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学習内容の対人関係に及ぼす影響

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Academic year: 2022

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(1)

学習内容の対人関係に及ぼす影響

著者 幸山 彰ー, 亀田 富子

雑誌名 高校教育研究

号 14

ページ 62‑66

発行年 1963‑03‑10

URL http://hdl.handle.net/2297/00063393

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

学習内容の対人関係に及ぼす影響

(I〕 主 題 に つ い て

金沢大学付属高等学校

幸 山 彰 ー 亀 田 富 子

現場にあって,内容選択には,その教材のもつ潜在価値を十分に知り効果的な指器をする ことが望ましいことは論を俣たない。

文部省の解説魯における各教材の特長解説の字旬は,無雉であると同時に誤解を生み易い ものである。例えば,陸上競技では社会的態度の発達は望めないと思い込むようなことであ る。これは明らかに採択側の誤りではあるが,ありがちなことでもある。

とまれ,数多くの教材が,手段,方法によって,どのような人間関係の変化を生じてゆく かを調査し,人間関係の調整という目的達成のために,どのような貢献をなしうるかという

目的をもって, この前恥近実験を行なった。

〔II) 調査,実験の方法について 1 仮 説

A  グループ学習を行なった時,バスケットボールを学習したクラスは,陸上競技を学習 したクラスに比して凝集度は高まるであるう。

グ)レープ学習を行なった時,凝集度の低いグ)レープは,教材に関係なく,高まってゆ くであろう。

という 2つの仮説を立てた。 ここでいうグループ学習は, 課題を与え, グ)レープ毎に学皆 し,課題解決をするという程度に考え,特別な条件を考えなかった。

また,凝集度とグ)レープ意識ということにも疑問をもったが,グループ認識の未発達の状 態,原始的な段階と解して進めてきた。 (特に友人関疵というような場合)

2 ソシオメトリック・テストにより次のようなグ)レープを作った。

A 凝集度の高いグ)レープ B 凝集度の低いグ)レープ

C 凝集度の高いグ)レープに,孤立者を混入したグルーフ゜

3 対象本悛1, 2年男子約240名

1年には陸上競技, 2年にはバスケットボールを各12時間学習させた。

その後,再びソシオメトリック・テストを実施し整理した。

4 ソシオメトリック・テスト 次のような設問を行なった。

A  クラス内の友人を5名

体育時陸上競技(あるいはバスケットボー)レ)を実施する。同一グ)レープで学習した いものを 5名

ユ ‑ 6 2  ‑

(3)

C 休育時に同ーグループで学習したい者を5名

この際,友人という言業に前々の抵抗を感じたが,生徒には別に大きな混乱はなかったよ うである。

なお,選択数を5名に制限したのは,整理の都合と,グ)レープ作りに前述のような特別の意 図があったからであり,排斥謡査をしなかったのは,予備調査の結果,正確を期し難いこと が判ったからである。

(III〕 結果の整理について

凝集度卵出にあたって,クラス単位にソシオメトリック・テストを実施したのであるが,

そのクラス内の各グループの凝梨度卵出にもこれを使用した。正確な意味でのグループ凝集 とは異なるが,そのままとした。

M P

また Lundbergの凝集度 C

。 ‑ ‑

-—ーを使用したが,正確には,選択制限 5 名全部

‑ d n   2 

を記入しない生徒もあったが,このままで廓出したので多少の誤差はあると思われる。

凝集度は,相互選択の対をもって笏[出するので,別に相互でない選択を考察してみた。

これは,次に来る変革への窓図とみたわけである。

(IV〕 結 果 の 考 察 A  凝集度について(表l参照)

l 友人5名を記入させたクラス,学年共に内容(教材)の異なりに拘らず特に変化はみ られない。

この友人が体育時の友人を含むものであるならば,多少共変化すると考えていたが変 化は余りみられなかった。即ち体育時の友人を含むとは考えられないのではなかろう か。

2  体育時の内容を明示したクラス,学年については, 1年生には凝集度に高まりをみせ ている。しかし,これのみで友人の新らしい価値(人柄,記録,その他)を見出したと いうことにはならないと思われる。他のクラスで同内容を取扱っているが変化していな いからである。

グループ意識の向上というにしても今後の多くの調査実験を璽ねばなるまい。

3 体育時の内容を明示しなかったクラス, 学年については大きな変化は見出せなかっ た。

4 全体として眺めた場合,友人を記名させたクラス,学年は,他のクラス,学年にくら べて凝集度は非常に高くなっている。

前述1の推論を認めるならば,クラス内の友人の氏名を掲げる際,体育時の友人を含 めて考えている者が大変少ないということになる。社会的態度の発達が体育時に目的と して考えられ,その効果が上っても,転移という面になると疑問祝せざるをえないとい うことになりはしないだろうか。少なくとも,この資料からは見出せない。

B  グ)レープ別平均選択数(所屈グループ内) とグループ内, 外の選択数の変化について

(表2参照)

前述の如く,凝集度が相互選択の対をもって卵出されているので相互的でない選択を考殴 に入れてみた。

6 3‑

(4)

所屈グ)レープ内の平均選択数が多いグ)レープ程,好ましい結果,即ち選択数が高くなって いる。同時に,送択数制限の閃係からグ)レープの選択数が減少している。

2年生の選択数平均とグループ内選択数の増加は0.80の相関係数を示している。検定の結 果も有意と認められる。

1年生でも,同様に0.44の係数がみられる。

この数偕の限りでは,グ)レープ学習は,教材の如何に拘らず対人関係に好ましい彩聴を与 えうる可能性を示している。また,教材による差異をも示していると考えられる。

1年, 2年という発達の段階を無視しての推論であるから,今後の問題は少くない。

C 個人選択数別グ)レープ内,外の変化について(表3参照)

1 選択数零について

この者の中には,選択人数制限のため, 1順位がつけ難く零となった者も含まれている と思われるが,グ)レープ外での変化が認められるので,一応特殊なタイプとみてよいだ ろう。

教材の如何を問わず変化は認められない。

自己性格テスト (YGテスト)によるN型(神経症型)の殆んどの者がこの中に含ま れているのも特長であろう。

2 選択数の増加と共に,好ましい影態がみられている。

3  グ)レープ外の選択の取消しもまた,グ)レープ内での増加に逆の現象を示している。

これらの傾向は,学年,教材に関係なくいえるものである。

(V) 結 論

仮説Aについては,凝集度は,教材に関係なく変化が認められなかった。

しかし,対人関係という点においては,即ち相互的でない選択数においては,好ましい状 態への意図がみられ,また教材による靱彩も考えられた。

仮説Bの凝集度の低いグループと, 混合グ)レープの孤立者にあっては, 変化が認められ ず,むしろ,マイナスの彩聰すら考えられる結果に終っている。

凝集度の高いグループは,いよいよ好ましい結果が生じている。

(VI)  反省と今後の問題について

人間閲係という問題についての非備不足が全体に聰{いて,途中,幾つかの疑問掩蒋に陥っ た。

仮説についても,これが大きく現われている。グループ学習に関するもの,友人というも のについて,特に体育時の友人という言葉すらこうした実験には似つかわしくない等の多く の問題があった。

その他は,上述各項において触れたので省略する。

グ)レーフ゜構成人員に関するもの。閲境,指埒者, グ)レープ, リーダー,施設,用具に関す るもの。体育時の学習と校内大会等が結びついている時の迩い。

その他,数々の問題が伏在している。

誠に困維な問題とは思うが,一つ一つ築き上げてゆきたい。

謹んで諸賢の御指郡を期待している。

‑ 6 4  

‑ 、

(5)

1

I  I 

I

目 1 0.57  o.57 

2 0,54  0.48 

1 0.33  0.46  内 容 明 示 2 0.38  0.33 

1 0.18  0.18  内容明示せず 2 0,34  0,33 

2

グループ別平均遥択(所屈グループ内)と,グループ内外の変化

平均選択数

平均選択数 , 

3.1  + 7  ‑23  3.0  +12  ‑17  3,0  +17  ‑28  2.7  +14  ‑ 8  2.7  +14  ‑ 5  2.7  +12  ‑ 6  2.6  + 8  ‑ 7  2.4  + 1 

2.2  +12  ‑ 4  2.3  +13  ‑ 7  2.0  + 6  ‑ 2  2.1  +17  ‑ 1  2.0  + 3  + 5  1.7  +12  ‑14  1.9  + 6   ‑10  1.6  ‑ 2  ‑ 3  1.7  + 2  ‑ 9  1.3 

‑ 1 

1.6  + 3   ‑ 6  1.2  + 6   ‑10  1.3  + 2  ‑ 5  1.0  + 6   ‑19  1.1 

+ 2  0.9  + 9  +21 

1.1  + 3  + 1  0.6  + 5  +12  0.6  + 1  ‑24  0,6  + 4   + 3 

0.3  ‑ 1  + 5 

‑ 6 5  ‑

(6)

表 3

選 択 数 別 グ ) レ ー プ 内 ・ 外 の 変 化

2  年 1  年

選 択 数

I

1

選 択 数 い

2265   0.

3  ‑ 2‑ 0..89  

3240   0.

9  ‑ 01..82  

2  22  + 0.7  ‑ 0.6  2  32  + 0.9  ‑ 0.5  3  19  + 1.0  ‑ 0,2  3  24  + 1.3  ‑ 0.9  4  14・  + 2.0  ‑ 0.8  4  6  + 2.1  ‑ 2.7  5  7  + 2.6  ‑ 1.4  5  3  + 5.0  ‑ 1.3 

‑ 6 6   ‑

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