有機金属化学 有機物と無機物である金属が結合を作った化合物が有機金属化合物である。 多 く は 触 媒 と し て 有 機 合 成 に 使 わ れ 、 ノ ー ベ ル 賞 の 受 賞 を 受 け て い る 。 有機物とは違ういくつかの特徴がある。一つは炭素と違い結合の手の数が 4 本とは限らない 点である。
カミンスキ触媒の一例
鈴木触媒の一例グラプス触媒 メタセシス 野 依 触 媒 Binap Ru 触 媒 図 1 い く つ か の 有 機 金 属 の 例 18 電 子 則 遷 移 金 属 の 場 合 に は 、d 軌 道 も 結 合 に 参 加 す る こ と が で き る 。遷 移 金 属 の 周 り に 存 在 す る 物 を 配 位 子(リ ガ ン ド )と よ ん で い る 。 結 合 に は 、 2 個 の 電 子 が 必 要 で あ る が 、 遷 移 金 属 の 場 合 に は も と も と 遷 移 金 属 に あ っ た 電 子 と 、 配 位 子 か ら の 電 子 を あ わ せ て 考 え る 。 一 般 に 配 位 子 は 、2 個 の 電 子 を 供 与 す る 。 配 位 子 を 分 類 し て み よ う 。 す る と 3 つ の 方 に 分 か れ る 。 形 式 的 に マ イ ナ ス,形 式 的 に 中 性 、 形 式 的 に プ ラ ス で あ る 。 こ れ ら の 分 類 は 考 え や す い よ う に 、 配 位 子 が 閉 殻 構 造 を 取 る と 考 え て い る 。 た と え ば 、CH3 は C H3- と 考 え る . す る と 炭 素 の 周 り は 、8 個 の 電 子 が あ り 、 閉 殻 と な る 。 表 に 代 表 的 な 配 位 子 の 電 荷 を 示 し た 。 同 時 何 個 電 子 を 金 属 に 配 意 で き る か も 示 し た 。
さ て 、 遷 移 金 属 の 場 合 の 閉 殻 構 造 は 、d 軌 道 5, s 軌 道 1, p 軌 道 3 個 の 9 軌 道 に 2 個 ず つ 入 り 、18 個 で 構 成 さ れ る 。こ の 18 個 で 完 成 し 、安 定 化 す る の で 、 一 般 に 18 電 子 則 と い う 、 さ て 、 電 子 の 数 は 元 々 あ っ た 遷 移 金 属 の 電 子 だ け で な く 、 配 位 子 か ら の 供 与 も 含 め る 。 配 位 子 か ら は 普 通 2 個 の 電 子 が 供 与 さ れ る 。 し か し 表 を 見 る と 2 個 以 上 の 電 子 が 供 与 さ れ る 場 合 が あ る 。 こ れ に つ い て は 、 次 の 章 で 考 え る 。 配 位 子 が 多 く 存 在 し 、18 電 子 以 上 に な る と 、1 8 電 子 則 を 満 た さ な く な り 、不 安 定( 一 般 に は 存 在 し な い ) に な る 。 ま た 、18 電 子 以 下 の 場 合 に は 配 位 不 飽 和 と 呼 ば れ 、 反 応 性 が 高 く な る 。 問 次 の 化 合 物 の 遷 移 金 属 の 周 り の 電 子 の 数 を 数 え て み よ う 。 特 殊 な 結 合 さ て 、 表 を 見 る と 、 ア レ ー ン と 書 か れ た と こ ろ は ベ ン ゼ ン 環 が 平 行 に な る と い う 特 殊 な 結 合 で あ る 。 従 来 の 結 合 は σ 結 合 と は こ と な り 、 金 属 に は 6 つ の 炭 素 が 同 時 配 意 し て い る 。 し か し 、 そ の と き に 与 え て い る 電 子 の 数 は 6 個 で あ る 。 こ う し た 多 点 結 合 は 金 属 有 機 化 学 の 特 徴 で あ る と い え る 。 ベ ン ゼ ン 環 の ほ か に シ ク ロ ペ ン タ ジ エ ニ ル 、 ア リ ル が 良 く あ ら わ れ る の で 、 記 憶 し て お く と 良 い 。 さ て 、CO と 金 属 は ど う い う 結 合 を し て い る の だ ろ う か ? 一 般 論 を 考 え て み よ う 。 CO の 酸 素 に も 電 子 が 2 コ あ っ て 、 結 合 が 作 る 可 能 性 が 有 る 。 電 気 陰 性 度 と し て は 、 酸 素 の 方 に 電 子 が 偏 っ て い る の で 、酸 素 が 配 意 し て も 良 い 様 に 感 じ る が 、CO は 必 ず 炭 素 が 金 属 に 配 位 す る 。 こ れ は 、SP 混 成 し て 、 CO に 三 重 結 合 を 作 る と 考 え る と 酸
素 の 余 分 な 電 子 が 一 個 C に い っ て 、 結 合 を 作 っ た と 考 え れ ば 納 得 で き る 。 さ て 、 こ の と き に 、
このときに
d 軌道に電子が存在すると、π空軌道へ向かって、d 軌道から逆配位がおこ
る。これをバックドネーションとよび、
CO が配位した後期遷移金属化合物では良くお
こる。
この二つが有機金属ならではの物であり、良く覚えておくこと。
有機金属の反応
有機化合物と同様、求核置換、求電子置換、脱離などが起きるが、有機金属ならでは
の物もある。
すなわち、
酸化的付加・還元的脱離
β脱離
転移挿入
トランスメタレーションである。
以下にそれぞれを説明する。
酸化的付加・還元的脱離
遷移金属が
18 電子を満たしていなければ、配位不飽和の状態にある。ここに、X-Y と
いう有機物がやってくると、X-Y がイオンとして解裂し、プラスのイオンに遷移金属
から
2 個電子が流れ、遷移金属が酸化される。その後、二つのマイナスイオンが付加
することで、結合が生じ、遷移金属は
18 電子になりあんていかする。
Ir Ph3P Ph3P Cl CO