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20世 紀初 頭お よび戦間期 タイの繊維製品貿易 の動向

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〈論 説〉

20世 紀初 頭お よび戦間期 タイの繊維製品貿易 の動向

一 関税 自主権 の回復 の影響を視野 に入れて

菅 原 昭

は じめ に

本 稿 の課 題 は,タ イ繊 維 製 品 市場 が20世 紀 に入 り どの よ うに推 移 して い く の か を,そ の間接 的 指標 とな る繊 維 製 品 貿 易 を中 心 に して,19世 紀 との連 続 性 の側 面 と新 たな変化 の動 向 を考 察 し検 討 す る ことに あ る。

こ う した課 題 に取 りか か る ヒで,ま ず19世 紀 の そ の推 移 と特 徴 を明 らか に してお くこ とは・特 に・連続 性 を考察 す るため の 前提 条件 と もいえ るで あ ろ う。

拙 稿 に よ れ ば,19世 紀 の 繊 維 製 品 貿 易 は,大 き く四 段 階 に時 期 区 分 が で き る

。 ま ず 第 一 期 は,19世 紀 の 前半,ボ ウ リ ン グ条 約(1855年)ま で の 「第 一 拡 大 期 (対 ア ジァ諸国)」 で あ る。 この 時 期 は,輸 出 入 共 に 綿 関 連 品 が セ要 な 貿 易 品 目 の 地 位 を 占 め,貿 易 相 手 先 も中 国 を 中心 とす る ア ジ ア諸 国 が 圧 倒 的 な比 重 を 占 め て い て・ な お か っ そ の 貿 易 は拡 大 傾 向 を 示 して い た 。 第 二 期 は,条 約 以 降 か ら 1862年 頃 ま で の 「輸 入 量 の 停 滞 と相 手 先 の 転 換 期 」 で あ る

。繊 維 製 品 の輸 入 依 存 度 は低 下 あ る い は 停 滞 的 で あ る が,イ ギ リス製 品 に対 す る輸 入 依 存 度 は相 対 的 に上 昇 し,逆 に,中 国 製 品 に 対 す る輸 入 依 存 度 は急 激 に 低 下 す る。第 三 期 は, 1862年 以 降 か ら1870年 ま で の 「第 二 拡 大 期(対 イギ リス)」 で あ る。 この 間,綿 製 品 の 輸 入 単 価 が 急 落 し た 結 果,価 額 で は1.4倍 の 増 加 に す ぎ な い が,量 的 に

は約5倍 の増 加 と な り,実 質 的 綿 製 品 輸 入 急 増 の 画 期 と な る。 第 四 期 は,1871 年 か ら1900年 ま で の 「長 期 微 増 期 」 で あ る。 こ の30年 間,価 額 で は2 .2倍 に な る が,輸 入 単 価 の 上昇 を 考 慮 し た 実 質 的 量 的 増 大 は約1 .6倍 に しか 成 ら な

(2)

い。 当該 期 間 に人 口 は推 定約1.2倍 増大 して い るか ら,輸 入 綿製 品 の一 人 当 た り消 費量 の増加 率 は さ らに小 さ くな る。

以 上 の19世 紀繊 維 製 品貿 易 の段 階 的推 移 と特 徴 を総 括 す る と,綿 製 品輸 入 が急 激 に実 質 的増人 に転 じるの は第二 期 で あ り,同 期 間 の米輸 出 は価額 量 と

もに停滞 的 で あ る。 また,米 輸 出が急 激 に拡 大 す る1870年 代 半 ば以 降,綿 製 品 輸 入 の増 加 率 は,む しろ停 滞 あ るい は減速 して い る。 したが って,従 来 の研 究 が 依 拠 して き た イ ン グ ラ ム の 戯 す な わ ち米 輸 臨 大 儂 民 の所 得駒)とrl'ff1 製 品 輸 入 増 人 との 直 接 的 相 関 性 は 示 して い な い こ と。 さ らに,† 要 輸 入 品 で あ

る イ ギ リス綿 製 品 の消 費 者 が,ア ヘ ン と同 様 に急 増 す る華 僑 で あ る こ と が 確 認 され た。19世 紀 の タイ綿 製 品 市場 は,農 村 手 工業 を 中 心 に して 在 来 綿 工 業 の 発 展 を 支 え な が ら同 時 に在 来 綿 布 を 消 費 す る タ イ 農 民 と,輸 入 綿 製 品 を 消 費 す る 華 僑 と い うよ う に,消 費 構 造 の二 重 性 を 呈 して い た の で あ る。

と こ ろ で,19世 紀 の 繊 維 に 限 らず 貿 易 に 関 す る 問 題 と して 残 る の は,一 般 に い わ れ る 「幼 稚 産 業 保 護 論 」 と も関 係 して く る,不 平 等 条 約 に よ る関 税 自 主権 の 喪 失(ア ヘ ンの無関税 とその他品 目の低率輸 入関 税3%に 固定)の 影 響 の 問 題 で あ る。 一 方 の ア ヘ ンに っ い て は,社 会 的 害 悪 は い う ま で も な く,そ の 輸 入 急 増 に よ っ て 財 政 構 造 ま で も歪 め て しま った(ア ヘ ン専売 収入 へ の過度 の歳 入依存)こ と は 明 らか で あ る。 しか しな が ら,他 方 の低 率 輸 入 関 税 は,綿 製 品 輸 入 の増 大 要 因 に な っ た こ と は否 定 す べ く もな い が,そ れ が ど の 程 度 の 影 響 を 及 ぼ した の か に っ い て は確 定 で きな い こ とで あ る。 こ の 問 題 に つ い て は,関 税 自 主 権 が 回 復 す る1927年 以 前 と以 降 の 財 政 面 及 び 貿 易 面 で の 推 移 を 比 較 検 証 す る こ とで, そ の 影 響 に関 して 何 らか の 間 接 的 示 唆 を得 る こ とが 可能 と思 わ れ る。

ま ず,関 税 自 主 権 の 影 響 の 問 題 や 繊 維 製 品 貿 易 に つ い て 検 討 し考 察 す る 前 に,本 稿 と関 係 す る戦 間 期 タ イ研 究 に つ い て 概 観 す る こ と に よ って,こ の 研 究 の 意 義 と 課 題 を よ り 明 確 に して お こ う。

1.戦 間 期 タ イ研 究 の 概 観 と経 済 政 策 お よ び貿 易 に お け る諸 問 題

戦 闇期 は,一 般 的 に列 強帝 国 主 義 諸 国 を中 心 とす る20年 代 の相 対 的 安定 期

(3)

20世 紀初 頭 お よ び戦 間 期 タ イの 繊維 製 品貿 易 の動 向137

か ら}29年 世 界 恐 慌 を 契 機 に して30年 代 の 通 商 戦 争 の 激 化 と プ ロ ・ソク化 の 進 行 と して 特 徴 づ け られ て き た。 こ う し た宗 主 国 を 中 心 とす る一 般 的 理 解 の 枠 組 み が,植 民 地 あ る い は 従 属 的 地 域 に お い て も妥 当 性 を もっ か ど うか は,疑 問 ・ 検 討 の 余 地 が あ る。 した が っ て タ イ の 場 合 は,そ う した 問 題 を 検 証 す る 前 に, ま ず 戦 間 期 の タ イ経 済,特 に通 商 ・貿 易 面 で の特 徴 を よ り明 確 に す る必 要 が あ る で あ ろ う。

タ イ に と っ て20世 紀 初 頭 お よ び 戦 間 期C一 般 に第:次 世界 大戦 は,英 独 開 戦 の 1939年 か らとされ るが,ア ジアにお いて は 日本 帝国 主義 の中国侵略 開始 を起 点 とす る15 年戦争 論 が示 す よ うに1930年 代 半ば には,大 戦 的様 相 が本格化 して い た と もいえ るで あ

ろ う。 したが って本稿 で は,】935年 までを戦 間期 と して分析 の対象 とす る)は

,対 外 的 に は ビル マ や イ ン ドシ ナ な ど列 強 帝 国 室 義 諸 国 の 植 民 地 産 米 が,タ イ米 の競 争 相 手 と して 世 界lf∫場 に 登 場 した こ と に よ り,米 の輸 出 競 争 力 の 強 化 に 向 け た 対 応 を迫 られ た 時 代 で あ り,国 内 的 に は,旧 来 の 賦 役 制 や 奴 隷 制 の 廃 止 に よ り, 新 た に 行 財 政 お よ び金 融 制 度 の 改 編 あ る い は 試 行 錯 誤 の 中 で 新 た な 産 業 政 策

が 求 め られ た 時 代 で もあ る。 そ して,こ れ ら一 連 の 政 策 的 課 題 に対 応 した 制 度 的 改 革 や,そ れ に伴 う社 会 経 済 的 発 展 の 到 達 点 が,1932年 の 「、匿憲 君 主 革 命 」 で あ った と も い え よ う。

前 者 に 対 応 した セ な 具 体 的 政 策 は,輸 出 米 栽 培 の 中 心 的 地 域 で あ る中 部(ラ ンシ ッ ト地域)で の 人 規 模 潅 概 で あ り,遠 隔 地 の 地 方 市場 を 統 合 す る経 済 効 果 を もっ 社 会 資 本 整 備 す な わ ち鉄 道 敷 設 で あ っ た。 ま た後 者 に 関 わ る 主な 改 革 を 箇 条 書 き に す る と財 政 面 で は,①1900年9月,ボ ウ リ ン グ条 約(1855年)の 補 足 協 定(1856年)に あ る低 率 地 租 条 項 の廃 止 と,1905年 か ら地 租 引 き 上 げ,②1908 年,人 頭 税 の金 納 化(年6バ ー ツ。 ただ し貧困地域 は税額 緩和措 置)実 施 ③1910 年,中 国 人 に対 す る人 頭 税 の 引 き上 げ(賦 課額3年 ごと4.37バ ー ツか らタイ人 と同

じ年6バ ーッ),④1927年,移 民 法 改 正(中 国人 に対す る入 国許 可税 の4バ ー ツか ら 30バ ー ッへ の引 き上 げ。1937年 の同法 改正 で は200バ ー ッに引 き上 げ られ た)

,⑤1927 年}関 税 自 主 権 の 回 復,そ れ に よ る翌 年 の 内 国 通 過 関 税 の 廃 止。 と い うよ う に 多 岐 に わ た っ て い る。

(4)

さ ら に 金 融 面 で は,①1902年,政 府 紙 幣 発 行 と 金 本 位 制 へ の 移 行,②1904年 10月4日,シ ャ ム 商 業 銀 行(SiamC・mmercialBank)の 前 身 で あ る ブ ッ ク ・ ク

ラ ブ(BookClub)の 設 立(欧 米 銀 行 に よ る 妨 害1二作 を 避 け る た め 秘 密 裏 に 創 設),1907 年1月 に 外 国 人 の 持 株 比 率 を3分 の1以 下 に 法 的 に 制 限 す る こ と が 閣 議 決 定 さ

れ 国 王 の 裁 可 を 受 け て の ち,公 式 にh記 社 名 と な る 。1908年Chino‑Siam

Bankを 設 立(ア ヘ ン 専 売 業 で 富 を 築 い たJooSengHengタ イ名NaiChalongが 創 設 。彼 は1910年 頃S・C・Bankの 経 営 を も支 配)し た が,1913年12月15日 に 倒 産

(3)

して華 僑 資 本精 米 業者 に深 刻 な打 撃 を与 え る,③1916年 農 業協 同組 合(信 用組

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合)設1開 始(1932年 まで に信 用組 合数150),な どの 具 体 的 政 策 が 実 施 され た 。 こ の よ うに 当 時 実 施 さ れ た 政 策 や 改 革 を 概 観 した だ け で も,そ れ らの効 果 の 検 証 を 待 たず と も,政 策 主 体 と して の タ イ政 府 が,戦 間 期 に直 面 した 課 題 に対 応 して 多 様 な政 策 あ る い は 改 革 を 実 施 して き た こ と が 確 認 さ れ る の で あ る。 この 事 は,他 の 東 南 ア ジ ア 諸 国 が 植 民 地 支配 の も と政 策 の 主 体 が 宗 主 国 に あ った こ

と と決 定 的 に そ の 様 相 を 異 に して い る と い え よ う。

と こ ろ が 繊 維 製 品 貿 易 の 動 向 と関 わ りが 深 い政 策 に 目 を 向 け る と,一 言で い え ば 「消 極 的 姿 勢 」 で 特 徴 づ け られ て しま うの で あ る。 例 え ば,t"に 東 北 部 で の 養 蚕 業 の 育 成 と振 興 を 目 的 と して,1903年 農 務 省 内 に蚕 業 局 が 設 置 さ れ,さ

ら に棉 作 で は 主 産 地 の一 つ で あ る ピ ッ サ ヌ ロ ー ク に お い て,1912年 か ら農 務 省 に よ る優 良 品 種(カ ンボ ジァ種)の 作 付 奨 励 策 な ど が 実 施 され た 。 しか しな が ら,

(5)

蚕 業 局 は投 資 効 果 が な い とい う理 由 で1913年 に 閉 鎖 さ れ た。棉 作 は,奨 励 策 に よ る効 果 で 同 地 で の 作 付 け面 積 が1910年1800ラ イ か ら1914年9000ラ イ に 拡 大 し,1913年 に は現 地 商 人 に よ って 綿 繰 り一■場 も創 設 さ れ た が,1914年 の 第 一 次 大 戦 の 勃 発 で 原 棉 価 格 相 場 が 下 落 した こ と に よ って 同 地 で の 棉 作 は大 きな 打 ・ 撃 を 被 っ た 。 こ う した 事 態 を 受 け て ピ ッサ ヌ ロ ー ク知 事 は,海 外 で の 原 棉 需 要

あ る い は 価 格 相 場 に 左 右 さ れ な い,よ り安 定 し た 棉 花 栽 培 の 定 着 促 進 の た め に 現 地 棉 花 を 原 料 とす る近 代 的 紡 績 工 場 の 創 設 を 政 府 に提 案 した が,時 の農 務 人 臣(ラ タブ リ親]⊃ に よ っ て 拒 否 され た。1918年 に も,国 王 に対 して 編 み 物 や 衣

くの

料製 造 工 場 の設 立 の提 案 が な され たが,支 持 は得 られ なか った ので あ る。

(5)

20世 紀 初 頭 お よ び戦 間 期 タイ の繊維 製 品 貿易 の動 向139

この よ う に1932年 の 立憲 革 命 以 前,タ イ政 府 に よ る積極 的 な産 業育 成 策 あ るい は工業 化策 が 欠 落 して い た こ とは,多 くの先 行朔 お いて敏 した見解1こ

もな っ て い る。 そ して,そ の 主 な 原 因 に つ い て の 一 般 的 理 解 はa大 枠 で 二 つ に 要 約 さ れ る で あ ろ う。 一 つ に は,西 欧 資 本 あ る い は帝 国 主 義 諸 国 に よ る植 民 地 市 場 の形 成 と,そ れ が も た らす 軍 事 的 圧 力 お よ び競 争 的 圧 力 と い う外 生 的 要 因 で あ り,二 つ 目 は,支 配 階 層 の 工 業 化 に 対 す る積 極 的 姿 勢 が 欠 落 して い た こ と で あ る。 換 言す れ ば,王 族 あ る い は官 僚 資 本 の サ ク デ ィナ ー 的 性 格 や 華 僑 資 本

の 買 弁 的 性 格 を 変 化 させ る ほ ど,発 展 の 制 約 要 因 と な る社 会 構 造 あ る い は 階 級 構 造 が くず れ て い な い と い う国 内 的 要 因 で あ る。

近 年,G.記 通 説 的 見解 を 批 判 してKevinHewisonは,19世 紀 末 か ら20世 紀 初 頭 に か け て 「1業 化 以 前 の 工 業(lndustryPriort。Industrialization)」 が 展 開 し た こ とが 軽 視 あ る い は看 過 さ れ て い る と して,そ の 発 展 過 程 を 捉 え る こ と の 重 要 性 を 指 摘 して い る。特 に1920年 代 に は,そ れ ほ ど国 家 の 政 策 的 支援 が な い に もか か わ らず,小 規 模 在 来 産 業 の 織 布 業 や 地 方 中 心 地 で の 製 造 業 な ど の 一 定 の 発 展 が あ っ た こ とを,断 片 的 で は あ る が 実 証 して お り,注 目 に値 す る研 究 で あ C8)

る。

いず れ にせ よ従 来 の戦 間期 研 究 が,政 府 の政 策 的 力点 が置 か れ た分 野 と同様 に,t要 な一次 産 品 輸 出 品 目に関 わ る産 業分 野 につ いて の研究 が 中心 で あ り, あ るい は それ に偏 って研 究 が 進展 して きて お り,筆 者 の関心 で あ る繊維 製 品 貿 易 あ るい は それ と関 連 す る在 来 産 業 につ い て は,断 片 的 か つ 補 足 的研 究 に 止 ま って い る とい って もよ いで あ ろ う。

と ころで,さ らに視 野 を広 げて見 る と従 来 の 戦 間期 東 南 ア ジア貿 易 に関 わ る 研 究 と して は,lg世 紀 末 か ら20世 紀 初頭 にか けて の ア ジア間貿 易 が,欧 米 一 ア ジア間貿 易 を凌.vす る勢 いで成 長 し,主 に綿 関 連 品 を中心 とす る 「綿 業 基軸

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体 制」 で あ った こ とを提 示 した杉 原薫,日 本綿 製 品 の南方 進 出 の国 際 的 意 味 に つ いて,イ ギ リス ・オ ラ ンダ との市場 獲 得 を め ぐる貿 易交 渉 や貿 易摩 擦 な どの

{10)

考 察 を通 して検 討 した杉 山伸 也,そ して最 近 で は,日 本 と シ ンガポ ー ルを 中心 とす る 日本 と英 領 マ ラヤ間貿 易 の発 展 につ い て,進 出 の先 導役 と しての か らゆ

(6)

き さん の役 割 や拡 張 期 にお け る在 日(神 戸)華 商 の

役割 の重要 性 を指 摘 した清蘇 な ど1こよ る研 究が

あ る。 こ う した 研 究 の 特 徴 と して は,日 本 紡 績 資 本 を 中 心 に した ア ジ ア 市 場 あ る い は 東 南 ア ジ ア 市 場 に お け る市 場 支 配 力 あ る い は経 済 進 出 が 分 析 の 主 眼 に な って い る。 ま た,東 南 ア ジ ァ と い っ て も経 済 的 要 衝 と い わ れ た シ ン ガ ポ ー ル お よ び そ の 周 辺 植 民 地 市 場 の 考 察 が 中 心 と な り,タ イ 市 場 に つ い て は,触 れ な い かfあ る い は補 足 的 な 言及 に 止 ま って い る。

こ の 時 期 と重 な る タ イ の 繊 維 製 品 貿 易 と 関 係 す

(12)

る代表 的 な先行 研 究 と して は,イ ング ラム の研 究 が あ るが,分 析 の 力点 が輸 入綿 製 品 に対 す る米 の輸 出 購 買 力 に,ほ ぼ限定 され た内 容 とな って い る。

したが って筆 者 の研究 課題 と して は,L記 で概観 した先行 研 究 の蓄 積 を検 討 ・考慮 しな が ら も,第 一 に,従 来,研 究対 象 と して あ ま り深 く 、Zち入 った考 察 が な い タイの繊 維 製 品 貿 易 に分 析 の 焦 点 を絞 り, そ の動 向 ・推 移 を 明 らか にす る こ とに よ って この 分 野 で の 事 例 研 究 を 提 供 す る こ とで あ る。 そ の事 は,同 時 に他 地 域 との比 較研 究 を 可能 とす る一定 の 材 料 を提供 す る こ とに もな るで あ ろ う。第 二 に,ま

ず,統 計 資料 と して最 も信 頼性 が高 い と思 われ る財 政 資料 を利 用 して,貿 易 と も関 わ る政 策 上 の力点 や 関 税 自主権 の 回復 の影 響 な ど にっ いて,財 政 分 析 を 通 じて間 接 的 に考 察 す る ことで あ る。 そ して,さ ら

表1財 政 収 支 単位:バ ー ツ

財政収支

1905

1,622,015

}一 皿}

190fi 177,345

1907 ▲85fi,671

1909 1910

一一 』  一凹

1911

‑一

1912

‑一

..1gga4̲̲‑2」 望02P町.

3,834,783 4,432,627

X2,523,232

…‑1‑一 一一 一 一一

j3,235,738

‑一

191311179,373 1̀・}!

‑JI

19148,368,072

{

19157,270,755

1i

̀191611

,951,720 19712,344,772

旨6百+3,698,582

1919

1920 1921

13,507,007 f23,325

235,298 1922

1923 1924

X2,348,093 X2,635,371 X4,462,261

1925×1,938,989 192639,215 192751,581

192

X2,068

192915,442

1930 17,304

1931×8,533,890

1932 9,418,401

1933 9,995,506 1934 18,12,976 1935 9,587,656 193621,352,186

(出 所)後 掲 歳 出 入 表 よ り作 成

に繊 維 製 品貿 易 動 向[貿 易 内容 の変 化(品[構 成 ・価額および量的推移)・ 物 価 ・ 賃金 動 向 との 関係 ・華 僑 移民 との相 関 関係]を 分 析 す る こ とに よ って,戦 間 期

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20世 紀 初頭 お よ び戦 間期 タイ の繊 維 製 品 貿 易 の 動 向141

が一 つ の 「転 換 期」 と して位 置 づ け られ る こ とを 明 らか にす る こ とで あ る。 特 に,こ う した貿 易動 向 を特徴 づ け る国 内的 要 因 と して は,消 費 構 造 の二 重 性 と 在来 産 業 また は農村 手 工 業 の存 在 が,重 要 な要 因 と推 論 され るの で あ る。

2.財 政 構 造 と関 税 自主 権 の 回 復 の影 響

ω 財政 収 支

こ こで は,財 政構 造 全体 を分 析 す るので はな く,特 に貿 易 と関 わ る輸 入 関税 の 問題 に焦 点 を絞 って考 察 す る。 と はい う もの の,こ の分 野 で の これ まで の先 行 研 究 も踏 まえ て,あ る程度 財 政構 造 全 体 の特 徴 は,押 さえて お く必 要 が あ る

だ ろ う。

タイ は,1855年 の ボウ リング条約 を端緒 とす る列 強諸 国 との 不平 等 条約 の締 結 に よ って,関 税 自主権 を奪 わ れ た に もかか わ らず,1906年 まで財 政 収 支 は黒 字 基 調 を維 持 して きた。20世 紀 に入 り,鉄 道 敷 設 や 大規 模 潅 概 な どの社 会資 本 整 備 が 本格 化 す る に従 い,イ ギ リスや フ ラ ンス系 銀 行 資本 か らの融 資 受 け入 れ に よ る外 国 資 金 の調 達 が1905年 か ら開始 され る。それ で も,こ れ らを含 む公 的 債 務 全体 の 支出 は,1911年 か ら1936年 まで の期 間,歳 出総 額 の ほぼ5〜10%

(13}

の 比 率 で 推 移 して お り,財 政 構 造 を 歪 め る ほ ど の 比 重 を 占 め る こ と は な か っ た。 表1の 財 政 の 形 式 収 支(歳 入 額 か ら歳 出額 を 単純 に差 し引 いた額)を 見 て もわ か る とお り,部 分 的 な 例 外 を除 け ば,20世 紀 に 入 って も タ イ の 財 政 収 支 の 黒 字 基 調 に,そ れ ほ ど変 化 は な か っ た と もい え る で あ ろ う。 当 時 タ イ は,列 強 帝 国 主 義 諸 国 の 植 民 地 に 隣 接 し,侵 略 の 脅 威 に さ ら され な が ら,東 南 ア ジ ア地 域 で 唯 一 独 立 を 維 持 して い た国 で あ る。 した が っ て,タ イ政 府 に と って 財 政 収 支 の

(14)

安 定 確保 とその維 持 は,諸 外 国 か らの財政 面 へ の 干渉 を排 除 し政 治 的 独rを 維 持 して い く上 で も,極 めて重 要 な要 件 にな って い たの で あ る。

この よ うに多少 黒 字基 調 が 強 す ぎ るが,ほ ぼ財政 収 支 の均 衡 が保 たれ て きた こ とは,そ れ程 外 国 の借 款 に依 存 す る ことな く財政 面 で の独 苗性を維 持 しa結 果 と して安 全 保 障 面 に寄 与 す る不 ・∫欠 の条 件 を 成 して い た と思 わ れ る。 た だ

し,最 終 的 的 評価 を くだ す に は,こ う した黒 字 基調 あ るい は均衡 を もた ら した 原 因 につ いてrち 入 った考 察 が必 要 で あ る。

(8)

表2 タイの歳 入推移

1905 isos 1907 190$

里909

1910

童911

1912

!9且a

且914

19且5

且9且6

}9L7

!9且8

吐9且9

[920

1921

1922

3923 3924 1925 1926 ]927 1928 1929 1930 1931 1932 1933 1994 1935 193fi

直 棲 収 入

政 府 資 産 収 入

森 林

M12178ハ∪ごQ

4nJ8357810467

21 161UO470058874079973ZαLa3ρ0ハQOρQO7772OLLLLL 26262773UO7h}55452qLL20ρ060q19戸0451φq

06220

3 033U909044ρQ243297

543Q2月ゴU9L427nj3857

3a34̀ '03370

5 33433086nj5689207243

084354U5940/6L61

432334̀

鉱山

C25JB364

0ρ05r91nJ92ΨL1 09り﹂20Pρ9309879

53329107

122 59904556

1aO9344̀

L 044720197354768060285253326455602116084

q,a9,2,7458512552300279353a6613001

2474!!2334433 V9nJ777061973778520

3445ρQ533523q3ε94.ρりQ4Ω

21133

政府資 産 売 却

189,19

554,8ア

516,26

298,17

2臼2,32

212,83

342,20i

384,52

535,33

245,58

268,42 309,90 515,90 413,75 673,33

賃貸

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(出 所)StatisticalYearBook‑SiamB,E,2478(1935‑36)and2479(1936‑37),CentralService Ministers),Bangkok,1937,pp.268‑277,Table1‑Table6.

(注)1936年 鉄 道 収 入 の 急 増 は,政 府.一.一般 会 計 の 改 定 に よ っ て,従 来 の 純 収 入 の み の 計}=か ら 総 収

参照

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