固定 化 菌 に よる重 金 属 イオ ン存 在 下 の フ ェ ノー ル の微 生 物 分 解
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(2) 種 類 の菌 か ら成 る活 性 汚 泥 等 の 混 合 培 養 よ りも効 果 的 と. 高 分 子 含 有 量,フ. ェ ノー ル 濃 度 な どの 測 定 に用 い た 。. 思 わ れ る。 大 腸 菌 や 酵 母 な どの 微 生 物 の 培 養 で は培 地 中 に重 金 属 イ オ ンが 存 在 す る と菌 の 増 殖 と基 質 の 分 解 が 著. 2.4分. し く阻 害 さ れ る こ とが 知 ら れ て い る4,5)。フ ェ ノ ー ル の. 析方法. 固 定 化 ゲ ル ビ ー ズ 中 の 菌 の 濃 度 は10meの. リ ン酸 緩 衝. 微 生 物 分 解 の 研 究6‑11)は従 来 か ら非 常 に数 多 く行 わ れ て. 液(39/eKH2PO4と79/eK2HPO4か. き たが,菌 の 増 殖 を阻 害 す る重 金 属 イ オ ンが 存 在 した と. し た 後 に 測 定 し た 。 菌 体 光 学 密 度 は 吸 光 度 計(島. きの フ ェ ノー ルの 微 生 物 分 解 に関 す る報 告 はほ と ん ど な. UV‑120)を. ら 成 る)中. 用 い て 波 長660nmで. で溶解 津 製. 測 定 し た。 総 菌 数 は サ. い 。 重 金 属 イ オ ン存 在 下 の フ ェ ノー ル の 微 生 物 分 解 にお. ン プ ル 液 を 菌 数 計 数 器(C.A.Hauser. け る菌 の 増 殖 阻 害 と フ ェ ノー ル 分 解 の 低 下 な どの 実 験 的. Hausser. 究 明 は フ ェ ノ ール 排 水 の 工 業 的 処 理 の た め の 重 要 な研 究. 鏡 に て 直 接 計 測 し,生. で あ る。 また,固 定 化 培 養 は 増 殖 の 阻 害 作 用 を軽 減 化 し. 菌 体 内 の 高 分 子 含 有 量 は5m4の. て高 濃 度 の 菌 に よ って フ ェ ノー ル の 処 理 効 率 を増 加 させ. 塩 素 酸 で 処 理 し た 後,DNAはBurtonの. る の で,固 定 化 培 養 に よ る重 金 属 イ オ ン存 在 下 の フ ェ. Mejbaumの. ノー ル 分 解 は 効 果 的 な 方 法 と して 期待 され る12,13)。. よ っ て 定 量 し た 。 フ ェ ノ ー ル 濃 度 は 高 速 液 体 ク ロ マ トグ. Helber. Counting. &. Son社. Chamber)に. のPetroff‑. 注 入 して 顕 微. 菌 数 は寒 天重 層 法 に よって計 測 した。. 方 法15),タ. サ ン プ ル 液 を0.5Nの. 過. 方 法14),RNAは. ン パ ク 質 はLowryの. 方 法16)に. ラ フ ィー に て 測 定 した 。. 本 論 文 で は,フ ェ ノー ル の微 生 物 分解 にお け る 菌 の 増 殖 と フ ェ ノー ル の 分 解 に及 ぼ す 重 金属 イ オ ンの 影 響 と固. 3.結. 定 化 培 養 に よ る効 果 を実験 的 に研 究 した 。 菌 の増 殖 阻 害 と死 滅 に及 ぼ す 重 金 属 イオ ンの 影響 を生 化学 的 に 明 らか にす る た め にDNA,RNA,タ. &. 果 と考 察. 3.1液. ンパ ク 質 な どの 菌 体 内 必. 体 培 養 の微 生 物増 殖 に及 ぼ す重 金 属 イ オ ン の 阻 害効 果. 須 物 質 の 合 成 阻 害 また は 分解 な どに つ い て検 討 した 。 さ. 重 金 属 イ オ ン存 在 下 の フェ ノ ー ル の分 解 に お け る 菌 の. らに,重 金属 イ オ ン存 在 下 に お け る フ ェ ノー ル を 迅 速 か. 増 殖 と基 質 の 分 解 の 動 的 挙 動 を実 験 的 に検 討 した 。Fig.. つ 高 効 率 で分 解 す る た め に 固定 化菌 に よ る 反復 回 分培 養. 1(a),(b)は. 種 々 の濃 度 の亜 鉛 イ オ ン(Zn2+)と. を行 った 。. ン(Cu2+)を. 添 加 した場 合 の 菌 体 光 学 密 度 と フ ェ ノ ール. 2.実. 濃 度 の経 時変 化 を示 す 。Fig.1(a)か. 験 方法. 2.1菌. イ オ ン濃 度 が20mg/eま. 株. 銅 イオ. らわ か る よ う に亜 鉛. では菌体光学 密度が一定値 に達. す る まで の 時 間 が フ ェ ノ ー ルが 完 全 に分 解 され る まで の. 本 研 究 で は,藤 Acinetobacter. 時 間 に ほ ぼ一 致 し,そ れ ぞ れ の 時 間 が亜 鉛 イ オ ン濃 度 の. 田 正 憲 大 阪 大 学 教 授 か ら提 供 さ れ た. calcoaceticus. 運 動 性,約2μm)6,7)を. AH株(グ. ラ ム 陰 性 桿 菌,非. 増 加 と と もに増 加 した こ とか らフ ェ ノ ー ル分 解 菌 に対 す る亜 鉛 イオ ンの増 殖 阻 害効 果 が 明 らか に な った 。25mg/e. フ ェ ノ ール 分 解 菌 と して用 い た 。. の よ うに高 濃 度 の亜 鉛 イ オ ンの 場 合 に は,菌 の増 殖 と基 2.2固. 定化方法. 0.059の (1の. 質 の 分 解 は観 察 さ れ な か っ た 。Fig.1(b)に. 微 生 物 を39/eの. に 懸 濁 し,混. mol/eのCaCl2溶. に銅 イ オ ンを添 加 した場 合 に は亜 鉛 イ オ ンを添 加 した場. 合 液 を 穏 や か に 攪 拌 さ れ て い る0.1. 合 よ り も強 い増 殖 阻害 効 果 が著 し くな り,銅 イ オ ン濃 度 が0.5mg/eの. 液 に滴 下 した。 菌 が 固 定 化 され た ア ル. ギ ン 酸 カ ル シ ウ ム ゲ ル ビ ー ズ の 実 径 は 約4mmで ゲ ル ビ ー ズ1個. 示 したよ う. ア ル ギ ン酸 ナ ト リ ウ ム 溶 液. 全 く起 らな か っ た 。 ま た,重 金 属 イ オ ン濃 度 の増 加 と と. あ り,. 当 た り の 微 生 物 量 は 約1.67×10‑6gで. よ うに低 濃 度 で も菌 の 増 殖 と基 質 の分 解 は. あっ. もに最 大 菌 体 光 学 密 度 が小 さ くな っ た の で,重 金 属 イ オ ンの添 加 に よ り生 菌 数 が低 下 す る とい え る。 以 上 の こ と. た。. か ら,フ ェ ノ ー ル分 解 菌 の増 殖 は亜 鉛 イ オ ンや 銅 イ オ ン 2.3培. 養方法. 菌 は0.1g/eフ. な ど の重 金 属 イ オ ンの添 加 に よ り阻害 さ れ る こ と と銅 イ オ ンの 阻害 効 果 は亜 鉛 イ オ ンよ り も非 常 に大 きい こ とが. ェ ノ ー ル,1.0g/e(NH4)2SO4,0.02g/e. KH2PO4,0.2g/eMgSO4・7H2O,1.0g/eCaCl2を 地1eで. 培 養 し た 。 種 々 の 濃 度 のZnSO4やCuSO4を. す る こ と に よ っ て 培 地 中 の 亜 鉛 イ オ ン(Zn2+)や ン(Cu2+)な. わか っ た。. 含 む培. Fig.2は 重 金 属 イ オ ン濃 度 が 高 い 場 合 の フ ェ ノ ー ル の. 添加. 微 生 物 分 解 に お け る菌 体 光 学 密 度,フ. 銅イオ. どの 重 金 属 イ オ ンの 濃 度 を調 製 し た。 培 地. に 添 加 さ れ た 固 定 化 ゲ ル ビ ー ズ の 全 容 積 は50meで. あっ. イ オ ン を30mg/e添. た 。 培 養 は2e容. 回転. に よ り菌 体 光 学 密 度,フ. 三 角 フ ラ ス コ を 用 い て100rpmの. 数 の 下 で37℃,pH7.8で. は 変 化 せ ず,培. 行 っ た 。サ ン プ ル 液(2〜3mの. を 一 時 間 毎 に 培 養 液 か ら抜 き 取 り,菌 体 光 学 密 度,菌. ェ ノ ー ル濃 度,総. 菌 数 と生 菌 数 の経 時 変 化 を示 す 。Fig.2(a)の. 数,. よ う に亜 鉛. 加 した場 合,亜 鉛 イ オ ンの 阻害 作 用 ェ ノ ー ル濃度,総. 養 時 間10h後. 菌 数 と生 菌 数. も一 定 値 を保 っ た ま ま で. あ っ た。 総 菌 数 と生 菌 数 の値 が ほ ぼ等 し くな っ た こ と か. 582.
(3) 環 境 化 学Vol.9,No.3[1999]. Fig.. 1. Time. courses. and. phenol. microbial heavy. of. optical. density. concentration, degradation. metal. of. of cells, Cs,. phenol. in. X, Fig.. the. with. 2. Time. a. Nt,. ion. a: zinc ion, b: copper. courses. phenol and. microbial. ion. viable. optical. concentration. cell. of heavey. a: 30mg/ e. は死 滅 しな い 。Fig.2(b)の. ion. density Cs, total. degradation. ら,亜 鉛 イ オ ンの添 加 に よっ て菌 の増 殖 は停 止 して も菌 よ う に銅 イ オ ン を0.5mg/e添. of. concentration,. of zinc. of cells, cell. number,. Na,. of phenol. with. metal. X,. number, in. the. a high. ion. ion, b: 0.5mg/e. of copper. 加 した場 合,総 菌 数 は 一定 値 の ま ま生 菌 数 の み が急 激 に 減 少 した。 この結 果,銅. イ オ ンを添 加 す る と菌 が完 全 に. ほ ぼ0.001に 達 した 。菌1個. 死 滅 す る こ とが わ か っ た。 Fig.3(a),(b)は mg/eの. そ れ ぞ れ30mg/eの. 当 た りのDNAと. 亜 鉛 イ オ ン と0.5. RNAの. 銅 イ オ ン を 添 加 した場 合 の フ ェ ノー ル の微 生 物. 含 有 量 は 銅 イ オ ン添 加 時 の9×10‑11mg/cellか. 徐 々 に減 少 して 培 養 時 間3.5hで7×10‑11mg/cellに. 分 解 に お け る生 菌 率(生 菌 数/総 菌 数)と 菌 体 内高 分 子. た 。 以 上 の 結 果,菌. 含 有 量 の経 時変 化 を示 す 。 重 金属 イ オ ン添 加 前 の菌 はす. の 含 有 量 は 変 化 しな い が,RNAの. べ て生 菌 で あ り,生 菌 率 は1で あ っ た 。Fig .3(a)に 示 す. とが わ か っ た 。. よ うに亜 鉛 イ オ ンを添 加 した場 合 に は生 菌 率 と菌1個 りのDNA,RNA,タ. タ ンパ ク質. の 含 有 量 は 銅 イ オ ン を添 加 して も変 化 しな か っ た が,. 当. の 死 滅 に よ っ てDNAと. ら なっ. タ ンパ ク 質. 含有量 は減少す る こ. Fig.4は 対 数 増殖 期 の 菌 に重 金 属 イ オ ン を添加 した時 の. ンパ ク質 の 含有 量 は ほ ぼ 一定 で あ っ. 単 位 生 菌 数 当 りの生 菌 数 変 化 速度 μa{=(1/N、)(dNa/dt)}. た こ とか ら,亜 鉛 イ オ ンを添 加 して も生 菌 率 や 菌 体 内高. を重 金 属 イ オ ン濃 度 に対 して プ ロ ッ トして い る。 μ、が. 分 子 の 含 有 量 は ほ と ん ど変 化 し な い こ と が わ か っ た 。. 正 の 値 の 時 に は増 殖 は 阻 害 され るが 生 菌 数 は増 加 し,μ 、. Fig.3(b)に. 示 す よ う に 銅 イ オ ン を添 加 し た場 合 に は生. が 負 の値 の 時 に は増 殖 が 阻害 され る だ け で な く菌 の死 滅. 菌 率 は培 養 開始 直 後 か ら急 激 に減 少 し,培 養 時 間3.5hで. に よっ て生 菌数 が 減少 す る こ とを示す 。 亜鉛 イ オ ンを添 加. 583.
(4) Fig.. 3. Time. courses. number. to. content MR,. per protein. microbial. of total cell,. MD,. RNA. of of. of heavy. zinc. viable. cell. ion,. cell, phenol. metal b:. Fig.. DNA. content. per. degradation. 30mg/e. of number, ƒÓ,. content. concentration a:. ratio cell. per. of. in. with. a high. metal rate. a: zinc ion, b: copper. the. 察 さ れ た ので,菌 of. heavy change. ion of. concentration. viable. cell. on. number,. cell,. MP,. ion. の増 殖 阻害 や 死 滅 に及 ぼす 重 金 属 イ オ. ン濃 度 の影 響 は重 金 属 イ オ ンの種 類 に よ っ て著 し く変 化. copper. ion. す る と思 わ れ る 。. した 場 合 に は μaの値 は亜 鉛 イ オ ン濃 度 の 増 加 と もに 減 少 し,25mg/eの. Effect specific. ion. 0.5mg/e. 4. 3.2液. 亜 鉛 イ オ ン濃 度 で0に な っ た 。25mg/e. 体 培 養 と固 定 化 培 養 の比 較. Fig.5(a),(b)は. そ れ ぞ れ25mg/eの. 亜 鉛 イ オ ン と0.3. 以 上 の亜 鉛 イ オ ン濃度 で も μaの値 が 負 に な ら な か っ た. mg/eの. こ とか ら,亜 鉛 イ オ ンは菌 の増 殖 を停 止 す る が,菌 を死. お け る菌 体 光 学 密 度 と フ ェ ノ ー ル 濃 度 の 経 時 変 化 を 示. 滅 させ る こ とは な い と言 え る 。 銅 イ オ ンを添 加 した場 合. す 。 液 体培 養 で は亜 鉛 イ オ ンお よび銅 イ オ ンの含 有 と も. に は μ、の 値 は銅 イ オ ン濃 度 の 増 加 と と も に急 激 に 減 少. に菌 の増 殖 と基 質 の分 解 は重 金 属 イ オ ンに よる 阻 害作 用. し,0.3mg/eの. に よっ て全 く起 らな か った 。 固定 化 培 養 で は菌 体 光学 密. 銅 イ オ ン濃 度 で0に 達 した 後,0.3mg/e. 銅 イ オ ンの 存 在 下 の フ ェ ノ ー ル の 微 生 物 分 解 に. 以 上 の 銅 イオ ン濃 度 で は負 の値 に な っ た 。 これ は銅 イ オ. 度 は重 金属 イ オ ンの存 在 下 で基 質 の分 解 と と もに増 加 し. ン濃 度 の 増加 と と もに 菌 の増 殖 阻 害 の み が起 こ る場 合 か. て最 終 的 に一 定値 に 達 した 。 固定 化 培 養 で は重 金 属 イ オ. ら菌 の 死 滅 が 起 こる 場 合 に移 行 す る こ と を示 して い る 。. ンが ゲ ル ビー ズ に 吸着 した りカ ル シ ウ ム イ オ ン と置換 す. 亜 鉛 イ オ ンの 場 合 に は 菌 の増 殖 阻 害 だ け で あ っ た が,銅. る た め に17),ゲ ル ビー ズ 内 部 の 菌 が 重 金 属 イ オ ンの 阻 害. イ オ ンの 場 合 には 菌 の 増殖 阻害 だ け で な く菌 の死 滅 が観. 作 用 を受 け る こ と な く フ ェ ノ ー ル を分 解 した と思 わ れ. 584.
(5) 環 境 化 学Vol。9,No.3[1999]. Fig.. Fig.. 5. Comparison. between. the immobilized degradation. cell of. the. liquid. culture. phenol. with. culture. and. Comparison the. in the microbial a heavy. 6. heavy. metal. a:. a: 30mg/e. of zinc. ion, b: 0.5mg/e. metal. growth. ion. between. immobilized. the cell. ion. culture. concentration. liquid. culture in. the on. and. effect. of. specific. rate, ƒÊ zinc. ion,. b:. copper. ion. of copper. フ ェ ノ ー ル は 分 解 さ れ な か っ た。 固 定 化 培 養 で は. ion. 0.5mg/eの 銅 イ オ ン を含 む フ ェ ノ ー ル で も分 解 され た 。 る 。 以 上 の 結 果,固 定 化培 養 は 液体 培 養 に 比べ て 重 金属. 低 濃 度 の亜 鉛 イ オ ンや銅 イ オ ンの存 在 下 の フ ェ ノ ー ル は. イ オ ン存 在 下 の フ ェ ノ ー ル 分解 に有 効 な培 養 方 法 とわ. 液 体培 養 で も分解 され た が,固 定 化 培 養 の比 増 殖 速 度 は. かった。. 液 体培 養 に 比べ て非 常 に大 き くな っ た の で,固 定 化 培 養. Fig.6(a),(b)は. そ れ ぞ れ比 増 殖 速 度 に及 ぼす 亜 鉛 イ. は 比較 的 高 い濃 度 の重 金属 イ オ ン存 在 下 の フ ェ ノ ー ル を. オ ン濃 度 と銅 イ オ ン濃 度 の影 響 を示 す 。 液 体培 養 の比 増. 迅 速 に分 解 す る た め の有 効 な培 養 と言 え る。. 殖 速 度 は 亜 鉛 イ オ ン の 増 加 と と も に急 激 に 減 少 し て 25mg/eで0に. な っ た の で,液 体 培 養 で は25mg/e以. 上の. 3.3固. 亜 鉛 イ オ ン を含 む フ ェ ノ ー ル は分 解 さ れ な か っ た 。 固定 化 培 養 の 比 増 殖 速 度 は 亜 鉛 イ オ ン濃 度 の 増 加 と と もに 徐 々 に減少 して50mg/eの. Fig.7は30mg/eの. 亜鉛 イ オ ン濃 度 の とき約0。25h‑1. に な っ た こ と か ら,固 定 化 培 養 は50mg/e以. 定 化 菌 を用 い た反 復 回 分 培 養 に よ る フ ェノ ー ル の分 解. 上の亜鉛 イ. 亜 鉛 イ オ ン存 在 下 で フ ェ ノ ー ル を. 固定 化 菌 に よっ て反 復 回分 培 養 を行 っ た時 の 菌 体 光 学 密 度 とフ ェ ノ ー ル濃 度 の経 時 変 化 を示 す 。 反 復 回 分 培 養 は. オ ンを含 む フ ェ ノ ー ル で も分 解 され る こ とが わ か っ た。. 初 期 濃 度100mg/eの. 銅 イ オ ンの場 合 に は液 体 培 養 の比 増 殖 速 度 は銅 イ オ ン濃. 培 養 液 の み を抜 き取 っ て同 量 の 新 鮮 培 地 に入 れ 換 え る こ. 度 の増 加 と と も に急 激 に減 少 して0.3mg/eで0と. と に よ っ て行 わ れた 。 固 定 化 菌 を用 い た 回 分培 養 が10回. の で,液 体培 養 で は0.3mg/e以. なった. 上 の 銅 イ オ ン濃 度 を含 む. フ ェ ノー ル が 完 全 に 消 費 され た 後 に. く り返 して実 験 され,フ. 585. ェ ノ ール が ほ ぼ 完 全 に分解 され.
(6) 11. 響 が 回分 培 養 に お い て 菌体 光 学 密 度,総 菌 数,生 菌 数 と 細 胞1個. 当 た りの高 分 子 含 有 量 を測 定 す る こ とに よ っ て. 検 討 され た 。比 増 殖 速 度 や生 菌 数変 化 速 度 に及 ぼす 重 金 属 イ オ ン濃 度 の 影響 が 明 らか に され,銅 イ オ ンの 阻害 効 果 は 亜鉛 イ オ ン よ り も非常 に強 い こ と と銅 イ オ ンは菌 の 増 殖 阻 害 だ け で な く菌 の死 滅 も引 き起 こ す こ とが わ か っ た 。 菌 の担 体 と して ア ル ギ ン酸 カ ル シ ウ ム の ゲ ル ビー ズ を用 い た 固定 化 培 養 は 従 来 まで の液 体 培 養 よ り も高濃 度 の重 金 属 イ オ ン存 在 下 の フェ ノ ー ル を迅 速 か つ高 効率 で 分解 で きた 。 固 定化 菌 を用 い た 反復 回分 培 養 は10回 の 回 分 培 養 の 間30mg/lの. 亜 鉛 イ オ ン を含 む100mg/lの. フェ. ノー ル を逐 次 的 に 分解 で き,重 金属 イ オ ン存 在 下 の フェ ノー ル の 効 果 的 処 理へ の 適 用 を 可 能 と した 。 Fig.. 7. Microbial. degradation. presence. of. repeated. batch. of. 30mg/e culture. of. phenol zinc. using. ion. in. the. 文. by. the. 1). 公 害 防 止 技 術 と 法 規 編 集 委 員 会:公 [水 質 編],. pp243‑300,丸. 善,東. 2). 大 木 道 則,大. 沢 利 昭,田. 中 元 治,千. 献. immobilized. cells. 典, 3). る こ とが 確 め られ た。 菌 体 光 学 密 度 の 増 加 と フ ェ ノ ール の分 解 が 比 較 的 迅 速 に行 われ た 固 定 化 菌 に よ る反 復 回 分. 4). 培 養 の結 果 か ら,重 金 属 イ オ ン存 在 下 の フ ェ ノー ルの 連 続 的 分 解 の 可 能 性 が 示 唆 され た 。 4.ま. とめ. 5). 液 体 培 養 と 固定 化 培 養 を用 い て重 金 属 イ オ ン存 在 下 の. (1)液 体 培 養 にお い て,菌 の 増 殖 と基 質 の 分 解 に及 ぼす 重 金 属 イ オ ン の影 響 は著 し く,亜 鉛 イ オ ンは菌 の 増 殖 を. 報 堂 出 版,東. 高 麗 寛 紀,武. 市 一 孝,岡. 亜 鉛 イ オ ン ま た は0.3mg/eの. 橋本. 奨,藤. (1993). 野. 滋:微. 夏 敏 郎,芝. 崎. 酵 工 学 会 誌,. 50,. 生物に及ぼす有. 学 工 学 論 文 集,. 田 正 憲:活. 6,. 79‑86. (1980). 性 汚 泥 よ り分 離 し た3種. の. フ ェ ノ ー ル 分 解 菌 の 同 定 と そ の 性 質 に つ い て,下. 水. 橋 本. 24,. 奨,岩. 学 会 誌,. 27‑33. (1987). 堀 恵 祐,岩. 70,. 上 昭 夫Acinetobacter. の フ ェ ノ ー ル 分 解 活 性,醗. 267‑271. 酵工. (1992). 銅. 8) Yang, R.D. and Humphrey, A.E.: Dynamic and steady state studies of phenol biodegradation in. タ ンパ ク 質 の 含. pure and mixed culture. Biotechnol. Bioeng., 17, 1211-1235 (1975). 銅 イ オ ンを含 む フ ェ ノ ー ル を全 く分 解 で きな か っ た が, 亜 鉛 イ オ ン ま た は0.5mg/eの. イ オ ン を含 む フェ ノ ー ル も分 解 で きた 。 (3)菌 の 死 滅 に よ っ て 菌 体 内 のDNAや. 9) Jung, J., Sanji, B., Godbole, S., and Sofer, S.: Biodegradation of phenol. J. Chem. Tech. Biotechnol.,. 含 有 量 は減 少 した 。. (4)固 定化 培 養 の 比増 殖 速 度 は液 体 培 養 と比 べ て非 常 に. 56, 73-76 (1993) 10) Yanase, H., Zuzan, K, Kita, K., Sogabe, S. and Kato,. 高 く,固 定 化培 養 で は 重 金属 イ オ ン存 在 下 に お け る フェ ノー ル が 迅 速 か つ 高 効 率 で 分解 され た 。. N.: Degradation of phenols by thermophilic and halophilic bacteria isolated from a marine brine. (5)固 定化 菌 を用 い た 反復 回分 培 養 は重 金 属 イ オ ン存 在 下 の フ ェ ノー ル 分 解 に 効 果 的 で あ り,フ ェ ノー ル排 水 の 工 業 的 処 理 の た め の 基礎 的 デ ー タ を提 供 した 。. sample. J. Ferment. Bioeng., 74, 297-300 (1992) ) 平 山 け い 子,飛. 約. フ ェ ノ ー ル 分 解 微 生 物,Acinetobacter. 京. (1972) 田 達 郎,久. 学辞. (1994). 崎 光 雄,江. 34‑40. calcoaceticus AH株. 滅 も引 き起 こ した。. 有量 は 変化 しな か っ た が,RNAの. 京. 機 金 属 化 合 物 の 抗 菌 性,醗. 丁 子 哲 冶,沢. (1987) 原 秀 昭:化. 境 微 生 物 工 学 研 究 法,. 勲:有. 道 協 会 誌, 7). 停 止 す る の に対 して銅 イ オ ン は菌 の増 殖 の 阻害 と菌 の死. 要. pp263‑266,技. す る 影 響 の 解 析,化 6). 用 と菌 の 固定 化 培 養 の 有 効 性 を実 験 的 に検 討 した。. 固 定 化 培 養 は50mg/eの. 京 化 学 同 人,東. 京. 機 な ら び に重 金 属 化 合 物 の 増 殖 阻 害 お よ び死 滅 に関. フ ェ ノ ー ルの 微 生 物 分 解 を行 い,重 金 属 イ オ ンの 阻害 作. (2)液 体 培 養 は25mg/eの. pp1201,東. 土 木 学 会 衛 生 工 学 委 員 会:環. 害 技 術 と法 規. 田 修 作,平. 山 公 明:Rhodotorula属. 酵. 母 に よ る フ ェ ノー ル お よび モ ノ ク ロ ロ フェ ノー ル の calcoaceticus AH. 分 解,水 12). 株 に及 ぼす 亜 鉛 イ オ ン と銅 イオ ンの 増 殖 阻 害 と死 滅 の 影. 586. 戸 田. 処 理 技 術, 清:固. 33,. 551‑555. 定 化 と は,水. (1992). 質 汚 濁 研 究,. 9,. 680‑683.
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