舶用 プロペ ラの翼損傷 に関す る一考察
川 添 強 * ・ 錦 戸 真
吾 **AnExami nat i o nonBl adeFai l ur eo fMar i nePr o pe l l e r
by
Ts u y o s h iKAWAZOE*a n dS h i n goNI SHI KI DO
**Sof arani mpac tf or c eofdr i f t woodorhi ghf l uc t uat i ngs t r e s si nduc e dbyhydr odynami cf or c ehave be e nr e gar de dast hemai nc aus e sofbl adef ai l ur eofpr ope l l e r s . Li t t l eat t e nt i onhasbe e ngi ve nt ot he poi nto fane xc e s s i vevi br at or ys t r e s st r a ns mi t t e dbymai ne ng ine. Ourc onc e r ni st oe xami net hehi g h vi br at or ys t r e s sduet ot her e s onancebe t wee nt heaxi alvi br at i onandt henat ur alf r eque nc yoft he bl ade. Wes howe dt hepos s i bi l i t yofbl adef ai l ur ec aus edbyt heaxi alvi br at i onandal s odi s c us s e dt he bt i mat i onpr oce s soft hevi br at or ys t r e s si ncl udi ngt hee xpe r i mant aldat aonnat ur alf reque nc yoft he
bl adei ns eawat e r .
Ke ywor d:Mar i nePr opel l e r , Vi br at i onofRot ai ngBody,Nat ur alFr eque ncy,Li f ePr edi c t i on, Fr ac t ur e Me c hani c s ,Cor r os i onFat i gue
1. は じ め に
従来, プロペ ラ翼 の折損事故 は,異物 との衝突や流 体 力 による高 い変動応力 が主要因 とされて きた. しか し ,H. Ke i l等
1)は振動 による翼折損 の可能性 を指摘 し た.彼等 は,振動 の大 きい貨物船 に装備 した直径 6. 1 m の プロペ ラ翼面上 にス トレイ ンゲー ジを貼付 し,翼面 上 の応力 を計測 した. その結果, 6 シ リンダの主機 に 対応 す る 6 次 の引張応力 の ピー クが プロペ ラの前進面 と後進面 に発生 した こ とを報告 してい る.また,M. ち . Wi l s on 等
2)は直径 6 . 4 m の補給艦 のプ ロペ ラ選定 にお いて, プ ロペ ラ軸 の縦振動数 と翼 の 2 次モー ドの固有 振動数が非常 に接近 してい る ことを指摘 し, プロペ ラ の再設計 を行 ってい る.
この よ うに,主機 (また はプロペ ラ軸)の縦振動数 と 翼 の固有振動数が接近す る と,共振 とい う危 険 な事態
を招 く. ここで は,振動 による翼 の折損 の可能性 にス ポ ッ トをあて,設計段 階で共振 を回避 す る上 での問題
点 を検討 した. また,模型 プロペ ラを用 いて空気 中お よび水 中の翼 の固有振動数 を計測 し,両者 を比較 した.
2. 翼折損の主要因子
図‑1 にはプロペ ラ折損翼 の破 断面 の一例 を示す.一 般 に翼が折損 す る と,破 断面 は貝殻模様 を呈 す ること が多 く,疲労破壊 によって破 断 してい る ことを示唆 し てい る.疲労破壊 に到 るまでの原因,即 ち疲労亀裂発 生 お よび進展 の主要 因子 として は次 の ものが挙 げ られ
る.
1)設計段 階で船級等 の規定値 よ りも薄 い翼厚 を設計, また はハ イ リースキュー ド ・プ ロペ ラで起 こ り易 い 翼後縁での応力集 中部 を残 した翼設計. これ に通常 の前進航行時 の流体力が作 用す る とき,材料 の疲労 限度以上 の応力が生 じて,翼 に疲労亀裂 が発生 し進 展す る3 ) , 4 ) .
2 )鋳物特有 の鋳巣等 の微小材料欠 陥部 や溶接補修 に 平成 8 年1 0 月 1 8 日受理
*機械 システム工学科 ( De pa r t me ntofMe c hani c alSys t e m Engi ne e r i ng)
**三菱重工業 ㈱ ( Mi t s ubi s hiHe avyI ndus t r i e s ,LTD. )
3 8 川添 強 ・錦戸真吾
図 ‑1 折損翼の破 断面 の外観
よる材料 の耐力以上 の残留応力部 に,使用応力が付 加 されて疲労亀裂が発生 し進展.
3 )過度 な不均一流中で作動す るために,翼部 に作用 す る過大変動外力. これ は船尾形状,載貸条件 お よ び海象条件 に深 く関係す るもので,19 80 年代前半 の 自動車専用運搬船 のプロペ ラ折損事故 の主要因子 と 考 え られてい る.
4)就航 中に流木等が翼 に衝突 し,衝撃力 によ り翼表 面 に亀裂が発生.
5 )主機 の起振力がプロペ ラ軸 を介 して伝達 され る振 動外力 ( 軸振動外力 と呼ぶ),即 ち軸 の縦振動 と翼 の 共振 による疲労亀裂 の発生 と進展.
今 日までの プロペ ラ折 損事故 を顧 み る と,上 記 の 1), 2), 3) お よび 4 )の単独 また は複合原因 による ものが多 く, これ らについてはその対策 のためにかな りの調査研究が なされてい る5 ) .
ここで はあ ま り類例 を見 ない 5 )の軸振動外力 に焦 点 を絞 り,巽折損 との関係 について考察す る.
3. 軸振動外力 による翼折損の特徴
図 ‑2 はプロペ ラ軸 の縦振動 と翼後進面 の応力 との 関係 を示す.通常前進時の流体力で は, プロペ ラ翼 の 後進面 には圧縮応力 のみが発生す るが,プロペ ラ軸 系 に縦振動が存在 す る と,引張応力 も発生す ることにな る.従 って, この引張応力 は後進面 の微小材料欠陥か
ら亀裂 を発生 させ る.一般 にプロペ ラの鋳造 は,通常 前進時 に引張応力が発生 す る前進面の品質 をよ り重要 視す ることか らと,前進面 に比べて後進面 に微小鋳造 欠陥が発生 しやすい. これ を起点 とす る後進面 での亀 裂発生 は,軸振動外力 の特徴 の一 つ と言 える.
もう一つの特徴 は,翼折損 までの寿命 が非常 に短い ことである.図 ‑3 はプロペ ラ 1 回転 中における翼根部 の変動応力計算例 を,通常前進時 の流体力 によるもの と軸振動外力 ( 主機 は 5 シ リンダ)による もの ( 冥振動 応力 と呼ぶ)に分 けて示す.流体力 による変動応力 はプ ロペ ラ 1 回転 中に 1 回の変化 を示すが,軸振動外力 に
図 ‑2 プロペ ラ軸振動 と巽後進面 の応力
9 1 9 6 6 5 0
(N∈
uJ
rN ) O P n l ニd ∈ v
ssoj1S
‑ ‑due t O Vi br at i on
‑‑‑ ‑due t o Hydr odynami c For ce
\
+ 60 ′
\
\
一一一 ノ
‑‑ ‑ . ・ . ・ . ・ . . ・ . ■ ‑. 一 一 ̲ ‑ ■ ■ . . 一 一
l
pr opel l erRot at i ng Angl e( deg)
図 ‑3 翼根部 の変動応力計算例
よるものは 5 回の繰 り返 し応力 となる.従 って,前者 に比べて後者 による巽の疲労亀裂の進展速度 は 5 倍 と な り,疲労寿命 を著 しく短縮す る. また,流体力 によ る変動応力 と巽振動応力が加算 されて,応力振幅 を大 きくす ることが考 えられ る.
4. 翼振動応力の推定プ ロセス と問題点
図 ‑4 に翼振動応力の推定プロセスを示す.このプロ セスの中で最 も重要なステ ップは共振の可能性評価で ある.主機 によって誘起 され るプロペラ軸 の縦振動数 ( 1 )と水中における翼の曲げ固有振動数 ( 3) が接近す る と,共振の可能性が出て くる.前者 は計測 により精度 良 く振動数 を把握で きる. しか し,後者 については, 例 えば対象が直径 8 m ,重量 4 0 t o n の大型 プロペ ラ と なると, これ を水中に没 して固有振動数 を計測す るこ とは非常 に困難 となる.従 って , ( 3) は ( 2) の空気中の 巽の曲げ固有振動数の計測結果 をもとに,計算 により 推定せ ざるを得ない. この推定精度が第‑ の問題点 と なる.
第二の問題点 は,ステ ップ( 5) の共振 による冥振動応 力の計算精度である.即 ち, プロペ ラ軸の縦振動振幅 を計測 して, これがプロペ ラ巽 に強制伝達 される時, 翼先端での振幅が何倍 に拡大 されるかを推定する必要 が あ る. このためには,水 中にお け るプ ロペ ラ材料
( A I BC3 ) の対 数減衰率や共振特性 を精度 よ く把握 し なければならない.その後,図‑5に示す ように FEM を用いて実機 プロペ ラ翼の変位 ( 振幅)と応力の関係 を 計算 し,振動応力が推定で きる.第二の問題点 は今後
図 ‑4 翼振動応力の推定プロセス
の研究 に譲 り, ここでは第‑の問題点である水 中 と空 気中における翼の固有振動数の相違 について検討する.
5. 空気中 と水中における翼の固有振動数計測 直径 25 0 mm の模型プロペ ラを用いて,空気 中 と水 中における巽の固有振動数 を計測 した.表 ‑1 に模型プ ロペ ラの主要 目を示 し,図 ‑6 に水中における固有振動 数の計測状況 を示す.実験では水槽内の定盤 に模型プ ロペ ラを固定 し,前進面 を上 にした状態で加振器 によ り 0 . 9 5 R の前 縁側 と 0. 5 R の G ライ ン上 を加振 しなが ら ,0. 9
Rの後縁側 と 0 . 3
Rの G ライン上の振動加速度 を 各々計測 した. まず,水槽 に水 を入れない状態で翼 を
2 4
7
9 9
Symbol Val ue 1 ‑1 . 69
2 1. 85
3 5. 4 0 4 3. 96 5 1 . 25 6 1 . 60 7 1 . 9 6 8 2. 31 19 2・ 由1
1 0 3. 02
事暮先 端 部 の 変 位 1. O J n m 8 こ 対 す る
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