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性別および学年による体育・運動への意識の差異に関する検討 : 札幌市内の小・中学生を対象とした横断的調査

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(1)Title. 性別および学年による体育・運動への意識の差異に関する検討 : 札幌市 内の小・中学生を対象とした横断的調査. Author(s). 梅村, 拓未; 中島, 寿宏; 高瀬, 淳也; 髙橋, 正年; 河本, 岳哉; 山本 , 理人. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 71(2): 285-293. Issue Date. 2021-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/11691. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第71巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 71, No.2. 令 和 3 年 2 月 February, 2021. 性別および学年による体育・運動への意識の差異に関する検討 ― 札幌市内の小・中学生を対象とした横断的調査 ―. 梅村 拓未・中島 寿宏*・高瀬 淳也**・髙橋 正年***・河本 岳哉****・山本 理人***** 北海道教育大学教科教育専攻保健体育専修体育科教育学研究室 *. 北海道教育大学札幌校体育科教育学研究室 **. 帯広大谷短期大学社会福祉科 ***. 東海大学. ****. 北海道教育大学附属札幌小学校. *****. 北海道教育大学岩見沢校スポーツ教育学研究室. Differences of Preference in regard to Physical Education Class and Exercise compared between Gender and Grade ― A Cross-Sectional Study among Elementary School and Junior High School Students in Sapporo ―. UMEMURA Takumi, NAKAJIMA Toshihiro*, TAKASE Junya**, TAKAHASHI Masatoshi***, KAWAMOTO Takeya**** and YAMAMOTO Rihito***** Department of Physical Education Pedagogy, Sapporo Campus, Hokkaido University of Education *. Department of Physical Education Pedagogy, Sapporo Campus, Hokkaido University of Education **. Obihiro Otani Junior College ***. Tokai University. ****. Sapporo Elementary School Attached to Hokkaido University of Education. *****. Department of Sport Pedagogy, Iwamizawa Campus, Hokkaido University of Education. ABSTRACT Many studies have examined how developmental stage and age affect determining the perception of physical activities in children. However, previous studies have not examined the effect of gender differences on perceptions of exercise. This study focuses on the effects of gender and grade about perceptions toward physical education classes and exercises. The study surveyed a total of 749 students from 6 schools, of these 219 were 3rd graders, 196 were 5th graders and 334 were 7th graders. We conducted questionnaires to determine the perceptions of school children about exercise and PE classes. The differences of perceptions. 285.

(3) 梅村 拓未・中島 寿宏・高瀬 淳也・髙橋 正年・河本 岳哉・山本 理人. were analyzed using Kruskal-Wallis test and post hoc-test. As a result, there was no difference between the groups in boys regarding positive feelings towards exercise, whereas it was already significantly lower in the 5th and the 7th graders compared to the 3rd graders in girls. In addition, it was inferred that girls have a feeling of not-being any good at PE classes in elementary school early in contrast with boys. In conclusion, our results suggested that girls in elementary school dislike exercise from a younger age than boys and that girls have a tendency not to want to exercise in the early years of elementary school.. 緒 言. に対して強い劣等感を感じているとされている (波多野・中村,1981)。以上の報告から,子ど. 近年,運動習慣や運動に関する興味関心につい. もの体育や運動に対する否定的な態度は,成功体. ての二極化が問題視されており,運動することを. 験の不足や周囲の仲間との関係性の悪化によって. 好まない子どもが一定数存在していると言われて. 形成される可能性があると推察できる。一方で,. いる。平川・高野(2008)は,運動不足の子ども. 全ての子供が成功体験を味わうことができ,自ら. と運動を活発にする子どもの二極化を示しつつ,. の技能に恥ずかしさを感じない運動場面を用意す. 体力に関しては持続的な低下傾向にあることを述. ることが,運動に対して積極的になるきっかけに. べている。また,運動の積極性に関して二極化が. なり得ると考えられる。. 生じていることに加えて,その傾向が小学校の早. さらに,体育や運動に対する意識に関しては,. い時期から起こっていることが報告されている. 発達段階が関係していることが指摘されている。. (文部科学省,2012)。さらに,大坪ほか(2020). 学年が進行するにつれて,身体活動量や運動意欲. による女子児童生徒を対象とした研究において. が低下していくこと(松平・高井,2010)や,運. は,学年が上がるにつれて体育授業および運動・. 動することや体育授業を行うことに対して,嫌悪. スポーツが嫌いになる女子が増加する可能性を示. 感を抱く児童生徒が増加していくことが示唆され. 唆している。したがって,運動そのものだけでは. ている(春日ほか,2017)。また,上地ほか(2003). なく,学校の体育授業に対してもネガティブな意. は,小学校6年生が,4年生と5年生に比べて,. 識をもつ子どもが一定数存在していることを示し. 身体を動かすことに対する負担を強く感じている. ており,そのネガティブな意識が子供の消極的な. ことを指摘している。心身の発達とともに,周囲. 運動参加に関係していることが考えられる。. からの評価をより意識するようになり,運動がう. 子どもが体育や運動を嫌いになったり,苦手意. まくできないことや恥ずかしさが学年進行による. 識をもったりする要因については様々な報告が挙. 体育や運動への意識の変容に関係していることが. がっている。Carlson(1995)は,子どもが運動. 考えられる。. に対する消極的な態度を低下させる過程には,運. 発達段階との関係性に加えて,体育や運動に対. 動による成功体験の不足が関係していることを指. する意識については性差があることもすでに明ら. 摘している。また,周囲の友達に運動能力をはっ. かになっている。女子は男子よりも,体育授業の. きり知られてしまうことや,運動がうまくできな. 中で対人関係に対するストレスや身体活動を行う. い恥ずかしさを感じることが,運動に対する嫌悪. ことに対して強い負担を感じていることが指摘さ. 感を強めていることも報告されている(濱口ほ. れている(上地ほか,2003;遠藤ほか,2014)。. か,2019) 。さらに,様々な要因で運動に対して. また,運動の上達や成功体験から生まれる運動有. 苦手意識をもっている子どもは,自分の運動能力. 能感について,岡沢ほか(1996)は,自己の運動. 286.

(4) 性別および学年による体育・運動への意識の差異について. 能力と運動技能に対する肯定的認知に関する「身. 苦手意識測定尺度」を用いた。本尺度は14の質問. 体的有能さの認知」 ,自己の努力や練習によって. 項目で構成されており,体育に取り組むことをで. 運動をどの程度コントロールできるかを示す「統. きるだけ避けたいと感じる事柄で構成されている. 制感」の性差について報告している。その報告に. 「回避感情」,体育に取り組む際に他者の様子が. おいては,小学生と中学生において,女子が男子. 気になったり比較したりしたくなるという感情か. よりも「身体的有能さの認知」および「統制感」. らなる「比較感情」,体育に取り組む際に劣等感. が低いことを指摘している。つまり,女子は男子. を感じる項目で構成されている「劣等感感情」,. と比較して運動場面における自らの能力に対して. 体育に取り組むにあたり嫌悪感をもつ項目で構成. 自信を持てていないということが考えられる。こ. されている「嫌悪感情」という4つの下位尺度か. れらの報告から,運動に対する積極性の二極化を. ら構成されている。各項目の選択肢には5件法を. 考慮して指導する場合は,女子に対して特に配慮. 用い,「あてはまる:5点」「ややあてはまる:4. が必要であることが示唆されている。体育や運動. 点」「どちらともいえない :3点」「ややあては. に対する意識に関する検証においても,性別によ. まらない:2点」および「あてはまらない:1点」. る違いを考慮した検証が不可欠であると考える。. を与えて得点化している。各下位尺度は「回避感. これまで,体育や運動に対する意識に関して,. 情」が20点満点,「比較感情」が15点満点,「劣等. 性別や発達段階それぞれに焦点を当てた検証はさ. 感感情」が20点満点, 「嫌悪感情」が15点満点となっ. れてきたが,小学校中学年から中学生にかけて,. ている。. 性差および学年差の両方の観点から明らかにした 研究は見当たらない。したがって本研究は,性別. 3.調査手続き. および発達段階の両方の観点から,体育や運動に. 調査は学校長の許可を得た後に当該校の教員. 対する意識について検証することを目的とする。. (小学校は学級担任,中学校は体育科教員)に依 頼し,授業外の時間に行われた。調査用紙を配布. 方 法 1.調査対象. 後,調査の目的と内容,調査への協力は任意であ ることと協力の撤回が自由であること,さらに個 人情報の保護などが協力教員によって説明され,. 北海道札幌市の小中学校それぞれ3校ずつから. 同意した者にのみ回答を求めた。調査用紙は本研. 小学校3年生,5年生および中学校1年生の計. 究者が回収を行い,保護者への協力要請が必要な. 821名から回答を得た。今回の分析においては回. 場合を想定し,保護者用説明書と調査協力同意書. 答に不備のなかった小学校3校の児童415名(3. を準備し,必要に応じて適宜配布することを協力. 年生男子109名,女子110名,5年生男子86名,女. 校に依頼した。. 子110名)および中学校3校の生徒334名(1年生 男子161名, 女子173名)の計749名を対象とした。. 4.分析方法 体育や運動の好き嫌い,運動やスポーツの得意. 2.調査時期および調査内容. 不得意および体育授業における苦手意識尺度の下. 調査は2019年9月から2019年10月にかけて行わ. 位因子(回避感情,比較感情,劣等感感情および. れた。基本属性として,年齢,性別,体育と運動. 嫌悪感情)について,性別ごとに小学校3年生,. の好き嫌い,運動やスポーツの得意不得意につい. 5年生および中学校1年生での意識得点の差を分. て5件法にて回答を求めた。. 析した。統計処理については,それぞれの質問項. 体育や運動に対する苦手意識を測定するため. 目の得点において正規分布が認められなかったた. に,上家ほか(2013)が作成した「体育授業への. め,ノンパラメトリック検定のKruskal-Wallis検. 287.

(5) 梅村 拓未・中島 寿宏・高瀬 淳也・髙橋 正年・河本 岳哉・山本 理人. 定および多重比較を行った。有意水準はすべての. では小学校5年生と中学校1年生の得点間に有意. 処理で5%とした。. な差は認められなかったが,小学校3年生と小学 校5年生および小学校3年生と中学校1年生の得 点間には有意な差が認められた。. 結 果. めに,上家. 識測定尺. されてお. と感じる. り組む際. くなると. む際に劣. 感情」 ,体. 成されて. 成されて. てはまる:. えない :. 1.男女の体育や運動に対する意識の違い. Tabl2 e 2 「運動好き」男女別得点 Table Table 2「運動好き」男女別得点 「運動好き」男女別得点. ⑴ 「体育好き」得点について 結 果 性別ごとに小学校3年生,小学校5年生および 1. 男女の体育や運動に対する意識の違い. 中学校1年生の体育授業に対する意識の差を検証 ⑴ 「体育好き」得点について した。その結果,男子では「体育が好きですか」 性別ごとに小学校 3 年生,小学校 5 年生および中学校. 1という質問項目の回答(Table 1)において,小 年生の体育授業に対する意識の差を検証した.その結 学校3年生と中学校1年生の得点間には有意な差 果,男子では「体育が好きですか」という質問項目の回. が認められたが,小学校3年生と小学校5年生お 答(Table 1)において,小学校 3 年生と中学校 1 年生 よび小学校5年生と中学校1年生の得点に有意な の得点間には有意な差が認められたが, 小学校 3 年生と 差は認められなかった。 小学校 5 年生および小学校 5 年生と中学校 1 年生の得 一方で,女子の得点においては小学校3年生と 点に有意な差は認められなかった. 小学校5年生の得点間には有意な差が認められな 一方で,女子の得点においては小学校 3 年生と小学校 5. てはまら. かったのに対し,小学校3年生と中学校1年生お 年生の得点間には有意な差が認められなかったのに対. 尺度は「回. よび小学校5年生と中学校1年生の得点間には有 し,小学校 3 年生と中学校 1 年生および小学校 5 年生. 点, 「劣等. 意な差が認められた。 と中学校 1 年生の得点間には有意な差が認められた.. 点となっ Table Table 1 1 「体育好き」男女別得点 「体育好き」男女別得点. 員(小学校. 授業外の. 的と内容,. が自由で. ⑶「運動・スポーツ得意」得点について ⑶「 運動・スポーツ得意」得点について ⑶ 「運動・スポーツ得意」得点について 小学校 3 年生,小学校 5 年生および中学校 1 年生の 小学校 3 年生,小学校 5 年生および中学校 1 年生の 小学校3年生,小学校5年生および中学校1年 「運動やスポーツが得意ですか」という質問項目におい 「運動やスポーツが得意ですか」という質問項目におい 生の「運動やスポーツが得意ですか」という質問 て,性別ごとに学年による意識の差を検証した(Table て,性別ごとに学年による意識の差を検証した(Table 項目において,性別ごとに学年による意識の差を 3) .その結果,男子では小学校 3 年生と中学校 1 年生の 3) .その結果,男子では小学校 3 年生と中学校 1 年生の 検証した(Table 3) 。その結果,男子では小学 得点間に有意な差が認められたが,小学校 3 年生と小学 得点間に有意な差が認められたが,小学校 3 年生と小学 校3年生と中学校1年生の得点間に有意な差が認 校 5 年生および小学校 5 年生と中学校 1 年生には有意 校 5 年生および小学校 5 年生と中学校 1 年生には有意 められたが,小学校3年生と小学校5年生および な差が認められなかった.一方で,女子ではすべての学 な差が認められなかった.一方で,女子ではすべての学 小学校5年生と中学校1年生には有意な差が認め 年の得点間に有意な差が認められた. 年の得点間に有意な差が認められた. られなかった。一方で,女子ではすべての学年の Table 3 「運動・スポーツ得意」男女別得点. Tabl3 e 3「運動・スポーツ得意」男女別得点 「運動・スポーツ得意」男女別得点 Table. 員によっ. .調査用紙. が必要な. 書を準備. 依頼した. ⑵ 「「運動好き」得点について 運動好き」得点について ⑵ . 意不得意. 因子(回避. ついて, 1 年生で. ては,それ. められな. kal-Wallis. ての処理. 感情」 感情」 ている ている 中学校 中学校 の差を の差を では, では, 認めら 認めら び小学 び小学 が認め が認め 得点間 得点間. 小学校 3 年生,小学校 5 年生および中学校 1 年生の 小学校3年生,小学校5年生および中学校1年 「運動が好きですか」 という質問項目において,性別ご 生の「運動が好きですか」という質問項目におい とに学年による意識の差を検証した (Table2) .その結 て,性別ごとに学年による意識の差を検証した 果, 男子ではすべての学年間で有意な差が認められなか (Table 2) 。その結果,男子ではすべての学年. った. しかし,女子では小学校 5 年生と中学校 1 年生の 間で有意な差が認められなかった。しかし,女子. 得点間に有意な差は認められなかったが,小学校 3 年生 と小学校 5 年生および小学校 3 年生と中学校 1 年生の 288. 得点間には有意な差が認められた.. 2.男女の体育授業における運動苦手意識の違い 2.男女の体育授業における運動苦手意識の違い ⑴ 回避感情 ⑴ 回避感情 上家ほか(2013)が作成した「体育授業における運動 上家ほか(2013)が作成した「体育授業における運動 苦手意識測定尺度」は, 「回避感情」 「比較感情」 「劣等感. ⑵ 比較 ⑵ 比較 性別 性別 生,小 生,小 よる意 よる意 の得点 の得点 な差が な差が 生およ 生およ 意な差 意な差 学校 3 学校 3 れなか れなか 校3年 校3年 られた られた.

(6) 性別および学年による体育・運動への意識の差異について. 得点間に有意な差が認められた。. 認められなかったが,小学校5年生と中学校1年 2.男女の体育授業における運動苦手意識の違い. 生および小学校3年生と中学校1年生の得点間に. ⑴ 回避感情. は有意な差が認められた。. 上家ほか(2013)が作成した「体育授業におけ る運動苦手意識測定尺度」は,「回避感情」「比較 の下位尺度で構成されている。性別ごとに小学校 感情」および「嫌悪感情」の 4 つの下位尺度で構成され 3年生,小学校5年生および中学校1年生の学年. ている.性別ごとに小学校 3 年生,小学校 5 年生および による体育授業での運動苦手意識の差を検証し 中学校 1 年生の学年による体育授業での運動苦手意識 た。その結果,男子の「回避感情」の得点では,. の差を検証した.その結果,男子の「回避感情」の得点 小学校3年生と小学校5年生において有意な差が では,小学校 3 年生と小学校 5 年生において有意な差が 認められなかったが,小学校5年生と中学校1年 認められなかったが,小学校 5 年生と中学校 1 年生およ 生および小学校3年生と中学校1年生の得点間に び小学校 3 年生と中学校 1 年生の得点間には有意な差 は有意な差が認められた。しかし一方で,女子で が認められた.しかし一方で,女子ではすべての学年の はすべての学年の得点間に有意な差が認められた 得点間に有意な差が認められた(Table 4) . (Table 4) 。 Table Table4 運動に対する男女別「回避感情」 4 運動に対する男女別「回避感情」. Table 5 運動に対する男女別「比較感情」. Ta. ⑶ 劣等感感情 性別ごとの「劣等感感情」の得点において,小 ⑶ 劣等感感情 学校3年生,小学校5年生および中学校1年生そ 性別ごとの「劣等感感情」の得点において,小学校 3 れぞれの学年のよる意識の差を検証した(Table 年生,小学校 5 年生および中学校 1 年生それぞれの学年 6)。男子の「劣等感感情」の得点では,小学校 のよる意識の差を検証した(Table 6) .男子の「劣等感 3年生と小学校5年生および小学校5年生と中学 感情」の得点では,小学校 3 年生と小学校 5 年生および 校1年生において有意な差が認められなかった 小学校 5 年生と中学校 1 年生において有意な差が認め. 項目におい. した(Table. 校 1 年生の. 年生と小学. 生には有意. られなかったが,小学校 3 年生と中学校 1 年生の得点間. すべての学. 違い. Table 5 運動に対する男女別「比較感情」. 感情」 「劣等感感情」および「嫌悪感情」の4つ. 校 1 年生の. 別得点. 小学校3年生と小学校5年生において有意な差が. Table 6 運動に対する男女別「劣等感感情」 には有意な差が認められた. 女子の得点でも男子と同様. に,小学校 3 年生と小学校 5 年生および小学校 5 年生 と中学校 1 年生において有意な差が認められなかった ⑵ 比較感情 ⑵ 比較感情 性別ごとの「比較感情」の得点において,小学校 3 年 性別ごとの「比較感情」の得点において,小学 生,小学校 5 年生および中学校 1 年生それぞれの学年に 校3年生,小学校5年生および中学校1年生それ よる意識の差を検証した(Table 5) .男子の「比較感情」 ぞれの学年による意識の差を検証した(Table の得点では,小学校 3 年生と小学校 5 年生において有意 5) 。男子の「比較感情」の得点では,小学校3 な差が認められなかったが,小学校 5 年生と中学校 1 年 年生と小学校5年生において有意な差が認められ 生および小学校 3 年生と中学校 1 年生の得点間には有 なかったが,小学校5年生と中学校1年生および 意な差が認められた.女子の得点でも男子と同様に,小 小学校3年生と中学校1年生の得点間には有意な 学校 3 年生と小学校 5 年生において有意な差が認めら 差が認められた。女子の得点でも男子と同様に, れなかったが,小学校 5 年生と中学校 1 年生および小学 Table 5 運動に対する男女別「比較感情」 校 3 年生と中学校 1 年生の得点間には有意な差が認め られた. ⑶ 劣等感感情. が,小学校 3 年生と中学校 1 年生の得点間には有意な差 が認められた.. Table 6 運動に対する男女別「劣等感感情」 ⑷ 嫌悪感情 性別ごとの「嫌悪感情」の得点において,小学校 3 年 生,小学校 5 年生および中学校 1 年生それぞれの学年の よる意識の差を検証した(Table 7) .その結果,男子の 「嫌悪感情」の得点では,小学校 3 年生と小学校 5 年生 において有意な差が認められなかったが,小学校 5 年生 289 と中学校 1 年生および小学校 3 年生と中学校 1 年生の. 得点間には有意な差が認められた.しかし一方で,女子 ではすべての学年の得点間に有意な差が認められた.. 考. 察. 1.男女. 性別ご. 小学校 3. た.男女 学校 1. 一方で,. に有意な. スポーツ. な差が認. 校 5 年生. これら. 学年の進. 定的にと. い段階で. った.落. 進行に従. 嫌いや運. 落合ほか. 従って増. 運動嫌い. の結果で. スポーツ.

(7) 梅村 拓未・中島 寿宏・高瀬 淳也・髙橋 正年・河本 岳哉・山本 理人. が,小学校3年生と中学校1年生の得点間には有. 年生と中学校1年生の得点間に有意な差が認めら. 意な差が認められた。女子の得点でも男子と同様. れた。また, 「運動好き」と「運動・スポーツ得意」. に,小学校3年生と小学校5年生および小学校5. の得点においては,男子は学年間に有意な差が認. 年生と中学校1年生において有意な差が認められ. められなかったが,女子は小学校3年生と小学校. なかったが,小学校3年生と中学校1年生の得点. 5年生の得点間で,有意な差が生じていた。. 間には有意な差が認められた。. 生徒は,学年の進行とともに,体育や運動・スポー ⑷ 嫌悪感情 性別ごとの「嫌悪感情」の得点において,小学 ぞれの学年のよる意識の差を検証した(Table. 体育嫌いや運動嫌いが学年の進行に従って増える. 7) 。その結果,男子の「嫌悪感情」の得点では,. 傾向にあり,女子は男子よりも体育嫌いや運動嫌. 小学校3年生と小学校5年生において有意な差が. いの傾向が強いことを明らかにしている。落合ほ. 認められなかったが,小学校5年生と中学校1年. か(2007)は,体育嫌いや運動嫌いが学年の進行に. 生および小学校3年生と中学校1年生の得点間に. 従って増える傾向にあり,女子は男子よりも体育. は有意な差が認められた。しかし一方で,女子で. 嫌いや運動嫌いの傾向が強いことを明らかにして. はすべての学年の得点間に有意な差が認められた。. いる。本調査の結果でも,男女とも学年進行にと もない体育や運動・スポーツに対して肯定的な受. Table 7 運動に対する男女別「嫌悪感情」. では,体育嫌いや運動嫌いの強さについては言及 できないものの,女子の方が早い段階で体育や運 動,スポーツを否定的にとらえる傾向があること. の「劣等感. から,学年によっては,女子の方が体育嫌いや運. 年生および. 動嫌いを強く示すことも考えられる。. な差が認め. このように,学年の進行とともに,女子が男子. 生の得点間. よりも早い段階で体育や運動を否定的にとらえる. 男子と同様. ようになる要因のひとつに身体的発達が関係して. 学校 5 年生. いることが考えられる。思春期の身体的発達には,. れなかった. 発育スパートとよばれる身長の急激な伸びと体型. は有意な差. 果,男子の. 学校 5 年生. 学校 5 年生. 校 1 年生の. 方で,女子. られた.. け止め方ができなくなる様子が見られ,落合の報 告と同様の傾向にあったと言える。また,本研究. ぞれの学年. れの学年の. 女子は男子よりも早い段階でこのような傾向が見 られることが明らかとなった。落合ほか(2007)は,. ,小学校 3. 小学校 3 年. ツに対して否定的にとらえるようになり,特に,. 校3年生,小学校5年生および中学校1年生それ. 情」. 感情」. これらの結果から,これらの結果から,児童・. の変化,および第二次性徴などの性的成熟が含ま. Table 7 運動に対する男女別「嫌悪感情」. 考 察 考 察 1.男女での体育や運動に対する意識の違い 1.男女での体育や運動に対する意識の違い 性別ごとの「体育好き」の得点を見ると,男女 性別ごとの「体育好き」の得点を見ると,男女ともに ともに小学校3年生と中学校1年生には有意な差 小学校 3 年生と中学校 1 年生には有意な差が認められ が認められた。男女ごとに見てみると,男子では た.男女ごとに見てみると,男子では小学校 5 年生と中 小学校5年生と中学校1年生の意識得点に有意な 学校 1 年生の意識得点に有意な差は認められなかった 差は認められなかった一方で,女子では小学校5 一方で,女子では小学校 5 年生と中学校 1 年生の得点間 に有意な差が認められた.また, 「運動好き」と「運動・. 290. スポーツ得意」の得点においては,男子は学年間に有意 な差が認められなかったが,女子は小学校 3 年生と小学. れる(向井,2010)。一般的に男子よりも女子の 方が,発達による身体的変化の開始が早く(J.M. Tanner, 1978),男子の成長スパートは12〜17歳 の間で起こり,13〜15歳でピークがみられるのに 対して,女子は成長スパートが9歳半〜14歳半の 間 で 起 こ り,11〜13歳 半 に ピ ー ク が み ら れ る (Grummer-Strawn et al., 2010)とされている。 成長スパートをむかえると,筋肉や体重の増加な どが起こり,今までできていた運動ができなくな.

(8) 性別および学年による体育・運動への意識の差異について. る場面が増加し,体育に対して苦手意識をもった. いた部分が,中学年以上では,技能がより重視さ. り,運動やスポーツに取り組む意欲の低下につな. れる記述となっている。つまり,低学年から中学. がったりすることが懸念される。つまり,男女で. 年にかけて内容の取り扱い方が「遊び」から「技. は成長スパートをむかえる時期が異なっているこ. 能の習得」へと変わることで,児童の意識が「で. とが要因で,女子の方が早く体育や運動・スポー. きる」 「できない」に向けられることが予想される。. ツを否定的にとらえるようになると推測される。. 特に先述したように,女子は,成長スパートにと. さらに,中学年および高学年の女子は外遊びよ. もなう筋量や体重が増加する時期が早い分,同学. り室内での談笑や読書などを好む(高橋・西田,. 年の男子に比べ課題となる技能の習得に時間がか. 2012)傾向があり,女子は男子に比べて外遊びを. かることが予想される。女子は運動技能の差が目. 行う機会が少なくなっていく(伊熊,2008)。実際,. 立つ授業を極端に嫌う傾向(兵藤,1992)がある. スポーツ庁の調査(2017)では,1週間の総運動. ことから,体育授業に嫌悪感や苦手意識を抱きや. 時間が60分未満である児童は,男子が6.4%である. すく,男子と比較して早い段階から「回避感情」. のに対して,女子は11.6%であり,男子よりも運. および「嫌悪感情」が高まる要因となっていると. 動時間が短いことが明らかになっている(スポー. 推察される。. ツ庁,2017) 。このようなことが,特に女子の運 動の楽しさや面白さを味わう機会を減少させ,体 育や運動・スポーツに消極的な態度を示すように なっていくと考えられる。. まとめと今後の課題 本研究では,札幌市の小学校3年生,5年生お よび中学校1年生に対して質問紙調査を行うこと. 2.男女での体育授業における運動苦手意識の違. で,性別および学年差の両方の観点から。体育や. い. 運動に対する嗜好性および苦手意識を明らかにす. 体育授業における運動苦手意識尺度の下位因子. ることを目的とした。結果として,「体育好き」. において,性別ごとの「回避感情」および「嫌悪. の得点において,男子では,小学校5年生と中学. 感情」の得点を見ると,男子ではともに小学校5. 校1年生の間に有意な差が認められなかったのに. 年生と中学校1年生の得点間に有意な差が認めら. 対し,女子では小学校5年生と中学校1年生の間. れた。一方,女子では二つの因子ともに小学校3. に有意な差が認められた。また, 「運動好き」と「運. 年生と小学校5年生の得点間で有意な差が認めら. 動・スポーツ得意」の得点においては,女子のみ. れ,小学校5年生と中学校1年生の得点間におい. で小学校3年生と小学校5年生の間に有意な違い. ても有意な差が認められた。これらの結果から,. が認められた。これらの結果から,女子が男子よ. 運動に対する「回避感情」および「嫌悪感情」は,. りも発育スパートが早い段階で訪れ,男子よりも. 男子において小学校高学年から中学校にかけて運. 早い段階で,体育や運動に対する好意的な印象が. 動に対する苦手意識が強くなる一方で,女子では. 弱まることが推察された。また,性別ごとの「回. 小学校の早い段階から強くなり,その後も運動に. 避感情」および「嫌悪感情」の得点において,女. 対する苦手意識を持ち続けていると考えられる。. 子のみで,「回避感情」および「嫌悪感情」の小. このように,女子が男子よりも早い段階から,. 学校3年生と小学校5年生の得点間に有意な差が. 運動に対する「回避感情」および「嫌悪感情」を. 認められた。上述の兵頭ほか(1992)の報告にも. もち始めると考えられる要因のひとつとして,学. あるように,女子は運動能力差が目立つ授業を嫌. 校の体育授業の在り方が挙げられる。小学校学習. う傾向にあるため,能力差が顕著に出てしまうよ. 指導要領解説体育編(文部科学省,2017)の内容. うな体育授業が原因で,「回避感情」および「嫌. において,低学年で「遊び」として取り扱われて. 悪感情」が男子より早い段階で強まることが今回. 291.

(9) 梅村 拓未・中島 寿宏・高瀬 淳也・髙橋 正年・河本 岳哉・山本 理人. の調査結果から示唆された。今後はより一層,運 動能力の優劣を気にせず,運動に取り組める体育 授業を目指していくことが重要である。 本調査は横断的調査によって性別ごとの小学校. Landolfi, E. (2014) Teachers’ understanding of students’ attitudes and values toward physical activity in physical education dropout rates and adolescent obesity. the physical educator, 71: 365-390. Grummer-Strawn, L.M., Reinold, C. & Krebs, N.F.. 3年生,小学校5年生および中学校1年生それぞ. (2010)Use of World Health Organization and CDC. れの意識の差を検証したが,今後は学年進行によ. Growth Charts for Children Aged 0--59 Months in the. る意識変容を検証するための縦断的調査も合わせ て実施することが必要であると考える。. United States. MMWR. Recommendations and reports: Morbidity and mortality weekly report. Recommendations and reports / Centers for Disease Control 59: 1-15.. 文 献 Carlson, T.B. (1995) We hate gym: student alienation from physical education. Journal of teaching in physical education, 14: 467-477. 遠藤朝・井上功一・宮井信行(2014)中学生における体 育および運動に対する意識と精神的健康度との関連. 大阪教育大学紀要,62⑵ : 1-10. 濱口あずさ・春日晃章・南輝良々・後藤千穂・古田真太 郎(2019)女子児童の体力と運動および体育授業に対 する嫌悪感の関連.岐阜大学教育学部研究報告自然科 学,43 : 99-106. 波多野義郎・中村精男 (1981)「運動ぎらい」の生成機序 に関する事例研究.体育学研究,26⑶ : 177-187. 平川和文・高野圭(2008)体力の二極化進展において両 極にある児童生徒の特徴.発育発達研究,37 : 57-67. 兵頭寛・河野昭(1992)体育嫌いを生起させる要因の研 究―体育授業における教師行動について―.愛媛大学 教育学部紀要,38⑵ : 163-174. 井出雄二(2014)運動が苦手な小学校高学年児の体力・ 運動能力の実態―運動有能感と体力・運動能力の関係 から―.明治学院大学心理学紀要,24 : 47-62. 上家卓・中道莉央・石澤伸宏・黒河あおい・神林勲・城 後豊(2013)小学生における体育授業への苦手意識に 関する研究―運動クラブ所属状況,運動実施頻度およ び運動好感度に着目して―.北海道体育学研究,48 : 33-40. 小畑治・岡澤祥訓・石川元美・井上寛崇(2015)運動有 能感を高めるネット型ゲームの授業づくり―小学校高 学年の実践をもとに―.次世代教員養成センター紀要, 1: 155-164. 上地広昭・竹中晃二・鈴木英樹(2003)子どもにおける 身体活動の行動変容段階と意思決定バランスの関係. 教育心理学研究,51 : 288-297. 春日晃章・中野貴博・小栗和雄(2017)発育発達期にお ける女子の運動,スポーツ離れに関する基礎研究―女 子が進んで取り組むためには何が必要なのか?―.笹 川スポーツ研究助成研究成果報告書,223-229.. 292. 松平宗之・高井和夫(2010)子どもの運動意欲を支える 心理社会的要因.文教大学教育学部紀要,44 : 129-142. 文部科学省(2012)中央教育審議会,スポーツ基本計画 の策定について(答申),スポーツ基本計画の策定につ いて(答申)表紙・目次・本文,第3章今後5年間で 計画的に取り組むべき施策,1.学校と地域における 子 ど も の ス ポ ー ツ 機 会 の 充 実.https://www.mext. go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/ attach/1319043.hth, (参照日2019年9月8日) . 向井隆代(2010)思春期の身体的発達と心理的適応―発 達段階および発達タイミングとの関連―.カウンセリ ング研究,43⑶ : 202-211. 岡沢祥訓・北 真佐美・諏訪祐一郎(1996)運動有能感の 構造とその発達及び性差に関する研究. スポーツ教育学 研究,16⑵ : 145-155. 大坪健太・春日晃章・濱口あずさ・古田真太郎・南輝 良々(2020)女子児童・生徒の運動・スポーツおよび 体育授業に対する嫌悪感の加齢変化.教育医学⑶: 211-216. 杉原隆(2003)運動指導の心理学―運動学習とモチベー シ ョ ン か ら の 接 近 ―( 新 版 ) . 大 修 館 書 店: 東 京, pp.145-148. ス ポ ー ツ 庁(2017) 平 成29年 度 全 国 体 力・ 運 動 能 力, 運 動 習 慣 等 調 査 結 果 報 告 書.https://www.mext.go. jp/prev_sports/comp/b_menu/other/__icsFiles/ afieldfile/2018/02/13/1401299_2.pdf, (参照日2020年2 月11日) . 鈴木秀人・山本理人・杉山哲司・佐藤善人「編著」 (2016) 小学校の体育授業づくり入門 (第4版).学文社:東京, pp.28-30. 高橋幸一・西田順一(2012)児童の身体活動および座位 活動がメンタルヘルスに及ぼす影響―性と身体活動行 動変容段階を考慮した検討―.群馬大学教育学部紀要, 芸術・技術・体育・生活科学編,47 : 109-124. タナー:前川喜平「監」 ,熊谷公明訳(1983)小児発育学 ―胎児から成熟まで―.日本小児科医出版社:東京. 〈Tanner, J.M (1978)Fetus into man: Physical growth from conception to maturity. Cambridge, MA:.

(10) 性別および学年による体育・運動への意識の差異について. Harvard University Press〉. (梅村 拓未 北海道教育大学大学院  教育学研究科2年) (中島 寿宏 北海道教育大学札幌校准教授) (高瀬 淳也 帯広大谷短期大学社会福祉科  准教授) (髙橋 正年 東海大学講師) (河本 岳哉 北海道教育大学. . 附属札幌小学校教諭) (山本 理人 北海道教育大学岩見沢校教授). 293.

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参照

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