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2014年11月15日(土),京都大学吉田キャンパスにおい て2014年度藻類談話会が開催されました。この談話会は,西 日本の藻類関係者や藻類に興味を持っている方々が参加して 講演会や研究交流をおこなう集会です。今回は,大学や企業 から29名の参加があり,以下の4つの講演が行われました。
講演者(敬称略)と演題は次の通りです。
寺内真(神戸大・内海域)
褐藻類の細胞外マトリックスの微細構造とその機能について 石井健一郎(京大院・地球環境学堂)
珪藻類の休眠期細胞について
北山大樹(国立科学博物館・植物研究部)
海藻標本からよみとる植物学藜明史 福田裕章((株)デンソー・基礎研究所)
微細藻類によるバイオ燃料生産の取り組み
寺内さんの講演では,透過型電子顕微鏡と電子線トモグラ フィー法を用いた褐藻アミジグサの原形質連絡と褐藻シオミ ドロの細胞壁の微細構造に関する話題でした。アミジグサで は,直径が10-20 nmの管状膜構造が細胞壁を貫通していて,
細胞質同士が直接連結した原形質連絡の存在が明らかになっ たそうです。また,シオミドロでは,細胞壁の内側にランダ ムな構造を示すアルギン酸繊維(マンヌロン酸とグルロン酸,
Ca2+から構成される)が存在していて,アルギン酸繊維構造 の密度や繊維の分岐点の様子を解析することによって,アル ギン酸繊維の三次元的なネットワーク構造が明らかになった ことが紹介されました。
石 井 さ ん に よ る 珪 藻 の 休 眠 期 細 胞 に 関 す る 講 演 は,
Chaetoceros属の休眠胞子の多様性と化石記録との関係に関す
る話題でした。同属の珪藻の多くは休眠胞子を形成し,長期間
(長いものでは数年以上)休眠できるそうです。しかし,海底 の土砂物に埋もれた休眠胞子は,土砂が巻き上がる等の条件 がない限り沈んだままで,化石として地中層に保存されるそ うです。そこで,珪藻の化石記録と現生珪藻の休眠胞子を比 較し,化石休眠胞子の種同定を共同研究で進めているとのこ とでした。個人的には,珪藻の休眠胞子状態を利用し,植物 のシードバンクと類似した珪藻種の保存法を確立させたいと いう石井さんの夢には,大変興味を抱きました。
2014 年度「藻類談話会」参加記 加山 基
国立科学博物館で海藻標本の作製とデータ整理などをなさ れている北山さんは,日本で海藻学を確立した岡村金太郎先 生と,岡村先生とゆかりのある19世紀生まれの藻類学者であ る矢部良吉先生や遠藤吉三朗先生など日本の藻類学者の系譜 とその業績について講演されました。また標本データの危う さについてもお話しされました。北山さんが,北海道大学と 国立環境博物館にある岡本先生の海藻標本のデータに基づい て,標本の採取日時と採取場所を整理して,それらのデータ を時系列別で日本地図上に表示し,岡本先生の採取活動をト レースしたところ,岡本先生が10歳時に採集を行ったことに なってしまう標本が存在していたり,先生が亡くなった後に 採集したことになる標本が存在していたりする話では,会場 が笑いに包まれました。これは,サンプルの同定者が岡本先 生であり採取者が別人である可能性や,データ整理における ヒューマンエラーである可能性が高いそうです。日本の藻類 学発展の礎を築いた先人たちの歴史が垣間見えて,非常に興 味深いお話でした。
最後の福田さんの講演は,緑藻Pseudochoricystis ellipsoidea N1株を用いたバイオ燃料生産に関するものでした。温泉から 発見されたP. ellipsoidea は,通常の生物が生息しにくいpH 3-4の酸性条件下で高い増殖能を維持できるとのことでした。
現在,P. ellipsoideaを用いてデンソーが所有している工場の排
水を利用して,屋外での大量培養を行っているそうです。排水 を利用すること以外にもコストの削減の工夫することで,低コ ストでオイル生産が可能になるそうです。また中央大学と連携 してP. ellipsoidea の遺伝子ノックアウトやDNA組換えによる オイル生産効率の向上の研究についてもお話されていました。
談話会終了後,生協吉田食堂2階のリザーブルームで懇親 会が行われました。懇親会では,食べ物と飲み物を片手に,意 見交換や世間話などを行うことができました。このような場 に学部生の私が参加できたことは貴重な経験となりました。
次回2015年度の藻類談話会は神戸大学で開催することが決ま りました。次回の藻類談話会にも数多くの学生が参加しても らいたいと思います。
(福井工業大学)
藻類 Jpn. J. Phycol. (Sôrui) 63: 20, March 10, 2015
講演風景(写真提供:川井浩史先生)
懇親会風景(写真提供:川井浩史先生)