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……… 第46回関東理科教育研究発表会
1 はじめに
化学は,実際に物質に触れることで,その物質の性質や他の物質との相互作用等を探究しながら,物質観 と思考力が育まれる科目である。特に観察・実験は,対象とする物質を通して生徒に主体的に思考させるこ とが可能である。そして物質を追究することで,多様な物質への興味・関心が高められる。
そこで,本調査研究では,既習事項である電離平衡や粒子間の相互作用に関する知識等を生かしながら, 人間生活と関係が深い染料や繊維となる有機化合物への探究を深めさせる活動を通して化学的な思考力を育 成することを目的とする指導事例を検討した。
今回の調査研究の対象生徒は,「化学」の内容を学習する,総合学科第3学年の理科系の生徒である。生 徒の進路希望は四年制国公立大学から専修・専門学校への進学まで多様であり,本科目の学習内容に対する 習熟度に個人差が大きい。
なお,本報告は,平成27年度に栃木県総合教育センターで実施した「高等学校における教科指導の充実に 関する調査研究」において,今井和彦指導主事に助言・指導を受けながら,実践したものである。
2 実践報告
関連事例(1)実験・観察「芳香族化合物の分離(1)」 ・実施目的
分液漏斗の使用法を習得する。また,基本的な芳香族化合物(ニトロベンゼン・アニリン・フェノー ル・安息香酸)の抽出・分離の演示実験を観察させることで,分離の原理や留意事項を理解させる。
関連事例(2)演習「芳香族化合物の分類と類推」 ・実施目的
ある分子式で表される異性体を思考・整理しながら芳香族化合物に関する学習内容全体を振り返ら せる。ベンゼン環に置換する原子団,官能基によって性質の多くが決定するという知識を生かし,や や複雑な芳香族化合物を類推させる。また,類推したことと,分離に関する既習事項の知識を利用し, それぞれの芳香族化合物を抽出・分離する方法を発想させる。
中心事例 実験「芳香族化合物の分離(2) ~色素の分離~」 ・実施目的
与えられた情報をもとに,既習事項である基本的な芳香族化合物の抽出・分離の原理から類推しな がら抽出色素の分離方法を発想・計画する。計画に従って分離し,得られた結果から,色素の芳香族 化合物を同定させる。また,他の班の分離方法と比較しながら,自班の分離方法の妥当性を検討させ る。色素として,マラカイトグリーン(塩基性染料)・エリスロシン(酸性染料)・p-フェニルアゾフェ
ノール(分散染料)を用い,その化学的性質を追究させながら染料や医薬品などへの視野を広げ,有 機化合物と人間生活とのつながりへの関心をもたせる。
芳香族化合物からなる色素を活用した授業の実践
栃木県立さくら清修高等学校
瀬尾 明久
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千葉大会
生徒実験の概要
・生徒の様子
各実験班ともに,話し合いをしながら操作手 順を決定し,適切な図で表現できた。
自班で行う色素の抽出・分離方法については, ほとんどの生徒が導き出すことができ,フロー チャート等を用いて適切に記述していた。
同時に自班が行った分離方法と別の方法を考え出すこともできて いた。また,自班の分離方法と別の方法を比較・検討し,どちらが優 れているか合理的な理由を導き出させた。本指導事例を実践するに当 たり
① 色素を分離するというゴールを認識させ,主体的に検討した分離 方法に従って取り組ませることで,目的意識をもって実験に臨ませ ることができる。
② 3種類の色素が分離できたことを視覚的に確認でき,達成感が ある。
③ 複数の分離方法が存在するので,それぞれの方法に対して様々 な視点での評価ができる。
関連事例(3)探究活動「繊維への染着の原理を探る」 ・実施目的
既習事項を活用し,繊維への染色のメカニズムを探究させる。中心 事例で用いた3種類の性質の異なる染料と8種類の繊維(多繊交織布) との間の染着性を調べ,染着結果とそれぞれの分子構造を比較したり 分類して,着眼すべき視点を見いださせ,染着の原理を追究させる。
3 まとめ
本事例を通して,それまでに身に付けた有機化合物や分離方法に関する知 識を基に,提示された問題の解決方法を考えさせ, 試行錯誤しながら行動さ せることで,思考力や判断力が育まれることが期待できる。
色素の分離・抽出を進める様子
考察内容を発表する様子