香川大学農学部紀要 第48号1∼60,1986
サツマイモ塊根組織のチトクロムP−450系酵素に関する研究
藤 田 政 之StudiesonCytochromeP−450−DependentMixedFunCtion
OxygenaseinSweetPotatoRootTissue
MasayukiFuTITA
目 次 2 9 9 0 3 9 3 3 4 5 8 1 1 1 2 2 2 2 2 第1車 序 論 第2章Ipomeamarone15−hydroxylaseの同定とその性質 第1節 序 論 第2節 材料および実験方法 第3節 実験結果 第4節 考 察 第3章 サツマイモ塊根組織におけるチトクロムP−450の外的刺激による 第1節 序 論 第2節 材料および実験方法 第3節 実験結果 第4節 考 察 第4章 病傷害サツマイモ塊根組織における2種のチトクロムP−450依存水酸化酵素− ipomeamarone15−hydroxylaseとcirmamicacid4−hydroxylase一間の細胞内局在性の相違 第1節 序 論 第2節 材料および実験方法 第3節 実験結果 第4節 考 察 第5章 サツマイモ塊根組織のチトクロムP−450系酵素の酵素化学的性質 第1節 序 紛 第2節 材料および実験方法 第3節 実験結果 第4節 考 察 第6車 総合討論 第7章 要 文 献ABBREVIATIONS
A蒜BS諾
adenosine diphosphate adenosine monophosphateadenosine triphosphate bovineserumalbumh cytidine diphosphate Car.boxymethyl
− 2 − CoA DEAE DTT EDTA FAD FMN ITLC mRNA NADH NADP十 NADPH NMR POPOP PPO SDS TLC Tris UDPG
coenzyme A
diethylam血)ethyl dithiothreitolethylenediaminetetraacetate
aavinadeninedinucleotide 且avinmononucleotide instantthin−1ayer・Chromatographymessengerribonucleicacid
reducednicotinamideadeninedinucleotide
oxidizednicotinamideadeninedinucleotidephosphate
r・educednlcotinamideadeninedinucleotidephosphatenuclearmagneticresonanCe
l,4−bis[2−(5−phenyloxazolyl)]benzenediphenyloxazole
sodiumdodecylsuhte
thin−1ayerchromatography
tris(hydroxymethyl)aminomethane ulidine5′−diphosphatea−D−glucose 第1章 序 〔病傷害サツマイモ塊根組織における二.次代謝系〕 高等植物には多彩な二次代謝系1▼2)が存在しており,これらの代謝系によって生産される非常に多種にわたる 二次代謝産物は薬物・毒物・香料・染料等の形で人間生酒と深いかかわりあいをもっている.これらの二次代謝 産物は,勿論こうした人類社会における利用という点で重要ではあるが,それ以上に生産者たる相物自身の生命 現象にいかにかかわりあっているかが極めて重要な問題であり,多くの科学者の興味の対象となってきたけ 高等 植物における二次代謝系は,その生活環において恒常的に存在している場合も勿論あるが,物理的ないし化学的 刺激,さらには生物的刺激等の環境因子によって誘導されたり,植物体自身の成長段階と関連した内的要因等に よって制御されている場合も極めて多い.こうした誘導・制御を解析することによって,これらの二次代謝産物 の植物体における生理的役割が明らかにされてきている. サツマイモ塊根組織においても,正常な組織には存在しないが,ひとたび外的刺激を与えると顕著に誘導され る2種の特有な二次代謝系が存在することが知られているその一つはテルペノイド合成系で,黒斑病薗の感染 により著しく誘発される3・4).この代謝系は,病菌の感染以外でも,HgC12やCdSO4等の重金属塩での処理5),オ クラトキシン等のマイコトキシンでの処理(予備実験による未発表データ),アリモドキゾウムシによる食害6)等 によっても誘導される.この二次代謝系はイポメアマロン7)をはじめとする種々の抗菌性フラノセスキテルペ ン類を産生し(図1),かつ生成されたテルペン類は被害組織部にのみ蓄積する.このように,健全な植物体に は存在しないが,病菌の感染に即応して植物が能動的に被害部に蓄積する抗菌性物質を総称してフィトアレキシ ン8)とよんでいる.例えば,ジャガイモのリシチン910),エンドウのピサチン1112),コショウのカブシジオー ル1314)等がそれに当たる.これらのフィトアレキシンは構造的共通性に乏しく,イソフラボノイドやモノ,セ スキ,ジルテルペン等種々様々である.従ってまた,それらの抗菌性を示す機構も様々であろうと考えられてい るイポメアマロンが抗菌性を示す一つの理由として,黒斑病菌の呼吸括性を抑えることが報告されている15) サツマイモ塊根のテルペノイド合成系は,他のイソプレノイド合成系と同様に,まずアセチルCoAを出発物− ⋮一二′○宅 ■■ ⋮−⋮乙■L⋮−⋮■■−ト‘﹂7主■’−−−三・¢ tち.;F−−▲ま■三’−〓・− む上ト .suO召謡hU焉∈h2む○き〓S謡〓dぶp霊n8苫○召ぎロOUむtq甥∽Od月︶む︶8筍⊆Sき○ヒdO主点︻巨○甥S弓∽巴
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一三=■t・L−■− 4 一 質とし,律速酵素と考えられている3−hy血0Ⅹy−3−me− thylglutarylCoAreductaseによる還元反応を経由し, プレニルピロリン酸を合成する(図2)。こうした共 通した代謝経路で合成されたプレニルピロリン酸は, その後極めて複雑でかつサツマイモに特有な経路に よって代謝される(図1).その複雑さは,特有の炭 素骨格が形成されることは勿論,種々の部位で酸素原 子や二重結合が導入されることにも起因している.ア セチルCoAからファルネシルピロリン酸までの経路 については,組織レベルだけでなく無細胞抽出系を用 い,放射性炭素で標識された中間体を気質として酵素 学的に確かめられている.アセテルCoAの産生に関
与する酵素も含めると,pyruVatedecarboxylase16),
acetaldehyde dehydrogenase17),aCetylCoA synthe−Acetyl CoA J J. 3一日ydroxy−3−methJ′1glutarylCoA J 3−Hydroxy−3−meth)′lglutaYylCoA reductase Mevd10nate J Mevalonate phosphate J Mevalonate pyrophosphate 1 IsopentenylpyYOPhosphate J「 J J Farnesylpyrop110SPhate Fig.2.Possiblemetabolicpathway血’OmaCetylCoAto farneSylpyrophosphateinsweetpotato tase18),ATP−Citr・atelyase19),アセチルCoAから3−ヒ ドロキシー3−メチルグルタリルCoAへの反応に関与する酵素20),3−hydroxy−3−methylglutarylCoAreductase21),メ バロン酸からイソペンテニルピロリン酸への反応に関与する酵素22)等が,この代謝系に関与することが確かめ られており,かつまたこれらの酵素の活性がフラノテルペンの産生に先達って誘導的に増加することも確かめら れているい ファルネソ・−ル以後のイポメアマロンをはじめとする種々のフラノテルペンヘの返換に関しては,放 射性炭素で標識された中間体を用いた組織レベルでのトレーサ一実験による結果にとどまっており,デヒドロイ ポメアマロンをイポメアマロンに還元するdehydroipomeamaronereductase23)滴性のみが無細胞抽出系で検出さ れているにすぎない.そこで,ファルネソ1一ル以降のテルペン生成に関与する酵素の一つとして,イポメアマロ ンからイポメアマロノールヘの水酸化反応を触媒する酵素を無細胞抽出系にて検出し,その酵素学的性質を明ら かにすることを本研究の一つの目的とした サツマイモ塊根組織で知られているもう一つの二次代謝系はフユニルプロパノイドを含むポリフェノ・−ル化合 物の合成系24)である.本合成系も,テルペノイド合成系と同様に,黒斑病菌の感染によって強く誘発されるが, その外にも,切断傷害の様な単なる物理的刺激によっても誘導される… フユニルプロパノイド代謝系は高等植物 全般にわたって幅広くその存在が知られているが,その最終産物としては,褐変化の要因となっているクロロゲ ン酸,木化や癒傷に重要な役割を担っているリグニン,植物性色素として蛋要な位贋を占めるフラボノイド類な ど,その構造でも生理的役割でも多種多様である.これら多様な代謝産物は,フユニルプロパノイド代謝系,す なわちフユニルアラニンからシナピン酸までの代謝経路から分枝して産生される(図3).サツマイモ塊根にお いては,そのフユニルプロパノイド代謝系の初期段階に関与している2種の酵素について詳しい研究がなされて いる一つはこの代謝系の律速酵素と考えられているphenylalanineammonialyaseであり,もう∼つはそのすぐ 後に位■置するcinnamicacid4−hydroxylaseである..両者とも,組織が切断傷害を受けた後,ポリフェノール化合 物の産生に先立って顕著にその活性が高まる誘導酵素である25).そしてともに,切断傷害後1日を墳にして, その痛性が現象する25)前者には可溶性酵素であり高度に精製され26),それに対する抗体を用いて,その活性 上昇が酵素タンパク質の合成誘掛こ起因していることが証明されている27).後者は,膜結合酵素であり,チト クロムP_450関与の一原子酸素添加酵素であることが示唆されている25).
− 5 −
/ YCOOH
NH2◎
L-Phenylalanine J ′ COOHH。耶;00日 Lイ
◎∼ Flqvonoids † Cinn(】mic oc【d l yrosine/
L←1。愈∼COO”∴音感ド/’C竺
P−Coumcric ccid p−CoumclrylcIco
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_ 警 :郡/■C「 HO′〉 Li9∩】nS Conifery】qlcohol erulic く】Cid ↓ Ch】orogenic OCidH慧軒COOH
5一日ydroxyfe「ulic qcid -1H慧瞥 ’
COOリ慧率/ ゝ ′/CH20H OCH3Sin8Ple qCid Slnqpylq】cohoI
Fig..3.Metabolicpathwayofphenylpr−OpanOidsynthesisl 〔病傷害サツマイモ塊根組織の二次代謝系とチトクロムP−450〕 生物代謝は大別するとエネルギー代謝と物質代謝とに分けられようが,それら両者のうちに占める酸化反応の 比重は極めて大きいと言えよう.例えば,前者においてはミトコンドリア内膜での酸化的リン酸化があげられ, 後者においてはミクロソ・−ム膜での薬物の酸化的代謝があげられるミクロソ・−ム膜での薬物代謝が今世紀後半 になってにわかに注目されるようになったのは,動物肝における代表的誘導酵素として知られるチトクロムP− 450の発見によるところが大きい“これは,Garhke128)とKlingenberg29)とにより,1958年独自に発見され, 1964年,大村と佐藤30・31)によりヘムタンパク質であることが証明され,還元状態下でCOを結合させると450 mで特異なSor・et帯を示すことからその名がつけられたミクロソ・一ムのチトクロムP−450はミクロソ1−ムの 電子伝達系の末端酵素であり,分子状酸素のうちの1個の酸素原子を直接薬物等の基質に導入し,同時に残りの 酸素原子を水に還元するmixedfunctionoxidaseである。チトクロムP−450は動物や微生物で活発に研究が進め られてきており,薬物代謝という点からのみならず,酵素化学,代謝調節,膜酵素の生合成,遭伝子解析など, いろいろな観点から多くの研究者の注目を集めているその理由として,特異なヘム吸収スペクトル,幅広い基 質特異性,臓器特異性と分子多様性,フユノパルビタール,メチルコラントレンをはじめとする特定物質による 著しい誘導性,癌化への関与等があげられる.このように,チトクロムP−450は生理・生化学という立場から は勿論,物理化学的にも細胞生物学的にも,さらには遺伝学・比較生物学的にも極めて興味深い酵素である. これまで数多くの種類のチトクロムP−450が動物や微生物から単離,精製されている.こらのチトクロムP− 450は,研究方法や研究目的が相違していることもあって,種々の見方で分類さている.最も妥当と考えられる 分類は,細胞内局在性の違いによって2群に大別することであろう.すなわち,ミクロソーム型とミトコンドリ ア内膜(または細菌)型に分類することである(図4).前者は一・般にNAD(P)H−−一十NAD(P)H−CytOChromeP−
NO→xヱd∈OUβ票霊qnS去爪Td賀Oh召βhU
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− 7 −
450reductase−・・CytOChromeP−450で表されるミクロソINムの電子伝達系を構成する十九 後者はNAD(P)H
一−−NAD(P)H−ferredoxinreductase一十terredoxin−−−−cytOChromeP−450で表わされるミトコンドリア内膜(また は細菌)型電子伝達系を構成する.ミクロソ・−ム型チトクロムP−450は,さらに,NADPHまたはNADHのい ずれかのみを電子供与体とする単一電子伝達系型と,NADPHとNADHの両者を電子供与体として要求する複 合電子伝達系型に分類されている(図4). 近年,高等植物の二次代謝系にチトクロムP−450に依存した一層子酸素添加酵素が関与しているという実験 結果が報告されつつある.例えば,未成熟のMaYaChmacrocaゆ紘Sの種子におけるent−kaur−16−eneとその酸化的 誘導体の酸化反応32),エンドウ33),SOrghum幼酋34),Jerusalemartichoke塊茎35),切断傷害サツマイモ塊根25) における桂皮酸のパラ位の水酸化反応,梢舶′び紹幼常におけるゲラニオ−ルとネロールの10位の水酸化反 応36・37)などである. これらの報告は,それらの酸素添加活性がミクロソ−ム画分に局在し,NADPHと酸素分 子せ要求し,COにより阻害を受け,その阻害が光により抑制さることを明らかにしている. 高等植物のチトクロムP−450については,その含量が極端に少ないため,単にその存在が示唆されているに すぎない‖ ただごく最近になって,チ、ユ・−リップ球根からチトクロムP−450を精製したとの報告が発表され た38)また,NADPH−CytOChromec(P−450)reductaseについてさえも,ミクロソームの標識酵素としてよく使 われているにもかかわらず,電気泳動的に完全に単一・に精製されたという報告はまだみあたらない=Madyastha とCoscia39)は,CaihaYm肋鵬YOSeuSから部分精製したNADPH−CytOChromec(P−450)reductaseと,同じ材料か ら部分精製したチトクロムF−450を用い,この両酵素をミクロソ−ムからの脂質に親みこませて,モノテルペ ンの水酸化酵素系を再構成することに成功している.ノ この結果は,高等植物のミクロソーム画分で検出されてい る二/次代謝系に関与するいくつかの水酸化酵素系もまた,動物肝ミクロソ−ムで証明されているようなNADPH →NADPH−CytOChromeP−450reductase−・・・CytOChromeP−450という電子イ云連系を構成していることを示すよ り直接的な証明として興味深いしかし,以上のことからわかるように,高等植物のチトクロムP−450系の酵 素化学的研究は,動物や微生物の場合に比べて著しく立ち遅れている従って,今後こうした研究が強力に進め られる必要がある. 前述したように,動物肝の場合には3−メチルコラントレン,フユノパピタール等の薬物が,それぞれに対応 する複数種のチトクロムP−450を顕著に誘導することがよく知られているしかし,高等植物の場合には,こ のようなチトクロムP−450の誘導に関する研究はきわめて数少なく,従ってまた,有効な誘導剤もまだ見いだ されていない.ノ 高等植物のチトクロムP−450含意があまりにも少なく,その測定が容易でないことが,こうし た誘導に関する研究を遅らせているものと考えられる.これまでに報告された高等植物のチトクロムP−450の 誘導に関する研究としては,ジャガイモ塊茎40)やJeruSalemartichoke塊茎3S)における切断傷害に伴う誘導があ げられる程度にとどまっている”JeruSalemartichoke塊茎においては,ユタノ1−)t/,フユノパルビタ1−ル, MnCl2および除草剤であるモニュロンやジクロペニルがチトクロムP−450を誘導することも見いだされてい る4142) .しかし,これらの誘導物質と誘導されるチトクロムP−450の生理学的関係に関しては全くわかってい ない.このように,高等植物におけるチトクロムfし450の誘導については,系統だった解析が全くなされてい ないといっても過言でない.既に概説したように,サツマイモ塊根組織では,2種の特有の二次代謝系(テルペ ノイド合成系とポリフェノール化合物合成系)が種々の外的刺激により顕著に誘導される.それらにより産生さ れる極めて多様な代謝産物は,全て含酸素化合物であるけ そのうち,前述したように,ポリフェノール化合物の 合成系では,その中間体であるクマール酸のベンゼン環のパラ位の酸素原子は,チトクロムP−450関与のch− namicacid4Thydroxylaseによって,酸素分子より導入されたものであることが示唆されている.Cirmamicacid4−− 8 − hydroxylaseは高等植物に広範に存在しており,1971年のRussellによる報告を境にチトクロムP−450関与の水 酸化酵素として活発に研究さてきている.これらの研究は,本酵素がミクロソ−ム,つまりendoplasmicr・eticu− 1umに局在することを示してきている.一方,テルペノイド合成系については,Burkaら43)が,HgCl2で処理し たサツマイモ塊根組織を用い,1802とH2180でのトレーサ1一美験によって,イポメアマロンに含まれる3個の 酸素原子は,全て分子状酸素から由来したものであることを証明した.言い換えれば,イポメアマロン中の3佃 の酸素原子は,全でチトクロムP−450によって導入されている可能性が示唆されたわけである.この結果から 演えきすると,イポメアマロンからイポメアマロ・−ルへの水酸化反応もチトクロムP−450が関与しているので はないかと仮定することができよう..サツマイモ塊根組織においては,これらの酸素導入反応の他にも極めて多 数の酸素導入反応が広く存在し,代謝産物の構造的,機能的多様性を生み出すのに−・役を担っていることがよく 知られている.そこで,これらの酸素が酸素分子から由来したものかそれとも水から導入されたものかが問題と なる‖ もし,オキシゲニトーゼ反応によって導入されるのであれば,ニ原子酸素添加酵素によるものなのか,それ とも仙原子酸素添加酵素によるものなのかが問題となる.そして,もし−原子酸素添加酵素によるものであれば, チトクロムP−450関与のものなのかフラビン系酵素によるものなのかが問題となる.もしチトクヒムP−450関 与により導入されることがわかったとすれば,そのチトクロムP−450は分類上ミクロソ・−ム型なのかミトコン ドリア内膜型なのかそれとも全く新しい型に属するものなのかを明らかにする必要がある..そしてさらには,同 一・植物組織内で起こる複数の酸素添加反応が1種のチトクロムP−450によるものなのか,それとも複数種のチ トクロムP−450によるものなのかを明らかにする必要もある.現在のところ,以上のような問題に関しては, 全く不明のままになっている..チトクロムP−450の誘導に関する問題も含め,サツマイモ塊根組織は高等植物 チトクロムP−450の研究にとって興味ある材料であると考えられる 〔本論文の内容〕 本論文は,以上のような背景をふまえて行ってきたサツマイモ塊根組織のチトクロムⅠし450系酵素の性質や 誘導に関する研究の結果をまとめたものである.すなわち,サツマイモ塊根組織が病傷害刺激を受けた時に誘導 される二次代謝系に着目し,この代謝系に関与するチトクロムP−450系を酵素学的に研究した結果やこの組織 でのチトクロムP−450の誘導に関して検討した結果を記述したものである まず第2車では,近年高等植物における二次代謝系にチトクロムP−450関与の水酸化反応が含まれているこ とが明らかになるにつれて,病害サツマイモ塊根組織のテルペン合成系中の酸素導入反応がチトクロムIL450 関与かどうかを検討する必要性がでてきたので,このことをイポメアマロンの酸素添加反応について検討した結 果について述べる.すなわち,イポメアマロンからイポメアマロノ・−ルヘの反応がチトクロムP−450関与の水 酸化酵素−ipomeamarone15−hydroxylase−によって触媒されていることを説明する.そしてさらに,この酵素活 性が病傷害刺激によって誘導出現すること,病傷害刺激には複数種のチトクロムfし450が存在するらしいこと についても述べる。 次に第3章では,サツマイモ塊根組織でのチトクロムP−45Pの誘導について調べた結果を説明する第2章 でチトクロムP−450関与水酸化酵素Mipomeamarone15−hydroxylaseとcinnamicacid4−hydroxylase一括性が組織 が病傷害刺激を受けると誘導的に出現増加することを説明するが,このことはチトクロムP−450それ自体が病 傷害刺激で誘導される可能性があることを示唆している.そこで,サツマイモ塊根組織で,どのような刺激に よっでチトクロムP−450が誘導されるのかを調べた結果を説明するり そして,チトクロムP−450の誘導とテル ペン蓄積屋の間に相関関係がみられたことについても述べる 第4車においては,ipomeamarOne15−hydroxylaseとcinnamicacid4−hydroxylaseの両チトクロムP−450関与の
− 9 一 水酸化酵素の,サツマイモ塊根細胞内での局在性について調べた結果について説明する。そして,Cinnamicacid 4−hydroxylaseの細胞内局在内の特殊性を強調すると共に,これら両水酸化酵素のチトクロムP−450が互いに異 なる証拠が得られたことについても述べる. 第5章においては,サツマイモ塊根組織のチトクロムP−450系酵素の酵素化学的諸性質を明らかにするため に,NADPH−CytOChromec(P−450)reductaseとチトクロムP−450を可溶化し精製することを試みた結果につい て説明する・前者を完全に精製することは成功したが,後者についてはその可儀化のみが成功したにすぎなかっ た。従って,NADPH−CytOChromec(P−450)reductaseの性質を中心にして説明する…
第2章Ipomeamarone15−hydroxylaseの同定とその性質
第1節 序 サツマイモ塊根組織は黒斑病菌の感染やHgC12での処理を受けると,イポメアマロンをはじめとする多量の 抗菌性フラノセスキテルペンを雁病部に蓄積すがサそれらの生合成経路に関しては,瓜谷を中心とするグ ル1−プとBuI・kaを中心とするグル・−プにより,精力的に研究が進められてきたけ その結果,サツマイモ塊根組 織におけるフラノセスキテルペンの生合成経路は,解糖系やトリカルボン酸サイクルのような−㌧次代謝系でみら れる根幹のはっきりした経路ではなく,経路の途中で様々に分岐し,さらには合流する網状の代謝系であること がかなり確実になってきた44)(図1参照)..この複雑多岐に分岐した代謝系に含まれている多種のフラノセスキ テルペンは,フラン環の酸素以外にも複数個の酸素原子を保毒した含酸素化合物である‥ これらの酸素原子が, どの段階でどのような機構で挿入されるのか,またこうした酸素原子の挿入が,生理学的にどのような意味を 持っているのかについては,酵素学的知見が極めて乏しい現在,まだ推論の域を出ていないのが現状である… 1982年,BurkaとThorsen43)は,同位体酸素(180)で標識した分子状酸素を水とHgC12で処理したサツマイ モ塊根組織に与え,組織で合成され蓄積されたイポメアマロンのマススペクトルを解析した.そしてその結果か ら,イポメアマロンに含まれる3個の酸素原子は分子状酸素から由来したものであって,水やフラノセスキテル ペンの前駆体であるフ・7ルネソ−ルの酸素原子から由来したものではないと結論した.つまり言い換えれば,イ ポメアマロンの3個の酸素原子は,チトクロムfし450に依存した一原子酸素添加酵素かそれに類似した酸素添 加酵素によって導入されることを示唆した.なお,ファルネソ−ルの1位の水酸基の酸素原子が,フラン環が形 成される際単純にそのまま組みこまれるのではなく,その前にいったん離脱し,新たに分子状酸素から別の酸素 原子が導入されて,フラン環を構成する酸素原子となるという事実は極めて興味深い“すなわち,この−\見静的 にもとれる酸素原子は,実際は生体内において,酵素反応と密接にからみ合った離脱と添加の産物であることを 示していて興味深いものがある‖ 一方,1982年,大羽ら45)は14cで標識した放射性イポメアマロンを用いてトレーサ・一美験を行い,サツマイ モ塊根組織におけるイポメアマロンの代謝変換に関する結果を報告した.それによると,イポメアマロンは切断 傷害のみを受けた組織において効率よく代謝され,切断後HgC12で処理した組織や黒斑病菌を感染させた組織 では,その代謝病性はむしろ弱いという.また,切断傷害組織に黒斑病菌を感染させた後,その組織でのイポメ アマロンの代謝活性とテルペン蓄積の経時変化を調べた実験で,イポメアマロンの代謝活性が減少するとともに, テルペンの蓄積が増大していくことが観察されている.大羽らは,これらの結果から,以上のような加∽加で 観察されるイポメアマロンの代謝はテ)L/ペンの分解に関係するものであり,その酒性は,3−hydroxy−3−methyl− glutarylCoAreductase活性と共に,テルペン蓄積の調節の一・方の要となっているのではないかと推論した.なお,ー10− マススペクトルなどでの解析によって,イポメアマロンの代謝での最初の産物はイポメアマロノ1−ルであること が証明された‖ 近年,高等植物における二次代謝にチトクロムP−450に依存した水酸化酵素系が関与しているとの研究成果 が報告されつつある病傷害サツマイモ塊根親織におけるポリフェノ・−ル化合物の合成に一・役を担っているcin− namicacid4−hydr・0ⅩylaseがチトクロムP−450関与の水酸化酵素であることが示されたのもその1例である25). しかし,病害サツマイモ塊根組織における二次代謝系としてポリフユノ1−ル化合物合成系と並び称されるテルペ ノイド合成系に関しては,酸素添加反応が多いにもかかわらず,何ひとつ酵素学的知見が得られていなかった. そこで本研究では,まずこのテルペノイド合成系にチトクロムP−450関与の酸素添加反応があるかどうかを探 ることにした 前述したように,BurkaとThorsen43)はイポメアマロンの3個の酸素原子は,分子状酸素から由来したもの であることを示した.そこで,おそらくイポメアマロノ−ルの15位の酸素原子もまた分子状酸素から由来するの であろうと考えた.そして基質であるイポメアマロンが容易に調製できることを考慮し,この酸素添加反応がチ トクロムP−450関与によるものかどうかを検討することにした.本章では,こうした研究の結果を記述する‖ すなわち,大羽らによって報告されたサツマイモ塊根組織でおこるイポメアマロンからイポメアマロ・−ルへの変 換が,無細胞抽出系で酵素的に起こることを証明し,本酵素をipomeamarone15−hydroxylaseと命名したこと, ipomeamarOne15−hydroxylaseはチトクロムP−450が関与した−∵原子酸素添加酵素であると確認したこと, ipomeamarone15−hydroxylaseに関与するチトクロムP−450はcinnamicacid4−hydroxylaseに関与するそれとは別 種のものであり,したがってサツマイモ塊根組織には複数種のチトクロムP−450が存在することを明らかにし たことについて述べる. 第2節 材料および実験方法 〔植物材料〕 静岡県伊藤農場で収穫されたサツマイモ塊根(々♂椚♂紹おおぬゞ,品種」農林1号)を使用した小 便用直前まで, 12−140cで貯蔵しておいた 〔租ミクロ・−ム画分の調製〕 サツマイモ塊根を流水で十分洗い,005%の次亜塩素酸ナトリウムで15分間消毒した後,再度流水で十分洗浄 したその某組織より,厚さ3mmのスライス40gを調製し,290cの湿潤条件下で24時間インキエペ・−卜した.. 次に,それを05Mスクロ−ス,1mMEDTA,1%(w/v)イソアスコルビン酸ナトリウム,ポリクテールAT (新鮮組織重最の5分の1畳)と05%(w/v)BSAを含んだ100mlの50mMTris−HCl緩衝液(pH85)中で ウオ−リングプレンダ・一により最高速度で15秒間,6回ま砕した.ま砕液を2重のナイロンか−ゼでこし,ろ液 を10,000×g,15分間遠心した上晴を05Mスクロ1−ス,1mMEDTAと1mMDTTを含んだ50mMTris−HCl 彼衝汲(pH85)で前もって平衡化させておいたゼファデブクスG−25カラム(全ペソド容:500mJ)にかけ,同 じ薇衝液で溶出した.溶出したタンパク質画分を2時間100.000×gで遠心し,沈殿は05Mスクロースと0.3 mMDTTを含んだ5mlの50mMTris−HCl薇衝液(pfI&5)に懸濁し,それを粗ミクロソ1−ム画分とした.後述 するが,イポメアマロンのイポメアマロノ・−ルヘの代謝活性は,ミクロソ・−ム画分に局在することから,本租ミ クロソーム画分を酵素液として用いた. 切断傷害または黒斑病菌感染後の酵素活性の経時的変化を見る実験では,酵素液は以下のように調製した.ま ず,柔組織から厚さ10∼15cmの輪切り切片を調製した.切断傷害に関する実験では,そのまま290cで目的
−11− の時間インキュ.ベ・−卜した黒斑病菌感染組織に関する実験では,輪切り切片の表面に黒斑病菌(Cβ和わ叩Sぬ
jmbYiataEuandHalst)の内生分生子(約1×107個/ml)を接種後,同様に一億時間インキ、エペ1−トした,.イン
キエペ−ション後,切断傷害の場合は10−15Il皿の厚さで表面の組織を,黒斑病菌感染の場合は雁病部に隣 接した健全組織を10−15mmの厚さで切り取った“切り取った組織より,上記の方法で酵素液を調製したが, 膜画分全体の酵素活性をみるために,10,000×g,15分間の遠心を300×g,10分間の遠心に変更して行った. 以上の操作のうち,組織のま砕以降の操作は0−40cで行った… 〔租テルペン画分の調製〕 サツマイモ塊根を水で十分洗い,その某組織から輪切り切片(厚さ10−15cm)を調製したその切断面に 黒斑病菌の内生分生子懸濁液(約1×107個/mJ)を塗布し,290cの湿潤条件下にて3日間インキエペ・−トした. 黒斑病菌の感染により褐変化した雁病部をカミソリで切り取り,それより租テルペン画分を抽出した.まず,雁 病組織をクロロホルムーメタノ・−ル(1:1,Ⅴ/v)中でウオ・−リングブレンダーにより最高速庶で約3分間ま砕し, そのま砕物をグラスフィルタ−(3G)で減圧ろ過した“残さについてこの操作をさらに2∼3固練り返した,次 にろ液を合わせ,その約04倍容の蒸留水を加え激しく振とうした.それを2,500rpm,15分間の遠心にかけクロ ロホルム層を分取し,減圧蒸留によりクロロホルムを除去した.最終的に得られた油状物質を租テルペン画分と した. 〔イポメアマロンの精製〕 小国ら46)の方法に多少改変を加え精製した小 まず,租テルペン画分をTLC板に付与し,乃−ヘキサンー酢酸 エチル(8:2,Ⅴ/v)で展開し,イポメアマロン画分をかき取り,クロロホルムメタノ1−ル(1:1,Ⅴ/v)で抽出し た.同じ操作をさらに2回行った..最後に,光一ヘキサンー酢酸エチル(9:1,Ⅴ/v)の展開溶媒を用いたTLCに より精製を完了した. 〔14c−標識イポメアマロンの調製〕 “租テルペン画分の調製”の項で述べた方法により,サツマイモ塊根組織に黒斑病菌の内生分生子を接種し, 290cの湿潤条件下で36時間インキエペ1−卜した.次に,それより,片面に雁病部を含むように20個のディスク (20×2mm)を切り出した.蒸留水を湿らせたろ紙を敷いたベトリ皿にステンレスの金網を置き,その上に雁病 組織が下になるようにディスクを載せた..ディスクの上面にむらなく 卜14c一酢酸ナトリウム水溶液(50/JCi/ 血sc)を塗布し,ただちにベトリ皿でふたをし,それをプラスチソク製の密封容器に入れ30◇cでインキエペ1− 卜した,.インキエペ・−ト中に発生する14co2を捕獲するために,ベトリ皿とプラスチック容器の両方に20% KOH水溶液を入れた器を入れておいた.6時間インキエペ・−卜した後,“租テルペン画分の調製”の項において 記述した方法により,雁病組織から放射病性をもつ租テルペン画分を調製したり この画分より“イポメアマロン の精製”の項で述べた方法とおなじ方法で14cで標識されたイポメアマロンを精製した‥ 精製標品の比放射活 性は55×1011dpm/molであった.. 〔イポメアマロノ1−ルの3,5一ジニトロベンゾイル誘導体の調製〕 イポメアマロノールの3,5−ジニトロベンゾイル誘導体の調製は加藤ら4‘7)の方法に従った‥部分精製したイポ メアマロノ・−ルをシリカゲルを入れた減圧状態のデシケ一夕・−内で−・昼夜乾燥した次に,それを乾燥させたジ エチルエ−テルに溶かし,乾燥させたビリジン中で3,5−ジニトロベンゾイルクロライドと室温で4時間反応さ せた反応液を2NHClで3回,蒸留水で2回,1MNaHCO3で3回,蒸留水で2回順次洗い,さらに飽和 NaCl水溶液で水を取り,最終的にNa2SO4で脱水した.減圧蒸留してジュチ)L/エーテルを除去し,シリカゲル カラムクロマトグラフィ1−,TLCを経てその残留物からイポメアマロノ1−ルの3,5−ジニトロベンゾイル誘導体−12− を精製し不定形結晶を得た..それを370cのジエチルエ1−テルに飽和状態になるように溶かし,室温にまでゆっ くり冷却して無色透明の針状結晶を得た.精製標品のNMRスペクトルは加藤ら47)の報告と一徹した‖ また, 融点は820cであり同報告よりもむしろ1度高く,純粋なイポメアマロノ・−ルー3,5−ジニトロベンゾエイトであ ると判断した. 〔Ipomeamar・One15−hydroxylase反応の解析〕 痛憶測走d50mMTris・HCl(pH80),05Mスクロ−ス,1mMDTT,62pM放射性イポメアマロン(約 50,000dpmのイポメアマロンを前もって01mlの蒸留水−アセトン〈50:1,V/v〉に溶かしたもの),087mM NADP+,15mMグルコ・−ス6−リン酸,glucose6−phosphatedehydrogenase(03酵素単位)および酵素液(1− 4mgpr・Otein)を含んだ全容15mlの反応液を調製し,300cで一・定時間反応させた”反応は酵素液の添加により 開始し,35mJのクロロホルムーメタノ・−ル(1:1,Ⅴ/v)の添加により停止した..反応の停止の際,少量の粗テ ルペン画分を添加し,反応生成物の非酵素的な分解を防ぐとともに,それを分離する時の示標とした。2,500 rpmで1時間遠心してクロロホルム層を分取し,残りの水−メタノ・−ル層からさらに15mJのクロロホルムで 再度反応生成物を抽出したい 分取したクロロホルムを合わせ窒素気流によりクロロホルムを気化させた‖ 残留物 は汀LC紙に付与し,乃−ヘキサンー酢酸エチル(6:4,Ⅴ/v)で6cm,次に乃−ヘキサンー酢酸エチル(9:1,Ⅴ/v) で15cm多重展開し,冨的とする画分を切り取り,5mlのシンチt/一夕一(008gPPOと4mgPOPOPを5ml のトルエンに溶かしたもの)中で放射活性を測定した. 反応生成物の同定−(TLCによる同定)125mgの放射活性をもたないイポメアマロンを基質として用い, 標準のipomeamarone15−hydroxylase酒性測定の10倍の規模で反応させた.300c,1時間のインキエペ・Rション 後,35mJのクロロホルムーメタノール(1:1,Ⅴ/v)で反応を停止した.2,500rpmで1時間遠心しクロロホル ム層を分取し,残りの水−メタノ−ル層をさらに15m上のクロロホルムで処理した.分取したクロロホルム層を 合わせ減圧蒸留した残留物をクロロホルムーメタノ・−ル(1:1,Ⅴ/v)に溶かしTLCプレートにスポットした.. それをn−ヘキサンー酢酸エチル(1:1,V/v)で8cmまで,次にn−ヘキサン一散酸エチル(8:2,V/v)で16cm まで多重展開し,そのプレートにEh点ch,sreagent48)を噴霧して発色させた. (結晶による同定)放射性イポメアマロンを\基質として得られた放射活性を持った反応生成物を,上記の方法 により,3.5−ジニトロベンゾイルクロライドと反応させ,その誘導体を調製した.それを放射酒性を持たない既 知のイポメアマロノ−ルー3,5−ジニトロベンゾエイトと混合し,ジュチルエーテル中で3度再結晶化を繰り返し, そのたびに結晶の比放射活性を測定した 気相および光の調節一酵素反応におよぼす反応系におけるガス組成の影響を調べるために,以下のように密 封系にて目的の気相に調節した小 反応液を入れたスピッツ遠心管をシリコン栓で封じ,それに三方コックを継い だ注射針を刺し込んだ三カコックの注射針に継いだ口とは反対の口のうち−・方を封じ,他の一・方をロ・一夕リ・− ポンプに継ぎ,1分間遠心管内の空気を排出した.次にロータリ・−ポンプ側の口を封じ,それと同時に開封され る口から窒素ガスを注入した.この操作をもう一・回行い,3度目にロ・一夕リ1−ポンプで1分間引いて減圧したも のを無酸素状態とし,目的とするガス組成となるようにガスを注入した反応は遠心管をアルミホイルでおおい, 光の当たらぬ条件下で行った,ただし,光の効果を見る場合には,アルミホイルではおおわず,遠心管の下に銃 を敷き,遠心管より30cmの距離から500Wの写真撮影用ランプを照射して反応を行った. 〔その他の酵素活性の測定〕 Cinnamicacid4−hydroxylase−田中ら25)の方法Ⅰに多少修正を加えて測定したイポメアマロンの変わりに 3−14c−桂皮酸を基質として使用した以外は,ipomeamarone15−hydroxylaseの楕性測定の場合と同じ反応で1時間,
l−13 − 300cで反応させた“反応は6NHClを04ml添加して停止し,その際10/JmOlのP−クマ1−ル酸を添加した 酸変性したタンパク賀は2,500rpm,30分間の遠心で沈殿させ,上滴を分取した沈殿したタンパク質を15mJ の蒸留水で洗い,2,500rpm,30分間の遠心にかけ上摘を取る操作を2回線り返し行った.分取した上清を合わせ, 5mJの酢酸エチルで3回抽出し,減圧蒸留により酢酸エチルを除き,残留物をエタノ−ルに溶かし,それをク ロマトグラフィ1−用ろ紙(ToyoNo51)に載せた.そのろ紙をベンゼンー酢酸一蒸留水(2:2:1,Ⅴ/v/v)を撹 拝後の上層液を用いて20cm,25−300cで展開し,目的画分を切り取った放射病性の測定はBray,ssolution49) を用いた NADPH−CytOChromecreductase−Masters50)の方法により測定した.222mMNaN3,028mMNAI)PH, 333pMアンチマイシンAおよび011mMEDTAを含む56mMリン酸緩衝液(pH77)027mlに9mg/mlチ トクロムc20〟Jと酵素液10/JJを添加して250cで反応させた.括性はチトクロムcの還元による550nmの吸 収の増加により測定した. NADH−CytOChromecreductaseLMackler51)の方法により測定した”222mMNaN3,027mMNADHおよび 333FLMアンチマイシンAを含んだ22mMリン酸緩衝液(pH75)027mlに9mg/mlチトクロムc20iLlと酵 素液10/JJを添加して250cで反応させた.病性はチトクロムcの還元による550nmの吸収の増加により測定 した 〔タンパク質の定義〕 Lowry52)らの方法に従い,BSAを標準タンパク貿として定量した 第3節 実験結果 〔Ipomeamarone15−hydroxylaseの同定〕 イポメアマロンの代謝活性は切断後1日を経た傷害 サツマイモ塊根組織において最も高いという大羽 ら45)の報告に従い ,その組織より粕ミクロソーム画 分を調製した“これを酵素液と仮定し,14cで標識し た放射性イポメアマロンを基質として300cで3時間 反応させた 反応液より抽出した粕テルペン画分を ITLCにかけ,1cmごとの放射活性を測定したところ, 未反応のイポメアマロンによる高い放射活性の他に, 比較的極性の高いイポメアマロノ一ルと考えられる領 域に高い放射活性が検出された。その他の画分にはほ とんど放射清′性は検出されなえった 反応生成物の同定に2種の方法を用いた第1の方 法は,反応生成物をTLCにかけ,EhrLich’sreagentで 発色し,直接その展開状況と色を判断して同定する方 法であるり 図5のレーン3は,放射病性を持たないイ ポメアマロンを基質として用い,300cで1時間反応 させたもののクロマトグラムを示したものである肌 色を呈するイポメアマロン以外に,イポメアマロノ・−
Fig‖51Thin−1ayer chromatogr・amS Of the substances extracted with chloroform after incubation
Lanesl,2,3,4and5:withoutsubstrate,with heated(1000c,forlOmin)enzyme,withenzyme
(complete),ipomeamarOne(Ip)itself(without
incubation)andcrudesesquiterpenesextracted
fr’Omin毎cted root tissue(withoutincubation),respectivelySpotsin1anelwereal1upidsin
the enzyme PreparationVisua上zed colors of Ip,ipomeamaronol(IpOH)andlipidsweresahon Orange,purpleandblue,reSpeCtively,andeffbc−tive for distinction of thelI substances A and
DHIp:COmpOnentAanddehydroipomeamarOne,
一14− ルの位置にそれ特有の紫色のスポットが観察された・なお,図5のレーン1から3にかけて共通してみられる青 色と黄緑色のスポットは,ミクロソームに由来する脂質が発色したものである・1000cで10分間熱処理したミク ロソ・−ムを用い同様に反応させた場合には,反応生成物(イポメアマロノ・−ル)に相当するスポソトは検出され なかった(図5のレーン2)”データは示さないが,NADPH再生系を反応液から除去した時または00cで反応 させた時にも,紫色のスポソトは検出されなかった・以上の結果より,切断傷害サツマイモ塊根組織より抽出し た粗ミクロソ・−ム画分とイポメアマロンをインキエペ・−卜するとイポメアマロノ・一ルが生成すること,その生成 にはミクロソ−ムに存在する酵素が関与している可儲性が極めて高いことがわかった 上述の結果をさらに確実にするために,第2の方法を用いて反応生成物の同定を行った,14cで標識した放射 性イポメアマロンを基質として反応を行い,それによって得られる放射性反応生成物を3.5−ジニトロベンゾイ ル化し,既知のイポメアマロノ−ルー3,5−ジニトロベンゾエイトを担体として再結晶化を繰り返し,その比放射 活性を測定した(表1)..担体にするために合成したイポメアマロノールー、3,5−ジニトロベンゾエイトはNMRス ペクトル,融点(820c)の結果から純品であることを確認した“3回再結晶化したにもかかわらず,その比放射 活性に減少がみられなかった(表1)このことから,反応生成物の3,5−ジニトロベンゾイル誘導体は,イポメ アマロノ”・・−−・ルーL3,5−ジニトロベンゾエイトであると判断した..よって,この放射性反応生成物はイポメアマロ ノ一ルであると判断した 次に,租ミクロソーム画分の義および反応、時間と反 応生成壷の間の関係を調べた.粕ミクロソ1一ム画分量 および反応生成義との間に直線関係を示すことが確認 された(データ省略).. 以上の結果をもとに,イポメアマロンからイポメア マロノ・−ルヘの水酸化反応は,酵素的に触媒されるも
Tablel.SpeciLic radioactivities ofthe product by recrystallizationof3,5−dinltrobenzoylde− rivative
−・・−− \
1pOmeamarOneJ
1pOmeamarOne 15−hydroxylase畔凡⊥OH
lpOmeamarOnOIFig.6Enzymic conversion fromipomeamarone to lpOmeamarOnOIcatalyzedbyipomeamarone15− hydroxylase丘Om Cuトir如r’ed and CeYatOqγStis Pmbnaia−inLectedsweetpotatoroottissues Specificradioactivity (dpI血g) Recrystallization のと結論し,本酵素をipomeamarOne15−hydroxylaseと命名した(図6).なお,以下でのべる酵素活性は,反応 生成壷と酵素量,反応生成量と反応時間の間に直線性が成り立つ範囲内で測定した 〔Ipomeamarone15−hydroxylaseの性質〕 Ipomeamarone15−hydroxylase晒性はミクロソ1−ム,特に粗面ミクロソ−ム画分に分布していた.これに関し ては第4章で詳細に述べる. IpomeamarOne15−hydroxylaseの低温における安定性を調べたところ,T800cにおいては10日間ほとんど失清 が見られなかった.よって,酵素液は−800cにて凍結保存することにした. Ipomeamarone15−hydr・0Ⅹylase病性におよぼす反応液のpHの影響をpH65からpHlO Oにかけて,3種類の 緩衝液を用いて調べた(図‘7)その結果,本酵素の活性の至適pHは80であることがわかった
−15 − 50% l 合名き忘A竜一む出 l ︵占竜dUM■○−×︶音名ぷ 100
∞ 6 5 4 3
−Log[NADH] Fig”8lEffectofcombinationsofNADPHwithNADHonlpOmeamarOne15−hydroxylase activity… Reac− tionswerecarTiedoutasdescribedin“Materials
and Methods”in rnixtures containing both
NADPH and NADH which were in various
concentrations asfonows:(●),OM NADPH; (○),1FLMNADPH;(△),5/‘MNAI)PH;(ロ), 10FLMNADPH;and(×),1mMNADPH… The
concentrationofNADPHisexpressed,aSSumng
thatNADP+addedis血mediatelyreducedtoNADPHbyglucose6−phosphatedehydrogenase
The activityis expressed as per’Centage Ofactivitywith1mMNADPHandnoHADH
7.0 80 9.0 10‖O
pH
Fig7・EffectofpHonipomeamarOne15−hydroxylase
activity. The enzyme activity was assayed as
describedin“MaterialsandMethods”infol10W− ing buffer solutions:(○),50mM potassium phosphate;(□),50mM Tris−HCl;and(△),50mMglycine−KOH・・
Table2.E鮎ctsofpyridinenucleotidesonlpOme−
amarOne15−hydroxylaseactivity
Relative
Deletion Addition
activityb
(%) Ipomeamarone15−hydr・0Ⅹylase活性におよぽすビリ ジンヌクレオチドの効果を調べた(表2).本酵素は 活性発現にNADPHを必要とするが,NADP十を必要 とはしなかった.ただし,1mMのNADPHよりも1 mMのNADP+を含んだNADPH再生系の方が高い 活性を得ることができた.NADHだけでは活性が得 られなかったが,NADPHに併用して用いた場合には NADPHだけの活性よりも高い活性を得ることができ たこの関係について詳しく調べた結果を図8に示す 上述したように,NADPHが存在しない時は,NADH を投与しても活性は無視できるほどであった.しかし, 1/∠MのNADPHが存在する時には,1〟Mを臨界点 O 1 3 7 0 6 8 1 None NADPH(1mM) NADH(1mM) NADPH(1mM)+ NADH(1mM) NADP十(1mM) NADPH(0…5mM) NADH(0い5mM) NADPH(0.5mM)+ NADH(0.5mM) None None(complete) NADPH rgsn NADPHr■gS NADPH柑S NADPH rgs NAl)PHtgS NADPH rgs NADPH rgs NADPHrgs 3 3 3 4 5 4 8
aNADPH rgs,NADPH regenerating system(1 mMNADP+,2mMglucose6−phosphateandOl3
unltglucose6−phosphatedehydrogenase)l
bThe activityis expressed as percentage ofthe
activityofthecompletesystem,Whichisdescribed
under“MaterialsandMethods.” としてそれを越える濃度のNADHは著しく活性を増 大させた.しかし,NADPHの濃度が増加するに伴い,NADHによる酵素の活性化効果は減少したl・NADPHの 濃度を1mMにまであげると,NADHによる活性化効果はほとんどみられなかった・以上のことを要約すると, NADPHの濃度が本酵素の最大活性を与えるのに十分でない時には,共存するNADHは最大活性の範囲内で活性 化するといえよう”これらの結果は,ミクロソームにおけるNADPHを電子供与体とした電子伝達系とNADH を電子傾与体とする電子伝達系との間で起こるsynergisticな相互作用を反映するものと思われる・他の高等植物 においても,類似の結果がknureneoxidaseについてHassonとWest53・54)によって報告されている”ー16− イポメアマロンとNADPHの濃度の逆数に対するipomearnarOne15−hydroxylase活性の逆数をプロソトし,そ れよりKm借を求めた.イポメアマロンに対するKm値は約60/∠M,NADPHに対するKm値は約2FLMであっ た… IpomeamaIOne15−hydroxylase病性におよぼす種々の化学物質の影響を調べた(表3)lチトクロムP−450以外 のヘム酵素の典型的阻害剤であるKCNは酵素活性を阻害せず,むしろ約15倍に増大させた.表には示さない が,1rnMNaN3は活性に影響を与えなかった.エンドウ幼酋のcinnamicacid4−hydroxylase活性を27%阻害する と報告されているα,α′−ジビリジル33)は,最終濃度1InMにおいても活性にほとんど影響を与えなかった.SH 酵素の典型的阻害剤であるP−クロロマ・−キュリl一安息香酸は,低濃度で楕性を著しく阻害したIHgC12,CuC12 の重金属塩を同様な意味で使用してみたところ,これらも顕著に活性を阻害した.対照としてMgC12を使用し たが,これは活性にほとんど影響を示さなかったミクロ1−ムの電子伝達系から電子を奪うと考えられるチトク ロムcとP−ベンゾキノンは本酵素活性を著しく低下させた“Pottsら34)はsorghum幼苗のcirmamicacid4−hy一 血・0Ⅹylaseが♪−ベンゾキノンによって効果的に阻害されることを報告している“表には示さないが,02%(Ⅴ/v) トリトンX−100で晒性は74%失活した.以上の結果は,ipomeamar・One15−hydroxylaseがミクロソームの電子イ云 達系よりなる酵素であることを強く示唆しているす Table3”E鮎ctsofreagentsonipomeamarOne15− なわち,イポメアマロンが水酸化されてイポメアマロ
hydroxylase activity DTT and EDTA
wereremoved血・OmreaCtionmixtures. ノ・−ルになる反応は,ミクロソ・−ムのチトクロムP−
450に依存した−原子酸素添加酵素により触媒される ことを示唆している
Final Relative Addition concentration activitya
(mM) (%) 0 8 8 6 4 0 4 0 0 1 1 1 1 1 None(complete) KCN α,a′−Dipyridyl a,α′−Dipyridyl P−Chloromer’Curi− benzoic acid HgC12 CuC12 MgC12 Cytochromec P−Benzoquinone ♪−Benzoquinone Table4.Ⅰnl1ibition oflpOmeamarOne15−hydro− Xylase activity by car’bon monoxide and itsr’eVerSalbylight 1 0 1 0 1 1 1 1 0 0 9 1 Relative Gasm玩ture aCtivitya (%) 9 2 4 1 5 8 1 1 9 1 2 A止 N2(100%) 02(15%)+N2(85%) CO(15%)+02(15%)+N2(70%) CO(15%)+02(15%)+N2(70%)+hght 0 5 0 6 0 0 2 9 3 7 1 5 2 5
aThe activityis expressed as percentage ot the
activityofakircont]rOl.aThe activitylS eXpreSSed as per’Centage Oithe
activity of the complete system.
上記の示唆をより確かなものとするために,ipomeamarone15−hydroxylase活性における分子状酸素の役割, 活性におよぼすCOの影響,その影響におよぼす光の効果について検討した(表4).反応系の気相の02/N2 比を025(つまり空気の組成)から0略0へと減少させると,気相が空気の時の活性に対する相対酒性は, それぞれ,90%,25%と減少した.この実験では,02/N2比が0の時25%の相対活性が検出されたが,これは 反応系中の02をN2で完全に置換できなかったためと思われる.反応系中の02をより注意深くN2で置換し た別の実験では,全く活性がないことが確かめられたよって,イポメアマロンからイポメアマロノ・−ルへの水 酸化反応には,分子状酸素が必要であることがわかった.15%02,85%N2からなる気相の場合の酵素活性を 100とした時,15%のN2をCOで置換することでその相対活性は40に減少した。しかし,反応時間中反応液に
−17一 光を照射しておくと,COによる阻害効果は緩和されその相対活性は78となった.この顕著なCOによる阻害と 光による阻害の綾和現象は,イポメアマロンからイポメアマロノ−ルへの水酸化反応にヘム酵素が直接関与して いることを示している.以上の結果により,ipomeamarOne15−hydroxylaseはフラビン系の一\原子酸素添加酵素 ではなく,チトクロムP−450関与の一層子酸素添加酵素であると判断した. 〔IpomeamarOne15−hydroxylaseとc血amicacid4−hydroxylaseの関係〕 Ipomeamar・One15−hydroxylaseがチトクロムP−450関与の一風子優素添加酵素であったので,同じくチトクロ ムP_450関与の一原子酸素添加酵素であるchamicacid4−hydroxylase25)と同じ酵素であるかどうかを調べた。 すなわち,ipomeamarone15−hydroxylase活性におよぼす桂皮酸の効果とcimicacid4−hydroxylase活性におよ ぼすイポメアマロンの効果を調べ,それぞれ括抗的阻害を示すかどうかを調べた(表5と6).反応液がipo− meamarone15−hydroxylaseの基質として36FLMの放射性イポメアマロンを含んでいる時,基質の28倍の濃度に 相当する桂皮酸(1mM)を同時に添加してもほとんど酵素痛性に影響を与えなかった(表5).一方,Cinnamic acid4−hydroxylaseの場合には,基質である放射性桂皮酸の濃度(36pM)の約30倍以上の濃度のイポメアマロン で,その括性が阻害されることが観察された(表6).しかし,添加したイポメアマロンの濃度が基質の約300倍 (1OmM)の時でも,その阻害度はわずか30%以下であった‖以上の結果は,チトクロムP−450が関与するこれ ら2種類の水酸化酵素は,互いに異なる酵素であり,同じタンパク質種ではないことを示唆している.言い換え れば,サツマイモ塊根組織には少なくとも2種類以上のチトクロムP−450が存在することを示唆しているとい える
Table5… EffectofcinnamicacidonlpOmeamarOne15−hydroxylaseactivity‖ Thereac−
tion m反ture contained36FLM[14c]ipomeamarOne aS the substrate ofipo−
meamarOne15,hydroxylase。The reaction conditions ar’e describedunder
〃MaterialsandMethods…” Relativeactivitya Addition Experiment 1 Experlment2 (%) (%) None(complete) Ci皿amicacid Cinnamic acid Cinnamic acid 0 7 5 4 0 9 9 9 1
a Theactivityisexpressedaspercentageoftheactivityofthecompletesystem.
Table6.E鮎ctofipomeamarOneOnCinnamicacid4−hydroxylaseactivity。Ther・eaCtion mixtur・eCOntained3‖6FLM[14c]cirmamicacidasthesubstateofcinnamicacid 4−hydroxylase.0therwise,theincubationconditionswerethesameaSthosefortheexperimentsdescribedinTable5
Relativeactivitya Fhd concentr・ation (mM) Addition Experiment 1 Experiment2 (%) (%) None(complete) IpomeamarOne O‖1 Ipomeamajrone O.5 Ipomeamajr’One l。0 0 9 6 5 0 8 7 7 1 1 0 8 8 3 0 8 8 7 a Theactivityisexperessedaspercentageoftheactivityofthecompletesystemー18一 〔病傷害サツマイモ塊根組織におけるipomeamaIOne15−hydroxylase活性の変化〕 切断傷害を与えたサツマイモ塊根組織(傷害組織)および黒斑病菌を感染させた親織の雁病部に隣接する健全 部位(病害組織)において,ipomeamarone15−hydroxylaseおよびその他のミクロソ−ムの酵素滴性が切断後お よび感染後経時的にどのように変化するかを調べた(図9A,B).IpomeamarOne15−hydr・OXylaseとcinnamicacid 4−hy血・0Ⅹylaseの両活性は,共に新鮮組織では検出できなかった.しかし,雨滴性は病傷害両組織でほとんど潜 伏基質なしに急激に増大した..そしていずれの組織,いずれの活性の場合でも,1∼15日で最大値に達し,それ 以後は減少した.この減少速度は雨滴性の場合とも,病害組織の方が顕著であったぃ 病害組織におけるipo− meamarOne15−hydroxylase滴性の最大値は傷害組織におけるそれの約5倍であった。.この結果は,大羽ら45)に よって報告された結果,すなわちよ〝〝よ〃0でのイポメアマロンの代謝活性は病害組織よりも傷害組織のカが高い という結果と相反していた.この実験では,Cinnamicacid4−hydroxylaseの極大活性は,病傷害両組織でほとんど 相違がみられなかった.しかし,実験によっては,病害組織の方が傷害組織よりも約3倍高い結果も得られてい る..第4章で述べる実験においては,後者の実験結果と符合する結果が得られているので,前者の実験結果はむ しろ異例な結果であったのかも知れない. 5 S聖︼l≧︼Uく の q) } 長5 U ■く 0 0 1 2 3 4 5 (Days) 0 1 2 3 4 (Days) Fig.9。Timecoursesofdevelopmentofactivitiesofipomeamarone15−hydroxylaseandcertainmlqrOSOmal enzymeSandpr・Oteincontentintissuesinresponsetocut一画ury(A)andCerabcystisjmbriaklhdbction (B).TheenzymeSOlutionwaspreparedandtheactivitieswereassayedasdescribedin“Materialsand Methods..”(●),ipomeamarone15−hydroxylaseactivity(nmol/gtissueweight瓜);(○),Cinnamicacid 4−hydroxylase activity(rmol/g tissue weightnl);(△),NADPH−CytOChr’Ome C r’eductase activity
(△A55。/gtissueweight/min);(ロ),NADH−CytOChromecrIeductaseactivity(△A55。/gtissueweight/ min);(×),prOteincontent(mg/gtissueweight). 高等植物を含め種々の真核生物で,NADPH−CytOChromecreductaseおよびアンチマイシンA一非感受性
NAI)H−CytOChromecr・eductaseの両酵素は,ミクロソ1−ムの示標酵素として取り扱われており,実際またはミク
ロソ・−ムにおける電子伝達系を構成する主要な成分である.この両酵素の活性は,病傷害両組織共に,10−15 日で極大に達し,その後徐々に減少した..Ipomeamarone15−hydroxylaseおよびcinnamicacid4−hydroxylase雨晴 性は新鮮組織では検出されなかったが,NADPH−CytOChromecreductaseとアンチマイシンAT非感受性NADH− cytochromecr・eductaseの両酵素については,比較的高い括性が検出された”なお,膜画分のタンパク質含量は 病傷害両組織で増加し,その増加率は傷害組織よりも病害組織の方が高かった.−19 −