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片頭痛慢性化のメカニズム

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51:1146

<シンポジウム 31―1>片頭痛の慢性化,難治化のメカニズムと治療

片頭痛慢性化のメカニズム

鈴木 則宏

(臨床神経 2011;51:1146) Key words:片頭痛,慢性化,慢性片頭痛,過敏性獲得,カプサイシン受容体 片頭痛は持続が 4∼72 時間という短期の episodic な疾患 である.しかし長期罹患症例によっては経過中に光過敏や音 過敏,悪心や嘔吐,あるいは拍動性疼痛といった片頭痛本来の 特徴が消失し,あたかも痛みの性質が慢性緊張型頭痛のよう な持続性の頭痛に変化してくることが知られている.この片 頭痛の慢性化は 2 つに分類される.1 つは頭痛の頻度がしだ いに多くなり薬物摂取量とは無関係に本来の片頭痛の姿が変 容した「慢性片頭痛」である.2 つ目は,鎮痛薬の過剰摂取に よる慢性化,すなわち「薬物乱用頭痛」である.ICHD-II では 慢性片頭痛は片頭痛合併症として一次性頭痛として取り扱わ れている.一方,薬物乱用頭痛は本来の片頭痛が薬物によって 変化したとする解釈で二次性頭痛に分類されている.近年わ が国でもこの両者が増加傾向にある. 「慢性片頭痛」における片頭痛が慢性化機序はいまだ明らか ではないが,促進因子として頭痛発作頻度の増加が注目され, また肥満,いびきなども挙げられている.これらの候補因子が 大脳や脳幹に器質的な変化をきたし,疼痛の慢性化がおこる と推察されている.それを裏付ける所見として発作回数の増 加による中脳水道周囲灰白質の鉄沈着が観察されている.さ らに大脳過敏性の成立を示唆するいくつかの知見も注目に値 する.慢性片頭痛患者では,大脳活動生理検査により大脳抑制 性ニューロン活性化の抑制が報告され,温度刺激により痛覚 を生じる閾値が健常者と比較し低いことや,重度の皮膚アロ ディニアが多いことが観察されている.われわれは三叉神経 脊髄路核に注目し,顔面の三叉神経支配域にカプサイシンに よる侵害刺激を連続的に与えると三叉神経尾側核におけるミ クログリア浸潤およびアストロサイトの肥大化が生じること を確認しており TRPV1 受容体の慢性片頭痛の病態に関与を 検討している.「薬物乱用頭痛」の発症機序もまた不明である が以下のような説が有力である.本来の片頭痛の疼痛の中枢 伝達機序に加え,薬物乱用によって中脳腹側被害蓋野を起源 として前頭前野皮質,帯状回,腹側線条体に投射するドパミン 神経系の活性化が生じ中枢感作により大脳過敏性が成立す る.中枢感作によりさらに黒質からの背側線条体におけるド パミン放出の増加が生じ薬物乱用の習慣が成立し悪循環が形 成される. 以上のように片頭痛の慢性化のメカニズムにおいては「中 枢感作による大脳疼痛過敏性獲得」が重要である. Abstract

Mechanism of chronification of migraine

Norihiro Suzuki, M.D.

Department of Neurology, Keio University School of Medicine

(Clin Neurol 2011;51:1146) Key words: migraine, chonification, chronic migraine, sensitization, TRPV1 receptor

慶應義塾大学医学部神経内科〔〒160―8582 東京都新宿区信濃町 35〕 (受付日:2011 年 5 月 20 日)

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