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Academic year: 2021

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破壊力学 (fracture mechanics) の目的は,材料欠陥と製造欠陥の存在,さらに供用中のき裂の発生 と進展を想定して,材料の破壊強度を評価し,機器の構造設計,材料選定,製造および維持管理の条 件を確立することにある.しかし,現実の機器において欠陥(flaw,き裂を含めた広義の欠陥)はな いことが建前であり,少なくともないことが望ましい.したがって,機器の構造設計,材料選定,製 造および維持管理に際して,主が従来の欠陥はないことを建前とする材料力学の立場で,従が破壊 力学の立場となる.すなわち,材料力学により機器の載荷能力と耐用期間が定められた後に,破壊力 学により欠陥を対象として構造健全性 (structural integrity) を評価することになる.構造健全性評価 (assessment of structural integrity)は設計時のみならず,製造時,供用前および供用中にも行う必要 がある.とくに,供用中に行う検査は設計における予測結果の確認行為であって,予測結果に反する き裂の発生と進展を事故に至る前に検出することが検査の目的となる.き裂が検出された場合,き裂 が許容できるか否か,または余寿命がいくらになるかを,適確に評価する必要がある.これを狭義の 構造健全性評価(略して健全性評価)または欠陥評価 (flaw evaluation) という. わが国では,原子力発電所の機器を対象として,健全性評価制度が 2003 年 10 月 1 日から施行され た.これは,定期事業者検査と健全性評価を電気事業法の改正によって義務づけ,具体的には民間規 格(日本機械学会規格)を活用する画期的な制度である. (社)日本機械学会 発電用原子力設備規格 維持規格は 2000 年に制定され,検査,評価,補修・取替 えの 3 章で構成されている.維持規格の制定によって,わが国における健全性評価の実行が可能と なった.維持規格は現在,2000 年版,2002 年版を経て,2004 年版の発刊に至っている. 本書「構造健全性評価ハンドブック」は,維持規格の適用に係る技術者を対象として,破壊力学の 基礎と維持規格の適用を解説するとともに,き裂進展評価と破壊評価に必要な力学パラメータ,材料 特性などのデータを使いやすい式,図表などにまとめて,集大成した.維持規格の適用に必携の書で あるとともに,破壊力学に関係する研究者・技術者の参考書としても役立つ内容を含んでいる. 本書の完成には,長い歴史がある.東京電力株式会社 殿の委託により,(社)日本高圧力技術協会 (略称 HPI)は,下記の調査研究テーマで委員会活動を継続してきた. ◦ 1991∼1993 年度 原子力発電所用機器の供用期間中健全性評価に関する研究 ◦ 1994∼1996 年度 破壊制御設計の適用による原子力用機器設計の高度化 ◦ 1997∼1998 年度

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iv 序 欠陥評価に関わる破壊力学評価手法の向上に関する研究 ◦ 1999∼2001 年度 欠陥評価に関わる破壊力学評価手法の向上に関する研究(フェーズ 2) ◦ 2002∼2004 年度 設備維持に係わる検査評価技術向上の研究

HPIの委員会活動の成果は,(社)日本電気協会 ASME Sec.XI 検討会(1988 年から現在も継続中) と(財)発電設備技術検査協会 原子力発電設備維持に係わる技術基準検討委員会(1993 年から現在も (独)原子力安全基盤機構で継続中)の成果とともに,日本機械学会の維持規格制定のベースとなっ た.さらに,HPI の委員会においては当初から,「欠陥評価ハンドブック」策定の計画があり,報告書 の付録として原案を作成し,年度ごとに内容の追加,改訂を継続してきた.本書はその完結版である. 本書の作成に際しては,内外の多くの文献を参照・引用した.それらは章末に参考文献として示し たが,とくに全般にわたり参考にさせていただいた文献を下記に示し,深い感謝の意を表す. ◦ 米国機械学会 (ASME)「ボイラーと圧力容器規格」Sec.XI

◦ 英国中央電力庁(CEGB,現 British Energy 社)「Assessment of the Integrity of Structures Containg Defects」

◦ スウェーデンプラント協会「A Procedure for Safety Assessment of Components with Cracks-Handbook」 末尾ながら,調査研究をご支援いただき,かつ本書の出版をご快諾いただいた東京電力株式会社殿 に厚くお礼を申し上げる.また,長い期間の間に直接的,間接的に HPI の委員会に参画され,活動を ご支援いただいた多くの皆様に,この機会を借りてお礼を申し上げる.本書の完成は,多くの皆様の ご協力の賜物である.   2005 年 7 月 構造健全性評価ハンドブック編集委員会        代 表 小林 英男 

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