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黒鉱型カオリン鉱床の探査に関する研究 学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 庄 谷 幸 夫

学 位 論 文 題 名

黒鉱型カオリン鉱床の探査に関する研究

学位論文内容の要旨

  粘 土資 源は, 一般に ,岩石 ・地 層とし て,あ るいは 母岩変 質作 用と一 連の鉱化作用として生成 す ること から ,その 鉱床の 分布範 囲・形 態・ 規模・ 富鉱部 などの 存在 状態を把握することは極め て 難しく ,ま た,そ の鉱石 の性質 ・品質 も著 しい変 化に富 む。従 って ,粘土資源の探査において は ,粘土 鉱床 の精密 な地質 学的産 出状態 と, それに 対応す る鉱物 学的 性質及び鉱物共生関係の把 握 が重要 であ る。黒 鉱鉱床 の近傍 に広く大規模に賦存する粘土は、母岩の変質としてとらえられ,

鉱 床成因 の解 明及び 硫化鉱 物探査 の目的 で鉱 物学的 研究が 行われ て成 果をあげてきているが,粘 土 資 源 を 直 接対 象 と し て いな い た め , 黒鉱 型 粘 土 鉱 床 の探 査 指 針 は 確立さ れてい なかっ た。

  本 研究 は,黒 鉱床カ オリン 鉱床 探査に 寄与す ること を目的 とし て鉱床 の下盤を構成する粘土化 岩 と珪化 岩と の関連 性に注 目し, 坑内調 査・ 武錐岩 芯の調 査・試 験に よって得られた変質鉱物の 種 類,産 状及 び共生 関係を 詳細に 調査検 討し ,鉱床 の産状 及び形 態を 解明するとともに粘土鉱床 探 査 工 学 的 情 報 を 抽 出 し , そ の 結 果 新 し い 探 査 指 針 を 確 立 し た も の で あ る 。   さ らに ,この 新探査 指針に よっ て,従 来探査 価値の 比較的 低い とされ てきた地域が有望な探査 地 域とし て評 価され ,その 結果, カオリ ンの 新鉱床 を発見 してそ の有 用性と汎用性を実証した。

  本 論 文 は 8章 よ り 構 成 さ れ て お り , 各 章 は 以 下 の よ う な 内 容 で あ る 。   第1章で は,緒 言とし て我が 国の 粘土資 源問題 からみ て黒 鉱型カ オリン 鉱床開 発の必 要性 を挙 げ ,研究 の動 機,目 的なら びに意 義を明 らか にし, また本 研究の 内容 と成果にっいて要旨を記し た 。

  第2章で は,先 ず,黒 鉱型粘 土鉱 床と黒 鉱型友 オリン 鉱床 の研究 の歴史 並びに 探査の 現状 につ い て述べ てい る。次 に,黒 鉱型粘 土鉱床 を金 属硫化 物鉱床 の変質 帯と する従来からの探査法と異 な り,粘 土鉱 物資源 を主対 象とす る探査 指針 を確立 する必 要性を 提起 し,そのために粘土鉱物の 賦 存状態 と種 類・量 ・性質 との関 係に注 目す べきで あると してい る。

  第3章で は,黒 鉱型カ オリン 鉱床 の地質 並びに 鉱床に っい て,我 が国で 唯一同 型鉱床 を稼 行し て いる南 白老 バライ ト鉱山 の研究 を通し て得 られた デ一夕 にっい て述 べている。地質が新第三紀

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中新 世の火 砕岩類 から 成るこ と,そ して鉱 床は層 序的 に下位 から上 位へと 珪化岩・粘土化岩,層 状バ ライト 鉱体, 砂岩 と配列 し,そ れぞれ が特有 の組 織・形 態・鉱 物共生 関係を有することを明 らか にして いる。

  第4章 では ,粘土 化岩中 のカオ リン鉱 石と 脈石の 性状の 相違を 把握 するた めに, カオリ ン粘土 鉱石 の各種 試験と 鉱物 学的特 徴の検討を行った。カオリン粘土鉱石は,組成が黄鉄鉱にやや富み,

白 色 度が80% 以 上, 粒 径 が10〃m以 下 の もの が80%以 上 , 摩 耗 度 が15m gf/min.以下で ある 。 鉱石 と粘土 化岩・ 珪化 岩とで は産状 ,構成 鉱物の 種類 と共生 関係, カオリ ン鉱物のポリタイプ、

ヒン クレ一 指数で 示さ れる結 晶度等 が異な ること を明 らかに した。 これに よってこれまで困難で あ ったカ オリ ン粘土 化帯を4分 帯に分 けるこ とが 可能と なり, 粘土化 帯中の 鉱床 の位置 判定の 基 準を 把握し た。

  第5章 では ,粘土 化帯中 の粘土 鉱物の 水平 的そし て垂直 的変化 をそ れぞれ 坑内試 料と試 錐岩芯 に よって 検討 した。 鉱物組 成,粘 土鉱 物のポ リタイ プそし て結晶 度はX線回 折に よって 判定し , こ れ と岩 質 , 鉱 物 組成 変 化 を 反 映 するpH. 水分 ,粘 土の 含有量 を示す 粒径75 um以 下の割 合と 対比 した。 その結 果, カオリ ン鉱体 は珪化 岩と接 して 存在し ,これ らの外 側にセリサイト帯,セ リサ イト/ モンモ リ口 ナイト 混合層鉱物帯,モンモリ口ナイト帯が配列すること,また,カオリン 鉱体 の内部 はナク ライ ト帯を 中心と してそ の外側 ヘデ ィツカ イト帯 ,カオ リナイト帯,低結晶度 カオ リナイ ト帯( モン モリ口 ナイ卜とクリストバライ卜を伴う)と累帯配列することが判明した。

  第6章 で は , 第5章 で 得ら れた 結果か ら,カ オリン 鉱床の 新し い探査 指針を 提示し てい る。す な わち, 探査 の第1段階 として ,カオ リン鉱 床が 珪化岩 に接し て存在 するこ とか ら,珪 化岩の 補 足 と産状 の解 明によ ってカ オリン 鉱床 の分布 範囲を 推定す ること ,次 に,第2段 階とし て,推 定 カオ リン鉱 床分布 範囲 に試錐 を行い ,その 岩芯の 鉱物 学的検 討と各 種試験 結果から鉱体中の粘土 化 帯の種 類を 決める こと, そして 第3段階と して ,カオ リン鉱 体の中 心部の ナク ライト 帯から 外 縁 部の低 結晶 度カオ リナイ ト帯に 至る 鉱体全 体の累 帯配列 を把握 する という3段 階によ る探査 指 針を 示して いる。

  第7章 で は , 第6章 の 研究 結果 から, 従来は 探査価 値が低 いと されて いた隣 接南西 部地 区を選 定し ,この 新探査 指針 を応用 して試 錐を行 った結 果, 珪化岩 を捕捉 してデ ィツカイトの存在を確 認 し た。 さ ら に 試 錐を 行 う こ と に よっ て 粘 土 化帯 の配列 を解明 し, 約100万tfの鉱 量の カオリ ン 新 鉱 床 を 発 見 し て こ の 探 査 指 針 の 有 用 性 並 び に 汎 用 性 が 実 証 さ れ た 。   第8章 では ,本研 究で得 られた 粘土化 作用 に関す るデ一 夕から 鉱床 の生成 機構を 考察し ,カオ リン 鉱床探 査に関 する 新知見 を中心 として 成果を まと め,本 研究の 工学上 の意義にっいて述べて

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い る 。

学位 論文 審査の要旨 主査   教授   佐藤壽―

副査   教授   田中   威 副査   教授   中島   巌

副査   教授   由井俊三(理学研究科)

  本 論文は ,従来 多金属 硫化物 黒鉱鉱床の母岩変質とみなされてきた粘土を資源として取り上げ,

粘土 鉱床の 賦存 状態と 粘土鉱 物の種 類・ 鉱物学 的性質 との関 係から 変質 鉱物及びカオリン鉱物の ポリ タイプ によ る累帯 配列を 明らかにして,新しいカオリン鉱床探査指針を提示したものである。

  黒 鉱型鉱 床tま,銅 ・鉛・ 亜鉛・ 金・銀 ・硫 化鉄を 主とする海底噴気堆積性鉱床であるが,金属 硫化 物鉱体 の周 辺に広 く大規 模に粘 土帯 が存在 する。 この粘 土帯は 従来 は金属硫化物鉱床の母岩 変質 として とら えられ ,鉱床 成因の 解明 及び金 属硫化 物探査 の目的 で鉱 物学的研究がおこなわれ て成 果をあ げて きてい るが, 粘土資 源を 直接対 象とす ること が稀で あっ たために黒鉱型粘土鉱床 の探 査に関 する 研究は あまり 進んで いな かった 。また ,黒鉱 型粘土 鉱床 は,その複雑な産状・多 種類 の鉱物 組成 ・変化 に富む 鉱石の 性質 を有す るため に有効 な探査 法が 確立されておらず,その 探査 は鉱物 種の 配列解 明が主 な手段 であ った。

  著 者は先 ず,黒 鉱型粘 土鉱床 が粘 土資源 として 重要で ある ことに 着目し ,我が国で唯一の黒鉱 型カ オリン 鉱床 を稼行 してい る南白 老バ ライト 鉱山の 鉱床の 産状・ 形態 ,鉱石の鉱物学的性質を 研究 して, カオ リン鉱 床が珪 化岩と 密接 に関係 して産 するこ と,ま た鉱 石と粘土化岩・珪化巻と で構 成鉱物 の種 類と共 生関係 ,カオ リン 鉱物の ポリタ イプ, ヒンク レ一 指数で示される結晶度等 が 異な ること を明ら かにし た。 これに よって これま で困 難であ ったカ オリン 粘土化 帯を4分帯 に 分け ること が可 能とな り,粘 土化帯 中の 鉱床の 位置判 定の基 準を把 握し た。次に,粘土化帯中の 粘土 鉱物の 水平 的そし て垂直 的変化 をそ れぞれ 坑内試 料と試 錐岩芯 によ って検討し,カオリン鉱 体と 珪化岩 を中 心とし て,こ れらの 外側 にセリ サイト 帯,セ リサイ ト/ モンモリ口ナイト混合層 鉱物 帯,モ ンモ リロナ イト帯 が配列 する こと, また, カオl)ン鉱体 の内部 がナクライト帯を中心 とし てその 外側 ヘディ ツカイ ト帯, カオ リナイ ト帯, 低結晶 度カオ リナ イト帯と累帯配列するこ と を解 明した 。その 結果, 探査 の第1段階 として ,カオ リン鉱 床が 珪化岩 に接し て存在 するこ と か ら , 珪化 岩 の 捕 捉 と産 状の 解明に よっ てカオ リン鉱 床の分 布範 囲を推 定する こと, 次に, 第

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2段階として,推定カオリン鉱床分布範囲に試錐を行い,その岩芯の鉱物学的検討と各種試験結 果から鉱体中の粘土化帯の種類を決めること,そして第3段階として,カリオン鉱体の中心部の ナクライト帯から外縁部の低結晶度カオリナイト帯に至る鉱体全体の累帯配列を把握するという 3段階からなるカオリン鉱床の新しい探査指針を提示している。さらにそれまで探査価値が低い とされていた地域にこの新探査指針を応用してカオリン新鉱床を発見してこの探査指針の有用性 並びに汎用性を実証している。

  これを要するに著者は,カオリン鉱床の賦存状態と粘土鉱物の性質との関係を解明して,新し い鉱床探査法を提唱したものであり,その有用性や汎用性も実証し,応用地質学及び資源工学上 寄与するところ大である。よって著者は博士(工学)の学位を授与される資格があるものと認め る。

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