96 (32) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
クロ キ ヒロ ユキ黒木宏之(昭和3
博士(医学) 丁丁1378号平成5年6月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
正常血糖クランプ法を用いたインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)のインス
リン抵抗性に関する研究 (主査)教授 大森 安恵 (副査)教授 出村 博,川島 真 、論 文 内 容 の 要 旨
目的欧米におけるNIDDMは,インスリン抵抗性を示
し,大血管障害の発症と密接に関連することが報告さ れている.しかしわが国では,この分野の研究は殆ど みられていない.本研究は正常血糖クランプ法により, NIDDMのインスリン抵抗性を評価し,各種の臨床お よび代謝パラメーターとの関連を検討することによ り,わが国におけるNIDDMのインスリン抵抗性の特 質を明らかにし,かつ大血管障害発症との関連を検討 することを目的とした. 対象と方法 対象はNIDDM 130例で,男性90例,女性40例,検 査時年齢は13歳から79歳,平均47.8歳,推定罹病期間 は1カ月から28年,平均6.3年に亘る幅広い症例とし た.検査時HbA、,は5.4%から18.5%,平均9.7%,body mass index(BMI)は16.2から38.9,平均24、4であっ た.全例において糖尿病合併症は軽度で,治療法は食 事療法49例,経口血糖降下剤56例,インスリン療法25 例であった.健常者21例,75gGTTにおける境界型31 例,インスリン依存型糖尿病(IDDM)46例を無作為に 選び対照とした. 方法は日機装二二の人工膵島(STG-22)を用い,正 常血糖クランプ法によりインスリン1、12mU/kg/min を注入,生理的高インスリン血症下に血糖値を80mg/ dlにクランプし,平均グルコース注入率(GIR:mg/ kg/min)を求めインスリン抵抗性の指標とした. 結果 1)NIDDM群のGIR値は3.56±2.06(mean±SD) で,健常者群の6.81±!.61,境界型群の5.73±2.13お よびIDDM群の4.56±1.60より有意に低値であった (p<0.01).しかし,NIDDM群のGIR値は,0.15から 9.01に分布し,きわめて幅広い個人差がみられ,その 43.8%は健常者と同等のGIR値を示した. 2)NIDDM群のGIR値は,年齢, HbAlc, BMI,血 圧,中性脂肪,空腹時IRIおよびCPRとそれぞれ有意 な負の相関を示した. 3)GIR値は,血清総コレステロール, HDLコレス テロールとは相関を認めなかった.また治療法別の GIR値は,食事療法群平均3.53,経口血糖降下剤群 3.44,インスリン治療群4.05で,差はみられなかった. 4)GIR値の低い群ほど肥満,高血圧,脂質異常の集 積性が高い傾向が認められた. 考察 NIDDMのインスリン抵抗性は大血管障害の危険因 子のなかで,血圧,肥満度,HbA、。,中性脂肪および空一 腹時血清インスリン値と有意の相関を示し,またイン スリン抵抗性の強い個体では,これら危険因子の集積 性が大きい傾向を示した.このことから,インスリン抵抗性はNIDDMの大血管障害の発症に促進的に関
与する可能性が示唆された.また欧米における
NIDDMの殆どがインスリン抵抗性であるのに反し, わが国では,NIDDMの約40%は良好なインスリン感 受性を示した.黒人NIDDMでも,インスリン抵抗性 と感受性の2群が存在する事が報告されており,イン 一702一97 スリン抵抗性には人種差のあることが示唆される. 結語