気候変動 の電灯使用量 に及 ぼす影響
黒
坂
裕
之
Impact of the climatic
change on the demand
of electric
energy in the domestic purposes
in Japan.
Hiroyuki KUROSAKA 1.は じ め に わ が 国 の エ ネ ル ギ ー総 消 費 量 は1965年 か ら 1987年 ま で に 年 率4.6%で 増 加 し て い る.こ れ を 部 門 別 構 成 比 の 推 移 で み る と,1965年 に は65.2%で あ っ た 産 業 部 門 は 第1次 石 油 危 機 以 降,次 第 に ウ エ イ トが 減 少 し,1987年 に は 53.1%と な っ た.一 方,民 生 部 門 は1965年 に 17.2%で あ っ た が,1987年 に は24.6%と 増 加 し て い る.と りわ け そ の 中 の 家 庭 部 門 は 着 実 に 増 加 して い る. 家 庭 用 エ ネ ル ギ ー の 中 で,電 力 は ク リ ー ン で あ り,種 々 の 用 途 に 利 用 す る こ と が 可 能 で あ る.ま た,微 妙 な コ ン トロ ー ル を必 要 とす る エ ネ ル ギ ー 用 途 に も適 し て い る.そ の た め, 家 庭 内 の 様 々 な 用 途 で 使 わ れ て い る.特 に, 冷 房,照 明 ・換 気,情 報 伝 達 な ど の 用 途 に 使 わ れ て い る.さ ら に,給 湯 用 に も使 わ れ る よ う に な っ て き て い る.こ の 中 で,気 候 条 件 に よ っ て 需 要 が 変 動 す る と 考 え ら れ る の は 冷 房 と照 明 で あ る. 冷 房 用 エ ネ ル ギ ー の 主 体 は 電 力 で あ り,近 年 著 しい 伸 び を示 して い る.科 学 技 術 庁 資 源 調 査 会(1985)に よ る と,冷 房 用 エ ネ ル ギ ー は1970年 に は わ ず か1世 帯 当 り 年40Mcalで あ っ た.家 庭 用 エ ネ ル ギ ー消 費 に 占め る そ の 割 合 は,0.7%に す ぎ な か った.1979年 に は 140Mcalへ と伸 び,1970年 の3.5倍 に増 加 し て い る.こ の9年 問 の年 平 均 伸 び率 は15%と 他 の用 途 に比 較 して 著 し く高 い. しか し,涼 夏 で あ った1976年 の冷 房 用 エ ネ ル ギ ー消 費 は,対 前 年 比 で40%減 少 して い る. 1980年 に は電 気 料 金 値 上 げ の影 響 もあ っ たが, 冷 夏 の た め,対 前 年 比 で65%の 減 少 を記 録 し た.こ の よ うに そ の推 移 は,年 々 の気 候 条 件 の 影響 を 受 け て い る. 季 節 ご との電 力 消 費 状 況 の 変化 を示 す 月 別 日最 大3日 間平 均 需 要 電 力 の 推 移 をみ る と, 1975年 ご ろ まで は 月毎 の変 動 が さ ほ どな く, 12月 の 需 要 量 が他 の 月 に比 べ て 大 きい とい う 形 に な って い た.そ の後 ク ー ラ ーの 普及 に よ り,徐 々 に夏 季 に お け る電 力 需 要 の 突 出 が 大 き くな っ て きて い る.こ の傾 向 は東 京 電 力, 関西 電 力 とい った 大都 市 をか か え る電 力 会社 ほ ど,は っ き り現 わ れ て い る(松 井,1986). 気 候 条 件 と電 力 需 要 との 関係 の研 究 は,必 ず し も多 くは ない.た とえ ば,1985年 度 夏 期 (7月1日 ∼9.月20日)の 平 日54日 間 を対 象 と した 電 力9社 の 各 社 日最 大 電 力 需 要 と気 温 ・湿度 ・日照 な どの 気 象 条件 との相 関 の研 一25一
究(石 井,1988)に よ る と,9社 の う ち,7 社 で は 日平 均 気 温 との 相 関 が,0.85∼0.96と も っ と も高 く な っ て い る. 東 京 電 力 に お い て は,日 平 均 気 温 と の 相 関 は0.951,15時 の 気 温 ・相 対 湿 度 を使 っ て 求 め た 不 快 指 数 と の 相 関 は0.938で あ る.関 西 電 力 に お い て は,日 平 均 気 温 と は0.953,日 最 高 気 温 と は0.920と 高 い 相 関 に な っ て い る. 単 相 関 の1位 と2位,1位 と3位 と い う2要 素 で 重 相 関 を と る と,単 相 関 よ りは や や 良 く な る と い う結 果 が 出 て い る.た だ し,そ の 差 は0.01程 度 で あ り,ま た 各 要 素 は独 立 の も の と は い え な い. 2.研 究方 法 と資 料 家 庭 用 の電 気 使 用 量 は電 灯 使 用 量 と呼 ば れ て い るの で,以 下 で は電 灯 使 用 量 と呼 ぶ こ と にす る. 年 間 電 灯 使 用 量(Ept)は 次 の よ う に表 す こ とが で き る. Ept=N・Ep (1) こ こで,Nは 契 約 口数,Epは 一 契 約 口数 当 た りの年 間電 灯使 用 量 で あ る.契 約 口 数 は ほ ぼ世 帯 数 に等 しい と考 え られ る ので,Epは 一 世 帯 当 た りと考 え て よい で あ ろ う. さ らに,一 世 帯 当 た りの年 間 電灯 使 用 量 は 次 の よ う に表 す こ とが で きる. Ep=[X]・[Y]・[Z](2) こ こで,[X]は 電 気 機 器 の 普 及 率,[Y]は 効 率,[Z]は 使 用 時 間 な い し使 用 頻 度 に 関 す る量 を表 わ す. な お,[X]の 内 容 に は,技 術 開 発 に よ る 新 た な家 庭 用 機 器 の 出現 とい う こ と も含 まれ る.[Y]に は省 エ ネ ル ギ ー技 術 に よ る効 率 向上 の要 素 が あ る.効 率 の向 上 は普 及 率 を増 加 させ るで あ ろ う し,使 用 時 間 を増 加 させ る こ と も考 え られ る.使 用 時 間 ない し使 用 頻度 ([Z])に か か わ る事 項 と して は,生 活 様 式, 、電 気 料 金,効 率 な どが考 え られ る.こ の よ う に,こ の3つ の 項 は相 互 に関 係 し合 って い る. 例 えば,石 油 危 機 は家 庭 用 エ ネル ギ ー消 費 に次 の よ うな影 響 を及 ぼ した.第1次 石 油 危 機 の1973∼74年 に か け て は,1世 帯 当 りの年 間 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 は7000Mcalか ら 6700Mcalへ と約4.3%減 少 した.1978∼79年 の 第2次 石 油 危 機 で は,約8200Mcalか ら 8100Mcalへ と約1.1%減 少 した. 気 温 な どの 気 候 条 件 の 変 化 は[Z],す な わ ち使 用 時 間 な い し使 用 頻 度 を変 化 させ,そ の結 果 と して電 灯 使 用 量 を変 化 させ るで あ ろ う.気 候 条件 以 外 の社 会 ・経 済 的 要 因 な らび に技 術 的 要 因 に よる変 動 の影 響 をで き るだ け 取 り除 き,気 候 条 件 の み にか か わ る変 動 を抽 出 し,気 候 変 動 が電 力 需 要 に ど の程 度 の影 響 を及 ぼ し℃ い るか を検 討 す る. 先 に述 べ た よ うに,一 世 帯 当 りの 年 間 電灯 使 用 量 の 変動 部分 の主 要 な もの は夏 期 の 冷房 に よ る もの と考 え られ る. 主 に使 用 した資 料 は東 京 電 力 お よ び関 西電 力 の1965∼1987年 度 の電 灯 使 用 量 ・契 約 口数 で あ る.気 温 の資 料 は東 京 電 力 につ い て は気 象 庁(東 京都 千 代 田 区大 手 町)の 値 を,関 西 電 力 につ い て は大 阪管 区気 象 台(大 阪 府 中央 区大 手 前)の 値 を代 表 値 と して 使 用 す る. 2、1.「 平 年 収 量 ・作 況 指 数 」 の概 念 の 借 用 に よ る方 法 気 候 条件 以外 の社 会 ・経 済 的 要 因 な らび に 技 術 的 要 因 を除 くた め に,農 業 分 野 で 使 用 さ れて い る 「平 年収 量 ・作 況 指 数 」 の 概 念 を借 用 す る.平 年 収量 とは作 物 の 栽 培 を開 始 す る 以 前 に,そ の 年 の気 象 の推 移 や 被 害 の 発 生状 況 な ど を平 年並 とみ な し,最 近 の栽 培 技術 の 進 歩 の 度 合 い や作 付 変 動 等 を考 慮 して,実 収 量 の す う勢 を基 と して作 成 した その 年 に予想 され る収 量 で あ る.作 況 指 数 と は作 柄 の 良否 を表 わ す指 標 で あ り,平 年 収 量 に対 す る収量 (ま た は予想 収 量)の 指 数 で あ る. 電 灯 使 用量 の伸 び は気 候 以 外 の社 会 ・経 済 的要 因や技 術 的要 因 を反 映 して い る と考 え る
こ とが で き る.気 候 の 影響 は,電 灯 使 用 量 の 対 前 年 比 の 変動 と して 現 わ れ る.当 年 の気 候 そ の もの よ りは,前 年 との 気候 差 に大 き く影 響 さ れ る と考 え る こ とが で きる. 2.2.傾 向 曲線 の 利 用 に よ る除 去 の 方 法 一 世 帯 当 た りの年 間電灯 使 用 量 は ほ ぼ毎 年 増 加 して い る.こ の増 加傾 向 は,気 候 条 件 以 外 の社 会 ・経 済 的要 因 な ら びに技 術 的要 因 に よ って もた らされ て い る と考 え られ る.つ ま り,技 術 開発 に よ る新 た な家 庭 用機 器 の 出現 や,省 エ ネル ギ ー技 術 に よる効 率 向 上 に よ る 普 及 率 の 増加 な どの効 果 で あ る.こ の よ う な 傾 向(ト レン ド)を もつ 時 系列 デ ー タ に対 し て は 回帰 曲線 を求 め,そ の 回 帰 曲線 を トレ ン ドと考 え る こ とが あ る.回 帰 曲 線 か らの残 差 を変 動部 分 と考 え るの で あ る. 電 灯使 用量 の傾 向 曲線 か らの残 差 が 気 候 の 影 響 を表 現 して い る と考 え られ る. 3.結 果 と考 察 3.1.の び率 と気温 との関 係 まず,(1)式 に従 って,一 世 帯 当 た りの 年 間 電 灯使 用 量 を算 定 した.さ らに,そ の 対 前 年 比 をパ ーセ ン トで表 わ す. 先 に述 べ た よ うに,電 灯 使 用 量 の 変 動 は夏 の冷 房 需 要 に よ って変 動 す る部 分 が 大 きい と 考 え られ る.そ こで,電 灯 使用 量 の対 前 年 比 と,8.月 の平 均 気 温(T8m),8月 の 日最 高 気 温 の 平 均値(T8max),夏 期(・) 平 均 気 温(Tsm),日 最 高 気 温 の夏 期 平 均 値 (Tsmax)の 各 々 の 対 前 年 差(上 の 記 号 に 「差 」 を付 け て 示す)と の相 関係 数 を計 算 す る.そ の 結 果 を表1に 示 す. 東 京 電 力 につ い て は 日最 高気 温 の8月 平 均 値 の対 前 年 差 が,関 西 電 力 につ い て は夏 期 平 均気 温 の前 年 差 が,も っ と も高 い 相 関 を示 す. 直 線 回帰 式 の係 数 は,前 年 よ り気 温 が1度 上 昇 す る と東京 電 力 で は0.77%,関 西 電 力 で は 1.90%,電 灯 使 用 量 が 増 加 す る こ とを示 す. 次 に,先 に示 した 相 関 の高 い気温 要 素 に よ って,気 温 前 年 差 の 上 位5ヵ 年 を温 暖 化 年 と し,気 温 前 年 差 の下 位5ヵ 年 を寒 冷 化 年 と し て抽 出す る.東 京 電 力 の結 果 を表2に 示 す. 関 西 電 力 の結 果 を表4に 示 す.*記 号 の年 は 石 油 危機 の 年 で あ る. 東 京 電 力 につ い て は,表3に8月 の 日最 高 気 温 の月 平 均 値 か らみ た温 暖年 と寒 冷 年 も参 考 の た め に示 す.東 京 の場 合,気 温 前 年 差 の 上位5ヵ 年 が8月 の 日最 高 気温 の 月平 均 値 の 上位5ヵ 年 と一致 しな か っ たた め で あ る. 東 京 電 力 で は,温 暖化 年 と寒 冷化 年 との差 は対 前 年 差 で5.02度,気 温 差 で2.34℃ で あ り, 電 灯 使 用 量 の 対 前 年 比 の差 は4.10%で あ る. 8月 の最 高 気 温 が 前 年 よ り1度 上 が る と,電 灯 使 用 量 は0.82%増 加 す る こ とに な る. 8月 の 日最 高 気 温 の月 平 均値 に よっ て決 め られ た温 暖 年 と寒 冷 年 の気 温 差 は3.46度,対 前 年 差 は3.00度 で あ る.電 灯 使 用 量 の対 前 年 比 は4.40%で あ った. 関西 電 力 で は,温 暖化 年 と寒 冷 化 年 との 差 は対 前 年 差 で3.12度,気 温 差 で1.66℃ あ り, 電灯 使 用 量 の対 前 年 比 の差 は6.76%で あ る. 夏期 の平 均 気 温 が 前 年 よ り1度 上 が る と,電 灯使 用 量 は2.17%増 加 す る こ とに な る. 以 上 か ら,お お まか に い って,気 温 が 前 年 よ り1度 上 昇 す る と電 灯 使 用 量 は0.5∼2% 増 え る こ と にな る とい え る. 3.2.残 差 と 気 温 と の 関 係 東 京 電 力 を 例 と して 示 す. 図1に 電 灯 使 用 量 の 経 年 変 化 を 示 す.図 中 の 曲 線 は 傾 向 曲 線 で,次 式 の よ う に な る. Ep=3056.7・Log(Yr)-9983.4 (y=0.991:8) こ こ で,Yrは 昭 和 で 示 す 年 度 で あ る.相 関 係 数 は0.9918で あ る. ち な み に傾 向 を 直 線 で 表 現 す る と, Ep=60.30・Yr-1066.4 (y=0.9859) 一27一
表1気 温 と一 世帯 当 た りの年 間電 灯使用 量 の対 前年比 との 相 関 T8m差 TAmax差 Tsm差 Tsmax差
東京電力
関西電力
0.552 0.640 0.595 4.553 0.496 0.685 0.553 0.621 表28月 の 日最高 気温 の 月平均値 対 前年差 か らみ た温暖 化年 と寒冷 化年(東 京電 力)寒冷化年
温暖化年
T 8欄ax差 T8max
前年比
T 8max差 T8max前年比
1968 *1974 1y76 *1979 *1980 一1 .8 -1 .6 -2 .4 -2 .0 -4 .4 30.2 31.1 29.1 31..0 26.6 105.1 99.9 101.9 100.2 97.3 196? 173 197$ 1981 1984 +1.5 +2.0 +4.6 +3.4 +1.4 32.0 32.7 33.0 30.0 32.0 105.0 105.5 106.? 102.3 103.2
平均
一2.44 29.0 100..44平均
剛+2.58 31.94 104.54 温 暖 化 年 と 寒 冷 化 年 の 差5.02234 表38月 の 日最 高気温 の 月平均 値 か らみた温 暖年 と寒冷 年(東 京 電 力) 4.10寒冷年
温暖年
T8maxT $max差
前年比
T 8maxT 8max差前年比
197629.1 197728.4 *198026.6 198130.0 198630.0 一2 .4 -0 .7 -4 .4 +3.4 -1 .1 101.9 102.6 9?.3 102.3 100.2 1967 1970 1973 197$ 1984 32.0 31.7 32.? 33.0 32.0 +1.5 +0.3 +2.0 +4.6 +1.4 105.0 106.1 105.5 106.7 103.2 平 均28.82 一1 .04 100.90
平均
32.28 +1.96 105.30 温 暖 年 と 寒 冷 年 の 差346300 表4夏 期平均気温対前年差からみた温暖化年 と寒冷化年(開 西電力) 寒 冷 化 年 温 暖 化 年 4.40 T sm差 Tsm前年比
T sm差 TSI騙前年比
196$ >k1.974 176 *1980 192 一1 .9 -1 .1 -1 .8 -1 .5 -1 .3 25.1 25.? 25_..2 25.2 24.9 103.3 98.6 101.9 96.8 98.8 1969 1973 1975 1977 1983 +1.3 +1.5 +1.4 +1.? +2.1 26.5 26.$ 27.1 27.0 27.0 108.6 105.9 105.9 103.7 109.1平均
一1 .52 25.22 99.88平均
+1.60 26.88 106.64温暖化年 と寒冷化年 の差
3.121.66 6.76図1東 京 電 力 に お け る電 灯 使 用 量 の 経 年 変 化 。 図の上部は総電灯使用量(Ept)を 示す。
図の下部は1世 帯当た りの電灯使用量(Ep)を 示す。 図中の曲線は傾 向曲線であ る。
図2傾 向 曲 線 か らの 残 差 と夏 期 の 日最 高 気 温 平 均 値 の 経 年 変 化 。 図の下部 は、傾向 曲線 か らの残 差(△Ep)を 示 す。 図の上部 は、東京 における7-9月 の 日最高気温の平均値(T)を 示す。 と な る.,相 関 係 数 は0.9859で あ る. 他 の9つ の 電 力 会 社 に つ い て も,対 数 で 表 現 し た 式 の 方 が 相 関 は 良 い と い う 結 果 が 得 ら れ て い る. 図2の 下 は,傾 向 曲 線 か ら の 残 差(△Ep) を 示 す.図2の 上 は,東 京 に お け る7-9月 の 日 最 高 気 温 の 平 均 値(T)を 示 す.昭 和46 (1971)年 以 後 は,残 差 の 変 化 と 日最 高 気 温 の 平 均 値 の 変 化 が ほ ぼ 並 行 し て お り,良 い 対 応 関 係 が あ る こ と を示 し て い る. そ こ で,昭 和46年 以 降 に つ い て,△Epと Tの 回 帰 式 を 求 め る.そ の 回 帰 式 は, DEp=40.94・T-1156.5 (y=0.7128) と な る.相 関 係 数 は0.7128で あ る. 残 差 と7-9月 の 日最 高 気 温 の 平 均 値 との
回帰 曲線 の 回帰 係 数 か ら考 えて1℃ の気 温 上 昇 は約40キ ロ ワ ッ ト時 の 電灯 使 用 量 の増 加 と な る.1987年 の 場 合,年 間 の 電 灯 使 用 量 が 2613キ ロ ワ ッ ト時 で あ った の で,こ の40キ ロ ワ ッ ト時 とい う数 値 は年 総 量 の 約1.5%に あ た る. 4.ま と め この研 究 は来 世 紀 前 半 に予 想 さ れ る地 球 温 暖 化 に よ ってエ ネル ギ ー 需要 が どの よ う に変 化 す るか を推 定 す るた め の研 究 の一 部 で あ る. 特 に家庭 用 の電 気 使用 量 の変 化 の推 定 に 関 す る結果 を報 告 した.大 都 市 をか か え る東 京電 力 と関西 電 力 につ い て研 究 を行 な った. 家庭 の電 気 使 用量 の推 定 に は,電 気 機 器 の 普 及率 や家 庭 生 活 の変 化 な ど,関 係 す る要 素 が 多 く,多 方 面 か らの検 討 が 必 要 で あ る.こ こで は,2つ の方 法 に よ って 気 候 条件 以 外 の 要 因 に よ る変動 の 除去 を試 み た. まず,気 象 条件 以 外 の 要 因 は 電気 使 用 量 の 伸 び率 に対 して,前 年 と同 じに働 く と考 え, 気 候 の 影響 は対 前 年 比 の 変化 と して現 わ れ る と考 えた.こ の対 前 年 比 に よる検 討 か ら,お お まか に い っ て,気 温 が前 年 よ り1度 上 昇 す る と電 灯 使 用 量 は0.5∼2%増 え る こ と に な る とい え る. 次 に東京 電 力 に関 して,傾 向 曲線 を利 用 し, ト レン ドを 除去 した.傾 向 曲線 か らのず れで あ る残 差 は ・ 一の 日最 高気 温 の平 均 値 と 相 関 が 非常 に よい,残 差 と7-9月 の 日最 高 気 温 の 平均 値 との 回 帰 曲線 か ら1度 の気 温 上 昇 は約40キ ロ ワ ッ ト時 の 電気 使 用 量 の増 加 と して現 わ れ る こ とが 明 らか とな っ た.40キ ロ ワ ッ ト時 とい う数 値 は1987年 の場 合 で 年 総 量 の 約1.5%に あ た る. この傾 向 曲線 を利 用 す る方 法 は いず れ もそ の相 関係 数 はか な り高 い.そ の こ とか ら,あ る程 度 の妥 当 性 が あ る と考 え て よ い.東 京電 力 の場 合 は電 灯 電 力使 用 量 の主 体 が 東 京都 に あ り,そ のた め,夏 期 の気 温 と して 東 京 の値 を用 いて そ れ な りの結 果 が で た もの と考 え ら れ る. 今 後 は,他 の 電 力会 社 につ い て も,同 様 の 検 討 を行 ない,さ らに,県(支 社)別 の統 計 の入 手 で き る と ころ につ い て は,県 別 で も 同 様 の検 討 を行 な う予 定 で あ る.さ ら に月 別 の 資 料 が 入 手 可 能 で あ れ ば,季 節 変 化 につ い て もさ ら に検 討 を加 え た い.