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剣道試合における男子大学生選手の移動軌跡の分析

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(1)Title. 剣道試合における男子大学生選手の移動軌跡の分析. Author(s). 岡嶋, 恒; 巽, 申直; 富樫, 泰一; 勝本, 真; 出口, 征宣. Citation. 北海道教育大学紀要. 第二部. C, 家庭・養護・体育編, 47(1): 45-53. Issue Date. 1996-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2006. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要(第2部C) 第47巻 第1号. 平成8年8月. 4 7 lo i l i fEduc i i Se Journa fHokka doU山v t t t on( c on=C)Vo a r s e yo ‐ .1 ,No. Au罫ユ t s ,1豹6. 剣道試合における男子大学生選手の移動軌跡の分析 岡嶋. 恒・巽. 申直*. 富 樫. 泰一*・ 勝 本. 真*・ 出 口. 征 宣**. 北海道教育大学釧路校保健体育学研究室 * 茨城大学教育学部保健体育学研究室 * *鹿児島県祁答院町立黒丸i ・学校. loor patterns for the com pet・tors An analysis ofthe loco1 【 ・ ・otory f in the AI I Japan University Kendo Championship Tsuneshi OKAJ1虹A, Nobunao TATSUN虹* i i chiTOGASHI* ,Ta , ・ M[akoto KATSUMOTO* and M[asanobu DEGUCHI** , Phys icaIEducat ion Laboratory, Kushiro Campus, Hokkaido Uni ion, Kushi ty ofEducat 8 5 versi ro0 *Ph s ion Laboratory,Facul ion, ty ofBducat y icaIEducat lbarakiUnivers i ty,A4i to3 10 ** KurokiE1ementar School Kedouin Ka oshi 95 15 ・na8 ‐ y g , ,. Abstract. Thi ty student sstudy was undertaken to clarify the characteristics of Kendo matches of universi 1 Japan Universi ty Chamーpionships were recorded wi th a video camera which de‐ p1ayers. The A1 ion traces ofp1ayers using the DLT method.ェt was possib1et。 depict a trace 。fthe picted1ocomot i locomot ion distance and speedforthecompet torsinthe mLatch area‐ Distances betweentwo com- i ) dur ing a match were also calculated usinglocomotory f tors (ma‐ai loor patterns to see how pet these distances changed‐ Theresul lows: ts ofth i sstudy are as fol 1.The occurrence percentageofc losevic ini 51 ty (2- 25ー . ・or1ess) and one-step-one-sworddistance(. 3 5m) during a match were61.4% and23 9% respectively‐ ‐ ‐ 2. The1r iat ions ofthe distancetraveledin a iean and standard dev l l mLatches was474 2±166 2m‐ . ‐ AsforcomL i lar paced mLatches wereinspected and the pace of move- tors,thetrends ofsimi pet , f fference between winner andloser groups‐ icant di mentduring mLatchesshowed no signi 3‐ComL ingplayerstendedto usethecentralpart(Zone A) ofthecourt pet ・nost86‐7% of a match ‐ A1 occured in Zone A. The movementspeedsi 6% ofthe n a match were l‐4±0‐34m /sec . A1most45 ‐. imein matches wascharacterized bylocomot t ion 。flessthan l m /sec. Theabove‐ment ioned resul lose distance mLa‐all tssuggestthatc jor com ponent of a mLatch s a ma i tness factors are more dominantthan technical factors for universi ‐f and physical ty student players‐. (45).

(3) . 岡嶋. 46. 恒・巽. 申直・富樫 1. は. 泰一・勝本 じ. め. 真‐出口. 征富. に. 試合では, 一般的に相手に勝つことが目標となり, そのための競技力を高めるために, 通常の練習におい て体力, 技術, 精神力等の鍛錬が行われている. とりわけ, トレーニングを実施する上で, 前もっ て競技に 必要な技術, 戦術を探ることは必須条件となる. また, 試合中の競技者のプレー は, 目標達成の手段であり, 実践的なものである だけに, これまでにも試合分析の研究は, 競技力を向上させる ために意義あるものとし 2 3 8 ) 試合運 ・ ’ ・ て数多く報告されてき た. 剣道に関する試合分析の研究 は, 調 査法による有効打突の分類1 , ) に言 及 した も の 等 3 ) や 攻 め 方2 7 6 2 2 ) につ い て 報 告 した も の V T R 反 復 再生 法 によ る 有 効 打 突 の 出現 率1 ・ び1 . がある.. )を用いた移動軌跡図から 試合中の競技者の移動時間 移動距離 移動速度等を算 出 8 近年, DLT法1 , , , 9 ) 試合に要 し し, 熟練度による特性を明らかにする試み が行われている. 全日本選手権大会の選手の場合1 , た時間のうち, 殆どは位置移動がきわめて少ない静止に近い動きで占められ, 競技の展開位置は, より中央 0 ) 静止に近い動作 は 鍔ぜり合いによって費やされており, 部に偏向する傾向がみられ, 中学生選手の場合2 , , 1 ) 試合中の移動距離は青年, 成人競技者に比して顕著に大きいことが明らかにされている. また, 八段選手2 では, 近い間合いに比して一足一刀の間合いに占める割合が顕著に高いことが報告されている. 8 )については 移動速度 移動距離の報告はみられるものの 「間合い」 について しかしながら, 大学生1 , , 2 4 )を示す最も重要視されている要 素である. した 1 ’ の観察はされていない. 「間合い」 は, 剣道技術の妙味1 }が 限定さ れた 条 件 の 動 作 につ い ての 間 合 い を ) 直 原 ら5 ) 前 坂9 ) 香 田 ら6 が っ て, こ れま で にも, 小 関 ら7 , , ,. 0 2 1 )の中学生大会 八段戦を対象にしたも ・ 測定しているが, 実際の試合中の間合いを分析した報告は, 巽ら2 , の に 限ら れ て いる.. なお, これまでの移動距離に関する報告 は, 試合所要時間との関連で捉えられているために, 時間経過に 伴う競技者の動きのペースが明らかにされていない. 試合では, 自己のペースを崩さないことが経験的にも 重視されていることから, 試合時間の経過に伴う移動距離の推移を検討することを試みた.. 2. 研. 究. 方. 法. 1) 対象とした競技者及 び試合:1994年, 1995年に開催された第41 , 42回全日本学生選手権大会に出場した 選手 (各大会20名ずつ) 計40名が競技した20試合を対象とした. 標本抽出には, 同一競技者の重複を避ける ようにして行い, 1回戦から決勝戦までの試合の中から, 試合所要時間が大学生の試合制限時間 (5分間) の1/2以上を経過したものとした. 8 )の方法に準拠し 1lm 四方の試合場 全体がVT 2) VTR撮影方法と画像処理法:VTR撮影は, 巽ら1 , R画像内に入るようにカメラを固定設置し連続撮影をした. 画 像 の 分析 は, 1/60秒 単 位 で ゴ マ 送り 可 能 な ビ デオカ セ ッ トレコー ダー とパー ソナ ルイ ンポー ザーによっ 1 5 ) 法 を用 い て 実 平 面 上 の 2 次 元 座 標 を 算 ・ て 行 い, こ の座 標 値 を パ ー ソ ナ ルコ ン ピ ュ ー タ に入力 し, D L T4 出 し, 移動 軌 跡 図 を 求 め た. コ ン トロ ー ル ポイ ン ト は, 試合 場 の コー ナー の4 点 と 試合 場 の 中心 の 点, 計5. 点に設定した. 3) 「間合い」 の計測 と区分:赤.白競技者間の左足部間の距離を 「間合い」 として定めた. 間合いの計測 に先立ち, 赤.白競技者の画面上の同期を得るために, 1/100秒計タイマーをフ レーム上に写 しこん だ. 連続的に描記された移動軌跡の計測データは遮断周波数6Hzでデジタルフィ ルター を施 した後, 平滑 デー 3 )に示されている 「3つの間 合い」 の捉 え方に準拠 タとして処理をした. 間合いの区分法は, 剣道指導書1 (46).

(4) . . . 47. 剣道試合における男子大学生選手の移動軌跡の分析. 5m 以 5m 未満 を 「一 足 一 刀 の 間 合 い」 (M), 3 5m 以上3 して, 2 5m 未満 の 距 離 を 「近 い 間合 い」 (S) . ‐ ‐ ,2 ‐. 上を 「遠い間合い」(L) として定めた. なお, 一足一刀の間合いについては, 「竹刀 が剣先から, 二三寸 )と考えられている 測定上 上述の概念に 3 交錯したところで, 一歩踏み込め ば, 相手を打突できる距離」1 . , omと推測されるが, 個人差 (体格, 筋力, 技術, 竹刀の長さなど) 近似した条件は, 平均3 , スタンスの変 ‐ 化, 測定誤差を考慮して, 範囲を含んだ設定をした. また, 「近い間合い」 での展開を探る ために, VTR 画像から鍔ぜり合いの出現回数を求めた.. 4) 移動距離, 移動速度及び移動分布域の計測:移動距離は, 試合時間内の競技者の左足部の座標点を連続 的に結ぶことにより求めた. また, 移動速度の算出は, 1コマごとの距離を1/60で除して求め, 移動速度 と各速度で移動した総時間との関係 (移動速度分布) を求めた. また, 試合時間の経過による移動距離をみ るために試合所要 時間を10分割し, 各セクショ ンでの移動距離を算出し, 勝者側 と敗者側における平均値の 有意差を検定した. 5) 移動分布域の計測:競技者の試合場内での移動分布 をみるために, 1lm四方の試合場 (d) 内に中心が 腫 等 しい5 m 四 方 (a) , 9 m 四 方 (c) の エリ ア を画面上 に設 疋 し, ゾー ンA= a, B=b‐ , 7 m 四 方 (b) a, C = c - b, D = d - c の 4 区分 上での出現頻度を求めた. RU ワ十 にU r 【 J. . け L ” - ; .一入拭 , 吋 HM y. イ. 薯4 つリ リ乙. 「〔. ・. 轟. 醒. ,ムハメ. 施用=!粥y N. 1▲. - 11 Y Y y } 州WMMV 〕V 脚 k リム. 4. 5. 時間 (分) 図1. 試合中の間合いの経時変化 (代表例). 3. 結. 果. 1) 試合中の間合 いの変化 5m 毎の間合いの分布と出現 図1は, 試合中の間合い変化を経時的に示した代表例であり, 図2には, 0 ‐ 頻 度 が示 さ れて いる. 試 合 中 全 体 で, 最 も多 い 割 合 を示 した 間合 い は, 1 om 以 上1 5m 未 満 の24 3% であ り, . ‐ ‐ 次 い で, 1 5m 以 上2 om 未 満 の23 0% で あ っ た. 3つ の 間 合 い の 区分 で みる と, 「近 い 間 合 い」 での 割 合 が 最 ‐ ‐ . も多 く, 61 4% で あ り, 「一 足 -刀 の 間合 い」 で は, 23 9% であ り, 「遠 い 間 合 い」 で は, 14 8% を 占 め て い ‐ ‐ ‐. た. 図3に, 技能差による3つの間合い頻度の比較が示されている. また, 試合中の 「鍔ぜり合い」 回数の 2士6 48回を示していた‐ 平均値と標準偏差は19 ‐ ‐. (47).

(5) . 申直・富樫 泰一・勝本. 恒・巽. 岡嶋. 48. 真・出口 征宣. % 0. 10. 5. 15. 20. 25. 0 m未満 m以上1 .5 .o 1 m以上1 .5ヰ未満 .o 叩未満 1 .5m以上2 ‐0 2 m未満 皿以上2 .5 .0 2 m以上3 .5 ‐0申未満. 調 S‐25 m未満. 3 m以上3 .o ‐5中未満. □ M‐25m以 上3 .5m未満. 国未満 3 m以上4 ‐0 .5. 厩 L- 3 ‐5m以 上. ≠未満 4 m以上4 ‐5 ‐o 回未満 4 ‐5m以上5 .0 5 m以上5 ‐o ‐5叩未満 5 回未満 ‐5m以上6 .0. 図2 試合中の間合い頻度. 15 3 19.7 .. 65. 0. 31‐ 1. 62. . ・ ・ . ・ . .. 4.8. 0%. 3. 9. 20%. 圃 L-3‐5m以 上 園 Mー2.5m以 上3.5m未満 □ S‐2.5m未 満. ◆. 61. 4. 40%. 図3. 60%. 80% 100%. 技能差による3つの間合い頻度の比較. (4 8).

(6) . 1旭- 。 に お ける 男 子 子 、 のタ 跡の分析 の分 剣道試合における男子大学生選手の移動軌跡. 49. 2) 試合中の移動距離と移動速度 表1に, 試合所要時間, 移動距離および移動速度の平均値と標準偏差を示した. 移動距離の最大値 は9 21 ‐ 6m, 最小 値 は264 4m であ り, 平 均 値 は474 2m で あ っ た. 移 動 速 度 の 平 均 値 と 標 準 偏 差 は1 4±0 34m / 秒 ‐ ‐ ‐ .. であった. なお, 剣道の試合制限時間は, 大会規則により異なるため, 試合中の移動距離の他競技者との比 較は移動速度で行い, 中学生選手の値を100にした場合の比率では, 53 9%を示していた (図4) . . 表1. 各種剣道大会における試合の所要時間, 競技者の移動距離,. 移動速度の平均値と標準偏差. 大学生1. 所要時間0蹴). 移動距離(m). 移動速度(叫s e c ). Mー e 宅m. s.D・. Mean. s‐D.. Mean. 342 3 .. 68 1 ‐. 474 2 ‐. 166 1 ‐. s‐D‐. 1 40 ‐. 0 34 ‐. 1 .90. 0 38** ‐. 0 1=4の 8 ) 大 学 生 n1. 253 1 124 9** ‐ ‐. 8 476 ‐. 251 7 .. @=2の 9 ) 3033 246 ヰ 全日 本選手権1 . .. 3 341 ‐. 41 1** .. 1 13 ‐. 0 12** .. $* 88 .9. 0.60. ** 0 ‐12. 54 2 ‐. 0 34ネ* .. =20 G I り. 八段. 2 1 ). 309 .3. 134 .5. 180.6. 199 2 .. 5** 70 .. 494 8 ‐. ) 中 学生 鑓. 137 4 .. @=2の. 大学生1:本測定値,. 0 構‘. 1 0 \. t検定:大学生1と各大会間 (* p< 0.05. 2 0 \. . 3 0 \ \ \. 4 0 \\. % 5 0 \. 6 0 - \ \. 7 0 \ \. 8 0 \. 9 0 \. . 大学生 . 9 53 . 大学生( 1 9 8 9 ). 74 8 .. 八段選手 麗麗 麗欄麗麗鵬 3 6 . . 2 中学生. 全日本選手 欄 圃慶鰯圃 麗瞳鰯圃圃圃鵬欄 臓. o oとした場合 L 鴎中学生を・. 図4. 4 4 5 .. 昌. 単位時間当たりの移動距離. (4 9). “ p く001) .. 0 0 1.

(7) . 岡嶋. 50. 恒・巽. 申直‐富樫. 裏・出口. 泰一・勝本. 征宣. 移動距離(%) %未満 開始~10. 酬 ゑ ー, 川棚 ′ 中仙鞍 . “ “ ・ ′ ′. ′ ′ . ・ ~ ’ ・ { ′ . ” * . ・ サ , ” ′ . ・ ^ .. %~20 %未満 0 1. 2 1. 0 1. 8. 6. 4. ,晋榊名 , ′ Wム , , 」間 」. ー 人工. ネ. %未満 2 0%~30 ・ . ” { . ・. 謹禽獣海 溺. %未満 30%~40 0%~50 %未満 4. 1 1. 0%未満 50%~6. 『ず. 回. ′』. %未満 60%~70. // ’. 70 %~80%未満. \. ふr. %未満 0%~90 8. ▽.. % %~100 90. 図5. 試合経過と移動距離の関係. 試合所要時間に対する移動距離の割合 は, 経過時間が試合開始から10%までは, 勝者側が総移動距離の 3%であり, 一定 5 il - 7%を示し, 20%以降から試合終了までは, 勝者側, 敗者側共に9 5 5%, 敗者側で4 . ‐ . ‐ 0分割したいずれのセクショ ンにおいても両者の移動距離の平均 の移動距離を示していた (図5) . また, 1 値には, 有意差は認められなかった.. 3) 試合場での移動分布域 7%を占め, . 競技者の試合場における展開位置は, 中央部に近いAゾーンでの分布が最も多く, 全体の86 8% であ っ た‐ 1% で あり, 区画 線 に近 いD ゾー ンで の割 合 は0 5%, C ゾー ンで の3 . 次い でB ゾー ンで の9 ‐ ‐. 4. 察. 考. 大学生選手の試合では, 近い間合いでの攻防の時間が遠い間合いや一足一刀の間合いでの攻防の時間に比 om 以上 を越えている. 最 も多く出現する間合い は1 . して顕著に長く (図3) , その割合 は試合時間の6割 om 未 満 であ る. 前 者 の 間合 い は, 鍔 ぜり 合 い の 間 合い で あり, 後 5m 以 上2 5m 未満 の 距 離 で, 次 い で, 1 1 . ‐ .. 者の間合いは, 一足一刀の間合いより近く, つ ばぜり合いより遠い 「中間」 と呼ばれるものである. この試 0 } の試合展開に 1 )と異なり より中学生選 手2 合展開の傾向は, 一足一刀の間合いでの展開の多い八段選手2 , 0 ) 1 わめて危険な状態で あり, 剣 類似しているものである (図3) . 中間について, 三橋 は, 「この距離はき 理を活用 しなくても打突し得る距離であるから望ましくない間ということができる」 としている. したがっ て, 危険な状態である 「中間」 や鍔ぜり合いの頻度が多くみられることは, 最近の大学生の剣道試合がこれ まで考えられてきた技を一足一刀の間合いから出す試合内容と異なり, 近い間合いから打突する試合展開へ と変化しているものと推察できる. しかし, 試合内容の変遷については, 高校生選手や 全日本選手な ど各レ ベルでの試合内容と比較することにより技能の階層性を明らかにし, 各レベルでの縦断的分析により詳細に 論議される必要 がある と思われる.. 8 }の報告 ( 6 47 8m) 2mであり, 巽ら1 4 . 次に, 移動距離から大学生選手の試合をみる と, 今回の平均値は47 ‐ と統計上有意な差はみられず同様な結果であった. しかし, 試合の所要時間には有意差 がみられ, 本研究の (5 0).

(8) . 剣道試合における男子大学生選手の移動軌跡の分析. .. 51. 0 1) 方が長い. そこで, 単位時間当たりの距離 (速度) を比較をすると, 本研究の移動距離は有意 (p <0 . 8 )の対象 は1989年の試合であり 当時と比較すると, 今回の大学 生の試合中の に小さい値を示した. 巽ら1 , 1 )が指摘している よう に熟練度 が高いほ ど少な 移動距離 は減少していることがわかる. 移動距離は, 巽ら9 くなる傾向がみられ, このことから考えると, 近年の大学生選手の技術は全体的に向上している傾向を示す 9 }の技術 ものと推察される. これは熟練者の多くにみられる 「静止に近い状態 から急速な打突への移行」1 的な動作を可能にする 大学生の競技者が増加していることに起因するものと考えられる. また, 各レベルの 競技者の単位時間当たりの移動距離を比較する と, 中学生選手の値を100とした場合 (図4) , 今回の大学生 23 6 ) の2倍強 となり, 一 9である. 中学生選手の約1/2の移動距離であり, 八段選手 ( 選手の値 は, 53 . . 4 5) の移動距離に近似する傾向を示した. これは, 熟練度が高くなるほ ど移動距離は少 方, 全日本選手 (4 ‐ 2 0 2 1 } を補強するものであり 大学生選手の試合における打突動作は 高段者にみられ 9 ・ ’ なく なる と いう 報 告1 , , る体力より技術へ依存する動作内容へと変化している傾向がうかがえる. 試合の進行に伴う移動距離の推移をみる と (図5) , 移動距離は, 試合開始直後の間 は, やや少ない もの のいずれの時間帯においても変化 はみられず, 一定のペース展開の中で試合は実施されている. 開始直後の 移動がやや少ないのは, 相手の動き, 攻め方な どの特徴を静止に近い状態で把握するためと考えられる. ま た, 勝者側 と敗者側の移動距離に有意差はみられず, ほぼ同様な動きで試合が進行さ れていることが確認さ れ, 移動距離の大小 が勝敗に影響する差異は認められなかっ た. 剣道は対人競技であり, その技術は相手と の動きの変化の中で成り立っ ており, 且つ試合時間も短時間である ため, 一方の動きに相手が常時, 素早く 対応しているためと考えられる. 今回の分析結果は, 大学生に限られており, 高段者, 初心者な どの他の技 能レベルの試合ペースについて は明らかにされていないことから, 今後, 他のレベルの競技者との比較検討 が必要と思われる. 移動速度の分布から試合中の動きをみると, 大学生選手は毎秒lm以下の動き (移動の少ない静止状態) 9 )(719 6% と 試 合 の 大 半 を 占め てい る. しか しな が ら, こ の 割 合 は, 全 日 本 選 手1 の 割 合 が試 合 中 全 体 の45 . ‐. 0 )( 2 1 } 65%) 中学生選手2 53 6%) に比して最も少ない. すなわち, 大学生選手は各レベ %) ‐ ‐ , , 八段選手 (6 ルの競技者に比して動きのある内容を有することを表している. 近い間合いの攻防が多く, 試合展開が類似 0 )と比較すると 大学生選手は中学生選手に比 して15 2 5m の中間での展開が増加 し している中学生選手2 ‐- ‐ , て お り, こ の こ と が, 静止 に近 い 状態 を 減 少 さ せ て いる と 考 え ら れる‐. 静止に近い速度の動作内容と しては, 鍔ぜり合いと一足-刀の間合いでの攻防に要するものとして捉えら 1 ) で は 近 い 間 合 い (鍔 ぜり 合 い を 含 む) (311%) に比 して 一 足 一 刀 の 間 合 い の 占 め れてお り, 八段 選 手2 . ,. 2 5%) が顕著に高く, この間合いが試合展開の主な構成部分であることが指摘されている. 大学 る割合 (6 ‐ 23 9%) に比べて近い間合い (中間での攻防を含む) での割合 生選手の場合, 一足-刀の間合いでの割合 ( . 48回であることから, 静止に近い動作内 2±6 (61 4%) が高く, また, 試合中の鍔ぜり合いの平均回数も19 ‐ . . 容は, 八段選手の一足一刀の間合いによる攻防と異なり鍔ぜり合いによるものにより多く占有されていると 言 える.. 7%である. 巽 試合場での展開位置は, 試合場の中心に近い中央部での展開が最も多くA ゾーンのみで86 ‐ 1 } の移動分布域と比較 1 9 2 0 2 1 8 ) の 大 学生 の 報 告 で も852% で あ り ほ ぼ同 様 な値 を示 して い た 他 の 大 会1 ・ ・ ’ ら1 . ‐ ,. する と, 熟練度が高くなるほど中央部での展開が多くなる傾向がみられ, 今回の結果もその傾向に一致する もの と思われる. 試合展開が中央部へ偏向する理由として, 「場外反則によって勝負 が不利になることを回 9 ) 「道場での伝統的な稽古形式による空間使用の習慣が影響 し 通常の互格稽古等で用いら 避すること」1 , , 2 0 ) れる限られた空間利用の様式が反映されていること」 などが考えられている が, さらに, 青年期の競技 者に特徴的にみられる危険な状態である中間での攻防を可能にする技術の影響が考えられる. 剣道の特性を 1) (5.

(9) . 52. 岡嶋. 恒・巽. 申直‐富樫 泰一・勝本. 真・出口 征宣. 反映させるべき試合規則は, 多角的な判断を必要とされる と思われるが, 移動軌跡から観察すると, 試合の 殆どが中央部で展開する偏向を示していると言える.. 5. 約. 要. 大学生剣道選手の試合特性を明らかにするために, DLT法を用いて試合中の移動軌跡を求め, 移動距離, 移動速度, 移動軌跡の分布域及び間合いの変化を検討した結果, 次のような結論が得られた. 1, 試合中の間合いは, 近い間合い ( 2 5m未満) での攻防が最も多く, 61 4%を示 し, 一 足 -刀の間合い ‐ ‐ 5m 以 上3 (2 5m 未 満) で の割 合 は23 9% であ っ た. . . ‐. 2, 試合中の移動距離の平均値と標準偏差は, 474 2士166 2mであり, 競技者は殆ど同様な移動ペースで試 . . 合をする傾向が示唆された. また, 試合の勝者と敗者の移動ペースには有意な差はみられなかっ た. 3, 試合場での移動分布は, Aゾーンで, 全体の86 7%を示した. また, 移動速度の分布は, lm /秒未満 ‐ 6%であっ た. での動きが最も多く, 全体の45 ‐ これらのことから, 大学生剣道選手は, 近年, 熟練度が全体的に向上 していると推察できるものの, 試合 展開の主な構成部分がス ピー ドやパワーの影響を受けやすい近い間合いであるため, 技術よりも体力への依 存度が大きい試合特性を有していると考えられる.. 参. 考. 文. 献. 2 9 1 ( ) 7 0 7 1 7 8 1) 平川信夫, 坪井三郎:剣道の試合時における技と運動性について, 武道学研究1 ‐ . ‐ ,pp ,1 1) 20 22 98 5 2) 平川 信夫 : ヨーロ ッパ剣 道選手権大会の分析研 究, 武道学研究17( ‐ . , pp. ,1. 2 ) 9 1 2 8 8 ( 9 9 5 3) 平川信夫:第6回世界剣道選手権大会の調査分析研究, 武道学研究1 … . ,1 , PP. 2 1 17 0 98 3 i 63 Sc 4) 池上康男 : 写真撮影による 運動の3 次元的解析法, Jap‐J. ‐ . ‐ ,1 , pp‐. 5) 直原 幹, 木村賢二, 三浦望慶, 榊原 潔:剣道における面打翠高の違いが構え, 間合, 打撃動作に及ぼす影響 (その2) , 武道学研究1 9(2) 1 47 148 ‐ . , pp. , 1986. 2 1 1 5 0 ( ) 6) 香田郡秀, 吉田泰将, 坪井三郎:剣道における間合の研究‐有効打突の可能な間合について一, 武道学研究2 - ‐ , pp 1 16 . , 1987 7) 小関. 117 1 1 8 987 康, 塩入宏行 : 剣道にお ける一足一刀の 間合 と足の位置関係, 武道学研 究20(2) ‐ . , pp. ,1. 2 9 ( ) 7 7 7 8 9 8 6 8) 前田シン子, 八木沢 誠:剣道における有効打突の分析的研究, 武道学研究1 ‐ . . ,pp ,1 2 1 7 1 5 9 9 0 3 ( ) 5 8 9) 前坂茂樹:間合いと有効打突との関連性一面打ち時における間合いについて一, 武道学研究2 ‐ . ‐ ,1 ,pp 27 8 286 97 3 10) 三橋秀三 : 剣道 (3 版) ‐ . ,1 , 大修館書 店, pp.. 1 1 ) 岡嶋 恒, 巽 申直, 富樫泰一:剣道試合における競技者の移動軌跡の分析‐高校生女子選手について一, 北海道体育学 研究28 77 83 ‐ . , pp. , 1993 35 36 988 手順 2 1) 佐 久間三郎 : 続剣道の - . ,1 , 体育とス ポー ツ 出版社, pp.. 1 3 ) 佐藤 忠三 : 剣 道の学 び方, 体育とスポー ツ 出版社, pp.120‐125 . , 1982 3 2 1 2 7 9 7 1 6 1 4 ) 高野佐三郎:剣道 (覆刻本) ‐ ‐ . ,1 , 剣道研究会,pp 20 2) 197 5 i 15 )Shapi ‐ nematography. Res : Directlineartransformation forthree dimensionalc ro, R. .Quart .49( , pp. , 1 978 .. 6 6 6 9 4 ( 1 7 7 ) 1 6 ) 内匠屋 潔:全日本剣道選手権大会試合分析, 武道学研究7 ‐ . . ,pp ,1 2 2 9 8 6 8 2 4 7 5 1 7 ) 巽 申直, 浦井俊憲, 塩入宏行:剣道試合時の有効打突とその判定について, 茨城大学教養部紀要1 ‐ . . ,pp ,1 6 9 9 0 ( 2 1 5 5 1 5 3 ) 8 ) 巽 申直, 服部恒明:DLT法による剣道試合中の足部移動軌跡の分析, 武道学研究2 1 ‐ . ‐ ,1 ,pp ( 2 ) 5 1 9 ) 巽 申直, 佐藤善哉, 服部恒明 岡嶋 恒:全日本剣道選手権大会における競技者の移動軌跡の分析, 武道学研究2 , 47 992 53 ‐ pp‐ . ,i. (5 2).

(10) . 1胆… □ に お ける 子 子 、 の ・の 剣道試合における男子大学生選手の移動軌跡の分析. 53. 7 ( 2 ) 2 0 ) 巽 申直, 服部恒明, 富樫泰一, 渡選由陽, 岡嶋 恒:移動軌跡からみた中学生剣道選手の試合特性, 武道学研究2 , pp‐1‐7 . , 1995. 0 2 1 ) 巽 申直, 服部恒明, 富樫泰一:剣道試合における競技者の移動軌跡の分析一八段選手の場合一, 茨城大学教養部紀要3 , 187 193 ‐ pp‐ ‐ , 1996. 2 2 ) 宇都宮伸二, 大塚忠義:現代剣道の技術の変化と試合規程に関する研究 (その1) 一試合における技術の実態に関する研 9( 2) 79 80 986 究一, 武道学研 究1 ‐ . ,1 , pp. 23) 渡辺 香, 恵土孝吉 : 全日本剣 道選手権 試合で発現さ れた技術, 武道学研究1 5( 2) 68 69 98 2 ‐ . , pp‐ ,1. (本学助教授 釧路校). (5 3).

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