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右肺管状全摘術を行った肺門部肺癌の1例 利用統計を見る

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平成12年4月1日

右肺管状全摘術を行った肺門部肺癌の1例

山梨県立中央病院外科1)、同病理2)、武川病院3) 赤池英憲 武藤俊治 千葉成宏 奥田純一 中込博 三井照夫 芦澤一喜 中沢美知雄 小山敏雄 武川修 i気ぎ:気管i萄疏術ぼご顎落荏芝機罷温移あ両面■覆五だ術弐ぞ蓄る亮二箏獲げ] i煩雑さ術後合併症の頻度の高さ等の問題点も多く、その適応に難渋する事も多々 i iある。今回、我々は気管分岐部への浸潤を認めた右肺肺門部扁平上皮癌に対し、 l i右肺管状全摘術を施行した1例を報告する。症例は66歳、男性。呼吸苦を主訴にi i近医を受診。右肺門部の肺癌と診断され同院入院。入院中呼吸苦増強し、胸部x i i線上右全無気肺を認めたため当院転院となった。転院後気管支鏡検査を施行した i iところ・右肺肺門編平上皮癌の気管分岐部への浸潤と右主気管支の完全閉塞をl i認めた。右肺肺門部扁平上皮癌、気管分岐部浸潤(T4NOMO、 Stage3b)の診断i iで右肺管状全摘術を施行術後は、経過良好であり、呼吸機能も術前のものと比i i較して保たれていた。当院では、本症例を含め、1989年から1998年までの10年 l

i懸1廻鰻豊違盤唖竺鮫蕊ゑ嘉熱鷲塑嫌蛭壁芝曳

Key Word:肺癌、気管支形成術、管状切除術         緒言  気管・気管支形成術は、根治性と機能温 存の両面で優れた術式であるが、手技の煩 雑さ術後合併症の頻度の高さ等の問題点も 多く、その適応に難渋する事も多々ある。  今回、我々は気管分岐部へ浸潤し、右主 気管支の完全閉塞を認めた右肺肺門部扁平 上皮癌の患者に対し、右肺管状全摘術を施 行した1例を経験した。これに、当院にお いて1989年から1998年までの10年間に気 管・気管支形成術を施行した全11例の結果 を併せて検討し報告する。         症例  症例:66歳、男性。  主訴:呼吸苦。  現病歴:平成10年5月15日頃より、呼吸 苦が出現。その後、咳漱、喘鳴も認めるよ うになったため、平成10年5月25日武川病 院に精査加療のため入院。胸部単純X線、 胸部CTにて、右肺門部肺癌と診断。6月 に入り呼吸苦増強、胸部単純写真上、右全 無気肺と肺炎を認めたため、6月8日当院 転院となった。  既往歴・家族歴:特記すべき事なし。  喫煙歴:60本/日、40年。  入院時現症:右全肺野において呼吸音減 弱を認めた。  入院時検査所見:CRP2.34㎎/d2と上昇 を認めた。また、腫瘍マーカーはSCC 5.8 ng/meと上昇を認めた。呼吸機能検査では VC1.870、%VC58.6%、1秒率71.0%と閉 塞性の呼吸障害を示した。血液ガス分析で は、酸素マスク150、60%下でpH7.485、 pCO238.6㎜Hg、 pO2148.4㎜Hg、 HCO、 28.4mmol/2、BE4.8mmol/0と代謝性 アルカローシスを示した。

 胸部単純X線検査所見:右全肺野で透

過性の減少を認め、右全無気肺の状態で あった。 (図1)  胸部CT所見:右肺S1、 S2領域を中心に 7×6×4㎝大の巨大な腫瘤を認めた。この 他、右胸腔内に胸水の貯留、気管の右方へ 一9一

(2)

111梨肺癌研究会会誌 13巻1号 2000 曳澱人松

図1 胸部単純X線検査所見:右全肺野

で透過性の減少を認めた。

図2 胸部CT所見:右肺S1、2領域を中

心に7×6×4(皿大の巨大な腫瘤を認めた。 この他、右胸腔内に胸水の貯留と気管の右 方偏位を認めた。 図3 気管支鏡検査所見:右主気管支の 完全閉塞と腫瘍の気管分岐部への浸潤を認 めた。 の偏位を認めた。 (図2)  気管支鏡検査所見:右主気管支の完全 閉塞と腫瘍の気管分岐部への浸潤を認め た。同部位よりの気管ブラッシングおよび 洗浄細胞診にて、扁平上皮癌を認めた。 (図3)  この他、頭部MRI、腹部CT、骨シンチを 施行したが、転移を認めず。右肺肺門部扁 平上皮癌、気管分岐部浸潤(T4NOMO、 Stage3b)と診断した。  手術所見:1998年7月1日手術を施行 した。後側方切開にて第5肋間で開胸し た。腫瘍は、肺門部に一塊となり存在して       一10一 いた。そのため、肺門部の剥離は不可能で あった。下葉は、長期間の無気肺と炎症の ためか色調が悪く温存後の機能回復に期待 ができなかった。これらにより下葉の温存 は断念した。気管を分岐部を含めて切除、 気管と左主気管枝を4−OMaxson糸にて全層 結節縫合にて口径差を修正しつつ、端々吻 合した。更に、縦隔胸膜と脂肪弁にて吻合 部を被覆した。 (図4)  摘出標本所見:腫瘍は、右肺S1、2領域 に存在し、右主気管支を完全に閉塞、気管 分岐部まで浸潤していた。 (図5)  組織学的所見:中∼低分化扁平上皮癌 であった。気管枝断端への腫瘍の浸潤は認 めなかった。肺内肺門部リンパ節に転移を 認めた。 (図6)病期はt4nlrnOStage3b であった。  術後経過:術後合併症なく、経過は良好 であった。術後7日目の血液ガス分析は酸 素マスク150、60%下でpH7.430、 pCO、 46.5㎜Hg、 pO2165.5m皿Hg、 HCO,30.8 ㎜ol/0、BE6.2mmol/eと術前とほと んど変わらない値を示した。さらに、術後 1年時の血液ガス分析は、room air下で pH7.477、 pCO228.4田mHg、 pO2106.7

(3)

平成12年4月IH

切除後

図4 手術所見:腫瘍は、肺門部に一塊となり存在していた。気管を分岐部を含めて切 除、気管と左主気管枝を口径差を修正しつつ、端々吻合した。 図5 摘出標本:腫瘍は、右肺S1、2領域 に存在し、右主気管支を完全に閉塞、気管 分岐部まで浸潤していた。   鰯 図6 病理組織所見:中∼低分化扁平上 皮癌であった。(H.E.染色、×400) ㎜Hg、 HCO320.5㎜ol/0、 BE−1.9

㎜ol/eでありた。また呼腋轍査所見

は術後1ヶ月でVCI.60 O、%VC50.0%、 1秒率81.0%であり、術後1年でVC1.89 2、%VC59.5%、1秒率73.9%と術前後で の著変を認めなかった。平成11年12月で術 後1年5ヶ月が経過するが、無再発生存中 である。         考察  気管・気管支形成術は、根治性と機能温 存の両面で優れた術式であるが、手技の煩 雑さ術後合併症の頻度の高さ等の問題点も 多く、その適応に難渋する事も多々ある。  本症例では、根治性を目的に管状肺全摘 を施行したが、機能温存も考えるなら右肺 中下葉を温存すべきであった。だが、術前 の気管支鏡検査で右主気管支以下の検索は 全くできなかったため局所再発の危険性は 高いと思われた。また右肺中下葉は約1ヶ 月の間無気肺となっており炎症もかぶって いたため再建した右肺中下葉が正常に機能 する可能性が極めて低いと予想された。以 上より今回の術式が最適と判断された。平 成11年12月で術後1年5ヶ月が経過する 一11一

(4)

が、無再発生存中であり、根治が期待でき る。  当院では、1989年1月から1998年12月 までの間に施行した原発性肺癌切除(含気 管癌)304例のうち本症例を含めた11例 (3.6%)に気管・気管支形成術を施行して いる。その内訳は以下の通りである。年齢 は53から78歳、平均69.0歳、男10例、女1 例であった。組織型別にみると、扁平上皮 癌が9例と大部分を占め、腺癌、腺様嚢胞 癌がそれぞれ1例であった。術式の内訳 は、管状葉切除術6例、管状肺全摘術2 例、襖状区域切除術1例、分岐部切除再建 術1例、管状葉切除+舌区切除術1例で あった。予後に関して、気管・気管支形成 山梨肺癌研究会会誌 13巻1号 2000 術例を同時期に施行した原発性肺癌切除例 と5年生存率で比較したところ、前者は 43.6%であり後者は47.8%と大差はなかっ た。これは、気管・気管支形成術例では進 行した症例が多いことを考えると根治性の 面で気管・気管支形成術が優れているとい える。また、諸家1)’ 2)’ 3)の報告では気管・気 管支形成術症例の5年生存率は33.4∼55.0 %であり、当院における5年生存率と大差 はなかった。死亡の原因は遠隔転移2例、 術後合併症2例、局所再発1例、その他1 例であった。術後の合併症による死亡例の 内訳は、ARDS 1例、縫合不全による気管 支肺動脈痩1例であった。吻合部狭窄、反 回神経麻痺等の合併症は1例も認めなかっ 表1 当院における気管・気管支形成術施行例(1989.1.1∼1998.12.31)

No

年齢 組織型

T

N

術側 術式 予後 im) 転帰 死因 1 62

SCC

4

2

R

Pn

5d

ARDS

2 53

SCC

2 1

R

u

120 3 78

SCC

2 0

L

u

90 生

4

76

SCC

2 2

R

u

10 死 肝、骨転移 5 78

SCC

2 0

R

u

84

生 6 70

SCC

2 1

R

u

18 脳転移 7 72

SCC

3 2

L

L十S4,5 72 生 8 71

SCC

2 1

R

u

2 肺炎 9 67 Ad−Cystic

4

0

C

C

4

局所再発、肺炎 10 66

Ad

1 0

L

S6

14d

死 気管支肺動脈痩 11 66

SCC

4

1

R

Pn

16 SCC:扁平上皮癌、 Ad−Cystic:腺様嚢胞癌、 Ad:腺癌、 C:気管、 Pn:肺全摘、 U:上葉切除 L:下葉切除、S:区域切除 なお、予後は1999年11月30日現在のものである。また、No.10のみ襖状切除を施行して おり他の症例は全て管状切除を施行している。       −12一

(5)

平成12年4月1日 た。諸家4)’ 5)の報告によると、気管・気管支 形成術後の合併症の発生率は16.9∼17.8% であった。前田ら5)の報告では、その内訳は 吻合部狭窄、縫合不全、反回神経麻痺の順 に多く、これらで合併症の90.1%を占めて いる。当院における気管・気管支形成術後 の合併症の発生率は18.2%であり、諸家の 報告と大差なかった。 (表1)         結語  右肺管状全摘を施行した肺門部扁平上皮 癌の1例を経験した。手術前後での呼吸機 能は著変なく、術後1年5ヶ月が経過する が無再発生存中である。  また、当院における10年間の施行した気 管・気管支形成術施行例を検討し併せて報 告した。  今後も、症例を選び積極的に気管・気管 支形成術を行っていきたいと考えている。         文献 1)阪本俊彦、石井 昇、岡田昌義他:肺癌 に対する気管支形成術を併用した肺葉切除 術症例の検討、日本胸部外科学会雑誌 1994;42:1302−1306 2)小池輝明、滝沢恒世、青木 正:気管 支形成術を併用した肺癌手術、気管支学 1996;18(8):847−850 3)山田秀久、橘 剛、市村龍之助他:当科 における気管支形成術症例の検討、市立釧 路医誌 1997;9(1):14−19 4)Takashi Kondo,et a1:Assessment of Predisposing Factors Affecting Bronch− −ial Anastomotic Complications in Bron− −choPlastic SurgeryAnn.thorac.Cardio− −vasc.Surg. 1996;2(4):275−279 5)前田昌純、南城 悟、中村憲二他:全国 集計、気管・気管支形成術、気管支学 1986;8(3):346−355 一13一

参照

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