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固定 化 菌 に よる重 金 属 イオ ン存 在 下 の フ ェ ノー ル の微 生 物 分 解

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(1)報. 文 [環 境 化 学(Journal. of. Environmental. Chemistry)Vol.9,No.3,pp.581‑587,1999]. 固定 化 菌 に よる重 金 属 イオ ン存 在 下 の フ ェ ノー ル の微 生 物 分 解 中村. 嘉 利,沢 田. 達郎,小 森. 金 沢 大 学 工 学 部(〒920‑8667石 *石 川 県 保 健 環 境 セ ン タ ー(〒920‑1154石. 川 県 金 沢 市 小 立 野2‑40) 川 県 金 沢 市 太 陽 ヶ丘1‑11). [平成11年2月18日. Microbial. Degradation. of by. Yoshitoshi. Phenol. in. the. Immobilized. NAKAMURA,. Tatsuro. 正樹*. 受 理]. Presence. Bacterial SAWADA. of Heavy. and. Masaaki. Ion. KOMORI*. Faculty of Engineering, Kanazawa University (2-40 Kodatsuno, Kanazawa, Ishikawa 920-8667) *Ishikawa Prefectural Institute of Public Health and Environmental 1-11 Taiyougaoka,. Metal. Cells. Science. Kanazawa, Ishikawa 920-1154). [Received February. 18, 1999]. Summary. The growth-inhibitory and lethal effects of zinc ion and copper ion on a phenol-degrading microorganism, Acinetobacter calcoaceticus AH strain, was examined by measuring optical density of cells, total cell number, viable cell number and macromolecule contents per cell in a batch culture. The effects of heavy metal ion concentrations on the specific growth rate and the specific change rate of viable cell number were clarified, suggesting that the inhibitory effect of copper ion was stronger than that of zinc ion and the copper ion caused not only the growth-inhibition but also the death of cells. The immobilized cell culture using alginate calcium gel beads as a carrier of cells was more effective for degrading phenol in the presence of a higher concentration of heavy metal ion rather than the conventional liquid culture. The repeated batch culture using immobilized cells could degrade 100 mg/l phenol containing 30 mg/l zinc ion for 10 batch cultures and therefore provided the attention toward the applications the effective degradation of phenol in the presence of heavy metal ion. Key. words:. immobilized. cell. culture,. phenol. degradation,. zinc. ion,. copper. ion,. heavy. of in. metal. ion る1・2)。 フ ェ ノ ー ル は 微 生 物 に と っ て 有 毒 で あ る が,数 1.は. じめ に. 種 の 微 生 物 は 唯 一 の 炭 素 源 や エ ネ ル ギ ー 源 と して フ ェ. 製鉄 工 場 や化 学 工 場 な どか ら排 出 さ れ る フ ェ ノ ー ル は. ノ ー ル を利 用 す る こ とが で きる3)。 フェ ノー ル を含 む排. 水 に可 溶 な毒 性 の強 い難 分 解 性 有 機 物 で あ り,十 分 に処. 水 を迅 速 か つ高 効 率 で分 解 す る ため に は,最 も速 い 比 増. 理 され な い ま まの放 出 は河 川 な どの水 質汚 濁 の原 因 に な. 殖 速 度 で生 育 で きる フ ェ ノ ー ル分 解 菌 を用 い た培 養 が 多. 581.

(2) 種 類 の菌 か ら成 る活 性 汚 泥 等 の 混 合 培 養 よ りも効 果 的 と. 高 分 子 含 有 量,フ. ェ ノー ル 濃 度 な どの 測 定 に用 い た 。. 思 わ れ る。 大 腸 菌 や 酵 母 な どの 微 生 物 の 培 養 で は培 地 中 に重 金 属 イ オ ンが 存 在 す る と菌 の 増 殖 と基 質 の 分 解 が 著. 2.4分. し く阻 害 さ れ る こ とが 知 ら れ て い る4,5)。フ ェ ノ ー ル の. 析方法. 固 定 化 ゲ ル ビ ー ズ 中 の 菌 の 濃 度 は10meの. リ ン酸 緩 衝. 微 生 物 分 解 の 研 究6‑11)は従 来 か ら非 常 に数 多 く行 わ れ て. 液(39/eKH2PO4と79/eK2HPO4か. き たが,菌 の 増 殖 を阻 害 す る重 金 属 イ オ ンが 存 在 した と. し た 後 に 測 定 し た 。 菌 体 光 学 密 度 は 吸 光 度 計(島. きの フ ェ ノー ルの 微 生 物 分 解 に関 す る報 告 はほ と ん ど な. UV‑120)を. ら 成 る)中. 用 い て 波 長660nmで. で溶解 津 製. 測 定 し た。 総 菌 数 は サ. い 。 重 金 属 イ オ ン存 在 下 の フ ェ ノー ル の 微 生 物 分 解 にお. ン プ ル 液 を 菌 数 計 数 器(C.A.Hauser. け る菌 の 増 殖 阻 害 と フ ェ ノー ル 分 解 の 低 下 な どの 実 験 的. Hausser. 究 明 は フ ェ ノ ール 排 水 の 工 業 的 処 理 の た め の 重 要 な研 究. 鏡 に て 直 接 計 測 し,生. で あ る。 また,固 定 化 培 養 は 増 殖 の 阻 害 作 用 を軽 減 化 し. 菌 体 内 の 高 分 子 含 有 量 は5m4の. て高 濃 度 の 菌 に よ って フ ェ ノー ル の 処 理 効 率 を増 加 させ. 塩 素 酸 で 処 理 し た 後,DNAはBurtonの. る の で,固 定 化 培 養 に よ る重 金 属 イ オ ン存 在 下 の フ ェ. Mejbaumの. ノー ル 分 解 は 効 果 的 な 方 法 と して 期待 され る12,13)。. よ っ て 定 量 し た 。 フ ェ ノ ー ル 濃 度 は 高 速 液 体 ク ロ マ トグ. Helber. Counting. &. Son社. Chamber)に. のPetroff‑. 注 入 して 顕 微. 菌 数 は寒 天重 層 法 に よって計 測 した。. 方 法15),タ. サ ン プ ル 液 を0.5Nの. 過. 方 法14),RNAは. ン パ ク 質 はLowryの. 方 法16)に. ラ フ ィー に て 測 定 した 。. 本 論 文 で は,フ ェ ノー ル の微 生 物 分解 にお け る 菌 の 増 殖 と フ ェ ノー ル の 分 解 に及 ぼ す 重 金属 イ オ ンの 影 響 と固. 3.結. 定 化 培 養 に よ る効 果 を実験 的 に研 究 した 。 菌 の増 殖 阻 害 と死 滅 に及 ぼ す 重 金 属 イオ ンの 影響 を生 化学 的 に 明 らか にす る た め にDNA,RNA,タ. &. 果 と考 察. 3.1液. ンパ ク 質 な どの 菌 体 内 必. 体 培 養 の微 生 物増 殖 に及 ぼ す重 金 属 イ オ ン の 阻 害効 果. 須 物 質 の 合 成 阻 害 また は 分解 な どに つ い て検 討 した 。 さ. 重 金 属 イ オ ン存 在 下 の フェ ノ ー ル の分 解 に お け る 菌 の. らに,重 金属 イ オ ン存 在 下 に お け る フ ェ ノー ル を 迅 速 か. 増 殖 と基 質 の 分 解 の 動 的 挙 動 を実 験 的 に検 討 した 。Fig.. つ 高 効 率 で分 解 す る た め に 固定 化菌 に よ る 反復 回 分培 養. 1(a),(b)は. 種 々 の濃 度 の亜 鉛 イ オ ン(Zn2+)と. を行 った 。. ン(Cu2+)を. 添 加 した場 合 の 菌 体 光 学 密 度 と フ ェ ノ ール. 2.実. 濃 度 の経 時変 化 を示 す 。Fig.1(a)か. 験 方法. 2.1菌. イ オ ン濃 度 が20mg/eま. 株. 銅 イオ. らわ か る よ う に亜 鉛. では菌体光学 密度が一定値 に達. す る まで の 時 間 が フ ェ ノ ー ルが 完 全 に分 解 され る まで の. 本 研 究 で は,藤 Acinetobacter. 時 間 に ほ ぼ一 致 し,そ れ ぞ れ の 時 間 が亜 鉛 イ オ ン濃 度 の. 田 正 憲 大 阪 大 学 教 授 か ら提 供 さ れ た. calcoaceticus. 運 動 性,約2μm)6,7)を. AH株(グ. ラ ム 陰 性 桿 菌,非. 増 加 と と もに増 加 した こ とか らフ ェ ノ ー ル分 解 菌 に対 す る亜 鉛 イオ ンの増 殖 阻 害効 果 が 明 らか に な った 。25mg/e. フ ェ ノ ール 分 解 菌 と して用 い た 。. の よ うに高 濃 度 の亜 鉛 イ オ ンの 場 合 に は,菌 の増 殖 と基 2.2固. 定化方法. 0.059の (1の. 質 の 分 解 は観 察 さ れ な か っ た 。Fig.1(b)に. 微 生 物 を39/eの. に 懸 濁 し,混. mol/eのCaCl2溶. に銅 イ オ ンを添 加 した場 合 に は亜 鉛 イ オ ンを添 加 した場. 合 液 を 穏 や か に 攪 拌 さ れ て い る0.1. 合 よ り も強 い増 殖 阻害 効 果 が著 し くな り,銅 イ オ ン濃 度 が0.5mg/eの. 液 に滴 下 した。 菌 が 固 定 化 され た ア ル. ギ ン 酸 カ ル シ ウ ム ゲ ル ビ ー ズ の 実 径 は 約4mmで ゲ ル ビ ー ズ1個. 示 したよ う. ア ル ギ ン酸 ナ ト リ ウ ム 溶 液. 全 く起 らな か っ た 。 ま た,重 金 属 イ オ ン濃 度 の増 加 と と. あ り,. 当 た り の 微 生 物 量 は 約1.67×10‑6gで. よ うに低 濃 度 で も菌 の 増 殖 と基 質 の分 解 は. あっ. もに最 大 菌 体 光 学 密 度 が小 さ くな っ た の で,重 金 属 イ オ ンの添 加 に よ り生 菌 数 が低 下 す る とい え る。 以 上 の こ と. た。. か ら,フ ェ ノ ー ル分 解 菌 の増 殖 は亜 鉛 イ オ ンや 銅 イ オ ン 2.3培. 養方法. 菌 は0.1g/eフ. な ど の重 金 属 イ オ ンの添 加 に よ り阻害 さ れ る こ と と銅 イ オ ンの 阻害 効 果 は亜 鉛 イ オ ンよ り も非 常 に大 きい こ とが. ェ ノ ー ル,1.0g/e(NH4)2SO4,0.02g/e. KH2PO4,0.2g/eMgSO4・7H2O,1.0g/eCaCl2を 地1eで. 培 養 し た 。 種 々 の 濃 度 のZnSO4やCuSO4を. す る こ と に よ っ て 培 地 中 の 亜 鉛 イ オ ン(Zn2+)や ン(Cu2+)な. わか っ た。. 含 む培. Fig.2は 重 金 属 イ オ ン濃 度 が 高 い 場 合 の フ ェ ノ ー ル の. 添加. 微 生 物 分 解 に お け る菌 体 光 学 密 度,フ. 銅イオ. どの 重 金 属 イ オ ンの 濃 度 を調 製 し た。 培 地. に 添 加 さ れ た 固 定 化 ゲ ル ビ ー ズ の 全 容 積 は50meで. あっ. イ オ ン を30mg/e添. た 。 培 養 は2e容. 回転. に よ り菌 体 光 学 密 度,フ. 三 角 フ ラ ス コ を 用 い て100rpmの. 数 の 下 で37℃,pH7.8で. は 変 化 せ ず,培. 行 っ た 。サ ン プ ル 液(2〜3mの. を 一 時 間 毎 に 培 養 液 か ら抜 き 取 り,菌 体 光 学 密 度,菌. ェ ノ ー ル濃 度,総. 菌 数 と生 菌 数 の経 時 変 化 を示 す 。Fig.2(a)の. 数,. よ う に亜 鉛. 加 した場 合,亜 鉛 イ オ ンの 阻害 作 用 ェ ノ ー ル濃度,総. 養 時 間10h後. 菌 数 と生 菌 数. も一 定 値 を保 っ た ま ま で. あ っ た。 総 菌 数 と生 菌 数 の値 が ほ ぼ等 し くな っ た こ と か. 582.

(3) 環 境 化 学Vol.9,No.3[1999]. Fig.. 1. Time. courses. and. phenol. microbial heavy. of. optical. density. concentration, degradation. metal. of. of cells, Cs,. phenol. in. X, Fig.. the. with. 2. Time. a. Nt,. ion. a: zinc ion, b: copper. courses. phenol and. microbial. ion. viable. optical. concentration. cell. of heavey. a: 30mg/ e. は死 滅 しな い 。Fig.2(b)の. ion. density Cs, total. degradation. ら,亜 鉛 イ オ ンの添 加 に よっ て菌 の増 殖 は停 止 して も菌 よ う に銅 イ オ ン を0.5mg/e添. of. concentration,. of zinc. of cells, cell. number,. Na,. of phenol. with. metal. X,. number, in. the. a high. ion. ion, b: 0.5mg/e. of copper. 加 した場 合,総 菌 数 は 一定 値 の ま ま生 菌 数 の み が急 激 に 減 少 した。 この結 果,銅. イ オ ンを添 加 す る と菌 が完 全 に. ほ ぼ0.001に 達 した 。菌1個. 死 滅 す る こ とが わ か っ た。 Fig.3(a),(b)は mg/eの. そ れ ぞ れ30mg/eの. 当 た りのDNAと. 亜 鉛 イ オ ン と0.5. RNAの. 銅 イ オ ン を 添 加 した場 合 の フ ェ ノー ル の微 生 物. 含 有 量 は 銅 イ オ ン添 加 時 の9×10‑11mg/cellか. 徐 々 に減 少 して 培 養 時 間3.5hで7×10‑11mg/cellに. 分 解 に お け る生 菌 率(生 菌 数/総 菌 数)と 菌 体 内高 分 子. た 。 以 上 の 結 果,菌. 含 有 量 の経 時変 化 を示 す 。 重 金属 イ オ ン添 加 前 の菌 はす. の 含 有 量 は 変 化 しな い が,RNAの. べ て生 菌 で あ り,生 菌 率 は1で あ っ た 。Fig .3(a)に 示 す. とが わ か っ た 。. よ うに亜 鉛 イ オ ンを添 加 した場 合 に は生 菌 率 と菌1個 りのDNA,RNA,タ. タ ンパ ク質. の 含 有 量 は 銅 イ オ ン を添 加 して も変 化 しな か っ た が,. 当. の 死 滅 に よ っ てDNAと. ら なっ. タ ンパ ク 質. 含有量 は減少す る こ. Fig.4は 対 数 増殖 期 の 菌 に重 金 属 イ オ ン を添加 した時 の. ンパ ク質 の 含有 量 は ほ ぼ 一定 で あ っ. 単 位 生 菌 数 当 りの生 菌 数 変 化 速度 μa{=(1/N、)(dNa/dt)}. た こ とか ら,亜 鉛 イ オ ンを添 加 して も生 菌 率 や 菌 体 内高. を重 金 属 イ オ ン濃 度 に対 して プ ロ ッ トして い る。 μ、が. 分 子 の 含 有 量 は ほ と ん ど変 化 し な い こ と が わ か っ た 。. 正 の 値 の 時 に は増 殖 は 阻 害 され るが 生 菌 数 は増 加 し,μ 、. Fig.3(b)に. 示 す よ う に 銅 イ オ ン を添 加 し た場 合 に は生. が 負 の値 の 時 に は増 殖 が 阻害 され る だ け で な く菌 の死 滅. 菌 率 は培 養 開始 直 後 か ら急 激 に減 少 し,培 養 時 間3.5hで. に よっ て生 菌数 が 減少 す る こ とを示す 。 亜鉛 イ オ ンを添 加. 583.

(4) Fig.. 3. Time. courses. number. to. content MR,. per protein. microbial. of total cell,. MD,. RNA. of of. of heavy. zinc. viable. cell. ion,. cell, phenol. metal b:. Fig.. DNA. content. per. degradation. 30mg/e. of number, ƒÓ,. content. concentration a:. ratio cell. per. of. in. with. a high. metal rate. a: zinc ion, b: copper. the. 察 さ れ た ので,菌 of. heavy change. ion of. concentration. viable. cell. on. number,. cell,. MP,. ion. の増 殖 阻害 や 死 滅 に及 ぼす 重 金 属 イ オ. ン濃 度 の影 響 は重 金 属 イ オ ンの種 類 に よ っ て著 し く変 化. copper. ion. す る と思 わ れ る 。. した 場 合 に は μaの値 は亜 鉛 イ オ ン濃 度 の 増 加 と もに 減 少 し,25mg/eの. Effect specific. ion. 0.5mg/e. 4. 3.2液. 亜 鉛 イ オ ン濃 度 で0に な っ た 。25mg/e. 体 培 養 と固 定 化 培 養 の比 較. Fig.5(a),(b)は. そ れ ぞ れ25mg/eの. 亜 鉛 イ オ ン と0.3. 以 上 の亜 鉛 イ オ ン濃度 で も μaの値 が 負 に な ら な か っ た. mg/eの. こ とか ら,亜 鉛 イ オ ンは菌 の増 殖 を停 止 す る が,菌 を死. お け る菌 体 光 学 密 度 と フ ェ ノ ー ル 濃 度 の 経 時 変 化 を 示. 滅 させ る こ とは な い と言 え る 。 銅 イ オ ンを添 加 した場 合. す 。 液 体培 養 で は亜 鉛 イ オ ンお よび銅 イ オ ンの含 有 と も. に は μ、の 値 は銅 イ オ ン濃 度 の 増 加 と と も に急 激 に 減 少. に菌 の増 殖 と基 質 の分 解 は重 金 属 イ オ ンに よる 阻 害作 用. し,0.3mg/eの. に よっ て全 く起 らな か った 。 固定 化 培 養 で は菌 体 光学 密. 銅 イ オ ン濃 度 で0に 達 した 後,0.3mg/e. 銅 イ オ ンの 存 在 下 の フ ェ ノ ー ル の 微 生 物 分 解 に. 以 上 の 銅 イオ ン濃 度 で は負 の値 に な っ た 。 これ は銅 イ オ. 度 は重 金属 イ オ ンの存 在 下 で基 質 の分 解 と と もに増 加 し. ン濃 度 の 増加 と と もに 菌 の増 殖 阻 害 の み が起 こ る場 合 か. て最 終 的 に一 定値 に 達 した 。 固定 化 培 養 で は重 金 属 イ オ. ら菌 の 死 滅 が 起 こる 場 合 に移 行 す る こ と を示 して い る 。. ンが ゲ ル ビー ズ に 吸着 した りカ ル シ ウ ム イ オ ン と置換 す. 亜 鉛 イ オ ンの 場 合 に は 菌 の増 殖 阻 害 だ け で あ っ た が,銅. る た め に17),ゲ ル ビー ズ 内 部 の 菌 が 重 金 属 イ オ ンの 阻 害. イ オ ンの 場 合 には 菌 の 増殖 阻害 だ け で な く菌 の死 滅 が観. 作 用 を受 け る こ と な く フ ェ ノ ー ル を分 解 した と思 わ れ. 584.

(5) 環 境 化 学Vol。9,No.3[1999]. Fig.. Fig.. 5. Comparison. between. the immobilized degradation. cell of. the. liquid. culture. phenol. with. culture. and. Comparison the. in the microbial a heavy. 6. heavy. metal. a:. a: 30mg/e. of zinc. ion, b: 0.5mg/e. metal. growth. ion. between. immobilized. the cell. ion. culture. concentration. liquid. culture in. the on. and. effect. of. specific. rate, ƒÊ zinc. ion,. b:. copper. ion. of copper. フ ェ ノ ー ル は 分 解 さ れ な か っ た。 固 定 化 培 養 で は. ion. 0.5mg/eの 銅 イ オ ン を含 む フ ェ ノ ー ル で も分 解 され た 。 る 。 以 上 の 結 果,固 定 化培 養 は 液体 培 養 に 比べ て 重 金属. 低 濃 度 の亜 鉛 イ オ ンや銅 イ オ ンの存 在 下 の フ ェ ノ ー ル は. イ オ ン存 在 下 の フ ェ ノ ー ル 分解 に有 効 な培 養 方 法 とわ. 液 体培 養 で も分解 され た が,固 定 化 培 養 の比 増 殖 速 度 は. かった。. 液 体培 養 に 比べ て非 常 に大 き くな っ た の で,固 定 化 培 養. Fig.6(a),(b)は. そ れ ぞ れ比 増 殖 速 度 に及 ぼす 亜 鉛 イ. は 比較 的 高 い濃 度 の重 金属 イ オ ン存 在 下 の フ ェ ノ ー ル を. オ ン濃 度 と銅 イ オ ン濃 度 の影 響 を示 す 。 液 体培 養 の比 増. 迅 速 に分 解 す る た め の有 効 な培 養 と言 え る。. 殖 速 度 は 亜 鉛 イ オ ン の 増 加 と と も に急 激 に 減 少 し て 25mg/eで0に. な っ た の で,液 体 培 養 で は25mg/e以. 上の. 3.3固. 亜 鉛 イ オ ン を含 む フ ェ ノ ー ル は分 解 さ れ な か っ た 。 固定 化 培 養 の 比 増 殖 速 度 は 亜 鉛 イ オ ン濃 度 の 増 加 と と もに 徐 々 に減少 して50mg/eの. Fig.7は30mg/eの. 亜鉛 イ オ ン濃 度 の とき約0。25h‑1. に な っ た こ と か ら,固 定 化 培 養 は50mg/e以. 定 化 菌 を用 い た反 復 回 分 培 養 に よ る フ ェノ ー ル の分 解. 上の亜鉛 イ. 亜 鉛 イ オ ン存 在 下 で フ ェ ノ ー ル を. 固定 化 菌 に よっ て反 復 回分 培 養 を行 っ た時 の 菌 体 光 学 密 度 とフ ェ ノ ー ル濃 度 の経 時 変 化 を示 す 。 反 復 回 分 培 養 は. オ ンを含 む フ ェ ノ ー ル で も分 解 され る こ とが わ か っ た。. 初 期 濃 度100mg/eの. 銅 イ オ ンの場 合 に は液 体 培 養 の比 増 殖 速 度 は銅 イ オ ン濃. 培 養 液 の み を抜 き取 っ て同 量 の 新 鮮 培 地 に入 れ 換 え る こ. 度 の増 加 と と も に急 激 に減 少 して0.3mg/eで0と. と に よ っ て行 わ れた 。 固 定 化 菌 を用 い た 回 分培 養 が10回. の で,液 体培 養 で は0.3mg/e以. なった. 上 の 銅 イ オ ン濃 度 を含 む. フ ェ ノー ル が 完 全 に 消 費 され た 後 に. く り返 して実 験 され,フ. 585. ェ ノ ール が ほ ぼ 完 全 に分解 され.

(6) 11. 響 が 回分 培 養 に お い て 菌体 光 学 密 度,総 菌 数,生 菌 数 と 細 胞1個. 当 た りの高 分 子 含 有 量 を測 定 す る こ とに よ っ て. 検 討 され た 。比 増 殖 速 度 や生 菌 数変 化 速 度 に及 ぼす 重 金 属 イ オ ン濃 度 の 影響 が 明 らか に され,銅 イ オ ンの 阻害 効 果 は 亜鉛 イ オ ン よ り も非常 に強 い こ と と銅 イ オ ンは菌 の 増 殖 阻 害 だ け で な く菌 の死 滅 も引 き起 こ す こ とが わ か っ た 。 菌 の担 体 と して ア ル ギ ン酸 カ ル シ ウ ム の ゲ ル ビー ズ を用 い た 固定 化 培 養 は 従 来 まで の液 体 培 養 よ り も高濃 度 の重 金 属 イ オ ン存 在 下 の フェ ノ ー ル を迅 速 か つ高 効率 で 分解 で きた 。 固 定化 菌 を用 い た 反復 回分 培 養 は10回 の 回 分 培 養 の 間30mg/lの. 亜 鉛 イ オ ン を含 む100mg/lの. フェ. ノー ル を逐 次 的 に 分解 で き,重 金属 イ オ ン存 在 下 の フェ ノー ル の 効 果 的 処 理へ の 適 用 を 可 能 と した 。 Fig.. 7. Microbial. degradation. presence. of. repeated. batch. of. 30mg/e culture. of. phenol zinc. using. ion. in. the. 文. by. the. 1). 公 害 防 止 技 術 と 法 規 編 集 委 員 会:公 [水 質 編],. pp243‑300,丸. 善,東. 2). 大 木 道 則,大. 沢 利 昭,田. 中 元 治,千. 献. immobilized. cells. 典, 3). る こ とが 確 め られ た。 菌 体 光 学 密 度 の 増 加 と フ ェ ノ ール の分 解 が 比 較 的 迅 速 に行 われ た 固 定 化 菌 に よ る反 復 回 分. 4). 培 養 の結 果 か ら,重 金 属 イ オ ン存 在 下 の フ ェ ノー ルの 連 続 的 分 解 の 可 能 性 が 示 唆 され た 。 4.ま. とめ. 5). 液 体 培 養 と 固定 化 培 養 を用 い て重 金 属 イ オ ン存 在 下 の. (1)液 体 培 養 にお い て,菌 の 増 殖 と基 質 の 分 解 に及 ぼす 重 金 属 イ オ ン の影 響 は著 し く,亜 鉛 イ オ ンは菌 の 増 殖 を. 報 堂 出 版,東. 高 麗 寛 紀,武. 市 一 孝,岡. 亜 鉛 イ オ ン ま た は0.3mg/eの. 橋本. 奨,藤. (1993). 野. 滋:微. 夏 敏 郎,芝. 崎. 酵 工 学 会 誌,. 50,. 生物に及ぼす有. 学 工 学 論 文 集,. 田 正 憲:活. 6,. 79‑86. (1980). 性 汚 泥 よ り分 離 し た3種. の. フ ェ ノ ー ル 分 解 菌 の 同 定 と そ の 性 質 に つ い て,下. 水. 橋 本. 24,. 奨,岩. 学 会 誌,. 27‑33. (1987). 堀 恵 祐,岩. 70,. 上 昭 夫Acinetobacter. の フ ェ ノ ー ル 分 解 活 性,醗. 267‑271. 酵工. (1992). 銅. 8) Yang, R.D. and Humphrey, A.E.: Dynamic and steady state studies of phenol biodegradation in. タ ンパ ク 質 の 含. pure and mixed culture. Biotechnol. Bioeng., 17, 1211-1235 (1975). 銅 イ オ ンを含 む フ ェ ノ ー ル を全 く分 解 で きな か っ た が, 亜 鉛 イ オ ン ま た は0.5mg/eの. イ オ ン を含 む フェ ノ ー ル も分 解 で きた 。 (3)菌 の 死 滅 に よ っ て 菌 体 内 のDNAや. 9) Jung, J., Sanji, B., Godbole, S., and Sofer, S.: Biodegradation of phenol. J. Chem. Tech. Biotechnol.,. 含 有 量 は減 少 した 。. (4)固 定化 培 養 の 比増 殖 速 度 は液 体 培 養 と比 べ て非 常 に. 56, 73-76 (1993) 10) Yanase, H., Zuzan, K, Kita, K., Sogabe, S. and Kato,. 高 く,固 定 化培 養 で は 重 金属 イ オ ン存 在 下 に お け る フェ ノー ル が 迅 速 か つ 高 効 率 で 分解 され た 。. N.: Degradation of phenols by thermophilic and halophilic bacteria isolated from a marine brine. (5)固 定化 菌 を用 い た 反復 回分 培 養 は重 金 属 イ オ ン存 在 下 の フ ェ ノー ル 分 解 に 効 果 的 で あ り,フ ェ ノー ル排 水 の 工 業 的 処 理 の た め の 基礎 的 デ ー タ を提 供 した 。. sample. J. Ferment. Bioeng., 74, 297-300 (1992) ) 平 山 け い 子,飛. 約. フ ェ ノ ー ル 分 解 微 生 物,Acinetobacter. 京. (1972) 田 達 郎,久. 学辞. (1994). 崎 光 雄,江. 34‑40. calcoaceticus AH株. 滅 も引 き起 こ した。. 有量 は 変化 しな か っ た が,RNAの. 京. 機 金 属 化 合 物 の 抗 菌 性,醗. 丁 子 哲 冶,沢. (1987) 原 秀 昭:化. 境 微 生 物 工 学 研 究 法,. 勲:有. 道 協 会 誌, 7). 停 止 す る の に対 して銅 イ オ ン は菌 の増 殖 の 阻害 と菌 の死. 要. pp263‑266,技. す る 影 響 の 解 析,化 6). 用 と菌 の 固定 化 培 養 の 有 効 性 を実 験 的 に検 討 した。. 固 定 化 培 養 は50mg/eの. 京 化 学 同 人,東. 京. 機 な ら び に重 金 属 化 合 物 の 増 殖 阻 害 お よ び死 滅 に関. フ ェ ノ ー ルの 微 生 物 分 解 を行 い,重 金 属 イ オ ンの 阻害 作. (2)液 体 培 養 は25mg/eの. pp1201,東. 土 木 学 会 衛 生 工 学 委 員 会:環. 害 技 術 と法 規. 田 修 作,平. 山 公 明:Rhodotorula属. 酵. 母 に よ る フ ェ ノー ル お よび モ ノ ク ロ ロ フェ ノー ル の calcoaceticus AH. 分 解,水 12). 株 に及 ぼす 亜 鉛 イ オ ン と銅 イオ ンの 増 殖 阻 害 と死 滅 の 影. 586. 戸 田. 処 理 技 術, 清:固. 33,. 551‑555. 定 化 と は,水. (1992). 質 汚 濁 研 究,. 9,. 680‑683.

(7) 環 境 化 学. (1986) 13). 橋本. 奨:生. 点,水. 質 汚 濁 研 究,. 684‑689. No.3. [1999]. pentosemengen, insbesondere in derivaten der adenylsaure. Z. Physiol. Chem., 258, 117-120 (1939) 16) Lowry, O.H., Rosebrough, NJ., Farr, A.L. and Randall, R.J.: Protein measurement with the folin. 物 処 理 技 術 と微 生 物 固 定 化 技 術 の 問 題 9,. Vol.9,. (1986). 14) Burton, K.: A study of the conditions and mechanism of the diphenylamine reaction for the colorimetric estimation of deoxyribonucleic acid. Biochemical.J., 62, 315-323 (1956) 15) Mejbaum, W.: Uber die bestimmung kleiner. phenol reagent. J. Biol. Chem., 193, 265-275 (1951) 17) Jang, L.K., Lopez, S.L., Eastman, S.L. and Pryfogle, P.: Recovery of copper and cobalt by biopolymer gels. Biotechnol. Bioeng., 37, 266-273 (1991). 587.

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参照

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