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(1)

セラミック軸受の損傷と信頼性評価に関する研究

著者 小熊 規泰

発行年 1994‑03‑25

URL http://hdl.handle.net/2297/30616

(2)
(3)

し一i

セラミック軸受の損傷と 信頼性評価に関する研究

小 熊 規 泰

1994年1月

(4)

セラミック軸受の損傷と信頼性評価に関する研究

目  次

第1章緒論・・・・・・・・・…

 1.1 研究の背景 ・・・・・・…

 1,2 本研究の目的および本論文の構成

4

第2軍スラスト型転がり接触における軸受の基礎的亀裂損傷機構  2.1 緒言 ・・・・・…   ..

 2.2 セラミック軸受の基礎的モデルにおける転勤疲労実験   2.2.1 実験方法および実験条件 ・・・…

  2.2.2 無潤滑時の損傷形態 ・・・・・…

    2.2.2.! 最大接触圧力による亀裂曲率半径の変化     2.2.2.2 表面亀裂に対する回転速度の影響 ・・

    2,2.2.3 亀裂発生間隔の考察 ・・・・・…

  2.2.3 潤滑時の損傷形態 ・・・・・・…

    2.2.3.1 剥離損傷の観察 ・・・・・・・…

    2.2.3.2 最大接触圧力による剥離深さの変化 ・     2.2.3.3 潤滑油粘度による剥離形態変化の考察  2.3 最大接触圧力と亀裂損傷寿命の関係  2.4 緒言

9 9

!0

!0

11 11

!2

13 16

!6

18 19

!9

20

第3章

アコースティック・エミッションによる転がり接触時の亀裂損傷検出と    その評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  

3.1 緒言 ・・・・・・…   .... .

3.2 AE検出方法の検討 ・・・・・・・・・・・・・・…

 3.2.1 実験装置および実験方法 ・・・・・・・・・…

 3.2.2 A Eセンサの取り付け媒体および押し付け圧力の検討

3.3 A Eによる転がり接触時の亀裂損傷の発生認識 ・

3.3.1 3.3.2 3.3.3 3.3.4

A E位置探知方法の提案 ・・・・・…

A Eセンサ取り付け位置の検討 ・・…

AE位置探知による疲労表面亀裂損傷の検出 AE観測による剥離の前駆現象の検出 …

22

22

23 23 25 26

26

30

31 33

(5)

3.4 亀裂損傷時のA E特性の考察 ・・・・・・・・・…

 3,4 1  3,4 2 3.5

㌶54二巾=

 4.

 4.

  4.

  4.

  4.

  4.

 4.

 4.

第5章

 5.

 5.

  5.

  5.

  5.

  5.

  5.

 5.

  5.

  5.

 5.

  5.

  5.

  5.

  5.

  5,

 5.

A Eパラメータの定義 ・・・・・・・・・…

亀裂損傷時のA E信号とその他のA E信号との識別

・   ●   ●   ●   ●   ●   ■   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ・   ・   .   …

仰性すべりモデルにおける接線力を考慮した平板の応力解析 1      ・・・・・・・・・・・・…

2 ハミルトンの式による3次元応力解析  2 1 弾性すべり接触モデル …

 2 2 最人主応力の解析 ・・…

 2 3 最大主せん断応力の解析 ・・

 2 4 動的せん断応力の解析 …

3

4

1

2

4

5

応力の最大値比較による亀裂損傷発生位置の推定

スラスト型法がり接触における運動解析 ・  摩擦係数および転がり摩擦力の測定 ・・

2.1 測定装置および測定方法 ・…

2.2 摩擦係数の測定結果 ・・・…

2.3 潤滑状態による転がり摩擦力の変化 2.4 回転速度による転がり摩擦力の変化 2.5 高炭素クロム軸受鋼との比較 ・・

 接触領域における固着一すべり解析 ・・

3.1 転動体の自転軸傾斜角の解析 ・・

3.2 固着一すべり境界の解析 ・…

 イす限要素法を用いた螂独応力分布の考察 4,1 接線力分布の考察 ・

4.2 解析方法および解析条件

4.3 最大主1、ご力の解析と考察

4.4 せん断応力の解析と考察

4.5 最大1三応力の最大他発生位置と表面亀裂発生位置の比較

35 35

37 42

44 44

45 45

46 48 49 51 52

54 54 54 54 56 56 58 60 61

63

66 70 70 71 72

73 75 75

第6章繰り返し応力による亀裂進及特性とその碓卒的評価

6.

6.

6.

6.

6.

6.

6.

6.

6.

6.

6.

6.

2

3

4

5 6

卵71;㌻

 7. 1

 7.2

  7.

7.

7.

7.

7.

7.

7.

7.

7.

7.

4 5 6

2 2

3 3

4

4

疲労破壊靱性試験 ・・・・・…

 1 試験プ不法および試験条件 ・・

 2 破断面の倒察と考察 ・…

亀裂進歴速度係数の導出 ・・…

 1 大気中での亀裂進展速度係数

 2 汕中での亀裂進展速度係数 ・ 破断寿命予測とその確率的評価 ・・

 1 破断寿命式および確率式の定式化  2 破断寿命解析とその確率的評価

破断に対する安全一危険境界の考察 緒言 ・・・・・・・・・・・…

l11ユ1がり按舳における化製出傷方今〕二測とその1作中n勺1デ1え仙

応力拡大係数による亀裂進及解析

2.1 応力拡大係数の定式化 ・

7.2.1.1 表面他裂の坊合  ・…

7.2.1.2 内部亀裂の場合 ・…

2.2 応力拡大係数の解析 ・・

7.2.2.1 表山亀裂の場合 ・…

7.2.2.2 内部亀裂の場合 ・…

2.3 限界亀裂長さの解析 ・・

 犯裂損傷寿命の解析 ・・…

3 1 犯裂損傷寿命式の定式化 3 2 亀裂損傷寿命の解析 ・・

3 3 他 裂損傷寿命の確率的評価1

化裂損傷に対する安全一危険境外の考察 解析結果と実験納果の比較 ・・…

糸苦言^  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …

第8章 スラスト軸受の拡動実験における強皮信頼性評価

 8. 1      ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …

77 77 78 78 79

83 83

84 86 86

88

90 91

93

り3

93

94 94 96 97

り7

99

1()1

103

・l03

・104

・l05

・I08

・109

・110

・112

・112

(6)

8、

8.

8.

8.

8.

8.

2

8.

8.

8.

8.

8.

8.

8.

8.

4

5 6

 スラストi11山受の恢動実験 ・・・・・・・・・・・・・・・…  113

2,1 実験方法および実験条件 ・・・・・・・・・・・・…  113 2.2 A Eによる犯裂損傷の検出 ・・・・・・・・・・…   !14

8.2.2.l A Eセンサの取り付けおよび伝動条作 ・・・・・・…  115 8.2.2.2 AE位世探知による表面化裂の検出 ・・・・・・・…  115

2,3化裂舳舳命・・・・・・・・・・・・・・・・・… 116

8.2.3.1 衷一r■肌裂イ上成におよぼす川床速度の影響 ・・・・・…  116

8.2.3.2 剥離損傷におよぼす最大接触圧力の影響 ・・・・・…  1!7

 接線力の算出と応力解析 ・・・・・・・・・・・・・・・…  121

3.1 摩擦係数および伝がり摩擦力の測定 ・・・・・・・…  121 3.2 固着一すべり領域の解析 ・・・・・・・・・・・・…  123 3.3 接触楕円から接触円への等価置換 ・・・・・・・・…  125  亀裂損傷寿命の解析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・…  126

4.1 応力拡大係数の解析 ・・・・・・・・・・・・・・…  127 4.2 限界亀裂長さの解析 ・・・・・・・・・・・・・・…  128 4.3 亀裂損傷寿命の解析とその確率特性 ・・・・・・・…  129

 解析結果と実験糸吉果の比j咬 ・・・・・・・・・・・・・・…  131

       . . . ・ ・ ・ ・ …     133

紬諭・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  134

参考文献

. . . . . . . . . . . . . . . . ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …    138

謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… . /42

1.! 研究の背以

第1章 緒 論

 転がり舳受はすべり機構を怯がり機構に代えて摩擦の低減を図った機械要素

であり,他の辿助舳1I■1を文什しながらu11広辿助を行う機能を仙jえている.その

ため,運動性能として拡がり摩擦の小さいこと,および,回転精度の良いこと などが必要とされる.転がり軸受が組み込まれている機械の運動性能は鞍がり 軸受の回転精度の影響を受け,その稼働期間は転がり軸受の寿命に大きく依存 すると言っても過言ではない.近年,先端技術分野への積極的な進出が行われ

ている■lIで,各仙北業機械の相成以素の^郁であるllし1がりll=llI皿にも剛ヤllの1「リ1二 や」1舳上化または耐熱化など,迦助セ11能や機械性能の1「1」..Hこ対する映求がIゴ{まっ

てきた.一・方では,材料分野において新素材の州光研究が盛んに行われ,その 応用が種々の分野で試みられている,新素材開発の…例としてファインセラ ミックスの開発が挙げられる.ファインセラミックスは従来の制.引オ料がなし えなかった物理的機能,機械的機能および熱的機能を発都し,いわゆる特殊環

.境下での使用に適するものである.

 転がり軸受に対する性能向上要求とファインセラミックスの開発が相まって セラミック振がり軸受の開発が行われた1■1).各種セラミックスが素材候補と

して検討された1−2)が,現在では転がり軸受用材料としては窒化ケイ素が主流 となっている.窒化ケイ素セラミックスは密度が軸受鋼に比べて約40%と慨 皿であることから,拡動体の遠心力によるジャイロモーメントが川j服となる高 速回転の運転条件下において適しており,例えば,工作機械用主軸に窒化ケイ 素転がり軸受を適用するユー3)ことで,限界回転数の向上が図られている.ま た,主軸剛性を高めることができ,加工精度の向上が実現している.さらに,

耐熱性に優れていることから,熱変形の仰fll11,洲泄不良による1軸受の焼き付き

(7)

の防止がなされている.これらの例にとどまらずセラミック軸受は耐摩耗性や 耐食性も舳受鋼に比べて優れていることから,澗紺斉1」が1眼られる真空中や海水

リ1などの特殊環境下での使用も検討されている.

 ところが,セラミック軸受は側.喝1製舳受と比較して優位な点ばかりではな

い. ・般にセラミックスは舳Ij−j性材料であるので力1111コストが^くなること や,材慎f特イゴの脆さも加.11効率を低ドさせコストアップの川人1となっている.

そして,製品となっても亀裂の不安定伝楴による脆性破壊によって「割れ」

「欠け」などの破壊現象の発生確率が高いことから,使用に対する信頼性の低 ドを招いている.この脆性破壊の原因は低靱性という材料の本質的な特徴か ら,材料に先任するポアなどの内部欠陥,または,軌道面加工時に残留する加 工損傷による亀裂状欠陥が主原因であると言われている.これらの欠陥が先夜 亀裂として存在し,軸受として繰り返し応力を受けたときに先夜亀裂が成長 し,やがて不安定伝播して巨視的な亀裂損傷が発生することになる.したがっ て,セラミック軸受の亀裂損傷に対する信頼性は亀裂の疲労伝播特性の把握に よって、計11仰すべきである.ところが,現在のセラミック軸受の寿命予測は ParmgrcnとLundbcrgが接触形状と軸受荷重をもとにして実験的に導いた式1−4)を 用いている.しかし,軸受鋼を基準とした考え方では,損傷形態が必ずしも軸 受鋼と同じではないセラミックスの軸受寿命を諭ずることはできない.

 そこで,木研究は亀裂状欠陥を考慮することのできる破壊力学を適用してセ ラミック軸受の使用における亀裂損傷に対する信頼性を評価することを試み る.この信頼性に関して図1.1に示すような評価体系が考えられる.上袈な点 は,確率を加味した亀裂損傷寿命の予測,および,亀裂損傷発生のリアルタイ ム認識である.前者は,転がり軸受として使用されるセラミックスの材料的な 強皮信頼性を評価するとともに疲労亀裂進展速度のばらつき特性を求め,さら に,セラミック軸受の使川における荷重条件や潤滑条件での応力解析や応力拡 人係数解析を行うことである.これによって,安全条件で使用したときに,先 夜亀裂が進展して不安定伝播するまでの応力繰り返し数を寿命とする考え方に もとづき,セラミック軸受の寿命を予測することが可能となる.一一方,後者

欠陥検査      ■T■

転勤実験_ 寿命確認_」

損傷形態把握

破壊靱性試験

損倒、七カ解析

軸受稼働  一一一一一合システムダメージ

損傷発小認識

応力拡大係数解析 強度イ.亨頼性高平価i

・損傷寿命予測

・安全条件州1定

従来の評価i体系

付加されるべき評価体系

      図1,! セラミック軸受の信頼性。1平価体系

未然交換

は,セラミックスの不安定亀裂伝播による軸受の破壊を避けるために軸受稼働 中の亀裂損傷の発生をリアルタイムに認識し,即座に軸受の迦怯を停1Lして機 械システムヘのダメージを防御することである.

 市近した他裂損傷寿命予測の重袈点は,統計的な処理を施した独皮付棚生一1平 価と転がり接触下における亀裂周りの応力拡大係数解析を行うことによってセ

ラミック軸受の寿命予測を行うことである.セラミック部材の機械的性質につ いては素材検討時に評価されているが,疲労犯裂の逃雌j生皮のばらつきによる 破壊強皮のばらつきを考慮した検討が必公であり,この測点から1几fらによって 行われた研究1−5)〜7)は注目に値する.そして,強度信頼性データをもとに転 がり接触応力にさらされる亀裂の応力拡大係数解析を行い,亀裂損傷寿命式を 定式化するとともに損傷寿命を予測することが可能である.亀裂材の応力拡大 係数に関して様々なモデルで定式化が行われており,例えば,村にらは点接触 での怯がり一すべり接触下の表面砲裂および内部犯裂に対して応力拡人係数解 析を行っている1−8〜12).しかしながら,接触領域内での固着一すべり(ス ティックースリップ)を考慮していないため,軸受モデルとしては不十分であ る.本研究ではこの点を考慮した解析について議論する.

 また,亀裂損傷発生の認識における重要点は,リアルタイムで精度の良い亀 裂損傷検出技術を確立することである.従来の軸受損傷検出方法としては振動

(8)

法1−1・)による剥離等の枚1Hが主流であるが,剥離損傷が発生してカ らでは事後

n勺舳であり,少なからず軸受が組み込まれたシステムにダメージを{手えるこ

とになる.特にセラ1ック軸受では疲労亀裂が進展している時点でそれを認識 することが必要である.セラミック軸受使用中の亀裂損傷検出は使用に対する 榊月三のIr1」上には不可火である.ところで,軸受のような回転体から舳する 舳易の慌枇方法は材料の破壊にともなって放出されるひずみエネルギであるア

コ_スティック.エミッション(Acoustic Emission,以■ドAEと川各す)を舳則す

ることがほとんど唯一…の方法であると言われておザ川,AEを用いた』転がり 舳の検出に関する研究1−1・)1・)が行われている・しかしながら,怯がり運動 叶の化裂損傷とAE発生との十分な対応付けは行われていない・さらに・A E センサの取り付け方などの検出方法が標準化されていないことから,検出した

AE検出盛皮のばらつきが大きいなど,実用化へ向けての課題は多い.した がって,i広がり損傷の検出方法はいまだ十分確立されているとは言えない状況 である.木研究ではこの点に関して,AEセンサの取り付け条件を蚊適化し,

犯裂舳易とAE挙動との対応を呪碓にすることを〔的とする・

1,2 木研究の目的および本論文の構成

 汕述した観点から,本研究ではセラミック軸受の亀裂損傷に対するその発生 予測と発生認識によって信頼性を評価する,そのためには,まず,セラミック 軸受の損傷に対する基本特性の把握が必要である・すなわち・荷重や潤滑状態 などの使用条件によってどの様な損傷が発生するのかを実験的に観察し,セラ ミック軸受の基本損傷形態を確認する.そして,転がり接触における応力解析 と鰍靱性を火す応力拡人係数を解析することによって,他裂舳0)方今〕二洲

を試みる.

 次に,セラミック軸受を使用中に亀裂の不安定伝播による割れや欠けなど突 発的で致命的な損傷に至る場合は,軸受が組み込まれている機械へのダメージ

および機械の動作精度へ大きな影響を及ぼすので,亀裂が発生した時点でリア ルタイムにその発生を認識できる手法が必要である.そこで,セラミック軸受 の使用中に発生する損傷を認識するプ不法を確立すること口的として,材料のひ ずみエネルギが解放されるときの弾性波であるAEを倒測することによって,

他裂損傷の発一三認識とその位置検出を試みる.

 木.論文は図1.2に示すように,この災1章のほか鉗2」1一; llから節9∵; llまでで枯 成され,窒化ケイ素セラミック軸受に1則して,人礎1 1勺モデルでの他裂士^仏リミ

験,亀裂発生.認識方法の評価,応力解析による亀裂発生位置の推定,怯がり接 触状態解析,疲労亀裂進股速度係数の導出,応力拡大係数による旭裂損傷方今

解析,他裂損傷寿命予測」のスラスト軸受への応用に分かれている1以ドに伽 ; 1=

の概衷を示す.

      第1章緒論

第2章基礎的亀裂損傷

 ・損傷形態の把握  ・損傷寿命の把握

第3章 亀裂損傷検出技術

 ・A Eの最適観測方法

 ・他裂損傷くEの特定

第4章すべり接触モデルの応力解析  ・亀裂発生を支配する応力の把握  ・犯裂発生位冊の』作定

第5章転がり接触解竹

 ・摩擦係数,転がり摩擦力の測定  ・固着一すべり解析

 ・転がり接触における1、こ;方解析

第6章疲労亀裂進展特性  ・疲労旭裂進展速度係数の剃11  ・疲労破壊靱性仙の導出

負;7ゴ;t f創多量批ユイ易ノ手分角箏手,〒

 ・応力拡大係数解析  ・寿命解析と確率的言平価  ・安全一危険境外の把握

第8章スラスト軸受の強度信頼性評価

 ・寿命予測

 ・予測寿命と実験寿命の比較

第9章結論

図1.2 本論文の構成

(9)

 第2章ではまず,転がり軸受の基礎的モデルである平板とボールのスラスト 型伝動実験を行い,淵滑剤の有無による鎖傷形態の発生状況とそれに及ぼす接 触面圧の杉響を検討し,セラミック軸受用窒化ケイ素の基礎的な亀裂損傷形態

をリ1らかにする.

 鮒3作では弟2草でリ1らかにされた亀裂損傷について,その発生をリアルタ イムに認識し発生位雌を検出する方法について述べる.すなわち,犯裂損傷の 横川手段としてAE法を用い,AEセンサの取り付け条件による横川感度の変 化を検討してAEセンサの最適な取り付け条件を把握するとともに,AE信号 の観測によって亀裂の発生を認識し,かつ,AEセンサヘの信号の到達11手間の 米によってAEの発生源を探知する.そして,AEの発生源と亀裂損傷発生位 世の対応を考察し,AE概測によるセラミックスの亀裂損傷検出の有効性を論 じる・また・亀裂発生現象に伴って放出されるAE信号から得られる時間特性 や周波数特性およびエネルギ特性を検討し,これらのパラメータによって亀裂 損傷1時のAE挙動を把握する.

 第4章では第2章の実験で確認された亀裂損傷の発生メカニズムを解明する ための第一段階として,転がり軸受の転動体と軌道輪との接触を平板とボール の接触状態という純一『れなモデルに雌き換え,接線力を考慮した弓Wllすべり接触 状態における平板の3次元応力解析を行う.接線力はHcrtz理論で与えられる接 触力に摩擦係数を乗じることによって与え,摩擦係数をパラメータとすること によって潤滑状態の違いによる接触応力場の変化傾向を定性的に把握する.応 力解析は最大主応力,最大主せん断応力,および,せん断応力の変動幅につい て行い・それらの蚊人仙を比1段することによって旭裂伽傷に丈杞灼に作川する 応力を特定し,その応力の作用点に亀裂損傷が発生する可能性が高いと考えて

亀裂損傷の発生位置を推定する.

 第5章では第4章をうけて,実際に窒化ケイ素のすべり接触における摩擦係 数を測定するとともに,転がり接触における接触領域の固着一すべり 析を行

うために転がり摩擦力を測定し,転がり接触における接線力分布を算出する.

そして,第4章で定性的に解析した弾性すべり接触の応力場を踏まえて,有限

要素法(lFinitcd Elcm㎝t Mcthod:FEM)により転がり接触応力場を解析する.そ

して,各応力の最大値の発生位置から,より詳細な亀裂損傷の発生位置を推定 し,第2章で行った実験で発生した亀裂損傷位置との対応を考察する.

 災6草では,籏7章および第8章で行う窒化ケイ素の他裂損傷ノj;命の解析に 必要な疲労破壊靱性他と疲労亀裂進及速度係数を導出するために,部材として の窒化ケイ素の三点1地け疲労破壊靱性試験を行う.そして,線形破壊力学を適

用することによって繰り返し応力による亀裂進歴特性を叫」らかにし,一∴魚川1げ

試験片の破断寿命の定式化およびその解析を行うとともに,亀裂逃股連皮のば

らつきを考慮して破断寿命の確率灼評価を行う、さらに,解析した破断力命と 実験ガ命とを比較検討し,破壊力学を適用したセラミックスの犯裂州〃j;命の 算出方法の妥当性を評価する.また,破断寿命に対する安全山げ応力1狼外を考 察し,破断に対する安全一危険境界線図を求める.

 第7章では第5章で算出した転がり接触における応力分布および第6章で導

川した化裂逃/蛙速度係数と疲労破壊靱性仙を用いて,llな1がり仙受の」、〕雌11くJ按舳

機椎である平板とボールの転がり接触時の亀裂伝播を応力拡人係数で評価す る.すなわち,不安定亀裂伝播による亀裂損傷の発生に対する眼州&裂長さの 解析,亀裂損傷寿命の解析,およびその確率特性の解析を行う.さらに,亀裂 損傷発生に対する最大接触圧力と先夜亀裂長さの安全一危険境界線図を求め,

そして,一連の解析の結果と実験結果との対応を考察する.

 蝋8章では第2章から災7章までに得られた納入をスラストセラミック1軸受 に展開する.まず,セラミック軸受で転勤実験を行い,第2章で把姓した犯裂

損傷形態と1同様な損傷が発生することを確認するとともに,第3二:;tで提案した

AE法による亀裂損傷の検出を試みる、次に,第5章と同様に摩擦係数および

怯がり摩擦力を測定し,スラストI1亘II1受における川本1一すべり解析を行う.そし

て,第7章で行った基礎的な転がり接触機構である平板とボールの接触におけ る亀裂損傷寿命の解析を軸受の場合に適用し,軸受の亀裂損傷寿命の予測を行 う.さらに,軸受における解析寿命と実験寿命との整合性を比較検討し,本研 究で提案するセラミック軸受の寿命予測方法の妥当性を考察する.

(10)

最後に第9章で,本研究で得られた事柄を総括して述べる.

第2章スラスト型転がり接触における軸受の

基礎的亀裂損傷機構

2.1 緒言

 セラミックスは脆性材料であるがためにその破壊現象は化裂に文杞されると 考えられる.したがって,セラミックスを機械椎造用部材に逆川する易介に

は, ・般に,破壊力学パラメータである応力拡大係数K、。を用いた安分設一11Iが行

われる2一).ところが,セラミックスを軸受として使用する場合には,怯がり 接触という負荷形態によって繰り返し応力を受けるため,セラミック部材の先

在地裂に対する応力易を考慮した設計が一十分に行われているとは一,イえない.塊

状では,セラミック舳受の定格荷亜は,金属軸受と同等とされており,セラ

ミックスが金属に比べて材質的に強度が高いという長所や亀裂損傷に敏感であ るという短所が反映されていない.また,寿命を比較した場合も金属軸受と同 等以上とされているが,セラミック軸受の機械的性能を金属軸受のそれと比較 した時の優劣は,亀裂損傷に対するセラミック軸受の強皮信頼性の評価を行う

ことで決定できると考えられる.

 セラミック軸受の信頼性を評価するためには,まず,セラミック軸受がどの ような損傷形態で寿命に至るかを把握しなければならない.すなわち,セラ

ミック軸受の損傷形態が引張り応力による割れなどの巨視的破壊現象となる

か,それとも,側I司舳受と1同様な,いわゆるせん断1一と;力による剥矧舳仰となる

かを特定する必衷がある.木卓では軸受の人礎的按舳モデルである r仮とボー ルのスラスト理法がり接触における窒化ケイ素セラミックスの繰り返し疲労人 験を行い,潤滑状態および接触圧力による基礎的亀裂損傷の発生状況の変化を

把握する.

(11)

2.2 セラミック軸受の基礎的モデルにおける伝動疲労実験

∴篶篶∵刈1向

、」ミす.火映郁分はその枇111各を図2・2に示すよ うに,平板試料側からアキシャル荷重を負荷 し,軸受鋼(sUJ2)の内輪を組込んだ軸を回

匿 ,

1

I@、

。     試料ケース

羊二二;,亟工㌫二練線ζ㌃t二1:

       ■

ボールはともに窒化ケイ素セラ1ックスで, 王.一  負荷機構

Y203とA1203を助剤として熱問静水圧加圧 は・; ■二≒、

      一 、

(lHot Is(〕static Prcssing:HlP)焼結製法された   図21実験装置の外観 ものである.また,図2.3に平板とボールの       回転

        /  、

       ㌧_ノノ

表1π性状を示し,物性他を表2.1に示す・

.藺.4日日 um

.2日日 um

SUJ2内輪 Si3N4球

Ra  =O.008μm Rmax=O,176μm

Rz  二〇.108μm

 (a)平板

θ.2μm

500μm

■藺.40日 um

S i3N4「え十坂

上舳・一州

h州〃州㍉■へ伽トwト、Ψ州ψ

.ω.208 u.1,        Ra  :O.O1Oμn1

       Rmax=0,155μm

一日.仙0u血     Rz =0,125μm

       (b)ボール

   図2.3 試料の表面性状測定例

■日.2日。 uIo

一0、凹0    一11

一8.2日。 u皿

一日.400 u111

       荷重

   図2.2 実験部分の概略

表2.1 窒化ケイ素セラミックスの物性値

頃  [

ヤング斗1 ポアソン比 線膨張係数

密  度 硬  度

曲げ強度 破壊靱性値

窒化ケイ素の物性仙

312GPa

0.262

3.2×10−6 ℃

3.24×103kg/m3

1480〜1510Hv 736MPa

6.5MPam1/2

 転勤実験は表2.2に示すように大      表2・2転勤実験条件        試料サイズ  平板160×60×11mm

きく分けて無潤滑と油潤滑で行い1       ボ_ル:φ9,525×3個 亀裂損傷形態に与える潤滑の影響を  軸回転数 6001120011800rpm

       荷重/ボール  327〜3269N

求めた,油潤滑においてはスピンド  潤 滑  なし,

       スピンドル油(VG7),

ル池とタービン油を用いて油の粘度        夕一ビン油(VG68)

       雰 囲 気  室温25±2℃,湿度35〜55%

の違いによる損傷の変化を調査し

た.また,無潤滑とスピンドル油潤滑において,亀裂損傷に対する最大接触圧 力および回転速度の影響を明らかにするために,転動体荷重および軸回転数を 変化させて実験を行った.ここで,転動体荷重と最大接触圧力および接触1ユJ半 径との関係についてふれておく.平板とボールは同じ材質であるとして,その ヤシグ率をE,ポアソン比をソとすれば,半径rのボールに荷重Pが作用する ときの接触円半径aおよび最大接触圧力p はHcrtzの弾性接触理論2−2)から

         正      max

次式で与えられる.

      表2.3 転動体荷重と最大接触圧力

   叫・13「弓吉v2)い/3(ふ1) および接触円半径との関係

   3P

Pmax=      (2−2)

   2冗a戸

実験を行った砿動体荷巫における・蚊 大接触圧力と接触円半径を表2.3に

示しておく.

転動体荷重 最大接触圧力 接触円半径

P,(N)

Pmax,(GPa)

aら(μm)

327

4.28

191 817

5181

259 1308

6.79

303 1798

7.56

337

2288 8.19

365

2779 8.74

390

3269 9.22

411

2,2.2 無潤滑時の損傷形態2−3)

2.2.2,1 最大接触圧力による亀裂曲率半径の変化

 図2.4に軸回転数1200rpmにおける無潤滑での実験後の平板試料の転走痕(ボー ルの軌跡)の光学顕微鏡観察例を示す.同図(a)は観察部分の模式図であ る.また,同図の(b)〜(d)は転動体荷重条件がそれぞれ327N,817N,

1308Nの場合である.なお,試料は第3章で述べるA E観測による最初の亀裂の

(12)

発生。認。1技がなされた後も

引き続き伝動させたもの       繊

      宥       丙。鰯 である.平板試料には荷

      翻,・.1,灘.

巾にかかわらず舳舳      .、書嚢一 鰯.鱗

の外側部分にボールの怯 がりノ∫向に対して川状の

      (a=)模式凶      (b二)327N

Yリング犯裂が多数認め @   ..三竃  鱗蟻

られた.さらに,イ町亜       脱籔熱鴻       ,

1308Nの場介では,ボール の虹がりノ∫向に対して{

状ではあるが,枢走痕内

側にも平リング他裂が発        鞠事洲薫.

       きご汽栄.三、幸、二・、

       …幽,ψ榊醐^鳩

生している.この半リン    (c二)817N       (、11)13(〕8N

      200μm

グ状地裂の口い争…半径を側      L_」

察写真から測定し,Hcrtz  Ix12・刈 光学蜘微鏡による快走痕観察例(無潤滑12〔)o「pm二)

の榊性披触理.1命における   500

接触11」半径と比較したも

       400

のを図2.5に示す.同図

      E       理論伽       ユからリング状亀裂の山卒  二300

       何

1線㍗線1… ∵

いることがわかる.すな   100 わち,ボールと平板とが

披触している境外位置   00   500  1000  1500  2000

       伯万匹P.N

に,按チ独H三力に依存した

       図2.5 理論按触円半径と表面亀裂舳準平径の比較

川一卒半径で亀裂が発生し

たと考えられる.なお,この表1むf犯裂の発生条件および発生位附に関する理1命

的な解析と考察は第4 山および箏5作で行う.

ケ店1−1.■

一 ■

黶A 禔A.

}」

一・I

、■

7

●■

e.

 :4、.●

A二・{w一

@  一

@^. ・、 ●一

・.・¶1、

g

・」

よ・・ 雌 一,

2.2,2.2 表面亀裂に対する回転速度の影響

 転動体荷重を変化させた場合にはそれにともなって表面亀裂の曲率も接触円 半径に依存して変化した.これに対し,回転速度が変化すると表面亀裂はどの

ようになるか調査したのが図2.6である.これは,鞍動体荷重817Nにおける軸 回転数を変化させた場合の表面亀裂の観察例である.亀裂の発生数は異なる が,転走痕に対する亀裂の位置や1拙率半径は回転速度によって変化していない ことがわかる.したがって,回転速度が変化しても亀裂損傷形態は変わらず

に,亀裂が発生するまでの11等間が変わることになる.

・パ{一 ..・〜・㌧ ・ぺ   ・・一・∵.・・

鰯,鱗

。男I

(a)600rpln       (b)1200rplη       (c)1800rpln       図2.6 表面亀裂観察例(無潤滑817N)

転がり方向

200μm

2.2.2.3 亀裂発生間隔の考察

 無潤滑で転勤実験を行った結果,図2.4および図2.6からわかるように,ほ ぼ一定の間隔で表面亀裂が発生している.これらの表面亀裂が順次生成してい

く過程を考えると,最初の表面亀裂が生成した後,その亀裂の近傍に発生する 次の表面亀裂は最初の表面亀裂の影響を受けて発生すると思われる.なぜな

ら,既に生成した表面亀裂近傍における接触応力は亀裂によって解放されると 考えられるので,次に発生する表面亀裂は応力の低下が作用しない距離を隔て た位置に発生するはずである.そこで,この亀裂間隔と接触圧力との関係を検 討し,最小亀裂間隔の応力依存性を考察する,

 図2.7に光学顕微鏡で測定した転動体荷重327Nの場合の亀裂間隔の分布を示 す.100本の亀裂についてその亀裂間隔dを接触円半径a、で除して無次元化し,

0.05単位で度数分布にしたものである.同図を見ると無次元化亀裂間隔が0.2以上

(13)

      40

の間隔の度数が多くなっている.      荷重=327N(接刎、円半径a了、19、μm)

 この亀裂発生間隔を解析的に把握    畿㌣rOo『Pm       30

するために,有限要素法で応力解析 を行った.亀裂を導入した2次元の軸        幽20

平面ひずみモデルを用いてボールが 接触する位置を変えて荷重条件を設       10

足し,亀裂先端および接触境界の最 大主応力の定性的な変化を検討し  O

た・図・・8に接触間隔・/・τを…と αo α為裂間隔。。よ。

した場合と0.8とした場合の最大主    図2・7表面亀裂剛橘の度数分布

    5.三5

    2.9:一

    2.25

    L5        、、丑,絆 i..….一一・・

    〕.930三25      川;  ・ポ  一

      l1−1−w・ド】    1蝋

    O.2・0061         1.

    .コ.洲舳      1I、ヨ・

       、、」;1.一辮 l1鱗一籔..戸、,

    一1.05

    二11  (a)接触間隔(1/a・=α2    1       接触境界

    2.1二

    1.η     1.測

1.5

O.O壱12州

。.iτg2…i4

。.二洲・         舳    一川      1一州1一

      .・阯州      u   1一  一し

.o.三州珊       1 1    川1 川.I :ぺ=

      .舳       舳  ,.1 ヨ・チ

ー1州

@      パ l1,ll.1…糾糾

.。.,、。。。、      .1 壬  ・一.川{ ・舳.{■

       ..w川H    ;;.川用、一一・川        ・.1一       ・.壬f  ・・川・。

一1.33

−1−1二@       (b) 接触間隔〔正/a、=O.8

   図2,8 平面ひずみモデルを用いた最大主応力の解析例

え、己;力分布を示す.ただし,節点位性の応力は節,点州りの一晩素の応力 r均をとっ たものである.なお,接触領域には重山1力と接線力を償荷しており,接線力は 箏4章で詳細を述べるが,乗直荷重に摩擦係数を乗じた値を与えて解析を行っ

た.ここでは摩擦係数を0,238とした.接触間隔O.2の場・合は犯裂先端に最人主応 力の〃.人仙が呪われているのに対し,披舳1川1棚O.8の易介は接触境外に〃人仙が

現われている.この亀裂先端および接触境界の最大主応力を接触1凸」1軸について まとめたものを図2.9に示す.亀裂先端の最大主応力は接触間隔が離れるにつ れて小さくなっていくが,接触境界の最大主応力は亀裂間隔が離れるにつれて

大きくなり,間隔が0.4付近で増加害1」合が減少し0.7以遠では一定の値となってい

る.すなわち,接触境界で半リング状の表面亀裂が発生すると仮定すれば,披 触境界の応力が亀裂を生成するための応力値を越えた位置で亀裂が次々に発生 していくと考えられる.荷重327Nの場合では無次元化亀裂間隔はO,2以.Lであっ

た.

80

60 CL

:;…

b

∴40

R

州 20

k

一20

一一寤鼈鼈ョ裂先端

一一サコー一波触境外

   0.0       0.2       0.4       0.6       0.8       1.0

      披∫仙1川附d/ar

図2.9 亀裂先端および接触境界の最大主応力と接触間隔との関係

(14)

2.2.3 洲紺11年の批呈傷形態

2.2.3.1 剥離損傷の観察

 無洲紺の坊介の表面犯裂損傷の禿生に対して,スピンドル汕を用いて潤滑を 行った場介は剥離士工呈傷が発生した.図2.10に枢動体荷爪を変化させて怯助火 験を行った糸、■快の剥離損傷の光学蜘微鏡による側察例を示す。ただし,これら の剥離は第3市で述べるAEによる剥離の1舳区現象の検111がなされた後も火験

∵      200μm

         ]

(a)七莫エに図         (b)327N

(c)817N

(つ2288N

   図2.1O

(d)1308N       (e)1798N

       、         、

     (g)2779N       (h)3269N 剥離郁観察{列(スピンドル汕潤滑1200rpm)

を続行し,火験装置の振動仙が忽榊するまで怯助させた糸二㌻火である.llリ1動体荷

屯が2779Nおよび3269Nでは剥離1郁近傍の表1r11に他裂が生成している.この他裂 の生成は接触ハ1力が大きいことに起因していると考えられるが,火面他裂の生 成と剥離の発生のどちらが優先的に生じるのか火験の途中でそれらの生成過不■Il を観察した.表市化裂の発生認識および剥離の発生認1識は箏31;㌔1で述べるA E 徽測によって行い,損傷の発化認識がなされたところで拡走痕の蜘微鏡観察を 行った.その糸、I映,図2.11に表面他裂と剥離の観察写真を示すが,表面犯裂 のノ∫が先に発生し,その後,剥離が発生した.剥離の生成におよぼす表市化裂

の地響は次項で考察する.

 潤滑汕を用いた場介に光生するこのような剥離形態は,竹林らが行った怯助

太験糸、1次24)では火常摩耗として取り挙げられているが、1舳叉鋼の,表■」雛形態と 類似するような比較的剥離深さが深い批呈傷例は一例しか発生しなかった.その 剥離部の観察写真を図2.12に示すが,むしろこのような剥離は内部のポアま

図2.l1

/一…

小. 侮…カ{りノ∫向

凶2.12

       200μm        ]

(a)表面旭裂       (hI)剥離

炎面亀裂と剥離の観察写真(スピンドル汕淵滑12(〕Orpm,3269Nl)

そ伝力{りノ∫1

深い剥離損傷の観察写真(スピンドル汕潤滑121)Orpm,817Nl)

(15)

たは村1外不格合が剥離起点25)となって生じたものであると考えられる.した がって,洲泄された窄化ケイ素セラミックスのi法がり接触における批傷形態は

舳受¢岡よりも深さが浅い剥離が光4にすることが確認された.

2.2,312 蚊人按舳ハ1力による剥離深さの変化

 スピンドル舳を用いてll=⊥1肋火験を行った⊥易介の剥離仙似が蚊人按舳ハ1力とど

のような関係にあるのかを検討した.すなわち,剥離の深さを走査型レーザ顕 微鏡(lScaming Lascr Microscopc:レーザテック製1LM21)で測定してこの深さ を接触円半径で無次元化した値で表わし,最大接触圧力との関係を求めた.図

2.13に最大接触圧力と無次元化剥離深さとの関係を示す.狐次元化深さの仇 は一定ではなく,披人接触圧力が上舳口するにつれて深くなっている.蚊人接触 圧力が大きいところで剥離が深くなるのは前項で確認したように,剥離が発生 する前に表面亀裂が発生するためである.この表面亀裂と剥離を引き起こす内 部亀裂が繋がることによって剥離深さが深くなると推定される・

 ・一一一 方,最大按舳1子力が

       O.3

ノj、さい場介には剥離?架さ

は浅く,ごく表面近傍で 剥離している.この場合

      杣 O,2

はボールがすべることに 難       蟄

よって亀裂損傷を支配す 噂       漬

る応力場が変化したため 患

      尊O.1

と思われる.

       O

O.O

    O

  O O Oa O

O O

4       6       8       10        最大接触圧力,GPa

図2.13 無次元化剥離深さと最大接触圧力の関係

    (スピンドル汕潤滑120(〕rpm)

2.2.3.3 潤滑汕粘度による剥離形態変化の考察

 汕澗紺することによって化裂損傷形態は表面旭製出傷から剥離拍傷へと変化 した.これは汕によって平板とボールの接触伽域における摩擦力が低減したこ とによると推察される.そこで,汕の*・Ii度による摩擦力の低ド度合が剥離伽似

にどのような彬響を及ぼすのか検討した.

 図2.14にタービン汕で潤滑した場介の剥離損傷の側察例を示す.洲滑汕を タービン汕とした場介でもスピンドル汕を用いた場合と同様な剥離損傷が発生 した.これはスピンドル汕と夕一ビン汕の杣皮の違いでは犯裂拙傷を丈杞する

応力に変化がないためと考えられる.

.1帳がりノ∫向

200μm

図2.1川 剥離損傷観察例(タービン汕1121川rpm,13〔)8N)

2.3 妓人接角蛆三力と他錨負傷ノ〆汀の関係

 無潤滑で伝動実験を行っオこ場合は表面化裂が発生し,汕潤滑を行った場介は 七に剥離損傷が発化した.そこで,これらの犯裂損傷寿命の蚊人接触川1力に対 する傾向を考察した.ここで,犯裂損傷寿命は実験1刑始から他裂損傷を検出す

るまでの1時固に平板に 手えられた応力繰り返し数で表すことにする.

 図2,15に蚊人接触圧力と亀裂損傷寿命の関係を示す.ノ予命にばらつきがあ るものの,蚊人接触圧力が低一ドするにつれて旭裂損傷寿命が長くなる側向を示

(16)

Q一

σ

望 華 く 増

10

8

6

4 10

○CCC○

   ㎜

  ○○

      ▲如舳泄

      ○スピンドル汕言1.舳寸

      鰯夕一ビン汕淵柑

○       〉損傷せず   ○ ○

  C○○○○

○   ○○  ○圃⊃

▲▲       ○

▲      ○

図2.15

  4     5      6     7      8  10      10      10      10      10

    亀裂損傷寿命,CyCleS

最大接触圧力と亀裂損傷寿命の関係(回転数1200rpm)

している.また, 『然のことながら,無潤滑では汕澗泄の場介に比べて2桁以 上のノチ命低ト.が見られる、そして,杣皮の^い夕一ビン汕泄1泄ではスピンドル

汕潤滑よりも長い寿命が得られた.

 向に対して凹であり,反対に内側に生成するものは凸である.

(2)無潤滑時の表面亀裂は回転速度に影響を受けないが,最大接触圧力に  依存した曲率で発生し,この曲率はHcrtzの接触理論における接触円半径  とほぼ等しい.このことから,表面亀裂は接触円の境界で発生するもの  と考えられる.

(13)表面亀裂は一定の間隔で発生する.この間隔は表面亀裂が生成するた  めの応力が,先に発生した亀裂によって低下した接触応力を越える距離  となる.伝動体荷重327Nの場合,接触円半径で無次元化した化裂1川隔は

 0.2以上であった.

(4)油潤滑した場合には剥離損傷が発生する.この剥離の深さは最大接触  圧力の増大にともなって深くなるが,最大接触圧力が大きいと表面亀裂  が先に発生することによって剥離深さが深くなる.一方,最大接触圧力  が小さいと剥離は表面近傍で発生する.

(5)亀裂損傷寿命は最大接触圧力に依存し,最大接触圧力が小さいほど方  命は長くなる.また,潤滑状態によっても亀裂損傷寿命は変動し,同じ  最大接触圧力では夕一ビン油潤滑,スピンドル油潤滑,無潤滑の川頁に寿  命が長い.すなわち,十分な油膜が形成されるほど亀裂損傷寿命は長く  なると考えられる.

2.4 納言

 本章では,窒化ケイ素セラミック軸受の基礎的接触機構である平板とボール のスラスト型転がり接触における亀裂損傷形態を把握するための転勤実験を行 い,最人接触圧力および転勤回転速度が亀裂損傷にどのような影響をおよぼす のかを潤滑状態別に考察した.その結果,窒化ケイ素セラミックスの転がり損

傷について以下の知見か得られた.

 (1)無潤滑における転がり接触では転走表面に亀裂が発生する.この亀裂    は半リング状を呈しており,転走痕内の外側に生成するものは怯がり方

(17)

第3章アコースティック・エミッションによる

      転がり接触時の亀裂損傷検出とその評価

るための方法として,観測されたAE信号の到達時間差を用いた精度の良い位 置探知方法を提案するとともに,その方法を適用した亀裂損傷発刈三の認識実験 を行う3−5).そして,亀裂損傷時のA E特性を考察することにより,A Eによ るセラミック軸受の亀裂損傷検出の有効性を議論する.

3.1 緒言

セラミック虹がり軸受の損傷は,転動体が転がることによって軌迦1輪と伝動 体との接触域が移動し,その繰り返し負荷の応力変動による疲労亀裂の生成が 大きな原因の一つとして考えられる.したがって・亀裂損傷によって寿命とな るセラミック軸受の強度信頼性を評価するためには,この疲労亀裂の発生を検 出することが重要であり,/アルタ州こ精度良/亀裂発生の認識を行う手法 が必要である.従来,軸受の損傷を検出する手段は振動法3−1)によるものが王 流である.しかしながら,剥離損傷が発生して転動体が剥離部に落ち込むこと による振動値の上昇で異常と認識する振動法では・形状変化のない亀裂の発生 は根本的に検出不可能である.また,剥離発生後の異常認識では事後的異常検 出の概念が強/,疲労他裂刈1戊の段階でそれを認識することがリアルタイムな 州認識であると言える.披近,疲労亀裂の発生をリアルタイムに認言渡する手 段として,材料の破壊にともなって放出される・・を観測する手法が提案され ている・一・).そこで,本研究ではセラミック軸受の亀裂損傷の発生認識を行う 手段としてA・法の適用を試みる.なお・本研究の転勤実験においては,AE によって犯裂損傷の発生認識がなされた時点をもって,セラ1ツ州受の犯裂

損傷寿命としている.

 AE測定に関する規格は一部定められてはいる3■3)が・AE法は検出方法や ノイズ弁別に関してまだまだ課題が多く3−4),完成された異常検出法とは言え ないのが現状である.そこで,本章では,AEによるセラ1ック軸受の亀裂損 傷の発生認識を行うに当たり,まず,最適なAE信号を観測するためのAEセ ンサの取り付け方を検討する.次に,亀裂損傷の発生認識とその位世を検出す

3.2 A E検出方法の検討

 AEによるセラミック軸受の亀裂損傷の検出に先だって,最も感度良くAE 信号を捉えるためのA E検出方法を検討する.A E信号の観測は被検体内を伝 播してくるA E波を圧電素子を主体とするA Eセンサで電気信号に変換するこ

とによって行われる.この過程において,

  1)被検体内伝播によるA Eの減衰

  2)被検体とA Eセンサとの接触面でのA Eの減衰

  3)圧電素子における元気信号への変換11寸の減衰・

  4)言己録系への信号送信時の減衰

というAE信号の検出盛皮の低下要因が挙げられる.この中で 最も人為的で,

かつ,検出感度のばらつきをもたらすのは2)であると考えられる、そこで,

AE信号の検出盛皮の良い被検体へのAEセンサの取り付け方法を取り付け媒 体および押し付け圧力の2面から検討した.

      押し付け治具

3.2.1 実験装置および実験方法  図3.1にAE検出感度測定に用

いた装.置1の概1略を示す.この装置

は2つのAEセンサの受波面を押 し付け力により接触させ,片方の AEセンサから信号を発信し,も う片方のAEセンサでその信号を

ファンクション

ジェネレータ 1

I /ロードセ

1

オシロスコー一ブ I /、舳川セ

1

1ノ

ノ蜥川セ

ディスクリミネータ

I

プリアンプ I

/ロードセル

/、州.1川センサ

ノ舳jセンサ

図3.1 A E検出感度測定装置の概略

(18)

受信するものである.すなわち,A Eセンサ素子の圧電効果を利川して発信川 センサに駆動電圧を印加して模擬信号を発信させ,受信した波形の最大振幅電 圧を測定してA E検出感度の評価を行おうとするものである.

 測定条件を表3.1に示す.検出感度評価に用いたAEセンサはチタン酸ジル コン酸鉛(PZT)を素子とする!MHz共振タイプ(N F杜塊AE−905US:周波数特 性を図3.2に示す)であり,駆動電圧としての発信電圧はA Eセンサの共振周 波数である1.06MHzの正弦波で0〜500mVp−pを与えた.また,受信側のA Eセン.

サで電気変換された信号を20dB増幅し,バンドパスフィルタを設定せずにA E

信号を測定した.

表3.! AE検出感度測定条件

AEセンサ

 押し付け圧力

 取りイ寸吾ナ媒イ木

受信信号

1MHz共振

0.4〜4.O MPa なし

スピンドル汕,タービン汕,グリース アルミナ粉末,アルミ箔,塩化ビニリデン 周波数1.06MHzj1三弦波,0〜500mVp−P 士曽幅20dB,フィルタなし

3.2.2 AEセンサの!反り付け媒体および仰し付け月三力の検討

 AE検出感度に及ぼす被検体へのAEセンサの取り付け媒体の影響および州 し付け圧力の影響を検討した.表3.!に媒体の種類を示したように,2つのセ ンサ間の媒体は乾燥状態,油を塗布した状態,および,固体を挟んだ状態で比 較した.また,A Eセンサの押し付け圧力を0.4〜4.0MPaとして各条件の受信最

大振11帖を比較した.

 各媒体における受波信号の最大振1胴電圧とAEセンサ州し付け圧力の1刈係を 求めた結果を図3.3に示す.ただし,最大振幅電圧は増幅をしない場合の値に 換算して示す.同図を見ると,乾燥状態の場合,最大振幅電圧は押し付け圧力 1.2MPaまで上昇していき,それ以上の押し付け圧力では19.2mVで安定してい る.媒体として油を用いた場合は,油の粘度にかかわらず,押し付け圧力

0.8MPa以上で安定し,その最大振幅電圧は乾燥状態の約1.2倍の23,2mVである.

固体を挟んだ場合は,塩化ビニリデンを媒体とした場合,最大振帖電圧は仰し

付け圧力!.2MPaまで低下し,それを越える仰し付け圧力では最大振岬、1電圧が上

昇することがわかる.これは塩化ビニリデンの弾性変形量が他のそれよりも大       25

O

一20

9吻 一40

一一P1(〕一

0       2

.1.

@..

w. =.

.  、

….

 4      G      8      10 lO F・・(1・・ll・・(・伽0わ1・)

A Eセンサの周波数特性

E

蝉 ψ

20

15

10

5

0

一一

寤鼈齡}体なし

十ダl!l,l/−1,

    スピンドル油

十1!1111

→_アルミ箔

一一fr一坑I{化ビニリデン

図3.2

O.O

図3.3

  1.0      2.0      3.0      4.O

     押し付け圧力,MPa

受信信号の最大振幅電圧とA Eセンサ押し付け圧力の関係

参照

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