〔症例検討会〕
儒女購,8論断、6筆1揖)
大喀血.を繰り返して死亡した先天性心疾患の1例
(受付 昭和36年10月9日)
時 昭和36年5月25日
所 東京女子医科大学臨床講堂
(発言者)
X線科:島津フミヨ教授
心 研:広沢弘七郎助教授・高尾篤良 外 科:織畑秀夫教授
病 理:武石詞講師・松本武四郎教授 耳鼻科:佐藤イクヨ教授
司会:中山光重教授
受持医及び文責:大森安恵司会:Anamneseと現症について受持ちから述 べてもらいましょう.
受持医:患者は26才女子.主訴は高熱です.
家族歴は旭父が気管支喘息で死亡.祀母が胞状 鬼胎で32才で死亡していますが,両親及び5人の 兄姉は健在です.
既往歴は生後1年6カ月で先天性心疾患を指
摘れていますが,病気することなく元気で16才から25才の夏まで製糸工として働いておりました.
ツベルクリン反応は昭和33年4月頃(25才)疑陽
性です.
現病歴は昭和33年8月頃(25才)から食欲不 振,全身倦怠感があり,勤めに出ず自宅でブラブ
ラしていました.11月下旬から夕方39℃に至る弛 張熱があり,一里離れた某医に受診したところ,
肝腫脹を指摘され約2ヵ月通院治療をうけました が,解熱の傾向がみられませんでした.i翌34年1
月,他医に転じ,診断不明のままストレプトマイ
シン及び内服藥の投与を約4ヵ月続けましたが,
その聞38℃前後の発熱がつづき,起きていられな くなり通院を中止し自宅で寝ていました.その頃 顔色が悪いのに気づき,34年8月(26才)保健所
に受診し,貧血,十二指腸虫症といわれました が,そのまま放置しました.漸次下肢に浮腫を認 めるようになり近所の某医に受診,肝腫脹,心肥 大,蛋白尿を指摘され,強心剤の投与をうけて浮 腫は軽快しましたが,38DC前後の発熱がなお続い たので同医院に9月20日から10月半まで入院しま した.高熱に対してはその時の診断は不明です が,クロマイの投与をうけまして,約10日位で解 熱しております.当時Hb 20%,赤一血球数90万,
白血球数10200,栓球数17万,尿蛋白は強陽性で 沈渣に赤血球多数,白血球(十)だったそうで,
かなり大:量の輸血をうけています.入院中の9月 末日突然200ccの喀』虹があったようです.クロロ マイセチン投与で一一旦解熱はしましたが,時に発 Cli皿ico・pathological Conferre皿ce(12)Acase of congenital heart failure co皿plicated with repeated ma−
ssive hemoptoe.
一517一
熱もあり,頻脈がとれず,心臓の病気があるから といって,10月15日紹介されて中山内科に転院し て参りました.
現出:入院時は,茨城県からトラヅクでゆられ て参りましたため,相当ぐったり疲れており,高 熱のためか皮膚は乾燥し全体に重病感がありまし た.栄養は不良で,体重は27㎏,体格は正常.顔 面蒼白やや浮腫状,チアノーゼなし.脈搏整120/
分,」血圧130/75,体温38.7℃,肺肝境界右心5 肋骨,心濁音界右1横指,左2横指大,全弁口部 にLevine 3〜4度の収縮期雑音を聴取します.
最:強点は左第4肋間胸骨縁で5度位.肺に理学的 研究所見なし.心臓部全体にSchwirrenをふれ ます.腹部は肝,脾,腎共に触知せず,腹水な し,下肢に軽度の浮腫を認めます,
検:査成績は血沈1時間39,2時間80㎜,血色素
74%, 赤1血王求数417万, 白血壬求刑9900,血液像レま好 中球増多があり71%.尿蛋白(+),沈渣に赤血球
1〜2/数学野,大腸菌(粁),その他には異常あり ません.Wida1反応陰性,血液培養にて初回グラ ム陰性桿菌,第2回目緑色連鎖球菌を証明,尿培 養にて大腸菌を証明.A.S.L−0価陰性(50Todd
単位),血清総蛋白7. 789/dl, AIG o,86,残余窒素 71mg/dl, Kunkel 15単位,総コレステロール112 mg/dl, P.S.P.排准試験15分13%,2時間50%.
亀 ぞ 41 39 37 35
監 密盟
」づけられました.血沈は12月28日1時間17,2時 間45㎜に改善されました.前後しますが,暮の12 月31日夜異和感があり,便所に立つたところ突然 約800cc位の喀1血がありましたが,止血剤の投与 で発熱もみず,止血しました.そのあと貧血,白 血球増多もありませんでした.1月19日夜談話中 再び約1000ccの喀血があり同時に発熱しまして,
抗生物質はペニシリンからマイシリンに変更し,
大量の輸液及び輸血等で止血し,4日目に下熱し 一般状態も良くなっていましたが,1月27日突然 再度大喀血があり窒息死しました.
司会=お聞きのような次第で,くり返し申しま すと,この人は生れつき何か心臓が悪かったよう であります.1年襲職から非常に高い熱が出てい るということが書いてあります.そしてここに入 院する前に多少浮腫があり,非常に貧血がある.
しかしLeukozytoseもみられます.しかも喀」血 も一度強いのを起しております.そういうわけ で,こちらに入って参りましたので先ず生まれつ きの心臓病があるんじゃあないかというのrl:一一・番 問題になりますから,それを広沢先生におねがい
します.まだお見えにならないようですから,そ れでは入院当時のレントゲン写眞をみて,若しあ ればどんな心臓病が老えられるかということを島 津先生に伺いたいと思います.
uaA.M,1.23/1日 匡=コF「εnic. t20万
∠1 Mンcill 2/1 イ7)レ
丁汲 塩 血沈
1 一一 39
2t一一80
臼血球数 9850
1駈 娩 1殖昭35h 努 216月日
25 7 47 17 42 32 62 24 75 45 6S 80 7300 6900 9200
図1経過概要
経過概要は図1の如く38℃〜40℃に至る発熱が あり上記検査戎績により10月20日からアクロマイ シン1.59投与3日目より下熱をみ,2週聞投与
後ペニシリン注射に切りかえ翌年1月20日までつ 写真I S.34.10.!5.入院時胸部X線写真 一518一
島津:まず去年の10月15日,入院後間もなくの 写眞を見ることに致しましよう.(写真1)この
:Filmを一見して目立っことはHerzが大きいこ と,およびZwerch. fellgtandの左右不同というこ とで右側が約3cm高位にあり,その原因はわかり ませんが肝腫大があるらしいことに気付きます.
このようにZwerchfe11の位置が高められてい る場合にはHerzはその影響をうけて横に拡が った形をとるものでありますから,ここでみられ る心臓陰影の右方への拡大はZwerchfe11の高さ も関係しているのではないかと老えるのが妥当か と存じます.
さてHerzでありますが,右第2弓が突出し
てみえますことは只今申しました通りですが,左 第1弓,すなわち大動派弓はほぼ正常で,第2弓 の肺動脈弓は相当つよく膨隆し,続いて第3弓左 心耳の辺りも少し突き出している感じがします.最後に左第4弓は左室によるものであります が,この区部は最も弔しく延長拡大を示しており 左心に大きな負担が掛っていることを明示してお
ります.
ここで肺門陰影に眼を転じますと,左右両側共 に肺動派分枝の著しい拡張が明らかで,これに続
く掌紋理の増強拡大も決して見落とすことのない ほどに充分に現われております.これはとりも直 さず肺.血行量の異常増大を意味しております.
そこで左心室に大きな負担が掛り,かつ肺血行 量の増加を示す先天性心疾患でチアノー一tiのない
ものを考えてみることに致しますと,心室中隔欠 損症,動脈管開存症(逆短路のないもの)及び心 房中隔欠損症等でございます.
さて心房中隔欠損症では右の第2弓突出がみと められますが,一方左心室の負担はそれほど過大
となりませんから本症例のように左孕4弓が高度
}に突出することは少なく,また一:方肺血行量は相 当増大しますのでこの写結像の程度では本症とす るのには疑問があります.もっとも病症程度の如 何によってはこの位のものも無いとは申せません
が .
また動脈管開存症でありますが,これは大動脈
から三一動脈管を経て肺動脈へ大量の血液が流入 するために肺血行量は著しく増加しますし,この ことは結局左室に過大な負担を及ぼす訳ですから 当然左室は肥大拡張を来たします.従って左第4 弓の延長拡大は避けられないこととなります.本 症ではこの左室負担と共に大動脈弓の突出,およ び肺動脈は大動脈圧を直接に受けねばならぬ関係 上,左第目ならびに第2弓の状況はこの写二二と は多少異なった印象を受けることが多く,殊に肺 動脈の膨出され方は如何にも高い血圧によって押 し出された感があるものです.また肺血行量の増 大を示唆する肺紋理の増強拡大状況もいく分この 写眞の所見とは相違がありそうな気が致します
が.
最後に心室中隔欠損症を考えてみましよう.本 症ではこの例のように左室の肥大拡張があること が多く(軽度の場慣にはこのsignも得難いこと がある),また肺血行量は増大し大動脈弓は殆んど 正常かあるいはむしろ細いような印象をうけるこ とさえあります.これは膨出した肺動脈のために 相対的に受ける感じとも言えましよう.本症の左 室肥大拡援は動派血が大動脈へ搏出される瞬問,
同時に中隔欠損部を経て肺動脈にも送血が行なわ れます.したがって肺動脈の膨出ならびに肺血行 量の増多を示す結果となるのでございます.以上 三つの疾患と本症例とを相互比較してみますと本 症例には心室中隔欠損症を考えたいのでございま
すが.
司会:島津:先生からangeborene Herzfehler としては心房の中隔欠損,心室中隔欠損,動脈管 空馬という三つが一番老えられるというお話しが
ございました.それで!0月中旬入院当時の所見に はこういうふうに38〜39.Cに及ぶ熱がございま す.その間に先ほど申しましたようにアクロマイ シンを1日1.59使用しまして,熱は10月21日頃 から下熱しており,以後ずっと平熱ですから省略 致しまして,翌年1月17日から1月20日頃再び熱 が出ている.この時に喀血をしております.27日 更に大喀血をして死亡したのであります.それで 今レントゲン学的には以上の三つが考えられると 一519一
いうお話しがありましたが.
島津:迫加させて下さいませ.入院前のBlut・
bildでかなりの貧血がございますね.ですから入 院時の門門は今申し上げましたような先天性の心 疾患の所見だけではございませんで,貧血による 心臓の変化もプラスされている可能性があると酔
えるのが妥当だと思います.
司会:それでは広沢先生,心臓疾患!で左の第 3,4肋間に収縮期雑音が非常に強くきこえるの ですが,いわゆる先天性心疾患、を飼えるべきかど
うかということをお話し願いたいと思います.
広沢:左の第3,第4肋間腔で胸骨縁に最強点 を有する収縮期雑音が聞えるのは恐らく先天性と 思われる.1年6ヵ月でかなり小さい時からGe−
rauschがあったと思われますが,一般にリウマ チ性であることが多い弁膜症としては,1年6ヵ 月からわかっているということは早過ぎるので一 応先天性といってよいと思うんです.先天性心疾 患でこういう場所に,こういうふうに収縮性の雑 音がきこえる疾患といいますと先ず頻度から老え て心室中隔欠損,その他一般に高頻度にみられる 先天性心疾患としては心房中隔欠損,肺動脈弁口 狡窄,ボタロー腎管開存などがありますが,この 場合チアノーゼがありませんから,チアノーゼ群 の心疾患についてはあまり問題にしないことにし ます.非チアノーゼ疾患として今挙げたような心 疾患の中で左の第3,第4肋間に収縮期雑音があ
るということになりますとPulmonal stelloseで は少し位置が低すぎるし,それから心房中隔欠損 でも一般的には少し低すぎるので話が合わないと いうことになります,動脈管開存ですと, いろ いろ非定型的な聴診所見を呈することもあります が,教科書通りであればやはり連続雑音,すなわ ち収縮期から拡張期にかけて連続性の特徴のある 雑音がきこえる筈ですが,この場合には収縮期の 雑音です. こう考えると心室中隔欠損とかなり
しぼって老えてもいいんじゃあないかと思います が,Schwirrellがふれているんですね. Schwir−
renがふれているという事は心室中隔欠損の場合 に高頻度にみられるので今の場合に心室中隔欠損
Vl
Vl
N
Vl
T
V5
図2 正常波形
Vi
図3 右室肥大のVi
図4 右脚ブロックのV1
t
T
図5 左室肥大のV5…Rが高くなる.
写真2 S.34.10.15.入院時心電図
という診断をかなり確かめたことになると思いま す,心電図は先天性心疾患についてかなり有力な 診断根拠を与えるものでありますから,それをち ょっとみてみようと思います.非チアノーゼ性心
一520一
疾患で高頻度にみられるもの,したがって先天性 の心疾患としても高頻度に見られるものとして心 室中隔欠損,心房中隔欠損,動脈管開存,肺動脈 弁口挾窄の4つを挙げてみたのですが,雑音とい うことをご破算にして,心電図の側からこの鑑別 を言えてみます.心室中隔欠損では心電図にあま り単一の強い特徴がみられません.左室肥大が強
くみられる場合もありますし,右室肥大の強くみ られる場合(図3)もあります.あるいは左右両 室の肥大がみられる場合もある.症例によっては 左右の心室肥大がありながらお:互に打ち消し合っ
て心室肥大が心電図でははっきりしない場合もあ る.ということで非常に分散しています.中には 同じ二二の出来事ですが,心電図学的には右室肥
:大と別に扱われる右の不完全脚ブロックという型 がみられることもあります.心電図学的に右脚ブ
ロック(図4)を示す場合にも病理解剖学的には 右室の肥大がおこっているのではないかと推定い
たします.こういう事で心室中隔欠損の場含の心 電図では,これといって高頻度にみられる単一の 所見がございませんから特徴が比較的うすい.動 脈管開存の場合にも似た傾向がありますが,その
・揚合には左室肥大の像(図5)が心室中隔欠損の 場合よりは比較的多くみられるのではないかと 思います.それから同じ中隔欠損でも心房にDe−
fektがある場合にはこれは非常に特例がありまし て不完全右脚プロジクの形がほとんど80%の症例 においてみられます.という事で診断の推定が非 常に高度になります.Pulmonalstenoseの場合 には程度によって,さまざまではありますが,心 電図所見として右室肥大にかなりの特徴のあるの
が一・般であります.この症例の場合,この点につ いてみますと(写員2)入院時の状態があまりよ
くない時…だとみえてリズムとしてはSinus Tach−
ycardie数として1分間に120を打っているので はないかと恵いますが,特別な発作としての頻脈 でなく,ただ脈が多いという状態だと思います.
高熱が出ているという事だけでも頻脈には一般に なりますが,それが心電図的にとらえられている に過ぎません.左室の方をみますと,S田がさが
くLCa 3・omy
(正常ST一丁)
:
t As一
rN
ST下降 T平低
図6 本日のV5のST−T
っている,正常の場合には左室の一般の型はQR Sはこの型ですがS田が直線といわれるこの基線 に一一致してもう少し上にあります.これが下って います(図6).田がもう少し山をなして⊥に出て いる筈のものがこれだけ低くなっている.ST降 下と田の平低下がここにみられますが,その内容 はともかくとして広くいえば心癖障害:ということ で,心室の筋肉になにか異常がある.それが電気 生理学的に表現されているわけであります.ただ 単に風邪をひいて熱が出たということでは簡単に はST−Tにこれだけの変化はこないと思います.
その点心電図はここにも異常がある.
そこで先ほどの鑑別診断の事に戻ってその所見 をまとめてみますと,右前の心外膜面の誘導であ るV1すなわち誘導点でいえば右の胸骨縁で第4 肋間でとった誘導ですが正常の場合にはQRSの 型は上向き下向きで⊥向きが小さくて下向きが大 きく出ます.つまりこの型に関する限りこの部分 には特に異常を認めません.心房中隔欠損であれ ば上向き下向きの次にもう一つ上向きの大きな棘 が出ていることが,80%の頻度でみられるのです が,この場合これが認められない.歴i史が古くて かなり強い雑音もみとめられる.と,こう心える と心房中隔欠損としての可能性はどこからみても うすくなります.Pulmonalstenose(P.S.) と いう事で考えても,心電図に右室肥大があれば,
Vlの上向きの棘が非常に大きくなっている筈で すがそれが認められずにnormalのままである.
という事はP.S.もまた老えられない. P.S.は Gerauschからいっても位置が少し低すぎると思 います.ふつう肺動脈弁口あたりに強くきこえる 筈ですから,そういう点からいってもE.K.G.の
一 521 一
樋鰹γ H晦争う一l
t毒ぎ塘s ボロ ミ き 綿, 老 ㍉ 轟く ヒ
墜 多 ち
ぽ ヌドギし
一・ 翻 .bekinde
舟■
写真3 S.34.10.18.心音図
馨灘1鱗
灘濾轟=
、駄}≒』
ξ≒薬嚢総論1
写真4 S.35,1.23.死亡数日前の心電図 方から言ってもP.S.の可能性はまずない.そ
こでE.K.G.の上から残るのはやはり動脈管欝 気,すなわちボタ鰭酒総藻開存か心室中隔欠損か
という事になります.雑音の上からもう一度老え てみますと,連続雑音でないという事,それで最 強点が左の第3,4肋間であり,そういう事で心 室中隔欠損が一番残ってくるのですが,これは同 時に心音図(写眞3)を撮影してありますが,収 縮期に限局して雑音がはっきりきこえます.この 型は心室中隔欠損ですと型としていわゆる逆流雑 音の型であり,それからPulmonalstenoseの場 合ですとこれがいわゆる狡窄のときにみられる駆 出雑音でダイアモンド型になるわけですが,この 場合には,むしろ逆流雑音になりましようが,こ んな雑音がみられます.心室中隔欠損のときには Spitzeに雑音がきこえますがギャロップが出るの ですが,この場合はよくわかりません.E.K.G.,
レ線所見,心電図,聴診所見とあわせて先天性心
疾患の中で心室中隔欠損がもっとも疑われます
(写眞4).
司会:心室中隔欠損ということに大体は診断が 決まったようなものですが,何か御質問はござい
ませんか,これに対して,そうではないというよ うなご意見はありませんか.ないようですから次
にまいりまして,このKranLeはこの1年半前
から非常に熱がございます.それで先天性心疾患 であれ,後天性であれ,心臓病で熱が高い時には まず何を老えなければならないかということは皆 様よくおわかりのことと存じます.そこで入院当 時血液培養を致してありますが,不思議な事には 2回一血液培養をしまして,一度はグラム陰性の短 桿菌が出て,その次にはStreptococcus viridansが出ております.そうするとどちらが本当か実際 にはわからないのですが,とにかくそういうもの が出て来た以上Sepsisで,それによってEndo−
carditisをおこしたのではないかとまず老えてみ なければならないのであります.赤沈をやります と入院時1時間39皿,2時間80mと促進しており ます.なおこれは先天性のものなら老えなくても いいかもしれませんが,リェウマチについての試 験を行ないました.
学生=A.S.L−O価は50Todd単位で陰性, C 反応性蛋白も陰性であります.
司会:まだ他にもU一ズ反応がありませんです が,これ二つだけやりましたら各々陰性でありま す.とにかく1血液中に菌が出ましたのでとりあえ ず,アクロマイシンを使用いたしましたところ,
一 522 一
図1にみられますように熱はおさえられたのでご ざいます.従って臨床的にはEndocarditisを伴 うSepsisがあり,アクロマイシンを使いまして よくなったというふうに理解していたわけであり ます.そうしてはじめ白一門i球が9800ありましたの が,12月頃は6400と正常になり,血沈は1時間17
㎜というように,だんだんよくなってまいりまし た。ところが12月31日の大晦日に大喀血をしたの でありますが,輸血の必要もなく落着きました.
そうして翌年1月11日になりまして,又血沈が早 くなり,1時間42mm,白.血球は6900,熱は出てい ませんが,又ここで大喀血をしました.そして今 度は輸血をしたのであります.それからアクロマ
イシンはその頃,ペニシリンに替えてずっと注射 しておりました.ところが喀:血のあとに,喀:」血の ための熱か,心内膜炎の再発でしようかわかりま せんがとにかくi熟が出ました.
そうこうしているうちに1月の末になりまし て,もう一度非常な喀1血をおこしまして約800cc 出まして,そのためerstickenして死亡したわ けであります.したがってこの喀:血が今までの心 室中隔欠損のための結果かどうか,ということに ついて検討してみたいと思います.僧帽弁狭窄を はじめとしてその他の心臓病でよく1血痕が出ると いうことはご存知のことと思いますが,大喀1血を おこすということはどうなのでしょうか.この点 広沢先生のご経験をお聞きしたいと思います.
広沢=少量の喀血はかなり高頻度に心疾息のと きにありますし,僧帽弁狡窄,それから先天性心 疾患で特に心室中隔欠損あたりでも血疾という形
でかなりみられるわけでありますが,大喀血とい うとそう沢山はないと思います.ものの本には一 応大喀血があり,そしてerstickenの危険がある
と書いてあります. 閏
司会:それでは一応Herzfehlerでも大喀血は おこり得る,私共ではさように簡単に考えており ました.そして死亡しました時には,先天性心疾 患にプラス細菌感染によるEndocarditisから来 たSepsisがおこってそして死亡したと,そして Herzfehlerがありますから,大喀血もそれで解
写真5 S。34.12.17の胸部X線写真
写真6 S.35.1.8.入院以来初回喀血後の 胸部X線写真
決がつくと実は解剖に廻わしたわけなA,です.そ れでは何かここまででご意見ありますか.
高尾:大喀血がおこったんですが,Lungeの
.血管はいろいろdestruction があったと思うん ですが,その原因ですけれども,心室中隔欠損 症にPulmonal hypertensionヵミあったという例
でもないようですし,Endocarditisがあって,
Haematurieなどもありますが, thromboembolic の変化がみられ,一番鍛えられますことはLtn−
geninfarktではないかと思います.入院後のレ
一 523 一
写:真7 S.35.1.23.死亡数日前の胸部X線 写真
ントゲン写眞はまだなんですか.
司会:レントゲン写象は,死亡直前のレントゲ ン写譜があるそうですがらLungeninfarktにつ
いて.
島津:これは12月17日のですが,続いて撮影さ れた第2回第3回の写眞(写眞5,6,7)から
も一層その所見ははっきりと認められるように思 われます.
なお,これらの写眞で左右両側肺門部のやや下
:方に現われている異状陰影は血管陰影とだけでは 説明し尽されない所見がございます.よく見てみ
ますと不規則な樹枝状及び,点状陰影が錯翻して おり,これが反覆して患者に苦痛を与えた喀一血と 何等かの因果関係を持っているかもしれないと老
えます.Infarktとは云い切れないのですが.
司会:臨床的に Infarktをおこすときはよく BrustにSchmerzがまいるものですがそういう 事がなかった.この人は余り咳とか疾が出ない
んですね.:全然出たことがないというんで私の
、方ではLungeについてはあまり餓えませんでし
た.
高尾:熱がはじめ出ます前に原因となることは 老えられませんか.歯を抜くとか,口腔内の操作
−治療とか,あるいは泌尿器の器械的検査鍵.
司会=前の受持医が止めてしまったのではっき りした事はわかりませんが,記載によりますと,
そういう事は全然ありませんし,1年前までは元 気で紡績工場に働いておったのですが,定期検査 で心臓病といわれて辞めさせられたような状態で あります.自分では丈夫だと思っていたというこ とで歯を抜いたという事は記載してありません し,なかったものと思います.何かご質問ありま
すか.
広沢=最後のフィルムについての御呼明が臨床 的な事項についてどういう状態だったかという 事,喀!血と心不全との関係は?
司会;これは大事な事なんですが,これはむし ろSektionの報告をきいた後でもう一度議論な さっていただいた方がわかるんじゃあないかと思 います.非常にこれはむずかしい例なんで,われ われの常識からいえば,いままでの事でいいので はないかと思いますが,ところがそう簡単ではな かったのであります.
武石:剖検所見を申し上げます.一応おおざっ ぱに分けて,死亡の直接の原因と老えられた大喀 血,先天性心疾患,それからSepsisの3項目に
ついて別々に老える事にします.
先ず第1の大喀血ですが,これは剖検時にLun−
geを切った時にはどこから出たのかわかりませ んでしたが,あとから薄く切ってみますと左側の
下葉の丁度Bronchusの7−8に相当する位置
にBronchiektasieがあり,この壁の一部が隣接 する太い肺動脈枝に破れ込んでおりました.そし てこれだけ大きな破れですから血液はかなり気管 支内に入り,その大部分は喀出されたでしょう.たしか1000ccでしたか,それ位の喀血は充分考え られると思います.そして大部分は喀血として外 に出てしまったわけですが,一週分は末梢の気管 支内に吸引,随所の呼吸細気管支を中心とするあ たりにBlutがぎっしりつまっております.この ような像は左肺のみでなく反対側の右肺にも広汎 に見られ,従って窒息状態の下に死亡せざるを得 なかった状況がよくわかります.ところで最近2 ヵ月位のうちに喀血がたてつづけに3回あったわ
一 524 一一
けですが,その3回の喀.血が全部今の左側:Bsか ら出たかどうかが問題となります.それと申しま すのは反対側の右下葉にも先のものより,いく分 小さなOrderのものですが,隣接する肺動脈枝,
気管支共に正常の壁構造を失っている部分が認 められます.そして現在は両者の間に交通はあ
りませんが,もう少し進めば両方交通する可能性 が非常にあると老えられます.従って前に出た2 回の大喀血が全部先程の左側B8だけから出たも のとして老えなくてもよさそうですし,その上こ のような部分にはかなりHi mosiderinを喰ってい る組織球の散在がみられますからこの辺からじわ じわと出血があったことがわかります.こういう わけですから1カ所だけではなく,少くとも2〜
3カ所からの出血があったということを老えても いっこう差支えないと思います.これで大出血の 方は一応終りまして,この大出血の元になりまし た気管支拡張がどういう原因で起つたであろうか
ということが次に問題になります.
ご存知のように気管支拡張症は先天性のもの と,後天性のものと二つに分けられます.後天性 のもものはいろんなFactorによってだんだん気 管支が拡張してくるということになるわけです.
それでは菅野の場合にはどちらに該当するかとい うことになりますが,左のB8での拡張気管支の じき近所のBronchus−wandをみますと,その上 皮推誉等には異状がなく,これにすぐつづいてか
なり正常なalveolar Wandが接しております.
このような所見からみますと,ここの部分に何回 も何回も変化が来てそのあげくにここが拡張して しまったということではどうもなさそうです.更 にここ以外の両肺のかなりの部分に同じような拡 張像があり,そういうもの全体がDivertike1の ようなかっこうで広がっているというのが特徴で す.そういう事からこの気管支拡張はおそらく先 天性のものだろうと考えられます.しかしこのよ うな先天性気管支拡張症が一体どういう訳で今頃 問題をおこすようにならなければならなかったか
ということが一一っ問題として残りますが,これは 後に心臓のことと関係がありますから後で申し上
げることにします.
次に先天性心疾患、ですが,これは先程からレ ントゲン所見とかその他臨床の所見からV.S.D.
(心室中隔欠損症)が一番老えられるとなってお りました通り,膜様部に大体大人の小指の先が通 る程度の心室中隔欠損があり右岸のHypertrop−
hieがございますが,その程度は割合軽いもので した.もう一つ心臓で問題になりますのは先程の E■docarditisですが,そこで当然問題になります
のはKlapPen乃至はその周囲のEndocard,そ
ういった所にSepsisのもとをなすような変化が あるかどうかという事です.そして剖検所見では
Verrucaが三尖弁,肺動脈弁それからConusの
Endocard,大動脈弁,僧帽弁等全てのKlapPenに みられました.しかしそれらのVerrucaの性状 は割合にくるくると丸まってきれいで,Klappe11 自身の変形はほとんどないといってよろしいようです.つまりただVerrucaがそこについて
いるというだけです.ところがご存知のように Endocarditis lentaの揚合にはかなりひどい変 化がKlappenにくるのが常でありまして,そのためにK:1appen自身はひどい変形をきたすの が通常です.ところが本門ではそういう強い変 化はないし,またVerrucaの性状からみましても
やはりrheumatischのものが一番想定されます.
そこでいっ頃このようなロイマがおきたかという と,それははっきりわからないのですが,先程の お話しにはありませんでしたが,1年半位前に関 節痛があったという記載がカルテにかいてありま
した.それが本当にロイマによるものであったか どうかはわかりませんが,この変化はそういうも のと照応してもかまわない程度のものです.そう いたしますと一つにはKlappenの変形が少ない ということとそれから今のところ,ばい菌がはっ きりしないところがら,もしもここ以外にまとま ったSepsis lentaのQuelleが探しあたれば,
やつばりそっちの方が怪しくて,こっちの方は影 が薄くなるという事になります.つまりHerz の変化はSepsis lentaのQuelleとして資格が ないというのではなく,盗格があるにしては不
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充分だという訳です.そうしますとHerz以外
の別のところにSepsis lentaのQuelleを求め るということになりますが,一番問題になります のが矢張り気管支拡張症です.そこで左肺B8の 破壊部分と同様の性格をもつ右下葉の気管支拡張部をみますと,そのBronchus−Wandは相当強
い炎症がある事が分ります.そしてこの中には先 程申しましたように組織球に取込まれたFamosi−derinが相当みられ,ここの A. pulmonalisと Bronchusの間にBlutの交流というかA. pul−
mollalisからの出血というようなものがあった 事が老えられます.そしてこの部分に細菌がいる とすればそういったものは,いつでも肺動脈内に 入り込みうると老えられます.しかしここで問題 になりますのはSepsis lentaというのは特殊な 条件の下でのみ成立し得るものだということで あります.すなわちSepsis lentaというとすぐ Endocarditis lentaという言葉が出てくる程に
Herzがいつも疑われている疾患です.それは Herzの中にはいつもBlutが流れていて変化の 中心となっているKlapPenやEndocardは常
にその血流に依って洗われているという事と密接 な関係があると肥えられています.従ってEndo−
carditis lenta乃至はSepsis lentaのような形 のInfektionが起るということは,そうどこで も簡単に起り得るという訳には参りません.やは り年中血液に洗われているという条件がかなり重
要なわけです.従ってHerzでないとするとそ
れに同じような条件をそなえているところ,すな わちただ炎症がかなり長くあるというだけではな くもう一つ,血管と関係,しかも可なり大きな血 管との関係が非常に老えられます.そこで改めてここをみますと,A. pulmonalisはかなりの太さ がありますし,これに接する Bronchusには:先 に申し述べましたような可成り強いBrollchitis がありますので,Endocarditis lentaの場合と 可なり似かよったおぜん立てがここに生ずること が考えられます.こういうわけで一応こういう 部分がQuelleになり得るんではないかと老えら れるのですが,それでは先程申し上げましたよう
に先天性にBrollchiektasieがあったのはどうし て最近数年の間に至ってこんな事になって来たの かと申しますと,それにはそれなりにいろいろな 事を考えなければならない事になります.ここで 再びHerzとの関係がクローズアップされて来ま す.すなわち乱言では先天性の心室中隔欠損があ
りますが,その影響は患者の成長に伴ってHerz の余裕が減って来るという形で現われて来たと 思われます.そして,それに従ってある時期か
ら後は,Dekompensation という方へだんだん 追いつめられて行ったわけで,その現われの一つ
が肺循環を悪くするという形で出て来たのだと思 います.一旦肺循環が悪くなってまいりますと,
別にこういうEktasieが無くてもBronchitisが 起り易くなってまいります. これはFallot氏四 二等でも見られる事ですが,この場合にもそうい
う事があったのではないかと思います.もっとも この例では特にBronchiektasieが平行してあり ますから,このような肺循環の不全傾向が加わり ますと,特にBronchitisが起り易くなり,しか も起るとなれば,元々気管は拡張して,いろいろ なものがたまりやすいし,しかも肺循環があまり 良くなければ一旦起つた炎症はなかなか治らない
ということになります.そして炎症は悪循環的に 続いて, しかもそれがだんだん強くなってきま
す.このようなわけでこの例では,Bronchitis が特にSepsis lentaのQuelleとなり得たもの と老えられます.Sepsisの状態を呈するために はただ細菌が一一時的にそこに表われればよいとい うわけでなく,その所にかなりがっちりした細菌 の橋頭塗があり,いつでも一血中に細菌が供給でき る態勢でなければならないわけです.
司会:ありがとうございました.Bronchickta−
sieは大分太いですね,そういうようなのが方々 に,上の方にも右側にも見えたわけですか?
武石=主なものは先程申し上げましたように両 側のUnter lappenに一番多く見られましたが,
小さなものは他の部分にもございます.
司会=この患者はあまりHusten, Sputaがな くてdry bronchiectasisという形なんですが,
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そういうのはよく突然死:一章ではじまるという事が 書いてあるんですが,この先天性の心疾患と,
Bronchiektasieとやはり先天性のものだからよ くその事実が一緒に来るという事はないんでしょ うか?
武石:それは松本先生にお願いします.
松本:別に細かい統計はわかりませんが,Se−
ktionの経験ではそう滅多に出会いません. Kli−
nikの方のご経験を補充していただければ.
司会:偶然というような解繹をしていいようで すね.それですからこれはむつかしい.Herzfehler ではよくblutenするんですか.その時にはBro−
nchiektasieがあるということはございません か。Sek:tionではどうでしょう.
武石=HerzfehlerのときにBrollchiektasieが くる事はないかということですね.
司会:高尾先生何か.
高尾:Bronchiektasieでございましたけれど も,先天性の心疾患でDextrocardie(Situc in−
versus)とSinusitisとBronchiektasieを伴っ たKartagener Syndromというのがあります.
この例では鼻は悪くありませんですね.Karl:age−
nerでは先天性の成因のあるBronchiektasieと いえましようし,また子供の症例ではFallot四 徴症で喀血を繰返えしBronchiektasieとかHa−
mangiomを疑っている症例もございます.従っ て先天性心疾患に一次二又は二次的にBronchie−
ktasieが来ますことはあるようです.
武石:Fallotは解剖例が多くありますが,ふ つうのFallotでは関係ございません.
司会:MilzとかNiereは.
武石:それは申し忘れましたが,もちろんNiere とMilzにもSeptischな変化が非常に強く全体 としてはもちろんSepsis lentaの型で,只Endo−
carditis lentaではないらしいということです.
島津:ちょっと病理の方にお伺いしたいのです が,先程写眞をおみせしましたとき申し上げまし たが,右の肺動脈分枝に特に太いような場所があ り,肺血行量が多くなっているようなSchattenが ございましたんですが,なにか病理の方でそうい
うよう事.
武石:丁度さつきのレントゲンで…….
島津:左右両側とも可なり拡張しているようで すが…….
武石:左右ともかなり強く,破れたのはたまた ま左です.
島津:教室でこのフaルムを先程拝見しました
が,左側のS8のGebietのBefundが一番気
にかかるというようなことを話し合っておりまし たが…….半年前ですか,12月に撮りました写眞 ではあんまりたいしたことはありませんし,あの 頃中山先生,少し軽いBlutungをやっていたん ではないでしょうか.Pericardの変化はござい ましたでしょうか.あまり無かったのでございま すね.それではPericardの変化のように見えま したのがS8のところの変化で偶然こんなふうに 出ているのでございましよう.最後の写眞もLu−
ngen6demがござにまして,はっきり出ませんが
左のS8のGebietの異常陰影が一番気がかりで
いやな陰影iだと思ってみておりました.
司会:この四面は最後から2回目の喀.血がおこ
った後ですからerstickenしてPneumonieをお
こしているところがありますね.
武石:先程島津先生がおっしゃったように何か Lungenstaungのようにみえるレ線所見がある事 はあり得ると思います.
司会:ご意見ご質問ございませんでしょうか.
高尾:E.K.G.の方でTが陰転していますが
MyocardとかPericardとかそういうものは
Sektionでは?武石=あんまりはっきりしたものはございませ ん.ただもちろんSerienで切ったわけではござ いませんから切らないところの可能性もあるわけ
です.
織畑:貧一血についてのご説明は?
司会:申し忘れたんですが,それはAnamnese のかきかたが悪いんで申訳ないんですが,貧血 は茨城県の入で熱が出ていたんですが,Sepsisの 貧血ももちろんございましよが,その他にここに 書いてありますように喀一血がおこったので両方で 一527一
貧1血が起つたのだと思います.
佐藤=Sepsis lentaの原因は何でしようか.
さっきはお解かりにならないとおっしゃいました が,扁桃腺なんか調べてあるんです.か.
武石:病理的には扁桃腺を検査しましたが,し かしそこから入ったという確証はございません.
もう一・つ忘れましたが,臨床の途中で2回血液培 養をしております.1回はグラム陰性の桿菌,2 回目はViridansということでございます.両方 種類が違うわけです.先ほど申しましたように主
・に血管に入った場所としてBronchusが推定さ れるわけですからいつでも同じ細菌がそこにいた
かどうかということはわかりませんが,2回の検
・査にそれぞれ別の種類の菌が証明されても別に不 思議はない,あり得ることと思います.
佐藤:扁桃腺を臨床的にしらべてはないんです か.教室の鈴木講師が扁摘時の材料で,口蓋扁桃 の細菌叢を詳しく調べました成績によりますと,
溶連菌の検出率は心疾患でない一般の慢性扁桃炎
、から50%,心疾患々者の摘出扁桃からは30品目あ りました.これに反して緑連菌の検出率は前者40
%に対して後者85.6%で,心疾患々者の扁桃から は非常な高率で検出されています.Viridansが心 疾患患者の口蓋扁桃から高率に証明されたからと
いって,直ちに扁桃が二次疾患のFocusであっ 旋と断言は出来ませんが,深い関係はあると思い
ます.現在,扁桃性病巣感染の疑いあるものは,
扁摘施行に先きだって誘発試験や治療的試験を実 施して,この関係を研究中であります。
司会:しらべてありません.何かご質問ありま すか。
六年生:レントゲンの所見で右側第2弓がずい 分突出していて又よくなって,ふつうこういうふ
うに変化するのでしょうか.
司会:それは喀一血と非常に関係があると思いま
す。心臓が悪いのですしRuheをhaltenして
いたし喀一血さえなければ,退院をする位よくなっ ていました.この時は心影は小さい.退院まぎわ で少し動かしたこともあるでしょうし,そのうえ 喀血がユ月になって出て来たことも関係があり,
:更にそこへ二次的感染が強くおこればもちろん又 強く突出してくることもあり得ると思います.そ
れではこれで終ります.
島津追加=写眞の撮:影時体位,呼吸の深浅度な どによって心臓の形や,大きさはかなり変動しま すから,撮影が同一時でないものを診断する時,
また管球フaルム間の距離などを充分老慮しない で比較することはできません.本紀では前にも申
しました通り第1回の撮影時の写眞で横隔膜の右 側だけが特に高いことが,心臓の形にある程度の 影響を与えております.第2回の写眞と比らべて
みれば明瞭に判ってまいります.
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