 2kB d F N2 2 d F0 T b a dT T V dT T V VT V d F0 N 2a d 1 N 2a T 2 T 2 E0 dT T V V dT T V V. E T 2. (4.84). ここに E0 は理想気体の(内部)エネルギー (2.31) であり、温度のみの関数(体積に依存しない) 。 分子間に引力が働く場合は、分子間距離が近ければ(=体積小さければ)ポテンシャルエネルギーは 減少し、気体のエネルギーも減少する。. T1, V1. Vacuum. 仕切板. T2, V2. 仕切板. 22.
(23) 上図の様に、気体が温度・体積. T1 , V1 から T2 , V2 に膨張する過程を考える。(断熱). 気体が単原子分子ならば、(4.84) を利用して、. E E0 . N 2a V. 3 N 2a 3 N 2a Nk BT1 Nk BT2 2 V1 2 V2 ∴. T1 T2 . 2 3Nk B. N 2 a N 2 a 2 Na 1 1 0 V2 3k B V1 V2 V1. (4.85). よって、自由膨張により不完全気体は温度が下がる。 (NB. 理想気体では温度は不変。 これは、理想気体では E. . 3 Nk B T or pV Nk BT である事による) 2. ジュール-トムソン効果 図 4-13 の様に、細孔板で仕切った管の左側に気体を入れ、圧力を一定値. p1 に保つ。. 気体は細孔を通して右側に流れるが、右側の圧力は一定値 p2 p1 に保つ。 ここで、仮想的に、初期に左側を体積. V1 だったものを、右側に全て送り、体積 V2 にしたとする。. p1. p2. 細孔栓. 図 4-13 ジュール-トムソンの実験. すると、 左側では外部から気体に. p1V1 の仕事がなされ、. 右側では気体から外部に. p 2V2 の仕事がなされる。. この過程の前後でのエネルギー保存を考えると、. E1 p1V1 E2 p2V2. (4.86). これは Enthalpy 保存である。 十分に希薄な気体では、. 23.
(24) p. Nk BT N 1 B V V . (4.82). N 2a V. (4.84). E E0 . より、Enthalpy は. N 2 a Nk B T N N 2a N Nk B T 1 B 1 B V E 0 V V V V V 2 2 5 N a N 5 N k BTB a Nk B T Nk B T B Nk B T 2 V V 2 V N 2 k BT 5 a B Nk B T 2 V k B T . H E pV E 0 . ここに (4.80) より. H. B b. N 2 k BT 5 Nk B T 2 V. よって、過程前後の温度を. a k BT. を代入して、. N 2 k BT a a 5 b Nk BT k BT k BT 2 V . 2a b k B T . (4.87). T1 , T2 とすると. N 2 k B T1 N 2 k B T2 5 2a 5 b Nk B T2 Nk B T1 2 V1 k BT1 2 V2. 2a b k B T2 . . (4.88). 温度変化. T T2 T1 が小さく、 T1. (4.89). T T2 とすると、. 5 Nb 5 Nb N2 N2 2a 2a Nk B T1 Nk B T2 V1 V2 2 V1 2 V2 T T 1 1 5 N 2 k B b 1 2 2aN 2 Nk B T2 T1 V1 V2 V1 V2 2. ∴. 1 1 1 1 5 Nk BTb 2aN k B T2 T1 V1 V1 V1 V2 2. 1 1 5 N k BTb 2a k B T2 T1 2 V1 V2 . 1 1 2a 5 T2 T1 N b k BT 2 T V1 V2 24.
(25) T 2 2a 1 1 N b T 5 k BT V1 V2 圧力が低下するので、膨張するから. (4.90). V1 V2. 1 1 0 V1 V2 2a そこで、 b の正負を考えると、 k BT 2a 2a T 0 の時 b kBb k BT 2a 2a T 0 の時 b k Bb k BT ∴. ∴. T 0. (4.91). ∴. T 0. (4.92). 不完全気体の場合、この様に温度領域により温度変化が異なる。 Enthalpy 一定の気体拡散過程で温度が変わる現象を Joule-Thomson 効果という。. Tr . 2a kBb. を逆転温度という。. 25.
(26)
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