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ヒト膵癌血行性転移における膵癌細胞表面 Sialyl Lewisa 抗原発現の意義

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Academic year: 2021

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(1)

     博 士( 医学)岸 学位 論文 題名

ヒト膵癌血行性転移における膵癌細胞表面 Sialyl Lewisa 抗原発現の意義

ヌードマウスを用いた励vzvo での検討 学位論文内容の要旨

I

背景

  

膵癌 は予後不良な癌のーつであ りその臨床経過において高率 にみられる血行性肝転移は 予後を左右する重 要な因 子であると考えられる。癌 血行性転移成立には多段階の 課程が考えられており、そ れぞれの課程に重 要な因 子が報告されている。膵癌 においては内皮細胞との接着には膵癌細胞上のSialyl Lewis゜(Sea)と活性 化 内 皮 細 胞 上 の

E

selectin

と の 相 互 作 用 の 重 要 性 が

mW

rO

の 実 験 系 で 報 告 さ れ て い る 。

H

目的

  m

fm

に おい て 血行 性肝 転移 に影 響 を及 ばす 膵癌 細胞 形 質を 調べ るた め 、9種 類の ヒト膵癌株の血行性 肝 転移 能 を評 価し 、SLe゜ の発 現を 中心に、他の表面抗原 、doubungtime、サイトカイ ン産生能、マトリッ ク ス メ 夕 口 プ ロ テ イ ネ ー ス (

MMP

) の 産 生 な ど 種 々 の 形 質 と 転 移 能 の 関 係 を 検 討 し た 。

m

材料 と方法

1

)細 胞: ヒト膵癌株9株(PCI16,10,19,24,35,43,

55

,64および66)は我々が手 術切除材料から樹立 したオ リジナル株を用いた。

2

)膵 癌血 行性 転 移モ デル :膵 癌細 胞1x10゜個をPhosphatebufferedsaune(PBS)(0.1ml冫に懸濁したも の を

6

週 齢 雄 の

BALB/cnu/nu

ヌ ー ド マ ウ ス の 脾 臓 に 接 種 し 、6週 後 に肝 臓を 摘出 し顕 微 鏡下 に転 移結 節 数 を 数 え た 。 抗 ア シ ア ロ

GM1

抗 体 を 膵 癌 細 胞 接 種 前 日 、1、2、

3

お よび

4

週 後に 投与 し 、ヌ ード マウ ス のnatur甜buer活性を抑制した。

3

)転 移抑 制実験:  抗SLe^ 抗体としてmWfr〇にてSLe^ 陽性株の活性化内皮細胞への 接着阻害効果のある 単 ク口 ン 抗体

2D3

(IgM)を 用 いた 。コ ント ロ ール 抗体 とし て卜

83

(IgM) を用 いた 。これはmCerferron1 で処理 したPC卜10でマウスを免疫 して得られた単クロン抗体で あり、PCI―43表面上にSLe゜と同程度の発現 が みら れ るが 、SLe゜ 陽性 株の 活性 化 内皮 細胞 への 接着 阻 害効 果、 増殖 能 への 影響 は認められない。2D3

(500いg),I−83(500いg)およびPBSを癌細胞接種前日、1,3,5,7,14,21および28日後に静脈内投与し、

84 ‑

(2)

肝 転 移抑 制効果 を検討 した 。

4) 表 面 抗 原 :SLe゜ ,SLe leukocytefunctionassociated antigen (LFA)1LFA3,interceLlular adhesion molecule (ICAM)1ICAM2Verylateantigen(VLA) −4VLAー6CarCinoembryoniCanCigen

(CEAjE−SekニCtin,VaSCular―Ceu−adheSionmoleClme―1(VC/丶M―1),neur甜―CeuーadheSionrnoleじL.l上e

NCAM) ,Mac1hmlanleukocyteantenHLA) ―ABCHし やDRお よ びHLADQの 発 現 を 間 接 フ ロ ー サ イトメトリ一法にて調べ、meanfluorescencemtensiけを発現強度とした。

5) そ の 他 の 癌 形 質 : 膵 癌 細 胞 株9株 の 細 胞 数 を 培 養 後0日 、1日 、2日 お よ び4日 に カ ウ ン ト し 増 殖 曲 線 を 作 成 しdoublmgtimeを 算 出 し た 。 膵 癌 細 胞 株 の 産 生 す る サ イ トカ イ ン と し てInCerleukin1QIL11d)お よ ぴ 丁umornecrosisfactorqTNFQ) をEuSAtに て 測 定 し 検 討 し た 。  MMPの 産 生 は ゼ ラ チ ン ザ イモグラフイーにて検討した。

N結果

  ヌ ー ド マ ウス 肝 転 移 モ デル に お ける 膵癌細 胞株9株、PCI610,1924,3543,5564および66の肝 転移結 節数はそれぞれ12.7土12.8,0.3土O.7,5.0土3.7,17.0土19.2,1.2土2.2,65.9土39.9,22.0土31.2,8.3 23.2および0.3土0.5(mean土standarddeviation)個であった。

  間 接 フ ロ ー サ イ ト ヌ ト リ 一 法 に て 膵 癌 細 胞 表 面 のSLe゜ の 発 現 を み る と9株 の う ち5株 (PC1024,43 55お よ び64) は 陽 性 で 、 他 の4株 (PC61935お よ び66) は 陰 性 で あ っ た 。SLe^ 陽 性 の5株 と 陰 性 の4 株 と で 肝 転 移 結 節 数 を 比 較 す る と 、 陽 性株 群21.6339に 対 し て 陰 性株 群65土143とSLe^ 陽 性株 群 が 有 意 に (p001) 肝転 移 結 節 を 多発 し て い る 傾向 が 見 ら れ た。SLe゜ の発 現 強 度 (meanmCensity冫 と 転 移 結 節数の間には正の相関傾向が見られた。

  2D3投与 群 ,I83投 与 群 ,PBS投 与 群の 肝 転 移 結 節数 は それぞ れ0.8土1.26165,27.2土30.4とPBS 投与 群 に 比 しI−83投 与群(p0.05)、2D3投与 群(pく0.01) で抑制 効果 が得ら れ、さ らに2D3投与 群で はI83 投与 群 に 比 し ても 高 度 の 抑 制効 果 が 得 ら れ た(pO.025) 。  IGM1の 発 現と転 移結 節数と に負の 相関関 係 が み ら れ た (pO05) 。 そ の 他 の 表 面 抗 原 、ILlan岬 ―adoublmgtimeMMPな ど と 有 意な 関 係 は 見 られなかった。

V考察

  膵 癌 上 のSLe゜ の 発 現 はmWv0に お い て 血 行 性 肝 転 移 に 関 係 す る 因 子 で あ る こ と が 示 さ れ た 。mWvO の 転 移 抑 制 実 験 に お い て 培Mク ラ ス の コ ン ト ロ ー ル 抗 体 に お い て も 転 移 抑 制 効 果 が み ら れ た 。 こ れ は complementdependentceucytot0ciけ (CDCC) に よ る 非 特 異 的 な 癌 細 胞 障 害 の 影 響 が 考 え ら れ る 。 抗 SLe 単 ク ロ ン 抗 体2D3IgM) の 静 脈 内 投 与 に よ り 、 さ ら に 肝 転 移 は 抑 制 さ れ 、 こ れ は2D3特 異 的 効 果に よ る と 考 え ら れ る 。  IQ゜ 心 江 ー1の 発 現 と 肝 転 移 結 節 数 に 逆 相 関 が み ら れ た 。 し か しヒ トICAM1は マ ウ ス LFA1と は 相 互 作 用 し な い た め 、 こ の 作 用 機 序 を 推 測 す る の は 困 難 で あ る 。他 の 重 要 な 因子 がGM―1の 発

85 ‑

(3)

現と相関していたためかもしれない。その他の表面抗原、増殖能、MMP、サイトカイン産生などには、検 討しえた限りでは有意な関係はみられなかった。

今回の検討により膵癌細胞上のSLe゜発現は肝転移形成に関与する重要な因子のーつであることが明らかに された。

86

(4)

学位論文審査の要旨 主 査    教授    吉木    敬 副査   教授    細川眞澄男 副 査    教授    加藤紘之

学 位 論 文 題 名

ヒト膵癌血行性転移における膵癌細胞表面 Sialyl Lewisa 抗原発現の意義

ヌードマウスを用いた 27l VZVO での検討

  

多 段 階 よ り な る 癌 血 行 性 転 移 の う ち 、 癌 細 胞 と 標 的 臓 器 の 血管 内 皮 細胞 と の 接着 も 重 要 な 因 子 の ー つ で あ る 。 当 教 室 で は 既 に 試 験 管 内 に お い て 、 膵 癌 細胞 と 内 皮細 胞 と の接 着 に は 、 膵 癌細 胞 上の

Sialyl Lewis

゜(

SLea

) と活性化 内皮細 胞上の

E

selectin

と の相互作 用が重 要 で あ る こ と 、 膵 癌 細 胞 株 は

IL‑la

を 産 生 し 、 内 皮 細 胞 上 に

E

selectin

を 発現 誘 導 し 得る こ と を 報 告 し て き た 。 本 研 究 は

SLe

゜ の 発 現 、

IL‑la

の 産 生 能 な どが

in viv

〇に お い て 血行 性 肝 転 移 に ど の よ う に 影 響 す る か を 、 ヌ ー ド マ ウ ス を 用 い た 膵 癌血 行 性 転移 モ デ ルを 作 成 し検討したものである。

  

ヒ ト膵 癌 株 は手 術 切 除材 料 か ら樹 立 し た

9

株 のオリジ ナル株 (

PC

卜6,

10

19

24

,35,43,

55

64

お よ び

66

) を 用 い た 。 抗 ア シ ア 口

GMl

抗 体 投 与 に よ り

natura

knler

活 性 を 抑 制 し た ヌ ー ド マ ウ ス の 脾 臓 に 膵 癌 細 胞

1x10

゜ 個 を 接 種 し 、

6

週 後 に 肝 臓 を 摘 出 し 顕 微 鏡 下 に転 移 結 節 数 を 数 え た 。 膵 癌 細 胞 株

9

株 、PCI一

6

10

,19,

24

35

43

55

64

お よ び

66

の 肝 転 移結節数はそれぞれ12.7土12.8,

0

.3土O.7,5.0土3.7,17.O土19.2,1.2土2.2,65.9土39.9,

22

0

31

.2.

8

.3土

23

2

および

0

3

土0.

5

(mean土

standarddeviation

)個 であっ た。SLe^ 陽 性 株 群

5

株 (

PC

10

24

,43,

55

お よ び

64

) と 陰性 株 群

4

株 (

PCI16

19

,35および

66

)とで 肝 転 移 結 節 数 を 比 較 す る と 、 そ れ ぞ れ

21

6

33

9

6

5

14

.3と

Sk

゜ 陽 性 株群 が 有 意 に

    

87

(5)

( p く0.01) 肝転 移結 節を多発している傾向が見られた。間接フ口ーサイトヌトリーにより 膵 癌 細 胞 表 面 の SLe ^ の 発 現 強 度 と 転 移 結 節 数 の 間 に は 正 の 相 関 傾 向 が 見 ら れ た 。    抗SLe °単 ク口 ン抗 体2D3 (IgM) に よる 加viv 〇 での肝 転移 抑制 実験 では 、2D3 投与群,

COntrolIgM 抗体I ―83 投与群,PBS 投与群の肝転移結節数はそれぞれ0 .8 土1 .2 ,6 .1 土6 .5 , 27 .2 土30 .4 とPBS 投与群に比しI −83 投与群(p く0 .05 )、2D3 投与群(p く0 .01 )で抑制効果が 得 ら れ 、 さ ら に 2D3 投 与 群 で は I ― 83 投 与 群 に 比 し て も 高 度 の 抑 制 効 果 が 得 ら れ た

( p く 0 . 025 ) 。 こ の 結 果 よ り 2D3 特 異 的 な 抑 制 効 果 が あ る と 考 え ら れ た 。    そ の 他 、 ILllQ 、 TNF − 1Q 産 生 、 doubungtime 、 Sk ° 以 外 の 表 面 抗 原の 発 現 、 matr 侠 metauoproteinase の 産 生 な ど と 転 移 結 節 数 に は 明 か な 関 係 は み ら れ な か っ た 。    以上の結果より、膵癌上のSLe ゜の発現は加レn ′〇において血行性肝転移に関係する因子 であることが示された。

   審査 に当 たっ て、 副査細 川教 授よ り、 抗ア シア 口GM1 抗体 投与 は必 要か 、SLe ^の発現 の みで 転移 能を 説明 することが困難である株では他にどのような因子が関与する可能性が あ るか 、脾 臓の 結節 形成の有無と転移能の関係、それぞれの株の担癌患者の臨床像との関 係 につ いて 質問 があ った。 また 副査 加藤 教授 より 、多様な癌形質のうちSLe ^だけに注目 す るこ とが 意義 のあ ることか、癌細胞が接着増強因子を産生するのは一般的なことかなど の 質問 があ った 。主 査吉木教授より、細胞株を樹立した患者の臨床像と基礎実験結果との 対 比解 析、 SLe ^ 陽性 株で 転移 しな い株 の検 討な どが今後重要であろうと示唆された。申 請者は概ね妥当な回答をなし得た。

   本論文は加W む.〇の実験系で膵癌血行性転移に重要な因子と考えられた結果を加叨vo で 検 証し 得た 点で 高く 評価される。今後、血行性転移に影響する他の因子の究明にも有用な 実験系であり成果が期待される。

   審査 員一 同は 、こ れらの成果を高く評価し、また申請者は研究者として誠実かつ熱心で

あ り 、 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

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